説明

撮像装置の欠陥画素検出装置および撮像装置のマーキング装置

【課題】撮像装置10は比較回路の構成が簡単でよく、画像信号の遅延を低減する。
【解決手段】撮像装置10は、欠陥画素データを、予め記憶している欠陥情報記憶手段22と、撮像手段12から出力される画像信号の画素値を、欠陥値を除いた画素値に変換する信号変換手段24と、欠陥画素設定部20と、欠陥値をフレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶する画像信号記憶部40と、第2比較手段42とを備えている。第1比較手段30は、欠陥情報記憶手段22から欠陥画素データをフレーム単位で複数回に分けて取得して画像信号と比較し、全ての欠陥画素データを取得しかつ比較し終えたときに、画像信号データと欠陥画素データとの比較を停止し、第2比較手段42によって比較処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置によって撮像された画素を構成する複数の画素の中から、撮像装置が備える撮像素子の動作不良等に起因する欠陥画素を検出する撮像装置の欠陥画素検出装置および撮像装置のマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルスチルカメラや、ディジタルビデオカメラ等の撮像装置が普及している。そして、この撮像装置には、レンズ等を介して受光した光を電気信号に変換する撮像素子が備えられている。この撮像素子としては、一般に、CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等が用いられる。これらの撮像素子は、撮像された画像を構成する複数の画素にそれぞれ対応する複数の受光素子(フォトダイオード)を備え、各画素の画素値をそれぞれ表す画素データをそれぞれ出力する。そして、撮像装置によって撮像された画像を表示装置に表示する場合、撮像時に、例えば、いずれかの受光素子において、動作不良等が生じていると、本来出力されるべき値よりも高い値の画素データが出力されて、その受光素子に対応する画素が、いわゆる白キズとして認識されたり、本来出力されるべき値よりも低い値の画素データが出力されて、その受光素子に対応する画素が、いわゆる黒キズとして認識されたりする場合がある。
【0003】
こうした欠陥画素の画素データに起因する画質劣化を信号処理によって補正するために、従来から、撮像素子に含まれる欠陥画素についての欠陥画素データを、製造した半導体工場で検出して不揮発性メモリに予め記憶させておいて、通常撮像時に、この不揮発性メモリに記憶されているアドレスに基づいて比較回路にて現在の画素データが欠陥画素か否かの判別を行ない、欠陥画素であると判別されたときには、その欠陥画素の撮像出力に代えて、例えば、1画素前の撮像出力に置換することにより、欠陥画素の補正を行なっている(特許文献1)。
【0004】
近年の撮像素子に求められる画素数が、以前の数十万画素程度から千万画素以上に増大したこともあり、撮像素子の製造技術の進歩にもかかわらず、撮像素子に現われる欠陥画素は増大する傾向にある。
【0005】
このため、欠陥画素の数の増加分だけ比較回路の規模が大きくなる。このため、比較回路の大規模化だけでなく、判別する数が多くなり、処理時間に遅延を生じ、画質の劣化を生じるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−100913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、比較手段の構成が簡単な撮像装置の欠陥画素検出装置および撮像装置のマーキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
適用例1は、被写体を撮像する撮像素子を有し、該撮像素子が出力する画素値からなる画像信号を上記撮像素子のアドレスに関連づけて出力する撮像手段と、
上記撮像素子のうちのn個(nは2以上の整数)のアドレスを記憶している画素アドレス記憶手段と、
上記記憶されたn個のアドレスを、m個(1≦m<n)ずつ、複数回に分けて取得し、各取得の度に、該m個のアドレスと上記撮像手段から出力される画像信号のアドレスとを、少なくとも1フレームの画像信号にわたって比較する比較処理を行なうm個の比較器と、
上記m個の比較器による上記取得の度に、上記撮像手段から出力される画像信号における各画素値のうち、上記比較器によりアドレスが一致した画素値については、上記撮像素子から出力される画素値の範囲外の値として、上記n個のアドレスの取得が完了するまで繰り返し、少なくとも1フレーム分の画像データとして記憶する画像信号記憶部と、を備えている。
【0010】
適用例1にかかる撮像装置では、撮像素子が出力する画素値からなる画像信号は、撮像素子のアドレスに関連づけて出力される。画素アドレス記憶手段は、n個のアドレスに、上記関連づけた画素値を記憶している。m個の比較器は、画素アドレス記憶手段に記憶されたアドレスおよび画素値を複数回に分けて取得し、少なくとも1フレームの画素信号にわたって比較する。そして、画像信号記憶部は、上記m個の比較器による上記取得の度に、上記撮像手段から出力される画像信号における各画素値のうち、上記比較器によりアドレスが一致した画素値については、上記撮像素子から出力される画素値の範囲外の値として、上記n個のアドレスの取得が完了するまで繰り返し、少なくとも1フレーム分の画像データとして記憶する。
【0011】
したがって、m個の比較器は、全ての欠陥画素データを1度に展開するのではなく、撮像素子に関連づけた画素値を複数回に分けて展開するので、比較器の構成を簡単にできる。
【0012】
[適用例2]
適用例2は、被写体を撮像した画像信号を出力する撮像素子を有する撮像手段と、
上記撮像素子の欠陥画素を表わす欠陥画素データを、該撮像素子のアドレスおよび欠陥値として予め記憶している欠陥情報記憶手段と、
上記撮像手段から出力される画像信号の画素値を、上記欠陥値を除いた画素値に変換する信号変換手段と、
上記欠陥情報記憶手段に記憶されている上記欠陥画素データを読み込むことで該欠陥画素データを展開し、該展開された欠陥画素データと上記信号変換手段からの画像信号とを比較する比較器を有し、該比較器により該画像信号が上記欠陥画素データと一致していると判定されたときに、その画素値を上記欠陥値に変更して出力する第1比較手段と、
上記第1比較手段から出力される上記欠陥値をフレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶する画像信号記憶部と、
上記画像信号記憶部に記憶された欠陥値と、上記撮像素子から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける画素信号の画素値が上記欠陥値であるときには上記画素値を上記欠陥値に変更して出力する第2比較手段と、
を備え、
上記第1比較手段は、上記欠陥情報記憶手段から上記欠陥画素データをフレーム単位で複数回に分けて取得して画像信号と比較し、全ての欠陥画素データを取得しかつ比較し終えたときに、上記画像信号データと上記欠陥画素データとの比較を停止し、上記第2比較手段によって比較処理を行なうこと、を特徴とする。
【0013】
適用例2にかかる撮像装置では、撮像素子の欠陥画素は、予め検査されることにより、欠陥情報記憶手段に撮像素子のアドレスおよび欠陥値を含む欠陥画素データとして予め記憶されている。そして、欠陥情報記憶手段に記憶された欠陥画素データは、第1比較手段の比較器に展開される。一方、第1比較手段には、撮像手段からの画像信号が信号変換手段で処理されてから入り、第1比較手段の比較器にて比較される。すなわち、信号変換手段は、撮像手段から出力される画像信号の画素値を、欠陥値を除いた画素値に変換して第1比較手段に出力する。第1比較手段は、欠陥情報記憶手段に予め記憶されている欠陥画素データの一部を展開して、欠陥画素データと信号変換手段からの画像信号の画素値とを比較し、該画素値が欠陥画素データの欠陥値であると判定されたときに、画素値をマーキング部で欠陥値に変更する。そして、マーキング部から出力される欠陥値は、画像信号記憶部に、フレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶される。第1比較手段は、欠陥情報記憶手段から欠陥画素データをフレーム単位で複数回に分けて取得して画像信号と比較し、全ての欠陥画素データを取得して画像信号記憶部に時系列的かつアドレス順に1フレームで全て記憶する。そして、第1比較手段が全ての欠陥画素データを画像信号記憶部に記憶したときにその比較処理を停止する。第2比較手段は、画像信号記憶部に記憶された欠陥値と、撮像素子から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける画素信号の画素値が欠陥値であるときには画素値を欠陥値に変更して出力する。
【0014】
第1比較手段は、全ての欠陥画素データを比較器に1度に展開するのではなく、欠陥画素データを複数回に分けて展開するので、比較器の構成を簡単にできる。
【0015】
また、画像信号記憶部に、欠陥画素データを記憶し終えた後に、欠陥画素データの数に比例して長い処理時間を要求される第1比較手段による比較処理を行なわないから、つまり第2比較手段だけによる、上記画像信号記憶部に記憶された欠陥値と、上記撮像素子から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較する処理で済むから、画像信号の信号処理の遅延が低減され、画質が向上する。
【0016】
[適用例3]
適用例3において、上記欠陥情報記憶手段に記憶されている上記欠陥画素データは、上記撮像素子の欠陥のうち輝度数値が高いものから、順次、読み出されるようにグループ分けされている構成である。ここで、輝度数値が高いとは、例えば、白キズと黒キズとを欠陥画素とした場合に、白キズをいう。この構成により、撮像装置によって表示される画像の目立つ欠陥画素から順次補正されるので、起動時から欠陥の目立たない綺麗な画像を得ることができる。
【0017】
[適用例4]
適用例4は、被写体を撮像した画像信号を出力する撮像素子を有する撮像手段と、
上記撮像素子のマーキング画素を表わすマーキングデータを、該撮像素子のアドレスおよびマーキング値として予め記憶しているマーキング情報記憶手段と、
上記撮像手段から出力される画像信号の画素値を、上記マーキング値を除いた画素値に変換する信号変換手段と、
上記マーキング情報記憶手段に記憶されている上記マーキングデータを読み込むことで該マーキングデータを展開し、該展開されたマーキングデータと上記信号変換手段からの画像信号とを比較する比較器を有し、該比較器により該画像信号が上記マーキングデータと一致していると判定されたときに、その画素値を上記マーキング値に変更して出力する第1比較手段と、
上記第1比較手段から出力される上記マーキング値をフレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶する画像信号記憶部と、
上記画像信号記憶部に記憶されたマーキング値と、上記撮像素子から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける画素信号の画素値が上記マーキング値であるときには上記画素値を上記マーキング値に変更して出力する第2比較手段と、
を備え、
上記第1比較手段は、上記マーキング情報記憶手段から上記マーキングデータをフレーム単位で複数回に分けて取得して画像信号と比較し、全てのマーキングデータを取得しかつ比較し終えたときに、上記画像信号と上記マーキングデータとの比較を停止し、上記第2比較手段によって比較処理を行なうこと、を特徴とする。
【0018】
適用例4において、マーキング情報記憶手段に、欠陥画素の欠陥値の代わりに、画像に情報として盛り込みたいマーキング値を予め記憶することにより、簡単な構成で画像に情報の付加を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
(1) 撮像装置の構成
図1は本発明の一実施例としての撮像装置10の概略構成を示す説明図である。撮像装置10は、撮像手段12と、欠陥画素設定部20と、第2比較手段42と、フレーム間比較回路39と、画像信号記憶部40と、欠陥画素補正部44と、データ処理部50と、出力部60とを備えており、後述するように、撮像手段12によって被写体を撮像した画像信号を、予め記憶されている欠陥画素データに基づいて補正して出力することができる。本実施例における撮像装置10は、ハードウェアによって構成されているものとした。これらの一部をソフトウェアによって構成するものとしてもよい。なお、図示は省略しているが、撮像装置10は、撮像した画像を表示する液晶パネル等の表示部や、撮像した画像をフラッシュメモリ等の記録媒体に保存するための記録部等も備えている。また、撮像装置10は、CPU,RAM,ROM等を有し、撮像装置10の各部を制御する制御ユニット(図示省略)を備えている。
【0020】
撮像手段12は、図示しないズームレンズや、フォーカスレンズや、絞りや、これらを介して受光した光を電気信号に変換する撮像素子14を備えている。撮像素子14は、撮像された画像を構成する複数の画素にそれぞれ対応し、対応する画素の画素値を表す画素データをそれぞれ出力する複数の受光素子(フォトダイオード)を備えている。撮像手段12には、A/D変換部が設けられており、撮像素子14からのアナログ信号をディジタル信号、例えば、8ビットのデータであれば、0〜255の画像値で表せる画像信号を出力する。
【0021】
欠陥画素設定部20は、欠陥画素データを画像信号記憶部40に展開するための回路であり、欠陥情報記憶手段22と、信号変換手段24と、第1比較手段30と、データ取得部34と、制御部36と、マーキング部38とを備えている。
【0022】
欠陥情報記憶手段22は、例えば、n個(nは2以上の整数)の画素からなる撮像素子14の欠陥画素を表わす欠陥画素データを、該撮像素子14のアドレスおよび欠陥値として予め記憶している。欠陥値は、画像信号が8ビットで0〜255までの値をとる場合には、黒キズを”0”の値に、白キズを”255”の値に設定することができ、この値を予め検査したときに得られた撮像素子14のアドレスとともに記憶する。図2は欠陥画素データを説明する説明図である。欠陥画素データが、例えば、1000個ある場合に、フレーム単位で、これらをn個(例えば20個)のグループに分けて、各々のグループGk(kは0,1,2,・・i・・nの正数)毎に読み出すことができるように、欠陥情報記憶手段22に記憶されている。図2では、3つのグループG(0),G(1)・・・G(k)について、撮像素子14のアドレスAD(i,j)に対応して、黒丸を黒キズ、白丸を白キズとして示している。ここで、グループGは、撮像素子14の欠陥のうち輝度数値が高いものへと順次、つまり、欠陥の目立つ白キズから黒キズへと、順次、読み出されるようにグループ分けされている。
【0023】
図1に示す信号変換手段24は、撮像手段12から出力される8ビットの画像信号の初期画素値(0〜255の値)を、欠陥値”0”,”255”を除いた修正画素値に変換する。すなわち、撮像手段12から出力される画像信号には、白キズまたは黒キズでないが、これに白キズおよび黒キズに相当する”255”,”0”の値に相当するレベルの信号が出力される場合があるが、これを”254”,”1”の値に変更する。
【0024】
第1比較手段30は、直列に接続された複数個、例えば、m(1≦m<n)個の比較器32を備えている。各々の比較器32は、1つのアドレスを保持し、該アドレスが信号変換手段24から入力される画像信号のアドレスと一致したときにON信号出力する。制御部36は、欠陥情報記憶手段22から欠陥画素データをデータ取得部34に順次、読み込ませるのを指令する。データ取得部34は、制御部36の指令に基づき、図2の欠陥画素データのグループG(0)を第1比較手段30の比較器32に展開し、1フレームの画素信号の読み込みが終えたときに、次の欠陥画素データのグループG(1)を比較器32に展開し、そして、全ての欠陥画素データのグループG(k)の読み込みを終えるまで、その処理を続ける。マーキング部38は、比較器32にて画像信号が所定の欠陥画素データのアドレスと判定されたときに、画素値を欠陥値に変換し、つまり、”254”の値であるときには、”255”の値に変換し、”1”の値であるときには、”0”の値に変換する。
【0025】
フレーム間比較回路39は、マーキング部38から出力される欠陥値をフレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶する。フレーム間比較回路39に記憶された欠陥値は、1フレーム毎に画像信号記憶部40に比較されることで欠陥値が画像信号記憶部40に蓄積されるように記憶される。図3は画像信号記憶部40に全ての欠陥画素データが記憶された状態を説明する説明図である。1フレームの処理終了毎に、図2に示す欠陥画素データがグループG(0),G(1)・・・G(k)と累積されている。第2比較手段42は、画像信号記憶部40に記憶された欠陥値と、撮像素子14から出力される画像信号と時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける画素信号が欠陥値であるときには画像信号を欠陥値に変更して出力する。
【0026】
欠陥画素補正部44は、周知の方法、例えば、欠陥画素データを周辺画素の画素データ等に基づいて補正する回路である。
【0027】
(2) 撮像装置10の動作
次に、撮像装置10の一連の動作について説明する。図1において、撮像装置10が起動されると、欠陥画素設定部20の制御部36がデータ取得部34に指令して、データ取得部34が欠陥情報記憶手段22に予め記憶されている撮像素子14のアドレスおよび欠陥値を含む欠陥画素データを読み込み、第1比較手段30の比較器32に展開する。このとき、各々の比較器32は、図2のグループG(1)で示された欠陥画素データを記憶する。一方、撮像装置10からの画像信号は、信号変換手段24に入力される。信号変換手段24は、画像信号が欠陥値で設定された値である場合には、別の値に変更して第1比較手段30へ出力する。すなわち、信号変換手段24は、撮像手段12から出力される8ビットの画像信号の画素値(255〜0の値)のうち、白キズおよび黒キズに相当する”255”の値,”0”の値を除いた画素値として”255”の値を”254”の値に、”0”の値を”1”の値にそれぞれ変換する。
【0028】
そして、第1比較手段30の比較器32は、展開された欠陥画素データおよび信号変換手段24から入力される画像データに基づき、それらのデータのアドレスが一致するか否かを順次比較し、一致していると判断したときには、マーキング部38により信号変換手段24の画像データの画素値が欠陥値に変更され、つまり”254”を”255”に”1”を”0”に変更される。マーキング部38からの欠陥値は、フレーム間比較回路39に送られる。そして、フレーム間比較回路39は、画像信号記憶部40と1フレーム毎に比較されて、画像信号記憶部40に欠陥値が時系列的かつアドレス順に記憶される。そして、1フレームの処理が終わると、制御部36の指令によりデータ取得部34が欠陥情報記憶手段22から次の欠陥画素データのグループG(1)を比較器32に展開し、同様に、比較器32の出力に基づいて欠陥画素データを画像信号記憶部40に記憶させる。制御部36は、欠陥画素データのグループG(k)まで画像信号記憶部40に記憶したときにその欠陥画素データの読出しを停止する。このとき、画像信号記憶部40には、図3に示す欠陥画素データがアドレス順に記憶される。
【0029】
一方、第2比較手段42は、信号変換手段24から出力される画素値と画像信号記憶部40に記憶されている欠陥値を含む画素値とを時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける欠陥値であるときには、信号変換手段24からの画素値を欠陥値に変更して欠陥画素補正部44に出力し、つまり信号変換手段24からの画素値を”255”または”0”に変更してデータ処理部50に出力する。そして、データ処理部50は、周知の方法、例えば、欠陥画素データを周辺画素の画素データ等に基づいて補正する。
【0030】
(3) 実施例の作用・効果
本実施例にかかる撮像装置10により以下の作用効果を奏する。
(3)−1 第1比較手段30は、欠陥情報記憶手段22に記録されている欠陥画素データを比較器32に展開するのではなく、複数回に分けて展開するので、比較器32に欠陥画素データの数だけ比較器32の判定回路を設ける必要がなく、その構成を簡単にできる。
【0031】
(3)−2 画像信号記憶部40に、欠陥画素データを記憶し終えた後に、欠陥画素データの数に比例して長い処理時間を要求される第1比較手段30による比較処理を行なわないから、つまり第2比較手段42だけによる、上記画像信号記憶部に記憶された欠陥値と、上記撮像素子14から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較する処理で済むから、画像信号の信号処理の遅延が低減され、画質が向上する。
【0032】
(4) 他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0033】
(4)−1 欠陥情報記憶手段22に記憶されている欠陥画素データは、表示素子で表示される画像の中央から周辺に向けて、順次、読み出されるようにグループ分けしてもよい。これにより、撮像装置によって表示される画像の目立つ中央位置から周辺位置に順次補正されるので、起動時から欠陥の目立たない綺麗な画像を得ることができる。
【0034】
(4)−2 本実施例において、撮像素子としては、CCDや、CMOSセンサ等が挙げられる。また、撮像素子において、受光素子は、例えば、マトリクス状に配列されているものとしてもよいし、ハニカム状に配列されているものとしてもよい。
【0035】
(4)−3 本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、欠陥画素検出装置、撮像装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例としての撮像装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】欠陥画素データを説明する説明図である。
【図3】画像信号記憶部に全ての欠陥画素データが記憶された状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10…撮像装置
12…撮像手段
14…撮像素子
20…欠陥画素設定部
22…欠陥情報記憶手段
24…信号変換手段
30…第1比較手段
32…比較器
34…データ取得部
36…制御部
38…マーキング部
39…フレーム間比較回路
40…画像信号記憶部
42…第2比較手段
44…欠陥画素補正部
50…データ処理部
60…出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子を有し、該撮像素子が出力する画素値からなる画像信号を上記撮像素子のアドレスに関連づけて出力する撮像手段と、
上記撮像素子のうちのn個(nは2以上の整数)のアドレスを記憶している画素アドレス記憶手段と、
上記記憶されたn個のアドレスを、m個(1≦m<n)ずつ、複数回に分けて取得し、各取得の度に、該m個のアドレスと上記撮像手段から出力される画像信号のアドレスとを、少なくとも1フレームの画像信号にわたって比較する比較処理を行なうm個の比較器と、
上記m個の比較器による上記取得の度に、上記撮像手段から出力される画像信号における各画素値のうち、上記比較器によりアドレスが一致した画素値については、上記撮像素子から出力される画素値の範囲外の値として、上記n個のアドレスの取得が完了するまで繰り返し、少なくとも1フレーム分の画像データとして記憶する画像信号記憶部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
被写体を撮像した画像信号を出力する撮像素子を有する撮像手段と、
上記撮像素子の欠陥画素を表わす欠陥画素データを、該撮像素子のアドレスおよび欠陥値として予め記憶している欠陥情報記憶手段と、
上記撮像手段から出力される画像信号の画素値を、上記欠陥値を除いた画素値に変換する信号変換手段と、
上記欠陥情報記憶手段に記憶されている上記欠陥画素データを読み込むことで該欠陥画素データを展開し、該展開された欠陥画素データと上記信号変換手段からの画像信号とを比較する比較器を有し、該比較器により該画像信号が上記欠陥画素データと一致していると判定されたときに、その画素値を上記欠陥値に変更して出力する第1比較手段と、
上記第1比較手段から出力される上記欠陥値をフレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶する画像信号記憶部と、
上記画像信号記憶部に記憶された欠陥値と、上記撮像素子から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける画素信号の画素値が上記欠陥値であるときには上記画素値を上記欠陥値に変更して出力する第2比較手段と、
を備え、
上記第1比較手段は、上記欠陥情報記憶手段から上記欠陥画素データをフレーム単位で複数回に分けて取得して画像信号と比較し、全ての欠陥画素データを取得しかつ比較し終えたときに、上記画像信号データと上記欠陥画素データとの比較を停止し、上記第2比較手段によって比較処理を行なうこと、
を特徴とする撮像装置の欠陥画素検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置の欠陥画素検出装置において、
上記欠陥情報記憶手段に記憶されている上記欠陥画素データは、上記撮像素子の欠陥のうち輝度数値が高いものから、順次、読み出されるようにグループ分けされている撮像装置の欠陥画素検出装置。
【請求項4】
被写体を撮像した画像信号を出力する撮像素子を有する撮像手段と、
上記撮像素子のマーキング画素を表わすマーキングデータを、該撮像素子のアドレスおよびマーキング値として予め記憶しているマーキング情報記憶手段と、
上記撮像手段から出力される画像信号の画素値を、上記マーキング値を除いた画素値に変換する信号変換手段と、
上記マーキング情報記憶手段に記憶されている上記マーキングデータを読み込むことで該マーキングデータを展開し、該展開されたマーキングデータと上記信号変換手段からの画像信号とを比較する比較器を有し、該比較器により該画像信号が上記マーキングデータと一致していると判定されたときに、その画素値を上記マーキング値に変更して出力する第1比較手段と、
上記第1比較手段から出力される上記マーキング値をフレーム単位で時系列的かつアドレス順に記憶する画像信号記憶部と、
上記画像信号記憶部に記憶されたマーキング値と、上記撮像素子から出力される画像信号の画素値とを時系列的かつアドレス順に比較し、該アドレスにおける画素信号の画素値が上記マーキング値であるときには上記画素値を上記マーキング値に変更して出力する第2比較手段と、
を備え、
上記第1比較手段は、上記マーキング情報記憶手段から上記マーキングデータをフレーム単位で複数回に分けて取得して画像信号と比較し、全てのマーキングデータを取得しかつ比較し終えたときに、上記画像信号と上記マーキングデータとの比較を停止し、上記第2比較手段によって比較処理を行なうこと、
を特徴とする撮像装置のマーキング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate