撮像装置及び撮像装置の制御方法
【課題】 使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした画質を容易に仕上げる設定を可能にした撮像装置を提供すること。
【解決手段】 撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させることによって、撮影条件や画像処理パラメータが連動して、使用者が望む写真仕上げを実現するものである。
【解決手段】 撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させることによって、撮影条件や画像処理パラメータが連動して、使用者が望む写真仕上げを実現するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の意図する写真の仕上がりを自動で設定する撮像装置及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来デジタルカメラでは、使用者の意図する写真の仕上がりを自動的に制御するものとして、主に撮影光学系の露出制御を担うシーンモードと、現像時の画像処理パラメータを制御する仕上がり設定がある。
【0003】
露出制御を担うシーンモードは、近年ではほとんどのデジタルカメラなどで搭載されている。例えば「風景モード」を選択すれば、風景を撮影するのに適した、撮影レンズの絞りを大きく絞り込んで、被写界深度を深く設定する露出制御を行なう。また、「人物モード」を選択すれば、人物を撮影するのに適した、撮影レンズの絞りを小さくなるようにして、被写界深度を浅く設定する露出制御を行なう。
【0004】
一方、下記に提示する特許文献では、撮影した画像を現像するときの画像処理パラメータを制御する仕上がり設定に関して次のように開示されている。デジタルカメラに写真の仕上がりを複数の種類を仕上がり設定(プリセットパラメータ)として準備し、使用者が設定した仕上がり設定によって、現像時のコントラスト(ガンマ設定)処理、色処理などを制御するパラメータが変更される。こうすることで、使用者が望む写真の仕上がりに近づける処理が為される。また、これらの画像処理パラメータをさらに詳細に使用者が設定できる仕組み(ユーザーセットパラメータ)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−011413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の開示された従来技術では、写真の表現に造詣が深くても、写真の表現を画象処理パラメータの設定に導くには、写真撮影技術以外にもデジタル画像処理の知識が深くないと対応が困難である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした画質を容易に仕上げる撮影設定を可能にした撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる本発明における撮像装置は、 被写体を撮像する撮像手段と、予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択手段と、予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択手段と、予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択手段と、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段によって設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定手段と、前記第2の設定手段によって設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有し、前記第1及び第2の設定手段は、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる本発明における撮像装置の制御方法は、被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択ステップと、予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択ステップと、予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択ステップと、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定ステップと、前記撮像制御手段が、前記第1の設定ステップで設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御ステップと、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定ステップと、前記第2の設定ステップで設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理ステップと、を有し、前記第1及び第2の設定ステップでは、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップでの選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした写真画質を容易に仕上げることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるデジタルカメラの構成を示す図である。
【図2】第2の実施形態におけるデジタルカメラの構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態における撮影パラメータ設定処理のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態におけるフローチャートである。
【図5】画像処理パラメータ設定部で設定可能なコントラストの特性を示す図である。
【図6】画像処理パラメータ設定部で設定可能なシャープネスの特性を示す図である。
【図7】画像処理パラメータ設定部で設定可能な色相・彩度の特性を示す図である。
【図8】撮影被写体選択手段の各設定項目と画像処理パラメータの関連付けを説明する図である。
【図9】第1の実施形態における撮影被写体選択、被写体光源状況選択の各選択項目とその設定を示す図である。
【図10】写真仕上げ雰囲気選択の選択項目とその選択による設定が他の設定から影響を受けていることを示す図である。
【図11】第2の実施形態における各選択項目とその設定が互いに及ぼす影響の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態では撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させることによって、撮影条件や画像処理パラメータが連動して、使用者が望む写真仕上げを実現するものである。
【0013】
図1は、本実施形態にかかわる撮像装置の一例としてのデジタルカメラのブロック図である。図1において、被写体101に対して撮影レンズ103とシャッター105を通じて被写体像102、104、106を撮像素子107に結像させて撮影する。
【0014】
ここで、被写体の明るさに応じて、撮影レンズの絞り値AV(Aperture Value)、シャッター速度TV(Time Value)、撮像素子のISO感度を調整して、最適な明るさの画像信号を撮像素子107で得られるように撮像制御を行う。
【0015】
また以下では、この撮像素子107は、R(赤)、G(緑)、B(青)の光の波長域に感度を持つ3種類の画素から構成されるものとして説明をする。
【0016】
このAV、TV、ISO感度の組み合わせは、被写体の明るさを測光するセンサーの出力に応じて決定した露出値を用いる自動露出AE(Auto Exposure)撮影が広く知られている。
【0017】
撮像素子107からの画像信号をA/D変換部108においてRGBのデジタル信号化する。
【0018】
デジタル化されたRGBの画像信号は、WB部(ホワイトバランス処理部)109において、RGB各信号にゲインを掛けて、ホワイトバランス処理される。
【0019】
ホワイトバランス処理されたRGBの画像データは、信号変換部110において輝度信号Y(111)と色信号uv(115)に変換される。
【0020】
輝度信号Yはコントラスト処理部112、シャープネス処理部113の現像処理が施され、色信号uvは色処理部114で彩度や色相が調整されて、使用者が鑑賞できる好ましい画質の画像データを得て、画像出力部116より出力される。出力された画像データは圧縮などの処理を経て不図示の記録媒体に記録される。
【0021】
このホワイトバランス処理部109によって、被写体を照射する様々な光源の色温度に対応して白点を設定し、それ以降の一連の画像処理を行うブロック112〜114で用いられるパラメータを変更する。これによって、画像の見え、すなわち、くっきりした画像とか色の濃い画像などの画質を調整することができる。
【0022】
ここで、本実施形態の特徴である、画像出力部116から出力される画像の最終画質の決定方法、すなわち撮影した写真の仕上がりの雰囲気を決める方法を、図3のフローチャートを用いながら説明する。
【0023】
まず、使用者が、「被写体は何か」(撮影被写体選択部118)、「被写体はどのような光源下の状況にあるか」(被写体光源状況選択部119)、「写真をどのような雰囲気で仕上げるか」(写真仕上げ雰囲気選択部120)を決める。そのためのそれぞれ 図9、図10(a) に示されるような選択肢を準備する。ユーザーはユーザーインターフェースを通じて使用者入力手段117より用意された選択しから望む設定に準じた項目を選択して入力する。
【0024】
まず、撮影被写体選択部118で選択される項目は、図9(a)に示されるような被写体の種類を表し、これらの項目をユーザーインターフェースに表示して、使用者は最適な項目を選択する(S302)。
【0025】
この選択結果に応じて、撮影時カメラ設定部121は、絞り値AVを決める信号133、シャッター速度TVを決める信号134、ISO感度を決める信号135を、被写体の露出決定手段136からの露出値137によって出力する(S303)。
【0026】
例えば、図9(a)の2番目の「自然の風景」が選択されたら、被写界深度を深めにしたパンフォーカス撮影ができるように、他の被写体の場合と比べてAV値を大きめに取る露出テーブルを使用する。また、5番目の「スポーツ(少人数)」が選択されたら、1対1の格闘技や水泳の一人の泳者を撮影することなどが想定されるため、他の被写体の場合と比べてISO感度を高めでTVを速い速度にして素早い動きに対応できる撮影を可能とする。
【0027】
他のモードもそれぞれの撮影被写体に適したAV、TV、ISOの組み合わせが実現されるような露出テーブルを準備して、露出値137に応じて設定されるようにする。
【0028】
次に、118で選択された撮影被写体にふさわしい画像処理パラメータを画像処理パラメータ設定部123において設定する(S304)。
【0029】
コントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114では、設定された画像処理パラメータを用いてそれぞれ図5、図6、図7の特性を持たせた処理が行われる。図5(a)〜(c)は、横軸に入力されるEV値(対数軸)、縦軸に8bit出力をとる、いわゆるガンマ特性を示したものであり、ここで示したガンマ曲線がコントラスト処理部112にて、画像データの輝度信号Y(111)にかけられる。図6は、横軸に画像の境界部分の座標、縦軸に画像レベルをとる、輪郭強調特性を示したものであり、この輪郭強調特性がシャープネス処理部113にて、コントラスト処理部112からの信号を入力としてかけられる。図7は、uv平面上に、色補正処理部114にてかけられる色変換の様子を示したものである。
【0030】
コントラスト処理部112では、図5(a)のように、輝度信号Y(111)の入力(対数表示軸)に対して、0〜255の8bit出力の特性をガンマ特性を与えた501〜505で表される。ここで、503を標準的なコントラスト特性とすると、503よりもコントラストが弱い特性として502を、さらに弱い特性として501を準備する。逆に503よりもコントラストが強い特性504を、さらに強い特性として505を準備する。いずれも露出の中間グレーレベルを110として与えている。
【0031】
シャープネス処理部113では、図6のように、コントラスト処理後の信号を入力として、例えば、610のような黒白画像の境界に対して、611のような輪郭強調特性を与えるように、601〜605の特性を準備する。このとき、標準的な輪郭強調特性を603とする。603より弱い輪郭強調を602、さらに弱い輪郭強調を601とする。603より強い輪郭強調を604、さらに強い輪郭強調を605とする。
【0032】
色補正処理部114では、110においてRGBからuv信号に変換された色信号について、
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
の2つの式で補正処理が行なわれる。図7のMagenda色のところで示されるように、(式1)では、a,b,c,dのパラメータを変化させることで、uv座標上で主に同心円上に近い回転方向に写像して色相を変換する式である。(式2)では、m、nのパラメータを変化させることで、uv座標上で主に放射状にゲインが掛けられることによって彩度を調整する式である。Magenda以外の他の色でも同様である。
【0036】
本実施形態では、主に彩度方向、すなわち色の濃さを変化させる(式2)について述べる。図7のRed色のところで示したように、(式2)のパラメータm、nを変更して、色の濃さを変化させた5種類の特性701〜705を準備する。m、nは全ての色に対して掛けられるので、ここで示したRed色以外の色も全て5種類の彩度の色の特性を持つことになる。703の彩度になる(m、n)を標準的な色再現とすると、それよりも彩度の低い(m、n)の組み合わせのときの色を702、さらに彩度の低いものを701とする。逆に703よりも彩度の高い(m、n)の組み合わせを704、さらに彩度の高いものを705として準備する。
【0037】
ここで、各パラメータは118の撮影被写体選択結果によって、画像処理パラメータ設定部123において、図8(a)のようなマッピングになるように画像処理パラメータを決定する。図8は、被写体選択の各選択項目によって、画像処理がどのようにかけられるかを横軸にコントラスト/シャープネスの処理の強さ、縦軸に色の濃さをとって模式的に示したものである。決定されたパラメータはコントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114に設定される。
【0038】
例えば、「都会の風景」が設定されたときの対応について述べる。図8(a)のマッピングでは、標準よりも強いコントラストとシャープネスで硬い仕上がりを設定し、色の濃さは標準設定よりもやや濃い仕上がりを狙うことで都会の風景を表現するものである。
【0039】
これを実現するために、コントラスト/シャープネスは「標準設定」より2段階強めになるように、コントラスト処理部112は図5(a)における505の設定、シャープネス処理部113は図6における605の設定にする。また、色の彩度は「標準設定」より1段階彩度高めになるように、色補正処理部114のゲインを図7の705になるように設定する。
【0040】
他のモードが選択されたときも同様にして、図8(a)のマッピングによって、コントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114の各画像処理パラメータを撮影時カメラ設定部123において設定する。
【0041】
次に、被写体光源状況選択部119で選択される項目は、図9(b)に示されるような被写体を照射している光源の種類を表し、これらの項目をユーザーインターフェースに表示して、使用者は最適な光源を選択する(S305)。
【0042】
図9(b)では、「忠実に白点再現」を狙うホワイトバランスか、「印象色の効果」を狙うホワイトバランスかを選択した上で、最適な光源の選択をする。
【0043】
例えば、「朝夕日」を選択した際、朝日や夕日に照射された物体は、人間には赤味を帯びて見える。しかし、写真表現として白い物体を白く表現したい場合は「忠実に白点再現」を選択して、2500Kに対応するホワイトバランス係数を122において決定し、ホワイトバランス処理109で処理する。
【0044】
逆に「朝夕日」選択時に、人間の見たように白い物体でも赤味を帯びた写真表現をしたい場合は、「印象色の効果」を選択して、5000Kに対応するホワイトバランス係数を122において決定し、ホワイトバランス処理部109で処理する(S306)。
【0045】
このように、ここで述べる「印象色の効果」とは、人間の見た感覚にできるだけ沿った色再現を実現するホワイトバランス制御のことを述べている。夕日の他には、「タングステン電球」では、視覚に近い赤味を残すために、電球の色温度に対応した3000Kよりも赤味の補正が足りない5000Kに対応したホワイトバランス制御をする。また、「晴天の日陰」では、視覚に近い青味を残すために、晴天時の日陰の色温度7000Kよりも青味の補正が足りない5500Kに対応したホワイトバランス制御をする。
【0046】
次に、写真仕上げ雰囲気選択部120で選択される項目は、図10(a)(b)(c)に示される「仕上がりの雰囲気(使用者の選択肢)」の項目が例として挙げられる。これらの項目をユーザーインターフェースに表示して、使用者は希望する写真の仕上がり具合を選択して入力する(S307)。
【0047】
この写真仕上げ雰囲気選択部120から出力される選択結果によって、まずは撮影時カメラ設定部121において、既に設定されているAV、TV、ISO感度が写真の仕上がりに適した設定になっているかを判定する(S308)。
【0048】
ここでの判定条件は、あらかじめS303で設定されている撮影条件が、図10(a)での選択した項目に対応する右段の条件から外れている場合は、AE結果を維持しつつ、その条件に入るように設定を変更する(S309)。
【0049】
例えば、「くっきり鮮やかに」が選択されたとき、S303では既に「AV:F5.6、TV:1/125sec、ISO感度:200」と設定されていたならば、「AV:8、TV:1/60sec、ISO感度:200」に変更する。ここで表に示された変更条件である『AV:F8以上に』というのは、「くっきり鮮やかに」の効果をより引き出すために、絞りをF8以上の深い被写界深度に設定されることを狙ったものである。
【0050】
また、「ほの暗くひっそりと」が選択されたとき、S303で設定されている露出値に対して、1EV暗く撮影できる露出値になるように、AV、TV、ISO感度の組み合わせのプログラムをシフトさせるように変更する。これは、「ほの暗くひっそりと」の効果を引き出すために、画面全体を暗めに撮影することを狙ったものである。
【0051】
また、「荒れた感じで」が選択されたとき、S303では既に「AV:F2.8、TV:1/125sec、ISO感度:200」と設定されていたならば、「AV:F5.6、TV:1/250sec、ISO感度:1600」に変更する。ここで表に示された変更条件である『ISO感度:1600以上に』というのは、「荒れた感じで」の効果を引き出すために、ランダムノイズが写真の仕上がりで視認しやすいレベルまで感度を上げることを狙ったものである。
【0052】
また、「明るめに」が選択されたとき、S303で決められた露出値に対して、+1EV明るく撮影できる設定に露出プログラムをシフトさせる。これにより、撮影結果を明るめに仕上げることもできる。また、画像処理のコントラスト処理部112に対して、図5(b)の507で示されるようなトーンカーブ特性を与えることによっても、写真仕上がり雰囲気を明るめにすることができる。
【0053】
このことは、「暗めに」という写真仕上げ雰囲気を選択しても同様である。S303で決められた露出値に対して、−1EV暗く撮影できる設定に露出プログラムをシフトさせる。これにより、撮影結果を暗めに仕上げることもできる。また、画像処理のコントラスト処理部112に対して、図5(b)の506で示されるようなトーンカーブ特性を与えることによっても、写真仕上がり雰囲気を暗めにすることができる。
【0054】
このように、「明るめ」「暗め」は露出値とコントラストの両方あるいはどちらか一方のいずれで処理してもかまわない。
【0055】
その他の写真仕上げ雰囲気選択結果でも同じように図10(a)で指示された変更内容に基づいて、これらのAV、TV、ISO感度の変更を行なう。
【0056】
次に、写真仕上げ雰囲気選択結果に応じて、ホワイトバランス処理での係数を変更するかどうかを判定する(S310)。
【0057】
ここでの判定条件は、あらかじめS306で設定されているホワイトバランス係数が、図10(b)での選択した項目に対応する右段の変更指示にしたがって、ホワイトバランス処理で対応する色温度をシフトさせる(S311)。
【0058】
例えば、「暖かくやさしく」が選択されたとき、S306で既に「5000K」と設定されていたならば、ホワイトバランス処理は「5500K」に対応するホワイトバランス係数にして処理するようにシフトしてWB制御値設定122で設定されるように変更する。これは、「暖かくやさしく」を表現するために、対応する色温度を高色温度側にシフトすることによって、画面全体がより赤味を強く帯びて暖かく見えるように狙ったものである。
【0059】
また、「ほの暗くひっそりと」が選択されたとき、S306で既に「6500K」と設定されていたら、ホワイトバランス処理は「6000K」に対応するホワイトバランス係数にして処理するようにシフトしてWB制御値設定部122で設定されるように変更する。これは、「ほの暗くひっそりと」を表現するために、対応する色温度を低色温度がわにシフトすることによって、画面全体がより青味を強く帯びて日陰の雰囲気を醸し出すことを狙ったものである。
【0060】
その他の写真仕上げ雰囲気選択結果でも同じように図10(b)で指示された変更内容に基づいて、ホワイトバランス係数の変更を行なう。
【0061】
最後に、写真仕上げ雰囲気選択結果に応じて、コントラスト、シャープネス、色処理の画像処理に関するパラメータを変更するかどうかを判定する(S312)。
【0062】
ここでの判定条件は、あらかじめS304で設定されている画像処理パラメータに対して、図10(c)での選択した項目に対応する右段の変更指示に従って、各画像処理パラメータを変更する(S313)。
【0063】
例えば、撮影被写体が「自然の風景」で選択されていた場合を述べる。この「自然の風景」はS304で図8(a)の中での「自然の風景」で示される画像仕上げのポジションにマッピングされている。このとき写真仕上げ雰囲気選択が「くっきり鮮やかに」が選択された場合、図10(c)の変更指示「コントラスト/シャープネス:強い方向、色:濃い方向」に従い3つの各パラメータを変更する。すなわち、元々設定されていたコントラスト:図5(a)の504、シャープネス:図6の604、色:図7の704を、それぞれコントラスト:図5(a)の505、シャープネス:図6の605、色:図7の705にシフトする。その結果、「くっきり鮮やかに」の効果が反映された「自然の風景」の写真の仕上がりは、図8(b)に示すように右上にポジションをシフトする結果になる。
【0064】
同じように、「自然の風景」に対して「暖かくやさしく」が選択された場合は、図10(c)の変更指示「コントラスト/シャープネス:弱い方向、色:濃い方向」によって、図8(b)で示されるように左上にポジションをシフトした写真仕上がりになる。また、「ふんわりやわらかく」が選択された場合は、図10(c)の変更指示「コントラスト/シャープネス:弱い方向、色:薄い方向」によって、図8(b)で示されるように左下にポジションをシフトした写真仕上がりになる。
【0065】
また、撮影被写体が「人物(少人数)」で選択されていた場合についても、図8(c)で表されるようなポジションにシフトされる。他の撮影被写体であっても、他の写真仕上げ雰囲気選択であっても、同じような操作が行なわれる。
【0066】
以上のようにして、最終的な撮影条件であるAV、TV、ISO感度、ホワイトバランス係数、画像処理パラメータが決定される。そして、AV、TV、ISO感度は撮影時カメラ設定部121から撮影レンズ103、シャッター105、撮像素子107に設定される。ホワイトバランス係数は、WB制御値設定部122よりWB処理部109に設定される。画像処理パラメータは、画象処理パラメータ設定部123よりコントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114にそれぞれ設定される(S314)。これらのパラメータを用いて、撮影した画像データは現像処理されて、画像出力116より出力される。
【0067】
以上の説明、特に図8では、各撮影被写体選択118や写真仕上げ雰囲気選択120によってシフトされる画象処理パラメータの効果がほぼ均等に振られるように設定された場合で述べた。例えば、図5(a)で表されるコントラスト特性は、中間グレーレベルを8ビット出力で110と定義し、そこを中心に明暗差が均等に振られてコントラストの強さが−2〜+2の5段階で設定されている。また、色の濃さについても、図7(a)の赤色を例に示した703の±0を中心に−2〜+2の5段階で均等に彩度方向のゲインを割り振って、色の濃さの効果を振っている。
【0068】
ここで、さらに画像処理パラメータのシフトの方法を、図1(b)の画像処理の構成として、次に説明するように画像処理パラメータを設定することで、より使用者の意図を反映し易い画作りを提供することができる。ここでは例えば、撮影被写体を「自然の風景」と設定したときの画像処理パラメータについて対比して述べる。
【0069】
まず、コントラスト処理において前記実施例との違いを説明する。図5(a)の503における標準設定を転記した図5(c)における503では、前記実施例では自然の風景に対して図5(a)504を与えている。504は、出力110(8ビット)で設定された中間グレーレベルを境に、高輝度側をより高いレベルに、低輝度側をより低いレベルで出力するように設定するより強いコントラスト特性を示す。
【0070】
それに対して、より自然の風景を綺麗に見せるための特性として、図5(c)における508のような特性を「自然の風景」用に準備する。508は、中間グレーレベルより低い明るさではより低いレベルで出力し(80LSB以下)、中間グレーレベル付近では、標準設定503よりも明るく出力して低輝度(80LSB)〜中間輝度(200LSB)でコントラストを強くしている。そして、高輝度の階調を残すように200LSB以上の出力で、再び標準設定よりも低いレベルで出力するように設定する。
【0071】
このように、より「自然の風景」を特徴づけるコントラストのパラメータを準備して、この特性を「自然の風景」のコントラストの中心設定とする。このパラメータは、図5(d)に示されるように、「標準設定」時のコントラスト設定をゲイン1倍として510の特性とすると、「自然の風景」の画像を特徴づける特性である「標準設定」時のコントラスト設定との差分は、509のように定義される。この「標準設定」と「自然の風景」のコントラスト特性の差分を「自然の風景」のコントラストの中心設定として図1(b)におけるコントラスト処理1(124)で設定を行う。
【0072】
次に、この「自然の風景」のコントラストの中心設定に対して、写真仕上げ雰囲気選択120の選択結果を反映させるためのコントラスト設定について説明する。
【0073】
例えば、写真仕上げ雰囲気選択で「くっきり鮮やかに」が選択された場合、その効果を反映させる画像処理パラメータを、図5(a)の503の「標準設定」コントラスト特性に対して、504のより「くっきり」したコントラスト特性を与える。これは前記実施例と同様である。この「標準設定」に対する「くっきり」設定を、図1(b)の第2のコントラスト処理部125の2回目のコントラスト処理で行う。
【0074】
この処理によって、第1のコントラスト処理部124で「自然の風景」の特徴、第2のコントラスト処理部125で「標準設定」に対する「くっきり」の特徴が与えられて、使用者が所望するコントラスト特性の画質を得ることができるようになる。
【0075】
色補正処理についても同様で、撮影被写体選択で「自然の風景」が選択されたとき、「自然の風景」の色の特徴を、図7(b)に示されるように、前記の(式1)と(式2)を用いて、「標準設定」に対してBlue周辺の色の色相方向は(式1)を用いてCyan寄りに回転させる。そして、(式2)を用いて彩度方向にゲインをかけ、青空の色をより強調するような設定に変換する(712の青色を713の特性に変換する)。また、Green周辺の色の色相方向は(式1)を用いてCyan寄りに回転させる。そして、(式2)を用いて彩度方向にゲインを掛け、深緑に青味を持たせて森林を綺麗に見せるような設定に変換する(710の緑色を711の特性に変換する)。これらの処理は、図1(b)の第1の色補正処理部126で行なう。
【0076】
そして、写真仕上げ雰囲気選択が「くっきり鮮やかに」が選択された場合、その効果を反映させる画像処理パラメータを、図7(a)の703に対する704のゲインを色域全体に掛けることで「鮮やかに」の特性を表現する。この処理は、図1(b)の第2の色補正処理部127で行う。
【0077】
この処理によって、第1の色補正処理部126で「自然の風景」の特徴、第2の色補正処理部127で「標準設定」に対する「鮮やかに」の特徴が与えられて、使用者が所望する色特性の画質を得ることができるようになる。
【0078】
他にも同様に、例えば撮影被写体選択で「自然の風景」、写真仕上げ雰囲気選択で「ふんわりやわらかく」が選択されたときは、第1のコントラスト処理部124で509の特性、第2のコントラスト処理部125で502の特性を設定する。さらに、第1の色補正処理部126で711や713の色相特性、第2の色補正処理部127で703に対する702のゲイン特性をそれぞれ設定することで、「自然の風景」を「ふんわりやわらかく」する画質特性を与えることができる。
【0079】
以上、本実施形態では、撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させることによって、撮影条件や画像処理パラメータが連動して、使用者が望む写真仕上げとなる画像処理を施す。これにより、使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした写真画質を容易に仕上げることを可能にする。
【0080】
また、本実施形態では、例えば写真仕上げ雰囲気選択での選択結果に応じた設定は、他の選択結果が何であっても同じ特性を付加するようになっている。「ふんわりやわらかく」では、第2のコントラスト処理部125には502の特性を設定する。しかし、これに限らず、例えば「自然の風景」を選択した場合の「ふんわりやわらかく」の設定と、「都会の風景」を選択した場合の「ふんわりやわらかく」では、コントラスト処理部、色補正処理部にかける特性が異なるようにしてもよい。こうすることで、1つの選択結果が残りの選択結果により有機的に関係することになり、よりイメージに近い写真を仕上げられるようになる。
【0081】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させて画像処理パラメータを決定する。ここで、いずれかの選択項目の選択結果に応じて他の選択項目の選択肢を制限することで、使用者が迷わず望む写真仕上げを実現しやすいものに誘導するものである。
【0082】
図4のS402、S403は、第1の実施形態の図3のS302、S303と同様で、撮影被写体選択を図9(a)のリストから選択し、図1の使用者入力手段117を通じて撮影被写体選択部118よりAV、TV、ISO感度が設定される。
【0083】
次に、被写体光源状況選択を行う前に、撮影被写体選択によって、それを示す信号130に応じて、被写体光源状況選択の表示するリストの選別を行なう(S404)。
【0084】
図11(a)に示されるように、撮影被写体選択結果によって、被写体光源状況選択の項目のうち、通常想定しにくい組み合わせのものをあらかじめ削除して表示する。
【0085】
例えば、「自然の風景」が撮影被写体として選択されていたら、被写体光源状況選択の項目から、「蛍光灯」「白色LED」「タングステン電球」「水銀灯」「炎」の項目をユーザーインターフェースには表示しないようにする。
【0086】
このように、「自然の風景」の写真を撮影するときは、人工光源や炎の色温度に合わせたホワイトバランスを設定できないようにして、残った項目から被写体光源状況選択を使用者にさせる(S406)。
【0087】
設定された被写体光源状況選択の選択結果に応じて、WB制御値設定部122においてホワイトバランス制御値を準備する(S407)。
【0088】
次に、写真仕上げ雰囲気選択を行う前に、撮影被写体選択によって、それを示す信号130に応じて、被写体光源状況選択の項目と同じように、写真仕上げ雰囲気選択の表示するリストの選別を行う(S408)。
【0089】
図11(b)に示されるように、撮影被写体選択結果によって、写真仕上げ雰囲気選択の項目のうち、通常想定しにくい組み合わせのものをあらかじめ削除して表示する。
【0090】
例えば、「スポーツ」が撮影被写体として選択されていたら、写真仕上げ雰囲気選択の項目から、「ふんわりやわらかく」の項目をユーザーインターフェースには表示しないようにする。
【0091】
このようにして、「スポーツ」の写真を撮影するときは、「ふんわりやわらかく」の雰囲気の写真仕上げにならないようにして、使用者は残った項目から写真仕上げ雰囲気を選択するようにさせる(S409)。
【0092】
選択された写真仕上げ雰囲気に応じて画象処理パラメータ設定部123より各画像処理パラメータがコントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114にそれぞれ設定される(S410)。
【0093】
これらのパラメータを用いて、撮影した画像データは現像処理されて、画像出力部116より出力される。
【0094】
以上では、撮影被写体選択→被写体光源状況選択→写真仕上げ雰囲気選択の順序で選択していく手順を示したが、この3者の選択の順序はどこから始めても構わない。被写体光源状況選択から始めた場合は、それを示す信号131によって、撮影被写体選択や写真仕上げ雰囲気選択の各選択項目に制限を設ける。同様に、写真仕上げ雰囲気選択から始めた場合は、それを示す信号132によって、撮影被写体選択や被写体光源状況選択の各選択項目に制限を設ける。
【0095】
以上、本実施形態では、撮影被写体の選択結果に応じて、被写体を照射する光源状況の選択肢と写真仕上がり雰囲気選択の選択肢の項目に制限をつけることで、使用者が迷わず望みの写真仕上げを実現しやすいものに容易に誘導することを可能とする。
【0096】
ここでは、撮影被写体の選択結果に応じて、光源状況と仕上がり雰囲気の選択肢に制限をつける内容を説明した。しかし、光源状況選択結果によって撮影被写体や仕上がり雰囲気の選択肢に制限をつけてもよいし、仕上がり雰囲気の選択結果によって撮影被写体や光源状況に制限をつけても構わない。
【符号の説明】
【0097】
103 撮影レンズ
105 シャッター
107 撮像素子
108 A/D変換部
118 撮影被写体選択部
119 被写体光源状況選択部
120 写真仕上げ雰囲気選択部
121 撮影時カメラ設定部
122 WB制御値設定部
123 画像処理パラメータ設定部
112 コントラスト処理部
113 シャープネス処理部
114 色補正処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の意図する写真の仕上がりを自動で設定する撮像装置及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来デジタルカメラでは、使用者の意図する写真の仕上がりを自動的に制御するものとして、主に撮影光学系の露出制御を担うシーンモードと、現像時の画像処理パラメータを制御する仕上がり設定がある。
【0003】
露出制御を担うシーンモードは、近年ではほとんどのデジタルカメラなどで搭載されている。例えば「風景モード」を選択すれば、風景を撮影するのに適した、撮影レンズの絞りを大きく絞り込んで、被写界深度を深く設定する露出制御を行なう。また、「人物モード」を選択すれば、人物を撮影するのに適した、撮影レンズの絞りを小さくなるようにして、被写界深度を浅く設定する露出制御を行なう。
【0004】
一方、下記に提示する特許文献では、撮影した画像を現像するときの画像処理パラメータを制御する仕上がり設定に関して次のように開示されている。デジタルカメラに写真の仕上がりを複数の種類を仕上がり設定(プリセットパラメータ)として準備し、使用者が設定した仕上がり設定によって、現像時のコントラスト(ガンマ設定)処理、色処理などを制御するパラメータが変更される。こうすることで、使用者が望む写真の仕上がりに近づける処理が為される。また、これらの画像処理パラメータをさらに詳細に使用者が設定できる仕組み(ユーザーセットパラメータ)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−011413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の開示された従来技術では、写真の表現に造詣が深くても、写真の表現を画象処理パラメータの設定に導くには、写真撮影技術以外にもデジタル画像処理の知識が深くないと対応が困難である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした画質を容易に仕上げる撮影設定を可能にした撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる本発明における撮像装置は、 被写体を撮像する撮像手段と、予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択手段と、予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択手段と、予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択手段と、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段によって設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定手段と、前記第2の設定手段によって設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有し、前記第1及び第2の設定手段は、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる本発明における撮像装置の制御方法は、被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択ステップと、予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択ステップと、予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択ステップと、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定ステップと、前記撮像制御手段が、前記第1の設定ステップで設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御ステップと、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定ステップと、前記第2の設定ステップで設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理ステップと、を有し、前記第1及び第2の設定ステップでは、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップでの選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした写真画質を容易に仕上げることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるデジタルカメラの構成を示す図である。
【図2】第2の実施形態におけるデジタルカメラの構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態における撮影パラメータ設定処理のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態におけるフローチャートである。
【図5】画像処理パラメータ設定部で設定可能なコントラストの特性を示す図である。
【図6】画像処理パラメータ設定部で設定可能なシャープネスの特性を示す図である。
【図7】画像処理パラメータ設定部で設定可能な色相・彩度の特性を示す図である。
【図8】撮影被写体選択手段の各設定項目と画像処理パラメータの関連付けを説明する図である。
【図9】第1の実施形態における撮影被写体選択、被写体光源状況選択の各選択項目とその設定を示す図である。
【図10】写真仕上げ雰囲気選択の選択項目とその選択による設定が他の設定から影響を受けていることを示す図である。
【図11】第2の実施形態における各選択項目とその設定が互いに及ぼす影響の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態では撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させることによって、撮影条件や画像処理パラメータが連動して、使用者が望む写真仕上げを実現するものである。
【0013】
図1は、本実施形態にかかわる撮像装置の一例としてのデジタルカメラのブロック図である。図1において、被写体101に対して撮影レンズ103とシャッター105を通じて被写体像102、104、106を撮像素子107に結像させて撮影する。
【0014】
ここで、被写体の明るさに応じて、撮影レンズの絞り値AV(Aperture Value)、シャッター速度TV(Time Value)、撮像素子のISO感度を調整して、最適な明るさの画像信号を撮像素子107で得られるように撮像制御を行う。
【0015】
また以下では、この撮像素子107は、R(赤)、G(緑)、B(青)の光の波長域に感度を持つ3種類の画素から構成されるものとして説明をする。
【0016】
このAV、TV、ISO感度の組み合わせは、被写体の明るさを測光するセンサーの出力に応じて決定した露出値を用いる自動露出AE(Auto Exposure)撮影が広く知られている。
【0017】
撮像素子107からの画像信号をA/D変換部108においてRGBのデジタル信号化する。
【0018】
デジタル化されたRGBの画像信号は、WB部(ホワイトバランス処理部)109において、RGB各信号にゲインを掛けて、ホワイトバランス処理される。
【0019】
ホワイトバランス処理されたRGBの画像データは、信号変換部110において輝度信号Y(111)と色信号uv(115)に変換される。
【0020】
輝度信号Yはコントラスト処理部112、シャープネス処理部113の現像処理が施され、色信号uvは色処理部114で彩度や色相が調整されて、使用者が鑑賞できる好ましい画質の画像データを得て、画像出力部116より出力される。出力された画像データは圧縮などの処理を経て不図示の記録媒体に記録される。
【0021】
このホワイトバランス処理部109によって、被写体を照射する様々な光源の色温度に対応して白点を設定し、それ以降の一連の画像処理を行うブロック112〜114で用いられるパラメータを変更する。これによって、画像の見え、すなわち、くっきりした画像とか色の濃い画像などの画質を調整することができる。
【0022】
ここで、本実施形態の特徴である、画像出力部116から出力される画像の最終画質の決定方法、すなわち撮影した写真の仕上がりの雰囲気を決める方法を、図3のフローチャートを用いながら説明する。
【0023】
まず、使用者が、「被写体は何か」(撮影被写体選択部118)、「被写体はどのような光源下の状況にあるか」(被写体光源状況選択部119)、「写真をどのような雰囲気で仕上げるか」(写真仕上げ雰囲気選択部120)を決める。そのためのそれぞれ 図9、図10(a) に示されるような選択肢を準備する。ユーザーはユーザーインターフェースを通じて使用者入力手段117より用意された選択しから望む設定に準じた項目を選択して入力する。
【0024】
まず、撮影被写体選択部118で選択される項目は、図9(a)に示されるような被写体の種類を表し、これらの項目をユーザーインターフェースに表示して、使用者は最適な項目を選択する(S302)。
【0025】
この選択結果に応じて、撮影時カメラ設定部121は、絞り値AVを決める信号133、シャッター速度TVを決める信号134、ISO感度を決める信号135を、被写体の露出決定手段136からの露出値137によって出力する(S303)。
【0026】
例えば、図9(a)の2番目の「自然の風景」が選択されたら、被写界深度を深めにしたパンフォーカス撮影ができるように、他の被写体の場合と比べてAV値を大きめに取る露出テーブルを使用する。また、5番目の「スポーツ(少人数)」が選択されたら、1対1の格闘技や水泳の一人の泳者を撮影することなどが想定されるため、他の被写体の場合と比べてISO感度を高めでTVを速い速度にして素早い動きに対応できる撮影を可能とする。
【0027】
他のモードもそれぞれの撮影被写体に適したAV、TV、ISOの組み合わせが実現されるような露出テーブルを準備して、露出値137に応じて設定されるようにする。
【0028】
次に、118で選択された撮影被写体にふさわしい画像処理パラメータを画像処理パラメータ設定部123において設定する(S304)。
【0029】
コントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114では、設定された画像処理パラメータを用いてそれぞれ図5、図6、図7の特性を持たせた処理が行われる。図5(a)〜(c)は、横軸に入力されるEV値(対数軸)、縦軸に8bit出力をとる、いわゆるガンマ特性を示したものであり、ここで示したガンマ曲線がコントラスト処理部112にて、画像データの輝度信号Y(111)にかけられる。図6は、横軸に画像の境界部分の座標、縦軸に画像レベルをとる、輪郭強調特性を示したものであり、この輪郭強調特性がシャープネス処理部113にて、コントラスト処理部112からの信号を入力としてかけられる。図7は、uv平面上に、色補正処理部114にてかけられる色変換の様子を示したものである。
【0030】
コントラスト処理部112では、図5(a)のように、輝度信号Y(111)の入力(対数表示軸)に対して、0〜255の8bit出力の特性をガンマ特性を与えた501〜505で表される。ここで、503を標準的なコントラスト特性とすると、503よりもコントラストが弱い特性として502を、さらに弱い特性として501を準備する。逆に503よりもコントラストが強い特性504を、さらに強い特性として505を準備する。いずれも露出の中間グレーレベルを110として与えている。
【0031】
シャープネス処理部113では、図6のように、コントラスト処理後の信号を入力として、例えば、610のような黒白画像の境界に対して、611のような輪郭強調特性を与えるように、601〜605の特性を準備する。このとき、標準的な輪郭強調特性を603とする。603より弱い輪郭強調を602、さらに弱い輪郭強調を601とする。603より強い輪郭強調を604、さらに強い輪郭強調を605とする。
【0032】
色補正処理部114では、110においてRGBからuv信号に変換された色信号について、
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
の2つの式で補正処理が行なわれる。図7のMagenda色のところで示されるように、(式1)では、a,b,c,dのパラメータを変化させることで、uv座標上で主に同心円上に近い回転方向に写像して色相を変換する式である。(式2)では、m、nのパラメータを変化させることで、uv座標上で主に放射状にゲインが掛けられることによって彩度を調整する式である。Magenda以外の他の色でも同様である。
【0036】
本実施形態では、主に彩度方向、すなわち色の濃さを変化させる(式2)について述べる。図7のRed色のところで示したように、(式2)のパラメータm、nを変更して、色の濃さを変化させた5種類の特性701〜705を準備する。m、nは全ての色に対して掛けられるので、ここで示したRed色以外の色も全て5種類の彩度の色の特性を持つことになる。703の彩度になる(m、n)を標準的な色再現とすると、それよりも彩度の低い(m、n)の組み合わせのときの色を702、さらに彩度の低いものを701とする。逆に703よりも彩度の高い(m、n)の組み合わせを704、さらに彩度の高いものを705として準備する。
【0037】
ここで、各パラメータは118の撮影被写体選択結果によって、画像処理パラメータ設定部123において、図8(a)のようなマッピングになるように画像処理パラメータを決定する。図8は、被写体選択の各選択項目によって、画像処理がどのようにかけられるかを横軸にコントラスト/シャープネスの処理の強さ、縦軸に色の濃さをとって模式的に示したものである。決定されたパラメータはコントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114に設定される。
【0038】
例えば、「都会の風景」が設定されたときの対応について述べる。図8(a)のマッピングでは、標準よりも強いコントラストとシャープネスで硬い仕上がりを設定し、色の濃さは標準設定よりもやや濃い仕上がりを狙うことで都会の風景を表現するものである。
【0039】
これを実現するために、コントラスト/シャープネスは「標準設定」より2段階強めになるように、コントラスト処理部112は図5(a)における505の設定、シャープネス処理部113は図6における605の設定にする。また、色の彩度は「標準設定」より1段階彩度高めになるように、色補正処理部114のゲインを図7の705になるように設定する。
【0040】
他のモードが選択されたときも同様にして、図8(a)のマッピングによって、コントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114の各画像処理パラメータを撮影時カメラ設定部123において設定する。
【0041】
次に、被写体光源状況選択部119で選択される項目は、図9(b)に示されるような被写体を照射している光源の種類を表し、これらの項目をユーザーインターフェースに表示して、使用者は最適な光源を選択する(S305)。
【0042】
図9(b)では、「忠実に白点再現」を狙うホワイトバランスか、「印象色の効果」を狙うホワイトバランスかを選択した上で、最適な光源の選択をする。
【0043】
例えば、「朝夕日」を選択した際、朝日や夕日に照射された物体は、人間には赤味を帯びて見える。しかし、写真表現として白い物体を白く表現したい場合は「忠実に白点再現」を選択して、2500Kに対応するホワイトバランス係数を122において決定し、ホワイトバランス処理109で処理する。
【0044】
逆に「朝夕日」選択時に、人間の見たように白い物体でも赤味を帯びた写真表現をしたい場合は、「印象色の効果」を選択して、5000Kに対応するホワイトバランス係数を122において決定し、ホワイトバランス処理部109で処理する(S306)。
【0045】
このように、ここで述べる「印象色の効果」とは、人間の見た感覚にできるだけ沿った色再現を実現するホワイトバランス制御のことを述べている。夕日の他には、「タングステン電球」では、視覚に近い赤味を残すために、電球の色温度に対応した3000Kよりも赤味の補正が足りない5000Kに対応したホワイトバランス制御をする。また、「晴天の日陰」では、視覚に近い青味を残すために、晴天時の日陰の色温度7000Kよりも青味の補正が足りない5500Kに対応したホワイトバランス制御をする。
【0046】
次に、写真仕上げ雰囲気選択部120で選択される項目は、図10(a)(b)(c)に示される「仕上がりの雰囲気(使用者の選択肢)」の項目が例として挙げられる。これらの項目をユーザーインターフェースに表示して、使用者は希望する写真の仕上がり具合を選択して入力する(S307)。
【0047】
この写真仕上げ雰囲気選択部120から出力される選択結果によって、まずは撮影時カメラ設定部121において、既に設定されているAV、TV、ISO感度が写真の仕上がりに適した設定になっているかを判定する(S308)。
【0048】
ここでの判定条件は、あらかじめS303で設定されている撮影条件が、図10(a)での選択した項目に対応する右段の条件から外れている場合は、AE結果を維持しつつ、その条件に入るように設定を変更する(S309)。
【0049】
例えば、「くっきり鮮やかに」が選択されたとき、S303では既に「AV:F5.6、TV:1/125sec、ISO感度:200」と設定されていたならば、「AV:8、TV:1/60sec、ISO感度:200」に変更する。ここで表に示された変更条件である『AV:F8以上に』というのは、「くっきり鮮やかに」の効果をより引き出すために、絞りをF8以上の深い被写界深度に設定されることを狙ったものである。
【0050】
また、「ほの暗くひっそりと」が選択されたとき、S303で設定されている露出値に対して、1EV暗く撮影できる露出値になるように、AV、TV、ISO感度の組み合わせのプログラムをシフトさせるように変更する。これは、「ほの暗くひっそりと」の効果を引き出すために、画面全体を暗めに撮影することを狙ったものである。
【0051】
また、「荒れた感じで」が選択されたとき、S303では既に「AV:F2.8、TV:1/125sec、ISO感度:200」と設定されていたならば、「AV:F5.6、TV:1/250sec、ISO感度:1600」に変更する。ここで表に示された変更条件である『ISO感度:1600以上に』というのは、「荒れた感じで」の効果を引き出すために、ランダムノイズが写真の仕上がりで視認しやすいレベルまで感度を上げることを狙ったものである。
【0052】
また、「明るめに」が選択されたとき、S303で決められた露出値に対して、+1EV明るく撮影できる設定に露出プログラムをシフトさせる。これにより、撮影結果を明るめに仕上げることもできる。また、画像処理のコントラスト処理部112に対して、図5(b)の507で示されるようなトーンカーブ特性を与えることによっても、写真仕上がり雰囲気を明るめにすることができる。
【0053】
このことは、「暗めに」という写真仕上げ雰囲気を選択しても同様である。S303で決められた露出値に対して、−1EV暗く撮影できる設定に露出プログラムをシフトさせる。これにより、撮影結果を暗めに仕上げることもできる。また、画像処理のコントラスト処理部112に対して、図5(b)の506で示されるようなトーンカーブ特性を与えることによっても、写真仕上がり雰囲気を暗めにすることができる。
【0054】
このように、「明るめ」「暗め」は露出値とコントラストの両方あるいはどちらか一方のいずれで処理してもかまわない。
【0055】
その他の写真仕上げ雰囲気選択結果でも同じように図10(a)で指示された変更内容に基づいて、これらのAV、TV、ISO感度の変更を行なう。
【0056】
次に、写真仕上げ雰囲気選択結果に応じて、ホワイトバランス処理での係数を変更するかどうかを判定する(S310)。
【0057】
ここでの判定条件は、あらかじめS306で設定されているホワイトバランス係数が、図10(b)での選択した項目に対応する右段の変更指示にしたがって、ホワイトバランス処理で対応する色温度をシフトさせる(S311)。
【0058】
例えば、「暖かくやさしく」が選択されたとき、S306で既に「5000K」と設定されていたならば、ホワイトバランス処理は「5500K」に対応するホワイトバランス係数にして処理するようにシフトしてWB制御値設定122で設定されるように変更する。これは、「暖かくやさしく」を表現するために、対応する色温度を高色温度側にシフトすることによって、画面全体がより赤味を強く帯びて暖かく見えるように狙ったものである。
【0059】
また、「ほの暗くひっそりと」が選択されたとき、S306で既に「6500K」と設定されていたら、ホワイトバランス処理は「6000K」に対応するホワイトバランス係数にして処理するようにシフトしてWB制御値設定部122で設定されるように変更する。これは、「ほの暗くひっそりと」を表現するために、対応する色温度を低色温度がわにシフトすることによって、画面全体がより青味を強く帯びて日陰の雰囲気を醸し出すことを狙ったものである。
【0060】
その他の写真仕上げ雰囲気選択結果でも同じように図10(b)で指示された変更内容に基づいて、ホワイトバランス係数の変更を行なう。
【0061】
最後に、写真仕上げ雰囲気選択結果に応じて、コントラスト、シャープネス、色処理の画像処理に関するパラメータを変更するかどうかを判定する(S312)。
【0062】
ここでの判定条件は、あらかじめS304で設定されている画像処理パラメータに対して、図10(c)での選択した項目に対応する右段の変更指示に従って、各画像処理パラメータを変更する(S313)。
【0063】
例えば、撮影被写体が「自然の風景」で選択されていた場合を述べる。この「自然の風景」はS304で図8(a)の中での「自然の風景」で示される画像仕上げのポジションにマッピングされている。このとき写真仕上げ雰囲気選択が「くっきり鮮やかに」が選択された場合、図10(c)の変更指示「コントラスト/シャープネス:強い方向、色:濃い方向」に従い3つの各パラメータを変更する。すなわち、元々設定されていたコントラスト:図5(a)の504、シャープネス:図6の604、色:図7の704を、それぞれコントラスト:図5(a)の505、シャープネス:図6の605、色:図7の705にシフトする。その結果、「くっきり鮮やかに」の効果が反映された「自然の風景」の写真の仕上がりは、図8(b)に示すように右上にポジションをシフトする結果になる。
【0064】
同じように、「自然の風景」に対して「暖かくやさしく」が選択された場合は、図10(c)の変更指示「コントラスト/シャープネス:弱い方向、色:濃い方向」によって、図8(b)で示されるように左上にポジションをシフトした写真仕上がりになる。また、「ふんわりやわらかく」が選択された場合は、図10(c)の変更指示「コントラスト/シャープネス:弱い方向、色:薄い方向」によって、図8(b)で示されるように左下にポジションをシフトした写真仕上がりになる。
【0065】
また、撮影被写体が「人物(少人数)」で選択されていた場合についても、図8(c)で表されるようなポジションにシフトされる。他の撮影被写体であっても、他の写真仕上げ雰囲気選択であっても、同じような操作が行なわれる。
【0066】
以上のようにして、最終的な撮影条件であるAV、TV、ISO感度、ホワイトバランス係数、画像処理パラメータが決定される。そして、AV、TV、ISO感度は撮影時カメラ設定部121から撮影レンズ103、シャッター105、撮像素子107に設定される。ホワイトバランス係数は、WB制御値設定部122よりWB処理部109に設定される。画像処理パラメータは、画象処理パラメータ設定部123よりコントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114にそれぞれ設定される(S314)。これらのパラメータを用いて、撮影した画像データは現像処理されて、画像出力116より出力される。
【0067】
以上の説明、特に図8では、各撮影被写体選択118や写真仕上げ雰囲気選択120によってシフトされる画象処理パラメータの効果がほぼ均等に振られるように設定された場合で述べた。例えば、図5(a)で表されるコントラスト特性は、中間グレーレベルを8ビット出力で110と定義し、そこを中心に明暗差が均等に振られてコントラストの強さが−2〜+2の5段階で設定されている。また、色の濃さについても、図7(a)の赤色を例に示した703の±0を中心に−2〜+2の5段階で均等に彩度方向のゲインを割り振って、色の濃さの効果を振っている。
【0068】
ここで、さらに画像処理パラメータのシフトの方法を、図1(b)の画像処理の構成として、次に説明するように画像処理パラメータを設定することで、より使用者の意図を反映し易い画作りを提供することができる。ここでは例えば、撮影被写体を「自然の風景」と設定したときの画像処理パラメータについて対比して述べる。
【0069】
まず、コントラスト処理において前記実施例との違いを説明する。図5(a)の503における標準設定を転記した図5(c)における503では、前記実施例では自然の風景に対して図5(a)504を与えている。504は、出力110(8ビット)で設定された中間グレーレベルを境に、高輝度側をより高いレベルに、低輝度側をより低いレベルで出力するように設定するより強いコントラスト特性を示す。
【0070】
それに対して、より自然の風景を綺麗に見せるための特性として、図5(c)における508のような特性を「自然の風景」用に準備する。508は、中間グレーレベルより低い明るさではより低いレベルで出力し(80LSB以下)、中間グレーレベル付近では、標準設定503よりも明るく出力して低輝度(80LSB)〜中間輝度(200LSB)でコントラストを強くしている。そして、高輝度の階調を残すように200LSB以上の出力で、再び標準設定よりも低いレベルで出力するように設定する。
【0071】
このように、より「自然の風景」を特徴づけるコントラストのパラメータを準備して、この特性を「自然の風景」のコントラストの中心設定とする。このパラメータは、図5(d)に示されるように、「標準設定」時のコントラスト設定をゲイン1倍として510の特性とすると、「自然の風景」の画像を特徴づける特性である「標準設定」時のコントラスト設定との差分は、509のように定義される。この「標準設定」と「自然の風景」のコントラスト特性の差分を「自然の風景」のコントラストの中心設定として図1(b)におけるコントラスト処理1(124)で設定を行う。
【0072】
次に、この「自然の風景」のコントラストの中心設定に対して、写真仕上げ雰囲気選択120の選択結果を反映させるためのコントラスト設定について説明する。
【0073】
例えば、写真仕上げ雰囲気選択で「くっきり鮮やかに」が選択された場合、その効果を反映させる画像処理パラメータを、図5(a)の503の「標準設定」コントラスト特性に対して、504のより「くっきり」したコントラスト特性を与える。これは前記実施例と同様である。この「標準設定」に対する「くっきり」設定を、図1(b)の第2のコントラスト処理部125の2回目のコントラスト処理で行う。
【0074】
この処理によって、第1のコントラスト処理部124で「自然の風景」の特徴、第2のコントラスト処理部125で「標準設定」に対する「くっきり」の特徴が与えられて、使用者が所望するコントラスト特性の画質を得ることができるようになる。
【0075】
色補正処理についても同様で、撮影被写体選択で「自然の風景」が選択されたとき、「自然の風景」の色の特徴を、図7(b)に示されるように、前記の(式1)と(式2)を用いて、「標準設定」に対してBlue周辺の色の色相方向は(式1)を用いてCyan寄りに回転させる。そして、(式2)を用いて彩度方向にゲインをかけ、青空の色をより強調するような設定に変換する(712の青色を713の特性に変換する)。また、Green周辺の色の色相方向は(式1)を用いてCyan寄りに回転させる。そして、(式2)を用いて彩度方向にゲインを掛け、深緑に青味を持たせて森林を綺麗に見せるような設定に変換する(710の緑色を711の特性に変換する)。これらの処理は、図1(b)の第1の色補正処理部126で行なう。
【0076】
そして、写真仕上げ雰囲気選択が「くっきり鮮やかに」が選択された場合、その効果を反映させる画像処理パラメータを、図7(a)の703に対する704のゲインを色域全体に掛けることで「鮮やかに」の特性を表現する。この処理は、図1(b)の第2の色補正処理部127で行う。
【0077】
この処理によって、第1の色補正処理部126で「自然の風景」の特徴、第2の色補正処理部127で「標準設定」に対する「鮮やかに」の特徴が与えられて、使用者が所望する色特性の画質を得ることができるようになる。
【0078】
他にも同様に、例えば撮影被写体選択で「自然の風景」、写真仕上げ雰囲気選択で「ふんわりやわらかく」が選択されたときは、第1のコントラスト処理部124で509の特性、第2のコントラスト処理部125で502の特性を設定する。さらに、第1の色補正処理部126で711や713の色相特性、第2の色補正処理部127で703に対する702のゲイン特性をそれぞれ設定することで、「自然の風景」を「ふんわりやわらかく」する画質特性を与えることができる。
【0079】
以上、本実施形態では、撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させることによって、撮影条件や画像処理パラメータが連動して、使用者が望む写真仕上げとなる画像処理を施す。これにより、使用者がイメージした仕上がりの写真表現を、デジタル画像処理に熟知していなくても、表現の幅を広げてイメージした写真画質を容易に仕上げることを可能にする。
【0080】
また、本実施形態では、例えば写真仕上げ雰囲気選択での選択結果に応じた設定は、他の選択結果が何であっても同じ特性を付加するようになっている。「ふんわりやわらかく」では、第2のコントラスト処理部125には502の特性を設定する。しかし、これに限らず、例えば「自然の風景」を選択した場合の「ふんわりやわらかく」の設定と、「都会の風景」を選択した場合の「ふんわりやわらかく」では、コントラスト処理部、色補正処理部にかける特性が異なるようにしてもよい。こうすることで、1つの選択結果が残りの選択結果により有機的に関係することになり、よりイメージに近い写真を仕上げられるようになる。
【0081】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に撮影シーン、被写体状況、仕上がりの3つを選択させて画像処理パラメータを決定する。ここで、いずれかの選択項目の選択結果に応じて他の選択項目の選択肢を制限することで、使用者が迷わず望む写真仕上げを実現しやすいものに誘導するものである。
【0082】
図4のS402、S403は、第1の実施形態の図3のS302、S303と同様で、撮影被写体選択を図9(a)のリストから選択し、図1の使用者入力手段117を通じて撮影被写体選択部118よりAV、TV、ISO感度が設定される。
【0083】
次に、被写体光源状況選択を行う前に、撮影被写体選択によって、それを示す信号130に応じて、被写体光源状況選択の表示するリストの選別を行なう(S404)。
【0084】
図11(a)に示されるように、撮影被写体選択結果によって、被写体光源状況選択の項目のうち、通常想定しにくい組み合わせのものをあらかじめ削除して表示する。
【0085】
例えば、「自然の風景」が撮影被写体として選択されていたら、被写体光源状況選択の項目から、「蛍光灯」「白色LED」「タングステン電球」「水銀灯」「炎」の項目をユーザーインターフェースには表示しないようにする。
【0086】
このように、「自然の風景」の写真を撮影するときは、人工光源や炎の色温度に合わせたホワイトバランスを設定できないようにして、残った項目から被写体光源状況選択を使用者にさせる(S406)。
【0087】
設定された被写体光源状況選択の選択結果に応じて、WB制御値設定部122においてホワイトバランス制御値を準備する(S407)。
【0088】
次に、写真仕上げ雰囲気選択を行う前に、撮影被写体選択によって、それを示す信号130に応じて、被写体光源状況選択の項目と同じように、写真仕上げ雰囲気選択の表示するリストの選別を行う(S408)。
【0089】
図11(b)に示されるように、撮影被写体選択結果によって、写真仕上げ雰囲気選択の項目のうち、通常想定しにくい組み合わせのものをあらかじめ削除して表示する。
【0090】
例えば、「スポーツ」が撮影被写体として選択されていたら、写真仕上げ雰囲気選択の項目から、「ふんわりやわらかく」の項目をユーザーインターフェースには表示しないようにする。
【0091】
このようにして、「スポーツ」の写真を撮影するときは、「ふんわりやわらかく」の雰囲気の写真仕上げにならないようにして、使用者は残った項目から写真仕上げ雰囲気を選択するようにさせる(S409)。
【0092】
選択された写真仕上げ雰囲気に応じて画象処理パラメータ設定部123より各画像処理パラメータがコントラスト処理部112、シャープネス処理部113、色補正処理部114にそれぞれ設定される(S410)。
【0093】
これらのパラメータを用いて、撮影した画像データは現像処理されて、画像出力部116より出力される。
【0094】
以上では、撮影被写体選択→被写体光源状況選択→写真仕上げ雰囲気選択の順序で選択していく手順を示したが、この3者の選択の順序はどこから始めても構わない。被写体光源状況選択から始めた場合は、それを示す信号131によって、撮影被写体選択や写真仕上げ雰囲気選択の各選択項目に制限を設ける。同様に、写真仕上げ雰囲気選択から始めた場合は、それを示す信号132によって、撮影被写体選択や被写体光源状況選択の各選択項目に制限を設ける。
【0095】
以上、本実施形態では、撮影被写体の選択結果に応じて、被写体を照射する光源状況の選択肢と写真仕上がり雰囲気選択の選択肢の項目に制限をつけることで、使用者が迷わず望みの写真仕上げを実現しやすいものに容易に誘導することを可能とする。
【0096】
ここでは、撮影被写体の選択結果に応じて、光源状況と仕上がり雰囲気の選択肢に制限をつける内容を説明した。しかし、光源状況選択結果によって撮影被写体や仕上がり雰囲気の選択肢に制限をつけてもよいし、仕上がり雰囲気の選択結果によって撮影被写体や光源状況に制限をつけても構わない。
【符号の説明】
【0097】
103 撮影レンズ
105 シャッター
107 撮像素子
108 A/D変換部
118 撮影被写体選択部
119 被写体光源状況選択部
120 写真仕上げ雰囲気選択部
121 撮影時カメラ設定部
122 WB制御値設定部
123 画像処理パラメータ設定部
112 コントラスト処理部
113 シャープネス処理部
114 色補正処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像手段と、
予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択手段と、
予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択手段と、
予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択手段と、
前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段によって設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定手段と、
前記第2の設定手段によって設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有し、
前記第1及び第2の設定手段は、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の各選択項目について、前記3つの選択手段のうち1つの選択手段の選択結果に応じて、残り2つの選択手段のうち少なくとも1つの選択手段の選択項目を変更する変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、
予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択ステップと、
予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択ステップと、
予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択ステップと、
前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定ステップと、
前記撮像制御手段が、前記第1の設定ステップで設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御ステップと、
前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定ステップと、
前記第2の設定ステップで設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理ステップと、を有し、
前記第1及び第2の設定ステップでは、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップでの選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項1】
被写体を撮像する撮像手段と、
予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択手段と、
予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択手段と、
予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択手段と、
前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段によって設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定手段と、
前記第2の設定手段によって設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有し、
前記第1及び第2の設定手段は、前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記被写体選択手段、前記光源状況選択手段、及び前記仕上がり選択手段の各選択項目について、前記3つの選択手段のうち1つの選択手段の選択結果に応じて、残り2つの選択手段のうち少なくとも1つの選択手段の選択項目を変更する変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、
予め決められた選択肢の中から、撮影される被写体を選択する被写体選択ステップと、
予め決められた選択肢の中から、光源による被写体の状況を選択する光源状況選択ステップと、
予め決められた選択肢の中から、画像処理の結果である仕上がりの雰囲気を選択する仕上がり選択ステップと、
前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって撮影条件を設定する第1の設定ステップと、
前記撮像制御手段が、前記第1の設定ステップで設定された撮影条件に従って、前記撮像手段を制御する撮像制御ステップと、
前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップの選択結果によって前記撮像手段によって撮像された画像データに施す画像処理に用いる画像処理パラメータを設定する第2の設定ステップと、
前記第2の設定ステップで設定された画像処理パラメータを用いて前記撮像手段によって撮像された画像データに画像処理を施す画像処理ステップと、を有し、
前記第1及び第2の設定ステップでは、前記被写体選択ステップ、前記光源状況選択ステップ、及び前記仕上がり選択ステップでの選択結果のうち、少なくとも1つの選択結果によって、残りの選択結果に応じて設定する設定の内容を変えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−44541(P2012−44541A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185291(P2010−185291)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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