説明

撮像装置、撮像方法及びプログラム

【課題】 近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの場所案内だけでなく適正な撮影構図の指南も行う。
【解決手段】 撮像装置(1)は、景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段(21)、現在位置を取得する現在位置取得手段(17)、前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段(4)、前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段(4)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法及びプログラムに関し、詳細には、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの場所案内を行うことができる撮像装置、撮像方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラを代表とする撮像装置の多機能化が著しく、たとえば、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの位置を地図上に表示できる機能を有するものまで提案されている(下記の特許文献1など参照)。この提案技術によれば、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの場所案内を行うことができ、旅先等でいちいちガイドブックなどを開く必要がないので利便性がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−141432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のとおり、提案技術は、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの場所案内を行うことができるという利点があるものの、たとえば、撮影画像の出来映えの点で未だ改善すべき余地がある。
【0005】
撮影画像の出来映えは、いうまでもなく、その画像を見る人の主観に基づく感想であるが、一般的には、適正露出で且つシャッタブレがない画像のことを「出来映えがよい画像」であると多くの人が評価し、また、それに加えて、さらに構図のよい画像についても「出来映えがよい画像」であると多くの人が評価する。
【0006】
さて、今日の撮像装置における自動撮影モードは前者の2つ、すなわち、適正露出とシャッタブレ防止を高いレベルで達成しているので、初心者であってもこれら2つの条件(適正露出とシャッタブレ防止)を満たした“出来映えがよい画像”を得ることができるが、他の1つの条件である「構図」については当該自動撮影モードでもいまだ対応できていない。
【0007】
したがって、仮に前記の提案技術と公知の自動撮影モードとを組み合わせたとしても、適正露出とシャッタブレ防止を満たした画像が得られるだけであり、結局のところ、構図については依然として撮影者の技量に依存するから、とりわけ初心者にあっては構図の善し悪しも含めた出来映えがよい画像を得にくいという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの場所案内だけでなく、適正な撮影構図の指南も行うことができ、技量にかかわらず構図も含めた出来映えのよい画像を容易に得ることができる撮像装置、撮像方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段と、現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段と、前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段とを備えたことを特徴とする撮像装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の表示手段は、前記第1の表示形態として、複数の景勝地情報に含まれる複数の見本画像をサムネイル表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の表示手段は、各景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置に対して前記第1の距離よりも長い第2の距離以内である複数の景勝地情報を前記第1の表示形態で表示することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1の表示手段は、第2の表示形態として、複数の景勝地情報に含まれる複数の撮影ポイントの位置を地図上に識別表示することを特徴とする請求項1又は請求項2いずれかに記載の撮像装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第1の表示手段は、各景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置に対して前記第2の距離以上である複数の景勝地情報を前記第2の表示形態で表示することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置である。
請求項6に記載の発明は、さらに、撮影方向を検出する撮影方向検出手段を備え、前記第2の表示手段は、いずれかの景勝地または撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となり、かつ、前記撮影方向検出手段によって検出された現在の撮影方向が任意の撮影ポイントから景勝地を臨む方向に向いている場合に、この撮影ポイントから撮影された見本画像を見本画像をスルー画像上に透過表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の撮像装置である。
請求項7に記載の発明は、さらに、現在日時を取得する日時取得手段と、現在の天候に関する情報を取得する天候情報取得手段とを備え、前記記憶手段は、撮影ポイントから撮影された見本画像を異なる日時や天候に対応して複数記憶し、前記第2の表示手段は、前記日時取得手段や天候情報取得手段の取得情報に応じて透過表示する見本画像の絞り込みを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載の撮像装置である。
請求項8に記載の発明は、さらに、撮影した画像に前記日時取得手段や天候情報取得手段の取得情報を付加してネットワーク上のサーバにアップロード可能なアップロード手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかに記載の撮像装置である。
請求項9に記載の発明は、前記記憶手段が記憶する景勝地情報は更に、景勝地の位置とその景勝地を示す代表画像である見本画像を含み、前記第1の表示手段は、前記第1の表示形態で表示する見本画像として、景勝地を示す代表画像である見本画像と、撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像の両方を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれかに記載の撮像装置である。
請求項10に記載の発明は、前記第2の表示手段は、スルー画像上に透過表示する見本画像として、景勝地を示す代表画像である見本画像ではなく、その景勝地の撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像を使用することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
請求項11に記載の発明は、前記第1の表示手段は、いずれかの撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となるまでの間は、撮影ポイントの位置ではなくその撮影ポイントに対応する景勝地の位置に基づく案内表示を行い、いずれかの撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となったときには、景勝地の位置ではなくその景勝地の撮影ポイントの位置に基づく案内表示を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
請求項12に記載の発明は、前記記憶手段は、景勝地の位置情報とその景勝地の撮影ポイントの位置情報とを記憶するとともに、景勝地の位置情報に関連付けした見本画像と、その景勝地の撮影ポイントの位置情報に関連付けした見本画像とを記憶することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
請求項13に記載の発明は、前記記憶手段は、景勝地の位置情報とその景勝地の撮影ポイントの位置情報とを記憶するとともに、景勝地の位置情報に関連付けした見本画像と、その景勝地の撮影ポイントの位置情報に関連付けした見本画像と、さらに、撮影ポイントからの撮影方向の情報とを記録することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
請求項14に記載の発明は、景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶工程と、現在位置を取得する現在位置取得工程と、前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示工程と、前記第1の表示工程により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得工程によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示工程とを含むことを特徴とする撮像方法である。
請求項15に記載の発明は、撮像装置のコンピュータに、景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段、現在位置を取得する現在位置取得手段、前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段、前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段としての機能を与えることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの場所案内だけでなく、適正な撮影構図の指南も行うことができ、技量にかかわらず構図も含めた出来映えのよい画像を容易に得ることができる撮像装置、撮像方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】撮像装置の外観図である。
【図2】撮像装置の内部ブロック図である。
【図3】メモリ21の記憶空間の模式的構造図である。
【図4】地図情報29の一例を示す図である。
【図5】撮影指南情報テーブル41の模式的構造図である。
【図6】場所案内の表示例を示す図である。
【図7】目的地に接近したときの表示例を示す図である。
【図8】撮影ポイントにおける構図指南の説明図である。
【図9】中央制御部19のCPU19aで実行される制御プログラムの要部フローを示す図(1/2)である。
【図10】中央制御部19のCPU19aで実行される制御プログラムの要部フローを示す図(2/2)である。
【図11】制御プログラムの変形例を示す図である。
【図12】制御プログラムの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、撮像装置の外観図である。この図において、撮像装置1は、手持ちに適した形状を有する筐体2の背面にタッチパネル3付の表示部4と、各種の操作ボタン(たとえば、撮影/再生モード切り替えボタン5、メニューボタン6、上下左右操作キー7、実行ボタン8など)とを配置し、また、筐体2の上面にシャッタボタン9や電源スイッチ10などを配置し、さらに、筐体2の前面に撮影レンズ等の光学系11を収めた沈胴式または固定式のレンズ鏡筒12と、ストロボ発光窓13とを配置して構成されている。なお、この図では省略しているが、筐体2の底面などにバッテリや記憶媒体(後述のメモリ21)の脱着蓋が設けられており、さらに、筐体2の底面または側面もしくはその他の任意の場所に外部インターフェース(後述の外部I/F22)用の信号コネクタが設けられている。
【0013】
図2は、撮像装置の内部ブロック図である。撮像装置1は、撮像部14、ストロボ発光部15、操作部16、位置検出部17、方位検出部18、中央制御部19、タッチパネル3、表示部4、メモリI/F(インターフェース)20、メモリ21、外部I/F22、近距離無線部23、及び、電源部24などを備える。
【0014】
撮像部14は、撮影レンズや絞り機構、フォーカス機構及びズーム機構等からなる光学系11と、その光学系11を介して取り込まれた任意の被写体の光学像を2次元的な画像信号に変換して出力するCCDやCMOS等の2次元撮像デバイス24とを含み、中央制御部19からの制御を受けて、光学系11の絞り機構やフォーカス機構及びズーム機構等を駆動しつつ、2次元撮像デバイス24で被写体の静止画や動画または連写画像を撮像して、その撮像データ(以下、画像データ)を中央制御部19に出力する。
【0015】
ストロボ発光部15は、必要に応じ、中央制御部19からの制御を受けて撮影時の補助発光を行う。
【0016】
操作部16は、筐体2の各部に設けられた各種ボタン類(撮影/再生モード切り替えボタン5、メニューボタン6、上下左右操作キー7、実行ボタン8、シャッタボタン9、電源スイッチ10など)を含み、ユーザによる任意のボタン操作に応答し、当該ボタンに対応した操作信号を発生して中央制御部19に出力する。
【0017】
位置検出部17は、撮像装置1の現在位置を検出するためのデバイスであり、典型的にはGPS衛星を利用した位置検出デバイスである。GPSはGlobal Positioning System(全地球測位システム)の略であり、高度約20,000Kmの軌道を1周約12時間かけて周回するおよそ30個のGPS衛星のうち、測位点の上空にある数個の衛星からの信号を受けることにより、その信号から測位点の位置座標(実測座標)を知ることができるシステムである。民間利用の位置検出精度は100m程度といわれているが、DGPS(Differential GPS)を利用すれば10m以内という極めて高い精度が得られる。DGPSは、2つの受信機を使い、それぞれの測位位置の差により正確な位置を求めるというものである。要求される精度に応じてGPS単独またはDGPSと併用すればよい。以下、この位置検出部17をGPS衛星を利用したものとして説明すると、位置検出部17は、中央制御部19からの制御を受けて、GPSアンテナ17aを介して複数のGPS衛星からの信号を受信し、それらの信号に基づいて現在の位置座標を測位し、その測位結果を中央制御部19に出力する。
【0018】
方位検出部18は、撮像装置1の「向き」を検出するためのデバイスであり、たとえば、MI(Magneto−impedance Effect)センサなどの地磁気を利用した電子コンパスを用いることができる。方位検出部18は、東西南北の略水平面内の“撮影方向”、つまり、光学系11の撮影レンズが向いている方向を撮像装置1の「向き」として検出する。なお、この場合の撮影方向は仰角(上向き撮影)や俯角(下向き撮影)を含むものであってもよい。
【0019】
中央制御部19は、コンピュータまたはマイクロコンピュータ(以下、CPU)19a、読み出し専用半導体メモリ(以下、ROM)19bおよび高速半導体メモリ(以下、RAM)19cならびに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素であり、あらかじめROM19bに格納されている制御プログラムをRAM19cにロードしてCPU19aで実行することにより、各種の処理を逐次に実行して、この撮像装置1の全体動作を統括制御する。なお、ROM19bは、書き換え可能な不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリやPROMなど)であってもよい。
【0020】
表示部4は、液晶ディスプレイ等の平面表示デバイスであり、好ましくは、その前面にタッチパネル3を併設したものである。この表示部4は、中央制御部19から適宜に出力される情報を表示し、また、ユーザによってタッチパネル3にタッチ操作が行われた場合に、そのタッチ位置の情報を中央制御部19に出力する。
【0021】
メモリI/F20は、たとえば、メモリ21の規格(SDカード等)に対応した汎用インターフェースであり、中央制御部19とメモリ21との間に位置して相互のデータのやりとりを仲介する。
【0022】
メモリ21は、不揮発性且つ書き換え可能な情報記憶要素であり、たとえば、SDカード等のフラッシュメモリやハードディスク、シリコンディスクなどを用いることができる。このメモリ21は、撮像部14で撮影された画像データなどを記憶保存するほか、後述する地図情報(図4参照)や撮影指南情報テーブル(図5参照)を記憶保存する。
【0023】
外部I/F22は、パーソナルコンピュータなどの外部機器25とのデータインターフェースである。外部機器25は、この外部I/F22と中央制御部19とを介してメモリ21にアクセスすることが可能であり、メモリ21に記憶されている画像データや地図情報及び撮影指南情報テーブルなどを読み出したり、または、メモリ21に書き戻したり、あるいは、新たな画像データや地図情報などをメモリ21に書き込んだりする。
【0024】
近距離無線部23は、たとえば、WiFiやBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を利用して最寄りのアクセスポイント(以下、AP)26に接続し、このAP26を経由してネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットなどの広域ネットワーク)27のサーバ28にアクセスすることができるものであり、必要に応じて、サーバ28から所望のデータをダウンロードしたり、サーバ28にデータをアップロードしたりすることができるものである。このサーバ28の役目や利用の仕方については後で説明する。
【0025】
電源部24は、1次電池または充電可能な2次電池からなるバッテリを含み、このバッテリの電力から撮像装置1の動作に必要な各種電源電圧を発生して、撮像装置1の各部に供給する。
【0026】
図3は、メモリ21の記憶空間の模式的構造図である。この図において、メモリ21は、撮影済みの画像ファイル等を記憶する第1の領域21aを有するほか、さらに、地図情報(図4の地図情報29参照)を記憶する第2の領域21bや、撮影指南情報テーブル(図5の撮影指南情報テーブル41参照)を記憶する第3の領域21cを少なくとも有している。
【0027】
図4は、地図情報29の一例を示す図である。この図において、地図情報29は、一般的にコンピュータの画面に表示して利用することができる、いわゆる電子地図情報である。
【0028】
この地図情報29は、後述するように、近くの景勝地やお勧め撮影ポイントの「場所案内」や、現在地から近くの景勝地やお勧め撮影ポイントへの「道案内」のために用いられる。地図情報29はできるだけ広域なエリア(日本全域等)を網羅していることが望ましいものの、そのような広域の地図情報29は情報量が多く、しかも、メモリ21の記憶容量も有限であることから、現実的には必要なエリアに的を絞った特定地域の地図情報29をその都度入手してメモリ21の第2の領域21bに記憶することになる。
【0029】
図示の地図情報29は特定地域(説明上の架空の地域)のものを示しており、さらに説明の便宜のための、いくつかの道路や、いくつかの景勝地、及び、それらの景勝地ごとのいくつかの撮影ポイントといった地図要素を適所に配置して例示している。具体的には、図示の地図情報29は、複数の道路30〜39の経路と、2つの景勝地K1、K2の位置と、景勝地K1の撮影ポイントK1_P1、K1_P2、K1_P3の位置と、景勝地K2の撮影ポイントK2_P1、K2_P2、K2_P3の位置とを北向きで、且つ、所定縮尺の地図上に表している。
ここで、図中の丸記号(○)は景勝地K1、K2を表し、また、星記号(☆)は、それら景勝地K1、K2の撮影ポイントK1_P1、K1_P2、K1_P3、K2_P1、K2_P2、K2_P3を表している。また、「景勝地」とは、美しいと評判の景観を持つ地形地物などであり、また、「撮影ポイント」とは、地元で有名な、あるいは、プロの写真家などから推薦されたお勧めの撮影場所のことをいう。
【0030】
図5は、撮影指南情報テーブル41の模式的構造図である。この図において、撮影指南情報テーブル41は、複数のフィールド、たとえば、景勝地名フィールド41a、第1の見本画像フィールド41b、景勝地位置情報フィールド41c、撮影ポイント位置情報フィールド41d、撮影方向フィールド41e、及び、第2の見本画像フィールド41fなどで構成されたレコードに、景勝地名や、その景勝地を撮影した画像の見本(以下、第1の見本画像という)、景勝地の位置情報、お勧めの撮影ポイントの位置情報、撮影方向、及び、撮影ポイントから景勝地を撮影した画像の見本(以下、第2の見本画像という)などの撮影指南情報を記憶保存している。なお、第1の見本画像は、景勝地を示すものであれば“画像”に限定されない。たとえば、実際に撮影した画像の代わりにイラストなどを用いてもよい。また、第2の見本画像は、撮影ポイントから景勝地を撮影した状態、つまり、撮影ポイントから景勝地を撮影する際の構図を示すものであればよく、実際に撮影した画像の他にも、合成された画像や被写体の輪郭線を示す画像などを用いてもよい。
【0031】
この撮影指南情報テーブル41と先の地図情報29(図4参照)とは相互に対応している。つまり、図示の例に従えば、地図情報29の一の景勝地K1と同じ名前(便宜的に“K1”)が撮影指南情報テーブル41の景勝地名フィールド41aに記憶保存されており、また、その景勝地K1の位置情報として地図情報29の座標(K1(X,Y))が景勝地位置情報フィールド41cに記憶保存されている。さらに、その景勝地K1の撮影ポイントの位置情報として地図情報29の座標(K1_P1(X,Y)〜K1_P3(X,Y))が撮影ポイント位置情報フィールド41dに記憶保存されている。
同様に、地図情報29の二の景勝地K2と同じ名前(便宜的に“K2”)が撮影指南情報テーブル41の景勝地名フィールド41aに記憶保存されており、また、その景勝地K2の位置情報として地図情報29の座標(K2(X,Y))が景勝地位置情報フィールド41cに記憶保存されている。さらに、その景勝地K2の撮影ポイントの位置情報として地図情報29の座標(K2_P1(X,Y)〜K2_P3(X,Y))が撮影ポイント位置情報フィールド41dに記憶保存されている。
【0032】
撮影指南情報テーブル41には二種類の見本画像(第1の見本画像と第2の見本画像)が記憶保存されている。第1の見本画像は景勝地を撮影した画像の見本であり、その景勝地を最も適切に表すと思われる代表的な画像である。たとえば、富士山の見本画像としてふさわしいものはいろいろあるが、一般的には静岡県側から見た「表富士」が有名とされているので、同県内の適当な場所(たとえば、御殿場市あたり)から撮影した画像を見本画像(第1の見本画像)とすることができる。このように、第1の見本画像は、その景勝地を適切に表すと思われる代表的な画像であればよく、あるいはイラストであってもよい。
これに対して、第2の見本画像は、その景勝地の撮影画像である点で第1の見本画像と共通するものの、特定の撮影ポイントからの撮影画像である点で第1の見本画像と相違する。つまり、第1の見本画像の撮影場所は特に重要でない(代表的な画像やイラストであればよい)が、第2の見本画像の撮影場所は、撮影場所を指南するための情報(撮影指南情報)として欠かせない。第2の見本画像はお勧めの撮影ポイントからの撮影画像だからであり、その第2の見本画像と同じ画像の撮影を希望するユーザに対して、その撮影場所(撮影ポイント)への場所案内を行う必要があるからである。
さらに、第2の見本画像の撮影方向の情報も撮影指南情報に加えておくことが望ましい。お勧めの撮影ポイントにおいて、どの方向から景勝地を撮影したのかが分かると、撮影をスムーズに行うことができるからである。あるいは、1つの撮影ポイントから複数の景勝地が望める場合には、撮影方向を手掛かりにして対象となる景勝地を絞り込むことができるからである。
【0033】
次に、作用を説明する。
まず、はじめに実施形態における撮影指南の流れを順を追って説明する。
図6は、場所案内の表示例を示す図である。(a)に示すように、場所案内中、表示部4の画面は、画面の大部分に割り当てられた地図表示領域4aと、画面の残りの部分(図では右端部の小部分)に割り当てられたサムネイル表示領域4bとに分けられている。地図表示領域4aに所定範囲(地図表示距離R1)の地図情報42を表示し、サムネイル表示領域4bに所要のサムネイル画像43を表示している。
【0034】
ここで、地図表示距離R1とは、地図情報42の横方向サイズに相当する地図上の距離のことをいう。この地図表示距離R1は、多くのユーザが撮影指南のための道案内を希望するであろう代表的な距離(景勝地からの距離)を勘案して設定する。地図表示距離R1は一概に特定できないが、一般的にユーザが道案内を希望するのは景勝地の“近くまで”来たときといえるので、概ね数Km程度の距離と考えて差し支えない。以下、この考え方に従い、地図表示距離R1、つまり、地図情報42の横方向サイズ(R1)を便宜的に2Kmとして説明する。
なお、地図情報42の縦方向サイズについては、表示部4の画面比率(縦横比)から計算で求めることができる。たとえば、4:3の画面比率の場合、地図情報42の縦方向サイズxは、x=(3×R1)/4=(3×2Km)/4=1.5Kmになる。
以上のことから、地図情報42は、メモリ21に格納されている地図情報29(図4参照)を所定のサイズ(R1(=2Km)×1.5Km)で切り出したものに相当する。
【0035】
地図表示領域4aには、位置検出部17で検出されたユーザ(が携行する撮像装置1)の現在位置44(△記号で示す)が表示されている。この現在位置は、選択された景勝地までの道案内など、特別な場合を除いては常に地図の中央に表示させるようにしてもよい。さらに、いくつかの景勝地(K1、K2)と、それらの景勝地の撮影ポイント(K1_P1〜K1_P3、K2_P1〜K2_P3)も表示されている。
また、サムネイル表示領域4bには複数のサムネイル画像43が表示されており、それらのサムネイル画像43は、地図上に表示されている景勝地(K1、K2)の見本画像(第1の見本画像)と、それらの景勝地の撮影ポイント(K1_P1〜K1_P3、K2_P1〜K2_P3)から撮影した見本画像(第2の見本画像)の縮小画像である。
【0036】
ユーザは、サムネイル画像43を見て撮影したい見本画像をタッチパネル3で選択する。たとえば、(b)に示すように、上から3番目のサムネイル画像43を選択したとすると、このサムネイル画像43は、撮影ポイントK1_P2から撮影した景勝地K1の見本画像(第2の見本画像)であるので、その撮影ポイントK1_P2が道案内の目的地になり、目的地(撮影ポイントK1_P2)の表示状態が変化(たとえば、黒塗りつぶしの☆記号などで識別表示)するとともに、撮像装置1の現在位置44から目的地までの経路に沿って道案内線45が引かれる。
【0037】
図7は、目的地に接近したときの表示例を示す図である。(a)はある程度の距離(たとえば、数百m圏内)に近づいたときの表示例、(b)はほぼ目的地付近(たとえば、数十m圏内)に近づいたときの表示例である。目的地に接近する前では、現在位置を地図の中央に表示させることが望ましい場合が多いのに対して、目的地に接近したときには、現在位置と目的地(景勝地または撮影ポイント)とをそれぞれ地図の両端に近い位置に表示させることが望ましい場合が多いので、この場合もそのように表示するものとする。
【0038】
(a)の場合、表示部4の画面には前記の地図情報42よりも狭い範囲の地図情報46が表示されている。この地図情報46の横方向サイズを便宜的に候補一覧距離R2ということにする。この候補一覧距離R2は前記の地図表示距離R1よりも短い、たとえば、500mである。この地図情報46の縦方向サイズxも前記の地図情報42と同様に、画面の縦横比率(4:3)より、x=(3×R2)/4=(3×500m)/4=375mになる。
以上のことから、地図情報46は、メモリ21に格納されている地図情報29(図4参照)を所定のサイズ(R2(=500m)×375m)で切り出したものに相当する。
【0039】
(b)の場合、表示部4の画面には、(a)の地図情報46よりもさらに狭い範囲の地図情報47が表示されている。この地図情報47の横方向サイズを便宜的に構図案内距離R3ということにする。この構図案内距離R3は、(a)の候補一覧距離R2よりも短い、たとえば、20mである。この地図情報47の縦方向サイズxも前記の地図情報42と同様に、画面の縦横比率(4:3)より、x=(3×R3)/4=(3×20m)/4=15mになる。
以上のことから、地図情報46は、メモリ21に格納されている地図情報29(図4参照)を所定のサイズ(R3(=20m)×15m)で切り出したものに相当する。
【0040】
図8は、撮影ポイントにおける構図指南の説明図である。まず、(a)に示すように、表示部4の画面に2つの画像が重畳表示されている。以下、重畳下側、つまり、背面側の画像を背面画像47ということにし、重畳上側、つまり、前面側の画像を前面画像48ということにする。
背面画像47は撮像部14から周期的に出力される画像(ライブビュー画像)であり、この背面画像47は撮像装置1の向き(撮影方向)に応じて内容が変化するが、前面画像48はユーザによって選択されたサムネイル画像43の元になっている見本画像(図7(b)のK1_P2)であって内容が変化しない固定の画像であり、しかも、裏側に位置する背面画像47が透けて見える透過画像である点に特徴がある。
【0041】
この特徴により、撮影時の構図指南を行うことができる。すなわち、(a)に示すように、背景画像47(ライブビュー画像)の上に前面画像48(見本画像)を透過表示すると、その表示を見たユーザは、撮影方向を変えたりズーム倍率を変えたりして両画像(背景画像47と前面画像48)を重ね合わせようとする構図調整を自然に行う。たとえば、(a)の例では、前面画像48(見本画像)の被写体(便宜的に富士山)に対して背景画像47(ライブビュー画像)の同被写体が画面の下に小さく写っているため、ユーザは、撮影方向を若干下にずらすとともに、ズーム倍率を上げる(望遠側に変化させる)という構図調整を自然に行うことになる。
(b)は、構図調整中の画面表示例である。この(b)に示すように、撮影方向を下にずらすと、背景画像47(ライブビュー画像)の被写体が画面の上に移動する。また、ズーム倍率を上げると、背景画像47(ライブビュー画像)の被写体が大きくなる。
【0042】
このような構図調整を行うことにより、最終的に、(c)に示すような構図一致の画像、すなわち、前面画像48(見本画像)の構図に一致した背景画像47(ライブビュー画像)を得ることができ、そのままシャッタボタン9を押すことにより、(d)に示すように、見本画像と構図一致の撮影画像49を得ることができる。
【0043】
このように、実施形態では、景勝地や撮影ポイントまでの道案内を行うことができることに加え、景勝地や撮影ポイントにおける撮影の際に適正な「構図」の指南も行うことができるので、技量にかかわらず、誰でも簡単に出来映えのよい画像を得ることができるという特有の効果が得られる。これは、ライブビュー画像(背面画像47)の上に見本となる画像(前面画像48)を透過表示しているからであり、ユーザは、ライブビュー画像(背面画像47)の構図を、見本となる画像(前面画像48)の構図に合わせるだけで最適な構図調整を行うことができるからである。
【0044】
以下、実施形態の動作をソフトウェア的に説明する。
図9および図10は、中央制御部19のCPU19aで実行される制御プログラムの要部フローを示す図である。
この制御プログラムでは、まず、初期処理として3つの距離(地図表示距離R1、候補一覧距離R2および構図案内距離R3)に任意の値を設定する(ステップS1)。ここでは、説明の便宜上、R1=2Km、R2=500m、R3=20mとする。なお、これらの任意値はシステム固定の規定値であってもよいが、複数の値の中からユーザに選ばせたり、あるいは、ユーザよって任意に設定される値であってもよい。
【0045】
次いで、位置検出部17からの信号を取り込んで撮像装置1の現在位置を取得し(ステップS2)、現在の表示部4の表示モードが「地図表示」であるのか、または、「ライブビュー表示」であるのかを判定する(ステップS3)。「地図表示」モードとは、表示部4の地図表示領域4aに地図情報29を表示するモードのことをいい、「ライブビュー表示」のモードとは、撮像部14から周期的に出力される画像(ライブビュー画像)を表示部4の画面にスルー表示するモードのことをいう。
【0046】
ステップS3の判定結果が「地図表示」の場合は、次のステップS100に進み、一方、ステップS3の判定結果が「ライブビュー表示」の場合は、表示部4にライブビュー画像を表示(サムネイル表示領域4bは残す)し(ステップS7)、撮影指示を判定して(ステップS8)、その判定結果がYESの場合に撮影記録を行い(ステップS8)、ステップS101に進む。
【0047】
ステップS100では、現在位置を中心とした地図表示距離R1で示される範囲の地図を表示し(ステップS4)、同時に、現在位置から地図表示距離R1以内に存在する景勝地または景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像を検索し(ステップS5)、検索された見本画像に対応する複数の景勝地または複数の景勝地の撮影ポイントを地図上に識別表示するようにして一覧表示する(ステップS6)。距離R1以内の景勝地または景勝地の撮影ポイントが検索されなかった場合(検索ヒットしなかった手場合)にはステップS6の識別表示はスキップする。ステップS100の表示例は先の図6である。
【0048】
ステップS101では、現在位置から候補一覧距離R2以内に存在する複数の景勝地または複数の景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像を検索し(ステップS10)、検索された複数の見本画像を縮小し、サムネイル表示領域4bに一覧表示(ステップS11)した後、ステップS102のステップS12に進む。距離R2以内の景勝地または景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像が検索されなかった場合(検索ヒットしなかった手場合)にはステップS11の一覧表示はスキップする。ステップS101の表示例は先の図7(a)である。
【0049】
ステップS102では、現在位置から構図案内距離R3以内に存在する景勝地または景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像を検索し(ステップS12)、該当する見本画像があるか否かを判定する(ステップS13)。そして、見本画像がなければ撮影指示の判定を行い(ステップS16)、一方、見本画像があれば、先の図8(a)で示したように、最も近い撮影ポイントに対応する見本画像を構図案内としてライブビュー画像上に透過表示し(ステップS15)、撮影指示の判定を行う(ステップS16)。距離R3以内の景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像が検索されなかった場合(検索ヒットしなかった手場合)にはステップS15の透過表示はスキップする。
【0050】
そして、撮影指示でなければ、撮影の終了操作を判定し(ステップS18)、終了操作でなければ再びステップS2に戻る一方、撮影終了操作であればプログラムを終了するが、撮影指示の場合は、先の図8(d)で示したように、構図調整を完了した画像48の記録(ステップS17)を行った後、撮影の終了操作を判定する(ステップS18)。
【0051】
このように、実施形態の制御プログラムでは、地図情報を用いた経路案内(ステップS100、ステップS101)を行うことができることに加え、ライブビュー表示と見本画像の透過表示とを用いた構図案内(ステップS15)を行うことができるから、景勝地や撮影ポイントにおける撮影の際に適正な「構図」の指南を行うことができ、技量にかかわらず、誰でも簡単に出来映えのよい画像を得ることができるという特有の効果が得られる。
また、景勝地や撮影ポイントに近づくに従って、その地図上の位置を識別表示する動作から、その見本画像を縮小して一覧表示する動作を経て、その見本画像をライブビュー画像上に透過表示する動作に順番に移り変わるので、状況に応じて必要な情報を適切に案内することが可能となる。
【0052】
なお、以上の実施形態では、現在位置から構図案内距離R3以内に存在する景勝地または景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像を検索し(ステップS12)、最も近い撮影ポイントに対応する見本画像を構図案内としてライブビュー画像上に透過表示(ステップS15)しているが、この態様に限定されない。たとえば、さらに撮影方向や撮影日時、天候などを考慮して見本画像の絞り込みを行ってもよい。
【0053】
図11は、制御プログラムの変形例を示す図である。この図において、先の制御プログラム(図10参照)との相違は、ステップS14とステップS15の代わりに、「該当する見本画像の中で、景勝地の撮影ポイントから見た景勝地の方向(図5の撮影方向a度〜f度参照)が現在のカメラの向き(方位検出部18の検出値)に一致しているものをさらに抽出」する処理(ステップS19)と、「該当する見本画像の中で、撮影日時や天候が現在日時や天候に近いものをさらに抽出」する処理(ステップS20)と、「該当する見本画像はあるか?」を判定する処理(ステップS21)と、ステップS21の判定結果がYESのときに「ライブビュー画像を表示」する処理(ステップS22)と、「位置、日時、天候が最も近い見本画像を構図案内としてライブビュー画像上に透過表示」する処理(ステップS23)とを実行する点にある。
【0054】
このようにすると、撮影日時や天候にマッチした見本画像に絞り込むことができ、たとえば、季節感のある見本画像または天候を反映した見本画像あるいは時間帯(早朝や日没、夜景等)に合致した見本画像とすることができ、より一層、“撮影の見本”としてふさわしい見本画像とすることができる。
【0055】
なお、この変形例を実現するためには、撮像装置1に方向検出手段、撮影日時検出手段および天候検出手段の各手段が必要になるが、方位検出部18は方向検出手段に相当し、また、コンピュータ(CPU19a)を主要素として構成された中央制御部19は、特殊な例外を除き一般的に日時信号を発生するカレンダー機能を有しているから、この中央制御部19は撮影日時検出手段に相当する。また、撮像部14は露出計の機能(周囲の明るさを計測する機能)を有しており、この露出は屋外の明るさ、すなわち天候の1つの指標を表すから、この撮像部14は天候検出手段に相当するということができる。したがって、撮像装置1の現在の構成に方向検出手段、撮影日時検出手段および天候検出手段の各手段が含まれているので、前記の変形例の実現可能性に疑問はない。なお、撮像装置1に他の天候検出手段、たとえば、温度計や湿度計あるいは気圧計などを設けてもよいことはもちろんである。より正確に天候を検出できるから好ましい。
【0056】
図12は、制御プログラムの他の変形例を示す図である。先にも説明したとおり、地図情報29(図4参照)はできるだけ広域なエリア(日本全域等)を網羅していることが望ましいものの、そのような広域の地図情報29は情報量が多く、しかも、メモリ21の記憶容量も有限であることから、現実的には必要なエリアに的を絞った特定地域の地図情報29をその都度入手してメモリ21の第2の領域21bに記憶することになる。この変形例は、必要に応じて、ネットワーク27上のサーバ28から撮像装置1に情報をダウンロードする例を示している。
【0057】
この図において、先の制御プログラム(図10参照)との相違は、ステップS16とステップS17の代わりに、「現在地周辺の景勝地または景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像をサーバからダウンロードする処理(ステップS24)と、「撮影指示」を判定する処理(ステップS25)と、「撮影記録」を行う処理(ステップS26)と、「現在地を景勝地の撮影ポイントとし、撮影方向、日時、天候の情報とともに撮影画像をサーバにアップロード」する処理(ステップS27)とを実行する点にある。
【0058】
このようにすると、必要な情報(ここでは現在地周辺の景勝地または景勝地の撮影ポイントに対応する見本画像)をその都度、サーバからダウンロードするので、メモリ21の記憶容量を圧迫しないというメリットが得られる。また、撮影済みの画像をサーバにアップロードするので、この点においても、メモリ21の記憶容量を圧迫しないというメリットが得られる。加えて、撮影済みの画像と一緒に撮影方向や日時および天候の情報をサーバにアップロードするので、たとえば、インターネットの地図上に撮影ポイントや撮影方向、日時、天候などの情報を記録して後で振り返ってみたり、あるいは、友人などに旅の様子を知らせたりすることができる。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0060】
(付記1)
請求項1に記載の発明は、
景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段と、
現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段と、
前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置である。
(付記2)
請求項2に記載の発明は、
前記第1の表示手段は、前記第1の表示形態として、複数の景勝地情報に含まれる複数の見本画像をサムネイル表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置である。
(付記3)
請求項3に記載の発明は、
前記第1の表示手段は、各景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置に対して前記第1の距離よりも長い第2の距離以内である複数の景勝地情報を前記第1の表示形態で表示することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置である。
(付記4)
請求項4に記載の発明は、
前記第1の表示手段は、第2の表示形態として、複数の景勝地情報に含まれる複数の撮影ポイントの位置を地図上に識別表示することを特徴とする請求項1又は請求項2いずれかに記載の撮像装置である。
(付記5)
請求項5に記載の発明は、
前記第1の表示手段は、各景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置に対して前記第2の距離以上である複数の景勝地情報を前記第2の表示形態で表示することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置である。
(付記6)
請求項6に記載の発明は、
さらに、撮影方向を検出する撮影方向検出手段を備え、
前記第2の表示手段は、いずれかの景勝地または撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となり、かつ、前記撮影方向検出手段によって検出された現在の撮影方向が任意の撮影ポイントから景勝地を臨む方向に向いている場合に、この撮影ポイントから撮影された見本画像を見本画像をスルー画像上に透過表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の撮像装置である。
(付記7)
請求項7に記載の発明は、
さらに、現在日時を取得する日時取得手段と、現在の天候に関する情報を取得する天候情報取得手段とを備え、
前記記憶手段は、撮影ポイントから撮影された見本画像を異なる日時や天候に対応して複数記憶し、前記第2の表示手段は、前記日時取得手段や天候情報取得手段の取得情報に応じて透過表示する見本画像の絞り込みを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載の撮像装置である。
(付記8)
請求項8に記載の発明は、
さらに、撮影した画像に前記日時取得手段や天候情報取得手段の取得情報を付加してネットワーク上のサーバにアップロード可能なアップロード手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかに記載の撮像装置である。
(付記9)
請求項9に記載の発明は、
前記記憶手段が記憶する景勝地情報は更に、景勝地の位置とその景勝地を示す代表画像である見本画像を含み、
前記第1の表示手段は、前記第1の表示形態で表示する見本画像として、景勝地を示す代表画像である見本画像と、撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像の両方を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれかに記載の撮像装置である。
(付記10)
請求項10に記載の発明は、
前記第2の表示手段は、スルー画像上に透過表示する見本画像として、景勝地を示す代表画像である見本画像ではなく、その景勝地の撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像を使用することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
(付記11)
請求項11に記載の発明は、
前記第1の表示手段は、いずれかの撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となるまでの間は、撮影ポイントの位置ではなくその撮影ポイントに対応する景勝地の位置に基づく案内表示を行い、いずれかの撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となったときには、景勝地の位置ではなくその景勝地の撮影ポイントの位置に基づく案内表示を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
(付記12)
請求項12に記載の発明は、
前記記憶手段は、景勝地の位置情報とその景勝地の撮影ポイントの位置情報とを記憶するとともに、景勝地の位置情報に関連付けした見本画像と、その景勝地の撮影ポイントの位置情報に関連付けした見本画像とを記憶することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
(付記13)
請求項13に記載の発明は、
前記記憶手段は、景勝地の位置情報とその景勝地の撮影ポイントの位置情報とを記憶するとともに、景勝地の位置情報に関連付けした見本画像と、その景勝地の撮影ポイントの位置情報に関連付けした見本画像と、さらに、撮影ポイントからの撮影方向の情報とを記録することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置である。
(付記14)
請求項14に記載の発明は、
景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶工程と、
現在位置を取得する現在位置取得工程と、
前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示工程と、
前記第1の表示工程により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得工程によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示工程と
を含むことを特徴とする撮像方法である。
(付記15)
請求項15に記載の発明は、
撮像装置のコンピュータに、
景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段、
現在位置を取得する現在位置取得手段、
前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段、
前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0061】
1 撮像装置
4 表示部(第1の表示手段、第2の表示手段)
14 撮像部(天候情報取得手段)
17 位置検出部(現在地取得手段)
18 方位検出部(撮影方向検出手段)
19 中央制御部(日時取得手段)
21 メモリ(記憶手段)
23 近距離無線部(アップロード手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段と、
現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段と、
前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の表示手段は、前記第1の表示形態として、複数の景勝地情報に含まれる複数の見本画像をサムネイル表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の表示手段は、各景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置に対して前記第1の距離よりも長い第2の距離以内である複数の景勝地情報を前記第1の表示形態で表示することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の表示手段は、第2の表示形態として、複数の景勝地情報に含まれる複数の撮影ポイントの位置を地図上に識別表示することを特徴とする請求項1又は請求項2いずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の表示手段は、各景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置に対して前記第2の距離以上である複数の景勝地情報を前記第2の表示形態で表示することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
さらに、撮影方向を検出する撮影方向検出手段を備え、
前記第2の表示手段は、いずれかの景勝地または撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となり、かつ、前記撮影方向検出手段によって検出された現在の撮影方向が任意の撮影ポイントから景勝地を臨む方向に向いている場合に、この撮影ポイントから撮影された見本画像を見本画像をスルー画像上に透過表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
さらに、現在日時を取得する日時取得手段と、現在の天候に関する情報を取得する天候情報取得手段とを備え、
前記記憶手段は、撮影ポイントから撮影された見本画像を異なる日時や天候に対応して複数記憶し、前記第2の表示手段は、前記日時取得手段や天候情報取得手段の取得情報に応じて透過表示する見本画像の絞り込みを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
さらに、撮影した画像に前記日時取得手段や天候情報取得手段の取得情報を付加してネットワーク上のサーバにアップロード可能なアップロード手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記記憶手段が記憶する景勝地情報は更に、景勝地の位置とその景勝地を示す代表画像である見本画像を含み、
前記第1の表示手段は、前記第1の表示形態で表示する見本画像として、景勝地を示す代表画像である見本画像と、撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像の両方を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2の表示手段は、スルー画像上に透過表示する見本画像として、景勝地を示す代表画像である見本画像ではなく、その景勝地の撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像を使用することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1の表示手段は、いずれかの撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となるまでの間は、撮影ポイントの位置ではなくその撮影ポイントに対応する景勝地の位置に基づく案内表示を行い、いずれかの撮影ポイントまでの距離が所定距離以内となったときには、景勝地の位置ではなくその景勝地の撮影ポイントの位置に基づく案内表示を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記記憶手段は、景勝地の位置情報とその景勝地の撮影ポイントの位置情報とを記憶するとともに、景勝地の位置情報に関連付けした見本画像と、その景勝地の撮影ポイントの位置情報に関連付けした見本画像とを記憶することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、景勝地の位置情報とその景勝地の撮影ポイントの位置情報とを記憶するとともに、景勝地の位置情報に関連付けした見本画像と、その景勝地の撮影ポイントの位置情報に関連付けした見本画像と、さらに、撮影ポイントからの撮影方向の情報とを記録することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項14】
景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶工程と、
現在位置を取得する現在位置取得工程と、
前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示工程と、
前記第1の表示工程により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得工程によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示工程と
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項15】
撮像装置のコンピュータに、
景勝地を臨む撮影ポイントの位置とその撮影ポイントから景勝地を撮影した状態を示す見本画像とを含む景勝地情報を複数記憶する記憶手段、
現在位置を取得する現在位置取得手段、
前記記憶手段に記憶されている複数の景勝地情報を一覧形式の第1の表示形態で表示する第1の表示手段、
前記第1の表示手段により前記第1の表示形態で表示されているいずれかの景勝地情報に含まれる撮影ポイントまでの距離が、前記現在位置取得手段によって取得される現在位置に対して第1の距離以内となったときに、この第1の距離以内となった景勝地情報に含まれる1つの見本画像をスルー画像上に透過表示する第2の表示手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−93788(P2013−93788A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235755(P2011−235755)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】