説明

撮像装置のゴミ取り装置

【課題】ゴミ取り動作による機構の破損を抑制するゴミ取り装置を提供する。
【解決手段】撮像装置のゴミ取り装置は、撮像素子を有する可動部を備える。可動部を、移動制御する制御部を備える。制御部は、ゴミ取り動作として、可動部を移動させて、移動範囲端に衝突させる。制御部は、ゴミ取り動作を行った回数と、回数を計測し始めた時からの経過時間を計測し、経過時間が一定時間以内で且つ回数が一定回数を超えると、所定時間の間、ゴミ取り動作を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置におけるゴミ取り装置に関し、ゴミ取り動作による機構の破損を抑制するゴミ取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラなどの撮像装置において、撮像素子又はそのカバーに付着した埃などのゴミを除去する装置が提案されている。
【0003】
特許文献1は、撮像素子を含む可動部を移動範囲端に衝突させて、その衝撃により撮像素子又はそのカバーに付着する埃などのゴミを除去する装置を開示する。
【特許文献1】特開2005−340988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置では、可動部を移動範囲端に衝突させる動作を繰り返し行うと、可動部などが衝撃や熱により破損するおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的は、ゴミ取り動作による機構の破損を抑制するゴミ取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置のゴミ取り装置は、撮像素子を有する可動部と、可動部を、移動制御する制御部とを備え、制御部は、ゴミ取り動作として、可動部を移動させて、移動範囲端に衝突させ、制御部は、ゴミ取り動作を行った回数と、回数を計測し始めた時からの経過時間を計測し、経過時間が一定時間以内で且つ回数が一定回数を超えると、所定時間の間、ゴミ取り動作を禁止する。
【0007】
好ましくは、ゴミ取り動作を行うか否かを設定するゴミ取り動作スイッチを備え、制御部は、ゴミ取り動作スイッチがオン状態で且つ、経過時間が一定時間を超えた時か、経過時間が一定時間内で回数が一定回数を超えていない時に、ゴミ取り動作を行う。
【0008】
また、好ましくは、可動部は、撮像素子の撮像面に光学像を結像させる撮像光学系の光軸に垂直で且つ第1、第2方向に平行な平面上を移動可能であり、制御部は、ゴミ取り動作として、可動部を移動範囲の中で移動範囲端に接触しない特定位置に移動させ、可動部の特定位置の第1方向の位置を同じ状態に保ったまま、第2方向に移動させて移動範囲端に衝突させる。
【0009】
さらに好ましくは、ゴミ取り動作の1回の動作において、可動部の第2方向の移動範囲端への衝突は、第2方向の移動範囲端の一方に対して2回、他方に対して1回、交互に行われる。
【0010】
また、好ましくは、制御部は、像ブレ補正処理のために可動部を移動範囲の中で移動制御し、像ブレ補正処理を開始する前に、ゴミ取り動作を行う。
【0011】
また、好ましくは、所定時間は、回数を計測し始めた時から一定時間が経過する時点で終了する。
【0012】
また、好ましくは、ゴミ取り動作を行った回数を計測し始めた時からの経過時間の値は、経過時間が一定時間を超えると0にリセットされ、再度計測が行われる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、ゴミ取り動作による機構の破損を抑制するゴミ取り装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラであるとして説明する。なお、方向を説明するために、撮像装置1において撮像素子の撮像面に入射する光学像を結像させる撮像光学系(撮影レンズ67など)の光軸LXと直交する水平方向を第1方向x、光軸LXと直交する鉛直方向を第2方向y、光軸LXと平行な水平方向を第3方向zとして説明する。
【0015】
撮像装置1の撮像に関する部分は、主電源のオンオフ切り替えを行うPonボタン11、レリーズボタン13、像ブレ補正ボタン14、ゴミ取り動作ボタン15、LCDモニタ17、ミラー絞りシャッタ部18、DSP19、CPU21、AE部23、AF部24、像ブレ補正部30の撮像部39a、及び撮影レンズ67から構成される(図1〜3参照)。
【0016】
Ponボタン11の押下に対応してPonスイッチ11aのオンオフ状態が切り替えられ、これにより撮像装置1の主電源のオンオフ状態が切り替えられる。被写体像は、撮像部39aによって撮影レンズ67を介した光学像として撮像され、LCDモニタ17によって撮像された画像が表示される。また被写体像は光学ファインダ(不図示)によって光学的に観察することも可能である。
【0017】
また、Ponボタン11の押下に対応して、撮像装置1の主電源がオン状態にされると、第1時間(220ms)の間、ゴミ取り動作が行われる。ゴミ取り動作は、ゴミ取り動作の回数を計測し始めた時から第3時間(10000ms)の間に行われる回数が10回未満に制限される。連続して可動部30aを移動範囲端に衝突させることによる熱や衝撃により可動部30aなどが破損することを防止するためである。回数制限の制御は、後述する。
【0018】
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ12aがオン状態にされ測光や測距及び合焦動作が行われ、全押しすることによりレリーズスイッチ13aがオン状態にされ撮像部39a(撮像手段)による撮像(撮像動作)が行われ、撮影像がメモリされる。
【0019】
ゴミ取り動作ボタン15の押下に対応して、ゴミ取り動作スイッチ15aのオンオフ状態が切り替えられる。
【0020】
ミラー絞りシャッタ部18は、CPU21のポートP7と接続され、レリーズスイッチ13aのオン状態に連動して、ミラーのUP/DOWN、絞りの開閉(閉開)、及びシャッタの開閉動作を行う。
【0021】
DSP19は、CPU21のポートP9、及び撮像部39aと接続され、CPU21の指示に基づいて、撮像部39aにおける撮像により得られた画像信号について、画像処理などの演算処理を行う。
【0022】
CPU21は、撮像に関する各部の制御、後述する像ブレ補正に関する各部の制御を行う制御手段である。また、CPU21は、後述する補正モードか否かを判断する像ブレ補正パラメータISの値、レリーズ状態管理パラメータRP、ゴミ取り状態管理パラメータGP、ゴミ取り時間計測パラメータCNT、連続時間カウント開始パラメータGEN、連続時間カウントパラメータGCNT、及びゴミ取り回数カウントパラメータNUGの値をメモリする。
【0023】
レリーズ状態管理パラメータRPは、レリーズシーケンス動作に連動して値が切り替えられ、レリーズシーケンス動作中に値が1に設定され(図4のステップS33〜S40参照)、レリーズシーケンス動作終了の時に値が0に設定される(図4のステップS13、S41参照)。
【0024】
ゴミ取り状態管理パラメータGPは、ゴミ取り動作が完了したか否かを示すパラメータで、ゴミ取り動作開始からゴミ取り動作が完了していない状態であって、且つ一定条件下で、値が1に設定される(図4のステップS22参照)。ゴミ取り動作開始から第1時間(220ms)が経過すると、ゴミ取り動作が完了したとして、値が0に設定される(図4のステップS24参照)。
【0025】
一定条件を満たす場合は、ゴミ取り動作スイッチ15aがオン状態にされたことに加え、前記ゴミ取り動作スイッチがオン状態で且つゴミ取り動作回数を計測し始めた時点からの経過時間が第3時間(10000ms)を超えた時か、または経過時間が第3時間内でゴミ取り動作回数が一定回数(10回)を超えていない時である。
【0026】
ゴミ取り時間計測パラメータCNTは、1回のゴミ取り動作が行われている時間を計測するために使用され、初期値が0で、ゴミ取り動作が行われている間、1ms経過するごとに1だけ値が加算される(図7のステップS71参照)。
【0027】
連続時間カウンタ開始パラメータGENは、ゴミ取り動作が行われている連続時間(ゴミ取り動作回数を計測し始めた時点からの経過時間)のカウントを行うために使用され、ゴミ取り動作開始からゴミ取り動作が完了していない状態であって、且つ一定条件下で、連続時間カウンタ開始パラメータGENの値は1に設定され、それ以外の場合は0に設定される。
【0028】
連続時間カウンタパラメータGCNTは、ゴミ取り動作が行われている連続時間(ゴミ取り動作回数を計測し始めた時点からの経過時間)を計測するパラメータで、連続時間カウンタ開始パラメータGENの値が1に設定されている間、連続時間カウンタパラメータGCNTの値が、第2時間(1ms)ごとに1だけ加算される(図9のステップS62参照)。連続時間カウンタパラメータGCNTは、値が10000を超えた場合に(ゴミ取り動作回数を計測し始めた時点からの経過時間が10000msを超えた場合に)、値が0に設定(リセット)される(図4のステップS17、S20参照)。
【0029】
CPU21は、像ブレ補正処理前のゴミ取り動作として、可動部30aを特定位置(本実施形態では移動範囲中心:第1方向x、及び第2方向yの座標値が共に0)に移動させる(センタリング処理、図7のステップS84参照)。その後、第1方向xの座標を一定に保った状態で、可動部30aを第2方向yの移動範囲端の一方に衝突するように移動させ(図7のステップS83参照)、次に、第1方向xの座標を一定に保った状態で、可動部30aを第2方向yの移動範囲端の他方に衝突するように移動させ(図7のステップS82参照)、最後に、第1方向xの座標を一定に保った状態で、可動部30aを第2方向yの移動範囲端の一方に衝突するように移動させる(図7のステップS78参照)。可動部30aの移動範囲端との衝突の衝撃で、可動部30aの撮像部39a(撮像素子やローパスフィルタ)に付着した埃などのゴミが除去される。ゴミ取り動作の完了後、像ブレ補正処理が開始される。
【0030】
CPU21は、連続時間カウント開始パラメータGEN、連続時間カウントパラメータGCNT、及びゴミ取り回数カウントパラメータNUGを使って、ゴミ取り動作が連続して行われている間の時間(ゴミ取り動作回数を計測し始めた時点からの経過時間)と、経過時間内のゴミ取り動作回数を計測し、経過時間が第3時間(10000ms)以内で且つゴミ取り動作回数が一定回数(10)を超えるとゴミ取り動作回数を計測し始めた時から第3時間が経過するまではゴミ取り動作を禁止する。
【0031】
また、CPU21は、後述する第1、第2デジタル角速度信号Vx、Vy、第1、第2デジタル角速度VVx、VVy、第1、第2デジタル角度Bx、By、位置Sの第1方向x成分Sx、第2方向y成分Sy、第1駆動力Dx、第2駆動力Dy、A/D変換後の位置Pの第1方向x成分pdx、第2方向y成分pdy、第1、第2減算値ex、ey、第1、第2比例係数Kx、Ky、像ブレ補正処理のサンプリング周期θ、第1、第2積分係数Tix、Tiy、及び第1、第2微分係数Tdx、Tdyをメモリする。
【0032】
AE部23は、被写体の測光動作を実行して露光値を演算し、この露光値に基づき撮影に必要となる絞り値及び露光時間を演算する。AF部24は、測距を行い、この測距結果に基づき撮影レンズ67を光軸方向に変位させ焦点調節を行う。
【0033】
撮像装置1の像ブレ補正装置すなわち像ブレ補正に関する部分は、像ブレ補正ボタン14、LCDモニタ17、CPU21、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、磁界変化検出素子の信号処理回路としてのホール素子信号処理回路45、及び撮影レンズ67から構成される。
【0034】
像ブレ補正ボタン14は、押下することにより像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされ、測光など他の動作と独立して、第2時間ごとに、角速度検出部25、及び像ブレ補正部30が駆動されて像ブレ補正処理が行われる。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モードの場合に像ブレ補正パラメータISが1に設定され、像ブレ補正スイッチ14aがオフ状態にされた補正モードでない場合に像ブレ補正パラメータISが0に設定する。本実施形態ではこの第2時間を1msであるとして説明する。
【0035】
これらのスイッチの入力信号に対応する各種の出力はCPU21によって制御される。測光スイッチ12a、レリーズスイッチ13a、像ブレ補正スイッチ14a、ゴミ取り動作スイッチ15aのオン/オフ情報は、それぞれ1ビットのデジタル信号としてCPU21のP12、P13、P14、P15に入力される。AE部23、AF部24、LCDモニタ17は、それぞれポートP4、P5、P6で信号の入出力が行われる。
【0036】
次に、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、ホール素子信号処理回路45についての詳細、及びCPU21との入出力関係について説明する。
【0037】
角速度検出部25は、第1、第2角速度センサ26a、26b、第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27b、及び第1、第2アンプ28a、28bを有する。第1、第2角速度センサ26a、26bは、撮像装置1の第1方向x(第2方向yに平行な軸周りのヨーイング)及び第2方向y(第1方向xに平行な軸周りのピッチング)の角速度を検出する。第1角速度センサ26aは、第1方向xの角速度(ヨーイング角速度)を、第2角速度センサ26bは第2方向yの角速度(ピッチング角速度)を検出するジャイロセンサである。第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27bは、第1、第2角速度センサ26a、26bからの出力のヌル電圧やパンニングである低周波成分をカットする(アナログハイパスフィルタ処理)。第1、第2アンプ28a、28bは、低周波成分がカットされた角速度に関する信号を増幅し、第1、第2角速度vx、vyとしてアナログ信号をCPU21のA/D0、A/D1に入力する。
【0038】
低周波成分のカットは、第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27bにおけるアナログハイパスフィルタ処理、及びCPU21におけるデジタルハイパスフィルタ処理が行われる。後段のデジタルハイパスフィルタ処理においては、アナログハイパスフィルタ処理におけるカットオフ周波数以上のカットオフ周波数が設定される。後段のデジタルハイパスフィルタ処理では、時定数(第1、第2ハイパスフィルタ時定数hx、hy)の値の変更が、容易に行えるメリットを有する。
【0039】
CPU21、及び角速度検出部25の各部への電力供給は、Ponスイッチ11aがオン状態にされた(主電源がオン状態にされた)後に開始される。角速度検出部25におけるブレ量検出演算は、Ponスイッチ11aがオン状態にされた(主電源がオン状態にされた)後に開始される。
【0040】
CPU21は、A/D0、A/D1に入力された第1、第2角速度vx、vyをA/D変換し(第1、第2デジタル角速度信号Vx、Vy)、ヌル電圧やパンニングである低周波成分をカットし(デジタルハイパスフィルタ処理、第1、第2デジタル角速度VVx、VVy)、及び積分演算を行い、像ブレ量(像ブレ角度)を求める(第1、第2デジタル角度Bx、By)。従って、角速度検出部25とCPU21は、像ブレ量演算機能を有する。
【0041】
nは、0以上の整数であり、第1、第2タイマ割り込み処理開始(t=0、図4のステップS12参照)から、最新の第1、第2タイマ割り込み処理を行った時点(t=n)までの時間(ms)を示す。
【0042】
第1方向xに関するデジタルハイパスフィルタ処理は、第1デジタル角速度信号Vxを、第2時間(1ms)前までの第1タイマ割り込み処理で求められた第1デジタル角速度VVx〜VVxn―1の和ΣVVxn−1を第1ハイパスフィルタ時定数hxで割ったもので減算して、第1デジタル角速度VVxを求めることにより行われる(VVx=Vx―(ΣVVxn−1)/hx、図6の(1)参照)。第2方向yに関するデジタルハイパスフィルタ処理は、第2デジタル角速度信号Vyを、第2時間(1ms)前までの第1タイマ割り込み処理で求められた第2デジタル角速度VVy〜VVyn―1の和ΣVVyn−1を第2ハイパスフィルタ時定数hyで割ったもので減算して、第2デジタル角速度VVyを求めることにより行われる(VVy=Vy―(ΣVVyn−1)/hy)。
【0043】
本実施形態では、第1タイマ割り込み処理における角速度検出処理は、角速度検出部25における処理、及び角速度検出部25からCPU21への第1、第2角速度vx、vyの入力処理を言うものとする。
【0044】
第1方向xに関する積分演算処理は、第1タイマ割り込み処理開始(t=0、図4のステップS12参照)から、最新の時点(t=n)の第1デジタル角速度VVx〜VVxの和を求めることにより行われる(Bx=ΣVVx、図6の(3)参照)。第2方向yに関する積分演算処理は、第1タイマ割り込み処理開始後から最新の第2デジタル角速度VVy〜VVyの和を求めることにより行われる(By=ΣVVy)。
【0045】
CPU21は、演算により求められた像ブレ量(像ブレ角度:第1、第2デジタル角度Bx、By)に応じた撮像部39aの移動すべき位置Sを、焦点距離などを考慮した位置変換係数zzに基づいて、第1方向x、第2方向yごとに演算し設定する。位置Sの第1方向x成分をSx、第2方向y成分をSyとする。撮像部39aを含む可動部30aの移動は、後述する電磁力によって行われる。可動部30aをこの位置Sまで移動させるために駆動用ドライバ回路29を介して第1駆動用コイル31aを駆動する駆動力Dの第1方向x成分を第1駆動力Dx(D/A変換後は第1PWMデューティdx)、第2駆動用コイル32aを駆動する第2方向y成分を第2駆動力Dy(D/A変換後は第2PWMデューティdy)とする。
【0046】
但し、像ブレ補正処理前のゴミ取り動作の為の第1時間(220ms)の間の移動すべき位置S(Sx、Sy)は、像ブレ量と関連しない演算で求められた値が設定される(図7のステップS79参照)。
【0047】
第1方向xに関する位置設定演算処理は、最新の第1デジタル角度Bxに第1位置変換係数zxを乗算することにより求められる(位置Sの第1方向x成分Sx=zx×Bx、図6の(3)参照)。第2方向yに関する位置設定演算処理は、最新の第2デジタル角度Byに第2位置変換係数zyを乗算することにより求められる(位置Sの第2方向y成分Sy=zy×By)。
【0048】
像ブレ補正部30は、露光時間内であって、像ブレ補正処理を行う場合(IS=1)に、CPU21が演算した移動すべき位置Sに撮像部39aを移動させることによって、ブレによって生じた被写体像の結像面におけるずれを無くし、被写体像と結像面位置を一定に保ち、像ブレを補正する像ブレ補正処理を行う装置であり、撮像部39aを含みxy平面上に移動可能領域をもつ可動部30aと、可動部30aの移動範囲端を形成する固定部30bとを備える。露光時間内であって、像ブレ補正処理を行わない場合(IS=0)は、可動部30aは、特定位置(本実施形態では移動範囲中心)に固定される。撮像装置1の電源がオン状態にされた直後の第1時間(220ms)の間は、可動部30aを移動範囲中心に移動、及び第2方向yの移動範囲端に移動(衝突)せしめるための駆動が行われる。撮像装置1の電源がオン状態にされた直後の第1時間(220ms)の間と露光時間以外は、可動部30aの駆動は行われない。
【0049】
像ブレ補正部30は、駆動オフ状態で可動部30aを固定する機構を有しない。
【0050】
像ブレ補正部30の可動部30aの駆動(特定位置への固定を含む)は、CPU21のPWM0から第1PWMデューティdx、PWM1から第2PWMデューティdyの出力を受けた駆動用ドライバ回路29を介して、駆動手段に含まれる駆動用コイル部、駆動用磁石部による電磁力によって行われる(図6の(5)参照)。可動部30aの移動前または移動後の位置Pはホール素子部44a、ホール素子信号処理回路45によって検出される。検出された位置Pの情報は、第1検出位置信号pxが第1方向x成分として、第2検出位置信号pyが第2方向y成分としてそれぞれCPU21のA/D2、A/D3に入力される(図6の(2)参照)。第1、第2検出位置信号px、pyはA/D2、A/D3を介してA/D変換される。第1、第2検出位置信号px、pyに対してA/D変換後の位置Pの第1方向x成分、第2方向y成分をそれぞれpdx、pdyとする。検出された位置P(pdx、pdy)のデータと移動すべき位置S(Sx、Sy)のデータによりPID制御(第1、第2駆動力Dx、Dyの算出)が行われる。
【0051】
第1駆動力Dxは、位置Sの第1方向x成分Sxを、A/D変換後の位置Pの第1方向x成分pdxで減算した第1減算値ex、第1比例係数Kx、サンプリング周期θ、第1積分係数Tix、第1微分係数Tdxに基づいて算出される(Dx=Kx×{ex+θ÷Tix×Σex+Tdx÷θ×(ex―exn−1)}、図6の(4)参照)。
【0052】
第2駆動力Dyは、位置Sの第2方向y成分Syを、A/D変換後の位置Pの第2方向y成分pdyで減算した第2減算値ey、第2比例係数Ky、サンプリング周期θ、第2積分係数Tiy、第2微分係数Tdyに基づいて算出される(Dy=Ky×{ey+θ÷Tiy×Σey+Tdy÷θ×(ey―eyn−1)})。
【0053】
サンプリング周期θの値は、第2時間:1msに設定される。
【0054】
像ブレ補正処理すなわちPID制御による像ブレ補正に対応した移動すべき位置S(Sx、Sy)への可動部30aの駆動は、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モード(IS=1)の時に行われる。像ブレ補正パラメータISが0の時には、可動部30aは、像ブレ補正処理に対応しない特定位置へのPID制御が行われ、移動中心位置に移動せしめられる。
【0055】
撮像装置1がオン状態にされた後、像ブレ補正処理が開始されるまでの間の、ゴミ取り処理動作の間は、可動部30aは、移動中心位置、第2方向yの移動範囲端の一方、第2方向yの移動範囲端の他方、第2方向yの移動範囲端の一方の順に移動せしめられる。この間、可動部30aの第1方向xの座標は中心位置に保持される。
【0056】
可動部30aは、駆動用コイル部として2つの第1、第2駆動用コイル31a、32a、撮像素子を有する撮像部39a、及び磁界変化検出素子部としてのホール素子部44aを有する。本実施形態では、撮像素子がCCDであるとして説明するが、CMOSなど他の撮像素子であってもよい。
【0057】
撮像素子の撮像面は、移動制御が行われない状態において、第1方向x、または第2方向yに平行な辺を有し、第1方向xの辺が第2方向yの辺よりも長い矩形形状を有する。
【0058】
固定部30bは、駆動用磁石部として2つの第1、第2位置検出及び駆動用磁石411b、412b、第1、第2位置検出及び駆動用ヨーク431b、432bを有する。
【0059】
固定部30bは、可動部30aを第1方向x、第2方向yに移動自在に支持する。
【0060】
固定部30bは、移動により可動部30aが接触する部分(移動範囲端)に衝撃を吸収する緩衝材を有する。緩衝材は、ゴミ取り動作において、可動部30aが移動範囲端に衝突せしめられる際に可動部30aと接触し、衝撃により可動部30aなどが破損せず、且つ衝撃により可動部30aに付着したゴミが除去できる程度の硬度が設定される。
【0061】
緩衝材は、可動部30aに取り付けられても良い。
【0062】
撮像素子の撮像範囲を最大限活用して像ブレ補正を行うために、撮影レンズ67の光軸LXが撮像素子の中心近傍を通る位置関係にある時に、第1方向x、第2方向yともに可動部30aが移動範囲の中心に位置する(移動中心位置にある)ように可動部30aと固定部30bの位置関係を設定する。撮像素子の中心とは、撮像素子の撮像面を形成する矩形が有する2つの対角線の交点をいう。
【0063】
可動部30aには、シート状でかつ渦巻き状のコイルパターンが形成された第1、第2駆動用コイル31a、32a、及びホール素子部44aとが取り付けられている。第1駆動用コイル31aのコイルパターンは、第1駆動用コイル31aの電流の方向と第1位置検出及び駆動用磁石411bの磁界の向きから生じる電磁力により第1駆動用コイル31aを含む可動部30aを第1方向xに移動させるべく、第2方向yと平行な線分を有する。第2駆動用コイル32aのコイルパターンは、第2駆動用コイル32aの電流の方向と第2位置検出及び駆動用磁石412bの磁界の向きから生じる電磁力により第2駆動用コイル32aを含む可動部30aを第2方向yに移動させるべく、第1方向xと平行な線分を有する。ホール素子部44aについては後述する。
【0064】
第1、第2駆動用コイル31a、32aは、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動する駆動用ドライバ回路29と接続される。駆動用ドライバ回路29は、CPU21のPWM0、PWM1から第1、第2PWMデューティdx、dyのそれぞれが入力される。駆動用ドライバ回路29は、入力された第1、第2PWMデューティdx、dyの値に応じて第1、第2駆動用コイル31a、32aに電力を供給し、可動部30aを駆動する。
【0065】
第1位置検出及び駆動用磁石411bは、第1駆動用コイル31a及び水平方向ホール素子hh10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。第2位置検出及び駆動用磁石412bは、第2駆動用コイル32a及び鉛直方向ホール素子hv10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。
【0066】
第1位置検出及び駆動用磁石411bは、第3方向zにおいて固定部30b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第1位置検出及び駆動用ヨーク431bの上であって、第1方向xにN極とS極が並べて取り付けられる。
【0067】
第2位置検出及び駆動用磁石412bは、第3方向zにおいて固定部30b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第2位置検出及び駆動用ヨーク432bの上であって、第2方向yにN極とS極が並べて取り付けられる。
【0068】
第1位置検出及び駆動用ヨーク431bは、軟磁性体材料で構成され、固定部30b上に取り付けられる。第1位置検出及び駆動用ヨーク431bは、第1位置検出及び駆動用磁石411bの磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第1位置検出及び駆動用磁石411bと第1駆動用コイル31a、及び第1位置検出及び駆動用磁石411bと水平方向ホール素子hh10との間の磁束密度を高める役目を果たす。
【0069】
第2位置検出及び駆動用ヨーク432bは、軟磁性体材料で構成され、固定部30b上に取り付けられる。第2位置検出及び駆動用ヨーク432bは、第2位置検出及び駆動用磁石412bの磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第2位置検出及び駆動用磁石412bと第2駆動用コイル32a、及び第2位置検出及び駆動用磁石412bと鉛直方向ホール素子hv10との間の磁束密度を高める役目を果たす。
【0070】
ホール素子部44aは、ホール効果を利用した磁電変換素子であるホール素子を2つ有し、可動部30aの第1方向x、第2方向yの現在位置P(第1検出位置信号px、第2検出位置信号py)を検出する1軸ホール素子である。2つのホール素子のうち第1方向xの位置検出用のホール素子を水平方向ホール素子hh10、第2方向yの位置検出用のホール素子を鉛直方向ホール素子hv10とする。
【0071】
水平方向ホール素子hh10は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第1位置検出及び駆動用磁石411bと対向する位置に取り付けられる。鉛直方向ホール素子hv10は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第2位置検出及び駆動用磁石412bと対向する位置に取り付けられる。
【0072】
直線的な変化量を使って精度の高い位置検出が行える範囲を最大限活用して位置検出を行うため、水平方向ホール素子hh10の第1方向xの位置は、撮像素子の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第1位置検出及び駆動用磁石411bのN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。同様に、鉛直方向ホール素子hv10の第2方向yの位置は、撮像素子の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第2位置検出及び駆動用磁石412bのN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。
【0073】
ホール素子信号処理回路45は、水平方向ホール素子hh10の出力信号から水平方向ホール素子hh10における出力端子間の水平方向電位差x10を検出し、これから第1方向xの位置を特定する第1検出位置信号pxをCPU21のA/D2に出力する第1ホール素子信号処理回路450と、鉛直方向ホール素子hv10の出力信号から、鉛直方向ホール素子hv10における出力端子間の鉛直方向電位差y10を検出し、これから第2方向yの位置を特定する第2検出位置信号pyをCPU21のA/D3に出力する第2ホール素子信号処理回路460とを有する。
【0074】
次に、撮像装置1のメイン動作について図4のフローチャートで説明する。
【0075】
撮像装置1の電源がオンにされると、ステップS11で、角速度検出部25に電力が供給され、電源オン状態にされる。ステップS12で、第2時間(1ms)間隔で第1、第2タイマ割り込み処理が開始される。ステップS13で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が0に設定される。第1タイマの割り込み処理の詳細については、図5のフローチャートを使って後述し、第2タイマ割り込み処理の詳細については、図9のフローチャートを使って後述する。
【0076】
ステップS14で、連続時間カウント開始パラメータGEN、連続時間カウントパラメータGCNT、ゴミ取り回数カウントパラメータNUG、及びゴミ取り状態管理パラメータGPの値が0に設定される。ステップS15で、ゴミ取り動作スイッチ15aがオン状態にされているか否かが判断される。オン状態にされている場合は、ステップS18に進められ、オン状態にされていない場合は、ステップS16に進められる。
【0077】
ステップS16で、連続時間カウントパラメータGCNTの値が10000よりも大きいか否かが判断される。10000よりも大きい場合はステップS17に進められ、大きくない場合はステップS26に進められる。ステップS17で、連続時間カウント開始パラメータGEN、連続時間カウントパラメータGCNT、及びゴミ取り回数カウントパラメータNUGの値が0に設定される。
【0078】
ステップS18で、連続時間カウントパラメータGCNTの値が10000よりも大きいか否かが判断される。10000よりも大きい場合はステップS20に進められ、大きくない場合はステップS19に進められる。ステップS19で、ゴミ取り回数カウントパラメータNUGの値が10よりも大きいか否かが判断される。10よりも大きい場合はステップS26に進められ、大きくない場合はステップS21に進められる。
【0079】
ステップS20で、連続時間カウントパラメータGCNT、及びゴミ取り回数カウントパラメータNUGの値が0に設定される。ステップS21で、連続時間カウント開始パラメータGENの値が1に設定される。
【0080】
ステップS22で、ゴミ取り状態管理パラメータGPの値が1に設定され、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が0に設定される。ステップS23で、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が220を超えたか否かが判断される。超えていない場合は、ステップS23が繰り返され、超えた場合は、ステップS24に進められる。ステップS24で、ゴミ取り状態管理パラメータGPの値が0に設定される。
【0081】
ステップS25で、ゴミ取り回数カウントパラメータNUGの値が1だけ加算され、ステップS26に進められる。
【0082】
ステップS26で、測光スイッチ12aがオン状態にされているか否かが判断される。オン状態にされていない場合は、ステップS15に戻され、オン状態にされている場合は、ステップS27に進められる。
【0083】
ステップS27で、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされたか否かが判断される。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされていない場合は、ステップS28で、像ブレ補正パラメータISの値が0に設定される。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされている場合は、ステップS29で、像ブレ補正パラメータISの値が1に設定される。
【0084】
ステップS30で、AE部23のAEセンサ駆動により測光が行われ、絞り値や露光時間が演算される。ステップS31で、AF部24のAFセンサが駆動され測距が行われ、AF部24のレンズ制御回路駆動により合焦動作が行われる。
【0085】
ステップS32で、レリーズスイッチ13aがオン状態にされたか否かが判断される。レリーズスイッチ13aがオン状態にされていない場合には、ステップS15に戻される(ステップS15〜31を繰り返す)。レリーズスイッチ13aがオン状態にされている場合は、ステップS33に進められ、レリーズシーケンス動作が開始される。
【0086】
ステップS33で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が1に設定される。ステップS34で、ミラー絞りシャッタ部18により、ミラーアップ動作、及び絞りの絞り込み動作が行われる。ステップS35で、ミラー絞りシャッタ部18により、シャッタ開動作(先幕動作)が行われる。
【0087】
ステップS36で、CCDの電荷蓄積すなわち露光が行われる。露光時間終了後、ステップS37で、ミラー絞りシャッタ部18により、シャッタ閉動作(後幕動作)、ミラーダウン動作、及び絞り開放動作が行われる。ステップS38で、CCD入力、すなわち露光時間内の間CCDに蓄積された電荷が移動せしめられる。ステップS39で、CPU21とDSP19との間で通信が行われ、移動された電荷に基づいて画像処理が行われ、画像処理された画像が撮像装置1内の映像メモリに記憶される。ステップS40で、記憶された画像信号は、LCDモニタ17によって表示される。ステップS41で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が0に設定され、レリーズシーケンス動作が完了する。その後、ステップS15に戻される(次の撮像動作が可能な状態にされる)。
【0088】
次に、図4のステップS12で開始され、第2時間(1ms)間隔で行われる第1タイマ割り込み処理について図5のフローチャートを用いて説明する。第1タイマ割り込み処理が開始されると、ステップS50で、ゴミ取り状態管理パラメータGPの値が1に設定されているか否かが判断される。1に設定されている場合はステップS51に進められ、1に設定されていない(GP=0)場合は、ステップS52に進められる。
【0089】
ステップS51で、ゴミ取り動作が行われる。ゴミ取り動作の詳細については、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0090】
ステップS52で、角速度検出部25から出力された第1、第2角速度vx、vyが、CPU21のA/D0、A/D1を介しA/D変換され入力される(第1、第2デジタル角速度信号Vx、Vy、角速度検出処理)。第1、第2デジタル角速度信号Vx、Vyは、ヌル電圧やパンニングである低周波成分がカットされる(第1、第2デジタル角速度VVx、VVy、デジタルハイパスフィルタ処理)。
【0091】
ステップS53で、レリーズ状態管理パラメータRPの値が1に設定されているか否かが判断される。1に設定されていない場合は、ステップS54で、可動部30aの駆動がオフ状態、すなわちコイルをつかった可動部30aへの駆動制御が行われない状態にされる。1に設定されている場合はステップS55に進められる。
【0092】
ステップS55で、ホール素子部44aで位置検出され、ホール素子信号処理回路45で演算された第1、第2検出位置信号px、pyがCPU21のA/D2、A/D3を介しA/D変換され入力され、現在位置P(pdx、pdy)が求められる。
【0093】
ステップS56で、像ブレ補正パラメータISの値が0か否かが判断される。IS=0すなわち補正モードでない場合は、ステップS57で、可動部30aの移動すべき位置S(Sx、Sy)が可動部30aの移動中心位置と同じに設定される。IS=1すなわち補正モードの場合は、ステップS58で、ステップS52で求めた第1、第2角速度vx、vyから可動部30aの移動すべき位置S(Sx、Sy)が演算され設定される。
【0094】
ステップS59で、ステップS57、またはS58で設定した位置S(Sx、Sy)と現在位置P(pdx、pdy)より可動部30aの移動に必要な駆動力Dすなわち第1、第2駆動用コイル31a、32aを駆動するのに必要な第1駆動力Dx(第1PWMデューティdx)、第2駆動力Dy(第2PWMデューティdy)が演算される。ステップS60で第1、第2PWMデューティdx、dyにより駆動用ドライバ回路29を介し第1、第2駆動用コイル31a、32aが駆動され可動部30aが移動せしめられる。ステップS59、S60の動作は、一般的な比例、積分、微分演算を行うPID自動制御で用いられる自動制御演算である。
【0095】
次に、図5のステップS51で開始されるゴミ取り動作について図7のフローチャートを用いて説明する。ゴミ取り動作が開始されると、ステップS71で、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が1だけ加算される。ステップS72で、ホール素子部44aで位置検出され、ホール素子信号処理回路45で演算された第1、第2検出位置信号px、pyがCPU21のA/D2、A/D3を介しA/D変換され入力され、現在位置P(pdx、pdy)が求められる。
【0096】
ステップS73で、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が65以下であるか否かが判断される。65以下である場合はステップS84に進められ、65以下でない場合はステップS74に進められる。
【0097】
ステップS74で、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が115以下であるか否かが判断される。115以下である場合はステップS83に進められ、115以下でない場合はステップS75に進められる。
【0098】
ステップS75で、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が165以下であるか否かが判断される。165以下である場合はステップS82に進められ、165以下でない場合はステップS76に進められる。
【0099】
ステップS76で、ゴミ取り時間計測パラメータCNTの値が215以下であるか否かが判断される。215以下である場合はステップS78に進められ、215以下でない場合はステップS77に進められる。
【0100】
ステップS77で、可動部30aの駆動がオフ状態、すなわちコイルをつかった可動部30aへの駆動制御が行われない状態にされる。
【0101】
ステップS78、及びステップS83で、第2PWMデューティdyの値が、−DDに設定される。また、ステップS82で、第2PWMデューティdyの値が+DDに設定される。|DD|の値は、可動部30aを第2方向yの移動範囲端に衝突させた場合に、衝撃により撮像素子などに付着したゴミの除去が出来る程度の可動部30aの衝突時の第2方向yの加速度を実現する値に設定される。
【0102】
ステップS79で、可動部30aの移動すべき位置Sの第1方向x成分:Sxが可動部30aの第1方向xの移動中心位置と同じに設定される。ステップS80で、ステップS79で設定した位置Sの第1方向x成分:Sxと現在位置Pの第1方向x成分:pdxより可動部30aの第1方向xの移動(中心固定)に必要な駆動力Dすなわち第1駆動用コイル31aを駆動するのに必要な第1駆動力Dx(第1PWMデューティdx)が演算される。ステップS81で、第1、第2PWMデューティdx、dyにより駆動用ドライバ回路29を介し第1、第2駆動用コイル31a、32aが駆動され可動部30aが移動せしめられる。
【0103】
ステップS84で、可動部30aの移動すべき位置S(Sx、Sy)が可動部30aの移動中心位置と同じに設定される。ステップS85で、ステップS84で設定した位置S(Sx、Sy)と現在位置P(pdx、pdy)より可動部30aの移動に必要な駆動力Dすなわち第1、第2駆動用コイル31a、32aを駆動するのに必要な第1駆動力Dx(第1PWMデューティdx)、第2駆動力Dy(第2PWMデューティdy)が演算される。ステップS86で第1、第2PWMデューティdx、dyにより駆動用ドライバ回路29を介し第1、第2駆動用コイル31a、32aが駆動され可動部30aが移動せしめられる。
【0104】
次に、図4のステップS12で開始され、第2時間(1ms)間隔で行われる第2タイマ割り込み処理について図9のフローチャートを用いて説明する。第2タイマ割り込み処理が開始されると、ステップS61で、連続時間カウンタGENの値が、1に設定されているか否かが判断される。1に設定されている場合は、ステップS62で、連続時間カウンタパラメータGCNTの値が1だけ加算されて第2タイマ割り込み処理が終了され、1に設定されていない場合は、何も行われず第2タイマ割り込み処理が終了される。
【0105】
本実施形態では、撮像装置1の電源がオン状態にされた後、像ブレ補正動作が開始されるまでの間に、撮像素子を含む可動部30aを、一旦移動範囲中心に移動させた後、第1方向xの位置を移動範囲中心に保持したまま、第2方向yの移動範囲端の一方と他方に衝突させる(図8参照)。衝突による衝撃により、撮像素子やローパスフィルタに付着したゴミが除去される。ゴミ取り動作の間、可動部30aの第1方向xの位置は移動範囲中心に保持されるため、可動部30aの第2方向yの移動の際に、可動部30aの第1方向xの端部が、第1方向xの移動範囲端に触れることはなく、可動部30aや固定部30bを傷つけることはない。
【0106】
ゴミ取り動作を禁止する時間は、予め設定した所定時間(例えば、10秒)でもよいが、本実施形態では、ゴミ取り動作が連続して行われている間の時間(ゴミ取り動作回数を計測し始めた時点からの経過時間)と、経過時間内のゴミ取り動作回数を計測し、経過時間が第3時間(10000ms)以内で且つゴミ取り動作回数が一定回数(10)を超えた場合には、ゴミ取り動作回数を計測し始めた時から第3時間が経過するまでは以降のゴミ取り動作が禁止される。これにより、短期間(第3時間)に連続して、ゴミ取り動作のために可動部30aが移動範囲端に衝突せしめられる回数を制限することが可能になる。可動部30aを移動範囲端に衝突させることにより、ゴミ除去が可能になるが、衝突を繰り返すことにより、可動部30aなどの衝撃や熱による破損が起こり得るためである。また、ゴミ取り動作が禁止されても、ゴミ取り動作の開始から第3時間の周期でゴミ取り動作が再開されるので、使用者がゴミ取り動作を連続して実行させている場合、使用者の操作感に違和感を与えずに済む。
【0107】
また、ゴミ取り動作として、可動部30aの移動範囲の長い第1方向xには、移動範囲中心に保持し、移動範囲の短い第2方向yに移動させて、第2方向yの移動範囲端に衝突を繰り返す形態を説明したが、第1方向xに移動させて、第2方向yには移動範囲中心に保持する形態であってよい。但し、撮像素子の撮像面の長手方向(第1方向x)は中心位置に保持した状態で第2方向yに移動させる本実施形態の方が、衝撃により除去されたゴミが再度付着する可能性を低くすることが可能になる。
【0108】
また、ゴミ取り動作の最初に、可動部30aを移動させる位置は移動範囲中心に限らず、可動部30aが移動範囲端のいずれかに接触しない位置であればよい。
【0109】
また、磁界変化検出素子としてホール素子を利用したホール素子部44aによる位置検出を説明したが、磁界変化検出素子として別の検出素子を利用してもよい。具体的には、磁界の変化を検出することにより可動部の位置検出情報を求めることが可能なMIセンサ(高周波キャリア型磁界センサ)、または磁気共鳴型磁界検出素子、MR素子(磁気抵抗効果素子)であり、ホール素子を利用した本実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本実施形態における撮像装置の外観を示す背面からみた斜視図である。
【図2】撮像装置の正面図である。
【図3】撮像装置の回路構成図である。
【図4】撮像装置のメイン動作処理を示すフローチャートである。
【図5】第1割り込み処理を示すフローチャートである。
【図6】像ブレ補正処理における各手順の演算式を示す図である。
【図7】ゴミ取り動作を示すフローチャートである。
【図8】ゴミ取り動作における可動部の移動軌跡を示す図である。
【図9】第2割り込み処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
1 撮像装置
11 Ponボタン
12a 測光スイッチ
13 レリーズボタン
13a レリーズスイッチ
14 像ブレ補正ボタン
14a 像ブレ補正スイッチ
15 ゴミ取り動作ボタン
15a ゴミ取り動作スイッチ
17 LCDモニタ
18 ミラー絞りシャッタ部
19 DSP
21 CPU
23 AE部
24 AF部
25 角速度検出部
26a、26b 第1、第2角速度センサ
27a、27b 第1、第2ハイパスフィルタ回路
28a、28b 第1、第2アンプ回路
29 駆動用ドライバ回路
30 像ブレ補正部
30a 可動部
30b 固定部
31a、32a 第1、第2駆動用コイル
39a 撮像部
411b、412b 第1、第2位置検出及び駆動用磁石
431b、432b 第1、第2位置検出及び駆動用ヨーク
44a ホール素子部
45 ホール素子信号処理回路
67 撮影レンズ
Bx、By 第1、第2デジタル角度位置
CNT ゴミ取り時間計測パラメータ
dx、dy 第1、第2PWMデューティ
Dx、Dy 第1、第2駆動力
ex、ey 第1、第2減算値
GCNT 連続時間カウントパラメータ
GEN 連続時間カウント開始パラメータ
GP ゴミ取り状態管理パラメータGP
hh10 水平方向ホール素子
hv10 鉛直方向ホール素子
hx、hy 第1、第2ハイパスフィルタ時定数
Kx、Ky 第1、第2比例係数
LX 撮影レンズの光軸
NUG ゴミ取り回数カウントパラメータ
pdx A/D変換後の位置Pの第1方向x成分
pdy A/D変換後の位置Pの第2方向y成分
PPx、PPy 第1、第2現在位置パラメータ
px、py 第1、第2検出位置信号
RP レリーズ状態管理パラメータ
Sxの第1方向x成分
Syの第2方向y成分
Tdx、Tdy 第1、第2微分係数
Tix、Tiy 第1、第2積分係数
vx、vy 第1、第2角速度
Vx、Vy 第1、第2デジタル角速度信号
VVx、VVy 第1、第2デジタル角速度
θ サンプリング周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有する可動部と、
前記可動部を、移動制御する制御部とを備え、
前記制御部は、ゴミ取り動作として、前記可動部を移動させて、移動範囲端に衝突させ、
前記制御部は、前記ゴミ取り動作を行った回数と、前記回数を計測し始めた時からの経過時間を計測し、前記経過時間が一定時間以内で且つ前記回数が一定回数を超えると、所定時間の間、前記ゴミ取り動作を禁止することを特徴とする前記撮像装置のゴミ取り装置。
【請求項2】
前記ゴミ取り動作を行うか否かを設定するゴミ取り動作スイッチを備え、
前記制御部は、前記ゴミ取り動作スイッチがオン状態で且つ、前記経過時間が前記一定時間を超えた時か、前記経過時間が前記一定時間内で前記回数が前記一定回数を超えていない時に、前記ゴミ取り動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のゴミ取り装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記撮像素子の撮像面に光学像を結像させる撮像光学系の光軸に垂直で且つ第1、第2方向に平行な平面上を移動可能であり、
前記制御部は、前記ゴミ取り動作として、前記可動部を移動範囲の中で前記移動範囲端に接触しない特定位置に移動させ、前記可動部の前記特定位置の前記第1方向の位置を同じ状態に保ったまま、前記第2方向に移動させて前記移動範囲端に衝突させることを特徴とする請求項1に記載のゴミ取り装置。
【請求項4】
前記ゴミ取り動作の1回の動作において、前記可動部の前記第2方向の前記移動範囲端への衝突は、前記第2方向の前記移動範囲端の一方に対して2回、他方に対して1回、交互に行われることを特徴とする請求項3に記載のゴミ取り装置。
【請求項5】
前記制御部は、像ブレ補正処理のために前記可動部を前記移動範囲の中で移動制御し、前記像ブレ補正処理を開始する前に、前記ゴミ取り動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のゴミ取り装置。
【請求項6】
前記所定時間は、前記回数を計測し始めた時から前記一定時間が経過する時点で終了することを特徴とする請求項1に記載のゴミ取り装置。
【請求項7】
前記ゴミ取り動作を行った回数を計測し始めた時からの経過時間の値は、前記経過時間が前記一定時間を超えると0にリセットされ、再度計測が行われることを特徴とする請求項1に記載のゴミ取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−98862(P2008−98862A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276860(P2006−276860)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】