説明

撮像装置

【課題】 生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材の円滑な移動動作を確保する。
【解決手段】 樹脂材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔32dを有し可動部材26、27を移動自在に支持するベース板32aと、駆動モーター14の回転に伴って回動され係合ピン36b、36bを有する回動アーム36とを設け、可動部材の移動時に該可動部材を案内する案内ピン34、34、・・・を設け、可動部材を樹脂材料によって形成すると共に可動部材に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔31b、31bと案内ピンが摺動自在に係合される被案内孔28a、29a、29a、30a、30a、31aとを形成し、案内ピンの少なくとも外周面を導電性金属材料によって形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置についての技術分野に関する。詳しくは、アイリス又はシャッターを構成する可動部材を支持する案内ピンの少なくとも一部を導電性金属材料によって形成し、可動部材の円滑な移動動作を確保する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、フォーカス制御やズーミングのための各種のレンズを光軸方向へ移動させるレンズ移動機構と、光量調節用のアイリスとを備え、アイリスを構成する可動部材(絞り羽根)を撮像光学系の光軸に対して直交する面内において駆動モーターの駆動力によって移動させることにより光学系の光路を開閉し光量調節を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような撮像装置にあっては、例えば、可動部材が光学系の光路となる透過孔を有するベース板に移動自在に支持され、駆動モーターの駆動力を可動部材に伝達する回動アームを設け、該回動アームの一部を駆動モーターのシャフト(モーター軸)に固定し、回動アームの先端部に設けた係合ピンを可動部材に形成した摺動孔に摺動自在に係合し、駆動モーターの回転に伴って回動される回動アームの回動力を可動部材の並進移動力に変換して、ベース板に対して可動部材を移動させるようにしている。
【0004】
上記のような撮像装置にあっては、駆動モーターの回転時に発生し得るリップル状の電圧変化により可動部材の円滑な移動が妨げられるおそれがあるため、可動部材の移動時におけるベース板との間の摩擦力を低下させる必要がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載された撮像装置にあっては、樹脂材料によって形成されたベース板(特許文献1においては地板7)と該ベース板に設けられた案内ピン(特許文献1においてはガイドピン7a、7b、7c、7d)の表面に滑り性を有する導電性の被膜を施し、可動部材(特許文献1においては遮光羽根2、3)の帯電を防止してベース板への貼り付きを回避すると共に案内ピンを含むベース板との間の摩擦力を小さくし、可動部材のベース板に対する円滑な移動動作を確保するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−287203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された従来の撮像装置にあっては、案内ピンを含むベース板の表面に滑り性を有する導電性の被膜を施すため、この被膜を塗装によって形成する作業が必要となり、その分、製造工程が複雑化し生産性が低下するという問題がある。
【0008】
また、このような被膜を施した場合に、被膜の厚みが不均一であると、可動部材の円滑な移動が妨げられるおそれがあるため、被膜の厚みの管理が必要となるが、この管理が製造コストの増大を来たす要因となる。
【0009】
一方、可動部材のベース板に対する円滑な移動動作を確保するために、案内ピンを含むベース板の全体を導電性金属材料によって形成することが考えられるが、この場合には導電性金属材料が一般に高価であるために、製造コストの高騰を来たすと言う問題が生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材の円滑な移動動作を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明撮像装置は、上記した課題を解決するために、樹脂材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔を有し可動部材を移動自在に支持するベース板と、駆動モーターの回転に伴って回動され係合ピンを有する回動アームとを設け、可動部材の移動時に該可動部材を案内する案内ピンを設け、可動部材を樹脂材料によって形成すると共に可動部材に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔と案内ピンが摺動自在に係合される被案内孔とを形成し、案内ピンの少なくとも外周面を導電性金属材料によって形成したものである。
【0012】
従って、本発明撮像装置にあっては、少なくとも外周面が導電性金属材料によって形成された案内ピンに案内されて樹脂材料によって形成された可動部材が移動される。
【発明の効果】
【0013】
本発明撮像装置は、内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒とアイリス又はシャッターを構成し撮像光学系の光路を開閉する可動部材を有する移動機構と該移動機構の駆動源となる駆動モーターとを備えた撮像装置であって、樹脂材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース板と、上記駆動モーターの回転に伴って回動され係合ピンを有する回動アームとを備え、可動部材の移動時に該可動部材を案内する案内ピンを設け、上記可動部材は樹脂材料によって形成されると共に可動部材に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔と上記案内ピンが摺動自在に係合される被案内孔とを形成し、上記案内ピンの少なくとも外周面を導電性金属材料によって形成したことを特徴とする。
【0014】
従って、可動部材の帯電を防止することができると共に生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材の円滑な移動動作を確保することができる。
【0015】
請求項2に記載した発明にあっては、上記ベース板に一体に案内突部を設け、該案内突部に少なくとも一部が外嵌され導電性金属材料によって形成された金属スリーブを設け、案内突部と金属スリーブによって上記案内ピンを構成したので、案内ピンの構成が簡単であり、製造コストの高騰を来たすことなく可動部材の動作の円滑化を図ることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明にあっては、上記金属スリーブを案内突部に外嵌される外嵌部と軸方向における一端部から外方へ張り出され案内突部の軸方向における基端側に位置されるフランジ部とによって構成したので、可動部材が移動時に樹脂材料から成るベース板に接触せずフランジ部に接するため、可動部材の動作の円滑化を図ることができる。
【0017】
請求項4に記載した発明にあっては、ベース板に取付孔を形成し、上記案内ピンの全体を導電性金属材料によって形成し、案内ピンを、可動部材の被案内孔に挿入される挿入軸部と、ベース板の取付孔に挿入されてベース板に取り付けられる被取付軸部と、挿入軸部と被取付軸部との間に位置され外方へ張り出されたフランジ部とによって構成したので、可動部材が移動時に樹脂材料から成るベース板に接触せずフランジ部に接するため、可動部材の動作の円滑化を図ることができる。
【0018】
請求項5に記載した発明にあっては、上記ベース板に一体に案内突部を設け、ベース板に支持された可動部材を閉塞すると共に導電性金属材料によって形成されたカバー体を設け、該カバー体にベース板の案内突部に外嵌される筒部を設け、案内突部と筒部とによって案内ピンを構成したので、案内ピンの一部がカバー体に設けられている分、部品点数の削減を図ることができる。
【0019】
請求項6に記載した発明にあっては、上記ベース板に支持された可動部材を閉塞すると共に導電性金属材料によって形成されたカバー体を設け、該カバー体に案内ピンを設けたので、案内ピンがカバー体に設けられている分、部品点数の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明撮像装置を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。以下に示す最良の形態は、本発明撮像装置をビデオカメラに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はビデオカメラに限られることはなく、本発明は、スチルカメラの他、動画撮影又は静止画撮影の機能を有する各種の撮像装置に適用することができる。
【0021】
先ず、撮像装置(ビデオカメラ)の基本構成を説明する(図1参照)。
【0022】
撮像装置1は、外筐として設けられたレンズ鏡筒2に所要の各部が配置されて成り、レンズ鏡筒2には、レンズ又はレンズ群3(図には単レンズとして簡略化して示す。)と、固体撮像素子等の撮像手段4と、アイリス若しくはシャッター又はこれらの双方の機能を兼用する移動機構5とが設けられている。
【0023】
移動機構5を構成する一対の可動部材6、6は駆動モーター7の駆動力によって移動され、可動部材6、6が移動されることにより光学系の光路が開閉される。駆動モーター7としては、例えば、ローターがステーターの内側に配置された所謂インナーローター型のモーターが用いられ、駆動モーター7の駆動力が可動部材6、6に伝達されて該可動部材6、6が移動される。
【0024】
被写体からレンズ又はレンズ群3を通った光は、一対の可動部材6、6として設けられた絞り羽根やシャッター部材によって形成される開口を通して撮像手段4に入射される。尚、光量調節時には、可動部材6、6が光軸OLに直交する面内で並進移動されるが、本発明の適用においては、可動部材の数や形状等の如何は問わず、1つ又は複数の可動部材を用いた各種形態での実施が可能である。
【0025】
駆動モーター7としては、発生トルクを十分に確保すること及びシャッタースピードの高速化への対応等を考慮した場合に、ボイスコイル型を用いることが好ましいが、必要に応じてリニアモーター等を用いることも可能である。
【0026】
次に、撮像装置の具体的な構成例について説明する(図2乃至図6参照)。
【0027】
撮像装置8のレンズ鏡筒9には、図2に示すように、被写体側から順に、対物レンズ10、変倍レンズ11、レンズ12、移動機構13、駆動モーター14、フォーカスレンズ15及び固体撮像素子16が配置されている。移動機構13はアイリス若しくはシャッター又はこれらの双方の機能を有しているが、以下には移動機構13がアイリスとシャッターの双方の機能を有している場合について説明する。
【0028】
レンズ鏡筒9の内部には、移動機構13を挟んで光軸OL方向における互いに反対側の位置に、それぞれ光軸OLに対して平行なガイドバー17、17とガイドバー18、18が配置されている。
【0029】
変倍レンズ11はホルダー19に保持されており、該ホルダー19がガイドバー17、17に摺動自在に支持されている。ホルダー19に保持された変倍レンズ11は、変倍レンズ用駆動部20の駆動力がホルダー19に伝達されることにより光軸OLに沿う方向へ移動される。
【0030】
フォーカスレンズ15はホルダー21に保持されており、該ホルダー21がガイドバー18、18に摺動自在に支持されている。ホルダー21に保持されたフォーカスレンズ15は、フォーカスレンズ用駆動部22の駆動力がホルダー21に伝達されることにより光軸OLに沿う方向へ移動される。
【0031】
固体撮像素子16によって得られる画像出力は画像処理部23に送出されて所定の処理が行われる。画像処理部23は、制御等に必要な情報を演算処理部24に送出したり、撮影画像をビユーファインダーやモニター等に送って表示させ、或いは、ユーザーの操作指示に従って画像情報等を記録媒体に記録させる。マイクロコンピュータ等を有する演算処理部24は、制御部25に制御指令信号を送出し、該制御部25から駆動モーター14、変倍レンズ用駆動部20及びフォーカスレンズ用駆動部22等に制御信号が入力されることによって各部が制御される。
【0032】
移動機構13は、図3に示すように、可動部材26、27として機能する一対の絞り羽根を有しており、可動部材26、27を移動させることにより、入射光量の調節機能及びシャッター機能を兼用している。移動機構13はレンズ鏡筒9の外周面から突出されることなく、レンズ鏡筒9の内部に組み込まれているため、他の部品との干渉の問題に煩わされることがなく、小型化やコンパクト化に好適である。
【0033】
可動部材26、27は樹脂材料の表面に、例えば、カーボンコーティングが施されることにより形成されている。
【0034】
可動部材26は主部28と該主部28の左右両端部からそれぞれ下方へ突出された突部29、29とが一体に形成されて成る。可動部材26には下方に開口された開口用切欠26aが形成されている。
【0035】
主部28には、一方の側縁に上下に長い被案内孔28aが形成され、上端部に左右に長い摺動孔28bが形成されている。
【0036】
突部29、29にはそれぞれ上下に長い被案内孔29a、29aが形成されている。
【0037】
可動部材27は主部30と該主部30の一方の側縁部から上方へ突出された突部31とが一体に形成されて成る。可動部材27には上方に開口された開口用切欠27aが形成されている。主部30には、左右両側縁にそれぞれ上下に長い被案内孔30a、30aが形成されている。
【0038】
突部31には上下に長い被案内孔31aが形成されている。突部31の上端部には左右に長い摺動孔31bが形成されている。
【0039】
可動部材26、27はそれぞれベース体32に上下方向へ移動自在に支持される(図4及び図5参照)。
【0040】
ベース体32は樹脂材料、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリカーボネート樹脂等によって形成され、可動部材26、27を移動自在に支持する役割を果たす。
【0041】
ベース体32は縦長の略矩形状に形成され、ベース板32aと該ベース板32aの外周縁に設けられ前方へ突出された補強リブ32bと前方へ突出された案内突部32c、32c、・・・が、例えば、一体に形成され、該案内突部32c、32c、・・・は上下左右に離隔して位置されている。
【0042】
ベース体32の略中央部には撮像光学系の光路となる透過孔32dが形成され(図4参照)、光学系の光軸OLが透過孔32dの中心を通る位置に設定されている。
【0043】
ベース体32には円弧状を為す挿通孔32e、32eが形成されている。
【0044】
ベース体32の案内突部32c、32c、・・・には導電性金属材料、例えば、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼)、SPCC(鉄板)、SECC(めっき鋼板)等によって円筒状に形成された金属スリーブ33、33、・・・がそれぞれ圧入等によって外嵌状に取り付けられている(図6参照)。金属スリーブ33、33、・・・と案内突部32c、32c、・・・とによって、それぞれ可動部材26、27をその移動時に上下方向へ案内する案内ピン34、34、・・・が構成される。
【0045】
ベース体32の3つの案内ピン34、34、34は、それぞれ可動部材26の被案内孔28a、29a、29aに挿入されて摺動自在に係合される。また、ベース体32の3つの案内ピン34、34、34は、それぞれ可動部材27の被案内孔30a、30a、31aに挿入されて摺動自在に係合される。即ち、2つの案内ピン34、34は可動部材26の被案内孔29a、29aと可動部材27の被案内孔30a、30aとに係合され、別の案内ピン34は可動部材26の被案内孔28aのみに係合され、また別の案内ピン34は可動部材27の被案内孔31aのみに係合される。
【0046】
ベース体32に可動部材26、27が支持された状態において、可動部材26、27を閉塞するカバー体35がベース体32に取り付けられる(図4参照)。カバー体35は金属スリーブ33、33、・・・と同様の導電性金属材料によって形成され、カバー体35の中央部には大きな開口部35aが形成されている。
【0047】
カバー体35はベース体32に接着、ネジ止め等の適宜の方法によって取り付けられる。カバー体35がベース体32に取り付けられた状態において、カバー体35の開口部35aの中心とベース体32の透過孔32dの中心とが光軸OL方向において一致される。
【0048】
ベース体32の後方には駆動モーター14が配置される(図4及び図5参照)。駆動モーター14はモーター軸14aが前後に延びる向きで配置されている。駆動モーター14のモーター軸14aには回動アーム36が固定されている。
【0049】
回動アーム36はアーム部36aと該アーム部36aの両端部に設けられた係合ピン36b、36bとから成る。アーム部36aは、長手方向における中央部がモーター軸14aに固定され、該モーター軸14aの軸方向と直交する方向へ延びるように設けられている。係合ピン36b、36bはアーム部36aから前方へ突出するように設けられている。
【0050】
駆動モーター14がベース体32の後側に配置された状態においては、回動アーム36の係合ピン36b、36bがそれぞれベース体32の挿通孔32e、32eに挿通されて可動部材26、27の摺動孔28b、31bにそれぞれ摺動自在に係合される。
【0051】
以下に、駆動モーター14の回転に伴う可動部材26、27の動作について説明する(図7及び図8参照)。
【0052】
回動アーム36の係合ピン36b、36bがそれぞれ可動部材26、27の摺動孔28b、31bに係合されることにより、駆動モーター14の回転に伴って回動アーム36が回動されると、可動部材26、27が案内ピン34、34、・・・に案内されて互いに離接する方向(上下方向)へ並進移動される。
【0053】
このとき駆動モーター14が一方の方向へ回転されると、図8に示すように、可動部材26、27が互いに離れる方向へ移動され、可動部材26、27の開口用切欠26a、27aによって形成される開口37の面積が大きくなり透過孔32dが開放されていくことにより入射光量が増加する。逆に、回動アーム36が、他方の方向へ回転されると、図7に示すように、可動部材26、27が互いに近づく方向へ移動され、可動部材26、27の開口用切欠26a、27aによって形成される開口37の面積が小さくなり透過孔32dが閉塞されていくことにより入射光量が減少する。
【0054】
従って、ベース体32の透過孔32dを透過する光については、可動部材26、27による開口37の大きさによって光量調節が行われる。
【0055】
可動部材26、27の移動時には、該可動部材26、27が案内ピン34、34、・・・の外周面と摺接されるが、該案内ピン34、34、・・・が金属材料によって形成されているため、滑り性が良好であり、可動部材26、27が案内ピン34、34、・・・に対して円滑に摺動される。
【0056】
以上に記載した通り、撮像装置8にあっては、案内ピン34、34、・・・の少なくとも外周面を導電性金属材料によって形成したので、可動部材26、27の帯電を防止することができると共に生産性の低下や製造コストの増大を来たすことなく可動部材26、27の円滑な移動動作を確保することができる。
【0057】
また、可動部材26、27の移動時には、該可動部材26、27がベース体32の反対側に位置されたカバー体35と接触することもあるが、この場合にも、カバー体35が導電性金属材料によって形成されているので、可動部材26、27の帯電の防止及び動作の円滑化を図ることができる。
【0058】
さらに、案内ピン34、34、・・・をベース板32aに一体に設けた案内突部32c、32c、・・・と該案内突部32c、32c、・・・に外嵌される金属スリーブ33、33、・・・とによって構成しているため、案内ピン34、34、・・・の構成が簡単であり、製造コストの高騰を来たすことなく可動部材26、27の動作の円滑化を図ることができる。
【0059】
尚、撮像装置8にあっては、回動アーム36の係合ピン36b、36bを導電性金属材料によって形成することも可能である。また、樹脂材料によって形成された係合ピン36b、36bに、導電性金属材料によって形成されたスリーブを外嵌状に取り付けて、該スリーブを可動部材26、27の摺動孔28b、31bに摺動自在に係合するようにしてもよい。
【0060】
このように係合ピン36b、36bを導電性金属材料によって形成し、又は、導電性金属材料によって形成されたスリーブを係合ピン36b、36bに取り付けることにより、可動部材26、27の移動時に摺動孔28b、31bが導電性金属材料と摺接され、可動部材26、27の一層の帯電の防止及び動作の円滑化を図ることができる。
【0061】
以下に、案内ピンの変形例について説明する(図9乃至図12参照)。
【0062】
尚、以下に示す説明においては、撮像装置8における案内ピン以外の他の構成要素は上記した例と同様であるため、案内ピン以外の構成要素については、上記と同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0063】
第1の変形例に係る案内ピン34Aは、図9に示すように、ベース体32に設けられた案内突部32cと該案内突部32cに外嵌状に取り付けられた導電性金属材料によって形成された金属スリーブ38とによって構成されている。
【0064】
金属スリーブ38は案内突部32cに外嵌される外嵌部38aと案内突部32cの軸方向における基端側に位置され外方へ張り出されたフランジ部38bとが一体に形成されて成る。金属スリーブ38が案内突部32cに取り付けられた状態においては、フランジ部38bがベース板32aに接した状態で位置される。
【0065】
案内ピン34Aにはフランジ部38bが設けられているため、可動部材26、27が移動時に樹脂材料から成るベース体32のベース板32aに接触せず金属スリーブ38のフランジ部38bに接するため、可動部材26、27の動作の円滑化を図ることができる。
【0066】
第2の変形例に係る案内ピン34Bは、図10に示すように、ベース体32のベース板32aに形成された取付孔32fに挿入されて取り付けられる。
【0067】
案内ピン34Bは導電性金属材料によって形成され、可動部材26、27の被案内孔28a、29a、29a、30a、30a、31aに挿入される挿入軸部39と、ベース板32aの取付孔32fに挿入されて取り付けられる被取付軸部40と、挿入軸部39と被取付軸部40との間に位置され外方へ張り出されたフランジ部41とが一体に形成されて成る。
【0068】
案内ピン34Bは被取付軸部40が取付孔32fに、例えば、圧入によって取り付けられ、フランジ部41がベース板32aに接した状態で位置される。
【0069】
案内ピン34Bにはフランジ部41が設けられているため、可動部材26、27が移動時に樹脂材料から成るベース体32のベース板32aに接触せずフランジ部41に接するため、可動部材26、27の動作の円滑化を図ることができる。
【0070】
第3の変形例に係る案内ピン34Cは、図11に示すように、ベース体32に設けられた案内突部32cと該案内突部32cに外嵌状に取り付けられた導電性金属材料によって形成された筒部42とによって構成されている。
【0071】
筒部42は円筒状を為しカバー体35に一体に設けられている。
【0072】
案内ピン34Cの筒部42はカバー体35に一体に設けられているため、その分、部品点数の削減を図ることができる。
【0073】
また、案内ピン34Cにあっては、カバー体35をベース体32に取り付ける際に同時に案内突部32cに外嵌されて構成されるため、撮像装置8の組立作業の簡素化を図ることができる。
【0074】
第4の変形例に係る案内ピン34Dは、図12に示すように、カバー体35に一体に形成されている。
【0075】
案内ピン34Dは、例えば、軸方向における一方が閉塞された円筒状に形成され、先端部が取付孔32fに、例えば、圧入によって取り付けられる。
【0076】
案内ピン34Dはカバー体35に一体に形成されているため、その分、部品点数の削減を図ることができる。
【0077】
また、案内ピン34Dにあっては、カバー体35をベース体32に取り付ける際に取付孔32fに挿入されて構成されるため、撮像装置8の組立作業の簡素化を図ることができる。
【0078】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図2乃至図12と共に本発明撮像装置の最良の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の基本構成を示す概念図である。
【図2】撮像装置の構成例を示す断面図である。
【図3】可動部材の拡大正面図である。
【図4】移動機構の分解斜視図である。
【図5】カバー体を取り外した状態で示す移動機構の斜視図である。
【図6】要部の拡大断面図である。
【図7】図8と共に可動部材の動作を示すものであり、本図は透過孔が開放された状態を示す拡大正面図である。
【図8】透過孔が閉塞された状態を示す拡大正面図である。
【図9】案内ピンの第1の変形例を示す拡大断面図である。
【図10】案内ピンの第2の変形例を示す拡大断面図である。
【図11】案内ピンの第3の変形例を示す拡大断面図である。
【図12】案内ピンの第4の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1…撮像装置、2…レンズ鏡筒、5…移動機構、6…可動部材、7…駆動モーター、8…撮像装置、9…レンズ鏡筒、13…移動機構、14…駆動モーター、26…可動部材、27…可動部材、28a…被案内孔、28b…摺動孔、29a…被案内孔、30a…被案内孔、31a…被案内孔、31b…摺動孔、32a…ベース板、32c…案内突部、32d…透過孔、33…金属スリーブ、34…案内ピン、35…カバー体、36…回動アーム、36b…係合ピン、34A…案内ピン、38…金属スリーブ、38a…外嵌部、38b…フランジ部、34B…案内ピン、32f…取付孔、39…挿入軸部、40…被取付軸部、41…フランジ部、34C…案内ピン、42…筒部、34D…案内ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒とアイリス又はシャッターを構成し撮像光学系の光路を開閉する可動部材を有する移動機構と該移動機構の駆動源となる駆動モーターとを備えた撮像装置であって、
樹脂材料によって形成されると共に撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース板と、
上記駆動モーターの回転に伴って回動され係合ピンを有する回動アームとを備え、
可動部材の移動時に該可動部材を案内する案内ピンを設け、
上記可動部材は樹脂材料によって形成されると共に可動部材に回動アームの係合ピンが摺動自在に係合される摺動孔と上記案内ピンが摺動自在に係合される被案内孔とを形成し、
上記案内ピンの少なくとも外周面を導電性金属材料によって形成した
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記ベース板に一体に案内突部を設け、
該案内突部に少なくとも一部が外嵌され導電性金属材料によって形成された金属スリーブを設け、
案内突部と金属スリーブによって上記案内ピンを構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記金属スリーブを案内突部に外嵌される外嵌部と軸方向における一端部から外方へ張り出され案内突部の軸方向における基端側に位置されるフランジ部とによって構成した
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
ベース板に取付孔を形成し、
上記案内ピンの全体を導電性金属材料によって形成し、
案内ピンを、可動部材の被案内孔に挿入される挿入軸部と、ベース板の取付孔に挿入されてベース板に取り付けられる被取付軸部と、挿入軸部と被取付軸部との間に位置され外方へ張り出されたフランジ部とによって構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記ベース板に一体に案内突部を設け、
ベース板に支持された可動部材を閉塞すると共に導電性金属材料によって形成されたカバー体を設け、
該カバー体にベース板の案内突部に外嵌される筒部を設け、
案内突部と筒部とによって案内ピンを構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記ベース板に支持された可動部材を閉塞すると共に導電性金属材料によって形成されたカバー体を設け、
該カバー体に案内ピンを設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−251467(P2006−251467A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68931(P2005−68931)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】