説明

撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラム

【課題】被写体が検出された場合の処理の負荷を低減するとともに、ネットワークの通信にかかる負荷を低減できるようにする。
【解決手段】既に検出されている被写体とは異なる新たな被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記新たな被写体を含む周辺領域に変更する。もしくは、既に検出されている被写体と新たな被写体とを含む周辺領域に変更する。このとき、被写体を切り出し拡大表示している間は、切り出し拡大表示している領域外で被写体の検出は行うが、拡大表示している領域内では被写体の検出を行わないようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ネットワークカメラシステムにおける撮像装置、撮像装置の制御方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやイントラネットが普及し、これらがより高速化されたことによって、ネットワークを利用して静止画像データや動画像データの配信が行われている。その中で、ネットワークカメラシステムは、これらの技術を利用したシステムの1つである。
【0003】
ネットワークカメラシステムでは、カメラで撮影した映像をネットワークに転送してPC(Personal Computer)などに送ることによって、映像データを受信したPCはモニタ等の表示装置を用いてその映像を確認することができる。これにより、遠く離れた場所に設置したカメラをユーザが遠隔操作をすることが可能であり、さらに複数の場所の監視を1人でモニタを見ながら行うことができる。
【0004】
また、ネットワークカメラシステムによっては、取得した映像データに画像処理を施して動体検出や動いているものを追いかける動き追従機能など、カメラが持っているアルゴリズムを用いた多くの機能を有しているものもある。これらの機能を用いると、例えば、私有地や行政機関など本来決められた人のみが行き来する場所や、人に立ち入ってほしくない立ち入り禁止区間などにカメラを設置して撮影できるようにすることによって侵入者の有無を監視することができる。また、侵入者を拡大表示することによって侵入者の様子を詳細に見ることができ、監視している場所の状況変化を確認することができる。
【0005】
しかしながら、表示装置の性能が十分でなかったり、ネットワークの性能が十分でなかったりする場合には、撮影した画像から状況変化を的確に把握することは難しい。そこで、上記のような問題を解決するために、カメラユニット周辺の状況変化を検出し、検出に応答してカメラユニットの撮像画像を取得する。そして、取得した撮像画像のうち、状況変化のあった領域の画像を切り出し、切り出した画像をサーバユニットへ送信する手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、スルー画像として生成された撮像データに対して顔検出を行って顔の個人識別を行い、識別結果を基に撮像データを切り出して、切り出された撮像データをネットワーク上に送出する手法も開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−176301号公報
【特許文献2】特開2010−87898号公報
【特許文献3】特開2001−16573号公報
【特許文献4】特開平10−232934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、複数の被写体を検出する際に、被写体を検出するたびに拡大画像を生成して送信するため、ネットワークの通信にかかる負荷が大きくなるという問題点がある。また、特許文献2に開示された従来技術では、顔の個人識別を行って識別結果を基に撮像データを切り出しているため、特に複数の被写体が検出された場合などでは処理の負荷が大きくなってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、被写体が検出された場合の処理の負荷を低減するとともに、ネットワークの通信にかかる負荷を低減できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の撮像装置は、被写体を撮像して撮影画像を生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された撮影画像から第1の被写体を検出する検出手段と、前記撮影画像から、前記検出手段によって検出された第1の被写体を含む周辺領域を拡大した拡大画像を生成する拡大手段と、前記拡大手段によって生成された拡大画像に係るデータを外部装置に送信する送信手段とを有し、前記拡大手段は、前記検出手段により前記第1の被写体とは異なる第2の被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記第2の被写体を含む周辺領域に変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被写体が検出された場合の処理負荷を低減するとともに、ネットワークの通信にかかる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る撮像装置を具備したネットワークカメラシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の切り出し拡大処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るネットワークカメラシステムにより侵入者を検出するイメージの一例を説明する図である。
【図4】図3に示す例において、撮像装置により得られる撮影画像の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態における撮像装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】入出力機器において表示される表示画面の一例を示す図である。
【図7】第2の実施形態における撮像装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図3に示す例において、撮像装置により得られる映像の一例を示す図である。
【図9】第3の実施形態における撮像装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態における撮像装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第4の実施形態において、第2記憶部に保持させる被写体情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る撮像装置19を具備したネットワークカメラシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る撮像装置19は、撮像光学系1と、入射光を電荷に変換する撮像素子2と、A/D変換部3と、画像処理部5及び信号制御部6からなる制御部4とを備えている。さらに、切り出し拡大処理部20と、エンコーダ7と、コマンド受信部8と、ネットワーク通信部9と、第1記憶部12及び第2記憶部13からなる記憶部11とを備えている。ネットワークカメラシステムは、これらの構成を備えた撮像装置19と、ネットワーク18と、入出力機器10とにより構成されている。
【0013】
撮像素子2は、撮像光学系1で集められた光を受光し、受光量に応じて電荷を蓄積して光電変換する。A/D変換部3は、撮像素子2からのアナログ信号をデジタル変換し、デジタル変換された映像信号を制御部4に伝送する。制御部4の画像処理部5は、入力された映像信号の画質を高める処理等を行い、さらに、撮像素子2に対して、蓄積した電荷をクリアするリセット信号を出力する。一方、制御部4の信号制御部6は、不図示のパン・チルト制御部や撮像光学系1に信号を送り、それぞれのモータを駆動させる。
【0014】
切り出し拡大処理部20は、画像処理部5より出力された映像信号から被写体検出を行い、切り出し拡大を行う領域を決定する。そして、エンコーダ7は、切り出し拡大処理部20より出力された映像信号に対して、圧縮処理などの符号化を行い、圧縮された映像信号をネットワーク通信部9に送る。ネットワーク通信部9では、撮像装置19によって出力される映像信号をネットワーク18に配信する。これにより、ネットワーク18に送られた映像信号を外部装置である入出力機器10が受信する。入出力機器10は表示装置を備えた機器であり、ビューワとしてユーザが映像を見ることができる。
【0015】
また、ユーザが入出力機器10上の操作画面を操作することによって発生した信号(コマンド)を、ネットワーク18を介して撮像装置19のネットワーク通信部9は受信し、コマンド受信部8を介して信号制御部6に伝達する。信号制御部6は、受信したコマンドに応じて撮像素子2の制御を行う。
【0016】
記憶部11は、指定したアドレスに書き込みを行うことが可能であり指定したアドレスから読み出しが可能な第1記憶部12と、不揮発性のデータの中から指定されたアドレスのデータを読み出す機能を備えた第2記憶部13とによって構成されている。本実施形態において、第1記憶部12は例えばSDRAMである。SDRAMは高速な書き込みと読み出しとが可能であるため、本実施形態における処理を行うためのプログラムやデータが記憶され、各種のプログラムを実行する作業領域としても使用される。一方、第2記憶部13は、例えばFlashメモリなどの不揮発性記憶素子であり、各種プログラムやデータの永続的な記憶領域として使用される。
【0017】
図2は、図1の切り出し拡大処理部20の詳細な構成例を示すブロック図である。
検出範囲設定部202は、制御部4から出力された映像信号において、被写体の検出範囲を設定する。そして、検出範囲設定部202によって設定された検出範囲の情報が、被写体検出部203及び追尾部205に送信される。
【0018】
被写体検出部203は、毎時の入力画像と1段階前の入力画像との差分処理(フレーム差分)による差分変化量を検出し、差分変化量が所定の閾値を上回る領域を動き及び変化のあった領域として検出する。被写体を検出する詳細な処理としては、例えば、特許文献3や特許文献4等に開示された方法を用いる。また、追尾部205は、フレーム差分より被写体の移動する方向に検出範囲を変更する。これによって、被写体の動きに対応できるようにしている。
【0019】
切り出し拡大部204は、被写体の動き及び変化があった領域を拡大した画像を取得し、図1のエンコーダ7に送る。
【0020】
図3は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムにより侵入者を検出するイメージの一例を説明する図である。
図3に示す例では、行政機関などの侵入を禁止している侵入禁止エリア304に第1の被写体の侵入者A302が侵入した後、時間をおいて第2の被写体の侵入者B303が侵入する状態をネットワークカメラシステム301により撮影している様子を示している。
【0021】
図4は、図3に示す例において、撮像装置19により得られる撮影画像の一例を示す図である。ここで、画像401は、図3の侵入者A302を検出したときの画像であり、画像403は検出された侵入者A302を切り出し拡大した画像である。ここで、画像402は、検出範囲設定部202によって侵入者A302が検出された様子を示すものである。そして、追尾部205により、検出範囲404を追尾処理することによって、画像405に示すように侵入者A302を追尾しながらモニタで表示するよう制御する。
【0022】
次に、時間tが経過した後、画像406に侵入者B303が検出される。そこで、検出範囲設定部202で設定された検出範囲に、侵入者B303が入ってきたことを被写体検出部203により検出する。切り出し拡大部204は、画像407から侵入者B303を切り出し拡大することにより、侵入者A302を拡大した画像408から侵入者B303を拡大した画像409に表示対象を切り替える処理をする。
【0023】
本実施形態においては、次々と現れる複数の被写体(侵入者A、侵入者B)を時間経過に伴い順次切り出し拡大することにより、入出力機器10の操作者にとって侵入者を見やすくするようにしている。近年、撮像素子2の解像度が向上しており、切り出し拡大しても十分な解像度を得ることが可能となっており、侵入者の顔、服装、挙動などを識別することが可能となる。
【0024】
次に、本実施形態に係る撮像装置19による以上の処理について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る撮像装置19による処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、撮像光学系1、撮像素子2及びA/D変換部3を介して、制御部4は映像信号を取得する(S501)。次に、取得した映像信号に対して、切り出し拡大処理部20の検出範囲設定部202により被写体の検出範囲を設定し、被写体検出部203によって侵入者などの特別な被写体が検出されたか否かを判定する(S502)。この判定の結果、被写体が検出されなかった場合には、現在取得している映像信号をそのまま圧縮処理・暗号化処理などの処理を行う(S509)。
【0025】
一方、S502の判定の結果、被写体が検出された場合は、さらに新しい被写体が検出されたか否かを判定する(S503)。この判定の結果、新しい被写体が検出されなかった場合は、検出している被写体に対して切り出し拡大範囲を決定する(S507)。ここで、決定した切り出し拡大範囲は、検出範囲設定部202により設定される。そして、切り出し拡大部204によりその範囲の切り出し拡大を行う(S508)。
【0026】
一方、S503の判定の結果、新しい被写体が検出された場合は、検出範囲設定部202により、新しい被写体に関して、切り出し拡大範囲を決定する(S504)。そして、次に切り出し拡大する対象を新しい被写体に対象を切り替える(S505)。その後、切り出し拡大部204により新しい被写体を含む範囲の切り出し拡大を行う(S506)。これにより、新しい被写体が次々に現れる場合であっても、検出は元の画像から行っていき切り出し拡大していく。
【0027】
次に、エンコーダ7により、切り出された画像に係る映像信号に対して圧縮処理・暗号化処理などの処理を行う(S509)。そして、ネットワーク通信部9により、処理を施された映像信号と時間情報とをネットワーク18に送信する(S510)。なお、ネットワーク18に送信する前に、第2記憶部13に情報を保持させておくことによって、検出した被写体に情報を結び付けて保持することができる。最後に、切り出し拡大処理部20により被写体の検出が終了であるか否かを判定する(S511)。この判定の結果、被写体の検出を継続する場合はS501に戻り、被写体の検出を終了する場合は、処理を終了する。
【0028】
続いて、入出力機器10において送られてきたデータを受信して表示する画面について説明する。
【0029】
図6は、入出力機器10のモニタに表示される表示画面の例を示す図である。
図6に示すように、表示画面のメインフレーム領域には、基となる画像601が表示される。さらに、表示画面のサブフレーム領域には、基の画像から上述した処理によって切り出し拡大された切り出し拡大画像602、603が順次表示される。なお、表示画面のメインフレーム領域に表示される画像か、サブフレーム領域に表示される画像かについては、切り出し拡大処理部20よりネットワーク18に指示される。そして、ネットワーク18はメインフレーム領域またはサブフレーム領域に示すべき映像信号を入出力機器10に与える。また、表示させる順番は検出された順とし、スクロール等を用いて表示されている被写体が確認できるようなシステムにしてもよい。
【0030】
以上のように本実施形態によれば、既に検出されている被写体とは異なる新たな被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記新たな被写体を含む周辺領域に変更するようにした。これにより、拡大画像を生成する処理を簡略化して送信するデータ量も少なくすることができ、ネットワークの通信にかかる負荷を低減することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態におけるネットワークカメラシステムの構成については、第1の実施形態における図1に示すものと同様であるため、説明は省略する。上述した第1の実施形態では、切り出し拡大処理部20は、図2に示した通り、制御部4によって出力された映像信号から、被写体検出部203で検出された被写体部分の切り出し拡大を行う。そして、切り出し拡大部204から出力された信号をエンコーダ7に送った。これに対して本実施形態では、切り出し拡大を行っている画像に対しては、被写体検出対象から除外する。
【0032】
本実施形態では、例えば、図4に示したように、検出された侵入者A302を含む検出範囲404では、以降、被写体検出を行わないものとする。つまり、被写体検出を、検出範囲404を除いた領域で行うことによって、ネットワークカメラシステムの処理の負荷を低減することができる。また、所定時間tが経過した後も同様に、検出範囲410を除いた領域で、以降は被写体検出を行うようにする。
【0033】
次に、本実施形態に係る処理について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。図7は、本実施形態に係る撮像装置19による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図7のS501〜S511の処理については、第1の実施形態で説明した図5と同様であるため、説明は省略する。
【0034】
S506で切り出し拡大部204により切り出し拡大が行われると、検出範囲設定部202により切り出し拡大範囲を検出対象から外すようにする(S701)。また、S508で切り出し拡大部204により切り出し拡大が行われた場合も同様に、検出範囲設定部202により切り出し拡大範囲を検出対象から外すようにする(S702)。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、被写体を切り出し拡大表示している間は、切り出し拡大表示している領域外で検出は行うが、拡大表示している領域内は検出を行わない。これにより、表示部で見えている領域以外での検出もでき、且つ撮像装置の処理負荷を低減することが可能であるため、より効率良く被写体検出を行うことができる。
【0036】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態におけるネットワークカメラシステムの構成については、第1の実施形態における図1に示すものと同様であるため、説明は省略する。上述した第1の実施形態では、切り出し拡大処理部20は図2に示した通り、制御部4によって出力された映像信号から、被写体検出部203で検出された被写体部分の切り出し拡大を行う。そして、切り出し拡大部204から出力された信号をエンコーダ7に送った。これに対して本実施形態では、検出された被写体が複数存在する場合に、切り出し拡大範囲の設定の仕方を変更する。
【0037】
図8は、図3に示す例において、撮像装置19により得られる映像の一例を示す図である。本実施形態では、被写体検出部203により検出範囲設定部202で設定された検出範囲に侵入者B303が入ってきたことを検出すると、切り出し拡大部204は侵入者B303が検出の対象となるように切り出し拡大する範囲を拡大する。すなわち、画像801において、侵入者A302と侵入者B303とが検出された場合に、切り出し拡大の範囲を大きくし、侵入者A302と侵入者B303とを含む画像809を表示するように表示対象を切り替える。
【0038】
このように本実施形態においては、次々と現れる複数の被写体(侵入者A、侵入者B)をどちらも含む領域に拡大することにより複数の被写体を拡大表示し、入出力機器10の操作者にとって侵入者を見やすくしている。これによって新しく侵入してきた侵入者B303に対しても拡大を行うことができ、詳細な被写体を確認することができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る撮像装置19による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9のS501〜S503、S507〜S511の処理については、第1の実施形態で説明した図5と同様であるため、説明は省略する。
【0040】
S503の判定の結果、新しい被写体が検出された場合には、切り出し拡大部204は切り出し拡大する範囲を拡張する(S901)。例えば、図8に示したように、侵入者A302だけの検出枠を侵入者B303にまで広げる。これにより、検出された被写体を全員表示することが可能となる。そして、拡大した範囲で切り出し拡大を行う(S902)。これにより、新しい被写体が次々に現れる場合であっても、検出は元の画像から行っていき、切り出し拡大対象を拡張することによって対応することができる。
【0041】
以上のように本実施形態によれば、検出された被写体を全員含む領域で切り出し拡大を行うようにしたので、複数の被写体間の位置関係をより明確にすることができる。
【0042】
なお、本実施形態において、第2の実施形態と組み合わせ、切り出し拡大する範囲を拡張し、その範囲について、以降、被写体検出を行わないようにしてもよい。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態におけるネットワークカメラシステムの構成については、第1の実施形態における図1に示すものと同様であるため、説明は省略する。本実施形態では、さらに被写体を検出するたびにイベントを通知する例について説明する。
【0044】
以下、本実施形態に係る処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る撮像装置19による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9のS501〜S511の処理については、第1の実施形態で説明した図5と同様であるため、説明は省略する。
【0045】
S502の判定の結果、被写体が検出された場合は、被写体の検知があったことの通知を行う。具体的には、切り出し拡大処理部20によりイベント通知情報を生成し、ネットワーク通信部9によりネットワーク18に送信する(S1001)。ここで、イベント通知情報は、新しく被写体が検出されたことを知らせるきっかけとして入出力機器10に知らせるために使用される。例えば、入出力機器10は、このイベント通知情報を受信すると、モニタの表示画面にポップアップ画面を表示させたり、アラーム音を鳴らしたりしてユーザに知らせることができる。また、S503の判定の結果、新しい被写体が検出された場合も、同様の手順によりイベント通知を行う(S1002)。
【0046】
さらに、S509でエンコーダ7により圧縮処理・暗号化処理などのNW処理が行われると、被写体の検出があった場合に検出された時刻と検出されている時間とのカウントを行う(S1011)。ネットワーク18に送信する前に図1で示した第2記憶部13に情報を保持させておくことによって検出した被写体に情報を結び付けて保持することができる。
【0047】
また、図11は、S510でネットワーク18に送信する前に、第2記憶部13に情報を保持させておく場合に、第2記憶部13に保持させる被写体情報の一例を示す図である。図11に示すように、画像情報、イベント通知情報、画像取得時刻、及び画像取得経過時間などのデータを第2記憶部13に記憶する。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、新しい被写体を検出するたびにイベント通知を行うようにしたので、新たな被写体を検出した場合にユーザはその存在を迅速に確認することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述してきたが、本発明はこれらの特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。また、前述した実施形態では、撮像装置としてネットワークカメラを例に取り上げて説明しているが、本発明では、監視カメラなどのネットワークカメラに限定するものではない。例えば、ネットワークにつないで映像の配信が可能な一般のビデオカメラや旋回機能の備えたカメラに対しても適応することが可能である。
【0050】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0051】
1 撮像光学系
2 撮像素子
3 A/D変換部
4 制御部
9 ネットワーク通信部
20 切り出し拡大処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して撮影画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段により生成された撮影画像から第1の被写体を検出する検出手段と、
前記撮影画像から、前記検出手段によって検出された第1の被写体を含む周辺領域を拡大した拡大画像を生成する拡大手段と、
前記拡大手段によって生成された拡大画像に係るデータを外部装置に送信する送信手段とを有し、
前記拡大手段は、前記検出手段により前記第1の被写体とは異なる第2の被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記第2の被写体を含む周辺領域に変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第1の被写体が検出された後に、前記拡大手段により生成された拡大画像に係る領域を除いた範囲で被写体の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記拡大手段は、前記検出手段により前記第1の被写体とは異なる第2の被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記第1の被写体及び第2の被写体を含む周辺領域に変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記検出手段により被写体が検出された場合に、前記外部装置にその旨を送信することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記その旨の情報を記憶する記憶手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出手段により検出された被写体の動きの変化を検出して追尾する追尾手段をさらに有し、
前記拡大手段は、前記追尾手段により追尾された被写体を含む周辺領域を拡大した拡大画像を生成することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記データとともに前記外部装置において表示する領域を指示する情報を送信することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体を撮像して撮影画像を生成する撮像手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段により生成された撮影画像から第1の被写体を検出する検出工程と、
前記撮影画像から、前記検出工程において検出された第1の被写体を含む周辺領域を拡大した拡大画像を生成する拡大工程と、
前記拡大工程において生成された拡大画像に係るデータを外部装置に送信する送信工程とを有し、
前記拡大工程においては、前記検出工程において前記第1の被写体とは異なる第2の被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記第2の被写体を含む周辺領域に変更することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項9】
被写体を撮像して撮影画像を生成する撮像手段を備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記撮像手段により生成された撮影画像から第1の被写体を検出する検出工程と、
前記撮影画像から、前記検出工程において検出された第1の被写体を含む周辺領域を拡大した拡大画像を生成する拡大工程と、
前記拡大工程において生成された拡大画像に係るデータを外部装置に送信する送信工程とをコンピュータに実行させ、
前記拡大工程においては、前記検出工程において前記第1の被写体とは異なる第2の被写体が検出された場合に、拡大画像を生成する対象を前記第2の被写体を含む周辺領域に変更することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115566(P2013−115566A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259232(P2011−259232)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】