説明

撮像装置、撮像システムおよび撮像装置の制御方法

【課題】 天体望遠鏡などの光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行った場合に、撮影画像に写る天体などの被写体の特定を容易にする。
【解決手段】 撮影している場所の位置、撮影している日時、撮影している方位、撮影している姿勢の情報を外部より受信する通信手段98と、受信した情報および撮影する被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成手段51と、光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録手段50とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天体望遠鏡などの光学機器に取り付けて撮影するのに好適な撮像装置、撮像システムおよび撮像装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では観測したい天体を指定することで、その天体の方角や仰角に自動的に架台が動いて指定した天体を導入する架台を備えた天体望遠鏡が知られている。これにより、従来に比べてより手軽に天体観測や天体撮影が可能になった。
【0003】
例えば、観測時の天体の位置情報を算出する技術として、特許文献1ではGPS受信機を備え、予め記憶してある天体の軌跡データにGPS受信機によって取得した観測位置や観測日時をパラメータとして天体の位置情報を算出する技術やその装置が公開されている。
【0004】
また、特許文献2では特許文献1で公開されている同様の技術を備えた撮像装置において、モニター上に撮像映像と天体の軌跡情報を重ねて情報表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−129083号公報
【特許文献2】特開2008−17223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、撮影した画像に写っている天体を特許文献1で開示された当該装置によって特定することは難しい。
【0007】
また、特許文献2で開示された撮像装置によって撮影する天体の情報を撮像装置のモニターに重畳させて天体撮影を行ったとしても、後に撮影した天体の情報を知るためには、撮影日時や方角、仰角などの撮影情報をメモに記録するという手間が必要であった。
【0008】
さらに特許文献2で開示された撮像装置を望遠鏡に取り付けて撮影した場合、モニターに表示される実際の撮像映像と天体の軌跡情報は一致しない。このため撮影した画像に写っている天体が所望のものであるかを確認することが難しいという問題があった。
【0009】
(発明の目的)
本発明の目的は、天体望遠鏡などの光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行った場合に、撮影画像に写る天体などの被写体の特定を容易にすることができる撮像装置、撮像システムおよび撮像装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮影している場所の位置、撮影している日時、撮影している方位、撮影している姿勢の情報を外部より受信する通信手段と、受信した前記情報および撮影する被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成手段と、光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、前記撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天体望遠鏡などの光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行った場合に、撮影画像に写る天体などの被写体の特定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る撮像システムにおける撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における光学機器、架台装置、架台制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1における撮像装置、架台装置、架台制御装置の関係を示す図である。
【図4】実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】屈折型鏡筒に実施例2の撮像装置を取り付けた姿勢状態を説明する図である。
【図7】ニュートン反射型鏡筒に実施例2の撮像装置を取り付けた姿勢状態を説明する図である。
【図8】実施例2の撮像装置を望遠鏡に所望な姿勢で取り付けるための仕組みを説明する図である。
【図9】実施例2の撮像装置を天頂プリズム有りの望遠鏡に所望な姿勢で取り付けるための仕組みを説明する図である。
【図10】実施例2の撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1および2に記載される通りである。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る撮像システムにおける撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、撮像装置100は光学像を電気信号に変換する撮像素子14を備え、撮像素子14の直前にはレンズユニット150が着脱可能となっている。レンズユニット150は、変倍レンズ(以下、ズームレンズ)10、焦点調節レンズ(以下、フォーカスレンズ)12、絞りシャッタユニット13、これらを制御する電気信号の接点を備えるコネクタ96で構成される。コネクタ96は、撮像装置100に備わるレンズ制御用の電気接点を備えるコネクタ97に着脱可能に接続される。
【0016】
また、撮像装置100は、撮像素子14のアナログ信号出力を増幅して撮像感度を設定するゲインアンプ120、撮像素子14のアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器15を備える。
【0017】
また、撮像装置100は、撮像素子14、A/D変換器15、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路18を備える。タイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0018】
また、撮像装置100は、画像処理回路20を備える。画像処理回路20は、A/D変換器15からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0019】
また、画像処理回路20は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が、露出制御回路40、焦点調節回路42に対して制御を行うTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理を行っている。
【0020】
更に、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0021】
メモリ制御回路22は、A/D変換器15、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長回路32を制御する。
【0022】
A/D変換器15のデータが、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器15のデータが、直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
【0023】
撮像装置100の全体を制御するシステム制御回路50は、メモリ制御回路22を介してTTLによって測光された輝度レベルを基に、適正露出値を演算して露出制御回路40を制御するものである。
【0024】
画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器26を介してTFT、LCD等からなる画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能を実現することが可能である。
【0025】
メモリ30は、撮像した静止画像や動画像を格納するためのものであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、連写撮像の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。
【0026】
また、メモリ30は、システム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。メモリ30は、被写体像を変倍する変倍手段としてのズーム制御回路44の動作に対する焦点調節回路42の相対情報を記憶する記憶手段として機能する。
【0027】
適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮伸長回路32は、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
【0028】
メモリ65は、システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶する。露出制御回路40は、絞り機能とシャッタ機能を備える絞りシャッタユニット13や撮像感度を設定するゲインアンプ120を制御する。
【0029】
焦点調節回路42は、フォーカスレンズ12のフォーカシングを制御する。ズーム制御回路44は、ズームレンズ10のズーミングを制御する。
【0030】
露出制御回路40、焦点調節回路42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50がこれら露出制御回路40、焦点調節回路42に対して制御を行う。
【0031】
表示部63は、システム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示パネル、スピーカー等で構成される。表示部63は、撮像装置100の操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置される。
【0032】
電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリ66は、例えばフラッシュROM等が用いられる。
【0033】
次に、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部材60、61及び操作部62は、スイッチやダイアルで構成される。ここで、これらの具体的な説明を行う。
【0034】
シャッタスイッチSW1(60)は、不図示のシャッタスイッチ部材の操作途中でオンとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の撮像準備動作開始を指示する。
【0035】
シャッタスイッチSW2(61)は、不図示のシャッタスイッチ部材の操作完了でオンとなり、一連の処理の開始を指示する。
【0036】
一連の処理とは、撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器15、メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込む露光処理であり、さらに画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理である。また、一連の処理とは、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200に画像データを書き込む記録処理である。
【0037】
システム制御回路50には撮影情報生成回路51が備えられ、撮影情報(シャッタ速度、絞り値、感度、ホワイトバランス、撮影モードなどの他に撮影時の場所(経緯度)や方角、撮像装置100の姿勢、撮影した被写体に関連する情報など)が生成される。ここで生成された撮影情報は画像データ内或いは画像データに関連付けられたファイルに記録される。
【0038】
各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部62は、オートモードやプログラムモード、絞り優先モード、シャッタ速度優先モードのほか、夜景モード、子供撮影モード、花火撮影モード、水中撮影モード等、様々な撮影シーンに応じた設定を選択できるようになっている。
【0039】
電源制御回路80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り換えるスイッチ回路等により構成されている。そして、電源制御回路80は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量、電源電圧の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0040】
電源85は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる。電源制御回路80と電源85は、コネクタ82、84を介して接続される。
【0041】
インタフェース90及びコネクタ92は、記録媒体200を接続するために用意されている。
【0042】
また、インタフェース93は他の機器と接続して通信を行うために用意され、コネクタ94を介して直接あるいは通信ケーブルで接続して他の機器と通信を行う。
【0043】
無線通信部98は撮像装置100の内部でインタフェース93に接続され、他の機器と無線によって通信を行う。撮像装置100が天体望遠鏡の接眼部に取り付けられて天体を撮影する場合には、無線通信部98は外部より、例えば後述するように天体望遠鏡の架台装置または架台制御装置より天体望遠鏡の位置、日時、方位、姿勢の情報を無線により受信する。無線通信部98が通信手段を構成する。
【0044】
記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、撮像装置100とのインタフェース(I/F)204、撮像装置100のコネクタ92と接続を行うコネクタ206を備えている。
【0045】
図2は、実施例1の撮像システムにおける光学機器及び架台装置の概略構成を示すブロック図である。
図2において、光学機器500は対物レンズ501と接眼レンズ502で構成され、接眼レンズ502は交換することで倍率や視野角を任意に変更することが可能である。また、接眼部には撮像装置接続コネクタ503を介して図1の撮像装置100がレンズユニット150と共に接続可能な構成になっている。
【0046】
あるいは接眼レンズ502を取り外し、撮像装置接続コネクタ503を介して図1の撮像装置100からレンズユニット150を取り外してコネクタ97で接続可能である。
【0047】
架台装置400にはGPSアンテナとレシーバで構成されたGPSセンサ403を備え、GPSセンサ403によって検出される架台装置400の位置を示す経緯情報や日時情報を取得する。さらに光学機器500の光軸方向の方位を検出する方位センサ404と光学機器500の仰角を検出する加速度センサ405を備える。GPSセンサ403が位置検出手段と日時検出手段を、方位センサ404が方位検出手段を、加速度センサ405が姿勢検出手段を、それぞれ構成する。
【0048】
また、架台装置400は架台を制御するピッチ角モータ401とヨー角モータ402を備え、光学機器500を自在な姿勢に支持可能な装置であり、架台制御装置300によって姿勢制御される。
【0049】
架台制御装置300は架台システム制御回路301の指示により架台装置400のピッチ角モータ401をピッチ角制御回路306で制御し、ヨー角モータ402をヨー角制御回路305で制御する。これにより所望な姿勢に光学機器500を向けることが可能になるだけでなく、天体の日周運動に合わせて所定の天体を自動追尾することも可能である。
【0050】
操作部309は架台装置400の姿勢を任意に制御するための操作やLCDなどの表示部310に表示される天体を選択して、所望な天体を導入および追尾するための操作に使用される。
【0051】
また、架台システム制御回路301は架台装置400の姿勢情報を取得して光学機器500の光軸上にある被写体の検出を行う。
【0052】
メモリ307は架台システム制御回路301の作業領域として使用することが可能であり、各種制御プログラムや天体の軌跡データベース304を記憶する手段として機能する。
【0053】
不揮発性メモリ308は架台システム制御回路301の制御プログラムやデータが記憶され、電源ON時にプログラムやデータがメモリ307に展開される。
【0054】
天体軌跡データベース304は、観測地点の経緯と日時をパラメータとして観測可能な天体の方角と仰角を記録した情報を含むものであり、メモリ307に記憶されている。
【0055】
架台システム制御回路301の姿勢状態演算回路302は、架台装置400に取り付けられた方位センサ404で得られる方位情報、また加速度センサ405によって得られる仰角方向の姿勢情報によって光学機器500の姿勢状態を演算する。
【0056】
観測天体判定回路303ではGPSセンサ403によって得られる経緯情報と日時情報と姿勢状態演算回路302で演算された姿勢情報とを合わせて天体軌跡データベース304の情報を元に観測中の天体を判定する。
【0057】
架台システム制御回路301で検出された架台装置400の位置や姿勢の情報や被写体となる天体の情報はインタフェース(I/F)311で他の機器とコネクタ312を介して通信を行い、データを送信する。
【0058】
あるいは、インタフェース311に接続される無線通信部313によって、他の機器と無線で通信を行い、データ送信を行うように構成される。
【0059】
架台制御装置300は架台装置400と一体構成でも良いし、あるいは通信ケーブルなどを介して接続される構成でもよい。
【0060】
電源制御回路314は、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。電源制御回路314と電源317は、コネクタ315、316を介して接続される。
【0061】
まずは図2の架台装置400に取り付けられた光学機器500の接眼部に図1の撮像装置100を取り付けた場合の構成について説明する。
【0062】
以下では光学機器500を天体望遠鏡として説明する。
天体望遠鏡などの接眼部に、撮像装置100を取り付けて天体撮影を行うとき、撮影画像に写る天体画像を見ても、どこにある星なのかを特定することは難しい。そこで、撮影画像に関連付けて保存される撮影情報に撮影時の姿勢情報(撮影時の仰角、撮影した方角、撮影場所の経緯度、撮影時刻、撮影した天体名などの被写体情報)を記録する。
【0063】
図3は天体望遠鏡500Aの架台装置に姿勢状態を検出するための架台制御装置300を備えた構成を示す図である。架台装置の種類に応じて異なる回転軸をモータ制御することで、架台装置は所望な姿勢になるように駆動される。図3(a)は架台装置として赤道儀架台400Aを用いた例であり、図3(b)は架台装置として経緯台400Bを用いた例である。
【0064】
そして、架台制御装置300と撮像装置100の間で、無線あるいは通信ケーブルなどを介して通信を行い、撮像装置100の撮影時に架台制御装置300と通信して天体撮影情報を取得する。
【0065】
図4は天体望遠鏡に取り付けられた撮像装置100で撮影を行ったときに、天体望遠鏡の架台装置400から撮影時の姿勢情報を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。この処理は撮像装置100のシステム制御回路50が主に行う。
【0066】
架台制御装置300が電源ONされると、撮影場所の位置情報と測定日時をGPSセンサ403から取得する。続いて方位センサ404で天体望遠鏡の光軸方向の方位を検出開始し、加速度センサ405で天体望遠鏡の光軸の水平方向に対する仰角を検出開始する。
【0067】
撮像装置100にて撮影が開始されると(S100)、架台制御装置300と通信して上記の姿勢情報が検出可能な状態であるかを確認する(S101)。上記の姿勢状報が検出可能な状態であると返信されたら(S101でYes)、撮像装置100は架台制御装置300から撮影時の姿勢情報を取得し(S102)、撮影画像に姿勢情報を関連付けて記録する(S103)。一方、上記姿勢状態が検出可能な状態ではないと返信があった場合(S101でNo)、撮像装置100はそのまま撮影画像を記録して撮影終了となる。ステップS103を実行するシステム制御回路50は情報記録手段に相当する。
【0068】
ここまででは、架台装置400にはGPSセンサ403や方位センサ404、加速度センサ405が備わり、電源ONと共に天体望遠鏡の姿勢情報が取得可能になる構成で説明してきた。しかし、これらのセンサ類が備わっていない構成であっても、例えば異なる複数の既知の天体を望遠鏡視野に導入し、それぞれの天体ごとに架台装置の姿勢状態を検出することで天体の軌跡データベースを利用して架台装置が設置された場所の経緯度や方角、仰角を算出するような初期化操作を必要とする架台装置であっても良い。
【実施例2】
【0069】
実施例1における撮像装置100は、GPSセンサ、方位センサ、加速度センサを備えておらず、これらの情報を架台装置400から取得している。これに対して、GPSセンサ、方位センサ、加速度センサを撮像装置に有するのが、本発明の実施例2である。図5は実施例2に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【0070】
図5の撮像装置110は図1の撮像装置100の構成に加えてGPSアンテナとレシーバで構成されたGPSセンサ55を備え、GPSセンサ55によって検出される位置を示す経緯情報や日時情報を取得する。さらに撮像装置110の光軸方向の方位を検出する方位センサ56と撮像装置110の仰角を検出する加速度センサ57を備え、これらのセンサ情報を元に被写体となる天体を判定する観測天体判定回路53を備える構成となっている。
【0071】
天体軌跡データベース250は、観測地点の経緯と日時をパラメータとして観測可能な天体の方位と仰角を記録した情報がメモリ65に記憶されている。
【0072】
システム制御回路50の撮影姿勢演算回路52は、方位センサ56で得られる方位情報、また加速度センサ57によって得られる仰角方向の姿勢情報によって撮像装置110の姿勢情報を演算する。
【0073】
観測天体判定回路53ではGPSセンサ55によって得られる経緯情報と日時情報と撮影姿勢演算回路52で演算された姿勢情報とを合わせて天体軌跡データベース250の情報を元に観測中の天体を判定する。
【0074】
また、撮像装置110を非図示の光学機器の接眼部に接続して撮影を行う場合、取り付ける光学機器の光軸と撮像装置110の光軸が交差する交差関係であったとき、撮影姿勢演算回路52では光学機器の接眼部の構成に合わせて撮像装置110の姿勢情報に補正を行う。撮影姿勢演算回路52は姿勢補正手段に相当する。
【0075】
ただし、撮影姿勢演算回路52で補正を行うためには、光学機器に対して撮像装置110を所定の姿勢で取り付けた状態で姿勢情報を取得する必要がある。
【0076】
前記所定の姿勢は光学機器の接眼部の構成に応じて異なるため、表示部63に光学機器の接眼部の構成条件を表示して、撮像装置110を取り付ける光学機器の構成を取り付け姿勢選択部68で選択する。
【0077】
取り付け姿勢選択部68で選択した光学機器の接眼部に応じて、取り付け姿勢指示回路54によって表示部63に撮像装置110の取り付け姿勢の指標を表示する。
【0078】
そして、取り付け姿勢の指標に合わせて撮像装置110を光学機器に固定することで、撮像装置110で検出した姿勢情報を光学機器の姿勢情報に補正することが可能となる。
【0079】
上記ではGPSセンサ55を用いて日時情報を取得するとの説明を行っているが、撮像装置110内のカレンダーや時計機能から情報を取得しても良い。さらに、図1や図5のレンズユニット150は着脱可能であると説明しているが、撮像装置に固定されたレンズユニットであっても良い。
【0080】
次に撮像装置110を天体望遠鏡の接眼部に取り付けた場合の処理について説明する。
【0081】
図6のように天体望遠鏡500Bの光軸と接眼部に取り付けた撮像装置110の光軸が同一方向になる関係と図7のように天体望遠鏡500Cの光軸が接眼部に取り付けた撮像装置110の光軸と交差する交差関係の天体望遠鏡が存在する。
【0082】
図6に示される望遠鏡は一般に屈折型天体望遠鏡といい、図6(a)は屈折型天体望遠鏡500Bに撮像装置110を取り付けた状態を上から見た図である。図6(b)は屈折型天体望遠鏡500Bに撮像装置110を取り付けた状態を側面から見た図である。
【0083】
このとき、図5の撮像装置110に備わる撮影姿勢演算回路52で検出した方位δや仰角θは屈折型天体望遠鏡500Bの方位や仰角と一致するため、検出された姿勢情報に補正は必要としない。
【0084】
一方、図7に示される望遠鏡は一般にニュートン式の反射型天体望遠鏡500Cといい、鏡筒の奥には放物曲面をもつ主鏡が設置されている。この主鏡で反射された光は鏡筒先端部に光軸に対して45度傾いて設置された副鏡で反射し、光軸に対して90度傾いた接眼部に光を導くような構成となっている。図7(a)はニュートン反射型天体望遠鏡500Cに撮像装置110を取り付けた状態を上から見た図である。図7(b)はニュートン反射型天体望遠鏡500Cに撮像装置110を取り付けた状態を側面から見た図である。
【0085】
図7のような構成のニュートン反射型天体望遠鏡500Cの場合、撮像装置110で検出した方位を補正する必要がある。
【0086】
図7(a)を例に説明するとニュートン反射型天体望遠鏡500Cの光軸方向に対し接眼部の光軸は90度交差している。この場合撮像装置110は北に対してωの方角に向いていると検出する。そのため、ニュートン反射型天体望遠鏡の光軸方向を基準とした方位に補正する必要がある。
【0087】
補正済み方位=北に対する角度ω−光軸の交差角度90°
しかし、光学機器の仰角を検出するためには、撮像装置110の水平軸とニュートン反射型天体望遠鏡500Cの光軸が同一方向になるように固定されなければならない。
【0088】
図8は図5の撮像装置110を図7のようなニュートン反射型天体望遠鏡500Cの接眼部に取り付ける際、撮像装置110の水平軸と天体望遠鏡の光軸が同一方向になるように固定する方法の一例について説明する図である。
【0089】
撮像装置110には加速度センサ57を備え、重力加速度を検出することで撮像装置110の傾きを検出可能とする。
【0090】
加速度センサ57の軸方向を図8(a)に示すように定義すると、撮像装置110の光軸方向を中心とした回転方向の傾きは、加速度センサ57のX−Y平面上の重力加速度方向の傾きで表される。図5の取り付け姿勢指示回路54によって表示部63には撮像装置110の傾き度合いが視覚的に確認出来るような指標が表示されるようになっている。
【0091】
以下では図7のような構成のニュートン反射型天体望遠鏡の接眼部に撮像装置110を固定する方法を説明する。
【0092】
図5の取り付け姿勢選択部68で図7のような構成のニュートン反射型天体望遠鏡を選択すると、最初に図8(a)のように天体望遠鏡の鏡筒の上に撮像装置110を置いて、天体望遠鏡の鏡筒の傾きを測定するように促される。そして天体望遠鏡の傾き測定が終了すると、次に撮像装置110の表示部63には天体望遠鏡の接眼部に撮像装置110を固定するための指標が表示され、図8(b)のようにこの指標が所定の状態(中心)を示した姿勢で天体望遠鏡の接眼部に固定する。
【0093】
これにより、図7のような構成のニュートン反射型天体望遠鏡であっても、撮像装置110が正しく仰角を検出可能な状態となる。ただし、撮像装置110が検出する仰角は加速度センサのZ−Y平面上の重力加速度方向の傾きで表される。しかし取り付け姿勢選択部68でニュートン反射形天体望遠鏡を選択して撮像装置110を天体望遠鏡の接眼部に固定した場合、重力加速度はX−Y平面上の傾きで仰角を表すように加速度センサ57の検出軸を変更する。
【0094】
図9は屈折型天体望遠鏡500Bの接眼部に光軸を曲げて天頂付近の天体を観察しやすくする装置が取り付けられている場合において、撮像装置110を固定する方法を説明する。以下では天頂付近の天体を観察しやすくする装置を天頂プリズム600として説明する。
【0095】
図5の取り付け姿勢選択部68で図9(a)のような屈折型天体望遠鏡に天頂プリズム有りの構成を選択すると、図9(c)の接眼部の側から見た図のように撮像装置110を天頂プリズム600に取り付けたまま左右方向に動かしてZ−X平面で水平となる姿勢に固定する。このとき水平を示す指標は図5の取り付け姿勢指示回路54によって撮像装置110の表示部63に表示される(図9(b))。
【0096】
この指標を見て撮像装置110が水平となる姿勢位置で屈折型天体望遠鏡500Bの接眼部に固定する。
【0097】
これにより、図9(a)のような屈折型天体望遠鏡に天頂プリズム有りの構成であっても、仰角が正しく検出可能な姿勢で撮像装置110を取り付けることが可能になる。ただし、撮像装置110が検出する仰角は加速度センサのZ−Y平面上の重力加速度方向の傾きで表されるが、取り付け姿勢選択部68で屈折型天体望遠鏡に天頂プリズム有りを選択して撮像装置110を屈折型天体望遠鏡500Bの接眼部に固定した場合、Z−Y平面上の重力加速度方向の傾きに天頂プリズム600の角度分εだけ補正して仰角を算出する必要がある。
【0098】
仰角=(180−ε)+(Z−Y平面上の重力加速度方向の傾き)
上記のように、図5の取り付け姿勢選択部68で選択された天体望遠鏡の構成によって、撮影姿勢演算回路52にて必要に応じた姿勢情報に補正を行う。
【0099】
図10は図5の撮像装置110を望遠鏡の種類に応じて所望な姿勢で取り付けるための処理の手順の一例を示す図である。
【0100】
以下では撮像装置110を天体望遠鏡の接眼部に取り付けて撮影するための撮影準備について説明する。最初に図5の取り付け姿勢選択部68で取り付ける天体望遠鏡の種類を選択する。
【0101】
まず、取り付ける天体望遠鏡が屈折型か反射型かを選択する(S200)。屈折型であった場合は(S200でYes)次に天頂プリズム600が取り付けられているかを選択する(S201)。接眼部に天頂プリズム600が取り付けられていない場合は(S201でNo)、撮像装置110を天体望遠鏡の接眼部に取り付けて撮影準備は終了となる。
【0102】
接眼部に天頂プリズム600が取り付けられている場合は(S201でYes)、撮像装置110の表示部63に撮像装置110が水平な姿勢になったことを示す指標を表示し(S202)、この指標に合わせて撮像装置110を天体望遠鏡の接眼部に固定する。そして、図5の取り付け姿勢指示回路54で決められた姿勢に応じて撮影姿勢演算回路52にて姿勢情報に補正を行い(S203)、撮影準備を終了する。
【0103】
取り付ける天体望遠鏡が反射型であった場合は(S200でNo)、図8(a)のように天体望遠鏡の鏡筒の上に撮像装置110を置いて天体望遠鏡の傾きを測定する(S204)。次にステップS204の測定結果を元に撮像装置110の表示部63に図8(b)のように天体望遠鏡の接眼部に取り付ける角度を示す指標を表示して(S205)撮像装置110を固定するように促す。これら一連の操作によって所望な姿勢で撮像装置110を固定すると、撮像装置110が検出する方角を天体望遠鏡の光軸方向に合わせて90度補正を行い(S206)、さらに撮像装置110が検出する仰角を天体望遠鏡の仰角に合わせて、X−Y平面の傾きから算出するように重力加速度の検出軸を変更する(S207)ことで、撮影準備を終了する。
【0104】
また、図示しないが、天体望遠鏡の種類として代表的な2種類について説明しているけれども、異なる光学構成の天体望遠鏡に対しても異なる天体望遠鏡として選択肢を増やしてもよい。
【0105】
さらに、図示しないが、図10で説明した撮影準備の処理フローにおいて、天体望遠鏡の接眼部の構成に応じて(例えば天頂プリズムや正立プリズムなど)撮影画像を自動的に反転または回転などを行い、被写体が所望な向きとなるように撮影画像を記録しても良い。
【0106】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
50 システム制御回路
51 撮影情報生成回路
52 撮影姿勢演算回路
54 取り付け姿勢指示回路
55 GPSセンサ
56 方位センサ
57 加速度センサ
98 無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影している場所の位置、撮影している日時、撮影している方位、撮影している姿勢の情報を外部より受信する通信手段と、
受信した前記情報および撮影する被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成手段と、
光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、前記撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影している場所の位置を検出する位置検出手段と、
撮影している日時を検出する日時検出手段と、
撮影している方位を検出する方位検出手段と、
撮影している姿勢を検出する姿勢検出手段と、
光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、検出された姿勢を前記光学機器の種類によって補正する姿勢補正手段と、
検出された前記位置、前記日時、前記方位、前記姿勢補正手段により補正された姿勢、撮影した被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成手段と、
前記撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記光学機器の接眼部の光軸が前記光学機器の光軸に対して交差する関係にあるとき、
前記姿勢補正手段は、前記光学機器の光軸と前記光学機器の接眼部の光軸における交差関係に応じて検出された前記姿勢を補正することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光学機器の接眼部に前記撮像装置を取り付ける姿勢を選択する取り付け姿勢選択手段と、
前記取り付け姿勢選択手段によって選択された取り付け姿勢を表示手段により指示する取り付け姿勢指示手段とをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
光学機器の架台装置と撮像装置からなる撮像システムであって、
前記架台装置は、
撮影している場所の位置を検出する位置検出手段と、
撮影している日時を検出する日時検出手段と、
撮影している方位を検出する方位検出手段と、
撮影している姿勢を検出する姿勢検出手段と、
前記位置検出手段と前記日時検出手段と前記方位検出手段と前記姿勢検出手段によって検出された情報を前記撮像装置へ送信する通信手段とを有し、
前記撮像装置は、
前記架台装置から送信された前記情報を受信する通信手段と、
前記架台装置から受信した前記情報および撮影する被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成手段と、
前記光学機器の接眼部に前記撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、前記撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録手段とを有することを特徴とする撮像システム。
【請求項6】
撮影している場所の位置を検出する位置検出ステップと、
撮影している日時を検出する日時検出ステップと、
撮影している方位を検出する方位検出ステップと、
撮影している姿勢を検出する姿勢検出ステップと、
光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、検出された前記位置、前記日時、前記方位、前記姿勢の情報と撮影する被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成ステップと、
前記光学機器の接眼部に前記撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、前記撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録ステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項7】
撮影している場所の位置を検出する位置検出ステップと、
撮影している日時を検出する日時検出ステップと、
撮影している方位を検出する方位検出ステップと、
撮影している姿勢を検出する姿勢検出ステップと、
光学機器の接眼部に撮像装置を取り付けて撮影を行うとき、検出された姿勢を前記光学機器の種類によって補正する姿勢補正ステップと、
検出された前記位置、前記日時、前記方位、前記姿勢補正ステップにて補正された姿勢、撮影した被写体の情報を含む撮影情報を生成する撮影情報生成ステップと、
前記撮影情報を撮影画像に関連付けて記録する情報記録ステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−88571(P2013−88571A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228048(P2011−228048)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】