説明

撮像装置、電子機器、データ処理システムおよびコンピュータプログラム

【課題】様々な場所に格納されているデータに対してトランスコード処理を施すことを可能にする。
【解決手段】撮像機能を有する撮像装置は、外部の電子機器から第1データを受信するインタフェースと、トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部であって、回路を用いて第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成する処理部とを備えている。インタフェースは生成された第2データを電子機器に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランスコード処理機能を有する撮像装置、そのような撮像装置と接続される電子機器、および、撮像装置および電子機器のためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、H.264形式の映像データをMPEG2形式の映像データに変換するビデオカメラ装置を開示する。このような、ある形式のデータを異なる形式のデータに変換する処理を、一般に「トランスコード処理」という。データは、映像データであってもよいし音声データであってもよい。
【0003】
このビデオカメラ装置は、HDDと光ディスク(より具体的にはDVD)とに映像データを記録できる。このビデオカメラ装置は、H.264形式でHDDに記録した映像データをMPEG2形式にトランスコードし、トランスコード後の映像データを光ディスクにダビングする。
【0004】
これにより、ユーザは、撮影した映像を保存する場所及び形式を多岐に亘り選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−27257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されているビデオカメラ装置を用いると、ユーザはトランスコード処理後の映像データの保存場所を選択することが可能である。しかしながら特許文献1のビデオカメラ装置は、自装置のHDDに記憶されている映像データに対してしかトランスコード処理を施すことができない。そのため、従来の技術によれば、ユーザは任意の保存場所から、トランスコード処理を施したい映像データを選択できるとは言えなかった。
【0007】
自装置のHDDに記憶されていない映像データ、たとえばPCのHDDに保存された映像データにトランスコード処理を施したい場合には、ユーザにはPCのアプリケーションソフトウェアを利用すればよい。ただし、トランスコード処理はPCのグラフィックチップセットやビデオカードを利用したとしても非常に時間がかかる。たとえば2時間のH.264形式の映像データをMPEG2形式の映像データにトランスコードするには、6時間もかかる場合がある。この間はPCの処理負荷が大きいため、ユーザはPCを用いた他の作業を中断せざるを得ない。
【0008】
本発明の目的は、映像データの格納場所に依存することなく、映像データを高速にトランスコードする仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による撮像装置は、撮像機能を有する撮像装置であって、外部の電子機器から第1データを受信するインタフェースと、トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部であって、前記回路を用いて前記第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成する処理部とを備え、前記インタフェースは前記第2データを前記電子機器に送信する。
【0010】
前記撮像装置は、前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、前記撮像装置はコンセントから供給される電源電力またはバッテリから供給される電力によって駆動され、前記インタフェースが前記第1データを受信する前に、前記コントローラーは、自装置の現在の駆動電源の種類を特定する情報を、前記インタフェースを介して前記電子機器に送信し、自装置が現在電源電力で駆動されている場合において、前記インタフェースは、前記電子機器から前記第1データを受信してもよい。
【0011】
前記撮像装置は、前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、前記インタフェースは、前記第1データを受信する前に、前記トランスコード処理の種類を特定する情報を前記電子機器から受信し、前記コントローラーは、前記トランスコード処理の種類を特定する情報に基づいて、特定された種類のトランスコード処理を前記第1データに施すことが可能か否かを判定し、可能であると判断した場合には、前記インタフェースを介して前記トランスコード処理が可能である旨を示すレスポンスデータを前記電子機器に送信し、その後、前記インタフェースは前記電子機器から前記第1データを受信してもよい。
【0012】
前記撮像装置は、前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーと、前記第1データを蓄積する記憶部とをさらに備え、前記コントローラーは、前記第1データが前記記憶部に所定量蓄積されたか否かを判定し、前記第1データが前記記憶部に所定量蓄積されたとき、前記処理部は前記回路を用いて前記第1データにトランスコード処理を施してもよい。
【0013】
前記撮像装置は、前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、前記コントローラーは、前記第1データのトランスコード処理によって生成された前記第2データの一部を、前記トランスコード処理が完了する前に前記インタフェースを介して前記電子機器に送信してもよい。
【0014】
前記撮像装置は、前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、前記コントローラーは、前記第1データのトランスコード処理が完了した後、前記第2データを、前記インタフェースを介して前記電子機器に送信してもよい。
【0015】
本発明による電子機器は、トランスコード処理に用いられる回路を備えた撮像装置と接続される電子機器であって、前記撮像装置は、コンセントから供給される電源電力またはバッテリから供給される電力によって駆動され、前記撮像装置から現在の駆動電源の種類を特定する情報を受信するインタフェースと、第1データを蓄積する記憶部と、前記撮像装置の現在の駆動電源の種類に応じて、前記第1データを前記撮像装置に送信するか否かを決定するプロセッサとを備え、前記撮像装置が現在電源電力で駆動されているときは、前記プロセッサは、前記インタフェースを介して、前記第1データを前記撮像装置に送信し、かつ、前記回路によって前記第1データにトランスコード処理が施された第2データを受信し、前記撮像装置が現在バッテリで駆動されているときは、前記プロセッサは、前記第1データを前記撮像装置に送信しない。
【0016】
前記第1データを送信する前に、前記プロセッサは、前記インタフェースを介して前記トランスコード処理の種類を特定する情報を前記撮像装置に送信し、前記撮像装置から、前記情報によって特定された種類のトランスコード処理が可能であるか否かを示すレスポンスデータを受信してもよい。
【0017】
前記レスポンスデータが、前記情報によって特定された種類のトランスコード処理が可能であることを示しているときは、前記プロセッサは、前記撮像装置に前記第1データを送信してもよい。
【0018】
前記プロセッサは、前記第1データのトランスコード処理によって生成された前記第2データの一部を、前記トランスコード処理が完了する前に前記インタフェースを介して前記撮像装置から受信してもよい。
【0019】
前記プロセッサは、前記第2データを、前記第1データのトランスコード処理が完了した後、前記インタフェースを介して前記撮像装置から受信してもよい。
【0020】
本発明によるデータ処理システムは、電子機器と、撮像機能を有する撮像装置とを備えたデータ処理システムであって、前記電子機器は、第1データを蓄積する記憶部と、前記撮像装置に前記第1データを送信する第1インタフェースとを有し、前記撮像装置は、前記電子機器から前記第1データを受信する第2インタフェースと、トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部であって、前記回路を用いて前記第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成する処理部とを有し、前記撮像装置は、前記第2インタフェースを介して前記第2データを送信し、前記電子機器は、前記第1インタフェースを介して前記第2データを受信する。
【0021】
本発明によるコンピュータプログラムは、撮像機能を有する撮像装置のコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムであって、前記撮像装置は、コンピュータとして機能するコントローラと、インタフェースと、トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部とを備え、前記コンピュータプログラムは、前記コントローラに対し、前記インタフェースを介して外部の電子機器から第1データを受信するステップと、前記回路を利用して前記第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成するステップと、前記インタフェースを介して前記第2データを前記電子機器に送信するステップとを実行させる、コンピュータプログラム。
【0022】
本発明による他のコンピュータプログラムは、電子機器のコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムであって、前記電子機器は、コンピュータと、第1データを蓄積する記憶部と、インタフェースとを備え、撮像装置と接続されており、前記撮像装置は、トランスコード処理に用いられる回路を備え、コンセントから供給される電源電力またはバッテリから供給される電力によって駆動されており、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに対し、前記インタフェースを介して前記撮像装置から現在の駆動電源の種類を特定する情報を受信するステップと、前記撮像装置が現在バッテリで駆動されているときは、前記第1データを前記撮像装置に送信せず、前記撮像装置が現在電源電力で駆動されているときは、前記インタフェースを介して、前記第1データを前記撮像装置に送信するステップと、前記第1データを前記撮像装置に送信した場合に、前記インタフェースを介して、前記回路によって前記第1データにトランスコード処理が施された第2データを受信するステップとを実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、トランスコード処理に用いられる回路を有する撮像装置が電子機器からデータを受信し、そのデータのトランスコード処理を行う。これにより、データが格納されている場所に制限されることなく、かつ、トランスコード処理に用いられる回路により高速にトランスコード処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態によるトランスコード処理システム10の構成を示す模式図である。
【図2】デジタルビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【図3】トランスコード処理に関連するデジタルビデオカメラ100の主要な構成を示す図である。
【図4】PC500の構成を示すブロック図である。
【図5】トランスコード時のデジタルビデオカメラ100の処理シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】PC500における編集ソフト起動後の確認動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】PC500における編集ソフト起動後の確認動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】編集ソフト起動後の確認動作後にデジタルビデオカメラ100とPC500との間で行われる初期ネゴシエーションを説明するためのフローチャートである。
【図9】編集ソフト起動後の確認動作後にデジタルビデオカメラ100とPC500との間で行われる初期ネゴシエーションを説明するためのフローチャートである。
【図10】デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行う際に、PC500が映像データをデジタルビデオカメラ100に書き込むシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図11】デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行う際に、PC500が映像データをデジタルビデオカメラ100に書き込むシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図12】デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行う際に、PC500が映像データをデジタルビデオカメラ100から読み出すシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図13】デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行う際に、PC500が映像データをデジタルビデオカメラ100から読み出すシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0026】
本発明は、撮像装置、電子機器、および/または、撮像装置と電子機器とを含むデータ処理システムとして実施される。たとえば、撮像装置はデジタルビデオカメラであり、電子機器はパーソナルコンピュータ(以下「PC」と記述する。)である。データ処理システムは、デジタルビデオカメラおよびPCを備えたトランスコード処理システムである。また、撮像装置および電子機器をそれぞれ動作させるためのコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムを記録した記録媒体についても本発明の範疇である。
【0027】
実施形態の説明に先立って、本明細書において用いられる用語「トランスコード処理」を説明する。
【0028】
「トランスコード処理」とは、本願明細書の背景技術欄で説明したとおり、ある形式のデータを異なる形式のデータに変換する処理をいう。より具体的には、「トランスコード処理」とは、映像データの圧縮方式を変換する処理、p/i変換処理、ハイビジョン画質の映像データをスタンダード画質の映像データに変換する処理等の形式(フォーマット)変換処理のことをいう。または、「トランスコード処理」とは、音声データのフォーマットを変換する処理も含む。
【0029】
例えば、H.264規格に準拠して圧縮されている映像データの圧縮方式をMPEG2に変換する処理や、60p(プログレッシブ)の映像データを60i(インターレース)の映像データに変換する処理や、および、画像サイズが1920×1080の映像データを画像サイズが640×480の映像データに変換する処理は、本願明細書でいう「トランスコード処理」に該当する。また、WAVフォーマットの音声データをDSD規格の音声データに変換する処理は、本願明細書でいう「トランスコード処理」に該当する。
【0030】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0031】
〔1.構成〕
〔1−1.全体システムの構成〕
図1を参照しながら、本実施形態に係るデジタルビデオカメラを含むトランスコード処理システムを説明する。
【0032】
図1は、本実施形態によるトランスコード処理システム10の構成を示す模式図である。トランスコード処理システム10は、デジタルビデオカメラ100と、PC500とを備えている。
【0033】
デジタルビデオカメラ100は、たとえばUSBケーブル295を介して、電子機器であるPC500と接続されている。デジタルビデオカメラ100は、USBケーブル295を介してPC500から取得した映像データに、トランスコード処理を施すことができる。
【0034】
従来、デジタルビデオカメラの内蔵HDD以外の記録媒体、たとえばPCのHDDに保存された映像データにトランスコード処理を施したい場合にはPCを利用せざるを得なかった。しかしながら本実施形態においては、デジタルビデオカメラ100を用いてPCのHDDに保存された映像データにトランスコード処理を施すこととした。
【0035】
デジタルビデオカメラ100は映像信号を種々の記録媒体に書き込むことができる。周知のように、SDメモリカード、DVD、BDなどの多くの種類の記録媒体が存在しており、かつ、MPEG2方式、H.264方式、VC−1方式などの多くの種類の動画フォーマットが存在している。記録媒体ごとに記録可能な動画フォーマットも異なっているため、デジタルビデオカメラ100は、その各々の映像フォーマットのデータを生成する映像処理機能を備えている必要がある。またデジタルビデオカメラ100は、撮影時または撮影後の映像・音声データをデジタル形式またはアナログ形式で出力することも可能であるため、フォーマットの変換処理機能も備えている必要がある。
【0036】
上述の映像処理機能およびフォーマットの変換処理機能を行うため、近年の多くのデジタルビデオカメラはそのような機能の実行に必要な映像処理を行うための映像処理回路を備えている。映像処理回路は、多くの場合、デジタルビデオカメラの処理に特化されていると考えられる。したがってデジタルビデオカメラでトランスコード処理を行う方が、PC等の汎用画像処理回路を用いてソフトウェア的にトランスコード処理を行うよりも、はるかに高速でかつ低消費電力で処理を完了することができる。
【0037】
そこで本実施形態では、PC500のHDDに保存された映像データであっても、デジタルビデオカメラ100を用いてトランスコード処理を高速に行うことができるような仕組み、より具体的にはトランスコード処理を行うためのプロトコルを提供することとした。これにより、映像データの格納場所に依存することなく、映像データを高速にトランスコードすることが可能になる。
【0038】
本実施形態においてはデジタルビデオカメラ100とPC500とがUSBケーブル295で接続されているとしているが、この接続態様は一例である。両者の接続には、種々の通信媒体を用いることができる。たとえばIEEE1394規格に準拠したケーブルや、イーサネット(登録商標)規格のLANケーブルを利用してもよいし、無線を利用してもよい。さらに、両者は1対1で接続されている必要はなく、たとえばインターネットを介して接続されていてもよい。
【0039】
〔1−2.デジタルビデオカメラの構成〕
次に、デジタルビデオカメラ100の電気的構成について、図2を用いて説明する。図2は、デジタルビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。デジタルビデオカメラ100は、ズームレンズ110等からなる光学系により形成された被写体像をCCDイメージセンサー180で撮像する。CCDイメージセンサー180で生成された映像データは、画像処理部190で各種処理が施され、メモリカード240に格納される。また、メモリカード240に格納された映像データは、液晶モニタ270で表示可能である。以下、デジタルビデオカメラ100の構成を詳細に説明する。
【0040】
デジタルビデオカメラ100の光学系は、ズームレンズ110、光学式手振れ補正回路(Optical Image Stabilizer;OIS)140、フォーカスレンズ170を含む。ズームレンズ110は、光学系の光軸に沿って移動することにより、被写体像を拡大又は縮小可能である。また、フォーカスレンズ170は、光学系の光軸に沿って移動することにより、被写体像のピントを調整する。
【0041】
OIS140は、内部に光軸に垂直な面内で移動可能な補正レンズを有する。OIS140は、デジタルビデオカメラ100の振れを相殺する方向に補正レンズを駆動することにより、被写体像の振れを低減する。
【0042】
ズームモータ130は、ズームレンズ110を駆動する。ズームモータ130は、パルスモータやDCモータ、リニアモータ、サーボモータなどで実現してもよい。ズームモータ130は、カム機構やボールネジなどの機構を介してズームレンズ110を駆動するようにしてもよい。検出器120は、ズームレンズ110が光軸上でどの位置に存在するのかを検出する。検出器120は、ズームレンズ110の光軸方向への移動に応じて、ブラシ等のスイッチによりズームレンズの位置に関する信号を出力する。
【0043】
OISアクチュエータ150は、OIS140内の補正レンズを光軸と垂直な面内で駆動する。OISアクチュエータ150は、平面コイルや超音波モータなどで実現できる。また、検出器160は、OIS140内における補正レンズの移動量を検出する。
【0044】
CCDイメージセンサー180は、ズームレンズ110等からなる光学系で形成された被写体像を撮像して、映像データを生成する。CCDイメージセンサー180は、露光、転送、電子シャッタなどの各種動作を行う。
【0045】
画像処理部190は、種々の画像処理を行う。画像処理の種類に応じて画像処理部190には複数の処理ブロックが設けられている。たとえば画像処理部190は、トランスコードブロック350およびカメラDSPブロック360を有している。
【0046】
トランスコードブロック350は、データのフォーマット変換を行うためのトランスコード処理に用いられる。本実施形態においては、トランスコードブロック350は映像データのトランスコード処理を行う。
【0047】
カメラDSPブロック360は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対して各種の処理を施す。より具体的に説明すると、カメラDSPブロック360はCCDイメージセンサー180で生成された映像データに所定の処理を施し、液晶モニタ270に表示するための映像データを生成する。また、メモリカード240に再格納するための映像データを生成する。例えば、カメラDSPブロック360は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対してガンマ補正やホワイトバランス補正、傷補正などの各種処理を行う。また、カメラDSPブロック360は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対して、MPEG2規格やH.264規格に準拠した圧縮形式等により映像データを圧縮する。画像処理部190は、DSPやマイコンなどで実現可能である。
【0048】
コントローラー210は、全体を制御する。コントローラー210は、半導体素子などで実現可能である。コントローラー210は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。コントローラー210は、マイコンなどで実現できる。
【0049】
メモリ200は、画像処理部190及びコントローラー210のワークメモリとして機能する。メモリ200は、例えば、DRAM、強誘電体メモリなどで実現できる。メモリ200には、コントローラー210が後述の処理を行うことを可能にするコンピュータプログラム201を格納している。
【0050】
液晶モニタ270は、CCDイメージセンサー180で生成した映像データが示す画像や、メモリカード240から読み出した映像データが示す画像を表示可能である。
【0051】
ジャイロセンサー220は、圧電素子等の振動材等で構成される。ジャイロセンサー220は、圧電素子等の振動材を一定周波数で振動させコリオリ力による力を電圧に変換して角速度情報を得る。ジャイロセンサー220から角速度情報を得、この揺れを相殺する方向にOIS内の補正レンズを駆動させることにより、デジタルビデオカメラ100は、使用者による手振れを補正する。
【0052】
カードスロット230は、メモリカード240を着脱可能である。カードスロット230は、機械的及び電気的にメモリカード240と接続可能である。メモリカード240は、フラッシュメモリや強誘電体メモリなどを内部に含み、データを格納可能である。
【0053】
内部メモリ280は、フラッシュメモリや強誘電低メモリなどで構成される。内部メモリ280は、デジタルビデオカメラ100全体を制御するための制御プログラム等を格納する。この制御プログラムは、コンピュータプログラム201として上述のメモリ200上に展開される。
【0054】
操作部材250は、使用者から画像の撮像指示を受け付ける部材である。ズームレバー260は、使用者からズーム倍率の変更指示を受け付ける部材である。
【0055】
USBインタフェース290は、デジタルビデオカメラ100とPC500等の外部機器とを接続するための接続インタフェースである。例えば、デジタルビデオカメラ100のUSBインタフェース290とPC500等の外部機器に設けられたUSBインタフェース(図示せず)とをUSBケーブル295(図1)を介して接続することにより、相互で通信することが可能になる。これにより、デジタルビデオカメラ100はPC500等の外部機器との間でコマンド通信を行うことが可能になる。
【0056】
ハードディスクドライブ300(以下、HDD300と称する)は、バッファ、磁気記録媒体であるハードディスク、ハードディスクへのデータの書き込みおよび読み出しを制御する制御回路(いずれも図示せず)等を備え、デジタルビデオカメラ100本体内部に組み込まれている。本願明細書では、説明の便宜上、HDD300はデジタルビデオカメラ100の映像データの記録メディアの一つであるとして説明する。
【0057】
ACアダプタ接続端子400は、デジタルビデオカメラ100とACアダプタをと接続するためのインタフェースである。例えば、デジタルビデオカメラ100のACアダプタ接続端子400と電源端子(家庭用コンセント)とは、ACアダプタを介して接続することができる。デジタルビデオカメラ100は、家庭用コンセントおよびACアダプタ接続端子400を介して、電源から電力供給を受けることができる。
【0058】
バッテリ410は、デジタルビデオカメラ100に対して、その動作に必要な電力を供給する二次電池である。装着されたバッテリ410から電力供給を受けることにより、デジタルビデオカメラ100は動作する。
【0059】
〔1−3.トランスコード関連ブロックの詳細な構成〕
デジタルビデオカメラ100が実行する処理のうち、トランスコード処理には、主にコントローラー210と、メモリ200と、画像処理部190とが関わっている。デジタルビデオカメラ100のうち、トランスコード処理に関わる主な構成の詳細について図3を用いて説明する。
【0060】
図3は、トランスコード処理に関連するデジタルビデオカメラ100の主要な構成を示す。
【0061】
上述のとおり、画像処理部190においては、トランスコードブロック350がトランスコード処理を行う。
【0062】
一方、コントローラー210は、トランスコード処理に関連するブロックとして、通信経路制御ブロック310と、カード制御ブロック320と、HDD制御ブロック330と、アシスト制御ブロック340とを有する。
【0063】
通信経路制御ブロック310は、デジタルビデオカメラ100とPC500とのUSBの接続状態を変更できる。例えば、通信経路制御ブロック310は、PC500からデジタルビデオカメラ100内のHDD300しかアクセスできないようなUSBの接続状態を、HDD300およびメモリカード240の両方にアクセスできるようなUSBの接続状態に変更することができる。
【0064】
また、通信経路制御ブロック310は、PC500からUSBインタフェース290を介して受信するコマンドを解釈する。具体的には、通信経路制御ブロック310は、PC500がメモリカード240にアクセスしたいのか、HDD300にアクセスしたいのか、若しくはアシスト制御ブロックにアクセスしたいのかを解釈する。通信経路制御ブロック310は、解釈した内容に基づいて、各制御ブロックにアクセスする。
【0065】
カード制御ブロック320は、通信経路制御ブロック310から受け付けたメモリカード240へのアクセス要求を処理する。
【0066】
HDD制御ブロック330は、通信経路制御ブロック310から受け付けたHDD300へのアクセス要求を処理する。
【0067】
アシスト制御ブロック340は、通信経路制御ブロック310から受け付けたコマンドに基づいて、トランスコードブロック350とメモリ200とを制御する。具体的には、アシスト制御ブロックは、USBインタフェース290を介して接続された外部機器から受信した映像データをトランスコードブロック350にトランスコード処理させる際に用いられる。
【0068】
本実施形態においては、トランスコードブロック350が画像処理部190に設けられるとして説明しているが、これは一例である。図3に示すトランスコード処理に関連する各ブロックを1つのLSI回路を用いて実装し、カメラDSPブロック360をカメラDSPチップ回路として実装してもよい。このとき、LSI内のハードウェア回路上に構築されたソフトウェアスタックにマイクロコードが読み込まれ、そのマイクロコードが実行されることにより、上述の各ブロックとして動作させることができる。
【0069】
なお上述のLSIは、記録用のエンコーダブロック、再生用のデコーダブロック(いずれも図示せず)等をさらに有していてもよい。
【0070】
〔1−4.PCの構成〕
図4は、PC500の構成を示すブロック図である。PC500は、プロセッサ(CPU)501と、メモリ502と、グラフィックコントローラ503と、オーディオコントローラ504と、HDD505と、通信インタフェース506と、バス507とを有している。
【0071】
CPU501は、PC500の全体の動作を制御する。メモリ502は、後述する処理を行うためのコンピュータプログラム510を格納している。グラフィックコントローラ503は、PC500の表示装置(図示せず)に表示するための画像を生成し、当該表示装置に出力する。オーディオコントローラ504は音声信号を生成し、PC500のスピーカまたは音声出力端子(図示せず)を介して出力する。HDD505は、デジタルビデオカメラ100に送信され、トランスコード処理を施される映像データが蓄積されている。通信インタフェース506は、PC500とデジタルビデオカメラ100とを接続し、通信を行う。本実施形態では通信インタフェース506はUSB端子である。
【0072】
図4に示されるPC500のハードウェア構成は、周知である。ただし、PC500のCPU501は、メモリ502に格納されたプログラム510を実行することにより、デジタルビデオカメラ100と通信し、PC500に所定の動作を行わせることができる。動作の詳細は後に説明する。
【0073】
〔2.動作〕
〔2−1.デジタルビデオカメラ内の映像データのトランスコード〕
以下、図5を参照しながら、デジタルビデオカメラ100が自装置内のメモリカード240若しくはHDD300に記憶されている映像データをトランスコードする際のシーケンスを説明する。図5は、トランスコード時のデジタルビデオカメラ100の処理シーケンスを示すフローチャートである。
【0074】
使用者は、デジタルビデオカメラ100に、USBインタフェース290を介して、不図示の外付けDVD(Digital Versatile Disc)ドライブを接続できる。DVDドライブが接続されると、コントローラー210は、使用者からDVDへの映像データ(メモリカード240若しくはHDD300に記憶されている)の書き込み指示があるか、DVDの再生指示があるまで待機する。使用者からDVDへの映像データの書き込み指示を受け付けると、デジタルビデオカメラ100は、DVD作成モードで動作を開始する(S100)。
【0075】
DVD作成モード動作が開始されると、コントローラー210は、使用者からどのようなDVDを作成するかの指示があるまで待機する(S110)。具体的には、コントローラー210は、メモリカード240若しくはHDD300に記憶されている映像データのうちどの映像データをDVDに書き込むか、及び映像データをどのような画質でDVDに書き込むかを使用者が選択するまで待機する。なお、デジタルビデオカメラ100は、ハイビジョン画質若しくはスタンダード画質で映像データをDVDに書き込むことができる。また、デジタルビデオカメラ100は、ハイビジョン画質の映像データをH.264規格に準拠した圧縮方式で圧縮する。
【0076】
どのようなDVDを作成するかの指示を受け付けると、コントローラー210は、メモリカード240若しくはHDD300から使用者によって選択された映像データをメモリ200に読み出す(S120)。映像データをメモリ200に読み出すと、コントローラー210は、使用者からの指示がトランスコード処理を必要とするか否かを判断する(S130)。たとえばコントローラー210は、使用者から受け付けた指示がハイビジョン画質の映像データをスタンダード画質の映像データとしてDVDに書き込む指示であるか否かを判断する。
【0077】
ハイビジョン画質の映像データをスタンダード画質の映像データとしてDVDに書き込む指示でないと判断すると、コントローラー210は、使用者により選択された映像データを、トランスコード処理することなく、DVDに書き込む(S140)。
【0078】
ハイビジョン画質の映像データをスタンダード画質の映像データとしてDVDに書き込む指示であると判断すると、コントローラー210は、使用者により選択された映像データをハイビジョン画質からスタンダード画質に変換し、さらに圧縮方式をH.264規格に準拠した圧縮方式からMPEG2規格に準拠した圧縮方式に変換するトランスコード処理を行うよう画像処理部190を制御する(S150)。
【0079】
画像処理部190がトランスコード処理を完了すると、コントローラー210は、トランスコード処理後の映像データをDVDに書き込む(S160)。
【0080】
〔2−2.PC500から受信した映像データのトランスコード処理〕
図1に関連して説明したように、本実施形態においては、デジタルビデオカメラ100はPC500から映像データを受信し、トランスコード処理を行った後にそのデータをPC500に送信する。その際、デジタルビデオカメラ100とPC500との間で、そのようなトランスコード処理に関する接続を確立しなければ、相互に動作して処理を行うことができない。
【0081】
そこで、以下図6〜図13を参照しながら、トランスコード処理のためにデジタルビデオカメラ100とPC500との間で行われるシーケンスを説明する。なお、以下の説明におけるPC500の処理は、実際にはプログラム510を実行したCPU501によって行われることに留意されたい。
【0082】
図6および図7は、PC500における編集ソフト起動後の確認動作を説明するためのフローチャートである。図8および図9は、編集ソフト起動後の確認動作後にデジタルビデオカメラ100とPC500との間で行われる初期ネゴシエーションを説明するためのフローチャートである。図10および図11は、デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行う際に、PC500が映像データをデジタルビデオカメラ100に書き込むシーケンスを説明するためのフローチャートである。図12および図13は、デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行う際に、PC500が映像データをデジタルビデオカメラ100から読み出すシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【0083】
上述した図6、図8、図10および図12は、いずれもトランスコード処理システム10(図1)全体の処理として記載されている。理解の便宜のため、デジタルビデオカメラ100に関する処理ブロックには「カメラ」と記載され、PC500に関する処理ブロックには「PC」と記載されている。特に記載されていない処理ブロックは、デジタルビデオカメラ100およびPC500が行う処理である。
【0084】
一方、図7、図9、図11、図13は、いずれもPC500およびデジタルビデオカメラ100のそれぞれの処理の流れを明確に示している。PC500の処理およびデジタルビデオカメラ100の処理は、それぞれ上述したコンピュータプログラム510および201によって規定されている。
【0085】
以下、主として図6、図8、図10および図12を参照しながらPC500から受信した映像データのトランスコードのシーケンスについて順に説明する。
【0086】
〔2−2−1.映像データ編集ソフト起動後の確認動作〕
PC500における編集ソフト起動後の確認動作について図6を用いて説明する。PC500は、デジタルビデオカメラ100の接続を検知するか、使用者から編集ソフトの起動操作がされると、編集ソフトの起動を開始する(S200)。編集ソフトを起動すると、PC500は、接続先がPCである旨のコマンドをデジタルビデオカメラ100に送信する(S210)。
【0087】
接続先がPCである旨のコマンドを受信すると、デジタルビデオカメラ100は、自装置とPC500とのUSBを介した接続状態が、PC500から受信した映像データのトランスコード処理が可能な接続状態であるか否かを判断する(S220)。
【0088】
トランスコード処理が可能な接続状態でないと判断すると、デジタルビデオカメラ100は、USBインタフェース290を介したPC500との接続状態を切り替える(S230)。具体的には、デジタルビデオカメラ100は、PC500の接続状態をトランスコード処理が可能な接続状態へと切り替える。このようにする理由について、次に説明する。
【0089】
トランスコード処理に際してはアシスト制御ブロック340が利用される。図3に関連して説明した通り、アシスト制御ブロック340は、カード制御ブロック320のみに接続されており、HDD制御ブロック330には接続されていない。従って、デジタルビデオカメラ100がHDD300にのみアクセスさせることが可能な状態で、PC500に接続されている場合には、デジタルビデオカメラ100は、PC500から受信した映像データにトランスコード処理を施すことができない。
【0090】
よって、ステップS230において、デジタルビデオカメラ100がHDD300にのみアクセスさせることが可能な状態でPC500に接続されている場合には、デジタルビデオカメラ100は、一旦、USBインタフェース290を介したPC500との接続を解除する。そして、デジタルビデオカメラ100は、接続を解除した後に、再度、メモリカード240及びHDD300の両方にアクセスさせることが可能な状態でPC500とのUSBインタフェース290を介した接続を確立する。これにより、デジタルビデオカメラ100とPC500との接続状態は、自動的に、トランスコード処理が可能な接続状態となる。
【0091】
一方、ステップS220で、トランスコード処理が可能な接続状態である場合、デジタルビデオカメラ100は、PC500から電源の種類等を問い合わせるコマンドを受け付ける(S240)。具体的には、デジタルビデオカメラ100は、現在、自装置が電源コンセントに接続されたACアダプタで駆動しているか、バッテリ410で駆動しているかについての問い合わせ、および、自装置が対応可能なトランスコード処理の種類の問い合わせをPC500から受け付ける。
【0092】
電源の種類等を問い合わせるコマンドを受け付けると、デジタルビデオカメラ100は、問い合わせを受けた電源の種類等を示すレスポンスデータを返す(S250)。
【0093】
デジタルビデオカメラ100からのレスポンスを受け付けると、PC500内のCPU501は、デジタルビデオカメラ100が対応可能なトランスコード処理の種類を判断する(S260)。
【0094】
「トランスコード処理の種類」とは、トランスコード処理の可否も含む。PC500のCPU501は、まずデジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を行うことが可能か否かを判断する。デジタルビデオカメラ100が現在バッテリ410で駆動している場合には、PC500は、後述する理由により、デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を施すことができないと判断する。また、デジタルビデオカメラ100が現在ACアダプタで駆動している場合には、PC500は、デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を自装置の映像データに施すことができると判断する。そしてトランスコード処理が可能である場合には、さらにデジタルビデオカメラ100が対応可能なトランスコード処理の種類を判断する。たとえばPC500は、デジタルビデオカメラ100が60pの映像データを60iの映像データにトランスコード処理できると判断する。
【0095】
ここで、デジタルビデオカメラ100がバッテリ410で駆動している場合にPC500によってデジタルビデオカメラ100がトランスコード処理を施すことができないと判断される理由を説明する。トランスコード処理には多くの場合、映像データの再生実時間以上の時間がかかる。したがって、デジタルビデオカメラ100がバッテリ410で駆動している場合には、トランスコード処理の完了前にバッテリ410の残量がなくなり、デジタルビデオカメラ100とPC500との接続状態が維持できなくなるおそれがあるからである。
【0096】
デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理可能であること、および、その種類を判断すると、PC500は、デジタルビデオカメラ100を用いたトランスコード処理の指示を使用者から受け付けるまで待機する(S270)。
【0097】
トランスコード処理の指示を使用者から受け付けると、PC500とデジタルビデオカメラ100とは互いに初期ネゴシエーションを開始する(S280)。
【0098】
〔2−2−2.初期ネゴシエーション動作〕
次に、初期ネゴシエーション動作について図8を用いて説明する。
【0099】
初期ネゴシエーションが開始されると(S280)、PC500は、デジタルビデオカメラ100に対して、トランスコード開始要求コマンドを送信する(S290)。この「トランスコード開始要求コマンド」とは、どのような種類のトランスコード処理をデジタルビデオカメラ100に要求するかを示すコマンドである。
【0100】
トランスコード開始要求コマンドを受信すると、デジタルビデオカメラ100は、PC500に対して、所定の情報の要求を示すレスポンスデータを通知する(S300)。「所定の情報」とは、具体的には、PC500がトランスコード処理をデジタルビデオカメラ100に行わせようとする映像データに関する情報と、その映像データに対してトランスコード処理を施した結果得られる映像データに関する情報である。本実施形態では、たとえば、画像サイズ、NTSCかPALかの映像方式を示す情報を想定している。
【0101】
レスポンスデータを受信すると、PC500は、要求された情報(映像情報)をデジタルビデオカメラ100に送信する(S310)。
【0102】
PC500から映像情報を受信すると、デジタルビデオカメラ100のコントローラー210は、受信した映像情報が示す通りのトランスコード処理が可能か否かを判断する(S320)。
【0103】
トランスコード処理ができないと判断すると、デジタルビデオカメラ100は、PC500に対して、トランスコード処理が不可能である旨を示すレスポンスデータを送信する(S330)。
【0104】
一方、トランスコード処理ができると判断すると、デジタルビデオカメラ100は、PC500に対して、トランスコード処理が可能である旨を示すレスポンスデータを送信する(S340)。
【0105】
レスポンスデータの送信及び受信を行うと、デジタルビデオカメラ100とPC500とは、トランスコード処理のために必要な動作を開始する(S350)。
【0106】
デジタルビデオカメラ100は、トランスコード処理中に、PC500からの要求に応じて、書き込み動作と、読み出し動作とを行う。以下、書き込み動作及び読み出し動作について説明する。
【0107】
〔2−2−3.映像データの書き込み動作〕
まず、図10を参照しながら、トランスコード処理中の映像データの書き込み動作を説明する。書き込みモードが開始されると(S400)、PC500は、映像データをデジタルビデオカメラ100のメモリ200に書き込ませる際に、デジタルビデオカメラ100に対して、映像データを書き込み可能か否かを問い合わせるコマンドを送信する(S410)。
【0108】
映像データを書き込み可能か否かを問い合わせるコマンドを受け付けると、デジタルビデオカメラ100は、実際に映像データを書き込み可能か否かを判断する(S420)。具体的には、デジタルビデオカメラ100のコントローラー210がメモリ200の容量を確認することにより、この判断を行う。
【0109】
映像データを書き込み不可能であると判断すると、デジタルビデオカメラ100は、映像データを書き込み不可能である旨を示すレスポンスデータをPC500に送信する(S430)。
【0110】
一方、映像データを書き込み可能であると判断すると、デジタルビデオカメラ100は、映像データを書き込み可能である旨等を示すレスポンスデータをPC500に送信する(S440)。具体的には、デジタルビデオカメラ100は、映像データを書き込み可能である旨、及び書き込み可能容量に関する情報を送信する。
【0111】
レスポンスデータを受信したPC500はレスポンスデータを解析し、デジタルビデオカメラ100が映像データを書き込み可能であると判断すると、PC500は、デジタルビデオカメラ100に対して映像データを送信し、メモリ200に書き込みを開始する(S450)。PC500は、デジタルビデオカメラ100から許可された大きさの映像データをデジタルビデオカメラ100に送信する。PC500からの映像データの書き込み動作が開始されると、コントローラー210は、メモリ200に映像データが所定量蓄積されたか否かを判断する(S460)。映像データが所定量蓄積されると、コントローラー210は、画像処理部190がトランスコードを実行している最中か否かを判断する(S470)。トランスコード中でなければ、コントローラー210は、メモリ200に蓄積された映像データに対してトランスコード処理を施すように画像処理部190を制御する。これにより、画像処理部190はトランスコード処理を開始する(S480)。
【0112】
〔2−2−4.映像データの読み出し動作〕
次に、図12を参照しながら、トランスコード処理中の映像データの読み出し動作を説明する。読み出しモードが開始されると(S500)、PC500は、映像データをデジタルビデオカメラ100のメモリ200から読み出す際に、デジタルビデオカメラ100に対して、映像データを読み出し可能かを問い合わせるコマンドを送信する(S510)。
【0113】
映像データを読み出し可能か否かを問い合わせるコマンドを受け付けると、デジタルビデオカメラ100は、映像データを読み出し可能か否かを判断する(S520)。具体的には、デジタルビデオカメラ100のコントローラー210がメモリ200にトランスコード処理が完了した映像データが所定量蓄積されているかの判断を行う。
【0114】
映像データを読み出し不可能であると判断すると、デジタルビデオカメラ100は、映像データを読み出し不可能である旨を示すレスポンスデータをPC500に送信する(S530)。
【0115】
一方、映像データを読み出し可能であると判断すると、デジタルビデオカメラ100は、映像データを読み出し可能である旨等を示すレスポンスデータをPC500に送信する(S540)。具体的には、デジタルビデオカメラ100は、映像データを読み出し可能である旨、及び読み出し可能容量に関する情報を送信する。
【0116】
レスポンスデータを受信したPC500はレスポンスデータを解析する。PC500は、デジタルビデオカメラ100が映像データを読み出し可能であると判断すると、デジタルビデオカメラ100に読み出し要求を送り、デジタルビデオカメラ100からトランスコード処理が完了した映像データの読み出しを開始する(S550)。
【0117】
この処理をより詳しく説明する。デジタルビデオカメラ100の画像処理部190に存在するトランスコードブロック350が、PC500から受信した映像データにトランスコード処理を施している。この最中にコントローラー210の通信経路制御ブロック310がPC500のCPU501からの読み出し要求を受信すると、通信経路制御ブロック310はUSBインタフェース290を介して、トランスコード処理が完了して生成された映像データを順次、PC500に送信する。PC500は、デジタルビデオカメラ100から許可された容量を読み出すまで映像データの読み出しを継続する。トランスコード処理が完了した映像データをPC500が順に読み出すことにより、トランスコード処理が終了した後まもなく、トランスコード処理された映像データの転送を完了させることができる。
【0118】
なお、上述の処理ではトランスコード処理中に順次映像データを読み出すとしたが、トランスコード処理が全て完了するまでは読み出しは行わず、全て完了した後に、PC500がトランスコード処理された映像データを読み出してもよい。トランスコード処理が完了するまでは、デジタルビデオカメラ100は内蔵HDD300等の記録媒体にトランスコード処理された映像データを蓄積してもよい。
【0119】
この処理をより詳しく説明する。デジタルビデオカメラ100の画像処理部190に存在するトランスコードブロック350が、PC500から受信した映像データにトランスコード処理を施す。トランスコード処理完了時に、通信経路制御ブロック310がトランスコード処理の完了をPC500に通知すると、その応答として、通信経路制御ブロック310はPC500のCPU501から読み出し要求を受信する。通信経路制御ブロック310は、トランスコード処理が完了して生成された映像データを、USBインタフェース290を介して順次PC500に送信する。
【0120】
これにより、数時間を要するトランスコード処理の間、PC500はデジタルビデオカメラ100からデータの読み出しを行う必要はないため、使用者はPC500を用いて他の作業を行うことができる。
【0121】
また、PC500が読み出しを行うのではなく、デジタルビデオカメラ100がPC500に送信要求を出力し、PC500がそれに応答した後、デジタルビデオカメラ100がトランスコード処理された映像データをPC500に送信してもよい。
【0122】
このように、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、メモリカード240及びHDD300に記憶されている映像データのトランスコード処理をすることができる。また、デジタルビデオカメラ100は、さらに、PC500から受信した映像データのトランスコード処理もすることができる。これにより、PC500に記憶されている映像データをトランスコード処理する際に、専用のトランスコード装置を用意する必要がない。また、仮に、PC500内でトランスコード処理をしようとすると、PC500内のメモリ等のリソースを用いる必要があるため、その間、PC500の処理負荷が高くなる。しかしながら、デジタルビデオカメラ100を用いてトランスコード処理を行えば、トランスコード処理に必要なメモリ等のリソースをPC500上にはほとんど用意する必要がなくなる。よってトランスコード処理中であっても、使用者はPC500で他の作業を継続することが可能である。
【0123】
以上により、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、これらには限定されない。そこで、以下、上記実施形態の変形例を説明する。
【0124】
実施形態1にかかるデジタルカメラ100の光学系及び駆動系は、図2に示す例に限定されない。例えば、図2には、光が3群構成の光学系を経てCCD180に入射する構成例が示されている。しかしながら他の群構成のレンズ構成を採用してもよい。また、図2の上記3群構成の光学系の各レンズは1枚のレンズで構成されていてもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。
【0125】
また、本実施形態では、撮像素子として、CCDイメージセンサー180を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、CMOSイメージセンサーで構成してもよく、NMOSイメージセンサーで構成してもよい。
【0126】
本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、記憶媒体として、HDD300とメモリカード240とを有している。しかしながら、記憶媒体はこれらに限定されない。例えば、内蔵フラッシュメモリやDVDやBD(Blu−ray Disc)等であってもよい。要するに、データを記憶できる媒体であれば何でもよい。
【0127】
本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、PC500との接続状態がトランスコード処理をすることができない接続状態である場合に、一旦PC500との接続を解除し、再度、トランスコード処理をすることができる状態で接続するとした(図6ステップS220、S230)。しかしながら、この処理は一例である。他の処理例として、例えば、デジタルビデオカメラは、PCとの接続を維持した状態で、トランスコード処理が可能な状態に変更してもよい。
【0128】
実施形態1にかかるデジタルビデオカメラ100は、トランスコード処理に用いる中間メモリを自装置内のメモリ200としたが、これは一例である。他の処理例として、例えば、トランスコード処理に用いる中間メモリにメモリカード240のような外部の記憶媒体を用いてもよい。
【0129】
上述したデジタルビデオカメラ100が実行するコンピュータプログラム201(図2)およびPC500が実行するコンピュータプログラム510(図4)は、CD−ROM等の記録媒体に記録されて製品として市場に流通され、または、インターネット等の電気通信回線を通じて伝送され得る。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置、および、PCなどの電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
100 デジタルカメラ
110 ズームレンズ
120 検出器
130 ズームモータ
140 OIS
150 OISアクチュエータ
160 検出器
170 フォーカスレンズ
180 CCDイメージセンサー
190 画像処理部
200 メモリ
210 コントローラー
220 ジャイロセンサー
230 カードスロット
240 メモリカード
250 操作部材
260 ズームレバー
270 液晶モニタ
280 内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像機能を有する撮像装置であって、
外部の電子機器から第1データを受信するインタフェースと、
トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部であって、前記回路を用いて前記第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成する処理部と
を備え、前記インタフェースは前記第2データを前記電子機器に送信する、撮像装置。
【請求項2】
前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、
前記撮像装置はコンセントから供給される電源電力またはバッテリから供給される電力によって駆動され、
前記インタフェースが前記第1データを受信する前に、前記コントローラーは、自装置の現在の駆動電源の種類を特定する情報を、前記インタフェースを介して前記電子機器に送信し、
自装置が現在電源電力で駆動されている場合において、前記インタフェースは、前記電子機器から前記第1データを受信する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、
前記インタフェースは、前記第1データを受信する前に、前記トランスコード処理の種類を特定する情報を前記電子機器から受信し、
前記コントローラーは、前記トランスコード処理の種類を特定する情報に基づいて、特定された種類のトランスコード処理を前記第1データに施すことが可能か否かを判定し、可能であると判断した場合には、前記インタフェースを介して前記トランスコード処理が可能である旨を示すレスポンスデータを前記電子機器に送信し、その後、前記インタフェースは前記電子機器から前記第1データを受信する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーと、
前記第1データを蓄積する記憶部と
をさらに備え、前記コントローラーは、前記第1データが前記記憶部に所定量蓄積されたか否かを判定し、前記第1データが前記記憶部に所定量蓄積されたとき、前記処理部は前記回路を用いて前記第1データにトランスコード処理を施す、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、
前記コントローラーは、前記第1データのトランスコード処理によって生成された前記第2データの一部を、前記トランスコード処理が完了する前に前記インタフェースを介して前記電子機器に送信する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記インタフェースを介した前記電子機器との通信を制御するコントローラーをさらに備え、
前記コントローラーは、前記第1データのトランスコード処理が完了した後、前記第2データを、前記インタフェースを介して前記電子機器に送信する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
トランスコード処理に用いられる回路を備えた撮像装置と接続される電子機器であって、前記撮像装置は、コンセントから供給される電源電力またはバッテリから供給される電力によって駆動され、
前記撮像装置から現在の駆動電源の種類を特定する情報を受信するインタフェースと、
第1データを蓄積する記憶部と、
前記撮像装置の現在の駆動電源の種類に応じて、前記第1データを前記撮像装置に送信するか否かを決定するプロセッサと
を備え、前記撮像装置が現在電源電力で駆動されているときは、前記プロセッサは、前記インタフェースを介して、前記第1データを前記撮像装置に送信し、かつ、前記回路によって前記第1データにトランスコード処理が施された第2データを受信し、
前記撮像装置が現在バッテリで駆動されているときは、前記プロセッサは、前記第1データを前記撮像装置に送信しない、電子機器。
【請求項8】
前記第1データを送信する前に、前記プロセッサは、前記インタフェースを介して前記トランスコード処理の種類を特定する情報を前記撮像装置に送信し、前記撮像装置から、前記情報によって特定された種類のトランスコード処理が可能であるか否かを示すレスポンスデータを受信する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記レスポンスデータが、前記情報によって特定された種類のトランスコード処理が可能であることを示しているときは、前記プロセッサは、前記撮像装置に前記第1データを送信する、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記第1データのトランスコード処理によって生成された前記第2データの一部を、前記トランスコード処理が完了する前に前記インタフェースを介して前記撮像装置から受信する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記第2データを、前記第1データのトランスコード処理が完了した後、前記インタフェースを介して前記撮像装置から受信する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項12】
電子機器と、撮像機能を有する撮像装置とを備えたデータ処理システムであって、
前記電子機器は、
第1データを蓄積する記憶部と、
前記撮像装置に前記第1データを送信する第1インタフェースとを有し、
前記撮像装置は、
前記電子機器から前記第1データを受信する第2インタフェースと、
トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部であって、前記回路を用いて前記第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成する処理部とを有し、
前記撮像装置は、前記第2インタフェースを介して前記第2データを送信し、
前記電子機器は、前記第1インタフェースを介して前記第2データを受信する、データ処理システム。
【請求項13】
撮像機能を有する撮像装置のコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムであって、
前記撮像装置は、コンピュータとして機能するコントローラと、インタフェースと、トランスコード処理に用いられる回路を有する処理部とを備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コントローラに対し、
前記インタフェースを介して外部の電子機器から第1データを受信するステップと、
前記回路を利用して前記第1データにトランスコード処理を施し、第2データを生成するステップと、
前記インタフェースを介して前記第2データを前記電子機器に送信するステップと
を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
電子機器のコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムであって、
前記電子機器は、コンピュータと、第1データを蓄積する記憶部と、インタフェースとを備え、撮像装置と接続されており、
前記撮像装置は、トランスコード処理に用いられる回路を備え、コンセントから供給される電源電力またはバッテリから供給される電力によって駆動されており、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに対し、
前記インタフェースを介して前記撮像装置から現在の駆動電源の種類を特定する情報を受信するステップと、
前記撮像装置が現在バッテリで駆動されているときは、前記第1データを前記撮像装置に送信せず、前記撮像装置が現在電源電力で駆動されているときは、前記インタフェースを介して、前記第1データを前記撮像装置に送信するステップと、
前記第1データを前記撮像装置に送信した場合に、前記インタフェースを介して、前記回路によって前記第1データにトランスコード処理が施された第2データを受信するステップと
を実行させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−142618(P2011−142618A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273207(P2010−273207)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】