説明

撮像装置およびフラッシュの発光量校正方法

【課題】フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関が不明な場合においても、フラッシュを所望の発光量で発光させることができるカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1は、接続された外部フラッシュ16を基準被写体SOに向けて発光させて、基準被写体SOが反射したフラッシュ光を測光することにより外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLを算出する。これにより、デジタルカメラ1は、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLと、デジタルカメラ1から外部フラッシュ16に与えられる発光量制御パラメータとの相関の情報を取得する。そして、デジタルカメラ1は、この発光量校正の後に行われるフラッシュ撮影において、この相関の情報を利用して外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLを決定する。換言すれば、デジタルカメラ1は、それ自身が外部フラッシュ16のフラッシュ発光量の校正手段として機能している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびフラッシュの発光量校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュ調光用の専用センサを有しないカメラにおいては、フラッシュ発光中のリアルタイムの調光制御を行うことができない。このため、このようなカメラにおいては、本撮影の直前にフラッシュを小発光させて被写体からの反射光を測光し、その測光結果に基づいて本撮影時のフラッシュ発光量を事前決定する技術が用いられている。あるいは、被写体の測距を行い、その測距結果に基づいて本撮影時のフラッシュ発光量を事前決定する技術も用いられている。さらに、これらの2つの技術を組み合わせる技術も用いられている。これらの技術を用いる場合、カメラはフラッシュを所望の発光量で発光させることができる必要がある。
【0003】
一般に、カメラは、フラッシュへ与える発光トリガ時間を変化させたり、カメラ−フラッシュ間のシリアル交信でカメラからフラッシュに送信される発光量コードを変化させることにより、フラッシュ発光量を変化させている。換言すれば、カメラは、発光トリガ時間や発光量コード等の発光量制御パラメータを変化させることによって、フラッシュ発光量を変化させている。したがって、上述したように、カメラがフラッシュを所望の発光量で発光させるためには、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報をカメラが保持している必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、本発光の発光量を決定するために本発光に先立って予備発光を行うストロボ装置において、フラッシュ発光量と、発光量制御パラメータに相当する発光時間との関係を示すテーブルを記憶しておく技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、フル発光でのフラッシュ発光量と発光量データとを工場等での調整工程で記憶させた発光量制御装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献3は、ホワイトバランス補正のキャリブレーション撮影に関する技術である。
【0007】
【特許文献1】特開平11−119288号公報
【特許文献2】特開平9−61903号公報
【特許文献3】特開2001−275122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の技術においては、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関が不明である場合は、本撮影時のフラッシュ発光量を決めるための予備発光において所望の発光量でフラッシュを発光させることができない。このため、カメラの出荷時に装着されることが想定されていないフラッシュをユーザは使用できないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の技術は、カメラの製造業者による設定をターゲットとした技術であり、ユーザによる簡便なキャリブレーションは提示されていない。また、この技術においても、カメラの出荷時に装着されることが想定されていないフラッシュをユーザは使用できないという問題がある。
【0010】
本発明は、これらの技術を解決するためになされたもので、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関が不明な場合においても、フラッシュを所望の発光量で発光させることができるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、フラッシュを接続可能な撮像装置であって、撮像における露光量を算出する測光手段と、前記フラッシュの発光を制御する制御手段と、前記撮像装置から基準距離だけ離れた基準被写体に対するフラッシュ撮影によって実行される校正キャプチャでのフラッシュ発光量を、前記測光手段によって算出された露光量と、前記撮像装置の撮像動作に係る制御値とに基づいて算出する算出手段と、1回以上の前記校正キャプチャに基づく発光量校正で取得された、前記フラッシュ発光量と前記制御手段における発光量制御パラメータとの相関の情報を記憶する記憶手段とを備え、前記発光量校正以後のフラッシュ撮影においては、前記相関の情報に基づいて前記フラッシュの発光量制御パラメータを決定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記フラッシュとのデータ交信が可能な交信手段をさらに備え、前記交信手段が前記フラッシュに関するフラッシュ情報を取得することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記フラッシュの発光特性に関するフラッシュ情報を入力させるためのフラッシュ情報入力手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載の撮像装置において、前記フラッシュ情報に基づいて前記基準距離と前記制御値を決定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項2または請求項3に記載の撮像装置において、前記基準距離をユーザにマニュアルで操作指定させるための基準距離指定手段をさらに備え、前記フラッシュ情報および前記基準距離に基づいて前記制御値を決定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載の撮像装置において、前記制御値をユーザに通知する制御値通知手段をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項4または請求項5に記載の撮像装置において、前記制御値を前記撮像装置に自動設定する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の撮像装置において、前記基準被写体がグレーチャートであることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の撮像装置において、前記記憶手段が不揮発性であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の撮像装置において、個々の校正キャプチャまたは前記発光量校正全体の成否判定を実行する判定手段と、前記成否判定結果をユーザに通知する成否判定通知手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の撮像装置において、前記発光量校正における校正キャプチャが、所定回数の基準回数だけ行われることを特徴とする。
【0022】
また、請求項12の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の撮像装置において、前記基準回数の校正キャプチャの成否判定を実行する判定手段をさらに備え、前記成否判定に応じて、前記基準回数の校正キャプチャに追加してさらに校正キャプチャを実行することを特徴とする。
【0023】
また、請求項13の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の撮像装置において、前記フラッシュが非発光時の撮像における露光量と、所定の閾値との大小関係の判定を実行する定常光判定手段と、前記定常光判定手段の判定に基づく情報をユーザに通知する定常光判定通知手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0024】
また、請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の撮像装置において、前記撮像におけるホワイトバランス制御値を算出する測色手段をさらに備え、前記記憶手段が、前記フラッシュ発光量と前記ホワイトバランス制御値との相関の情報を記憶するとともに、前記発光量校正の後に行われるフラッシュ撮影において、当該フラッシュ撮影におけるホワイトバランス制御値を前記相関の情報に基づいて決定することを特徴とする。
【0025】
また、請求項15の発明は、撮像における露光量を算出する測光手段と、接続されたフラッシュの発光を制御する制御手段を備える撮像装置におけるフラッシュの発光量校正方法であって、前記撮像装置から基準距離だけ離れた基準被写体に対するフラッシュ撮影である校正キャプチャを実行する校正キャプチャ工程と、前記校正キャプチャ工程における露光量と前記撮像装置の撮像動作に係る制御値とに基づいて、当該校正キャプチャにおけるフラッシュ発光量を算出する算出工程と、1回以上の前記校正キャプチャ工程を含む発光量校正で得れられた、前記フラッシュ発光量と前記制御手段における発光量制御パラメータとの相関の情報を記憶する記憶工程とを備え、前記発光量校正以後のフラッシュ撮影において、前記相関の情報に基づいて前記フラッシュの発光制御パラメータを決定可能とすることを特徴とするフラッシュの発光量校正方法である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1ないし請求項15の発明によれば、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報が発光量校正によって取得されるので、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関が不明なフラッシュが撮像装置に接続された場合でも、発光量校正以後のフラッシュ撮影において適切な調光制御が可能になる。
【0027】
請求項2または請求項3の発明によれば、フラッシュ情報を撮像装置が取得可能になる。
【0028】
請求項3の発明によれば、フラッシュ情報を撮像装置が自動的に取得できない場合でも、フラッシュ情報を撮像装置が取得可能になる。
【0029】
請求項4の発明によれば、発光量校正を露光のラチチュードの範囲内で行うための基準距離および制御値が自動的に決定されるので、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報を適切に取得可能である。
【0030】
請求項5の発明によれば、発光量校正を露光のラチチュードの範囲内で行うための制御値が自動的に決定されるので、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報を適切に取得可能である。
【0031】
請求項6の発明によれば、発光量校正を露光のラチチュードの範囲内で行うための制御値をユーザが認識可能であるので、発光量校正を撮像装置に適切に実行させることが可能になる。
【0032】
請求項7の発明によれば、発光量校正が露光のラチチュードの範囲内で実行されるように撮像装置の制御が自動的に行われるので、ユーザは発光量校正を撮像装置に適切に実行させることが容易に可能になる。
【0033】
請求項8の発明によれば、基準被写体が通常被写体と同程度の反射率を有するので、発光量校正以後に実行されるフラッシュ撮影において、通常被写体に対する適切な調光制御が可能になる。
【0034】
請求項9の発明によれば、電源供給が絶たれても、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の記憶が維持されるので、電源供給が絶たれるたびに発光量校正を再実行する必要がなくなる。
【0035】
請求項10の発明によれば、校正キャプチャまたは発光量校正の成否をユーザが認識可能であるので、失敗した校正キャプチャまたは発光量校正により得られた、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報を用いてフラッシュ撮影を実行することを防止可能である。
【0036】
請求項12の発明によれば、基準回数の校正キャプチャでフラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報を適切に取得できない場合でも、追加の校正キャプチャが自動的に実行されるので、フラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関の情報を適切に取得可能になる。
【0037】
請求項13の発明によれば、校正キャプチャにおける定常光の影響をユーザは認識可能であるので、精度が低い校正キャプチャにより得られた、発光時間と発光量との相関を用いて通常撮影を実行してしまうことを防止可能である。
【0038】
請求項14の発明によれば、フラッシュ発光量に応じた適切なホワイトバランス制御を実行可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
実施形態に係るデジタルカメラ1は、その筐体に装着された外部フラッシュ16を基準被写体に向けて発光させて、当該基準被写体が反射したフラッシュ光を測光することにより外部フラッシュ16のフラッシュ発光量を算出する。これにより、デジタルカメラ1は、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量と、デジタルカメラ1から外部フラッシュ16に与えられる発光量制御パラメータとの相関の情報を取得する。そして、デジタルカメラ1は、この発光量校正の後に行われるフラッシュ撮影において、この相関の情報を利用して外部フラッシュ16のフラッシュ発光量を決定する。換言すれば、デジタルカメラ1は、それ自身が外部フラッシュ16のフラッシュ発光量の校正手段として機能している。
【0040】
<デジタルカメラの外観構成>
最初に、実施形態に係るデジタルカメラ1の外観構成について図1〜図3を参照しながら説明する。図1、図2および図3は、それぞれ、デジタルカメラ1の正面図、上面図および背面図である。
【0041】
デジタルカメラ1の正面にはズーム機能を有する撮影レンズ2が設けられる。撮影レンズ2においては、ズームリング2aを手動操作で回動させることにより撮影倍率を変更可能である。
【0042】
デジタルカメラ1のグリップ部17の上部にはレリーズボタン9が設けられる。レリーズボタン9は、半押し状態と全押し状態とを区別して検出可能な2段階押し込みスイッチとなっている。後述する「撮影モード」の自動合焦モードにおいては、半押し状態は自動合焦制御等の撮影準備動作のトリガとなり、全押し状態は本撮影動作のトリガとなる。加えて、後述する「発光量校正モード」においては、レリーズボタン9は、発光量校正のための校正キャプチャをデジタルカメラ1に実行させるトリガを与える操作部材として機能する。
【0043】
さらに、グリップ部17の上部には、左右双方向に回動可能なダイヤル操作部10が設けられる。
【0044】
デジタルカメラ1の撮影レンズ2の上部には、ポップアップ式の内蔵フラッシュ14が設けられる。図1〜図3においては、内蔵フラッシュ14がデジタルカメラ1の筐体内に格納された状態が図示されている。
【0045】
デジタルカメラ1には、図4の正面図に例示するような、発光部163を有する外部フラッシュ16を装着するためのシュー15が設けられる。シュー15の表面には接続端子18が設けられており、シュー15に外部フラッシュ16が装着されたときには、外部フラッシュ16の側の接続端子162とデジタルカメラ1の側の接続端子18との間で電気的な接続が確保される。そして、デジタルカメラ1は、この電気的な接続を利用したシリアル通信等により外部フラッシュ16との間でデータ交信を行う。このデータ交信により、デジタルカメラ1は、外部フラッシュ16に組み込まれた記憶部161に格納されたフラッシュ情報を取得可能である。このフラッシュ情報には、一般には外部フラッシュ16の発光特性に関する種々の情報が含まれているが、この実施形態では、外部フラッシュ16の種別や最大発光量(最大ガイドナンバGNmax;以下では外部フラッシュ16の発光量をガイドナンバで表現する)が含まれる。
【0046】
さらに、デジタルカメラ1は、このデータ交信により、発光を制御するための発光制御信号TRを外部フラッシュ16へ送信可能である。デジタルカメラ1は、この発光制御信号TRに係る発光制御時間tを変化させることにより外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLを変化させることができるが、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLと、デジタルカメラ1における発光量制御パラメータである発光制御時間tとの相関の情報をデジタルカメラ1が最初から保持している必要はない。
【0047】
ここで、外部フラッシュ16の発光波形FWと発光制御信号TRとの関係を図5を参照しながら説明する。図5(a)は、発光波形FWを表現するグラフであり、縦軸は発光強度、横軸は時間を示している。図5(b)は、発光制御信号TRを表現するグラフであり、縦軸は信号の電圧値、横軸は時間を示している。なお、図5(a)および(b)の横軸の時間は共通の時間の流れを示している。
【0048】
図5に示すように、発光制御信号TRは、可変の発光制御時間tの間だけ与えられる単一の矩形パルス信号である。外部フラッシュ16は、発光制御信号TRの立ち上がりをトリガとして漸進的に発光を開始し、立ち下がりをトリガとして漸進的に発光を停止する。換言すれば、外部フラッシュ16の発光波形FWは矩形パルス信号とはならず、その立ち上がりおよび立ち下がりは、いわゆる「なまった」状態となっている。このため、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FL(発光波形FWの積分値=図5のハッチング部分の面積)は、発光制御時間tの増加につれて増加するが、デジタルカメラ1においては、その具体的な関係(関数形または具体的数値の対応)は「発光量校正モード」における発光量校正によって明らかになる。
【0049】
なお、上述の説明では、デジタルカメラ1と外部フラッシュ16との間のデータ交信が、接続端子18および162を用いた電気的な接続を利用して実現されるとしたが、データ交信を実現するための物理レベルの手段はこれに制限されない。例えば、デジタルカメラ1のシュー15以外の場所に、外部フラッシュ16との間でデータ交信を可能にするためのインタフェースを別途設けてもよい。あるいは、各種の無線通信手段によってデジタルカメラ1と外部フラッシュ16との間のデータ交信を行ってもよい。
【0050】
また、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLを変化させるためにデジタルカメラ1から外部フラッシュ16へ送信される情報は、上述のような発光時間を制御するための情報(発光制御時間t)に限られず、他の発光量制御パラメータであってもよい。例えば、コンデンサに蓄電された全電力を発光に使用する外部フラッシュの場合、当該コンデンサの電極間電圧や充電時間等を発光量制御パラメータとして用いてもよい。
【0051】
デジタルカメラ1の上面には、デジタルカメラ1の動作モードを「撮影モード」と「再生モード」と「発光量校正モード」との間で切り替えるモード切替ダイヤル3が設けられる。「撮影モード」は、被写体の撮影を行って画像データの生成を行う動作モードである。「再生モード」は、後述するメモリカード90に記録された画像データをデジタルカメラ1の背面に設けられた液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)5に再生表示する動作モードである。「発光量校正モード」は、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量と発光量制御パラメータとの相関を特定する発光量校正用の動作モードである。この「発光量校正モード」の詳細は後述する。
【0052】
デジタルカメラ1の背面には、本撮影前のライブビュー表示、記録画像の再生表示および「発光量校正モード」におけるインタフェース画面の表示を行うLCD5と電子ビューファインダ(EVF;Electronic View Finder)4とが設けられている。
【0053】
さらに、デジタルカメラ1の背面には、メニューボタン6が設けられる。メニューボタン6は、各種のメニュー画面をLCD5に表示させるために用いられる。また、デジタルカメラ1の背面には、LCD5に表示されたカーソルを上下左右に移動させるための十字カーソルボタン7a〜7dと、十字カーソルボタン7a〜7dの中央部に設けられる決定ボタン7eとから構成されるコントロールボタン7が設けられる。デジタルカメラ1においては、メニューボタン6およびコントロールボタン7を用いて各種撮影パラメータの設定操作を行うことが可能である。なお、設定された各種撮影パラメータは、デジタルカメラ1の上面に配置されるデータパネル8に表示される。また、コントロールボタン7は、「発光量校正モード」のインタフェース画面においてGUI操作を行うためにも用いられる。例えば、外部フラッシュ16のフラッシュ情報をデジタルカメラ1がデータ交信により自動取得できない場合に、ユーザにフラッシュ情報をマニュアル入力させるためのフラッシュ情報入力手段等としても機能する。
【0054】
さらに、デジタルカメラ1の背面には、切換ボタン13とファンクション操作部11とが設けられる。切換ボタン13は、ライブビュー表示時にLCD5に表示される表示内容を切り替えるために使用される。ファンクション操作部11は、デジタルカメラ1の設定状態に関する操作を行うために使用される。ファンクション操作部11は、中央に設けられたファンクションボタン11aと、回動可能に設けられたファンクションダイヤル11bとを備える。
【0055】
また、ファンクション操作部11の右下部には、合焦モードを「自動合焦モード」と「手動合焦モード」との間で順次に切り替えるための合焦モード切替ボタン12が設けられる。
【0056】
デジタルカメラ1の側面には、着脱自在な記録媒体であるメモリカード90の挿入装着部が設けられる。本撮影によって得られる画像データは挿入装着部にセットされるメモリカード90に記録される。
【0057】
<デジタルカメラの内部構成>
デジタルカメラ1の内部構成について、図6の機能ブロック図を参照しながら説明する。
【0058】
撮影レンズ2は、被写体の光像を取得してCCD撮像素子20の受光面に結像させる。撮影レンズ2は、絞り径を変化させることによってCCD撮像素子20の受光面に至る光量を変化させる絞り2aを備えている。絞り2aの絞り径は、絞りドライバ41aによって変化させられる。また、撮影レンズ2は、レンズ駆動部41bによって光軸方向に駆動可能なフォーカシングレンズ2bを有している。レンズ駆動部41bは、全体制御部30から与えられる制御信号に基づいてフォーカシングレンズ2bを駆動して、被写体の光像の合焦状態を変化させる。
【0059】
CCD撮像素子20は、その受光面に結像した光像を光電変換して電子的な画像信号を生成する撮像手段である。CCD撮像素子20は、タイミングジェネレータ42から入力されるタイミングパルスに同期して駆動され、R(赤),G(緑),B(青)の色成分を有する画像信号を信号処理回路21へ出力する。タイミングジェネレータ42におけるタイミングパルスの生成は、全体制御部30によって制御されている。そして、デジタルカメラ1においては、当該タイミングパルスを変化させることにより、シャッタスピードSSに相当するCCD撮像素子20の露光時間を変化させる。
【0060】
信号処理回路21は、CCD撮像素子20から入力された画像信号にアナログ信号処理を施してA/D変換器22へ出力する。信号処理回路21は、アナログ画像信号のノイズ低減処理を行う相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)回路の他、増幅率可変の増幅器を有する。デジタルカメラ1においては、全体制御部30から入力される制御信号に基づいて当該増幅率を変化させることにより撮像感度を変化させる。なお、実施形態の以下の説明においては、当該撮影感度を、相当する銀塩カメラ用フィルムのISO感度に換算して表現する。
【0061】
A/D変換器22は、信号処理回路21から入力された画像信号を構成する各画素信号を12ビットのデジタル信号に変換して、画像データとしてホワイトバランス(WB;White Balance)回路23へ出力する。この変換処理は、全体制御部30から入力されるA/D変換用クロックに同期して行われる。
【0062】
WB回路23は、A/D変換器22から入力される画像データのホワイトバランスを調整する。より具体的には、WB回路23は、全体制御部30から入力されるレベル変換テーブルLUTを用いて、画像データにおけるR,G,Bの各色成分のレベル変換を行う。レベル変換テーブルLUTは、ホワイトバランス制御値として機能しており、全体制御部30において撮影ごとにオートまたはマニュアルで設定される。
【0063】
ホワイトバランス調整後の画像データは、γ補正回路24で階調変換が行われた後に色補正部25へ出力される。
【0064】
色補正部25は、ユーザにより設定された色補正パラメータに基づいて色補正を行うとともに、RGB色空間で表現されたカラー情報をYCrCb色空間で表現されたカラー情報に変換する。この表色系変換により、画像データの全画素の輝度成分値Yが得られる。
【0065】
なお、「発光量校正モード」においては、WB回路23および色補正部25におけるホワイトバランス調整および色補正は行われない。また、「発光量校正モード」においては、γ補正回路24ではCCD撮像素子20における受光量に比例する出力が得られるような階調変換が行われる(例えば、γ補正においてγ=1となるような階調変換)。
【0066】
解像度変換部26は、色補正部25から入力された画像データに所定の解像度変換処理を施す。解像度変換部26は、ライブビュー表示時には、入力された画像データをLCD5の表示画素数に対応した解像度へ変換してライブビュー用画像データを生成する。このライブビュー用画像データは、全体制御部30を介して画像合成部43へ転送され、LCD5およびEVF4に表示される。さらに、このライブビュー用画像データは測光演算部28および測色演算部50へも出力される。
【0067】
測光演算部28は、CCD撮像素子20における露光量の算出すなわち測光演算を行って、測光演算値を全体制御部30へ出力する。これにより、CCD撮像素子20、信号処理回路21から解像度変換部26までの各画像処理ブロックおよび測光演算部28は、撮像における露光量を算出する測光手段の主要部として機能する。上述したように、「発光量校正モード」においては、γ補正回路24においてCCD撮像素子20における受光量に比例する出力が得られるので、測光演算部28における測光演算値もCCD撮像素子20の受光量に比例している。
【0068】
なお、「撮影モード」における測光方法は制限されないが、例えば、画像を多分割して平均的に測光する多分割測光や、画像の中央部に重点を置きつつ画像全体の明るさを平均的に測光する中央重点的平均測光や、画像中央に設定された円形の測光領域内で測光を行うスポット測光等を測光方法として採用し得る。一方、「発光量校正モード」における測光方法も制限されないが、以下では、スポット測光を測光方法として採用しているものとして説明を行う。
【0069】
また、測色演算部50は、入力された画像データにおいてホワイトバランスが確保されるようなレベル変換テーブルLUTを生成して全体制御部30へ出力する。
【0070】
さらに、解像度変換部26は、自動合焦(AF;Auto Focus)制御時には、入力された画像データから合焦評価領域の部分画像データの抽出を行う。抽出された部分画像データは、AF制御用の評価値を演算するAF評価値演算部27に与えられる。AF評価値演算部27は、レリーズボタン9の半押しをトリガとして実行されるAF制御時にAF制御用の評価値を演算して全体制御部30へ出力する。デジタルカメラ1においては、この評価値に基づいてレンズ駆動部41bに制御信号が出力され、当該制御信号に基づいてフォーカシングレンズ2bが駆動されることにより、AF制御が行われる。
【0071】
なお、解像度変換部26は、レリーズボタン9の全押しをトリガとして実行される本撮影時には解像度変換処理を実行せず、入力された画像データをそのまま全体制御部30へ出力する。本撮影時のこの画像データは、全体制御部30を介して画像メモリ44へ転送される。
【0072】
画像メモリ44は、上述の画像処理が施された画像データを一時的に記憶する。画像メモリ44は、少なくとも1フレーム分の記憶容量を有する。そして、本撮影後に撮影画像のアフタービューが行われる場合には、画像メモリ44から画像合成部43に撮影画像に係る画像データが転送され、LCD5およびEVF4に当該撮影画像が表示される。また、撮影画像の記録指示がユーザからデジタルカメラ1へ与えられた場合には、画像メモリ44に一時的に記憶された画像データはメモリカード90へ転送される。これにより、画像データの記録保存が行われる。
【0073】
カードインタフェース47は、デジタルカメラ1の側面の挿入装着部に装着されるメモリカード90への画像データの書込み、およびメモリカード90からの画像データの読み出しを行うためのインタフェースである。メモリカード90への画像データの書込み時またはメモリカード90からの画像データの読み出し時には、それぞれ、JPEG方式等による画像データの圧縮処理または伸張処理が圧縮・伸張部46において行われる。また、外部接続インタフェース48はデジタルカメラ1と外部コンピュータ91とのデータ通信を可能ならしめるためのインタフェースである。
【0074】
操作部45は、上述したメニューボタン6、コントロールボタン7、レリーズボタン9、ファンクション操作部11、合焦モード切替ボタン12および切替ボタン13等を包含する。操作部11は、ユーザがデジタルカメラ1の設定状態を変更操作する際や撮影操作を行う際等に用いられる。
【0075】
全体制御部30は、RAM30a,ROM30bおよびCPU30cを備えるマイクロコンピュータである。全体制御部30は、ROM30bに格納されたデジタルカメラ1の制御用プログラムをCPU30cに実行させることにより、デジタルカメラ1の各構成を統括的に制御する。
【0076】
全体制御部30には、「発光量校正モード」において生成される発光量校正テーブルTAを記憶する不揮発性のフラッシュメモリ49が接続されている。発光量校正テーブルTAを不揮発性の記憶手段に保持することにより、デジタルカメラ1への電源供給が絶たれた場合でも、フラッシュ発光量FLと発光制御時間tとの相関の情報が保持されるので、電源供給断のたびに発光量校正を繰り返す必要はない。
【0077】
また、全体制御部30には内蔵フラッシュ14が接続される。全体制御部30は、内蔵フラッシュ14を所望の発光量で発光するように制御可能である。
【0078】
また、シュー15に外部フラッシュ16が装着されている場合、全体制御部30は外部フラッシュ16に発光制御信号TRを与えて発光させることが可能である。しかし、外部フラッシュ16の場合、フラッシュ発光量FLと発光制御時間tとの相関の情報は、必ずしも最初から既知である必要はなく、「発光量校正モード」における発光量校正によって取得されて、発光量校正テーブルTAとしてフラッシュメモリ49に記憶される。
【0079】
<全体制御部の詳細>
全体制御部30は、「発光量校正モード」においては、発光制御信号TRを出力して外部フラッシュ16を発光させるとともに、基準被写体SOが反射したフラッシュ光の測光演算値から外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLを算出する校正キャプチャをデジタルカメラ1に実行させる。そして、複数の校正キャプチャ(発光量校正)によって得られた、フラッシュ発光量FLと発光制御時間tとの相関の情報を発光量校正テーブルTAとしてフラッシュメモリ49に記憶させて、以後のフラッシュ撮影に利用する。以下では、この「発光量校正モード」の動作を実現するための全体制御部30のサブ機能ブロックについて、図7の機能ブロック図を参照しながら説明する。
【0080】
外部フラッシュ情報取得部301は、外部フラッシュ16とのデータ交信あるいは操作部45を用いたユーザのマニュアル入力により、デジタルカメラ1に装着された外部フラッシュ16のフラッシュ情報を取得する。先述したように、このフラッシュ情報には、外部フラッシュ16の種別や最大ガイドナンバGNmaxが含まれる。
【0081】
校正キャプチャ条件決定部302は、外部フラッシュ情報取得部301が取得したフラッシュ情報に基づいて、校正キャプチャ条件を決定する。より具体的には、校正キャプチャ条件決定部302は、フラッシュ情報に基づいて、絞り値、シャッタスピードおよび撮影感度等のカメラ制御値(一般には、撮像動作の制御値)を決定し、カメラ設定部303へ出力する。さらに、校正キャプチャ条件決定部302は、校正キャプチャを実行する場合の被写体となるグレーチャート(基準被写体SO)までの基準距離を決定し、インタフェース画面生成部304へ出力する。また、校正キャプチャ条件決定部302は、校正キャプチャ時の外部フラッシュ16の発光制御時間tを決定し、外部フラッシュ制御部305へ出力する。なお、これらの校正キャプチャ条件は、外部フラッシュ16が最大ガイドナンバGNmaxで発光した場合でも、校正キャプチャ時の露光量がそのダイナミックレンジの範囲内に収まるように決定される。換言すれば、校正キャプチャ時の露光がそのラチチュードの範囲内となるように決定される。例えば、最大ガイドナンバGNmaxが大きい外部フラッシュに対して校正キャプチャを実行する場合、絞りを最も絞った状態にして撮像感度を低下させるとともに、基準距離も相対的に長距離に決定する。逆に、最大ガイドナンバGNmaxが小さい外部フラッシュやマクロフラッシュに対して校正キャプチャを実行する場合、開放絞りにして小発光領域に対する精度を確保することが望ましい。なお、シャッタスピードは、外部フラッシュ16の発光波形FWの略全体が露光に寄与するように決定する。
【0082】
カメラ設定部303は、校正キャプチャ条件決定部302が決定したカメラ制御値をデジタルカメラ1へ反映させる。より具体的には、絞りドライバ41a、タイミングジェネレータ42および信号処理回路21を制御して、絞り値、シャッタスピードおよび撮像感度の設定を行う。
【0083】
外部フラッシュ制御部305は、校正キャプチャ条件決定部302が決定した発光制御時間tで外部フラッシュ16を発光させる。
【0084】
インタフェース画面生成部304は、校正キャプチャ条件決定部302が決定した基準距離Lをユーザに通知するための基準距離通知画面を生成して、画像合成部43へ出力する。これにより、基準被写体SOのセッティングをユーザに促すことが可能である。
【0085】
発光量校正テーブル生成部306は、校正キャプチャ条件決定部302が決定した校正キャプチャ条件(発光制御時間、カメラ制御値および基準距離)と、測光演算部28から入力された露光量とから、外部フラッシュ16の発光量を算出する。そして、発光量校正テーブル生成部306は、
(1)発光制御時間t;
(2)外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FL;および
(3)測色演算部50から取得したホワイトバランス調整用のレベル変換テーブルLUT;
を関連付けて、発光量校正テーブルTAとしてフラッシュメモリ49に記憶させる。この発光量校正テーブルTAは、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLと外部フラッシュ制御部305における発光制御時間tとの相関の情報を含む。したがって、フラッシュ発光量FLと発光制御時間tとの相関が不明な外部フラッシュ16がデジタルカメラ1に接続された場合であっても、一旦発光量校正が実行されて発光量校正テーブルTAがフラッシュメモリ49に格納されれば、デジタルカメラ1は外部フラッシュ16を所望のフラッシュ発光量で発光させることが可能となり、適切な調光制御が可能になる。
【0086】
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ1の「発光量校正モード」においては、デジタルカメラ1から光軸方向に基準距離Lだけ離れた基準被写体SOにフラッシュ光を照射してフラッシュ撮影を行う(校正キャプチャ)。そして、露光量(測光演算値)とカメラ制御値とから、当該校正キャプチャにおける外部フラッシュ16のフラッシュ発光量FLを算出する。これにより、フラッシュ発光量FLと、デジタルカメラ1の内部において外部フラッシュ16に与えられる発光制御時間tとの相関が明らかになる。このようにして明らかにされたフラッシュ発光量FLと発光制御時間tとの相関の情報は、発光量校正後に行われるフラッシュ撮影において、外部フラッシュ16を所望の発光量で発光させるために利用される。
【0087】
さらに、「発光量校正モード」においては、フラッシュ発光量FLを変化させた場合のホワイトバランス調整用のレベル変換テーブルLUTも取得され、フラッシュ発光量FLとレベル変換テーブルLUTとの相関も明らかになる。この相関の情報もフラッシュメモリ49に記録されるとともに、発光量校正後のフラッシュ撮影におけるホワイトバランス調整に利用される。これにより、デジタルカメラ1においては、フラッシュ発光量FLに応じて適切なホワイトバランス制御を実行可能になる。
【0088】
デジタルカメラ1と基準被写体SOとの配置を図8に示す。図8に示すように、基準被写体SOである反射率20%の無彩色グレーチャートは、デジタルカメラ1の撮像面IS(CCD撮像素子20の受光面)から光軸OA方向に基準距離Lだけ離れた位置に設置される。グレーチャートのチャート面は平面であり、光軸OAと垂直に保持されている。また、グレーチャートは、デジタルカメラ1の光軸OAとその中央部Pで交差するように保持される。「発光量校正モード」ではスポット測光が行われるので、グレーチャートの中央部Pの近傍が校正キャプチャにおける測光領域となる。なお、本実施形態においては、基準距離Lはデジタルカメラ1によって決定され、ユーザに通知される。また、基準被写体SOとして通常の被写体と同程度の反射率を有するグレーチャートを使用することにより、発光量校正は通常被写体に対して最適化されたものとなり、発光量校正後に行われるフラッシュ撮影において通常被写体に対する適正な調光制御を実行可能になる。
【0089】
○発光量校正モードの全体動作;
以下では、デジタルカメラ1の「発光量校正モード」の全体動作について、図9〜図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0090】
ステップS1〜S8では、発光量校正に必要な諸設定が行われる。
【0091】
「発光量校正モード」の全体動作の最初のステップS1では、外部フラッシュ情報取得部301によってシュー15への外部フラッシュ16の装着の有無が検出され、動作フローは次のステップS2へ移行する。
【0092】
ステップS2では、ステップS1の検出結果によって分岐処理が行われる。具体的には、外部フラッシュ16の装着が検出された場合は動作フローは次のステップS3へ移行し、検出されない場合は動作フローはステップS1へ戻る。したがって、シュー15への外部フラッシュ16の装着が検出されるまでステップS1〜S2が繰り返される。
【0093】
ステップS2に続くステップS3では、外部フラッシュ情報取得部301と外部フラッシュ16との間でシリアル交信が行われる。このシリアル交信により、外部フラッシュ情報取得部301は、外部フラッシュ16の記憶部161に格納されているフラッシュ情報の送信を外部フラッシュ16に要求し、動作フローはステップS4へ移行する。
【0094】
ステップS4では、ステップS3におけるフラッシュ情報送信要求によって、フラッシュ情報を外部フラッシュ情報取得部301が取得可能であったかどうかによって分岐処理が実行される。すなわち、フラッシュ情報を取得できた場合は動作フローはステップS5へ移行し、取得できなかった場合は動作フローはステップS6へ移行する。なお、フラッシュ情報を外部フラッシュ情報取得部301が取得できないのは、外部フラッシュ情報取得部301と外部フラッシュ16との間のシリアル交信が確立できない場合や、外部フラッシュ16がフラッシュ情報を記憶部161に記憶していない場合等がある。
【0095】
ステップS6では、最大ガイドナンバGNmaxをユーザにマニュアル入力させるためのインタフェース画面である最大ガイドナンバ入力画面SR1がLCD5に表示される。図13に例示するように、最大ガイドナンバ入力画面SR1は、ユーザに最大ガイドナンバGNmaxのマニュアル入力を促す文字列M1と、最大ガイドナンバGNmaxの入力欄CL1とを有している。ユーザは、フラッシュ情報入力手段としても機能するコントロールボタン7を所定の方法で操作することにより、入力欄CL1に最大ガイドナンバGNmaxを入力可能である。
【0096】
ステップS6に続くステップS7では、ユーザによる最大ガイドナンバGNmaxのマニュアル入力の有無によって分岐処理が行われる。すなわち、最大ガイドナンバGNmaxが入力された場合には動作フローはステップS5へ移行し、最大ガイドナンバGNmaxが入力されない場合は動作フローはステップS6へ戻る。したがって、最大ガイドナンバGNmaxの入力が行われるまで、最大ガイドナンバ入力画面SR1がLCD5に表示され続ける。また、ステップS6〜S7により、外部フラッシュ情報取得部301が外部フラッシュ16の最大ガイドナンバGNmaxをシリアル交信により自動的に取得できない場合でも、外部フラッシュ情報取得部301は最大ガイドナンバGNmaxを取得可能になる。
【0097】
ステップS5は、校正キャプチャ条件決定部302が、フラッシュ情報に基づいてカメラ制御値、基準距離Lおよび発光制御時間tのタイプを決定するサブルーチンである。基準距離Lおよびカメラ制御値は、外部フラッシュ16が最大ガイドナンバGNmaxで発光した場合でも露光がラチチュードの範囲内に収まるように決定される。本サブルーチンの詳細は後述する。
【0098】
ステップS5に続くステップS8では、校正キャプチャ条件決定部302によって、発光制御時間tが設定される。デジタルカメラ1では、校正に失敗して発光量校正が中止されない限り、発光量校正中に少なくとも4回のフラッシュ発光(校正キャプチャ)が行われるので、ステップS8では4種類の発光制御時間t1〜t4(t1<t2<t3<t4)が設定される。この発光制御時間t1〜t4は、複数のタイプ(発光制御時間t1〜t4の組)のテーブルからステップS5で決定されたタイプが読み出しされることにより決定される。このテーブルの一例を図20に示す。図20から明らかなように、発光制御時間t1〜t4もまた、基準距離Lやカメラ制御値と同様に、フラッシュ情報に基づいて決定されている。
【0099】
ステップS8に続くステップS9では、ステップS5で設定されたカメラ制御値および基準距離Lにおける定常光(環境光)の測光が行われ、動作フローはステップS10へ移行する。定常光とは、外部フラッシュ16が非発光の状態で基準被写体SOからデジタルカメラ1の撮影レンズ2へ向かって入射する環境光である。換言すれば、ステップS10では、校正キャプチャにおける測光の誤差原因となるバックグランドの測定を行っている。
【0100】
ステップS10は、ステップS9で得られた定常光の露光量によって分岐処理を行う。より具体的には、露光量BVが所定の閾値BV’以上である場合は動作フローはステップS11へ移行し、露光量BVが所定の閾値BV’より小さい場合は動作フローはステップS12へ移行する。
【0101】
ステップS10の分岐処理は、後続する校正キャプチャの校正精度に定常光が与える影響が許容範囲内であるかどうかを分岐処理の判定基準としている。したがって、閾値BV’は、ステップS5で決定されたカメラ制御値によって適性露光となる露光量よりも十分に小さい値である必要がある。例えば、カメラ制御値が、絞り値がFN2.8(AV3)、シャッタスピードが1/60秒(TV6)、撮像感度がISO100(SV5)である場合(括弧内はAPEX値)、適性露光となる露光量はAPEX演算(3+6−5=4)により「4」となるので、「4」よりも十分に小さい露光量、例えば「1」が閾値BV’として定められる。
【0102】
定常光の露光量BVが閾値BV’以上であった場合(環境光が明るすぎる場合)に実行されるステップS11では、定常光が強すぎることをユーザに通知するための定常光警告画面SR2がLCD5に表示され、しかる後に「発光量校正モード」の動作フローは終了する。本実施形態においては、定常光警告画面SR2は図14に例示するような文字列による警告である。しかし、ユーザへの警告表示はこの方法に制限されず、例えば、アイコン表示による警告や、LED等の発光デバイスの点灯による警告や、ビープ音による警告等も採用可能である。この点は、他のインタフェース画面についても同様である。
【0103】
ステップS12では、後続する校正キャプチャにおける外部フラッシュ16の発光制御時間ti(i=1,2,・・・,imax)を特定するインデックスiとインデックスiの最大値imaxが初期化され(i←1,imax←4)、しかる後に動作フローは次のステップS13へ移行する。ステップS12においては、最大値imaxは、ステップS6で設定された発光制御時間tの数(本実施形態においては所定数4)に設定されるが、この数は後続するステップにおいて必要に応じて増加させられる。換言すれば、「発光量校正モード」における発光量校正は、一般には1回以上の校正キャプチャを含むが、この実施形態では基準回数として4回の校正キャプチャを含んでいるとともに、必要に応じて追加の校正キャプチャも実行される。
【0104】
ステップS13〜S19は、1回のフラッシュ発光を伴う校正キャプチャの単位動作に関するステップである。
【0105】
ステップS13では、外部フラッシュ16の充電状態の検出が行われ、動作フローは次のステップS14へ移行する。
【0106】
ステップS14では、ステップS13で検出された充電状態に応じた分岐処理が実行される。すなわち、充電完了が検出された場合は動作フローはステップS15へ移行し、充電完了が検出されない場合は動作フローはステップ13へ戻る。これにより、外部フラッシュ16の充電完了までステップS13〜S14のループが繰り返される。
【0107】
ステップS15では、図15に例示するカメラ準備完了画面SR3がLCD5に表示される。カメラ準備完了画面SR3により、校正キャプチャのトリガとなるレリーズボタン9の押下の実行可否をユーザは認識可能となる。
【0108】
ステップS15に続くステップS16では、レリーズボタン9の押下状態の検出が実行され、動作フローは次のステップS17へ移行する。
【0109】
ステップS17では、ステップS16における押下状態の検出結果に応じた分岐処理が行われる。すなわち、押下が検出された場合は動作フローはステップS18へ移行し、押下が検出されない場合は動作フローはステップS16へ戻る。したがって、レリーズボタン9の押下が行われるまで、ステップS16〜S17のループが繰り返され、デジタルカメラ1は校正キャプチャの待機状態を維持している。
【0110】
ステップS18では、発光制御時間tiで校正キャプチャが行われる。より具体的には、外部フラッシュ制御部305から外部フラッシュ16へ発光制御信号TRが出力され、発光制御時間tiで外部フラッシュ16の発光が行われる。さらに、ステップS5で設定されたカメラ制御値が設定されたデジタルカメラ1においてフラッシュ光の反射光が取得され、測光演算部28および測色演算部50では当該反射光に対する測光演算および測色演算が実行される。ここで算出された露光量およびレベル変換テーブルLUTは、発光量校正テーブル生成部306へ出力される。また、校正キャプチャ条件決定部302から発光量校正テーブル生成部306へは当該校正キャプチャにおける校正キャプチャ条件が出力される。
【0111】
ステップS18に続くステップS19は、ステップS18で得られた露光量から外部フラッシュ16のフラッシュ発光量をガイドナンバGNiとして算出するサブルーチンである。ステップS19は、ガイドナンバGNiを算出するのみならず、露光の適正性の判定も行われる。このサブルーチンの詳細は後述する。
【0112】
ステップS19に続くステップS20では、ステップS19における露光量の適正判定の結果に応じた分岐処理が実行される。すなわち、露光量が適正であると判定され「データ有効フラグ」が設定されている場合は動作フローはステップS22へ移行し、露光量が不適正であると判定され「データ無効フラグ」が設定されている場合は動作フローはステップS21へ移行する。換言すれば、ステップS19は、全体制御部30で実行される単一の校正キャプチャの成否判定を実行するステップである。
【0113】
ステップS21では、図16に図示する校正エラー通知画面SR4がLCD5に表示され、「発光量校正モード」の動作フローは終了する。校正エラー通知画面SR4は、インタフェース画面生成部304で生成され、校正キャプチャの失敗をユーザに通知するためにLCD5に表示される。この失敗通知により、校正キャプチャの成否をユーザが認識可能となるので、失敗した校正キャプチャにより得られた発光量校正テーブルTAを用いてフラッシュ撮影を実行することを防止可能である。
【0114】
ステップS22では、発光制御時間tiと、ステップS19で算出されたガイドナンバGNiと、ホワイトバランス調整用のレベル変換テーブルLUTiとが対応づけられてフラッシュメモリ49に格納され、動作フローは次のステップS23へ移行する。なお、対応づけられた発光制御時間とガイドナンバとレベル変換テーブルの対の組(ti,GNi,LUTi)(i=1,2,・・・,imax)が発光量校正テーブルTAとなるので、インデックスiが「1」から「imax」までインクリメントされながらステップS22が繰り返し実行されることにより、デジタルカメラ1において発光量校正テーブルTAが生成されることになる。
【0115】
ステップS23では、インデックスiが最大値imax以上であるかどうかによって分岐処理が実行される。すなわち、インデックスiが最大値imax以上である場合は、動作フローはステップS24へ移行し、それ以外の場合は動作フローはステップS25へ移行する。これにより、設定された発光制御時間ti(i=1,2,・・・,imax)の全ての校正キャプチャが終了している場合は動作フローはステップS24へ移行し、それ以外の場合は動作フローはステップS25へ移行することになる。
【0116】
ステップS25では、インデックスiがインクリメント(i←i+1)され、動作フローはステップS13へ戻る。ステップS13〜S20,S22〜S23,S25のループにより、発光制御時間がt1からtimaxへと順次変更されながら校正キャプチャが繰り返される。そして、全ての発光制御時間t1〜timaxの校正キャプチャが終了するとループの繰り返しも終了する。
【0117】
ステップS24は、発光制御時間t1〜timaxとガイドナンバGN1〜GNimaxから校正結果を評価するサブルーチンである。ステップS24では、校正評価結果に応じたフラグがセットされる。より具体的には、校正が成功で新たな校正キャプチャが不要である場合は校正成功フラグ、校正が失敗である場合は校正失敗フラグがセットされる。加えて、さらに発光制御時間を長くして校正キャプチャを追加実行する必要がある場合は長時間発光要求フラグがセットされ、さらに発光時間を短くして校正キャプチャを追加実行する必要がある場合は短時間発光要求フラグがセットされる。本サブルーチンの詳細は後述する。
【0118】
ステップS24に続くステップS26においては、ステップS24の校正評価結果に応じた分岐処理が行われる。すなわち、校正成功フラグがセットされている場合は動作フローはステップS29へ移行し、校正失敗フラグがセットされている場合は動作フローはステップS21へ移行し、長時間発光要求フラグが設定されている場合は動作フローはステップS27へ移行し、短時間発光要求フラグが設定されている場合は動作フローはステップS28へ移行する。
【0119】
ステップS27およびステップS28は、所定の基準回数(4回)の校正キャプチャに追加して実行される校正キャプチャのための設定を行うステップである。
【0120】
ステップS27では、発光制御時間テーブルに、発光制御時間tiより長い発光制御時間ti+1が追加され、最大値imaxがインクリメントされる(imax←imax+1)。そして、動作フローはステップS13へ戻る。これにより、発光制御時間ti+1による校正キャプチャがステップS13〜S20,S22で追加実行される。
【0121】
一方、ステップS28では、発光制御時間テーブルに、発光制御時間t1より短い発光制御時間ti+1が追加され、最大値imaxがインクリメントされる(imax←imax+1)。そして、動作フローはステップS13へ戻る。これにより、発光制御時間ti+1による校正キャプチャがステップS13〜S20,S22で追加実行される。
【0122】
校正成功時に実行されるステップS29では、図17に例示する登録確認画面SR5がLCD5に表示される。登録確認画面SR5は、レベル変換テーブルTAがをフラッシュメモリ306に登録するかどうかをユーザに選択させるためのGUI画面であり、画面上には仮想的なOKボタンBTN1とCancelボタンBTN2とが含まれている。
【0123】
ステップS29に続くステップS30では、登録確認画面SR5におけるユーザのGUI操作によって分岐処理が行われる。すなわち、OKボタンBTN1の押下が行われた場合は動作フローはステップS31へ移行し、CancelボタンBTN2が押下された場合は動作フローはステップS32へ移行する。
【0124】
ステップS32では、図18に例示するキャンセル通知画面SR6がLCD5に所定時間表示された後、「発光量校正モード」の動作フローは終了する。この場合、一連の校正キャプチャ(発光量校正)によって得られたレベル変換テーブルTAがはデジタルカメラ1に登録されず、レベル変換テーブルTAは破棄される。
【0125】
ステップS31では、図19に例示する登録通知画面SR7がLCD5に所定時間表示された後、動作フローはステップS33へ移行する。
【0126】
ステップS33では、発光量校正によって得られたレベル変換テーブルTAがデジタルカメラ1に登録(フラッシュメモリ49に記憶)され、しかる後に「発光量校正モード」の動作フローは終了する。
【0127】
○カメラ制御値、基準距離設定サブルーチンの動作;
続いて、カメラ制御値、基準距離設定サブルーチンの動作について、図21のフローチャートを参照しながら説明する。カメラ制御値、基準距離設定サブルーチンでは、外部フラッシュ情報取得部301が外部フラッシュ16とのシリアル交信あるいはユーザによるマニュアル入力によって取得したフラッシュ情報に基づいて、カメラ制御値および基準距離Lが決定される。そして、決定されたカメラ制御値がデジタルカメラ1に反映されるとともに、決定された基準距離Lに基準被写体SOをセットすることがユーザに促される。
【0128】
最初のステップS101では、外部フラッシュ16の種別、より具体的には外部フラッシュ16が近接撮影用のマクロフラッシュであるかどうかによって分岐処理が行われる。外部フラッシュ16がマクロフラッシュである場合は動作フローはステップS102へ移行し、外部フラッシュ16がマクロフラッシュでない場合は動作フローはステップS103へ移行する。
【0129】
ステップS103では、外部フラッシュ16の最大ガイドナンバGNmaxに応じた分岐処理が行われる。すなわち、GNmax≦2.8の場合は動作フローはステップS102へ移行し、2.8<GNmax≦11の場合は動作フローはステップS104へ移行し、11<GNmaxの場合は動作フローはステップS105へ移行する。
【0130】
以上のステップS101およびS103により、フラッシュ情報、すなわち外部フラッシュ16の種別や最大ガイドナンバGNmaxに応じた分岐処理が行われたことになる。
【0131】
ステップS102,S104〜S105は、発光制御時間tのタイプ、カメラ制御値および基準距離Lを決定するステップである。
【0132】
ステップS102では、発光制御時間tが「タイプ1」に決定されるとともに、カメラ制御値である絞り、シャッタスピードおよび感度が、それぞれ、FN2.8、1/60秒およびISO100に決定される。さらに、基準距離Lが50cmに決定される。そして、動作フローはステップS106へ移行する。
【0133】
ステップS104では、発光制御時間tが「タイプ2」に決定されるとともに、カメラ制御値である絞り、シャッタスピードおよび感度が、それぞれ、FN5.6、1/60秒およびISO100に決定される。さらに、基準距離Lが100cmに決定される。そして、動作フローはステップS106へ移行する。
【0134】
ステップS105では、発光制御時間が「タイプ3」に決定されるとともに、カメラ制御値である絞り、シャッタスピードおよび感度が、それぞれ、FN11、1/60秒およびISO50に決定される。さらに、基準距離Lが200cmに決定される。そして、動作フローはステップS106へ移行する。
【0135】
ステップS102,S104〜S105により、マクロフラッシュや最大ガイドナンバGNmaxが小さい外部フラッシュ16の場合は、露出アンダー防止のため、基準距離Lが相対的に小さく設定され、カメラ制御値も相対的に露出を上げる方向へ設定される。また、露出オーバー防止のため、最大ガイドナンバGNmaxの増加にしたがって、基準距離Lが増加させられ、カメラ制御値も露出を低下させる方向へ変更される。また、外部フラッシュ16の種別や最大ガイドナンバGNmaxに応じて発光制御時間のタイプ(図20参照)も変更され、発光制御時間tは最大ガイドナンバGNmaxが大きいほど長くなる。
【0136】
ステップS106では、カメラ制御値をユーザに通知するための、図22に例示する制御値確認画面SR8がLCD5に表示される。制御値確認画面SR8には、ステップS102,S104〜S105のいずれかで決定された基準距離Lおよびカメラ制御値が表示される。ユーザは、制御値確認画面SR8に表示された基準距離Lを参照して、基準被写体SOをデジタルカメラ1の光軸OA方向に基準距離Lだけ離れた位置にセットする。そして、セットを完了した後に制御値確認画面SR8に含まれる確認ボタンBTN3をコントロールボタン7のGUI操作により押下する。すなわち、制御値確認画面SR7によっては、基準距離Lがユーザに通知され、基準被写体SOのセッティングがユーザに促されることになる。
【0137】
ステップS106に続くステップS107では、制御値確認画面SR7におけるユーザのGUI操作によって分岐処理が行われる。すなわち、確認ボタンBTN3の押下が検出された場合は動作フローはステップS108へ移行し、押下が検出されない場合は動作フローはステップS106へ移行する。これにより、確認ボタンBTN3が押下されるまで制御値確認画面SR7がLCD5に表示され続けることになる。
【0138】
ステップS108は、ステップS102,S104〜S105のいずれかにおいて決定されたカメラ制御値(制御値確認画面SR7に表示された制御値)をデジタルカメラ1に設定するステップである。本実施形態においては、カメラ制御値のデジタルカメラ1への設定処理はカメラ設定部303によって自動的に実行される。換言すれば、カメラ制御値が決定されるとユーザによる確認を待つことなく、実際の制御用数値として即時設定される。これにより、発光量校正が露光のラチチュードの範囲内で実行されるような露出制御が自動的に行われるので、ユーザは発光量校正をデジタルカメラ1に適切に実行させることが可能になる。設定処理終了後、カメラ制御値、基準距離設定サブルーチンの動作フローは終了する。
【0139】
○ガイドナンバ演算サブルーチンの動作;
続いて、ガイドナンバ演算サブルーチンの動作について、図23のフローチャートを参照しながら説明する。
【0140】
最初のステップS201においては、適正露光量d0は固定値、126+リニア値で例えば584(10進法)という値を取る(式1)。ステップS201終了後、動作フローは次のステップS202へ移行する。
【0141】
【数1】



【0142】
ステップS202では、校正キャプチャ時の露光量dが露光のダイナミックレンジの範囲内(ラチチュードの範囲内)かどうかによって分岐処理が行われる。すなわち、露光量dが式2を満たす場合はダイナミックレンジの範囲内であるとして動作フローはステップS203へ移行し、式2を満たさない場合はダイナミックレンジの範囲外であるとして動作フローはステップS204へ移行する。
【0143】
【数2】



【0144】
ステップS203では、露光量dおよび適正露光量d0を用いて、外部フラッシュ16のフラッシュ発光量であるガイドナンバGNiが式3および式4に基づいて算出される。この算出処理終了後、動作フローはステップS205へ移行する。
【0145】
【数3】



【0146】
ステップS205では、キャプチャデータ有効フラグがセットされ、ガイドナンバ演算サブルーチンの動作フローは終了する。一方、ステップS204では、キャプチャデータ無効フラグがセットされ、ガイドナンバ演算サブルーチンの動作フローを終了する。
【0147】
このように、露光量dがダイナミックレンジの範囲内であるかどうかの判定を行うことにより、不適切な校正キャプチャにより得られた発光量校正テーブルTAを用いてフラッシュ撮影を行うことを防止可能である。
【0148】
○校正評価サブルーチンの動作;
続いて、校正評価サブルーチンの動作について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。先述したステップS19が単一の校正キャプチャの成否判定を実行するステップであったのに対して、本サブルーチンは、校正キャプチャ群からなる発光量校正の全体の成否判定を実行するステップであり、全体制御部30のマイクロコンピュータで実行される。
【0149】
最初のステップS301は、校正評価に用いられるパラメータΔIVn(n=1,2,・・・,imax−1)を算出するステップである。パラメータΔIVnは、式5〜式7等に基づいて算出される。
【0150】
【数4】



【0151】
パラメータΔIVnは、発光制御時間tを1段階増加させた場合の露光量の増加を示す。したがって、パラメータΔIVnを検討することにより、発光制御時間tの増加にしたがってフラッシュ発光量FLが増加しているかどうかを判定可能である。別の言い方をすれば、パラメータΔIVnが小さいということは、発光制御時間tを増加させてもフラッシュ発光量が増加しておらず、外部フラッシュ16の最大ガイドナンバGNmaxに近い発光が既に行われていることを意味する。
【0152】
ステップS301に続くステップS302では、パラメータΔIVn(n=1,2,・・・,imax−1)の全てが所定の範囲内に含まれているかどうかによって分岐処理が行われる。より具体的には、パラメータΔIVn(n=1,2,・・・,imax−1)の全てが式8を満たす場合は動作フローはステップS303へ移行し、満たさない場合は動作フローはステップS304へ移行する。式8において、ΔmaxおよびΔminは所定の値である。
【0153】
【数5】



【0154】
ステップS303では、パラメータΔIVimax-2から所定の定数を減じた値よりパラメータΔIVimax-1が小さいかどうかにより分岐処理が行われる。大きい場合、動作フローはステップS305へ移行し、小さい場合は動作フローはステップS306へ移行する。これは、発光制御時間をtimax-1からtimaxに増加させることによるフラッシュ発光量の増加に飽和傾向が見出されれば、動作フローはステップS305へ移行し、飽和傾向が見出されなければ、動作フローはステップS306へ移行することを意味する。
【0155】
なお、ステップS303の説明でいう飽和傾向を図25のグラフを参照しながら説明する。図25の横軸は発光制御時間の対数をとった量、縦軸はIV(露光量すなわちフラッシュ発光量FLの対数をとった量に比例する)であり、図25の各プロット点Q1〜Q4は、単一の校正キャプチャに対応している(図26〜図27も同様)。図25より明らかなように、横軸位置T3からT4にかけてIVの増加は低下しており、グラフの傾きも小さくなっている。このような状況が上述した「飽和傾向」に相当している。このような飽和傾向は、最大ガイドナンバGNmaxに近い発光量で外部フラッシュ16の発光が行われたことを意味しており、外部フラッシュ16の発光のダイナミックレンジの上限付近での発光が既に行われていることを意味する。ただし、ステップS302においてパラメータΔIVimax-1が所定の閾値Δmin以上となっているので、図26に示すような完全な飽和(横軸位置T3からT4にかけてIVがまったく増加しない)ような状況は、ここでいう「飽和傾向」に含まれない。あるいは、図27の横軸位置T1からT2にかけてのIVの傾向もダイナミックレンジの下限を下回っていることを意味しており、ここでいう飽和傾向には相当しない。
【0156】
ステップS305においては、先述の飽和傾向により校正評価が成功であるとみなされて校正評価成功フラグがセットされ、校正評価サブルーチンの動作フローは終了する。
【0157】
ステップS304においては、ΔIVimax-1が所定値M1より大きいかどうかによって、分岐処理が行われる。所定値M1より大きい場合は動作フローはステップS306へ移行し、小さい場合は動作フローはステップS307へ移行する。
【0158】
ステップS306が実行されるのは、発光制御時間tを増加させることにより発光量が増加すると予想される場合、すなわち、外部ラッシュ16が最大ガイドナンバGNmax付近でまだ発光されていない場合である。このため、ステップS306では、長時間発光要求フラグがセットされ、校正評価サブルーチンの動作フローは終了する。
【0159】
ステップS307では、パラメータΔIV1が所定値M2より大きいかどうかによって分岐処理が行われる。すなわち、所定値M2より大きい場合は動作フローはステップS308へ移行し、小さい場合は動作フローはステップS309へ移行する。これは、発光制御時間tを減少させることにより、さらにフラッシュ発光量FLを小さくすることができると予想される場合は動作フローがステップS308へ移行し、そうでない場合は動作フローはステップS309へ移行することを意味する。
【0160】
ステップS308では、短時間発光要求フラグがセットされ、校正評価サブルーチンの動作フローは終了する。
【0161】
ステップS4309では、校正失敗フラグが設定され、校正評価の動作フローを終了する。
【0162】
<発光量校正テーブルの補間について>
デジタルカメラ1においては、上述の発光量校正テーブルTAを使用して、フラッシュ撮影を行うことが可能である。なお、発光量校正テーブルTAは、図29および図30のプロット点に示したように、離散的な発光制御時間tとフラッシュ発光量FLとの相関の情報を含むが、離散的な発光制御時間tの間を補間することによって、任意の発光制御時間t’tに対するフラッシュ発光量FL’を特定することが可能である(図29および図30参照)。あるいは、この逆に、任意のフラッシュ発光量FL’に対する発光制御時間t’tを特定することが可能である。これにより、デジタルカメラ1は、発光量校正テーブルTAを参照することによって外部フラッシュ16を所望のフラッシュ発光量FLで発光させることが可能になる。
【0163】
この補間は、図29のようなプロット点間の線形的な補間であってもよいし、図30のような2次以上のスプライン補間等のより高度な補間処理であってもよい。また、ホワイトバランス調整用のレベル変換テーブルLUTに対しても同様の補間を行うことが可能である。
【0164】
<変形例>
○基準距離Lについて;
上述の実施形態では、デジタルカメラ1が基準距離Lを決定し、ユーザに基準被写体SOをデジタルカメラ1から光軸OA方向に基準距離Lだけ離れた位置にセットするように通知したが、基準距離Lをユーザに決定させてもよい。この場合、図28に例示するような基準距離入力画面SR9をLCD5に表示して、ユーザが決定した基準距離Lを入力欄CL2に入力させてもよい。ユーザによる基準距離Lの指定入力は、基準距離指定手段としても機能するコントロールボタン7を所定の方法で操作することにより行われる。この指定は数値入力でもよく、あらかじめ準備された複数の候補値からの選択による指定でもよい。また、基準距離Lがユーザによりマニュアル指定された場合は、外部フラッシュ16のフラッシュ情報および当該基準距離Lに基づいてデジタルカメラ1のカメラ制御値は決定される。このときも、カメラ制御値は校正キャプチャが露光のラチチュードの範囲内で行われるように決定される。
【0165】
○測光手段について;
上述の実施形態では、CCD撮像素子20を測光用のセンサとしても用いたが、CCD撮像素子20とは独立した測光センサを設けて測光を行ってもよい。
【0166】
○撮像手段について;
上述の実施形態では、本発明をデジタルカメラ1に適用した場合について説明したが、本発明は銀塩カメラに適用することも可能である。この場合、撮像における露光量を算出するために測光用のセンサを設ければよい。
【0167】
○カメラ制御値の設定について;
上述の実施形態では、カメラ制御値の設定をカメラ設定部303により行ったが、インタフェース画面生成部304を用いてカメラ制御値の情報をLCD5に表示させて、ユーザにカメラ制御値の設定をマニュアルで実行させてもよい。この場合、インタフェース画面生成部304は、カメラ制御値をユーザに通知する手段の主要部として機能することになる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】デジタルカメラ1の正面図である。
【図2】デジタルカメラ1の上面図である。
【図3】デジタルカメラ1の背面図である。
【図4】外部フラッシュ16の正面図である。
【図5】外部フラッシュ16の発光波形FWと発光制御信号TRとの関係を示す図である。
【図6】デジタルカメラ1の内部構成を説明する機能ブロック図である。
【図7】全体制御部30を説明する機能ブロック図である。
【図8】デジタルカメラ1と基準被写体SOとの配置を説明する図である。
【図9】デジタルカメラ1の「発光量校正モード」の全体動作を説明するフローチャートである。
【図10】デジタルカメラ1の「発光量校正モード」の全体動作を説明するフローチャートである。
【図11】デジタルカメラ1の「発光量校正モード」の全体動作を説明するフローチャートである。
【図12】デジタルカメラ1の「発光量校正モード」の全体動作を説明するフローチャートである。
【図13】最大ガイドナンバ入力画面SR1を例示して説明する図である。
【図14】定常光警告画面SR2を例示して説明する図である。
【図15】カメラ準備完了画面SR3を例示して説明する図である。
【図16】校正エラー通知画面SR4を例示して説明する図である。
【図17】登録確認画面SR5を例示して説明する図である。
【図18】キャンセル通知画面SR6を例示して説明する図である。
【図19】登録通知画面SR7を例示して説明する図である。
【図20】発光制御時間のテーブルを説明する図である。
【図21】カメラ制御値、基準距離設定サブルーチンの動作を説明するフローチャートである。
【図22】制御値確認画面SR8を例示して説明する図である。
【図23】ガイドナンバ演算サブルーチンの動作を説明するフローチャートである。
【図24】校正評価サブルーチンの動作を説明するフローチャートである。
【図25】校正キャプチャにおける発光制御時間と発光量との関係をグラフによって示す図である。
【図26】校正キャプチャにおける発光制御時間と発光量との関係をグラフによって示す図である。
【図27】校正キャプチャにおける発光制御時間と発光量との関係をグラフによって示す図である。
【図28】基準距離入力画面SR9を例示して説明する図である。
【図29】発光制御時間の補間方法を説明する図である。
【図30】発光制御時間の補間方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0169】
1 デジタルカメラ
2 撮影レンズ
15 シュー
16 外部フラッシュ
18 接続端子
162 接続端子
SO 基準被写体
OA 光軸
IS 撮像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュを接続可能な撮像装置であって、
撮像における露光量を算出する測光手段と、
前記フラッシュの発光を制御する制御手段と、
前記撮像装置から基準距離だけ離れた基準被写体に対するフラッシュ撮影によって実行される校正キャプチャでのフラッシュ発光量を、前記測光手段によって算出された露光量と、前記撮像装置の撮像動作に係る制御値とに基づいて算出する算出手段と、
1回以上の前記校正キャプチャに基づく発光量校正で取得された、前記フラッシュ発光量と前記制御手段における発光量制御パラメータとの相関の情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記発光量校正以後のフラッシュ撮影においては、前記相関の情報に基づいて前記フラッシュの発光量制御パラメータを決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記フラッシュとのデータ交信が可能な交信手段をさらに備え、
前記交信手段が前記フラッシュに関するフラッシュ情報を取得することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記フラッシュの発光特性に関するフラッシュ情報を入力させるためのフラッシュ情報入力手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の撮像装置において、
前記フラッシュ情報に基づいて前記基準距離と前記制御値を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の撮像装置において、
前記基準距離をユーザにマニュアルで操作指定させるための基準距離指定手段をさらに備え、
前記フラッシュ情報および前記基準距離に基づいて前記制御値を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御値をユーザに通知する制御値通知手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御値を前記撮像装置に自動設定する手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の撮像装置において、
前記基準被写体がグレーチャートであることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の撮像装置において、
前記記憶手段が不揮発性であることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の撮像装置において、
個々の校正キャプチャまたは前記発光量校正全体の成否判定を実行する判定手段と、
前記成否判定結果をユーザに通知する成否判定通知手段と、
をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の撮像装置において、
前記発光量校正における校正キャプチャが、所定回数の基準回数だけ行われることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の撮像装置において、
前記基準回数の校正キャプチャの成否判定を実行する判定手段をさらに備え、
前記成否判定に応じて、前記基準回数の校正キャプチャに追加してさらに校正キャプチャを実行することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の撮像装置において、
前記フラッシュが非発光時の撮像における露光量と、所定の閾値との大小関係の判定を実行する定常光判定手段と、
前記定常光判定手段の判定に基づく情報をユーザに通知する定常光判定通知手段と、
をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の撮像装置において、
前記撮像におけるホワイトバランス制御値を算出する測色手段をさらに備え、
前記記憶手段が、前記フラッシュ発光量と前記ホワイトバランス制御値との相関の情報を記憶するとともに、
前記発光量校正の後に行われるフラッシュ撮影において、当該フラッシュ撮影におけるホワイトバランス制御値を前記相関の情報に基づいて決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
撮像における露光量を算出する測光手段と、接続されたフラッシュの発光を制御する制御手段を備える撮像装置におけるフラッシュの発光量校正方法であって、
前記撮像装置から基準距離だけ離れた基準被写体に対するフラッシュ撮影である校正キャプチャを実行する校正キャプチャ工程と、
前記校正キャプチャ工程における露光量と前記撮像装置の撮像動作に係る制御値とに基づいて、当該校正キャプチャにおけるフラッシュ発光量を算出する算出工程と、
1回以上の前記校正キャプチャ工程を含む発光量校正で得れられた、前記フラッシュ発光量と前記制御手段における発光量制御パラメータとの相関の情報を記憶する記憶工程と、
を備え、
前記発光量校正以後のフラッシュ撮影において、前記相関の情報に基づいて前記フラッシュの発光制御パラメータを決定可能とすることを特徴とするフラッシュの発光量校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2005−70620(P2005−70620A)
【公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−302845(P2003−302845)
【出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】