説明

撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム

【課題】焦点検出手段の動作開始前、または焦点検出手段の動作中に、焦点評価値の形状による速度制御を行うかどうかを判断することで、高速AF制御の精度を向上させる。
【解決手段】被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像素子107と、前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点評価値を生成し、当該焦点評価値に基づいてフォーカスレンズ104の駆動を制御するシステム制御部113を備えた撮像装置であって、前記システム制御部113は、所定の条件を満たす場合に、前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズ104の駆動速度を可変にし、前記所定の条件を満たさない場合、前記フォーカスレンズ104の駆動速度を可変にしない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラムに関する。詳しくは、電子スチルカメラやビデオ撮影装置などといったオートフォーカス方式(自動合焦方式)の撮像装置と、この撮像装置の制御方法と、この撮像装置の制御に用いるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子スチルカメラなどにおいて、フォーカスレンズを駆動して被写体に焦点を合わせる方法として、CCDなどの撮像素子から得られる画像信号を用いて自動的に合焦動作を行うオートフォーカス(AF)方式が用いられている。このようなAF方式においては、AFスキャン動作中に、被写体ピーク位置から離れているところにおいて、焦点評価値の形状より被写体ピーク位置を判断し、フォーカス速度を可変にすることでAFを高速化する技術がある。例えば、特許文献1には、所定時間内における焦点評価値の変化量とレンズ位置の変化量の比を評価値変化率として算出し、評価値変化率が増加状態にあるか減少状態にあるかに応じてレンズ位置の変更速度を可変にするという構成が記載されている。また、特許文献2には、焦点評価値のピーク位置を予測し、予測したピーク位置が遠い場合はフォーカスレンズを高速で移動させ、その後、低速で移動させて再予測するという構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−7650号公報
【特許文献2】特開平8−29667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記構成は次のような問題を有する。手ぶれ時・画角変動時・低照度時には焦点評価値が不安定になるため、焦点評価値の形状の判断が困難になる。そうすると、被写体ピークにかなり近づかないと被写体ピーク位置が判断できない。また、フォーカスレンズを駆動しながら焦点評価値を取得するようなAFスキャン方法を用いる構成では、被写体ピーク位置近傍であることを判断してから速度制御をするまでにタイムラグが生じる。そのため、焦点評価値の形状が適切に判断できない場合には、被写体ピーク位置までに速度制御が間に合わなくなり、ピント精度が悪くなる。特許文献1や特許文献2の構成は、上記のような焦点評価値の形状が適切に判断できない場合や、焦点評価値の形状で判断してから速度制御するまでのタイムラグについては考慮されていない。
本願発明の目的は、フォーカスレンズを高速で駆動する場合に誤作動を低減させ、ピント精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る撮像装置は、被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点信号を生成し、当該焦点信号に基づいてフォーカスレンズの駆動を制御する制御部を備えた撮像装置であって、前記制御部は、所定の撮影条件を満たす場合に、前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を可変であって、前記所定の撮影条件を満たさない場合、前記制御部は、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする。
本発明に係る撮像装置の制御方法は、被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点信号を生成し、当該焦点信号に基づいてフォーカスレンズの駆動を制御する制御部を備えた撮像装置の制御方法であって、前記制御部により前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にする制御ステップを備え、所定の撮影条件を満たす場合に、前記制御ステップを実行し、前記所定の撮影条件を満たさない場合に、前記制御ステップを実行しないことを特徴とする。
本発明に係る撮像装置の制御に用いるプログラムは、被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点信号を生成し、当該焦点信号に基づいてフォーカスレンズの駆動を制御する制御部を備えた撮像装置の制御に用いるプログラムであって、前記制御部により前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にするステップを備え、
所定の撮影条件を満たす場合に、前記制御ステップを実行し、前記所定の撮影条件を満たさない場合に、前記制御ステップを実行しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フォーカスレンズの駆動速度を焦点評価値の形状に応じて制御するかどうかを、撮影条件によって切り替える。このため、フォーカスレンズを高速で駆動する場合に誤作動を低減させ、ピント精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の実施例を適用した撮像装置(電子カメラ)の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例を適用した撮像装置(電子カメラ)の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施例を適用した図2おけるAF動作を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施例を適用した図3における初期フォーカス駆動を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施例を適用した図4におけるピーク検出チェックを説明するフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施例を適用した図3におけるフォーカス速度の設定を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施例を適用した図3、図5における焦点評価値の勾配検出を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
以下、図1〜図7を参照しながら本発明の実施例を説明する。
まず、本発明の実施例が適用される撮像装置の全体的な構成について、図1を参照して説明する。本発明の実施例が適用される撮像措置は、電子カメラである。図1は本発明の実施例を適用した電子カメラ1の構成を示すブロック図である。撮影レンズ101はズーム機構を含む1以上のレンズ群である。絞り及びシャッター102は光量を制御する。103はAE処理部である。フォーカスレンズ104は、被写体からの反射光を後述する撮像素子上に結像する。モータ105はフォーカスレンズを駆動するための駆動源である。106はAF処理部である。撮像素子107は、被写体からの反射光を電気信号に変換する受光手段または光電変換素子が適用される。A/D変換部108は、撮像素子107の出力ノイズを除去するCDS回路やA/D変換前に行う非線形増幅回路を含む。109は画像処理部である。110はフォーマット変換部である。111は高速な内蔵メモリ(例えばランダムアクセスメモリなど、以下、DRAMと記す)である。DRAM111は、一時的な画像記憶手段としての高速バッファとして、あるいは画像の圧縮伸張における作業用メモリなどとして使用される。画像記録部112は、メモリーカードなどの記録媒体とそのインターフェースからなる。本発明の制御部としてのシステム制御部113は、撮影シーケンスなどシステムを制御する。たとえば、システム制御部113は、被写体輝度が所定範囲内かどうかを調べる輝度検出部として機能する。またシステム制御部113は、フォーカスレンズ104の位置と被写体ピント位置(=被写体にピントが合っている状態のフォーカスレンズ位置)との距離が所定値以下であるかを判定する距離判定部として機能する。システム制御部113は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと131、メモリ131に格納されるコンピュータプログラムを読み出して実行するCPU130とを含む。114は画像表示用メモリ(以下、VRAMと記す)である。画像表示部115は、画像表示、操作補助のための表示、電子カメラ1の状態の表示、撮影時の撮像画面の表示、測距領域の表示を行う。116は電子カメラ1を外部から操作するための操作部である。操作部116には、例えば電子カメラ1の撮影機能や画像再生時の設定などの各種設定を行うメニュースイッチや、撮影レンズ101のズーム動作を指示するズームレバーや、撮影モードと再生モードの動作モード切換えスイッチなどが含まれる。撮影モードスイッチ117は、たとえば、マクロモード、遠景モード、スポーツモードなどの撮影モードを選択するために用いられる。撮影モードスイッチ117は、ユーザーが選択した撮影モードに応じて測距距離範囲やAF動作などを変更するようになっている。メインスイッチ118はシステムに電源を投入するためのスイッチである。スイッチ119はAFやAE等の撮影スタンバイ動作を行うためのスイッチ(以下、SW1と記す)、スイッチ120はSW1の操作後、撮影を行う撮影スイッチ(以下、SW2と記す)である。動き検出部としての加速度センサ部121は、手ぶれやパンなどによる電子カメラ1の動きを検知する。動体検出部122は撮像した映像出力信号より動体を検出する。
【0009】
以下に、本発明の実施例が適用される撮像装置の動作について、図2〜図7を用いて詳細に説明する。以下の処理は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)としてシステム制御部113のメモリ131に格納されており、システム制御部113のCPU130が読み出して実行する。
まず、本発明の実施例が適用される電子カメラ1の全体的な動作について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施例が適用される電子カメラ1の動作を説明するフローチャート図である。
S201では、システム制御部113は、画像処理部109の出力を用いてAE処理を実行する。そしてS202に進む。
S202では、システム制御部113は、SW1の状態がONであるか否かを調べる。そして、ONであれば(「Yes」であれば)S203へ進み、ONでなければ(「No」であれば)S201へ進む。
S203では、システム制御部113は、後述するAF動作を実行する。なお、AF動作中の露出条件(たとえば、シャッター速度、絞り、感度)は、直前のS201のAE処理で決定される。そしてS204に進む。
S204では、システム制御部113は、SW1の状態がONであるか否かを調べる。そして、ONであれば(「Yes」であれば)S205へ進み、ONでなければ(「No」であれば)S201へ進む。
S205では、システム制御部113は、SW2の状態がONであるか否かを調べる。そして、ONであれば(「Yes」であれば)S206へ進み、ONでなければ(「No」であれば)S204へ進む。
S206では、システム制御部113は撮影動作を実行する。そしてその後S201へ進む。
【0010】
次に、S203のAF動作について、図3を参照して説明する。図3は、図2におけるS203のAF動作を説明するフローチャートである。AF動作においては、システム制御部113は、フォーカスレンズ104および撮像素子107を介して得られた映像出力信号(撮像信号)の高周波数成分から被写体のコントラストを示す焦点評価値(焦点信号)を生成する。そして、システム制御部113は、焦点評価値が最大になるように、フォーカスレンズ104を駆動する。ここで、所定の撮影条件を充足した場合には、システム制御部113は、後述するフォーカスレンズ104の駆動速度(以下、フォーカス速度)を可変にする。具体的には、次のとおりである。
まず、S301では、システム制御部113は、映像出力信号の所定の領域に測距領域を設定する。そしてS302へ進む。
S302では、システム制御部113は、撮影モードや焦点距離に応じたAFスキャン範囲を設定する。そして、S303へ進む。
S303では、システム制御部113は、後述する初期フォーカス駆動を行う。そしてS304へ進む。この初期フォーカス駆動では、システム制御部113は、AF処理部106を介して、フォーカスレンズ104を駆動してAFスキャンの開始位置へ移動させる。
S304では、システム制御部113は、フォーカス速度の設定を行う。そして、S305へ進む。
S305では、システム制御部113は、S304で設定したフォーカス速度で所定方向にフォーカス駆動を開始する。そして、S306へ進む。ここで、システム制御部113は、「所定方向」を、S303における初期フォーカス駆動と反対方向に設定する。
S306では、システム制御部113は、S301で設定した測距領域内の焦点評価値を取得する。焦点評価値は、被写体のコントラストを示す値である。そしてS307へ進む。
S307では、システム制御部113は、現在のフォーカスレンズ104の位置を取得する。そしてS308へ進む。
S308では、システム制御部113は、後述する焦点評価値の勾配検出を行う。その後、S309へ進む。
S309では、システム制御部113は、S308で検出した焦点評価値の勾配が所定値以上であるかどうかと、フォーカス速度が高速に設定されているかどうかを調べる。なお、フォーカス速度は、前記S304または後述するS310で設定される。そして、焦点評価値の勾配が所定値以上であり、かつフォーカス速度が高速に設定されている場合には(「Yes」の場合には)S310に進み、そうでない場合には(「No」の場合には)S312に進む。なお、焦点評価値の勾配の「所定値」は不変でなく可変であってもよい。たとえば、測距領域内の輝度の最大値と最小値の差分などを用いて被写体のコントラスト値を検出し、検出したコントラスト値に応じて焦点評価値の勾配の所定値を変化させてもよい。
S310では、システム制御部113は、フォーカス速度を低速に更新する。そしてS311へ進む。
S311では、システム制御部113は、S310で更新したフォーカス速度でフォーカスレンズ104をフォーカス駆動させる。そしてS312へ進む。これにより、AFスキャン開始時に高速でフォーカスレンズ104をフォーカス駆動を開始している場合に、フォーカスレンズ104と被写体ピント位置との距離が所定値以下であるか判定される。そして、所定値以下であると判定できた時点で、フォーカスレンズ104の駆動速度(=フォーカス速度)を低速にできる。このように、システム制御部113は、フォーカスレンズ104の駆動速度を、高速と低速の2値に可変となるように制御する。なお、「低速」が、本発明にいう「第1の速度」であり、「高速」が「第1の速度より速い第2の速度」である。
S312では、システム制御部113は、S307で取得した現在のフォーカスレンズ104の位置がS302で設定したAFスキャン範囲内にあるかどうかを調べる。そして、AFスキャン範囲内にあれば(「Yes」であれば)S306へ進み、AFスキャン範囲内になければ(「No」であれば)S313へ進む。ここで、S306〜S312の一連の動作は、現在のフレームレートの1フレーム分の時間で行われる。また、システム制御部113は、S306で取得した焦点評価値と、S307で取得したフォーカスレンズ位置を対応付け、後述するS314の焦点評価値のピーク位置算出で用いる。その際、焦点評価値を取得中にフォーカスレンズ104は駆動しているため、システム制御部113は、露光時間の中心のタイミングでのフォーカスレンズ位置を算出し、焦点評価値と対応付ける。
S313では、システム制御部113は、フォーカスレンズ104の駆動を停止する。そしてS314へ進む。
S314では、システム制御部113は、S306で取得した焦点評価値と、それに対応するフォーカスレンズ104の位置(S307で取得)を用いて、焦点評価値のピーク位置を算出する。そしてS315へ進む。
S315では、システム制御部113は、合焦判定を行う。そしてS316へ進む。
S316では、システム制御部113は、S314で求めた焦点評価値のピーク位置へフォーカスレンズ104を駆動する。そして、AF動作を終了する。
【0011】
次に、S303の初期フォーカス駆動について、図4を参照して説明する。図4は、図3におけるS303の初期フォーカス駆動を説明するフローチャートである。
まず、S401では、システム制御部113は、フォーカス速度を低速に設定する。そしてS402へ進む。ここで、初期フォーカス駆動における「低速」としては、例えば、後述する焦点評価値の勾配検出において勾配の判断が可能な最も低い速度が適用される。
S402では、システム制御部113は、S401で設定したフォーカス速度で所定方向にフォーカス駆動を開始する。そしてS403へ進む。ここで、「所定方向」は、例えば被写体の存在確率が高いと考えられる方向や、現在のフォーカスレンズ位置に対して遠端と近端のいずれか近い側への方向などが適用される。
S403では、システム制御部113は、S301で設定した測距領域内の焦点評価値を取得する。そしてS404へ進む。
S404では、システム制御部113は、現在のフォーカスレンズ104の位置を取得する。そしてS405へ進む。
S405では、システム制御部113は、後述するピーク検出チェックを行う。そしてS406へ進む。
S406では、システム制御部113は、S405でチェックしたピーク検出結果がOKであるか否かを調べる。そして、OKであれば(「Yes」であれば)S408へ進み、OKでなければ(「No」であれば)S407へ進む。
S407では、システム制御部113は、S405でチェックしたピーク検出結果が減少で、かつ減少回数が減少回数閾値よりも多いかどうかを調べる。そして、そうであれば(「Yes」であれば)S408へ進み、そうでなければ(「No」であれば)S411へ進む。
S408では、システム制御部113は、S308または後述するS502の焦点評価値の勾配検出において検出した焦点評価値の勾配が所定値以上かどうかを調べる。そして、焦点評価値の勾配が所定値以上であれば(「Yes」であれば)S409へ進み、そうでなければ(「No」であれば)S410へ進む。
S409では、システム制御部113は、FASTAF判定をNGとする。そしてS412へ進む。
S410では、システム制御部113は、FASTAF判定をOKとする。そしてS412へ進む。ここで、FASTAF判定の結果は、AFスキャン動作開始タイミングであるS305において、フォーカスレンズ104の現在位置と被写体ピント位置との距離が所定値以下であるかを判定して高速でフォーカス駆動を開始するかを決定する指標となる。FASTAF判定は、後述するS304のフォーカス速度の設定で用いられる。
S411では、システム制御部113は、現在のフォーカスレンズ104の位置が進行方向の端まで到達したかどうかを調べる。そして、到達した場合には(「Yes」である場合には)S412へ進み、到達していない場合には(「No」である場合には)S403へ進む。
S412では、システム制御部113は、フォーカスレンズ104を停止する。そしてS304へ進む。
【0012】
次いで、S405のピーク検出チェックについて、図5を参照して説明する。図5は、図4におけるS405のピーク検出チェックを説明するフローチャートである。
まず、S501では、システム制御部113は、現在までにS403で取得した焦点評価値の最大値、最小値を算出して記憶する。そしてS502へ進む。
S502では、システム制御部113は、後述する焦点評価値の勾配検出を行う。その後、S503へ進む。
S503では、システム制御部113は、今回取得した焦点評価値が、前回取得した焦点評価値に対して所定値以上増加しているかどうかを調べる。そして、所定値以上増加している場合には(「Yes」の場合には)S504へ進み、していない場合には(「No」の場合には)S513へ進む。
S504では、システム制御部113は、減少回数を0にクリアする。そしてS505へ進む。
S505では、システム制御部113は、増加回数をインクリメントする。そしてS506へ進む。
S506では、システム制御部113は、増加回数が加減速判定閾値よりも多いかどうかを調べる。そして、多い場合には(「Yes」の場合には)S507へ進み、多くない場合には(「No」の場合には)S510へ進む。ここで、加減速判定閾値は、例えば、被写体ピント位置の方向の判断が可能な最低の回数で決まる。
S507では、システム制御部113は、焦点評価値の勾配が所定値以上かどうかを調べる。そして、焦点評価値の勾配が所定値以上であれば(「Yes」であれば)S508へ進み、そうでなければ(「No」であれば)S509へ進む。
S508では、システム制御部113は、フォーカス速度を低速に更新する。そしてS511へ進む。
S509では、システム制御部113は、フォーカス速度を高速に更新する。そしてS511へ進む。ここで、初期フォーカス駆動における「高速」は、例えば、フォーカスレンズ104が出すことのできる最高速が適用される。
S510では、システム制御部113は、FASTAF判定をOKにする。そして、S512へ進む。
S511では、システム制御部113は、FASTAF判定をNGにする。そして、S512へ進む。
S512では、システム制御部113は、ピーク検出結果を増加とする。そしてS524へ進む。
S513では、システム制御部113は、今回の焦点評価値が前回の焦点評価値に対して所定値よりも減少しているかどうかを調べる。そして、減少していれば(「Yes」であれば)S514へ進み、減少していなければ(「No」であれば)S520へ進む。
S514では、システム制御部113は、次の(a)〜(d)の4項目を調べる。(a)増加回数が1以上であるか。(b)今回の焦点評価値がS501で記憶している焦点評価値の最大値に対して所定割合以上減少しているか。(c)S501で記憶している最大値と最小値の差が所定値以上であるか。(d)ピーク位置が今回までに取得している焦点評価値データの端ではないか。そして、すべての条件を充足している場合にはS519に進み、一つでも充足していない条件が存在する場合にはS515に進む。
S515では、システム制御部113は、増加回数を0にクリアする。そしてS516へ進む。
S516では、システム制御部113は、減少回数をインクリメントする。そしてS517へ進む。
S517では、システム制御部113は、FASTAF判定をOKにする。そしてS518へ進む。
S518では、システム制御部113は、ピーク検出結果を減少とする。そしてS524へ進む。
S519では、システム制御部113は、ピーク検出結果をOKにする。そしてS524へ進む。
S520では、システム制御部113は、焦点評価値の変化なし回数が加減速判定閾値よりも多いかどうかを調べる。そして、多い場合には(「Yes」の場合には)S521へ進み、多くない場合には(「No」の場合には)S522へ進む。
S521では、システム制御部113は、フォーカス速度を高速に更新する。そしてS522へ進む。
S522では、システム制御部113は、FASTAF判定をOKとする。そしてS523へ進む。
S523では、システム制御部113は、ピーク検出結果を変化なしとする。そしてS524へ進む。
S524では、システム制御部113は、フォーカス速度でフォーカス駆動する。そしてS405へ進む。
このように、フォーカスレンズ104がAFスキャン開始位置に移動するまでの間の焦点評価値の形状により、システム制御部113は、フォーカスレンズ104の位置と被写体ピント位置との距離が所定値以下であるかを判定できる。なお、この実施例においては、焦点評価値の形状として、焦点評価値の勾配を用いる。そして、S405のピーク検出チェックにおいては、システム制御部113は、フォーカスレンズ104の位置と被写体ピント位置との距離が所定値以下であるかを判定する距離判定部として機能する。また、この間においても、システム制御部113は、フォーカスレンズ104と被写体ピント位置との距離が所定値以下でない(フォーカスレンズ104が第2の位置にある)場合には、フォーカスレンズ104を高速に駆動する。一方、所定値以下である(フォーカスレンズ104が第1の位置にある)場合には、システム制御部113は、フォーカスレンズ104を低速に駆動する。すなわち、システム制御部113は、フォーカス速度を可変にする。これにより、無駄なフォーカス駆動時間を短縮することができる。
【0013】
次いで、S304のフォーカス速度の設定について、図6を参照して説明する。図6は、図3におけるS304のフォーカス速度の設定を説明するフローチャートである。
まずS601では、システム制御部113は、FASTAF判定がOKかどうかを調べる。そしてOKであれば(「Yes」であれば)S602へ進み、OKでなければ(「No」であれば)S608へ進む。
S602では、システム制御部113は、加速度センサ部121で検出したカメラの動き量が所定値以下かどうかを調べる。そして、所定値以下であれば(「Yes」であれば)S603へ進み、所定値以下でなければ(「No」であれば)S608へ進む。これにより、システム制御部113は、後述するS308、S502の焦点評価値の勾配検出において、手ぶれにより焦点評価値が変動したことによって起こる誤検出の影響を低減することができる。
S603では、システム制御部113は、動体検出部122で検出した被写体の動き量が所定値よりも小さいかどうかを調べる。そして、所定値よりも小さい場合には(「Yes」である場合には)S604へ進み、所定値よりも小さくない場合には(「No」である場合には)S608へ進む。これにより、システム制御部113は、後述するS308、S502の焦点評価値の勾配検出において、被写体が動いて焦点評価値が変動したことに起因する誤検出の影響を低減することができる。
S604では、システム制御部113は、被写体輝度が所定値以上かどうかを調べる。すなわち、S604では、システム制御部113は、輝度検出部として機能する。そして被写体輝度が所定値以上であれば(「Yes」であれば)S605へ進み、所定値以上でなければ(「No」であれば)S608へ進む。
S605では、システム制御部113は、現在のカメラ設定において焦点距離が所定値よりも長いかどうかを調べる。そして焦点距離が所定値よりも長い場合には(「Yes」の場合には)S606へ進み、焦点距離が所定値よりも短い場合には(「No」の場合には)S608へ進む。
S606では、システム制御部113は、現在のカメラ設定において測距距離範囲が所定値より長いかどうかを調べる。測距距離範囲が所定値よりも長い場合には(「Yes」の場合には)S607へ進み、そうでない場合には(「No」の場合には)S608へ進む。
S607では、システム制御部113は、フォーカス速度を高速に更新する。そしてS305へ進む。AFスキャン動作における「高速」は、例えば、被写体ピント位置の近傍であることを判断したあとに、被写体のピーク位置の手前までに減速が間に合わせることが可能な最も速い速度が適用される。
S608では、システム制御部113は、フォーカス速度を低速に更新する。そしてS305へ進む。ここで、AFスキャン動作における「低速」は、例えば、S314で算出するピーク位置の精度が保てる最も速い速度が適用される。
このように、システム制御部113は、AFスキャン動作において、フォーカスレンズ104が被写体被写体ピント位置から離れている場合には高速で駆動するように制御し、被写体ピント位置付近では減速して低速で駆動するように制御する。すなわち、システム制御部113は、フォーカス速度を高速と低速の2値の可変となるように制御する。これにより、無駄なフォーカスレンズ駆動時間を低減することができる。
【0014】
次いで、S308とS502の焦点評価値の勾配検出について、図7を参照して説明する。図7は、図3におけるS308、及び図5におけるS502の焦点評価値の勾配検出を説明するフローチャート図である。
まずS701では、システム制御部113は、S307またはS404で取得した今回のレンズ位置を「Pos1」とする。そしてS702へ進む。
S702では、システム制御部113は、S306またはS403で取得した今回の焦点評価値を「T1」とする。そしてS703へ進む。
S703では、システム制御部113は、S307またはS404で取得した前回のレンズ位置を「Pos2」とする。そしてS704へ進む。
S704では、システム制御部113は、S306またはS403で取得した前回の焦点評価値を「T2」とする。そしてS705へ進む。
S705では、システム制御部113は、(T1−T2)/(Pos1−Pos2)を焦点評価値の勾配とする。(T1−T2)は、今回と前回との焦点評価値(=焦点信号)の変化量である。(Pos1−Pos2)は、今回と前回とのフォーカスレンズ位置の変化量である。このため、「焦点評価値の勾配」は、今回と前回とのフォーカスレンズ位置の変化量に対する焦点評価値の変化量を示す。そしてS309またはS503へ進む。
【0015】
なお、本実施例では、焦点評価値の形状として、焦点評価値の勾配を用いているが、勾配の変化率などを用いてもよい。また、本実施例においては、システム制御部113は、焦点評価値の勾配が所定の閾値より大きいかどうかを判断し、低速(=第1の速度)または高速(=第2の速度)の2値でフォーカスレンズ速度の調節を行うが、本発明は、この構成に限定されない。たとえば、システム制御部113は、焦点評価値の勾配に応じてフォーカス速度を細かく可変させてもよい。
【0016】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【符号の説明】
【0017】
101:撮影レンズ、102:絞りおよびシャッター、103:AE処理部、104:フォーカスレンズ、105:モータ、106:AF処理部、107:撮像素子、108:A/D変換部、109:画像処理部、110:フォーマット変換部、111:DRAM、112:画像記録部、113:システム制御部、114:VRAM、115:画像表示部、116:操作部、117:撮影モードスイッチ、118:メインスイッチ、119:撮影スタンバイスイッチ、120:撮影スイッチ、121:加速度センサ部、122:動体検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点信号を生成し、当該焦点信号に基づいてフォーカスレンズの駆動を制御する制御部を備えた撮像装置であって、
前記制御部は、所定の撮影条件を満たす場合に、前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を可変であって、
前記所定の撮影条件を満たさない場合、前記制御部は、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定の撮影条件を満たす場合、前記フォーカスレンズが第1の位置にあるとき、前記フォーカスレンズの駆動速度を第1の速度に設定し、前記フォーカスレンズが、前記焦点信号がピークになる位置に対して前記第1の位置より遠い第2の位置にあるとき、前記フォーカスレンズの駆動速度を前記第1の速度より速い第2の速度に設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の位置は、前記焦点信号がピークになる位置に対して所定の距離以内の位置であり、前記第2の位置は、前記焦点信号がピークになる位置に対して所定の距離より離れた位置であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置の動きを検出する動き検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記動き検出部により検出された前記撮像装置の動き量が第1の量の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にし、前記撮像装置の動き量が前記第1の量より大きい第2の量の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体の動きを検出する動体検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記動体検出部により検出された被写体の動き量が第3の量の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にし、前記被写体の動き量が前記第3の量より大きい第4の量の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体輝度を検出する輝度検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記輝度検出部により検出された被写体輝度が第1の輝度の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にし、前記被写体輝度が前記第1の輝度より小さい第2の輝度の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、焦点距離が第1の距離の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にし、前記焦点距離が前記第1の距離より短い第2の距離の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御部は、測距距離範囲が第3の距離の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にし、前記測距距離範囲が前記第3の距離より短い第4の距離の場合、前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にしないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点信号を生成し、当該焦点信号に基づいてフォーカスレンズの駆動を制御する制御部を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記制御部により前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にする制御ステップを備え、
所定の撮影条件を満たす場合に、前記制御ステップを実行し、前記所定の撮影条件を満たさない場合に、前記制御ステップを実行しないことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項10】
被写体からの光を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、前記撮像信号から被写体のコントラストを示す焦点信号を生成し、当該焦点信号に基づいてフォーカスレンズの駆動を制御する制御部を備えた撮像装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御部により前記焦点信号の形状に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を可変にする制御ステップを備え、
所定の撮影条件を満たす場合に、前記制御ステップを実行し、前記所定の撮影条件を満たさない場合に、前記制御ステップを実行しないことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105043(P2013−105043A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249046(P2011−249046)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】