説明

撮像装置、カメラシステムおよび画質設定プログラム

【課題】 撮影画像をユーザの所望する画質にする。
【解決手段】 撮像装置は、画質設定情報を記憶する記憶部と、制御部とを有している。画質設定情報は、画像処理に用いる画質情報と画質情報に対応する露出補正量を示す参照値とを含んでいる。制御部は、撮影時の露出補正量として設定されている設定値と画質設定情報の参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、カメラシステムおよび画質設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラ等の撮像装置では、撮影画像の画像処理に複数のパラメータが使用される。例えば、撮影画像の画質は、画像処理に使用するパラメータ値の組み合わせ(以下、画質設定とも称する)を調整することにより、調整される。近年、予め用意された複数の画質設定から所望の画質設定をユーザの操作により選択するデジタルカメラが普及している。また、画像処理に使用する複数のパラメータをユーザの操作により個別に調整するデジタルカメラが提案されている(例えば、特許文献1)。この種のデジタルカメラでは、例えば、ユーザの所望する画質設定が撮影画像の画像処理に適用される。
【0003】
また、一般的なデジタルカメラでは、撮影時の露出量を補正することにより、撮影により得られる画像を意図的に暗くあるいは明るくできる。例えば、露出補正量は、ユーザの操作により所望の値に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−217483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
露出補正量の設定は、画質設定の選択とは別の操作で実施される。このため、例えば、露出補正が実施される撮影では、ユーザにより選択された画質設定が露出補正を実施しない撮影により得られた画像に基づいて生成されているとき、ユーザの所望する画質が得られないおそれがある。すなわち、ユーザの所望する画質設定が撮影画像の画像処理に適用されても、ユーザの所望する画質が得られない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、撮影画像をユーザの所望する画質にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
撮像装置は、画質設定情報を記憶する記憶部と、制御部とを有している。画質設定情報は、画像処理に用いる画質情報と画質情報に対応する露出補正量を示す参照値とを含んでいる。制御部は、撮影時の露出補正量として設定されている設定値と画質設定情報の参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影画像をユーザの所望する画質にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるカメラシステムの概要を示す図である。
【図2】図1に示した制御部の動作の一例を示す図である。
【図3】図1に示した画質設定装置の編集画面の一例を示す図である。
【図4】図1に示した画質設定装置の環境設定画面の一例を示す図である。
【図5】別の実施形態における撮像装置の制御部の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を示している。カメラシステムSYSは、例えば、露出補正機能を有する撮像装置10と、ユーザの所望する画質設定情報SINFを生成する画質設定装置100とを有している。画質設定装置100により生成される画質設定情報SINFは、例えば、RAW画像データRAWDATAの画像処理に用いられる複数のパラメータ(輪郭強調、コントラスト、明るさ、彩度および色合い等)のそれぞれの値を示す画質情報QINFと、画質情報QINFに対応する露出補正量を示す参照値とを有している。
【0012】
画質設定装置100は、例えば、画質設定情報SINFを生成するためのソフトウエアが搭載されたパーソナルコンピュータ等である。例えば、画質設定装置100は、サンプル画像を使用して調整された画質情報QINFとサンプル画像の露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報SINFを生成する。
【0013】
例えば、画質設定装置100は、画質設定の効果をユーザに確認させるためのサンプル画像を表示し、画像処理の複数のパラメータをユーザの操作により調整された値に設定する。これにより、ユーザの所望するパラメータ値に調整された画質情報QINFが生成される。以下、ユーザにより調整された画質情報QINFを含む画質設定情報SINFを、カスタム画質設定SINFとも称する。すなわち、カスタム画質設定SINFは、画像処理の複数のパラメータがユーザの所望する値にそれぞれ調整された画質情報QINFと、参照値とを有している。
【0014】
また、画質設定装置100は、例えば、メモリカード等の着脱可能な記憶媒体や画質設定装置100内のハードディスクに画質設定情報SINFを記憶する。例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶された画質設定情報SINFは、撮像装置10の記憶媒体インターフェース36を介して、撮像装置10に読み込まれる。このように、撮像装置10は、画質設定装置100により生成された画質設定情報SINFを取得する。また、撮像装置10は、画質設定情報SINFを画質設定装置100から取得した際、取得した画質設定情報SINFを撮像装置10で使用できるように設定する。
【0015】
なお、撮像装置10および画質設定装置100は、例えば、複数の画質設定情報SINFを予め有している。以下、撮像装置10および画質設定装置100に予め用意されている画質設定情報SINF(カスタム画質設定SINF以外の画質設定情報SINF)を汎用画質設定SINFとも称する。例えば、この実施形態の汎用画質設定SINFは、画質情報QINFを有し、画質情報QINFに対応する露出補正量を示す参照値を有していない。汎用画質設定SINFの画質情報QINFは、例えば、標準的な画像を生成するスタンダード、実物に近い画像を生成するニュートラル、めりはりのある画像を生成するビビット、単色で表現した画像を生成するモノクローム、人物の撮影に適したポートレイトおよび風景の撮影に適したランドスケープ等である。
【0016】
撮像装置10は、例えば、デジタルカメラであり、撮影レンズ20、撮像素子22、アナログ処理部24、A/D変換部26、制御部28、画像処理部30、バッファ部32、メモリ34、記憶媒体インターフェース36、表示部38および操作部40を有している。例えば、A/D変換部26、制御部28、画像処理部30、バッファ部32、メモリ34、記憶媒体インターフェース36および表示部38は、バスBUSに接続されている。なお、図中の破線の矢印は、画像データRAWDATA、IMGDATAおよび画質設定情報SINFの流れの一例を示している。
【0017】
撮影レンズ20は、被写体の像を撮像素子22の受光面に結像する。撮像素子22は、例えば、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーである。撮像素子22は、撮影レンズ20を介して入射される被写体の像を電気信号(以下、画像信号とも称する)に変換し、変換した電気信号をアナログ処理部24に出力する。
【0018】
アナログ処理部24は、撮像素子22から受けた画像信号に対してアナログ信号処理を実施するアナログフロントエンド回路である。例えば、アナログ処理部24は、画像信号のゲインを調整するゲイン制御や画像信号のノイズ成分を低減するための相関二重サンプリング処理等を実施し、アナログ画像データを生成する。そして、アナログ処理部24は、生成したアナログ画像データをA/D変換部26に出力する。
【0019】
A/D変換部26は、アナログ処理部24から受けたアナログ画像データをデジタル画像データに変換することにより、RAW画像データRAWDATAを生成する。そして、A/D変換部26は、RAW画像データRAWDATAをバッファ部32に出力する。
【0020】
制御部28は、例えば、マイクロプロセッサであり、メモリ34に記憶されているプログラムに基づいて、撮像装置10の動作を制御する。例えば、制御部28は、オートフォーカス制御、露出制御、ホワイトバランス制御および画像データの記録等を実施する。さらに、制御部28は、例えば、メモリ34に記憶されている画質設定プログラムに基づいて、撮影画像の画質を設定するための画質設定処理を実施する。画質設定処理では、制御部28は、例えば、RAW画像データRAWDATAの画像処理に用いる画質情報QINFを選択する。なお、制御部28は、カスタム画質設定SINFの画質情報QINFを選択した場合、例えば、撮像装置10に設定されている露出補正量(以下、設定値とも称する)とカスタム画質設定SINFの参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する。
【0021】
例えば、制御部28は、画質設定情報SINFを選択するための選択信号を受け、選択信号に基づいて選択した画質設定情報SINF(図2に示すステップS110で選択した画質設定情報SINF)の参照値と設定値との差が所定値より大きいとき、警告を発する。あるいは、制御部28は、選択信号に基づいて選択した画質設定情報SINFの参照値と設定値との差が所定値より大きいとき、選択信号に基づいて選択した画質設定情報SINFの参照値を撮影時の露出補正量として設定する。なお、制御部28の画質設定処理の動作の詳細は、図2で説明する。
【0022】
画像処理部30は、制御部28により選択された画質情報QINFに基づいて、バッファ部32に記憶されたRAW画像データRAWDATAに対して画像処理を実施する。これにより、撮影画像データIMGDATAが生成される。画像処理部30は、撮影画像データIMGDATAをバッファ部32に出力する。なお、画像処理部30は、撮影画像データIMGDATAを、記憶媒体インターフェース36を介して記憶媒体に記憶してもよい。
【0023】
バッファ部32は、例えば、A/D変換部26から受けたRAW画像データRAWDATAおよび画像処理部30から受けた撮影画像データIMGDATAを一時的に記憶する。メモリ34は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで形成された内蔵メモリであり、撮像装置10の動作を制御するためのプログラムおよび画質設定情報SINF等を記憶する。
【0024】
記憶媒体インターフェース36は、記憶媒体を接続するためのコネクタを有している。記憶媒体インターフェース36に記憶媒体が接続されているときに、制御部28は、記憶媒体に対してデータの読み出し/書き込みを実行する。例えば、制御部28は、記憶媒体に記憶された画質設定情報SINF等をメモリ34に記憶する。あるいは、制御部28は、バッファ部32に記憶された撮影画像データIMGDATA等を記憶媒体に記憶する。
【0025】
表示部38は、例えば、液晶ディスプレイであり、スルー画像、撮影された画像およびメニュー画面等を表示する。操作部40は、レリーズボタンおよびその他の各種スイッチを有し、撮像装置10を動作させるために、ユーザにより操作される。例えば、ユーザは、操作部40を操作することにより、撮影時の露出補正量を撮像装置10に設定する。なお、例えば、表示部38がタッチパネルの機能を有している場合、表示部38は、操作部40としても機能する。
【0026】
図2は、図1に示した制御部28の動作の一例を示している。なお、図2は、画質設定処理の動作の一例を示している。例えば、ステップS100−S160は、制御部28により、メモリ34に記憶された画質設定プログラムに従って実施される。図2の動作では、例えば、制御部28は、ステップS100が実施される前に、画質設定装置100により生成されたカスタム画質設定SINFを取得する。例えば、制御部28は、画質設定情報SINFを読み込むための処理が選択されたとき、記憶媒体インターフェース36に接続された記憶媒体から画質設定情報SINFを読み込む。そして、制御部28は、読み込んだ画質設定情報SINFを撮像装置10で使用できるように設定する。
【0027】
ステップS100では、制御部28は、操作部40の操作に応じて、撮像装置10で使用可能な画質設定情報SINFを、表示部38にリスト表示する。
【0028】
ステップS110では、制御部28は、撮影に使用する画質設定情報SINFを選択する。例えば、ユーザは、操作部40を操作することにより、撮影画像の画像処理に用いる画質情報QINFを含む画質設定情報SINFを、表示部38にリスト表示された画質設定情報SINFから選択する。そして、制御部28は、例えば、ユーザが選択した画質設定情報SINFを示す選択信号を受け、ユーザが選択した画質設定情報SINFを認識する。すなわち、制御部28は、画質設定情報SINFを選択するための選択信号を受け、受けた選択信号に基づいて画質設定情報SINFを選択する。これにより、制御部28は、ユーザの所望する画質設定情報SINFを選択できる。
【0029】
ステップS120では、例えば、制御部28は、スポット測光が実施されるとき、比較処理(例えば、ステップS150)を実施するか否かを判定する。例えば、制御部28は、図4で説明する環境設定情報に基づいて、比較処理を実施するか否かを判定する。ここで、比較処理は、例えば、カスタム画質設定SINFの参照値(露出補正量)と、撮像装置10の設定値(露出補正量)とを比較する処理である。
【0030】
スポット測光時に比較処理を実施する場合(ステップS120のYes)、制御部28の動作は、ステップS140に移る。一方、スポット測光時に比較処理を実施しない場合(ステップS120のNo)、制御部28の動作は、ステップS130に移る。
【0031】
ステップS130では、制御部28は、測光方式がスポット測光か否かを判定する。測光方式がスポット測光の場合(ステップS130のYes)、制御部28は、例えば、ユーザに選択された画質設定情報SINFの種類(カスタム画質設定SINF、汎用画質設定SINF)に拘わらず、画質設定処理を終了する。これにより、ユーザの意図しない警告等の不要な処理がスポット測光時に実施されることを防止できる。一方、測光方式がスポット測光でない場合(ステップS130のNo)、制御部28の動作は、ステップS140に移る。
【0032】
ステップS140では、制御部28は、ステップS110で選択した画質設定情報SINFがカスタム画質設定SINFか否かを判定する。ステップS110で選択された画質設定情報SINFがカスタム画質設定SINFの場合(ステップS140のYes)、制御部28の動作は、ステップS150に移る。
【0033】
一方、ステップS110で選択された画質設定情報SINFがカスタム画質設定SINFでない場合(ステップS140のNo)、制御部28は、比較処理を実施することなく、画質設定処理を終了する。すなわち、制御部28は、汎用画質設定SINF(例えば、スタンダード、ニュートラル、ビビット、モノクローム、ポートレイトおよびランドスケープ)が選択された場合、比較処理を実施することなく、画質設定処理を終了する。このため、汎用画質設定SINFには、参照値が含まれていなくてもよい。
【0034】
ステップS150では、制御部28は、ステップS110で選択した画質設定情報SINFの参照値(露出補正量)と、撮像装置10の設定値(露出補正量)とを比較する。例えば、制御部28は、参照値と設定値との差(絶対値)が所定値(例えば、0.5EV)より大きいか否かを判定する。ここで、所定値は、“0”に設定されてもよい。例えば、所定値は、画質設定装置100により、0以上の値に設定される。なお、所定値は、撮像装置10の操作部40の操作により変更可能に設定されもよい。
【0035】
参照値と設定値との差が所定値より大きい場合(ステップS150のYes)、制御部28の動作は、ステップS160に移る。一方、参照値と設定値との差が所定値以下の場合(ステップS150のNo)、制御部28は、警告等の処理(ステップS160)を実施することなく、画質設定処理を終了する。
【0036】
ステップS160では、制御部28は、警告処理または自動設定処理を実施する。例えば、制御部28は、図4で説明する環境設定情報に基づいて、警告処理および自動設定処理のいずれかを実施する。ここで、警告処理は、例えば、ユーザに対して警告を発する処理である。制御部28による警告は、警告音により実施されてもよいし、表示部38への警告表示により実施されてもよい。また、自動設定処理は、ステップS110で選択された画質設定情報SINFの参照値を、撮影時の露出補正量として設定する処理である。
【0037】
このように、制御部28は、撮影時の露出補正量として設定されている設定値と画質設定情報SINFの参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する。これにより、この実施形態では、例えば、露出量を補正する撮影を実施する場合でも、撮影画像をユーザの所望する画質にできる。
【0038】
例えば、ステップS160で警告処理が実施される場合、ユーザは、撮影を実施する前に、参照値と設定値との差が所定値より大きいか否かを警告により判断できる。例えば、警告が発せられた場合、ユーザは、画質設定情報SINFの再選択や撮像装置10の露出補正量の再設定を実施する。これにより、この実施形態では、例えば、露出量を補正する撮影を実施する場合でも、撮影時の露出補正量と画質設定情報SINFの露出補正量との差が所定値より大きくなることを防止できる。したがって、この実施形態では、撮影画像をユーザの所望する画質にできる。
【0039】
また、例えば、ステップS160で自動設定処理が実施される場合でも、撮影時の露出補正量と画質設定情報SINFの露出補正量との差が所定値より大きくなることを防止でき、撮影画像をユーザの所望する画質にできる。なお、制御部28は、自動設定処理を実施する際、撮影時の露出補正量を画質設定情報SINFの参照値に変更することを示す確認表示を、表示部38に表示してもよい。あるいは、制御部28は、自動設定処理を実施するか否かを選択するための確認表示を、表示部38に表示してもよい。
【0040】
なお、自動設定処理が実施された場合、制御部28は、カスタム画質設定SINFを使用した撮影が終了したとき、撮影時の露出補正量を元の設定値(自動設定処理が実施される前に撮像装置10に設定されていた露出補正量)に戻す。これにより、例えば、次回の撮影で汎用画質設定SINFが選択された場合でも、ユーザの意図しない露出補正量で撮影されることを防止できる。
【0041】
また、この実施形態では、制御部28は、警告処理または自動設定処理をスポット測光時に実施するか否かを、例えば、図4で説明する環境設定情報を用いて設定できる。したがって、この実施形態では、スポット測光時の警告等が不要な場合、警告処理および自動設定処理をスポット測光時に実施しないように設定できる。この場合、制御部28は、例えば、ステップS120において、スポット測光時に比較処理を実施しないと判定する。そして、制御部28は、スポット測光が実施されるとき(ステップS130のYes)、警告処理および自動設定処理を実施することなく、画質設定処理を終了する。これにより、ユーザの意図しない警告等の不要な処理がスポット測光時に実施されることを防止できる。
【0042】
例えば、多分割測光(マルチパターン測光)や中央部重点測光のときに露出補正を実施する場合では、撮影画像を意図的に暗くあるいは明るくする場合が想定される。このため、撮影時の露出補正量と画質設定情報SINFの露出補正量との差が小さい方が、撮影画像をユーザの所望する画質に近づけることができる。
【0043】
これに対し、スポット測光では、一般的に、適切な露出量(標準的な明るさの露出量)を得るために露出補正が実施される。例えば、画面内の輝度差が大きい場合、多分割測光や中央部重点測光では、適切な露出量が得られないことがある。この場合、スポット測光で撮影範囲の一部を測光し、露出補正を実施することにより、適切な露出量が得られことがある。したがって、スポット測光では、画質設定情報SINFの露出補正量が“0”のとき(標準的な明るさの露出量)、撮影時の露出補正量(適切な露出量にするための露出補正量)と画質設定情報SINFの露出補正量との差が所定値より大きくなる場合がある。この場合、撮影時の露出補正量と画質設定情報SINFの露出補正量との差を小さくする必要がないため、警告等は不要である。
【0044】
なお、制御部28による画質設定処理の動作は、図2の例に限定されない。例えば、制御部28は、ステップS120の処理とステップS130の処理の順番を逆にして実施してもよい。また、制御部28は、ステップS140の後に、ステップS120、S130の処理を実施してもよい。すなわち、ステップS120、S130の処理は、例えば、ステップS160の処理より前に実施されればよい。なお、ステップS150の後にステップS120、S130の処理が実施される場合、制御部28は、ステップS120の処理として、警告処理または自動設定処理をスポット測光時に実施するか否かを判定すればよい。
【0045】
例えば、制御部28は、ステップS150の処理を実施した後に、警告処理または自動設定処理をスポット測光時に実施するか否かを判定する(ステップS120に対応する処理)。警告処理または自動設定処理をスポット測光時に実施する場合、制御部28の動作は、ステップS160に移る。一方、警告処理または自動設定処理をスポット測光時に実施しない場合、制御部28は、測光方式がスポット測光か否かを判定する(ステップS130に対応する処理)。そして、測光方式がスポット測光でない場合、制御部28の動作は、ステップS160に移る。なお、測光方式がスポット測光の場合、制御部28による画質設定処理の動作は、終了する。
【0046】
図3は、図1に示した画質設定装置100の編集画面110の一例を示している。図3の網掛けは、ユーザの操作により選択された画質設定情報SINFを示している。画質設定装置100は、画質設定装置100に保存されている画質設定情報SINFのリストLST、サンプル画像SPL、画質を調整するためのパラメータリストPLS等を編集画面110に表示する。パラメータリストPLSには、画像処理に用いられるパラメータ等が表示される。
【0047】
例えば、ユーザは、編集する画質設定情報SINFをリスト表示された画質設定情報SINFから選択する。画質設定装置100は、例えば、選択された画質設定情報SINFの画質情報QINFが示すパラメータ値を編集画面110のパラメータリストPLSに表示する。例えば、輪郭強調、コントラスト、明るさ、彩度および色合い等のパラメータ値は、スライダーあるいは数値入力により変更可能である。画質設定装置100は、例えば、パラメータリストPLSに表示されたパラメータ値に基づいて、サンプル画像SPLの画像処理を実施する。これにより、画像処理後のサンプル画像SPLが編集画面110に表示される。
【0048】
ユーザは、例えば、輪郭強調、コントラスト、明るさ、彩度および色合い等のパラメータ値をスライダーあるいは数値入力により調整し、調整結果が反映されたサンプル画像SPLを確認することにより、所望のパラメータ値を決定する。なお、クイック調整は、例えば、輪郭強調、コントラストおよび彩度を一括して調整する際に選択される。これにより、ユーザは、輪郭強調、コントラストおよび彩度を、簡単にバランス良く調整できる。また、トーンカーブは、例えば、読み込みおよび保存可能なデータであり、コントラストおよび明るさを同時に調整する際に使用される。
【0049】
画質設定装置100は、例えば、ユーザにより調整されたパラメータ値を示す画質情報QINFをカスタム画質設定SINFとして保存する。この際、画質設定装置100は、パラメータ値の調整の際に参照されたサンプル画像SPLの露出補正量を示す参照値も、カスタム画質設定SINFの一部として保存する。カスタム画質設定SINF等の画質設定情報SINFを撮像装置10で使用する場合、ユーザは、例えば、撮像装置10に転送する画質設定情報SINFを選択し、“エクスポート”ボタンをクリックする。画質設定装置100は、“エクスポート”ボタンのクリックを検出したとき、選択された画質設定情報SINFを画質設定装置100に接続されたメモリカード等に記憶する。そして、画質設定情報SINFを記憶したメモリカード等が撮像装置10に接続されることにより、画質設定情報SINFは、撮像装置10に読み込まれる。
【0050】
すなわち、画質設定装置100は、サンプル画像SPLを使用して調整された画質情報QINFとサンプル画像SPLの露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報SINFをメモリカード等の着脱可能な記憶媒体に記憶する。画質設定情報SINFは、上書き保存されてもよいし、新規に保存されてもよい。なお、調整後の画質情報QINFがスタンダード等の汎用画質設定SINFに上書き保存される場合、サンプル画像SPLの露出補正量を示す参照値は、画質設定情報SINFに保存されない。
【0051】
ここで、サンプル画像SPLは、撮影された画像に変更可能である。例えば、画質設定装置100は、“サンプル画像”ボタンのクリックを検出したとき、サンプル画像SPLを選択するためのダイアログボックスを表示する。これにより、ユーザは、例えば、サンプル画像SPLを、ユーザが撮影した画像に変更できる。
【0052】
このように、画質設定装置100は、画像処理に用いる画質情報QINFを調整するためのサンプル画像SPLを表示し、サンプル画像SPLを使用して調整された画質情報QINFとサンプル画像SPLの露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報SINFを生成する。これにより、この実施形態では、撮影画像をユーザの所望する画質にするための画質設定情報SINFを生成できる。
【0053】
なお、画質設定装置100は、露出量を補正する撮影により得られたサンプル画像SPLを編集画面110に表示したとき、露出補正されたサンプル画像SPLであることを警告してもよい。あるいは、画質設定装置100は、露出量を補正する撮影により得られたサンプル画像SPLに基づいて画質情報QINFが調整された場合、調整後の画質情報QINFを含む画質設定情報SINFの保存時に、画質情報QINFが露出補正されたサンプル画像SPLに基づいて調整されたことを警告してもよい。すなわち、画質設定装置100は、画質設定情報SINFの生成に使用するサンプル画像SPLが露出補正されているとき、警告を発してもよい。これにより、ユーザが露出補正されたサンプル画像SPLの使用を意図していないときに、露出補正されたサンプル画像SPLが使用されることを防止できる。
【0054】
また、画質設定装置100は、“環境設定”ボタンのクリックを検出したとき、撮像装置10の処理内容を選択するためのダイアログボックス(環境設定画面)を表示する。環境設定画面の一例は、図4で説明する。例えば、環境設定画面を介して設定された処理内容を示す環境設定情報は、カスタム画質設定SINFの一部として保存される。したがって、撮像装置10は、例えば、カスタム画質設定SINFを取得することにより、環境設定情報を取得する。
【0055】
図4は、図1に示した画質設定装置100の環境設定画面120の一例を示している。環境設定画面120は、例えば、図3に示した編集画面110の“環境設定”ボタンがクリックされたとき、表示される。例えば、環境設定画面120の“カメラの露出補正値とサンプル画像の露出補正値との差が0.5EVより大きい場合は警告する”は、図2で説明した警告処理に対応する。0.5EVは、例えば、所定値の初期値として設定されている値である。なお、所定値は、数値入力等により変更可能であり、“0”に設定されてもよい。また、環境設定画面120の“カメラの露出補正値をサンプル画像の露出補正値に変更する”は、図2で説明した自動設定処理に対応する。例えば、ユーザは、環境設定画面120のラジオボタンにより、警告処理と自動設定処理とのいずれかを画質設定処理で実施する処理として選択する。
【0056】
また、環境設定画面120の“カメラの測光方式がスポット測光の場合は、上記の警告または変更を実施しない”のチェックボックスにより、スポット測光が実施されるとき、警告処理または自動設定処理を実施するか否かが選択される。例えば、“カメラの測光方式がスポット測光の場合は、上記の警告または変更を実施しない”が選択された場合、撮像装置10の制御部28は、図2に示したステップS120において、スポット測光時に比較処理を実施しないと判定する。また、“カメラの測光方式がスポット測光の場合は、上記の警告または変更を実施しない”が選択されていない場合、撮像装置10の制御部28は、図2に示したステップS120において、スポット測光時に比較処理を実施すると判定する。
【0057】
このように、カスタム画質設定SINFが選択されたときの処理内容は、環境設定画面120を介して設定される。そして、環境設定画面120を介して設定された処理内容は、例えば、“適用”ボタンのクリックにより、環境設定情報として保存される。例えば、画質設定装置100は、画質情報QINFおよび参照値をカスタム画質設定SINFとして保存する際、環境設定情報もカスタム画質設定SINFの一部として保存する。なお、環境設定情報は、カスタム画質設定SINF毎に保存されてもよいし、カスタム画質設定SINFで共通に保存されてもよい。例えば、環境設定情報がカスタム画質設定SINF毎に保存される場合、撮像装置10の制御部28は、選択されたカスタム画質設定SINFの環境設定情報に基づいて、警告処理等の動作を実施する。また、例えば、環境設定情報がカスタム画質設定SINFで共通に保存される場合、環境設定情報は、カスタム画質設定SINFとは別に保存されてもよい。この場合、環境設定情報は、例えば、メモリカードにより、画質設定装置100から撮像装置10に転送される。
【0058】
以上、この実施形態では、撮像装置10は、撮影画像の画質を設定するための画質設定処理を実施する制御部28を有している。制御部28は、警告等により、画質設定情報SINFの生成に使用されたサンプル画像SPLの露出補正量(参照値)と撮影時の露出補正量との差が所定値より大きくなることを防止する。これにより、この実施形態では、撮影画像の出来映えを、画質設定装置100で調整したときのサンプル画像SPLの出来映えに近づけることができる。すなわち、この実施形態では、撮影画像をユーザの所望する画質にできる。
【0059】
図5は、別の実施形態における撮像装置10の制御部28の動作の一例を示している。なお、図5は、画質設定処理のリスト表示までの動作の一例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の撮像装置10では、制御部28の画質設定処理の動作が図1−図4で説明した実施形態と相違する。撮像装置10のその他の構成および動作は、図1−図4で説明した実施形態と同じである。
【0060】
また、画質設定装置100の構成は、図4に示した環境設定画面120を除いて、図1−図4で説明した実施形態と同じである。例えば、この実施形態の環境設定画面120では、警告処理および自動設定処理のいずれかを選択するためのラジオボタン等が図4に示した環境設定画面120から省かれている。また、この実施形態の環境設定画面120では、図4に示した“カメラの測光方式がスポット測光の場合は、上記の警告または変更を実施しない”のチェックボックスの代わりに、例えば、“カメラの測光方式がスポット測光の場合は、表示切り替えを実施しない”のチェックボックスが設けられる。
【0061】
環境設定画面120を介して設定された処理内容は、上述した実施形態と同様に、環境設定情報に反映される。そして、環境設定情報は、例えば、メモリカードにより、画質設定装置100から撮像装置10に転送される。したがって、例えば、“カメラの測光方式がスポット測光の場合は、表示切り替えを実施しない”が選択された場合、撮像装置10の制御部28は、ステップS200において、スポット測光時に比較処理を実施しないと判定する。
【0062】
図5の動作では、例えば、制御部28は、ステップS200が実施される前に、画質設定装置100により生成されたカスタム画質設定SINFを取得する。例えば、制御部28は、画質設定情報SINFを読み込むための処理が選択されたとき、記憶媒体インターフェース36に接続された記憶媒体から画質設定情報SINFを読み込む。そして、制御部28は、読み込んだ画質設定情報SINFを撮像装置10で使用できるように設定する。また、図5の動作では、比較処理が実施されたか否かを示すフラグ等の情報は、例えば、撮像装置10の設定値(露出補正量)が変更される毎にリセットされる。なお、ステップS200−S260は、例えば、制御部28により、メモリ34に記憶された画質設定プログラムに従って実施される。
【0063】
ステップS200では、例えば、制御部28は、スポット測光が実施されるとき、比較処理(例えば、ステップS240)を実施するか否かを判定する。例えば、制御部28は、環境設定情報に基づいて、比較処理を実施するか否かを判定する。スポット測光時に比較処理を実施する場合(ステップS200のYes)、制御部28の動作は、ステップS230に移る。一方、スポット測光時に比較処理を実施しない場合(ステップS200のNo)、制御部28の動作は、ステップS210に移る。
【0064】
ステップS210では、制御部28は、測光方式がスポット測光か否かを判定する。測光方式がスポット測光の場合(ステップS210のYes)、制御部28の動作は、ステップS220に移る。一方、測光方式がスポット測光でない場合(ステップS210のNo)、制御部28の動作は、ステップS230に移る。
【0065】
ステップS220では、制御部28は、画質設定情報SINF(より詳細には、カスタム画質設定SINF)の選択不可の設定を一時的に無効にする。例えば、制御部28は、スポット測光が選択されている期間では、カスタム画質設定SINF(例えば、前回の画質設定処理のステップS250で選択不可に設定されたカスタム画質設定SINF)の選択不可の設定を無効にする。すなわち、制御部28は、スポット測光が実施される場合、カスタム画質設定SINFの参照値と撮像装置10の設定値との差が所定値以下か否かに拘わらず、全ての画質設定情報SINFを選択可能な画質設定情報SINFとして処理する。ステップS220の処理が実施された後、制御部28の動作は、ステップS260に移る。
【0066】
ステップS230では、制御部28は、比較処理(例えば、ステップS240)が実施されていないカスタム画質設定SINFが存在するか否かを判定する。比較処理が実施されていないカスタム画質設定SINFが存在する場合(ステップS230のYes)、制御部28の動作は、ステップS240に移る。一方、比較処理が実施されていないカスタム画質設定SINFが存在しない場合(ステップS230のNo)、制御部28の動作は、ステップS260に移る。すなわち、全てのカスタム画質設定SINFに対して比較処理が実施された後、制御部28の動作は、ステップS260に移る。
【0067】
ステップS240では、制御部28は、カスタム画質設定SINFの参照値(露出補正量)と、撮像装置10の設定値(露出補正量)とを比較する。例えば、制御部28は、参照値と設定値との差(絶対値)が所定値(例えば、0.5EV)以下か否かを判定する。ここで、所定値は、“0”に設定されてもよい。例えば、所定値は、画質設定装置100により、0以上の値に設定される。なお、所定値は、撮像装置10の操作部40の操作により変更可能に設定されもよい。
【0068】
参照値と設定値との差が所定値以下の場合(ステップS240のYes)、制御部28の動作は、ステップS230に戻る。一方、参照値と設定値との差が所定値より大きい場合(ステップS240のNo)、制御部28の動作は、ステップS250に移る。
【0069】
ステップS250では、制御部28は、参照値と設定値との差が所定値より大きいと判定したカスタム画質設定SINFを選択不可に設定する。なお、選択不可に設定されていない画質設定情報SINFは、選択可能に設定されている。すなわち、制御部28は、参照値と設定値との差が所定値以下と判定したカスタム画質設定SINFを選択可能に設定する。このように、制御部28は、設定値との差が所定値以内の参照値を含むカスタム画質設定SINFを、選択可能に設定する。また、汎用画質設定SINFは、例えば、選択可能に常に設定される。このため、汎用画質設定SINFには、参照値が含まれていなくてもよい。ステップS250の処理が実施された後、制御部28の動作は、ステップS230に戻る。
【0070】
ステップS260では、制御部28は、例えば、選択可能な画質設定情報SINFを表示部38にリスト表示する。なお、制御部28は、例えば、選択可能な画質設定情報SINFと選択不可な画質設定情報SINFとを区別して表示部38に表示してもよい。例えば、制御部28は、選択可能な画質設定情報SINFを黒色で表示し、選択不可な画質設定情報SINFを灰色で表示してもよい。すなわち、表示部38は、選択可能な画質設定情報SINFを示す表示を行う。これにより、この実施形態では、設定値との差が所定値より大きい参照値を含む画質設定情報SINFが選択されることを防止できる。
【0071】
このように、この実施形態では、設定値との差が所定値より大きい参照値を含む画質設定情報SINFが選択不可に設定されるため、選択された画質設定情報SINFの参照値と撮像装置10の設定値との差が所定値より大きくなることを防止できる。したがって、この実施形態においても、撮影画像をユーザの所望する画質にできる。例えば、露出量を補正する撮影を実施する場合でも、撮影時の露出補正量と画質設定情報SINFの露出補正量との差が所定値より大きくなることを防止でき、撮影画像をユーザの所望する画質にでる。
【0072】
なお、所定値が“0”の場合、制御部28は、設定値と同じ参照値を含む画質設定情報SINFを、選択可能に設定する。この場合、制御部28は、ステップS240において、参照値と設定値の差を算出することなく、参照値が設定値と同じか否かを判定してもよい。
【0073】
また、この実施形態では、制御部28は、設定値との差が所定値より大きい参照値を含むカスタム画質設定SINFをスポット測光時に選択不可にするか否かを、例えば、環境設定情報を用いて設定できる。したがって、この実施形態では、スポット測光時に全てのカスタム画質設定SINFを選択対象にする場合、参照値と設定値との差が所定値より大きいカスタム画質設定SINFをスポット測光時に選択可能にできる。この場合、制御部28は、例えば、ステップS200において、スポット測光時に比較処理を実施しないと判定する。そして、制御部28は、スポット測光が実施されるとき(ステップS210のYes)、参照値と設定値との差が所定値より大きいカスタム画質設定SINFの選択不可の設定を一時的に無効にする。これにより、この実施形態では、ユーザの意図に反して、カスタム画質設定SINFがスポット測光時に選択不可に設定されることを防止できる。
【0074】
なお、制御部28による画質設定処理の動作は、図5の例に限定されない。例えば、制御部28は、比較処理が実施されたか否かを示すフラグ等の情報を、画質設定処理の動作が実施される毎にリセットしてもよい。なお、制御部28は、比較処理が実施されたか否かを示すフラグ等の情報をリセットする際に、全てのカスタム画質設定SINFを選択可能に設定してもよい。この場合、制御部28は、図5に示した動作からステップS220の処理を省いて実施してもよい。
【0075】
また、例えば、制御部28は、ステップS200の処理とステップS210の処理の順番を逆にして実施してもよい。あるいは、制御部28は、全てのカスタム画質設定SINFに対して比較処理が実施された後(ステップS230のNo)、ステップS200−S220の処理を実施してもよい。なお、ステップS200−S220の処理を実施する前にステップS240の処理が実施される場合、制御部28は、ステップS200の処理として、設定値との差が所定値より大きい参照値を含むカスタム画質設定SINFをスポット測光時に選択不可にするか否かを判定すればよい。
【0076】
例えば、制御部28は、全てのカスタム画質設定SINFに対して比較処理が実施された後(ステップS230のNo)、設定値との差が所定値より大きい参照値を含むカスタム画質設定SINFをスポット測光時に選択不可にするか否かを判定する(ステップS200に対応する処理)。設定値との差が所定値より大きい参照値を含むカスタム画質設定SINFをスポット測光時に選択不可にする場合、制御部28の動作は、ステップS260に移る。
【0077】
一方、設定値との差が所定値より大きい参照値を含むカスタム画質設定SINFをスポット測光時に選択不可にしない場合、制御部28は、測光方式がスポット測光か否かを判定する(ステップS210に対応する処理)。そして、測光方式がスポット測光の場合、制御部28は、画質設定情報SINFの選択不可の設定を一時的に無効にする(ステップS220に対応する処理)。なお、測光方式がスポット測光でない場合、制御部28の動作は、ステップS260に移る。
【0078】
また、制御部28は、ステップS250の処理が実施された後でステップS230の処理に戻る前に、ステップS200−S220の処理を実施してもよい。この場合、制御部28は、選択不可の設定を一時的に無効にするか否か(ステップS220の処理を実施するか否か)を、選択不可のカスタム画質設定SINF毎に選択できる。
【0079】
以上、この実施形態においても、制御部28は、撮影時の露出補正量として設定されている設定値と画質設定情報SINFの参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する。したがって、この実施形態においても、図1−図4で説明した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
なお、上述した実施形態では、撮像装置10がデジタルカメラである場合の例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の撮像装置10は、カメラ付き携帯電話やデジタルビデオ等の電子機器に適用されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
上述した実施形態では、画質設定情報SINFが画質設定装置100から撮像装置10に記憶媒体を介して転送される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、画質設定情報SINFは、画質設定装置100と撮像装置10とをUSBケーブルで接続することにより、画質設定装置100から撮像装置10に転送されてもよい。このように、画質設定情報SINFは、有線通信により、画質設定装置100から撮像装置10に転送されてもよい。あるいは、画質設定情報SINFは、無線通信により、画質設定装置100から撮像装置10に転送されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
上述した実施形態では、環境設定情報が画質設定装置100で生成される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、環境設定情報は、撮像装置10で生成されてもよい。この場合、例えば、図4に示した環境設定画面120は、環境設定情報を生成する際に、撮像装置10の表示部38に表示される。これにより、カスタム画質設定SINFが選択されたときの処理内容を、撮像装置10で設定できる。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
上述した実施形態では、画質設定情報SINFが画質設定装置100で生成される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、撮像装置10は、図3および図4で説明した画質設定装置100の機能を有してもよい。これにより、撮像装置10は、画質設定情報SINFを生成できる。なお、撮像装置10は、サンプル画像SPLを使用して画質設定情報SINFを生成してもよいし、サンプル画像SPLを使用せずに画質設定情報SINFを生成してもよい。例えば、撮像装置10は、サンプル画像SPLを使用せずに画質設定情報SINFを生成する場合、撮像装置10に設定されている露出補正量を、画質設定情報SINFの参照値として保存する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
上述した実施形態では、参照値が汎用画質設定SINFに含まれない例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、参照値は、汎用画質設定SINFに含まれてもよい。この場合、汎用画質設定SINFの参照値の初期値は、例えば、“0”に設定される。参照値が汎用画質設定SINFに含まれる場合、撮像装置10は、汎用画質設定SINFの参照値と撮像装置10の設定値とを比較し、カスタム画質設定SINFと同様の処理を実施してもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
上述した実施形態では、撮影画像データIMGDATAが記憶媒体に記憶される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、撮影画像データIMGDATAを圧縮した圧縮画像データが記憶媒体インターフェース36を介して記憶媒体に記憶されてもよい。この場合、例えば、撮像装置10は、撮影画像データIMGDATAをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等で圧縮する圧縮部を有する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、RAW画像データRAWDATAに戻せない形式(例えば、JPEG形式)で画像データが記憶媒体に記憶される場合、撮影後に画質を調整することが困難であるため、撮影時の画質設定がさらに重要である。撮影時の露出量を補正する露出補正量とサンプル画像SPLの露出補正量との差が大きくなることを防止できる撮像装置10では、撮影後に画質を調整することなく、ユーザの所望する画質の撮影画像を生成できる。
【0086】
上述した実施形態では、スポット測光時の処理を選択する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、制御部28は、図2に示した動作からステップS120の処理を省いて実施してもよいし、図5に示した動作からステップS200の処理を省いて実施してもよい。この場合、制御部28の動作を簡易にできる。あるいは、制御部28は、図2に示した動作からステップS120、S130の処理を省いて実施してもよいし、図5に示した動作からステップS200−S220の処理を省いて実施してもよい。この場合、制御部28は、スポット測光時でも、測光方式がスポット測光でない場合と同じ処理を実施する。この場合、制御部28の動作をさらに簡易にできる。
【0087】
上述した図1−図4で説明した実施形態では、参照値と設定値とを比較した結果に応じて自動設定処理が実施される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、制御部28は、選択された画質設定情報SINFの参照値と撮像装置10の設定値とを比較せずに、選択された画質設定情報SINFの参照値を撮影時の露出補正量として設定してもよい。この場合、制御部28は、例えば、図2に示した動作からステップS150の処理を省いて実施する。なお、比較処理(ステップS150の処理)が省かれるため、制御部28は、ステップS120において、例えば、自動設定処理をスポット測光時に実施するか否かを判定する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
上述した図1−図4で説明した実施形態では、カスタム画質設定SINFが選択されたときの処理として警告処理および自動設定処理のいずれかが選択される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、カスタム画質設定SINFが選択されたときの処理として、警告処理、自動設定処理および図5で説明した処理のいずれかが選択されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
撮像装置に利用できる。
【符号の説明】
【0091】
10‥撮像装置;20‥撮影レンズ;22‥撮像素子;24‥アナログ処理部;26‥A/D変換部;28‥制御部;30‥画像処理部;32‥バッファ部;34‥メモリ;36‥記憶媒体インターフェース;38‥表示部;40‥操作部;100‥画質設定装置;110‥編集画面;120‥環境設定画面;BUS‥バス;SPL‥サンプル画像;SYS‥カメラシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に用いる画質情報と前記画質情報に対応する露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報を記憶する記憶部と、
撮影時の露出補正量として設定されている設定値と前記画質設定情報の前記参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する制御部とを備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記画質設定情報を選択するための選択信号を受け、前記選択信号に基づいて選択した前記画質設定情報の前記参照値と前記設定値との差が所定値より大きいとき、警告を発することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記画質設定情報を選択するための選択信号を受け、前記選択信号に基づいて選択した前記画質設定情報の前記参照値と前記設定値との差が所定値より大きいとき、前記選択信号に基づいて選択した前記画質設定情報の前記参照値を撮影時の露出補正量として設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記画質設定情報を使用した撮影が終了したとき、撮影時の露出補正量を元の前記設定値に戻すことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1記載の撮像装置において、
選択可能な前記画質設定情報を示す表示を行う表示部を備え、
前記制御部は、前記設定値との差が所定値以内の前記参照値を含む前記画質設定情報を、選択可能に設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1記載の撮像装置において、
選択可能な前記画質設定情報を示す表示を行う表示部を備え、
前記制御部は、前記設定値と同じ前記参照値を含む前記画質設定情報を選択可能に設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
画像処理に用いる画質情報と前記画質情報に対応する露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報を記憶する記憶部と、
前記画質設定情報を選択するための選択信号を受け、前記選択信号に基づいて選択した前記画質設定情報の前記参照値を撮影時の露出補正量として設定する制御部とを備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
画像処理に用いる画質情報を調整するためのサンプル画像を表示し、前記サンプル画像を使用して調整された前記画質情報と前記サンプル画像の露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報を生成する画質設定装置と、
前記画質設定装置により生成された前記画質設定情報を取得し、取得した前記画質設定情報を選択的に使用する撮像装置とを備えていることを特徴とするカメラシステム。
【請求項9】
請求項8記載のカメラシステムにおいて、
前記画質設定装置は、前記画質設定情報の生成に使用する前記サンプル画像が露出補正されているとき、警告を発することを特徴とするカメラシステム。
【請求項10】
画像処理に用いる画質情報と前記画質情報に対応する露出補正量を示す参照値とを含む画質設定情報を記憶する記憶部を備えた撮像装置に実行させる画質設定プログラムであって、
撮影時の露出補正量として設定されている設定値と前記画質設定情報の前記参照値とを比較し、比較結果に応じた処理を実施する画質設定処理を撮像装置に実行させることを特徴とする画質設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134695(P2012−134695A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284050(P2010−284050)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】