説明

撮像装置

【課題】フィルタによる特殊撮影を可能としながら、レンズバリアの見栄えを良くする。
【解決手段】レンズ部2を覆うスライド式のレンズバリア4を備える撮像装置において、装置本体1に内蔵され、レンズバリア4のスライド動作に連動してスライドする板状のフィルタ部材5と、レンズ部2を覆う位置からレンズバリア4をスライドさせるとレンズ部2が開放されて通常撮影を可能とし、レンズバリア4を更にスライドさせると板状のフィルタ部材5がレンズ部2を覆って特殊撮影を可能とする連動機構6と、を備える。なお、レンズバリア4がレンズ部2を覆う位置では、被写体照射用の光源3もレンズバリア4で覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式のレンズバリアを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラにおいて、スライド式のレンズバリアに、レンズ部やストロボ発光部に位置させて特殊撮影を可能とするフィルタを設けたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−157103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、レンズバリアにフィルタを設けると、レンズバリアの見栄えが悪くなり、延いてはカメラの見栄えが悪くなる。
【0004】
本発明の課題は、フィルタによる特殊撮影を可能としながら、レンズバリアの見栄えを良くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、レンズ部を覆うスライド式のレンズバリアを備える撮像装置において、装置本体に内蔵され、前記レンズバリアのスライド動作に連動してスライドする板状のフィルタ部材と、前記レンズ部を覆う位置から前記レンズバリアをスライドさせると前記レンズ部が開放されて通常撮影を可能とし、前記レンズバリアを更にスライドさせると前記板状のフィルタ部材が前記レンズ部を覆って特殊撮影を可能とする連動機構と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、レンズ部を覆うスライド式のレンズバリアを備える撮像装置において、装置本体に内蔵され、前記レンズバリアのスライド動作に連動してスライドする板状のフィルタ部材と、前記レンズ部を覆う位置から前記レンズバリアをスライドさせると前記レンズ部が開放されて通常撮影を可能とし、前記レンズバリアを更にスライドさせると前記板状のフィルタ部材が、被写体照射用の光源を覆って特殊撮影を可能とする連動機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の撮像装置であって、前記レンズバリアが前記レンズ部を覆う位置では、被写体照射用の光源も前記レンズバリアで覆われることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記連動機構は、前記レンズバリアと前記板状のフィルタ部材との間に構成される歯車機構であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルタによる特殊撮影を可能とし、しかも、レンズバリアの見栄えを良くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1から図3は本発明を適用した撮像装置の実施形態1の構成としてデジタルカメラを示したもので、1は装置本体、2はレンズ部、3は光源、4はレンズバリア、5はフィルタ部材、6は連動機構、7はラック、8はラック、9はピニオンである。
【0011】
図示のように、装置本体であるカメラボディ1の前面には、左右の一側寄りにレンズ部2が設けられるとともに、その上方に被写体照射用の光源であるストロボ発光部3が設けられている。レンズ部2及びストロボ発光部3は、カメラボディ1に内蔵されて、カメラボディ1の前面壁に形成した開口窓に位置している。そして、これらレンズ部2及びストロボ発光部3を同時に覆うことが可能な横長形状のレンズバリア4が、カメラボディ1の前面に左右方向へスライド動作可能に組み付けられている。
【0012】
また、カメラボディ1の内部には、横長形状で板状のフィルタ部材5が左右方向へスライド動作可能に組み付けられている。このフィルタ部材5は、レンズ部2の前方に位置することが可能な特殊フィルタ部分5Aを有している。
【0013】
以上のレンズバリア4とフィルタ部材5との間には連動機構6が設けられている。この連動機構6は、レンズバリア4の後面の上下に左右方向にわたって形成したラック7と、フィルタ部材5の前面の上下に左右方向にわたって形成したラック8と、カメラボディ1の左右中央位置において前後のラック7・8に同時に噛み合う同一軸線上のピニオン9とからなる歯車機構により構成されている。このピニオン9は、カメラボディ1の前面壁に形成した小孔部において軸受支持されている。
【0014】
ここで、図1はデジタルカメラの非撮影状態を示したもので、図示のように、カメラボディ1前面のレンズバリア4は、レンズ部2及びストロボ発光部3を同時に覆った状態にある。このとき、カメラボディ1内のフィルタ部材5は、レンズバリア4と反対側に位置している。
【0015】
図2は通常撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア4を横にスライドさせてレンズ部2及びストロボ発光部3を開放した状態にある。このとき、フィルタ部材5はラック7・8及びピニオン9の噛み合いによりレンズバリア4と逆方向にスライドしてレンズバリア4と丁度重なった状態に位置する。
【0016】
図3は特殊撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア4を更にスライドさせてレンズ部2及びストロボ発光部3と反対側に位置した状態にある。このとき、フィルタ部材5はレンズバリア4と逆方向に更にスライドして特殊フィルタ部分5Aがレンズ部2の前方に位置した状態にある。
【0017】
以上、実施形態のデジタルカメラによれば、レンズバリア4と連動して逆方向にスライドする、カメラボディ1に内蔵したフィルタ部材5の特殊フィルタ部分5Aでレンズ部2を覆って特殊撮影を行うことができるため、レンズバリア4の見栄えを良くできる。
【0018】
(実施形態2)
図4から図6は実施形態2のデジタルカメラを示したもので、前述した実施形態1と同様、1はカメラボディ、2はレンズ部、3はストロボ発光部、4はレンズバリア、6は連動機構、7はラック、9はピニオンであって、15はフィルタ部材、18はラックである。
【0019】
実施形態2において、板状のフィルタ部材15は、図示のように、左右方向へのスライド動作でストロボ発光部3の前方に位置することが可能な特殊フィルタ部分15Aを有する細長い横長形状のものである。
【0020】
そして、このフィルタ部材15とレンズバリア4との間の連動機構6は、レンズバリア4の後面の上部に左右方向にわたって上下平行に形成したラック7と、フィルタ部材15の前面の上下に左右方向にわたって形成したラック18と、カメラボディ1の左右中央位置において前後のラック7・18に同時に噛み合う同一軸線上のピニオン9とからなる歯車機構により構成されている。
【0021】
ここで、図4はデジタルカメラの非撮影状態を示したもので、図示のように、カメラボディ1前面のレンズバリア4は、レンズ部2及びストロボ発光部3を同時に覆った状態にある。このとき、カメラボディ1内のフィルタ部材15は、レンズバリア4と反対側に位置している。
【0022】
図5は通常撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア4を横にスライドさせてレンズ部2及びストロボ発光部3を開放した状態にある。このとき、フィルタ部材15はラック7・18及びピニオン9の噛み合いによりレンズバリア4と逆方向にスライドしてレンズバリア4の上部に沿って重なった状態に位置する。
【0023】
図6は特殊撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア4を更にスライドさせてレンズ部2及びストロボ発光部3と反対側に位置した状態にある。このとき、フィルタ部材15はレンズバリア4と逆方向に更にスライドして特殊フィルタ部分15Aがストロボ発光部3の前方に位置した状態にある。
【0024】
以上、実施形態2のデジタルカメラによれば、レンズバリア4と連動して逆方向にスライドする、カメラボディ1に内蔵したフィルタ部材15の特殊フィルタ部分15Aでストロボ発光部3を覆って特殊撮影を行うことができるため、レンズバリア4の見栄えを良くできる。
【0025】
(実施形態3)
図7から図9は実施形態3のデジタルカメラを示したもので、前述した実施形態1と同様、1はカメラボディ、2はレンズ部、3はストロボ発光部、4はレンズバリアであって、25はフィルタ部材、26は連動機構、27はラック、28はギヤ、29はギヤ、30はギヤである。
【0026】
実施形態3において、板状のフィルタ部材25は、図示のように、回転方向のスライド動作でレンズ部2の前方に位置することが可能な特殊フィルタ部分25Aを有する羽根形状のものである。
【0027】
そして、このフィルタ部材25とレンズバリア4との間の連動機構26は、レンズバリア4の後面の上部に左右方向にわたって形成したラック27と、このラック27に噛み合うギヤ28と、このギヤ28に噛み合う中間のギヤ29と、この中間のギヤ29に噛み合う、フィルタ部材25の回転中心に同一軸線上のギヤ30とからなる歯車機構により構成されている。なお、レンズバリア4のラック27及び中間のギヤ29に噛み合うギヤ28は、カメラボディ1の前面壁に形成した開口部において軸受支持されている。
【0028】
ここで、図7はデジタルカメラの非撮影状態を示したもので、図示のように、カメラボディ1前面のレンズバリア4は、レンズ部2及びストロボ発光部3を同時に覆った状態にある。このとき、カメラボディ1内のフィルタ部材25は、その特殊レンズ25Aがレンズバリア4の図示左下方に位置している。
【0029】
図8は通常撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア4を横にスライドさせてレンズ部2及びストロボ発光部3を開放した状態にある。このとき、フィルタ部材25はラック27及びギヤ28・29・30の噛み合いによりレンズバリア4と図示反時計回りにスライドしてレンズバリア4の図示右下方に位置する。
【0030】
図9は特殊撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア4を更にスライドさせてレンズ部2及びストロボ発光部3と反対側に位置した状態にある。このとき、フィルタ部材25は図示反時計回りに更にスライドして特殊フィルタ部分25Aがレンズ部2の前方に位置した状態にある。
【0031】
以上、実施形態3のデジタルカメラによれば、レンズバリア4と連動して回転方向にスライドする、カメラボディ1に内蔵したフィルタ部材25の特殊フィルタ部分25Aでレンズ部2を覆って特殊撮影を行うことができるため、レンズバリア4の見栄えを良くできる。
【0032】
(実施形態4)
図10から図12は実施形態4のデジタルカメラを示したもので、31はカメラボディ、32はレンズ部、33はストロボ発光部、34はレンズバリア、35はフィルタ部材である。
【0033】
実施形態4において、カメラボディ31の前面には、図示のように、中央にレンズ部32が設けられるとともに、その上方の角部にストロボ発光部33が設けられている。また、レンズ部2を覆うことが可能な羽根形状のレンズバリア34が、カメラボディ31の前面に対し支軸34aを中心とする回転動作によるスライド可能に組み付けられている。
【0034】
そして、板状のフィルタ部材35は、図示のように、レンズバリア34と同軸上、すなわち、支軸34aを中心とする回転動作によるスライドでレンズ部33の前方に位置することが可能な特殊フィルタ部分35Aを有する羽根形状のものである。
【0035】
ここで、図10はデジタルカメラの非撮影状態を示したもので、図示のように、カメラボディ31前面のレンズバリア34は、レンズ部2を覆った状態にある。このとき、カメラボディ31内のフィルタ部材35は、その特殊レンズ35Aがレンズバリア34の図示右下方に位置している。
【0036】
図11は通常撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア34を図示時計回りにスライドさせてレンズ部32を開放した状態にある。このとき、フィルタ部材35はレンズバリア34と一体に図示時計回りにスライドしてレンズ部32の図示右下方に位置する。
【0037】
図12は特殊撮影状態を示したもので、図示のように、レンズバリア34を更に図示時計回りにスライドさせてレンズ部32の図示右上方に位置した状態にある。このとき、フィルタ部材35もレンズバリア34と一体に図示時計回りにスライドして特殊フィルタ部分35Aがレンズ部32の前方に位置した状態にある。
【0038】
以上、実施形態4のデジタルカメラによれば、レンズバリア34と一体に回転スライドする、カメラボディ31に内蔵したフィルタ部材35の特殊フィルタ部分35Aでレンズ部32を覆って特殊撮影を行うことができるため、レンズバリア34の見栄えを良くできる。
【0039】
(変形例)
なお、以上の実施形態においては、手動操作によるスライド動作としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、モータ等の駆動源による自動スライド動作であっても良い。
また、フィルタ部材について、その特殊フィルタ部分は偏光フィルタ、NDフィルタ、レンズ保護フィルタ、UVフィルタなど種類は問わず任意である。
さらに、レンズバリア及びフィルタ部材の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した撮像装置の実施形態1の構成を示すもので、デジタルカメラの非撮影状態を示した正面図(a)と、その破断底面図(b)と、その連動機構部の拡大図(c)である。
【図2】図1のデジタルカメラの通常撮影状態を示した正面図(a)と、その破断底面図(b)である。
【図3】図1のデジタルカメラの特殊撮影状態を示した正面図(a)と、その破断底面図(b)である。
【図4】実施形態2の構成を示すもので、デジタルカメラの非撮影状態を示した正面図(a)と、その破断底面図(b)である。
【図5】図4のデジタルカメラの通常撮影状態を示した正面図(a)と、その破断底面図(b)である。
【図6】図4のデジタルカメラの特殊撮影状態を示した正面図(a)と、その破断底面図(b)である。
【図7】実施形態3の構成を示すもので、デジタルカメラの非撮影状態を示した正面図である。
【図8】図7のデジタルカメラの通常撮影状態を示した正面図である。
【図9】図7のデジタルカメラの特殊撮影状態を示した正面図である。
【図10】実施形態4の構成を示すもので、デジタルカメラの非撮影状態を示した正面図である。
【図11】図10のデジタルカメラの通常撮影状態を示した正面図である
【図12】図10のデジタルカメラの特殊撮影状態を示した正面図である
【符号の説明】
【0041】
1 装置本体
2 レンズ部
3 光源
4 レンズバリア
5 フィルタ部材
5A 特殊フィルタ部分
6 連動機構
7 ラック
8 ラック
9 ピニオン
15 フィルタ部材
15A 特殊フィルタ部分
18 ラック
25 フィルタ部材
25A 特殊フィルタ部分
26 連動機構
27 ラック
28 ギヤ
29 ギヤ
30 ギヤ
31 装置本体
32 レンズ部
33 光源
34 レンズバリア
35 フィルタ部材
35A 特殊フィルタ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部を覆うスライド式のレンズバリアを備える撮像装置において、
装置本体に内蔵され、前記レンズバリアのスライド動作に連動してスライドする板状のフィルタ部材と、
前記レンズ部を覆う位置から前記レンズバリアをスライドさせると前記レンズ部が開放されて通常撮影を可能とし、前記レンズバリアを更にスライドさせると前記板状のフィルタ部材が前記レンズ部を覆って特殊撮影を可能とする連動機構と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
レンズ部を覆うスライド式のレンズバリアを備える撮像装置において、
装置本体に内蔵され、前記レンズバリアのスライド動作に連動してスライドする板状のフィルタ部材と、
前記レンズ部を覆う位置から前記レンズバリアをスライドさせると前記レンズ部が開放されて通常撮影を可能とし、前記レンズバリアを更にスライドさせると前記板状のフィルタ部材が、被写体照射用の光源を覆って特殊撮影を可能とする連動機構と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記レンズバリアが前記レンズ部を覆う位置では、被写体照射用の光源も前記レンズバリアで覆われることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記連動機構は、前記レンズバリアと前記板状のフィルタ部材との間に構成される歯車機構であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−204690(P2009−204690A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44362(P2008−44362)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】