説明

撮像装置、その制御方法及びプログラム

【課題】少ない通信量で被写体を特定する。
【解決手段】撮像装置10−1は、撮像した画像データ内の被写体を特定し、特定した被写体を示す情報を含む画像データのメタ情報を生成する。そして撮像装置10−1は、生成したメタ情報のうち、被写体が特定されなかった区間が存在する場合、当該区間に該当するメタ情報を他の撮像装置10−2から取得し、取得した位置のメタ情報に基づいて、当該区間の被写体を特定する。そして撮像装置10−1は、特定した被写体を示す情報で画像データのメタ情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置で撮像された画像データ内の被写体を特定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット上での写真や動画の共有サービスにおいて、複数の人物がそれぞれ所有する撮影装置を使用して運動会のようなイベントの撮影を行い、撮影された画像データを参加者で共有して視聴及び閲覧を行うことが可能になっている。
【0003】
また、複数の動画像データ内の人物の動きや撮影装置の動き及び撮影方向の情報をサーバ等に集め、それぞれの軌跡情報を生成して人物を特定する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、ネットワーク上に存在する画像データに被写体に関する情報がメタ情報として付与されていれば、目的の被写体に関する部分のみを視聴又は編集することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−267773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各撮影装置のもつ画像データのメタ情報を解析して被写体を特定していくときに、特定のノードに集めて特定処理を行うと、特定のノードとそのノードが接続されたネットワークに対して過大な負荷を与えてしまうことがある。その結果、目的の被写体に関する部分の配信が終了するまでの時間が長くなってしまう場合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、少ない通信量で被写体を特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、協調して撮影を行う撮像装置において、撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像データ内の被写体を特定する第1の特定手段と、前記第1の特定手段により特定された被写体を示す情報を含む、前記画像データのメタ情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたメタ情報のうち、前記第1の特定手段により被写体が特定されなかった区間が存在する場合、前記区間に該当するメタ情報を他の協調撮像装置から取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段により前記他の協調撮像装置から取得された位置のメタ情報に基づいて、前記区間の被写体を特定する第2の特定手段と、前記第2の特定手段により特定された被写体を示す情報で前記画像データのメタ情報を更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない通信量で被写体を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る撮影システムの構成を示す図である。
【図2】被写体情報を保持するためのテーブルを示す図である。
【図3】動画像データに対して付与されるメタ情報を説明するための図である。
【図4】機器ID1〜機器ID4の撮影装置によって撮影された画像データに対して付与されたメタ情報内における被写体IDの初期状態を示す図である。
【図5】管理情報とメタ情報の実体とを保持するためのデータ構造を示す図である。
【図6】メタ情報を示す図である。
【図7】被写体IDが不明な区間のメタ情報を他の撮影装置から取得する例を示す図である。
【図8】撮影装置がメタ情報を他の撮影装置から取得する動作を示すフローチャートである。
【図9】撮影装置から管理ノードに対して通知される管理情報を示す図である。
【図10】管理ノードにおける管理情報の更新処理を示すフローチャートである。
【図11】管理情報を保持するためのデータ構造を示す図である。
【図12】各撮影装置が図10のステップS1006における管理ノードからの通知を受信したときに実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
本実施形態においては、運動会等のイベントでの協調した撮影を複数の撮影者が複数の撮影装置を用いて共同で行い、撮影された画像データを共有して視聴又は編集を行う場合を想定している。そして、予め被写体となる人物や物体を特定するための特徴データと表示名称とを撮影装置間で共有しておく。同時に各撮影装置を識別するための機器IDは、各撮影装置に固有に設定され、撮影装置間で共有される。機器IDは、数値でも文字列でもよく、各撮影装置が識別できる形式であればよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係る撮影システムの構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る撮影システムは複数の撮影装置(協調撮像装置)10−1〜10−nと管理ノード(外部装置)とを備える。各撮影装置10−1〜10−nは、通信部109によって被写体情報(特徴データ、表示名称)の送受信を他の撮影装置と行うことにより、被写体情報を撮影装置10−1〜10−n間で共有する。被写体情報は、各撮影装置10−1〜10−nの被写体情報記憶部111において記憶される。通信部109が近接無線通信手段を備えている場合、撮影開始前に各撮影装置10−1〜10−nを近づけて被写体情報を交換することを繰り返すことにより、全ての撮影装置10−1〜10−nにおいて被写体情報を共有することができる。一方、近接通信手段を備えていない場合、ネットワーク30上の共有サービスを提供する管理ノード20を使用し、各撮影装置10−1〜10−nが管理ノード20から被写体情報をダウンロードすることにより被写体情報を共有することができる。このように被写体情報を共有することによって、各撮影装置10−1〜10−n内には図2に示すようなテーブルが保持される。即ち、各撮影装置10−1〜10−n内には、被写体IDと被写体情報(表示名称、特徴データ)とを対応付けたテーブルが保持される。なお、被写体IDは、被写体情報の共有時に一意に決定され、全ての撮影装置10−1〜10−nで同一の値となる情報である。
【0013】
操作部114は、使用者から撮影操作等が行われる操作部材である。撮影部101は、操作部114を用いた撮影操作に応じて撮影処理を行う。画像・映像処理部102は、撮影部101によって撮影された画像データに対して所定の画像処理を行う。コーデック103は、画像・映像処理部102によって所定の画像処理が施された画像データをエンコードする。エンコードされた画像データは、画像・映像記憶部104に記憶される。
【0014】
また、撮影装置10−1〜10−nは、GPS(Global Positioning System)によって当該撮影装置の位置を検出する位置検出部105と、電子コンパス及びジャイロセンサによって撮影方向を検出する撮影方向検出部110とを備える。画像・映像処理部102は、時々刻々と変化する撮影装置の位置と撮影方向とをそのときの時刻に対応する画像データにメタ情報として付与する。また画像・映像処理部102は、撮影部101から入力される撮影装置の画角及び焦点距離もそのときの時刻に対応する画像データにメタ情報として付与する。検出・認識処理部106は、撮影装置10−1〜10−n間で共有され、被写体情報記憶部111に記憶された被写体情報の特徴データを用いて被写体ID及び被写体の位置を検出し、そのときの時刻に対応する画像データにメタ情報として付与する。検出・認識処理部106による被写体の検出又は認識処理は、全フレームの画像データに対して行われてもよいし、予め定められたフレーム毎の画像データに対して行われてもよいし、検出処理の負荷に応じて変化させてもよい。なお、検出・認識処理部106による被写体IDの検出処理は、第1の特定手段の処理例である。
【0015】
なお、画像・映像処理部102、コーデック103、位置検出部105、検出・認識処理部106、メタ情報処理部108、撮影方向検出部110及び管理情報処理部113は、撮影装置に内蔵され、撮影装置全体を制御するCPUが、ROM等から必要なプログラムを読み込んで実行することにより実現する機能的な構成である。また、画像・映像記憶部104、メタ情報記憶部107、被写体情報記憶部111及び管理情報記憶部112は、RAM等の書き換え可能なメモリの一部記憶領域に相当する構成である。
【0016】
図3は、動画像データに対して付与されるメタ情報を説明するための図である。即ち、図3(A)は、動画像データに対してメタ情報が付与された状態を模式的に示しており、図3(B)は、動画像データに対して付与されたメタ情報の詳細を示している。図3(A)の例では、予め定められたフレーム毎にメタ情報が付与された状態を示している。図3(B)の例では、メタ情報は、フレーム番号、カメラ位置(経度、緯度)、撮影方向(方角)、画角、焦点距離、被写体数、被写体(1〜n)ID、被写体(1〜n)のフレーム(画像データ)中の位置、被写体(1〜n)の位置(経度、緯度)、被写体(1〜n)の向き(方角)を含むことを示している。なお、n個の被写体が検出された場合、撮像装置は少なくともn個の被写体情報を保持しており、被写体IDが特定できたものについては当該被写体IDをメタ情報に含ませる。一方、被写体IDが特定できないものについては各撮影装置内で仮のIDを発行してメタ情報に含ませる。
【0017】
各撮影装置内において1回の撮影操作毎にそれぞれを識別するファイルIDが生成される。静止画データの場合、一枚毎に一つのファイルIDが生成され、動画像データの場合、1回の撮影開始から終了までの単位で一つのファイルIDが生成される。
【0018】
図4は、機器ID1〜機器ID4の撮影装置によって撮影された画像データに対して付与されたメタ情報内における被写体IDの初期状態を示す図である。なお、機器ID1〜機器ID3の撮影装置は、動画用の撮影装置である。従って、機器ID1〜機器ID3の撮影装置によって撮影された画像データは動画像データとなる。また、機器ID4の撮影装置は、静止画用の撮影装置である。従って、機器ID4の撮影装置によって撮影された画像データは静止画データとなる。
【0019】
図4において、機器ID1の撮影装置によって撮影された動画像データ(ファイルID1)に対して付与されたメタ情報401では、被写体ID1、被写体ID2、被写体ID3、そして被写体ID1が時系列に特定されている他、不明な被写体IDが1つ存在する。機器ID2の撮影装置によって撮影された動画像データ(ファイルID1)に対して付与されたメタ情報402では、被写体ID3、被写体ID1、そして被写体ID2が時系列に特定されている他、不明な被写体IDが3つ存在する。機器ID3の撮影装置によって撮影されたファイルID1の動画像データ(ファイルID1)に対して付与されたメタ情報403では、被写体ID5が特定されている。機器ID3の撮影装置によって撮影された動画像データ(ファイルID2)に対して付与されたメタ情報404では、不明な被写体IDが1つ存在する。機器ID4の撮影装置によって撮影された静止画データ(ファイルID1)に対して付与されたメタ情報405では、被写体ID1が特定されている。また、機器ID4の撮影装置によって撮影された静止画データ(ファイルID2)に対して付与されたメタ情報406では、被写体ID2が特定されている他、不明な被写体IDが1つ存在する。また、機器ID4の撮影装置によって撮影された静止画データ(ファイルID3)に対して付与されたメタ情報407では、被写体ID1、被写体ID4が特定されている。また、機器ID4の撮影装置によって撮影された静止画データ(ファイルID4)に対して付与されたメタ情報408では、被写体ID2が特定されている他、不明な被写体IDが1つ存在する。
【0020】
以下、撮影装置同士がメタ情報を共有するための通信を行うことによって、各撮影装置が画像データに対して付与したメタ情報内において不明な被写体IDを決定する処理について説明する。各撮影装置は、図1に示す撮影システムにおいてネットワークに接続し、撮影装置間で直接メタ情報を通信するためのPeer To Peerネットワークを構築する。
【0021】
初期状態における撮影装置には、当該撮影装置で撮影された動画像データに対するメタ情報だけが存在し、画像・映像記憶部104内においては、上記動画像データとともに上記メタ情報が保持されている。本実施形態においては、メタ情報を一定の単位で扱うために、動画像データを予め定められたnフレーム単位で分割し、nフレームの間に付与されているメタ情報を一つに集めたものをメタ情報の処理単位とする。メタ情報処理部108は、画像・映像記憶部104に動画像データとともに保持されているメタ情報を上記処理単位で取り出し、メタ情報記憶部107に記憶させる。管理情報処理部113は、メタ情報処理部108によって取り出された上記処理単位毎のメタ情報のサイズ及びハッシュ値等を管理情報として生成し、管理情報記憶部112に記憶させる。
【0022】
本実施形態においては、各撮影装置10−1〜10−nで生成された管理情報を撮影装置10−1〜10−n間で共有する。そのため、本実施形態に係る撮影システムでは、Peer To Peerネットワーク上に1つの管理ノード20を設置する。管理ノード20の役割は、Peer To Peerネットワーク上の撮影装置の一つが行ってもよいし、共有サービスを提供する側で行ってもよい。管理ノード20は、各撮影装置10−1〜10−nから送られてきた管理情報を一意に保つための処理を行うが、初期状態では全ての撮影装置10−1〜10−nと通信を行い、管理情報を取得する。管理ノード20の通信部117は、受信した各撮影装置10−1〜10−nの管理情報を管理情報処理部116に送る。管理情報処理部116は、各撮影装置10−1〜10−nの管理情報を管理情報記憶部115に記憶させる。上記のように各撮影装置10−1〜10−nが自ら生成した管理情報を管理ノード20に対して送信する処理は、送信手段の処理例である。
【0023】
管理ノード20は、全ての撮影装置10−1〜10−nとの通信が完了し、管理情報が集まると、各撮影装置10−1〜10−nに対して全ての管理情報を配信する。その結果、全ての撮影装置10−1〜10−nは管理情報を同一の値で持つ状態となる。このように各撮影装置が管理ノード20から他の撮影装置の管理情報を取得する処理は、第2の取得手段の処理例である。各撮影装置10−1〜10−nは、管理ノード20から管理情報を取得すると、図5に示すようなデータ構造で管理情報とメタ情報の実体とを保持する。即ち、各撮影装置10−1〜10−nは、図5の501に示すように、全ての撮影装置10−1〜10−nに対応する機器IDのリストと、その機器が持つ共有データファイルのファイルIDリストへの参照とを持っている。また、図5の502に示すように、ファイルIDリストは、各ファイルのファイルIDと、そのファイルに対応する管理情報への参照とを持っている。また、図5の503に示すように、管理情報は、nフレーム単位で生成されたメタ情報の時刻番号、メタ情報のサイズ、メタ情報のハッシュ値、メタ情報の受信状態、及び、メタ情報の実体504への参照をリストとして持っている。以上のようなデータ構造が生成されると、撮影装置間でメタ情報の通信を開始する。但し、初期状態では、自らの撮影装置のメタ情報は全て保持しているが、他の撮影装置のメタ情報は全く保持していない状態にある。図6は、通信されるメタ情報を示す図である。図6に示すように、メタ情報は、当該撮影装置の機器ID、ファイルID、時刻番号、メタ情報のハッシュ値、メタ情報のサイズ及びメタ情報の実体を含む。先ず、撮影装置は、自ら保持するメタ情報のうち、被写体IDが不明な区間のメタ情報を収集することを試みる。例えば、機器ID1の撮影装置は、図7の701に示す被写体IDが不明な区間のメタ情報を他の撮影装置から取得する。このように或る撮影装置が他の撮影装置から被写体IDが不明な区間のメタ情報を取得する処理は、第1の取得手段の処理例である。
【0024】
次に、図8を参照しながら、撮影装置がメタ情報を他の撮影装置から取得する動作について説明する。ステップS801において、撮影装置は、他の撮影装置から被写体IDが不明な区間のメタ情報を受信する。そして撮影装置は、他の撮影装置から受信したメタ情報を一時保存用のメモリに格納する。ステップS802において、撮影装置は、一時保存用のメモリに格納したメタ情報のハッシュ値を算出する。ステップS803において、撮影装置は、ステップS802において算出したハッシュ値と、管理情報内における当該メタ情報のハッシュ値とが一致するか否かを判定する。一致している場合、処理はステップS808に移行する。一方、一致していない場合、処理はステップS804に移行する。
【0025】
ステップS804において、撮影装置は、管理ノード20に対して管理情報を問い合わせ、自らが持つ管理情報を更新する。ここでは、撮影装置が持つ全ての管理情報を更新してもよいし、メタ情報を取得した他の撮影装置に対応する管理情報のみを更新してもよい。ステップS805において、撮影装置は、メタ情報の廃棄処理を行う。即ち、撮影装置は、管理情報内のハッシュ値と一致しなかった部分に該当するメタ情報を削除し、受信状態を表すステータスを未受信に変更する。ステップS806において、撮影装置は、廃棄処理後のメタ情報からハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値と、更新後の管理情報内におけるメタ情報のハッシュ値とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理はステップS808に移行する。一方、一致しない場合、処理はステップS807に移行する。
【0026】
ステップS807において、撮影装置は、他の撮影装置から受信したメタ情報がエラーであると判定し、ステップS801において一時保存用のメモリに保持したメタ情報を破棄し、処理を終了する。ステップS808において、撮影装置は、受信したメタ情報をメタ情報記憶部107に保存し、受信状態を表すステータスを受信済みに変更する。ステップS809において、撮影装置は、ステップS801において他の撮影装置から受信したメタ情報には、被写体IDが不明な区間の全てのメタ情報が存在するか否かを判定する。全てのメタ情報がある場合、処理はステップS810に移行する。一方、欠けているメタ情報がある場合、処理は終了する。
【0027】
ステップS810において、撮影装置は、メタ情報記憶部107に保存したメタ情報を解析することにより、不明な被写体IDを特定する。不明な被写体IDを持つメタ情報が動画像データに対して付与されたものであれば、撮影装置は、被写体の位置を時系列で参照し、被写体IDが不明な被写体の位置と、被写体IDが特定されている被写体の位置とを比較していく。ここで、被写体の位置には誤差があるため、一定の範囲内にあれば一致していると判断し、次の時刻の位置を参照していく。この処理を繰り返し、最後まで一致している被写体があれば、その被写体IDを不明な被写体IDに対して割り当てる。不明な被写体IDを持つメタ情報が静止画データに対して付与されたものであれば、撮影装置は、被写体IDが不明な被写体の位置と、静止画データにおいて被写体IDが特定されている被写体の位置とを比較する。その結果、被写体IDが不明な被写体の位置に対して一定の範囲内に被写体IDが特定されている被写体が一つのみが存在すれば、撮影装置は、その被写体IDを不明な被写体IDに対して割り当てる。なお、ステップS810は、第2の特定手段の処理例である。
【0028】
ステップS811において、撮影装置は、ステップS810で不明な被写体IDを更新したか否か(不明な被写体IDに対して被写体IDを割り当てたか否か)を判定する。不明な被写体IDが更新された場合、処理はステップS812に移行する。一方、不明な被写体IDが更新されていない場合、処理は終了する。ステップS812において、撮影装置は、不明な被写体IDが更新されたメタ情報に関する管理情報を管理ノード20に対して通知する。図9は、撮影装置から管理ノード20に対して通知される管理情報を示す図である。図9に示すように、撮影装置から管理ノード20に対して通知される管理情報には、当該撮影装置の機器ID、ファイルID、時刻番号、メタ情報の旧ハッシュ値、メタ情報の旧サイズ、メタ情報の新ハッシュ値及びメタ情報の新サイズが含まれる。
【0029】
ステップS813において、撮影装置は、管理ノード20からの応答が成功であるか否かを判定する。応答が成功である場合、処理はステップS814に移行する。一方、応答がエラーである場合、処理は終了する。ステップS814において、撮影装置は、ステップS804と同様に、管理ノード20に対して管理情報を問い合わせ、自らが持つ管理情報を更新する。ステップS815において、撮影装置は、ステップS805と同様に、メタ情報の廃棄処理を行う。以上の処理は各撮影装置において並列して行われるため、各撮影装置で必要なメタ情報が収集できた時点で被写体の特定処理が行われることになる。
【0030】
図10は、管理ノード20における管理情報の更新処理を示すフローチャートである。ステップS1001において、管理ノード20は、撮影装置10から更新される管理情報を受信する。管理ノード20は、撮影装置10から受信した管理情報を一時保存用のメモリに格納する。ステップS1002において、管理ノード20は、受信した管理情報が最新のものか否かを判定する。即ち、管理ノード20は、図11に示すデータ構造で管理情報を保持している。管理ノード20は、図11の1101に示すように、全ての撮影装置に対応する機器IDのリストと、その機器が持つ共有データファイルのファイルIDリストへの参照とを持っている。また、図11の1102に示すように、ファイルIDリストは、各ファイルのファイルIDと、そのファイルに対応する管理情報への参照とを持っている。また、図11の1103に示すように、管理情報は、メタ情報の時刻番号、メタ情報のサイズ及びメタ情報のハッシュ値を持っている。管理ノード20は、受信した管理情報内における機器ID、ファイルID及び時刻番号から、メタ情報の管理情報を参照する。そして、管理ノード20は、受信した管理情報内におけるハッシュ値と管理ノード20が持つハッシュ値とを比較することにより、最新の管理情報の更新であるか否かを判定する。最新の管理情報からの更新であれば、処理はステップS1004に移行する。一方、最新の管理情報からの更新ではない、つまり既に他の撮影装置によって更新された管理情報の更新であれば、処理はステップS1003に移行する。ステップS1003において、管理ノード20は、撮影装置に対してエラーを通知する。ステップS1004において、管理ノード20は、撮影装置から受信した管理情報によって管理ノード20内の管理情報を更新する。ステップS1005において、管理ノード20は、撮影装置に対して管理ノード20内の管理情報が更新されたことを通知する。ステップS1006において、管理ノード20は、管理情報の更新を通知してきた撮影装置以外の撮影装置に対しても、更新後の管理情報とともに管理情報が更新されたことを通知する。
【0031】
図12は、各撮影装置が図10のステップS1006における管理ノード20からの通知を受信したときに実行する処理を示すフローチャートである。ステップS1201において、撮影装置は、更新後の管理情報を管理ノード20から受信する。ステップS1202において、撮影装置は、受信した管理情報によって当該撮影装置が持つ管理情報を更新する。このとき、撮影装置は、持っていた古い管理情報を一時領域に移動させる、受信したデータを管理情報の記憶領域に保存する。ステップS1203において、撮影装置は、受信済みのメタ情報の破棄処理を行う。即ち、撮影装置は、古い管理情報のハッシュ値と更新されたハッシュ値とが一致しない部分の受信状態が受信済みである領域のメタ情報を破棄し、受信状態を示すステータスを未受信に変更する。
【0032】
以上の処理を繰り返すことで、単一の撮影装置では被写体情報が特定できなかった被写体が特定され、メタ情報が全ての撮影装置で共有された状態になる。メタ情報が共有された状態になると、ある被写体IDの被写体が撮影されている映像の範囲が解るため、目的の範囲だけの画像データをネットワーク経由で取得することができるため、通信量を削減することができる。また、自動で目的の被写体のダイジェスト映像を作成することができる。
【0033】
上述した第1の実施形態においては、メタ情報のハッシュ値を用いているが、メタ情報のバージョン番号を用いてもよい。各撮影装置は、初期値として1を設定しておき、更新依頼には更新前のバージョン番号を含め、管理ノード20で受理された場合は+1ずつインクリメントすればよい。
【0034】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0035】
10−1〜10−n:撮影装置、20:管理ノード、101:撮影部、102:画像・映像処理部、103:コーディック、104:画像・映像記憶部、105:位置検出部、106:検出・認識処理部、107:メタ情報記憶部、108:メタ情報処理部、109:通信部、110:撮影方向検出部、111:被写体情報記憶部、112:管理情報記憶部、113:管理情報処理部、114:撮影部、115:管理情報記憶部、116:管理情報処理部、117:通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
協調して撮影を行う撮像装置において、
撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像データ内の被写体を特定する第1の特定手段と、
前記第1の特定手段により特定された被写体を示す情報を含む、前記画像データのメタ情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたメタ情報のうち、前記第1の特定手段により被写体が特定されなかった区間が存在する場合、前記区間に該当するメタ情報を他の協調撮像装置から取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により前記他の協調撮像装置から取得された位置のメタ情報に基づいて、前記区間の被写体を特定する第2の特定手段と、
前記第2の特定手段により特定された被写体を示す情報で前記画像データのメタ情報を更新する更新手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記他の協調撮像装置において生成されたメタ情報に係る管理情報を外部装置から取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された管理情報と、前記第1の取得手段により前記他の協調撮像装置から取得されたメタ情報とを比較する比較手段を更に有し、
前記第2の特定手段は、前記比較手段による比較結果に応じて、前記他の協調撮像装置から取得されたメタ情報に基づいて前記区間の被写体を特定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記生成手段により生成された前記画像データのメタ情報に係る管理情報を前記外部装置に対して送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記更新手段により前記画像データのメタ情報が更新された場合、当該更新後のメタ情報に係る管理情報を前記外部装置に対して通知する通知手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記管理情報は、前記メタ情報のハッシュ値を含むことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記管理情報は、前記メタ情報のバージョンを示す情報を含むことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像手段を有し、協調して撮影を行う撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段により撮像された画像データ内の被写体を特定する第1の特定ステップと、
前記第1の特定ステップにより特定された被写体を示す情報を含む、前記画像データのメタ情報を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成されたメタ情報のうち、前記第1の特定ステップにより被写体が特定されなかった区間が存在する場合、前記区間に該当するメタ情報を他の協調撮像装置から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより前記他の協調撮像装置から取得された位置のメタ情報に基づいて、前記区間の被写体を特定する第2の特定ステップと、
前記第2の特定ステップにより特定された被写体を示す情報で前記画像データのメタ情報を更新する更新ステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項8】
撮像手段を有し、協調して撮影を行う撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記撮像手段により撮像された画像データ内の被写体を特定する第1の特定ステップと、
前記第1の特定ステップにより特定された被写体を示す情報を含む、前記画像データのメタ情報を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成されたメタ情報のうち、前記第1の特定ステップにより被写体が特定されなかった区間が存在する場合、前記区間に該当するメタ情報を他の協調撮像装置から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより前記他の協調撮像装置から取得された位置のメタ情報に基づいて、前記区間の被写体を特定する第2の特定ステップと、
前記第2の特定ステップにより特定された被写体を示す情報で前記画像データのメタ情報を更新する更新ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−50922(P2013−50922A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189698(P2011−189698)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】