説明

撮像装置および撮像方法

【課題】外部装置への映像信号の伝送フレームレートと異なる撮像フレームレートで撮影を行う場合に、外部出力される映像信号における映像とタイムコードとを同期させる。
【解決手段】被写体光を光電変換して映像信号を生成する撮像部100と、撮像部100に対して、所定の撮像フレームレートでの映像信号の生成を指示するタイミング生成部105とを備えた。また、映像信号に付加するタイムコードを生成するタイムコード生成部と、映像信号と、映像信号に付加されたタイムコードとをメモリに記憶させ、メモリに記憶された映像信号とタイムコードとの組を、映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力する出力信号制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部装置への映像信号の伝送フレームレートと異なる撮像フレームレートで撮影を行うビデオカメラレコーダに適用して好適な、撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映画製作やテレビジョン放送のプログラム製作等では、特殊な映像効果を得るために、撮像装置の撮像フレームレートを、所望のフレームレートに変化させて撮影することが行われている。撮像フレームレートを再生フレームレートよりも大きくして撮像及び記録を行い、再生は通常速度で行うと、再生画像はスロー再生画像となる。また、撮像フレームレートを再生フレームレートよりも小さくして撮像を行い、再生は通常速度で行うと、再生画像は高速再生画像となる。このような撮影は、「可変速フレームレート撮影」等と称されている。
【0003】
撮像フレームレートを変えて行う撮影には、「可変速フレームレート撮影」以外にも、一度に記録するフレーム数および間隔時間を設定して目的の映像を自動記録する「インターバルレック(間欠記録)」や、RECボタン押下時にのみ記録を行う「コマ撮り」等がある。
【0004】
ところで、ビデオカメラレコーダ等の撮像装置では、撮影した映像信号に対してタイムコードを付加することが行われている。タイムコードはフレーム単位で歩進するものであるため、その桁上がりフレーム数は、フレームレートに同期している必要がある。このため、例えば可変速フレームレート撮影された映像信号に対しては、撮像フレームレートと同期したタイムコードではなく、再生フレームレートに同期したタイムコードが付加される。
【0005】
例えば特許文献1には、記録時に、複数種類のフレームレートに対応させた各フレームレートを関連づけて記録し、再生時には、記録された複数種類のタイムコードの中から適切なタイムコードを選択できる手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−39713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、映画製作やテレビジョン放送のプログラム製作の現場においては、撮像装置で撮影を行い、撮影により得られた映像信号を記録装置等の外部装置に伝送して記録させることが行われている。このような場合は、撮像装置で撮影された映像信号は、伝送の規格に応じて定められる伝送フレームレートによって、外部装置に伝送される。つまり、可変速フレームレート撮影によって得られた映像信号を外部装置に伝送する際には、そのフレームレートを、規格で定められた伝送フレームレートに変換する必要がある。撮像フレームレートのまま映像信号を外部装置に伝送するには、このような可変速フレームレート撮影を行う撮像装置専用に、撮像フレームレートでの伝送を行えるような新たな伝送規格を策定するしかない。しかし、それは現実的な選択とはいえなかった。
【0008】
図7は、撮像装置において40Pのフレームレートで撮影および記録を行い、撮影により得られた映像信号を、60Pの伝送フレームレートで外部装置に伝送する場合の例を示したものである。図7の横軸は時間を示す。図7(a)は、40Pで撮影された映像信号Vs1〜映像信号Vs6が、撮像素子から1/40秒毎に順次読み出される様子を示している。図7(b)は、撮像装置内部の記録部に記録される映像信号を示し、図7(c)は、撮像装置内部の記録部に記録される映像信号Vs1〜映像信号Vs6に付加される各タイムコードを示している。
【0009】
図7(c)に示されるように、タイムコードは、映像信号Vs1に対しては“10:10:10:57”が付加され、続く映像信号Vs2には“10:10:10:58”が付加されている。つまり、タイムコードは、映像信号Vsに同期して1フレーム毎に1ずつ歩進されている。タイムコードの桁上がりフレーム数は、再生フレームレートである60Pに対応させてある。したがって、タイムコードの一番下の桁は、“00”〜“59”まで1フレームで1ずつ変化した後、映像信号Vs4に付加されるタイムコードにおいて桁上がりし、“00”に戻っている。
【0010】
図7(d)は、撮像部内部の記録部から読み出されて、外部出力から外部装置に出力される映像信号を示し、図7(e)は、この映像信号に付加される各タイムコードを示している。本例では、外部装置への映像信号の伝送フレームレートを60Pと想定しているため、図7(d)に示すように、映像信号Vs1〜映像信号Vs6を1/60秒毎に伝送している。このとき、映像信号Vs1と映像信号Vs3と映像信号Vs5において、同じフレームの映像信号を2回繰り返して送ることで、フレームレートが40Pから60Pに変換された映像信号において、画像データ(映像)を含まないフレームが生じてしまうことがなくなる。これにより、映像信号Vsを受信する外部装置側が仮に可変フレームレート撮影に対応していない場合であっても、映像信号再生時に外部装置側で不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0011】
図7(d)に示した1/60秒毎に読み出される各映像信号にも、それぞれにタイムコードが付加される。図7(e)に示すように、タイムコードは、伝送フレームレートに同期して1/60秒に1フレームずつ歩進され、一番下の桁が“59”まで進んだところで桁が上がり、“00”に戻っている。
【0012】
ところが、このような処理を行うことにより、外部装置に伝送される映像信号において、映像とタイムコードとが同期しなくなってしまうという問題が発生する。例えば、図7(b)に示す、撮像装置内部の記録部に記録される映像信号Vs5には、図7(c)に示すように、“10:10:11:01”のタイムコードが付加されている。これに対して、図7(e)に示す、外部記録装置に出力される映像信号Vs5には、“10:10:11:03”という異なるタイムコードが付加されている。
【0013】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、外部装置への映像信号の伝送フレームレートと異なる撮像フレームレートで撮影を行う場合に、外部出力される映像信号における映像とタイムコードとを同期させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本開示の撮像装置は、撮像部と、タイミング生成部と、タイムコード生成部と、出力制御部とを備える構成とし、各部の構成及び機能を次のようにする。撮像部は、被写体光を光電変換して映像信号を生成する。タイミング生成部は、撮像部に対して、所定の撮像フレームレートでの映像信号の生成を指示する。タイムコード生成部は、映像信号に付加するタイムコードを生成する。出力信号制御部は、映像信号と、映像信号に付加されたタイムコードとをメモリに記憶させ、メモリに記憶された映像信号とタイムコードとの組を、映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力する。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本開示の撮像方法は、次の手順で行う。まず所定の撮像フレームレートでの映像信号の生成を指示する。次に、被写体光を光電変換して、指示された撮像フレームレートで映像信号を生成する。次に、映像信号に付加するタイムコードを生成する。次に、映像信号と、映像信号に付加されたタイムコードとをメモリに記憶する。次に、メモリに記憶された映像信号とタイムコードとの組を、映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力する。
【0016】
このように構成および処理することで、外部の装置に伝送される映像信号には、撮影時に付加されたタイムコードがそのまま付加されるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の撮像装置および撮像方法によれば、外部の装置に伝送される映像信号には、撮影時に付加されたタイムコードがそのまま付加されるため、外部出力される映像信号における映像とタイムコードとが同期するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示の一実施の形態による映像システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本開示の一実施の形態によるビデオカメラレコーダの構成例を示すブロック図である。
【図3】本開示の一実施の形態による、高速再生モード設定時の映像信号とタイムコードとの関係を示す図であり、(a)は撮影された映像信号を示し、(b)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号を示し、(c)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(d)は外部記録装置に伝送される映像信号を示し、(e)は外部記録装置に伝送される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(f)は外部記録装置に伝送される映像信号に重畳される有効フレームフラグを示す。
【図4】本開示の一実施の形態による、スロー再生モード設定時の映像信号とタイムコードとの関係を示す図であり、(a)は撮影された映像信号を示し、(b)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号を示し、(c)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(d)は外部記録装置に伝送される映像信号を示し、(e)は外部記録装置に伝送される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(f)は外部記録装置に伝送される映像信号に重畳される有効フレームフラグを示す。
【図5】本開示の一実施の形態による、タイムコードジェネレータによる処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本開示の一実施の形態による、レックランモード設定時において記録開始が指示されない間における映像信号とタイムコードとの関係を示す図であり、(a)は撮影された映像信号を示し、(b)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号を示し、(c)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(d)は外部記録装置に伝送される映像信号を示し、(e)は外部記録装置に伝送される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(f)は外部記録装置に伝送される映像信号に重畳される有効フレームフラグを示す。
【図7】従来の、高速再生モード設定時の映像信号とタイムコードとの関係を示す図であり、(a)は撮影された映像信号を示し、(b)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号を示し、(c)はビデオカメラレコーダ内部の記録部に記録される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(d)は外部記録装置に伝送される映像信号を示し、(e)は外部記録装置に伝送される映像信号に付加されるタイムコードを示し、(f)は外部記録装置に伝送される映像信号に重畳される有効フレームフラグを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本開示の実施形態に係る撮像装置の構成および処理の具体例を、図面を参照しながら下記の順で説明する。
1.本開示の一実施の形態による映像システムの構成例
2.本開示の一実施の形態によるビデオカメラレコーダの内部構成例
3.本開示の一実施の形態による出力信号制御処理の例
【0020】
<1.本開示の一実施の形態による映像システムの構成例>
図1は、本開示の撮像装置が適用される映像システムの構成例を示す図である。図1に示す映像システム1は、放送用や映画用のコンテンツを撮影して記録するビデオカメラレコーダ10と、ビデオカメラレコーダ10と伝送ケーブル5によって接続された外部記録装置20とを有する。ビデオカメラレコーダ10は、本開示の撮像装置が適用されたものであり、撮影時のフレームレートを再生フレームレートとは異なる任意のフレームレートに設定して撮影する「可変速フレームレート撮影」の機能を有する。以下、「可変速フレームレート撮影」を行うモードのことを、「可変速フレームレート撮影モード」と称する。
【0021】
ビデオカメラレコーダ10は、撮像部100と、記録部104と、出力信号制御部109と、映像信号出力部111とを備える。なお、図1は、映像システムを構成する各装置が有する機能を概略的に示したものであり、ビデオカメラレコーダ10の構成の詳細については、次の図2を参照して後述する。
【0022】
撮像部100は、図示しない撮像素子や撮像素子駆動部等で構成され、被写体光を光電変換して映像信号を生成する。記録部104は、ビデオテープやHDD(Hard Disc Drive)、メモリカード等で構成され、撮像部100で生成された映像信号を記録する。出力信号制御部109は、撮像部100により得られた映像信号の撮像フレームレートを伝送フレームレート(第2のフレームレート)に変換して出力する。出力信号制御部109でフレームレートが変換された映像信号を、伝送ケーブル5を介して外部記録装置20に伝送する。外部記録装置20への映像信号の伝送は、例えば、HD−SDI(High Definition Serial Digital Interface)等の規格によって行われる。
【0023】
外部記録装置20は、ビデオカメラレコーダ10から伝送された映像信号を記録する装置であり、映像信号入力部201と、記録部202とを備える。映像信号入力部201は伝送ケーブル5に接続されており、ビデオカメラレコーダ10から出力された映像信号が入力される。記録部202は、ビデオテープやHDD、メモリカード等で構成され、映像信号入力部201から入力された映像信号をビデオクリップとして記録する。
【0024】
なお、本実施の形態では、外部装置を外部記録装置に適用した例をあげたが、これに限定されるものではない。撮像装置から送信された映像信号が入力される外部装置であれば、ノンリニア編集機やライブスイッチャ等の他の装置に適用してもよい。
【0025】
<1.本開示の一実施の形態によるビデオカメラレコーダの構成例>
続いて、本開示の一実施の形態によるビデオカメラレコーダの構成例について、図2のブロック図を参照して説明する。図2に示すビデオカメラレコーダ10は、撮像部100と、記録部104と、タイミング制御部としてのタイミングジェネレータ105と、タイムコード生成部としてのタイムコードジェネレータ106と、操作部107と、システムコントローラ108とを備える。さらに、出力信号制御部109と、メモリ110と、映像信号出力部111とを備える。
【0026】
撮像部100は、撮像素子101と、撮像素子駆動部102と、信号処理部103とよりなる。撮像素子101は、図示せぬレンズによって図示せぬ受光面に結像された被写体光を光電変換し、得られた信号電荷を読み出して電気信号に変換する。撮像素子101は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等よりなる。
【0027】
撮像素子駆動部102は、後述するタイミングジェネレータ105から供給される同期信号に基づいて撮像素子101を駆動する。信号処理部103は、撮像素子101で得られた映像信号に対して、ガンマ補正演算や、RGB/YC変換処理等を行う。記録部104は、信号処理部103で信号処理が施された映像信号を蓄積する。
【0028】
タイミングジェネレータ105は、基本クロックから、撮像素子駆動部102と信号処理部103と後述するタイムコードジェネレータ106および出力信号制御部109に供給する同期信号を生成する。
【0029】
タイムコードジェネレータ106は、タイミングジェネレータ105から供給される同期信号に同期してタイムコードを生成および歩進させて、記録部104および後述する出力信号制御部109に供給する。
【0030】
タイムコードを歩進させるモードには、「フリーラン」と「レック(REC)ラン」という2種類のモードがあり、タイムコードジェネレータ106は、いずれかのモードによってタイムコードを歩進させる。「フリーラン」とは、実時間と同期させてタイムコードを歩進させるモードであり、「レックラン」とは、録画(レック)が行われている間のみタイムコードを歩進させるモードである。
【0031】
タイムコードの歩進モード(以下、“TC mode”とも称する)は、後述する操作部107を介してユーザによって入力され、入力値を受け取ったシステムコントローラ108からタイムコードジェネレータ106に対して、TC modeとして供給される。タイムコードジェネレータ106は、入力されたTC modeに基づいて「フリーラン」もしくは「レックラン」の方式でタイムコードを歩進させる。
【0032】
タイムコードジェネレータ106は、後述する操作部107を介して「可変速フレームレート撮影モード」による撮影が指示された場合には、再生フレームレートとして設定されたフレームレートに同期させて、タイムコードを歩進させる。例えば、再生フレームレートが24Pに設定されている場合には、タイムコードの一番下の桁を、“00”〜“23”まで1フレームで1ずつ歩進した後、桁上がりさせて再び“00”から歩進させる。
【0033】
なお、本実施の形態によるビデオカメラレコーダ10は、撮影および記録のモードとして「同期記録モード」と「通常モード」とを備え、選択されるモードに応じて、タイムコードジェネレータ106によるタイムコードの歩進方法を変えている。「同期記録モード」とは、外部出力される映像信号における映像とタイムコードとが同期するように撮影および記録を行うモードであり、「通常モード」とは、外部出力される映像信号における映像とタイムコードと一致させずに撮影および記録を行うモードである。
【0034】
「通常モード」設定時には、従来の処理の例として図7に示したように、外部装置に出力される映像信号(図7(d)参照)に付加するタイムコード(図7(e)参照)は、伝送フレームレートに同期して1フレーム毎に歩進する。一方、ビデオカメラレコーダ10内の記録部104に記録する映像信号に付加するタイムコードは、上述したように、再生フレームレートに同期して1フレーム毎に歩進する(図7(c)参照)。
【0035】
つまり、「通常モード」においては、ビデオカメラレコーダ10内の記録部104に記録する映像信号に付加するタイムコードと、外部記録装置20に出力する映像信号に付加するタイムコードとを、別々に生成する。これに対して、「同期記録モード」設定時には、再生フレームレートに同期したタイムコードのみを生成する。
【0036】
操作部107は、録画の開始または停止を指示するRECボタンやその他のボタン、つまみ、スイッチ等により構成され、ユーザから入力された操作内容を操作信号に変換してシステムコントローラ108に供給する。システムコントローラ108は、CPU(Central Processing Unit)等よりなり、ビデオカメラレコーダ10を構成する各部の制御を行う。
【0037】
出力信号制御部109は、信号処理部103から出力された映像信号の撮像フレームレートを、伝送フレームレートに変換して出力する。フレームレートの変換は、入力された映像信号をメモリ110に書き込み、伝送フレームレートに基づくタイミングで映像信号をメモリ110から読み出すことによって行う。伝送フレームレートには、通常、撮像フレームレートより早いフレームレートが設定される。このため、映像信号のフレームレートを伝送フレームレートに合わせたものに変換する際には、映像を含まないフレームが発生しないように、いくつかの映像信号において、同じ映像を繰り返して伝送することを行う。つまり、メモリ110に書き込まれた映像信号の中から、同じ映像信号を複数回読み出して映像信号出力部111に出力する。
【0038】
このとき、出力信号制御部109は、メモリ110に映像信号とともに、映像信号に付加されたタイムコードも書き込むことを行う。そして、「同期記録モード」の設定がされている場合には、メモリ110から同じ映像信号を複数回読みだす際にも、映像信号に付加されたタイムコードをそのまま使用する。すなわち、外部出力される映像信号に対して、伝送フレームレートに同期させた別のタイムコードを付加する処理は行わない。これにより、外部出力される映像信号において、映像とタイムコードとが同期するようになる。
【0039】
そして、出力信号制御部109は、複数回繰り返して読み出した映像信号に対しては、そのうちの1つに対してのみ、その映像が有効であることを示す「有効フレームフラグ」を付加する。この「有効フレームフラグ」が付加された映像信号のみが再生されることにより、再生画像において、スロー再生や高速再生等の効果が得られるようになる。したがって、外部記録装置20内の記録部202(図1参照)には、「有効フレームフラグ」が付加された映像信号のみが記録される。
【0040】
図3および図4は、「同期記録モード」設定時に、外部出力される映像信号のフレームレートが伝送フレームレートと同じフレームレートに変換される際の、映像信号とタイムコードとの対応を示す図である。図3は、「高速再生」効果を得るために、撮像フレームレートを40P、再生フレームレートを60Pとした場合の処理を示し、図4は、「スロー再生」効果を得るために、撮像フレームレートを40P、再生フレームレートを24Pとした場合の処理を示す。図3および図4において、従来の処理の例として示した図7と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0041】
まず図3から説明すると、図3(b)に示すビデオカメラレコーダ10内部の記録部104に記録される映像信号Vs1〜Vs6に対しては、図3(c)に示すように、再生フレームレートとして設定された60Pと同期したタイムコードが付加される。「フレーム」を示すタイムコードの一番下の桁が、映像信号Vs3に付加されたもので“59”となっているのに対して、次の映像信号Vs4には、桁上がりした“00”が付加されている。この、図3(b)に示した映像信号と図3(c)に示したタイムコードとが、記録部104(図2参照)に記録されるとともに、フレームレート変換用のメモリ110にも蓄積される。
【0042】
出力信号制御部109は、メモリ110に書き込まれた映像信号およびそれに付加されたタイムコードを、伝送フレームレートである60Pに合わせて1/60秒毎に読み出す。このとき、40Pで撮影された映像信号を60Pの伝送フレームレートにのせるために、いくつかの映像信号Vsは、同じ映像を複数回繰り返して読み出すことを行う。図3(d)には、映像信号Vs1と映像信号Vs3と映像信号Vs5において、同じ映像が2回繰り返して読み出されている。タイムコードは、メモリ110に映像信号とともに書き込まれたものをそのまま読み出しているだけなので、図3(e)に示すように、同じ映像に対しては同じタイムコードが付加されている。例えば、映像信号Vs1は2回読み出されているが、いずれの映像に対しても、同じ“10:10:10:57”のタイムコードが付加されている
【0043】
図3(d)に示した映像信号Vs1,映像信号Vs3,映像信号Vs5は、同じ映像を2回繰り返して読み出しているため、そのうちの1つに対してのみ、図3(f)に示すように「有効フレームフラグ」の値を“Valid”に設定する。このように処理することで、タイムコードの歩進が、「有効フレームフラグ」が“Valid”となっている有効画像の更新タイミングで行われるようになる。
【0044】
外部記録装置20(図1参照)として、「有効フレームフラグ」が付加された映像信号のみを記録する機能を備えたものを使用することで、外部記録装置20内の記録部202には、「有効フレームフラグ」が付加された映像信号のみが記録される。もしくは、従来の外部記録装置を、このような機能を備えるように構成してもよい。そして、外部記録装置20によって「有効フレームフラグ」が立った映像信号のみが再生されることによって、再生画像において「高速再生」効果が得られる。この「高速再生」される映像信号においても、映像とタイムコードとは同期しており、かつ、タイムコードの連続性も保たれるようになる。
【0045】
「スロー再生」効果を得るための図4に示す処理も、基本的には図3に示した処理と同様である。異なっているのは、映像信号に付加するタイムコードの桁上がりフレーム数である。図4に示す処理では、再生フレームレートが24Pに設定されているため、タイムコードの一番下の桁は、“23”までカウントした時点で桁上がりして“00”に戻っている。撮像フレームレートを再生フレームレートより高く設定して撮影および記録を行う場合にも、外部に伝送される映像信号における映像とタイムコードとが同期し、かつ、タイムコードの連続性も確保される。
【0046】
再び図2に戻って説明を続ける。出力信号制御部109は、メモリ110に書き込む映像信号に対して、「有効フレームフラグ」だけでなく、記録の開始および終了を示す「シンクロ・レック・トリガ」と、タイムコードとを重畳する。これらの各信号が重畳された映像信号が伝送される外部記録装置20(図1参照)において、「シンクロ・レック・トリガ」にて示された記録開始・終了に同期して記録開始・終了を行うことで、ビデオカメラレコーダ10と同じ時刻・記録時間の記録を行うことができる。なお、「有効フレームフラグ」と「シンクロ・レック・トリガ」については、メモリ110に書き込まれる段階で映像信号に重畳するのではなく、メモリ110から読み出した映像信号に対して重畳してもよい。
【0047】
映像信号出力部111は、出力信号制御部109から出力された、上述した各信号が重畳された映像信号を、外部に出力する。
【0048】
<3.本開示の一実施の形態による出力信号制御処理の例>
次に、本開示の一実施の形態による出力信号制御処理の例について、図5を参照して説明する。図5は、タイムコードジェネレータ106におけるタイムコード歩進処理を示したフローチャートである。タイムコードジェネレータ106は、まず、撮影および記録のモードが「同期記録モード」に設定されているか否かを判断する(ステップS1)。
【0049】
「同期記録モード」に設定されていない場合、すなわち「通常モード」に設定されている場合には、外部出力する映像信号に付加するタイムコードを、伝送フレームレートに同期させて1フレームずつ歩進させる(ステップS2)。このような処理が行われることにより、従来の処理の例として図7に示したように、外部装置に出力される映像信号に付加されるタイムコード(図7(e)参照)が、ビデオカメラレコーダ10内の記録部104に記録する映像信号に付加されるタイムコード(図7(c)参照)と同期しなくなる。
【0050】
ステップS1で、「同期記録モード」に設定されていると判断された場合には、次に、「可変速フレームレート撮影モード」に設定されているか否かが判断される(ステップS3)。「可変速フレームレート撮影モード」に設定されていない場合には、ステップS2の従来と同様の処理が行われる。「可変速フレームレート撮影モード」に設定されている場合には、続いて、“TC mode”が何に設定されているかが判断される(ステップS4)。
【0051】
“TC mode”が「レックラン」に設定されている場合には、操作部107(図2参照)を介してユーザによって録画の開始が指示されたか否かが判断され(ステップS5)、記録開始の指示がされていない間は、タイムコードは歩進しない(ステップS6)。
【0052】
図6は、ステップS7の処理を示した図である。図6において、図3,図4,図7と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。図6(b)に示した、ビデオカメラレコーダ10内部の記録部104に記録される映像信号にも、図6(d)に示した、外部出力される映像信号にも、すべて“10:10:10:10”というタイムコードが付加されている(図6(c)および(e)参照)。つまり、「同期記録モード」かつ「可変速フレームレート撮影モード」の設定がされていても、「レックラン」の設定がされていて記録開始が指示されない間は、タイムコードは歩進されない。
【0053】
図5のフローチャートに戻って説明を続ける。ステップS5で、記録開始が指示されたと判断した場合には、外部に出力する映像信号において、撮影時に付加されたタイムコードをそのまま利用する(ステップS7)。ステップS4で、“TC mode”が「フリーラン」に設定されていると判断されたときも、この処理が行われる。ステップS7の処理については、図4および図5を参照して説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
上述した本実施の形態によれば、フレームレート変換時に繰り返し同じ映像が読み出された映像信号に対しては、同一のタイムコードが付加される。これにより、可変速フレームレート撮影が行われた映像信号とタイムコードとを、同期させて外部装置に伝送することができる。例えば3D画像の撮影時のように、複数台の撮像装置を用いた撮影を行う場合にも、それぞれの内部に記録する映像信号と外部に出力する映像信号とに付加されるタイムコードを、一致させることができる。
【0055】
そして、繰り返し同じ映像が読み出された映像信号のうち、1つに対してのみ「有効フレームフラグ」が“Valid”とされる。これにより、外部装置に伝送される映像信号においては、タイムコードの歩進が有効画像の更新毎に行われるようになる。よって、外部装置においても、タイムコードの付け直し(リジェネ)を行うことなく、入力された映像信号およびタイムコードをそのまま記録するだけで、タイムコードの連続性が確保された記録画像を得ることができる。
【0056】
また、外部装置において、「有効フレームフラグ」が“Valid”の有効画像のみを記録することで、撮像装置の内部に記録されるものと同じ映像信号とタイムコードの組み合わせを、外部装置においても記録することが可能となる。
【0057】
また、上述した実施の形態によれば、外部出力される映像信号に対して、映像と同期したタイムコードと「有効フレームフラグ」に加えて「シンクロ・レック・トリガ」も重畳されて伝送される。これにより、ビデオカメラレコーダ10等の撮像装置と、外部記録装置20等の外部装置の両方で、同じ時刻、同じ長さ、同じタイムコードを持つビデオクリップを記録することが可能となる。
【0058】
また、上述した実施の形態によれば、撮像装置の内部に記録されたビットレートの低い記録画像をプロキシ編集用、外部装置に記録されたビットレートの高い記録画像は本線記録用として使い分けることも可能となる。すなわち、プロキシ編集用の画像を新たに生成する手間や時間を削減することができる。
【0059】
<2.各種変形例>
なお、上述した実施の形態では、ビデオカメラレコーダ10として構成される撮像装置が、可変速フレームレート撮影を行う場合を例にあげて説明したが、これに限定されるものではない。間欠的に映像を記録するインターバルレックや、RECボタン押下時にのみ記録を行うコマ撮り、スローシャッタ等による撮影時にも、本開示の技術を適用してもよい。
【0060】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)被写体光を光電変換して映像信号を生成する撮像部と、
前記撮像部に対して、所定の撮像フレームレートでの前記映像信号の生成を指示するタイミング生成部と、
前記映像信号に付加するタイムコードを生成するタイムコード生成部と、
前記映像信号と、前記映像信号に付加された前記タイムコードとをメモリに記憶させ、前記メモリに記憶された前記映像信号と前記タイムコードとの組を、前記映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力する出力信号制御部とを備えた撮像装置。
(2)前記撮像フレームレートは、前記伝送フレームレートよりも低いフレームレートに設定される(1)に記載の撮像装置。
(3)前記出力信号制御部は、前記映像信号に対して、その映像信号が有効画像であるか否かを示す有効フレームフラグを重畳し、前記有効フレームフラグは、前記メモリから複数回繰り返して読み出された同一フレームの映像信号に対しては、いずれか1つに対してのみ有効とされる(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)前記出力信号制御部は、前記映像信号に、ユーザによって指定された記録の開始および終了のタイミングを示す同期記録トリガを重畳する(1)〜(3)のいずれかに記載の撮像装置。
(5)前記タイムコード生成部は、前記撮像フレームレートとは異なるフレームレートに設定された映像信号の再生フレームレートに同期して、前記タイムコードを歩進させる(1)から(4)のいずれかに記載の撮像装置。
(6)所定の撮像フレームレートでの映像信号の生成を指示することと、
被写体光を光電変換して前記撮像フレームレートで映像信号を生成することと、
前記映像信号に付加するタイムコードを生成することと、
前記映像信号と、前記映像信号に付加された前記タイムコードとをメモリに記憶することと、
前記メモリに記憶された前記映像信号と前記タイムコードとの組を、前記映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力することと含む
撮像方法。
【符号の説明】
【0061】
1…映像システム、5…伝送ケーブル、10…ビデオカメラレコーダ、20…外部記録装置、100…撮像部、101…撮像素子、102…撮像素子駆動部、103…信号処理部、104…記録部、105…タイミングジェネレータ、106…タイムコードジェネレータ、107…操作部、108…システムコントローラ、109…出力信号制御部、110…メモリ、111…映像信号出力部、201…映像信号入力部、202…記録部、Vs1…映像信号、Vs2…映像信号、Vs3…映像信号、Vs4…映像信号、Vs5…映像信号、Vs6…映像信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を光電変換して映像信号を生成する撮像部と、
前記撮像部に対して、所定の撮像フレームレートでの前記映像信号の生成を指示するタイミング生成部と、
前記映像信号に付加するタイムコードを生成するタイムコード生成部と、
前記映像信号と、前記映像信号に付加された前記タイムコードとをメモリに記憶させ、前記メモリに記憶された前記映像信号と前記タイムコードとの組を、前記映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力する出力信号制御部とを備えた
撮像装置。
【請求項2】
前記撮像フレームレートは、前記伝送フレームレートよりも低いフレームレートに設定される
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記出力信号制御部は、前記映像信号に対して、その映像信号が有効画像であるか否かを示す有効フレームフラグを重畳し、前記有効フレームフラグは、前記メモリから複数回繰り返して読み出された同一フレームの映像信号に対しては、いずれか1つに対してのみ有効とされる
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記出力信号制御部は、前記映像信号に、ユーザによって指定された記録の開始および終了のタイミングを示す同期記録トリガを重畳する
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記タイムコード生成部は、前記撮像フレームレートとは異なるフレームレートに設定された映像信号の再生フレームレートに同期して、前記タイムコードを歩進させる
請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
所定の撮像フレームレートでの映像信号の生成を指示することと、
被写体光を光電変換して前記撮像フレームレートで映像信号を生成することと、
前記映像信号に付加するタイムコードを生成することと、
前記映像信号と、前記映像信号に付加された前記タイムコードとをメモリに記憶することと、
前記メモリに記憶された前記映像信号と前記タイムコードとの組を、前記映像信号を外部の装置に伝送する場合の伝送フレームレートに応じた第2のフレームレートで読み出して出力することとを含む
撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55590(P2013−55590A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193829(P2011−193829)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】