撮像装置、画像記録装置及びプログラム
【課題】撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現を行うこと。
【解決手段】デジタルカメラ1は、画像を表示するためのLCD10及びEVF20を備えて構成され、操作部250によって、撮像センサ303から得られる画像の色空間を選択操作することが可能である。画像処理回路GPでは、操作部250を介して選択された色空間に適合させて色変換処理が施されて本画像が生成され、メモリカード8に対して本画像を圧縮記録することができるように構成される。これに対して、画像処理回路GPは、LCD10やEVF20に表示される画像に対しては、ユーザによって選択された色空間に適合させる色変換処理を行わず、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させるような色変換処理を行うように構成される。
【解決手段】デジタルカメラ1は、画像を表示するためのLCD10及びEVF20を備えて構成され、操作部250によって、撮像センサ303から得られる画像の色空間を選択操作することが可能である。画像処理回路GPでは、操作部250を介して選択された色空間に適合させて色変換処理が施されて本画像が生成され、メモリカード8に対して本画像を圧縮記録することができるように構成される。これに対して、画像処理回路GPは、LCD10やEVF20に表示される画像に対しては、ユーザによって選択された色空間に適合させる色変換処理を行わず、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させるような色変換処理を行うように構成される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置、画像記録装置及びプログラムに関し、特に画像の色再現技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10に一般的なxy色度図を示す。図10において領域R1は可視領域であり、領域R2は国際色再現規格であるsRGB色空間である。
【0003】
デジタルカメラ等の撮像装置で撮影される画像は、パーソナルコンピュータ等の外部機器に取り込まれ、外部機器のCRTモニタ等で再生表示されることが多い。このため従来は、撮像装置において撮影画像を記録する際、色再現範囲を、例えばsRGB色空間に適合させて記録していた(図10の領域R2)。これにより、多くの機器のCRTモニタ等と間でカラーマッチングを図ることが可能であった。
【0004】
ところが、インクジェットプリンタ等の一部の画像再生装置においては、図10の領域R3で示されるように、色再現範囲がsRGB色空間を越えるものが存在する。このため、撮像装置による画像撮影の目的が、専らそのような画像再生装置での画像再生にあるとすれば、色再現範囲の狭いsRGB色空間に適合させて画像記録を行うのは好ましいことではない。なぜなら、本来再現できる色を、sRGB色空間という狭い色空間に適合させてしまうため、図10に示す斜線領域の色成分が再現できなくなるからである。
【0005】
特に近年では、パーソナルコンピュータを介することなく、デジタルカメラから直接的にプリンタへ画像出力することが可能になっており、このような場合には外部機器のCRTモニタの色再現特性は全く無関係となる。
【0006】
したがって、上記のような場合には、撮像装置において、例えばAdobeRGB色空間(図10の領域R4)のように、一般的なsRGB色空間よりも色再現範囲の広い色空間に適合させて画像記録を行うことが望まれる。このような撮像装置は製品化されつつあり、例えば図11に示すような設定メニュー画面に基づいてユーザが設定操作を行うことにより、撮影によって得られる画像の使用目的に応じて所望の色空間を選択設定し、撮像装置内部の色変換処理では、ユーザによって選択された色空間に応じて色変換処理のパラメータを変更し、画像の色変換を行って画像記録を行うように構成されている。
【0007】
一方、撮像装置において、画像を記録する際には、撮影によって得られる記録用の本画像とともに、サムネイル画像も併せて記録するものがある。サムネイル画像は、撮像装置に設けられるビューファインダ等の表示デバイスに対して専ら画像表示を行うための画像として用いられる。このような表示デバイスにおいて表示可能な色空間は一般にsRGB色空間に近い場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の撮像装置では、サムネイル画像は、本画像に対して色変換処理が施された画像をそのまま縮小化することによって作成されていたため、撮影目的に応じて色空間の設定を変更した場合、サムネイル画像の色空間も本画像に対応して変更されていた。
【0009】
また、ビューファインダ等の表示デバイスにおいてライブビュー表示やアフタービュー表示を行う場合、ライブビュー画像やアフタービュー画像は、設定された色変換処理によって得られる画像がそのまま縮小されて表示されていたため、撮影目的に応じて色空間の設定を変更した場合、ライブビュー画像やアフタービュー画像の色空間も本画像に対応して変更されていた。
【0010】
つまり、従来の撮像装置は、撮像装置に設けられる表示デバイスで専ら画像表示を行うために生成される画像(サムネイル画像、ライブビュー画像及びアフタービュー画像等)であっても、表示デバイスに最適な色再現を行うことができない場合が発生し、色空間の設定によっては被写体が実際とは異なった色味で表示されてしまうという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現が行われるような色再現技術を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像を表示するための表示手段を備えた撮像装置であって、被写体の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段に表示される画像が、前記撮像手段から得られる画像のサムネイル画像として、前記記録手段に記録される画像であることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段に表示される画像が、撮影前の確認のためのプレビュー画像であることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、撮像装置を接続可能に構成され、前記撮像装置から得られる画像を表示可能な表示手段を備えた画像記録装置であって、前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、プログラムであって、当該プログラムが、撮像装置を接続可能に構成され、表示手段を備えたコンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを、前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段、及び前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段、として機能させ、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように、前記画像処理手段を機能させるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下においては、撮像装置として、デジタルカメラを例に挙げて説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.デジタルカメラの要部構成>
図1、図2および図3は、本発明の実施の形態にかかるデジタルカメラ1の要部構成を示す図であり、図1は正面図、図2は上面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0019】
図2に示すように、デジタルカメラ1は、撮影レンズであるマクロ機能付きレンズ群(以下、単に「レンズ」とも称する)30を含む撮像部3を備えている。また、デジタルカメラ1は、ズーム機能を有しており、ズームリング33を回転させることなどにより、撮影倍率の変更を行うことができる。さらに、デジタルカメラ1は、マクロ切替えレバー34を備えており、マクロ撮影と通常撮影とを切り換えることができる。また、デジタルカメラ1の上面にはシャッターボタン9が設けられている。
【0020】
また、デジタルカメラ1の上面には、「撮影モード」と「再生モード」と「設定モード」と「通信モード」とを切替設定するモード切替えダイアル14が設けられている。
【0021】
撮影モードは、写真撮影を行うモードであり、再生モードは、メモリカード8に記録された撮影画像データを背面LCD10やEVF20などの表示デバイスに再生表示するモードである。
【0022】
また、設定モードは、図11に示すような設定メニュー画面を背面LCD10等に表示し、ユーザがその設定メニュー画面に基づいて複数の色空間のうちから、撮影目的に応じた一の色空間を選択設定する等、デジタルカメラ1の各種機能設定を行うためのモードである。このため、デジタルカメラ1は、撮影目的に応じて、メモリカード8に記録する画像の色再現範囲を、ユーザが選択設定することができるように構成されている。
【0023】
さらに、通信モードは、デジタルカメラ1の側面に設けられるUSB端子226を介して、外部のパーソナルコンピュータなどにデータ転送するモードである。デジタルカメラ1の上面には、データパネル36がさらに設けられており、このデータパネル36において各種モードの設定状態等が表示される。
【0024】
図3に示すように、デジタルカメラ1の背面左方には、本撮影前に被写体を動画的態様で表示するライブビュー表示、本撮影後に撮影した画像を確認のために表示するアフタービュー表示および記録画像の再生表示等を行なうための表示デバイスとして、液晶ディスプレイ(背面LCD)10と電子ビューファインダ(EVF)20とが設けられている。この背面LCD10およびEVF20では、それぞれ表示サイズが640×480となっており、カラーで画像表示が行われる。
【0025】
デジタルカメラ1の背面右方には、カーソルボタン(十字キー)U、D、L、R、および実行ボタン32を含むコントロールボタン35が設けられており、このコントロールボタン35を用いて各種操作が行われる。また、デジタルカメラ1の背面には、メニューボタン37が設けられている。このメニューボタン37が押下されることにより、各種のメニューが背面LCD10に表示される。
【0026】
また、デジタルカメラ1の背面には、ディスプレイ切替レバー31が設けられている。ディスプレイ切替レバー31を操作することによって、背面LCD10、またはEVF20に画像表示が行われる。
【0027】
デジタルカメラ1の側面には、画像等のデータやプログラム等を記録する記録手段として働くメモリカード8を装着できるメモリスロット81が設けられている。
【0028】
<1−2.デジタルカメラ1の機能ブロック>
図4は、デジタルカメラ1の機能ブロックを示す図である。以下では、デジタルカメラ1の機能ブロックを、信号の流れに沿って説明する。
【0029】
デジタルカメラ1は、レンズ群30の後方に撮像センサ(CCD)303が設けられている。この撮像センサ303は、被写体に係る画像データを取得する撮像手段として機能し、RGBの原色透過フィルタがピクセル単位に市松状に配置されたエリアセンサで、全画素読み出しタイプである。
【0030】
撮像センサ303で光電変換された画像信号は、A/D変換器205でA/D変換された後に、WB乗算器206によりホワイトバランス補正が行われる。そして、インターポーレション回路207にてRGBの画素補間を行うことによりRGBの3チャンネルデータが生成される。
【0031】
インターポーレション回路207で生成されたRGBの画像データは、カラーマッチング補正に専用のハードウェア回路である画像処理回路GP(色変換マトリクス回路208、γ補正回路210および色変換回路212)によって、再生デバイスの再生特性に応じた可変のカラーマッチング処理が行われる。以下で、その詳細を説明する。
【0032】
色変換マトリクス回路208は、インターポーレション回路207で生成されたRGBデータに対して、3×3リニアマトリクス209によって撮像センサ303の色変換マトリクス演算を行う。色変換マトリクス演算が施された後、γ補正回路210で、γ補正情報に相当するγテーブル211により、RGBの各チャンネルとも再生デバイス等に合わせた階調補正が行われる。
【0033】
画像処理回路GPによって、カラー画像データの色空間は、ユーザの設定に従って、sRGB色空間ないしはAdobeRGB色空間に変換される。なお、sRGB色空間およびAdobeRGB色空間は、それぞれ図10に示される領域R2、R4に相当し、sRGB色空間はAdobeRGB色空間よりも色再現範囲が狭くなっている。
【0034】
そして、γ補正後、色変換回路212において、色差マトリクス213により、RGBからY・Cr・Cbチャンネルヘの変換を行い、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbに分離する。
【0035】
輝度信号Yについては、Yエンハンサー回路214において、周波数帯域分離される。そして輝度信号Yの高域側に対しては、信号レベルの調整と、ベースクリップ処理によって輪郭補正およびノイズ抑制が行われた後、高域側輝度信号と低域側輝度信号とが加算され、リサイザー回路219に入力される。
【0036】
Y、Cr、Cb信号はリサイザー回路219で、デジタルカメラ1における内部状態(動作状態)に応じて、各チャンネルの解像度変換処理(縮小処理)が適宜行われる。
【0037】
表示デバイスの表示サイズ640×480にリサイズされた画像データは、表示切替部235を介して、背面LCD10またはEVF20の表示デバイスに表示される。ここでは、ディスプレイ切替レバー31の設定状態に応じて表示デバイスが指定される。例えば背面LCD10が選択されている場合には、背面LCD10に画像が表示されることとなる。
【0038】
また、シャッターボタン9によるレリーズ時は、記録用となる撮影画像(本画像)が生成され、その画像データが画像圧縮部261によってJPEG方式等で圧縮された後、メモリカード8に書き込みが行われる。このメモリカード8の書込み時は、表示デバイスの表示サイズ640×480にリサイズされた画像データ(サムネイル画像)も併せてJPEG方式等で圧縮され、記録される。このサムネイル画像は専ら再生表示に使用される画像である。
【0039】
操作部250は、上述したシャッターボタン9、ディスプレイ切替レバー31、コントロールボタン35などの各種ボタン、レバーなどで構成される。ユーザは操作部250を介してデジタルカメラ1に対する入力操作を行うことになる。
【0040】
全体制御部221は、上述したカメラの各部を有機的に制御しデジタルカメラ1の動作を統括制御する部位であり、マイクロコンピュータとして働くCPUおよびRAM221aを有するとともに、ROM221bを有している。
【0041】
このROM221bは、制御プログラムを格納するとともに、色変換マトリクス回路208で使用されるリニアマトリクス209と、γ補正回路210で使用されるγテーブル211と、色変換回路212で使用される色差マトリクス213とを格納している。具体的には、リニアマトリクス209については4種類のマトリクスMs、Ma、Mas、Mssを保持し、γテーブル211についても4種類のγテーブルγs、γa、γas、γssを保持するとともに、色差マトリクス213についても4種類のマトリクスCs、Ca、Cas、Cssを保持している。
【0042】
なお、これらマトリクスやテーブルは全体制御部221のROM221b内に格納されているものを選択的に使用するのではなく、各ハードウェアブロック内部に保持されていても構わない。
【0043】
また、これらマトリクスやテーブルは、色空間としてsRGB色空間が選択されている場合にはマトリクスMs、γテーブルγs、色差マトリクスCsが、色空間としてAdobeRGB色空間が選択されている場合にはマトリクスMa、γテーブルγa、色差マトリクスCaが、各々使用される。したがって、マトリクスMs、γテーブルγsおよび色差マトリクスCsが画像処理回路GPに適用されて色変換処理が行われると汎用的な色空間であるsRGB色空間のカラー画像が生成され、マトリクスMa、γテーブルγaおよび色差マトリクスCaが画像処理回路GPに適用されて色変換処理が行われるとより色再現性の高い色空間であるAdobeRGB色空間のカラー画像が生成される。
【0044】
なお、マトリクスMas、γテーブルγas、色差マトリクスCasと、マトリクスMss、γテーブルγss、色差マトリクスCssに関しては後述する。
【0045】
以上の構成を有するデジタルカメラ1について、ライブビュー表示時の動作、画像キャプチャー時の動作、および画像再生時の動作を、以下で説明する。
【0046】
<1−3.ライブビュー表示時の動作について>
レリーズ操作前のライブビュー表示(プレビュー表示)時には、撮像センサ303で1/30秒ごとに撮像された画像データが、1/8間引きして出力され、それに同期して、画像処理回路GPおよびリサイザー回路219で処理が実行され、背面LCD10またはEVF20に被写体画像が動画状に表示される。
【0047】
このときには、ユーザの色変換設定の如何にかかわらず、リニアマトリクス209=Ms、γテーブル211=Ms、色差マトリクス213=Csに設定され、撮像センサ303で1/30秒ごとに撮像された画像データはsRGB色空間に適合させたカラー画像として生成され、背面LCD10またはEVF20に被写体画像が動画状に表示される。
【0048】
よって、ライブビュー表示時には、表示デバイスの表示特性(色再現範囲)に適合した色変換が行われ、背面LCD10またはEVF20において最適な状態で色再現されたカラー画像が表示されることになる。
【0049】
<1−4.画像キャプチャー時の動作について>
レリーズ操作に伴う画像キャプチャー時(本画像撮影時)には、撮像センサ303で撮像された画像データは、全画素出力され、画像処理回路GPで処理が実行され、RAM221a内に画像処理回路GPで処理された画像データを一時的に格納したうえで、画像圧縮部261で圧縮された画像データが、記録用の本画像データ(撮影画像データ)としてメモリカード8に記録される。
【0050】
このときには、ユーザの色空間設定に従って、リニアマトリクス209、γテーブル211、色差マトリクス213が上記のように設定され、撮像センサ303で撮像された画像データはユーザの色空間設定に適合したカラー画像(本画像)として、RAM221a内に一時的に格納される。
【0051】
そして、RAM221a内に一時的に格納された画像データは、リサイザー回路219に与えられ、リサイザー回路219で解像度変換が施される。
【0052】
ここで、ユーザによる色空間設定がsRGB色空間である場合と、AdobeRGB色空間である場合とのそれぞれについてデジタルカメラ1における内部処理を説明する。
【0053】
(1)ユーザの色空間設定がsRGB色空間の場合。
【0054】
画像処理回路GPでユーザによる色空間設定に基づいて処理された画像データがRAM221a内に一時的に格納された後に、640×480に解像度変換された画像データを、図4に示す経路Dispに沿って出力し、背面LCD10またはEVF20に表示する(アフタービュー表示)。
【0055】
リサイザー回路219において640×480に解像度変換が行われても、画像の色空間は変化しないため、sRGB色空間の画像データが背面LCD10またはEVF20に送出されることとなり、sRGB色空間に適合した画像がアフタービューとして表示される。
【0056】
そしてアフタービュー表示中にユーザが画像の削除を指示した場合のみ、RAM221a内に一時的に格納された本画像データが消去される。このため、本画像データのメモリカード8への記録は行われない。
【0057】
一方、アフタービュー表示中にユーザが画像の削除指示を行わなかった場合には、アフタービュー表示に使用された画像データ(すなわち、リサイザー回路219にて生成される640×480の解像度を有するsRGB色空間の画像データ)は、そのまま画像圧縮部261に与えられて、圧縮され、サムネイル画像データとされる。このサムネイル画像データは、本画像データとともに、メモリカード8に記録される。なお、画像圧縮部261において画像圧縮が行われても色空間は変化しないので、サムネイル画像はsRGB色空間に適合した画像データとなる。
【0058】
図5はメモリカード8に記録される画像ファイルの概念を示す図であり、ユーザによって削除指示が与えられない限り、画像キャプチャーによって図5に示すような画像ファイル200が作成されてメモリカード8に記録される。
【0059】
図5に示すように、画像ファイル200には、画像キャプチャー時の撮影条件が記述されたタグ情報201と、ユーザによる色空間設定に適合した本画像データ202と、専ら画像再生のために用いられるサムネイル画像データ203とが含まれる。
【0060】
そしてユーザの色空間設定がsRGB色空間である場合には、タグ情報201に色空間設定がsRGB色空間であることを示す色空間情報が記録される。色空間情報がタグ情報201に含まれることにより、例えば画像再生に、本画像データの色空間設定を識別することが可能になる。
【0061】
(2)ユーザの色空間設定がAdobeRGB色空間の場合。
【0062】
画像処理回路GPでユーザによる色空間設定に基づいて処理された画像データがRAM221a内に一時的に格納された後に、640×480に解像度変換された画像データを、図4に示す経路FWに沿って伝達し、再度、色変換マトリクス回路208に入力させる。経路FWは、画像処理回路GPの出力を再度入力に導くための、回帰経路である。
【0063】
そしてこのとき、リニアマトリクス209、γテーブル211、色差マトリクス213のそれぞれは、Mas、γas、Casにセットされ、AdobeRGB色空間に適合したカラー画像データが、sRGB色空間に適合したカラー画像データに変換される。つまり、マトリクスMas、γテーブルγasおよび色差マトリクスCasは、AdobeRGB色空間に適合したカラー画像を、sRGB色空間に適合したカラー画像に変換するためのパラメータとなる。そして画像処理回路GPにて生成されるsRGB色空間の画像データは、リサイザー回路219をスルーして、経路Dispに沿って出力され、sRGB色空間の画像が背面LCD10またはEVF20に表示される(アフタービュー表示)。
【0064】
そしてアフタービュー表示中にユーザが画像の削除を指示した場合のみ、RAM221a内に一時的に格納された本画像データが消去される。
【0065】
一方、アフタービュー表示中にユーザが画像の削除指示を行わなかった場合には、アフタービュー表示に使用された画像データ(すなわち、AdobeRGB色空間からsRGB色空間に変換された画像データ)は、そのまま画像圧縮部261に与えられて、圧縮され、サムネイル画像データとされる。そして、サムネイル画像データは、本画像データとともに、メモリカード8に記録される。
【0066】
メモリカード8への記録時には、図5に示すように、撮影条件が記述されたタグ情報201と、ユーザによる色空間設定(AdobeRGB色空間)に適合した本画像データ202と、専ら画像再生のために用いられるsRGB色空間に適合したサムネイル画像データ203とが含まれる画像ファイル200が生成されて記録される。そしてユーザの色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、タグ情報201に色空間設定がAdobeRGB色空間であることが記録される。
【0067】
<1−5.画像再生時の動作について>
画像再生時には、ユーザが十字キー等を操作することによって選択された画像ファイルのサムネイル画像データが経路PLYに沿って出力され、画像伸長部262にて伸長される。サムネイル画像データは、先述の通り、sRGB色空間に適合した状態でメモリカード8に記録されているため、それを画像伸長部262において伸長しても色空間は変化しない。
【0068】
そして画像伸長部262において伸長された画像データは、再度、色変換マトリクス回路208に入力する。このとき、リニアマトリクス209、γテーブル211,色差マトリクス213はそれぞれ、Mss、γss、Cssにセットされ、sRGB色空間に適合したカラー画像データが、sRGB色空間に適合したカラー画像データに変換される。つまり、リニアマトリクスMss、γテーブルγssおよび色差マトリクスCssは、実質的に色変換を行わないパラメータである。言い換えれば、このとき画像処理回路GPにおいては実質的に何も処理を施さず、リサイザー回路219をスルーして、そのまま背面LCD10またはEVF20に対して出力される。
【0069】
この結果、背面LCD10またはEVF20では、表示特性(色再現範囲)に適合した画像が再生表示され、メモリカード8に記録されている画像がどのような色味で記録されているかを正確に把握することが可能である。
【0070】
以上のように、本実施形態のデジタルカメラ1は、画像を表示するための表示デバイスを備えて構成され、操作部250によって、撮像センサ303から得られる画像の色空間を選択操作することが可能である。そして画像処理回路GPでは、操作部250を介して選択された色空間に適合させて色変換処理が施されて本画像が生成され、メモリカード8に対して本画像を圧縮記録することができるように構成されている。またこれに対して、画像処理回路GPは、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像に対しては、ユーザによって選択された色空間に適合させる色変換処理(すなわち、本画像に対して実行される色変換処理)を行わず、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させるような色変換処理を行うように構成される。
【0071】
このため、デジタルカメラ1は、撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現を行うことが可能である。
【0072】
また、表示用の画像に対して行われる色変換処理は、操作部250によって選択可能な色空間のうち、最も広い色空間(例えば、AdobeRGB色空間)よりも、狭い範囲の色空間(例えば、sRGB色空間)に適合させて行われることになり、表示用の画像においては汎用的な色空間が再現されることになる。
【0073】
また、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像は、撮像センサ303から得られる画像のサムネイル画像として、メモリカード8に記録される画像であるため、メモリカード8に記録された画像を再生表示する際に、デジタルカメラ1の表示デバイスに最適な色再現が可能となり、撮影結果の確認を適切に行うことが可能である。
【0074】
また、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像は、撮影前の確認のためのプレビュー画像(ライブビュー画像)であるため、撮影前の状態において画像を表示する際にデジタルカメラ1の表示デバイスに最適な色再現が可能となる。このため、撮影前に被写体の色味の確認を容易に行うことができる。
【0075】
また、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像は、撮影後の確認のためのアフタービュー画像でもあるため、撮影によって得られた画像を表示する際にデジタルカメラ1の表示デバイスに最適な色再現が可能となる。このため、撮影直後に撮影結果の確認を適切に行うことができる。
【0076】
また、画像処理回路GPは、操作部250から選択された色空間に適合させて色変換処理を施すことによって、レリーズ操作に応答した記録用の本画像を生成した後、本画像を縮小した画像に対し、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。このため、本画像とは異なる色空間を示す表示用の画像が、本画像生成に連動して生成されることになる。よって、画像再生時には、色変換処理を行う必要がなくなるので、処理の高速化を図ることができる。
【0077】
また、画像処理回路GPは、本画像を縮小した画像であって、本画像とは異なる色空間の画像を生成する際には、本画像を生成する際に適用された色変換処理用のパラメータを、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させるためのパラメータに変更して色変換処理を行うように構成されている。換言すれば、画像処理回路GPは、本画像に対する色変換処理と、本画像とは異なる色空間の画像を生成するための色空間処理との双方を行うように構成されており、回路の共通化が図られている。このため、それぞれの色空間の画像を生成するために処理回路を個別に設ける場合と比較すると、回路規模の小規模化を図ることができ、コスト低廉及び省電力化を図ることができる。
【0078】
以上、本実施形態では主として、デジタルカメラ1に設けられた表示デバイスに画像表示を行う場合を説明したが、表示切替部235に対して外部表示装置を接続可能なように構成し、その外部表示装置に対してもサムネイル画像を表示するように構成してもよい。この場合、サムネイル画像に対して行われる色変換処理は、操作部250で選択設定可能な色空間のうち、最も広い色空間(例えば、AdobeRGB色空間)よりも、狭い範囲の色空間(例えば、sRGB色空間)に適合させて行われることになる。つまり、サムネイル画像を外部表示装置に対して表示する場合には、より汎用的な色空間が再現されるので、著しく色味が異なった画像が表示されることを防止することができる。
【0079】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、デジタルカメラ1にて画像の撮影を行うとともに画像記録を行う場合であって、デジタルカメラ1の内部にて色変換処理を行う場合を例示した。しかし、デジタルカメラ1が撮像センサ303で撮影された画像をそのまま外部機器に出力し、外部機器側で色変換処理を行って画像記録等を行うことも可能である。そこで、本実施形態では、外部機器がデジタルカメラから画像を入力し、その入力画像に対して色変換処理を行う場合を例示する。
【0080】
図6は、本実施形態における画像記録システムの構成を示す図であり、パーソナルコンピュータ等で構成される画像記録装置6と、デジタルカメラ69とがケーブル68を介して電気的に接続された構成となっている。なお、ケーブル68は、有線または無線のネットワークを含んでいてもよい。
【0081】
デジタルカメラ69は、第1の実施の形態で示したものとほぼ同様の構成であるが、画像処理回路GPにおける色変換処理は行われず、撮像センサ303から得られる画像はそのままケーブル68を介して画像記録装置6に出力されるように構成されている。
【0082】
画像記録装置6は、内部にCPUやメモリ等が設けられた処理部62と、画像を表示するための表示部61と、ユーザが操作入力を行うためのキーボードやマウス等の操作部63とを備えて構成される。処理部62にはデジタルカメラ69に接続されるケーブル68が装着され、処理部62において、デジタルカメラ69より入力する画像データに対して各種データ処理が施される。
【0083】
また、処理部62には、第1の実施の形態にて説明したデジタルカメラ1と等価なデータ処理機能を達成させるためのプログラムがインストールされており、処理部62内部のCPUがそのプログラムを実行することによって、デジタルカメラ69から入力する画像に対して色変換処理等のデータ処理が行われる。
【0084】
なお、上記プログラムはCD−ROM等の記録媒体65に格納されており、処理部62が記録媒体65に格納されたプログラムを読み取ってインストールを行うようにしてもしてもよいし、記録媒体65に格納されたプログラムを読み取って、インストールを行うことなく、直接的に実行するようにしてもよい。
【0085】
上記のように構成された画像記録システムでは、画像記録装置6からデジタルカメラ69に対して撮影指示を与えることができ、画像記録装置6はデジタルカメラ69から得られる画像に対して色変換処理等のデータ処理を施すように構成される。
【0086】
図7ないし図9は、画像記録装置6の動作を示すフローチャートである。まず、画像記録装置6に電源が投入され、上記プログラムの起動が行われると、表示部61に対してメニュー画面が表示される(ステップS1)。このメニュー画面には、「設定」、「撮影」、「再生」、「終了」等の選択項目が表示され、ユーザは操作部63を介してこのうち一の項目を選択する操作を行う(ステップS2)。
【0087】
メニュー画面において「設定」項目が選択された場合(ステップS3にてYES)、処理部62はユーザの選択操作に基づいて色空間の選択設定を行う(ステップS7)。ここでの色空間の設定は、キャプチャーした画像データを処理部62において記録する際の色空間の設定である。このとき設定された色空間に関する情報は、処理部62内のメモリ等に一時的に記録される。
【0088】
そして色空間の設定が終了すると、再びメニュー画面の表示に戻ることになる(ステップS1)。
【0089】
メニュー画面において「撮影」項目が選択された場合(ステップS4にてYES)、画像記録装置6は撮影処理(ステップS8)を行う。この撮影処理の詳細は図8に示すフローチャートである。撮影処理が開始すると、処理部62はまず、画像記録の際に適用される色空間設定がAdobeRGB色空間であるか否かを判断する(ステップS81)。そして色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、表示用画像の色空間設定をsRGB色空間に変更するためのパラメータをセットし(ステップS82)、撮影前のプレビュー画像となる画像表示を行う(ステップS83)。これに対し、色空間設定がAdobeRGB色空間でない場合には、色空間設定が既にsRGB色空間に設定されていると考えられることから、色空間の変更を行わず、その状態のままで撮影前のプレビュー画像となる画像表示を行う(ステップS83)。
【0090】
この画像表示処理(ステップS83)では、処理部62からデジタルカメラ69に対してライブビュー撮影を繰り返し行うように指示が出され、撮影前の被写体画像が動画状に表示される。このとき、表示部61の表示特性に最適なsRGB色空間の画像が表示されるので、ユーザはプレビュー状態において被写体画像の色味を正確に把握することができる。
【0091】
そしてユーザが操作部63より撮影指示を与えると、処理部62はデジタルカメラ69に対してキャプチャー指示を与える(ステップS84)。なお、撮影指示が与えられるまで、ライブビューのための画像表示処理(ステップS83)が繰り返し実行される。
【0092】
キャプチャー指示が与えられると、次に処理部62は、画像記録の際に適用される色空間設定がAdobeRGB色空間であるか否かを判断する(ステップS85)。そして色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、記録用画像の色空間設定をAdobeRGB色空間とするためのパラメータをセットする(ステップS87)。これに対し、色空間設定がAdobeRGB色空間でない場合には、色空間設定がsRGB色空間に設定されていると考えられることから、記録用画像の色空間設定をsRGB色空間とするためのパラメータをセットする(ステップS86)。
【0093】
そしてキャプチャー指示に応答してデジタルカメラ69から得られる画像データに対して、ステップS86又はS87でセットしたパラメータを適用して色変換処理を施した後、適宜画像圧縮等を行って、処理部62内部に設けられる磁気ディスク装置等に対して画像記録を行う(ステップS88)。なお、記録処理の詳細は、第1の実施の形態で説明したものと同様であり、本画像とともに、サムネイル画像およびタグ情報が含まれた画像ファイルが作成され、サムネイル画像はsRGB色空間に適合するような色変換が行われて記録される。
【0094】
これにより、画像記録装置6では、撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能にしつつも、表示部61に画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現が行われるようになっている。
【0095】
次に、メニュー画面において「再生」項目が選択された場合(ステップS5にてYES)、画像記録装置6は再生処理(ステップS9)を行う。この再生処理の詳細は図9に示すフローチャートである。再生処理が開始すると、処理部62はまず、サムネイル画像の再生か、本画像の再生かを判別する(ステップS91)。この判別はユーザの操作内容に基づいて行われ、ユーザがサムネイル画像の再生を指示した場合には、YESと判断される。
【0096】
ユーザがサムネイル画像の再生を指示した場合には、ステップS92に進み、本画像とともに記録されているサムネイル画像が読み出されて、表示部61への表示処理が行われる。サムネイル画像はsRGB色空間で記録されているため、表示部61の表示特性に合致した色空間で画像表示が行われることになる。なお、ステップS92においては、表示部61に対して複数のサムネイル画像を一覧形式で表示するようにしてもよい。
【0097】
次に、ユーザが本画像の再生を指示した場合には、ステップS93に進み、再生対象となる本画像がAdobeRGB色空間で記録されているか否かを判断する(ステップS93)。処理部62は、再生対象となる画像ファイルのタグ情報を参照することにより、本画像の色空間を判別することができる。
【0098】
そして色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、本画像の色空間設定をsRGB色空間に変更するためのパラメータをセットする(ステップS94)。例えば、第1の実施の形態で説明した、リニアマトリクス、γテーブル、色差マトリクスのそれぞれを、Mas、γas、Casにセットすることで、AdobeRGB色空間に適合したカラー画像データを、sRGB色空間に適合したカラー画像データに変換するのである。
【0099】
そしてsRGB色空間に変換された本画像を表示部61に対して表示することで、処理部62に記録された本画像の画像再生を行う(ステップS95)。
【0100】
これに対し、ステップS93において本画像の色空間がsRGB色空間である場合には(ステップS93にてNO)、そのまま画像表示処理(ステップS95)が行われて、本画像の再生表示が行われる。
【0101】
なお、画像表示処理(ステップS95)では、必要に応じて画像データのリサイズを行うようにしても構わない。
【0102】
次に、メニュー画面において「終了」項目が選択された場合(ステップS6にてYES)、画像記録装置6における処理は終了する。
【0103】
以上のように、本実施形態の画像記録装置6は、デジタルカメラ1を接続可能に構成され、デジタルカメラ1から得られる画像を表示可能な表示部61を備えている。そして、処理部62では、デジタルカメラ1から得られる画像に対し、ユーザの選択操作によって色空間に適合させた色変換処理が施され、その結果得られる画像が記録されるように構成される。また、処理部62では、表示部61に表示される画像に対しては、操作部63を介して選択された色空間に適合させず、表示部61の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理が施される。このため、画像記録装置6において、画像を記録する際にはその目的に応じて色再現範囲を変更することを可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現を行うことができる。
【0104】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した内容に限定されるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0105】
例えば、上記説明においては、カラー画像に対する色空間設定として、AdobeRGB色空間とsRGB色空間との2種類の色空間が設定可能な場合を例示したが、この種類はさらに多くても構わない。また、本発明で規定される色空間は、AdobeRGB色空間とsRGB色空間との間の関係に限られるものではなく、将来定義されるであろう新たな色空間に対しても適用可能であることは勿論である。
【0106】
また、上記説明においては、撮像装置としてデジタルカメラを例示したが、これに限定されるものでもなく、撮像機能付き携帯電話機等のようなその他の撮像装置であっても構わない。
【0107】
なお、上述した内容には、以下の発明概念が含まれる。
【0108】
(1) 請求項2に記載の撮像装置において、外部表示装置が接続可能であり、前記サムネイル画像が前記外部表示装置に対しても表示される場合、前記サムネイル画像に対して行われる色変換処理は、前記操作手段で選択設定可能な色空間のうち、最も広い色空間よりも狭い範囲の色空間に適合させて行われることを特徴とする撮像装置。
【0109】
これにより、サムネイル画像を外部表示装置に対して表示する場合には、より汎用的な色空間が再現されるので、著しく色味が異なった画像が表示されることを防止することができる。
【0110】
(2) 請求項1に記載の撮像装置において、前記画像処理手段は、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施すことによって本画像を生成した後、前記本画像を縮小した画像に対し、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すことを特徴とする撮像装置。
【0111】
これにより、本画像とは異なる色空間を示す表示用の画像が、本画像生成に連動して生成されることになり、画像再生時には、色変換処理を行う必要がなくなるので、処理の高速化を図ることができる。
【0112】
(3) 上記(2)に記載の撮像装置において、前記画像処理手段は、前記本画像を縮小した画像であって、前記本画像とは異なる色空間の画像を生成する際には、前記本画像を生成する際に適用された色変換処理用のパラメータを、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させるためのパラメータに変更することを特徴とすることを特徴とする撮像装置。
【0113】
これにより、画像処理手段が、本画像に対する色変換処理と、本画像とは異なる色空間の画像を生成するための色空間処理との双方を行うように構成され、回路の共通化が図られる。このため、それぞれの色空間の画像を生成するために処理回路を個別に設ける場合と比較すると、回路規模の小規模化を図ることができ、コスト低廉及び省電力化を図ることができる。
【0114】
(4) 請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段に表示される画像は、撮影後の確認のためのアフタービュー画像であることを特徴とする撮像装置。
【0115】
これにより、撮影によって得られた画像を表示する際に撮像装置の表示手段に最適な色再現が可能となる。このため、撮影直後に撮影結果の確認を適切に行うことができる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、撮像手段によって得られる画像の色空間を操作手段によって選択された色空間に適合させるように色変換処理を施し、その色変換処理が施された画像を記録するように構成され、表示手段に表示される画像に対しては、操作手段によって選択された色空間に適合させず、表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。このため、撮像装置は、撮影目的に応じて色再現範囲を設定することができるとともに、画像表示を行う際には表示手段に適した色再現を行うことが可能である。
【0117】
請求項2に記載の発明によれば、表示手段に表示される画像が、撮像手段から得られる画像のサムネイル画像として、記録手段に記録される画像であるため、記録手段に記録された画像を再生表示する際には、撮像装置の表示手段に最適な色再現が可能となり、撮影結果の確認を適切に行うことが可能である。
【0118】
請求項3に記載の発明によれば、表示手段に表示される画像が、撮影前の確認のためのプレビュー画像であるため、撮影前の状態において画像を表示する際、表示手段に最適な色再現が可能となる。このため、撮影前に被写体の色味の確認を容易に行うことができる。
【0119】
請求項4に記載の発明によれば、撮像装置から得られる画像の色空間を、操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施し、その色変換処理が施された画像を記録するように構成されており、表示手段に表示される画像に対しては、操作手段によって選択された色空間に適合させず、表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成されるため、画像記録装置は、撮影目的に応じて色再現範囲を設定することができるとともに、画像表示を行う際には表示手段に適した色再現を行うことが可能である。
【0120】
請求項5に記載の発明によれば、撮影目的に応じて色再現範囲を設定することができるとともに、画像表示を行う際には表示手段に適した色再現を行うことが可能なコンピュータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかるデジタルカメラの正面図である。
【図2】デジタルカメラの上面図である。
【図3】デジタルカメラの背面図である。
【図4】デジタルカメラの機能ブロックを示す図である。
【図5】メモリカードに記録される画像ファイルの概念を示す図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる画像記録システムの構成を示す図である。
【図7】画像記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】画像記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】画像記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】一般的なxy色度図である。
【図11】色空間に関する設定メニュー画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1,69 デジタルカメラ(撮像装置)
6 画像記録装置
8 メモリカード(記録手段)
10 背面LCD(表示手段)
20 EVF(表示手段)
209 リニアマトリクス
221 γテーブル
213 色差マトリクス
221 全体制御部
221a RAM
221b ROM
250 操作部(操作手段)
GP 画像処理回路(画像処理手段)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置、画像記録装置及びプログラムに関し、特に画像の色再現技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10に一般的なxy色度図を示す。図10において領域R1は可視領域であり、領域R2は国際色再現規格であるsRGB色空間である。
【0003】
デジタルカメラ等の撮像装置で撮影される画像は、パーソナルコンピュータ等の外部機器に取り込まれ、外部機器のCRTモニタ等で再生表示されることが多い。このため従来は、撮像装置において撮影画像を記録する際、色再現範囲を、例えばsRGB色空間に適合させて記録していた(図10の領域R2)。これにより、多くの機器のCRTモニタ等と間でカラーマッチングを図ることが可能であった。
【0004】
ところが、インクジェットプリンタ等の一部の画像再生装置においては、図10の領域R3で示されるように、色再現範囲がsRGB色空間を越えるものが存在する。このため、撮像装置による画像撮影の目的が、専らそのような画像再生装置での画像再生にあるとすれば、色再現範囲の狭いsRGB色空間に適合させて画像記録を行うのは好ましいことではない。なぜなら、本来再現できる色を、sRGB色空間という狭い色空間に適合させてしまうため、図10に示す斜線領域の色成分が再現できなくなるからである。
【0005】
特に近年では、パーソナルコンピュータを介することなく、デジタルカメラから直接的にプリンタへ画像出力することが可能になっており、このような場合には外部機器のCRTモニタの色再現特性は全く無関係となる。
【0006】
したがって、上記のような場合には、撮像装置において、例えばAdobeRGB色空間(図10の領域R4)のように、一般的なsRGB色空間よりも色再現範囲の広い色空間に適合させて画像記録を行うことが望まれる。このような撮像装置は製品化されつつあり、例えば図11に示すような設定メニュー画面に基づいてユーザが設定操作を行うことにより、撮影によって得られる画像の使用目的に応じて所望の色空間を選択設定し、撮像装置内部の色変換処理では、ユーザによって選択された色空間に応じて色変換処理のパラメータを変更し、画像の色変換を行って画像記録を行うように構成されている。
【0007】
一方、撮像装置において、画像を記録する際には、撮影によって得られる記録用の本画像とともに、サムネイル画像も併せて記録するものがある。サムネイル画像は、撮像装置に設けられるビューファインダ等の表示デバイスに対して専ら画像表示を行うための画像として用いられる。このような表示デバイスにおいて表示可能な色空間は一般にsRGB色空間に近い場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の撮像装置では、サムネイル画像は、本画像に対して色変換処理が施された画像をそのまま縮小化することによって作成されていたため、撮影目的に応じて色空間の設定を変更した場合、サムネイル画像の色空間も本画像に対応して変更されていた。
【0009】
また、ビューファインダ等の表示デバイスにおいてライブビュー表示やアフタービュー表示を行う場合、ライブビュー画像やアフタービュー画像は、設定された色変換処理によって得られる画像がそのまま縮小されて表示されていたため、撮影目的に応じて色空間の設定を変更した場合、ライブビュー画像やアフタービュー画像の色空間も本画像に対応して変更されていた。
【0010】
つまり、従来の撮像装置は、撮像装置に設けられる表示デバイスで専ら画像表示を行うために生成される画像(サムネイル画像、ライブビュー画像及びアフタービュー画像等)であっても、表示デバイスに最適な色再現を行うことができない場合が発生し、色空間の設定によっては被写体が実際とは異なった色味で表示されてしまうという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現が行われるような色再現技術を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像を表示するための表示手段を備えた撮像装置であって、被写体の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段に表示される画像が、前記撮像手段から得られる画像のサムネイル画像として、前記記録手段に記録される画像であることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段に表示される画像が、撮影前の確認のためのプレビュー画像であることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、撮像装置を接続可能に構成され、前記撮像装置から得られる画像を表示可能な表示手段を備えた画像記録装置であって、前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、プログラムであって、当該プログラムが、撮像装置を接続可能に構成され、表示手段を備えたコンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを、前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段、及び前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段、として機能させ、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように、前記画像処理手段を機能させるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下においては、撮像装置として、デジタルカメラを例に挙げて説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.デジタルカメラの要部構成>
図1、図2および図3は、本発明の実施の形態にかかるデジタルカメラ1の要部構成を示す図であり、図1は正面図、図2は上面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0019】
図2に示すように、デジタルカメラ1は、撮影レンズであるマクロ機能付きレンズ群(以下、単に「レンズ」とも称する)30を含む撮像部3を備えている。また、デジタルカメラ1は、ズーム機能を有しており、ズームリング33を回転させることなどにより、撮影倍率の変更を行うことができる。さらに、デジタルカメラ1は、マクロ切替えレバー34を備えており、マクロ撮影と通常撮影とを切り換えることができる。また、デジタルカメラ1の上面にはシャッターボタン9が設けられている。
【0020】
また、デジタルカメラ1の上面には、「撮影モード」と「再生モード」と「設定モード」と「通信モード」とを切替設定するモード切替えダイアル14が設けられている。
【0021】
撮影モードは、写真撮影を行うモードであり、再生モードは、メモリカード8に記録された撮影画像データを背面LCD10やEVF20などの表示デバイスに再生表示するモードである。
【0022】
また、設定モードは、図11に示すような設定メニュー画面を背面LCD10等に表示し、ユーザがその設定メニュー画面に基づいて複数の色空間のうちから、撮影目的に応じた一の色空間を選択設定する等、デジタルカメラ1の各種機能設定を行うためのモードである。このため、デジタルカメラ1は、撮影目的に応じて、メモリカード8に記録する画像の色再現範囲を、ユーザが選択設定することができるように構成されている。
【0023】
さらに、通信モードは、デジタルカメラ1の側面に設けられるUSB端子226を介して、外部のパーソナルコンピュータなどにデータ転送するモードである。デジタルカメラ1の上面には、データパネル36がさらに設けられており、このデータパネル36において各種モードの設定状態等が表示される。
【0024】
図3に示すように、デジタルカメラ1の背面左方には、本撮影前に被写体を動画的態様で表示するライブビュー表示、本撮影後に撮影した画像を確認のために表示するアフタービュー表示および記録画像の再生表示等を行なうための表示デバイスとして、液晶ディスプレイ(背面LCD)10と電子ビューファインダ(EVF)20とが設けられている。この背面LCD10およびEVF20では、それぞれ表示サイズが640×480となっており、カラーで画像表示が行われる。
【0025】
デジタルカメラ1の背面右方には、カーソルボタン(十字キー)U、D、L、R、および実行ボタン32を含むコントロールボタン35が設けられており、このコントロールボタン35を用いて各種操作が行われる。また、デジタルカメラ1の背面には、メニューボタン37が設けられている。このメニューボタン37が押下されることにより、各種のメニューが背面LCD10に表示される。
【0026】
また、デジタルカメラ1の背面には、ディスプレイ切替レバー31が設けられている。ディスプレイ切替レバー31を操作することによって、背面LCD10、またはEVF20に画像表示が行われる。
【0027】
デジタルカメラ1の側面には、画像等のデータやプログラム等を記録する記録手段として働くメモリカード8を装着できるメモリスロット81が設けられている。
【0028】
<1−2.デジタルカメラ1の機能ブロック>
図4は、デジタルカメラ1の機能ブロックを示す図である。以下では、デジタルカメラ1の機能ブロックを、信号の流れに沿って説明する。
【0029】
デジタルカメラ1は、レンズ群30の後方に撮像センサ(CCD)303が設けられている。この撮像センサ303は、被写体に係る画像データを取得する撮像手段として機能し、RGBの原色透過フィルタがピクセル単位に市松状に配置されたエリアセンサで、全画素読み出しタイプである。
【0030】
撮像センサ303で光電変換された画像信号は、A/D変換器205でA/D変換された後に、WB乗算器206によりホワイトバランス補正が行われる。そして、インターポーレション回路207にてRGBの画素補間を行うことによりRGBの3チャンネルデータが生成される。
【0031】
インターポーレション回路207で生成されたRGBの画像データは、カラーマッチング補正に専用のハードウェア回路である画像処理回路GP(色変換マトリクス回路208、γ補正回路210および色変換回路212)によって、再生デバイスの再生特性に応じた可変のカラーマッチング処理が行われる。以下で、その詳細を説明する。
【0032】
色変換マトリクス回路208は、インターポーレション回路207で生成されたRGBデータに対して、3×3リニアマトリクス209によって撮像センサ303の色変換マトリクス演算を行う。色変換マトリクス演算が施された後、γ補正回路210で、γ補正情報に相当するγテーブル211により、RGBの各チャンネルとも再生デバイス等に合わせた階調補正が行われる。
【0033】
画像処理回路GPによって、カラー画像データの色空間は、ユーザの設定に従って、sRGB色空間ないしはAdobeRGB色空間に変換される。なお、sRGB色空間およびAdobeRGB色空間は、それぞれ図10に示される領域R2、R4に相当し、sRGB色空間はAdobeRGB色空間よりも色再現範囲が狭くなっている。
【0034】
そして、γ補正後、色変換回路212において、色差マトリクス213により、RGBからY・Cr・Cbチャンネルヘの変換を行い、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbに分離する。
【0035】
輝度信号Yについては、Yエンハンサー回路214において、周波数帯域分離される。そして輝度信号Yの高域側に対しては、信号レベルの調整と、ベースクリップ処理によって輪郭補正およびノイズ抑制が行われた後、高域側輝度信号と低域側輝度信号とが加算され、リサイザー回路219に入力される。
【0036】
Y、Cr、Cb信号はリサイザー回路219で、デジタルカメラ1における内部状態(動作状態)に応じて、各チャンネルの解像度変換処理(縮小処理)が適宜行われる。
【0037】
表示デバイスの表示サイズ640×480にリサイズされた画像データは、表示切替部235を介して、背面LCD10またはEVF20の表示デバイスに表示される。ここでは、ディスプレイ切替レバー31の設定状態に応じて表示デバイスが指定される。例えば背面LCD10が選択されている場合には、背面LCD10に画像が表示されることとなる。
【0038】
また、シャッターボタン9によるレリーズ時は、記録用となる撮影画像(本画像)が生成され、その画像データが画像圧縮部261によってJPEG方式等で圧縮された後、メモリカード8に書き込みが行われる。このメモリカード8の書込み時は、表示デバイスの表示サイズ640×480にリサイズされた画像データ(サムネイル画像)も併せてJPEG方式等で圧縮され、記録される。このサムネイル画像は専ら再生表示に使用される画像である。
【0039】
操作部250は、上述したシャッターボタン9、ディスプレイ切替レバー31、コントロールボタン35などの各種ボタン、レバーなどで構成される。ユーザは操作部250を介してデジタルカメラ1に対する入力操作を行うことになる。
【0040】
全体制御部221は、上述したカメラの各部を有機的に制御しデジタルカメラ1の動作を統括制御する部位であり、マイクロコンピュータとして働くCPUおよびRAM221aを有するとともに、ROM221bを有している。
【0041】
このROM221bは、制御プログラムを格納するとともに、色変換マトリクス回路208で使用されるリニアマトリクス209と、γ補正回路210で使用されるγテーブル211と、色変換回路212で使用される色差マトリクス213とを格納している。具体的には、リニアマトリクス209については4種類のマトリクスMs、Ma、Mas、Mssを保持し、γテーブル211についても4種類のγテーブルγs、γa、γas、γssを保持するとともに、色差マトリクス213についても4種類のマトリクスCs、Ca、Cas、Cssを保持している。
【0042】
なお、これらマトリクスやテーブルは全体制御部221のROM221b内に格納されているものを選択的に使用するのではなく、各ハードウェアブロック内部に保持されていても構わない。
【0043】
また、これらマトリクスやテーブルは、色空間としてsRGB色空間が選択されている場合にはマトリクスMs、γテーブルγs、色差マトリクスCsが、色空間としてAdobeRGB色空間が選択されている場合にはマトリクスMa、γテーブルγa、色差マトリクスCaが、各々使用される。したがって、マトリクスMs、γテーブルγsおよび色差マトリクスCsが画像処理回路GPに適用されて色変換処理が行われると汎用的な色空間であるsRGB色空間のカラー画像が生成され、マトリクスMa、γテーブルγaおよび色差マトリクスCaが画像処理回路GPに適用されて色変換処理が行われるとより色再現性の高い色空間であるAdobeRGB色空間のカラー画像が生成される。
【0044】
なお、マトリクスMas、γテーブルγas、色差マトリクスCasと、マトリクスMss、γテーブルγss、色差マトリクスCssに関しては後述する。
【0045】
以上の構成を有するデジタルカメラ1について、ライブビュー表示時の動作、画像キャプチャー時の動作、および画像再生時の動作を、以下で説明する。
【0046】
<1−3.ライブビュー表示時の動作について>
レリーズ操作前のライブビュー表示(プレビュー表示)時には、撮像センサ303で1/30秒ごとに撮像された画像データが、1/8間引きして出力され、それに同期して、画像処理回路GPおよびリサイザー回路219で処理が実行され、背面LCD10またはEVF20に被写体画像が動画状に表示される。
【0047】
このときには、ユーザの色変換設定の如何にかかわらず、リニアマトリクス209=Ms、γテーブル211=Ms、色差マトリクス213=Csに設定され、撮像センサ303で1/30秒ごとに撮像された画像データはsRGB色空間に適合させたカラー画像として生成され、背面LCD10またはEVF20に被写体画像が動画状に表示される。
【0048】
よって、ライブビュー表示時には、表示デバイスの表示特性(色再現範囲)に適合した色変換が行われ、背面LCD10またはEVF20において最適な状態で色再現されたカラー画像が表示されることになる。
【0049】
<1−4.画像キャプチャー時の動作について>
レリーズ操作に伴う画像キャプチャー時(本画像撮影時)には、撮像センサ303で撮像された画像データは、全画素出力され、画像処理回路GPで処理が実行され、RAM221a内に画像処理回路GPで処理された画像データを一時的に格納したうえで、画像圧縮部261で圧縮された画像データが、記録用の本画像データ(撮影画像データ)としてメモリカード8に記録される。
【0050】
このときには、ユーザの色空間設定に従って、リニアマトリクス209、γテーブル211、色差マトリクス213が上記のように設定され、撮像センサ303で撮像された画像データはユーザの色空間設定に適合したカラー画像(本画像)として、RAM221a内に一時的に格納される。
【0051】
そして、RAM221a内に一時的に格納された画像データは、リサイザー回路219に与えられ、リサイザー回路219で解像度変換が施される。
【0052】
ここで、ユーザによる色空間設定がsRGB色空間である場合と、AdobeRGB色空間である場合とのそれぞれについてデジタルカメラ1における内部処理を説明する。
【0053】
(1)ユーザの色空間設定がsRGB色空間の場合。
【0054】
画像処理回路GPでユーザによる色空間設定に基づいて処理された画像データがRAM221a内に一時的に格納された後に、640×480に解像度変換された画像データを、図4に示す経路Dispに沿って出力し、背面LCD10またはEVF20に表示する(アフタービュー表示)。
【0055】
リサイザー回路219において640×480に解像度変換が行われても、画像の色空間は変化しないため、sRGB色空間の画像データが背面LCD10またはEVF20に送出されることとなり、sRGB色空間に適合した画像がアフタービューとして表示される。
【0056】
そしてアフタービュー表示中にユーザが画像の削除を指示した場合のみ、RAM221a内に一時的に格納された本画像データが消去される。このため、本画像データのメモリカード8への記録は行われない。
【0057】
一方、アフタービュー表示中にユーザが画像の削除指示を行わなかった場合には、アフタービュー表示に使用された画像データ(すなわち、リサイザー回路219にて生成される640×480の解像度を有するsRGB色空間の画像データ)は、そのまま画像圧縮部261に与えられて、圧縮され、サムネイル画像データとされる。このサムネイル画像データは、本画像データとともに、メモリカード8に記録される。なお、画像圧縮部261において画像圧縮が行われても色空間は変化しないので、サムネイル画像はsRGB色空間に適合した画像データとなる。
【0058】
図5はメモリカード8に記録される画像ファイルの概念を示す図であり、ユーザによって削除指示が与えられない限り、画像キャプチャーによって図5に示すような画像ファイル200が作成されてメモリカード8に記録される。
【0059】
図5に示すように、画像ファイル200には、画像キャプチャー時の撮影条件が記述されたタグ情報201と、ユーザによる色空間設定に適合した本画像データ202と、専ら画像再生のために用いられるサムネイル画像データ203とが含まれる。
【0060】
そしてユーザの色空間設定がsRGB色空間である場合には、タグ情報201に色空間設定がsRGB色空間であることを示す色空間情報が記録される。色空間情報がタグ情報201に含まれることにより、例えば画像再生に、本画像データの色空間設定を識別することが可能になる。
【0061】
(2)ユーザの色空間設定がAdobeRGB色空間の場合。
【0062】
画像処理回路GPでユーザによる色空間設定に基づいて処理された画像データがRAM221a内に一時的に格納された後に、640×480に解像度変換された画像データを、図4に示す経路FWに沿って伝達し、再度、色変換マトリクス回路208に入力させる。経路FWは、画像処理回路GPの出力を再度入力に導くための、回帰経路である。
【0063】
そしてこのとき、リニアマトリクス209、γテーブル211、色差マトリクス213のそれぞれは、Mas、γas、Casにセットされ、AdobeRGB色空間に適合したカラー画像データが、sRGB色空間に適合したカラー画像データに変換される。つまり、マトリクスMas、γテーブルγasおよび色差マトリクスCasは、AdobeRGB色空間に適合したカラー画像を、sRGB色空間に適合したカラー画像に変換するためのパラメータとなる。そして画像処理回路GPにて生成されるsRGB色空間の画像データは、リサイザー回路219をスルーして、経路Dispに沿って出力され、sRGB色空間の画像が背面LCD10またはEVF20に表示される(アフタービュー表示)。
【0064】
そしてアフタービュー表示中にユーザが画像の削除を指示した場合のみ、RAM221a内に一時的に格納された本画像データが消去される。
【0065】
一方、アフタービュー表示中にユーザが画像の削除指示を行わなかった場合には、アフタービュー表示に使用された画像データ(すなわち、AdobeRGB色空間からsRGB色空間に変換された画像データ)は、そのまま画像圧縮部261に与えられて、圧縮され、サムネイル画像データとされる。そして、サムネイル画像データは、本画像データとともに、メモリカード8に記録される。
【0066】
メモリカード8への記録時には、図5に示すように、撮影条件が記述されたタグ情報201と、ユーザによる色空間設定(AdobeRGB色空間)に適合した本画像データ202と、専ら画像再生のために用いられるsRGB色空間に適合したサムネイル画像データ203とが含まれる画像ファイル200が生成されて記録される。そしてユーザの色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、タグ情報201に色空間設定がAdobeRGB色空間であることが記録される。
【0067】
<1−5.画像再生時の動作について>
画像再生時には、ユーザが十字キー等を操作することによって選択された画像ファイルのサムネイル画像データが経路PLYに沿って出力され、画像伸長部262にて伸長される。サムネイル画像データは、先述の通り、sRGB色空間に適合した状態でメモリカード8に記録されているため、それを画像伸長部262において伸長しても色空間は変化しない。
【0068】
そして画像伸長部262において伸長された画像データは、再度、色変換マトリクス回路208に入力する。このとき、リニアマトリクス209、γテーブル211,色差マトリクス213はそれぞれ、Mss、γss、Cssにセットされ、sRGB色空間に適合したカラー画像データが、sRGB色空間に適合したカラー画像データに変換される。つまり、リニアマトリクスMss、γテーブルγssおよび色差マトリクスCssは、実質的に色変換を行わないパラメータである。言い換えれば、このとき画像処理回路GPにおいては実質的に何も処理を施さず、リサイザー回路219をスルーして、そのまま背面LCD10またはEVF20に対して出力される。
【0069】
この結果、背面LCD10またはEVF20では、表示特性(色再現範囲)に適合した画像が再生表示され、メモリカード8に記録されている画像がどのような色味で記録されているかを正確に把握することが可能である。
【0070】
以上のように、本実施形態のデジタルカメラ1は、画像を表示するための表示デバイスを備えて構成され、操作部250によって、撮像センサ303から得られる画像の色空間を選択操作することが可能である。そして画像処理回路GPでは、操作部250を介して選択された色空間に適合させて色変換処理が施されて本画像が生成され、メモリカード8に対して本画像を圧縮記録することができるように構成されている。またこれに対して、画像処理回路GPは、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像に対しては、ユーザによって選択された色空間に適合させる色変換処理(すなわち、本画像に対して実行される色変換処理)を行わず、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させるような色変換処理を行うように構成される。
【0071】
このため、デジタルカメラ1は、撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現を行うことが可能である。
【0072】
また、表示用の画像に対して行われる色変換処理は、操作部250によって選択可能な色空間のうち、最も広い色空間(例えば、AdobeRGB色空間)よりも、狭い範囲の色空間(例えば、sRGB色空間)に適合させて行われることになり、表示用の画像においては汎用的な色空間が再現されることになる。
【0073】
また、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像は、撮像センサ303から得られる画像のサムネイル画像として、メモリカード8に記録される画像であるため、メモリカード8に記録された画像を再生表示する際に、デジタルカメラ1の表示デバイスに最適な色再現が可能となり、撮影結果の確認を適切に行うことが可能である。
【0074】
また、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像は、撮影前の確認のためのプレビュー画像(ライブビュー画像)であるため、撮影前の状態において画像を表示する際にデジタルカメラ1の表示デバイスに最適な色再現が可能となる。このため、撮影前に被写体の色味の確認を容易に行うことができる。
【0075】
また、背面LCD10やEVF20等の表示デバイスに表示される画像は、撮影後の確認のためのアフタービュー画像でもあるため、撮影によって得られた画像を表示する際にデジタルカメラ1の表示デバイスに最適な色再現が可能となる。このため、撮影直後に撮影結果の確認を適切に行うことができる。
【0076】
また、画像処理回路GPは、操作部250から選択された色空間に適合させて色変換処理を施すことによって、レリーズ操作に応答した記録用の本画像を生成した後、本画像を縮小した画像に対し、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。このため、本画像とは異なる色空間を示す表示用の画像が、本画像生成に連動して生成されることになる。よって、画像再生時には、色変換処理を行う必要がなくなるので、処理の高速化を図ることができる。
【0077】
また、画像処理回路GPは、本画像を縮小した画像であって、本画像とは異なる色空間の画像を生成する際には、本画像を生成する際に適用された色変換処理用のパラメータを、表示デバイスの表示特性に合致した色空間に適合させるためのパラメータに変更して色変換処理を行うように構成されている。換言すれば、画像処理回路GPは、本画像に対する色変換処理と、本画像とは異なる色空間の画像を生成するための色空間処理との双方を行うように構成されており、回路の共通化が図られている。このため、それぞれの色空間の画像を生成するために処理回路を個別に設ける場合と比較すると、回路規模の小規模化を図ることができ、コスト低廉及び省電力化を図ることができる。
【0078】
以上、本実施形態では主として、デジタルカメラ1に設けられた表示デバイスに画像表示を行う場合を説明したが、表示切替部235に対して外部表示装置を接続可能なように構成し、その外部表示装置に対してもサムネイル画像を表示するように構成してもよい。この場合、サムネイル画像に対して行われる色変換処理は、操作部250で選択設定可能な色空間のうち、最も広い色空間(例えば、AdobeRGB色空間)よりも、狭い範囲の色空間(例えば、sRGB色空間)に適合させて行われることになる。つまり、サムネイル画像を外部表示装置に対して表示する場合には、より汎用的な色空間が再現されるので、著しく色味が異なった画像が表示されることを防止することができる。
【0079】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、デジタルカメラ1にて画像の撮影を行うとともに画像記録を行う場合であって、デジタルカメラ1の内部にて色変換処理を行う場合を例示した。しかし、デジタルカメラ1が撮像センサ303で撮影された画像をそのまま外部機器に出力し、外部機器側で色変換処理を行って画像記録等を行うことも可能である。そこで、本実施形態では、外部機器がデジタルカメラから画像を入力し、その入力画像に対して色変換処理を行う場合を例示する。
【0080】
図6は、本実施形態における画像記録システムの構成を示す図であり、パーソナルコンピュータ等で構成される画像記録装置6と、デジタルカメラ69とがケーブル68を介して電気的に接続された構成となっている。なお、ケーブル68は、有線または無線のネットワークを含んでいてもよい。
【0081】
デジタルカメラ69は、第1の実施の形態で示したものとほぼ同様の構成であるが、画像処理回路GPにおける色変換処理は行われず、撮像センサ303から得られる画像はそのままケーブル68を介して画像記録装置6に出力されるように構成されている。
【0082】
画像記録装置6は、内部にCPUやメモリ等が設けられた処理部62と、画像を表示するための表示部61と、ユーザが操作入力を行うためのキーボードやマウス等の操作部63とを備えて構成される。処理部62にはデジタルカメラ69に接続されるケーブル68が装着され、処理部62において、デジタルカメラ69より入力する画像データに対して各種データ処理が施される。
【0083】
また、処理部62には、第1の実施の形態にて説明したデジタルカメラ1と等価なデータ処理機能を達成させるためのプログラムがインストールされており、処理部62内部のCPUがそのプログラムを実行することによって、デジタルカメラ69から入力する画像に対して色変換処理等のデータ処理が行われる。
【0084】
なお、上記プログラムはCD−ROM等の記録媒体65に格納されており、処理部62が記録媒体65に格納されたプログラムを読み取ってインストールを行うようにしてもしてもよいし、記録媒体65に格納されたプログラムを読み取って、インストールを行うことなく、直接的に実行するようにしてもよい。
【0085】
上記のように構成された画像記録システムでは、画像記録装置6からデジタルカメラ69に対して撮影指示を与えることができ、画像記録装置6はデジタルカメラ69から得られる画像に対して色変換処理等のデータ処理を施すように構成される。
【0086】
図7ないし図9は、画像記録装置6の動作を示すフローチャートである。まず、画像記録装置6に電源が投入され、上記プログラムの起動が行われると、表示部61に対してメニュー画面が表示される(ステップS1)。このメニュー画面には、「設定」、「撮影」、「再生」、「終了」等の選択項目が表示され、ユーザは操作部63を介してこのうち一の項目を選択する操作を行う(ステップS2)。
【0087】
メニュー画面において「設定」項目が選択された場合(ステップS3にてYES)、処理部62はユーザの選択操作に基づいて色空間の選択設定を行う(ステップS7)。ここでの色空間の設定は、キャプチャーした画像データを処理部62において記録する際の色空間の設定である。このとき設定された色空間に関する情報は、処理部62内のメモリ等に一時的に記録される。
【0088】
そして色空間の設定が終了すると、再びメニュー画面の表示に戻ることになる(ステップS1)。
【0089】
メニュー画面において「撮影」項目が選択された場合(ステップS4にてYES)、画像記録装置6は撮影処理(ステップS8)を行う。この撮影処理の詳細は図8に示すフローチャートである。撮影処理が開始すると、処理部62はまず、画像記録の際に適用される色空間設定がAdobeRGB色空間であるか否かを判断する(ステップS81)。そして色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、表示用画像の色空間設定をsRGB色空間に変更するためのパラメータをセットし(ステップS82)、撮影前のプレビュー画像となる画像表示を行う(ステップS83)。これに対し、色空間設定がAdobeRGB色空間でない場合には、色空間設定が既にsRGB色空間に設定されていると考えられることから、色空間の変更を行わず、その状態のままで撮影前のプレビュー画像となる画像表示を行う(ステップS83)。
【0090】
この画像表示処理(ステップS83)では、処理部62からデジタルカメラ69に対してライブビュー撮影を繰り返し行うように指示が出され、撮影前の被写体画像が動画状に表示される。このとき、表示部61の表示特性に最適なsRGB色空間の画像が表示されるので、ユーザはプレビュー状態において被写体画像の色味を正確に把握することができる。
【0091】
そしてユーザが操作部63より撮影指示を与えると、処理部62はデジタルカメラ69に対してキャプチャー指示を与える(ステップS84)。なお、撮影指示が与えられるまで、ライブビューのための画像表示処理(ステップS83)が繰り返し実行される。
【0092】
キャプチャー指示が与えられると、次に処理部62は、画像記録の際に適用される色空間設定がAdobeRGB色空間であるか否かを判断する(ステップS85)。そして色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、記録用画像の色空間設定をAdobeRGB色空間とするためのパラメータをセットする(ステップS87)。これに対し、色空間設定がAdobeRGB色空間でない場合には、色空間設定がsRGB色空間に設定されていると考えられることから、記録用画像の色空間設定をsRGB色空間とするためのパラメータをセットする(ステップS86)。
【0093】
そしてキャプチャー指示に応答してデジタルカメラ69から得られる画像データに対して、ステップS86又はS87でセットしたパラメータを適用して色変換処理を施した後、適宜画像圧縮等を行って、処理部62内部に設けられる磁気ディスク装置等に対して画像記録を行う(ステップS88)。なお、記録処理の詳細は、第1の実施の形態で説明したものと同様であり、本画像とともに、サムネイル画像およびタグ情報が含まれた画像ファイルが作成され、サムネイル画像はsRGB色空間に適合するような色変換が行われて記録される。
【0094】
これにより、画像記録装置6では、撮影目的に応じた色再現範囲の設定を可能にしつつも、表示部61に画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現が行われるようになっている。
【0095】
次に、メニュー画面において「再生」項目が選択された場合(ステップS5にてYES)、画像記録装置6は再生処理(ステップS9)を行う。この再生処理の詳細は図9に示すフローチャートである。再生処理が開始すると、処理部62はまず、サムネイル画像の再生か、本画像の再生かを判別する(ステップS91)。この判別はユーザの操作内容に基づいて行われ、ユーザがサムネイル画像の再生を指示した場合には、YESと判断される。
【0096】
ユーザがサムネイル画像の再生を指示した場合には、ステップS92に進み、本画像とともに記録されているサムネイル画像が読み出されて、表示部61への表示処理が行われる。サムネイル画像はsRGB色空間で記録されているため、表示部61の表示特性に合致した色空間で画像表示が行われることになる。なお、ステップS92においては、表示部61に対して複数のサムネイル画像を一覧形式で表示するようにしてもよい。
【0097】
次に、ユーザが本画像の再生を指示した場合には、ステップS93に進み、再生対象となる本画像がAdobeRGB色空間で記録されているか否かを判断する(ステップS93)。処理部62は、再生対象となる画像ファイルのタグ情報を参照することにより、本画像の色空間を判別することができる。
【0098】
そして色空間設定がAdobeRGB色空間である場合には、本画像の色空間設定をsRGB色空間に変更するためのパラメータをセットする(ステップS94)。例えば、第1の実施の形態で説明した、リニアマトリクス、γテーブル、色差マトリクスのそれぞれを、Mas、γas、Casにセットすることで、AdobeRGB色空間に適合したカラー画像データを、sRGB色空間に適合したカラー画像データに変換するのである。
【0099】
そしてsRGB色空間に変換された本画像を表示部61に対して表示することで、処理部62に記録された本画像の画像再生を行う(ステップS95)。
【0100】
これに対し、ステップS93において本画像の色空間がsRGB色空間である場合には(ステップS93にてNO)、そのまま画像表示処理(ステップS95)が行われて、本画像の再生表示が行われる。
【0101】
なお、画像表示処理(ステップS95)では、必要に応じて画像データのリサイズを行うようにしても構わない。
【0102】
次に、メニュー画面において「終了」項目が選択された場合(ステップS6にてYES)、画像記録装置6における処理は終了する。
【0103】
以上のように、本実施形態の画像記録装置6は、デジタルカメラ1を接続可能に構成され、デジタルカメラ1から得られる画像を表示可能な表示部61を備えている。そして、処理部62では、デジタルカメラ1から得られる画像に対し、ユーザの選択操作によって色空間に適合させた色変換処理が施され、その結果得られる画像が記録されるように構成される。また、処理部62では、表示部61に表示される画像に対しては、操作部63を介して選択された色空間に適合させず、表示部61の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理が施される。このため、画像記録装置6において、画像を記録する際にはその目的に応じて色再現範囲を変更することを可能としつつも、画像表示を行う際には表示デバイスに適した色再現を行うことができる。
【0104】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した内容に限定されるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0105】
例えば、上記説明においては、カラー画像に対する色空間設定として、AdobeRGB色空間とsRGB色空間との2種類の色空間が設定可能な場合を例示したが、この種類はさらに多くても構わない。また、本発明で規定される色空間は、AdobeRGB色空間とsRGB色空間との間の関係に限られるものではなく、将来定義されるであろう新たな色空間に対しても適用可能であることは勿論である。
【0106】
また、上記説明においては、撮像装置としてデジタルカメラを例示したが、これに限定されるものでもなく、撮像機能付き携帯電話機等のようなその他の撮像装置であっても構わない。
【0107】
なお、上述した内容には、以下の発明概念が含まれる。
【0108】
(1) 請求項2に記載の撮像装置において、外部表示装置が接続可能であり、前記サムネイル画像が前記外部表示装置に対しても表示される場合、前記サムネイル画像に対して行われる色変換処理は、前記操作手段で選択設定可能な色空間のうち、最も広い色空間よりも狭い範囲の色空間に適合させて行われることを特徴とする撮像装置。
【0109】
これにより、サムネイル画像を外部表示装置に対して表示する場合には、より汎用的な色空間が再現されるので、著しく色味が異なった画像が表示されることを防止することができる。
【0110】
(2) 請求項1に記載の撮像装置において、前記画像処理手段は、前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施すことによって本画像を生成した後、前記本画像を縮小した画像に対し、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すことを特徴とする撮像装置。
【0111】
これにより、本画像とは異なる色空間を示す表示用の画像が、本画像生成に連動して生成されることになり、画像再生時には、色変換処理を行う必要がなくなるので、処理の高速化を図ることができる。
【0112】
(3) 上記(2)に記載の撮像装置において、前記画像処理手段は、前記本画像を縮小した画像であって、前記本画像とは異なる色空間の画像を生成する際には、前記本画像を生成する際に適用された色変換処理用のパラメータを、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させるためのパラメータに変更することを特徴とすることを特徴とする撮像装置。
【0113】
これにより、画像処理手段が、本画像に対する色変換処理と、本画像とは異なる色空間の画像を生成するための色空間処理との双方を行うように構成され、回路の共通化が図られる。このため、それぞれの色空間の画像を生成するために処理回路を個別に設ける場合と比較すると、回路規模の小規模化を図ることができ、コスト低廉及び省電力化を図ることができる。
【0114】
(4) 請求項1に記載の撮像装置において、前記表示手段に表示される画像は、撮影後の確認のためのアフタービュー画像であることを特徴とする撮像装置。
【0115】
これにより、撮影によって得られた画像を表示する際に撮像装置の表示手段に最適な色再現が可能となる。このため、撮影直後に撮影結果の確認を適切に行うことができる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、撮像手段によって得られる画像の色空間を操作手段によって選択された色空間に適合させるように色変換処理を施し、その色変換処理が施された画像を記録するように構成され、表示手段に表示される画像に対しては、操作手段によって選択された色空間に適合させず、表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成される。このため、撮像装置は、撮影目的に応じて色再現範囲を設定することができるとともに、画像表示を行う際には表示手段に適した色再現を行うことが可能である。
【0117】
請求項2に記載の発明によれば、表示手段に表示される画像が、撮像手段から得られる画像のサムネイル画像として、記録手段に記録される画像であるため、記録手段に記録された画像を再生表示する際には、撮像装置の表示手段に最適な色再現が可能となり、撮影結果の確認を適切に行うことが可能である。
【0118】
請求項3に記載の発明によれば、表示手段に表示される画像が、撮影前の確認のためのプレビュー画像であるため、撮影前の状態において画像を表示する際、表示手段に最適な色再現が可能となる。このため、撮影前に被写体の色味の確認を容易に行うことができる。
【0119】
請求項4に記載の発明によれば、撮像装置から得られる画像の色空間を、操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施し、その色変換処理が施された画像を記録するように構成されており、表示手段に表示される画像に対しては、操作手段によって選択された色空間に適合させず、表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように構成されるため、画像記録装置は、撮影目的に応じて色再現範囲を設定することができるとともに、画像表示を行う際には表示手段に適した色再現を行うことが可能である。
【0120】
請求項5に記載の発明によれば、撮影目的に応じて色再現範囲を設定することができるとともに、画像表示を行う際には表示手段に適した色再現を行うことが可能なコンピュータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかるデジタルカメラの正面図である。
【図2】デジタルカメラの上面図である。
【図3】デジタルカメラの背面図である。
【図4】デジタルカメラの機能ブロックを示す図である。
【図5】メモリカードに記録される画像ファイルの概念を示す図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる画像記録システムの構成を示す図である。
【図7】画像記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】画像記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】画像記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】一般的なxy色度図である。
【図11】色空間に関する設定メニュー画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1,69 デジタルカメラ(撮像装置)
6 画像記録装置
8 メモリカード(記録手段)
10 背面LCD(表示手段)
20 EVF(表示手段)
209 リニアマトリクス
221 γテーブル
213 色差マトリクス
221 全体制御部
221a RAM
221b ROM
250 操作部(操作手段)
GP 画像処理回路(画像処理手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための表示手段を備えた撮像装置であって、
被写体の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、
前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施す撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示手段に表示される画像は、前記撮像手段から得られる画像のサムネイル画像として、前記記録手段に記録される画像であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示手段に表示される画像は、撮影前の確認のためのプレビュー画像であることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
撮像装置を接続可能に構成され、前記撮像装置から得られる画像を表示可能な表示手段を備えた画像記録装置であって、
前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、
前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施す画像記録装置。
【請求項5】
撮像装置を接続可能に構成され、表示手段を備えたコンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを、
前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段、
前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段、及び
前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段、
として機能させ、
前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように、前記画像処理手段を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
画像を表示するための表示手段を備えた撮像装置であって、
被写体の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、
前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施す撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示手段に表示される画像は、前記撮像手段から得られる画像のサムネイル画像として、前記記録手段に記録される画像であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示手段に表示される画像は、撮影前の確認のためのプレビュー画像であることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
撮像装置を接続可能に構成され、前記撮像装置から得られる画像を表示可能な表示手段を備えた画像記録装置であって、
前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段と、
前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施す画像記録装置。
【請求項5】
撮像装置を接続可能に構成され、表示手段を備えたコンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを、
前記撮像装置から得られる画像の色空間を選択操作するための操作手段、
前記操作手段によって選択された色空間に適合させて色変換処理を施す画像処理手段、及び
前記画像処理手段において色変換処理が施された画像を記録する記録手段、
として機能させ、
前記表示手段に表示される画像に対しては、前記操作手段によって選択された色空間に適合させず、前記表示手段の表示特性に合致した色空間に適合させて色変換処理を施すように、前記画像処理手段を機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2004−96400(P2004−96400A)
【公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−254448(P2002−254448)
【出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
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