説明

撮像装置

【課題】電荷増倍型の撮像素子を用いた撮像装置において、撮像素子の経時劣化に基づく増倍率の変動を抑制する。
【解決手段】電荷増倍型の撮像素子23と、撮像素子23の増倍率を制御する増倍率制御信号を出力する撮像制御ユニット(増倍率制御部)24とを備えた撮像装置において、撮像制御ユニット(増倍率制御部)24が、撮像期間における撮像素子23の増倍率よりも非撮像期間における撮像素子23の増倍率の方が小さくなるように撮像素子23に増倍率制御信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷増倍型の撮像素子を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内の組織を観察する内視鏡システムが広く知られており、白色光によって照明された体腔内の観察対象を撮像して通常画像を得、この通常画像をモニタ画面上に表示する電子式内視鏡システムが広く実用化されている。
【0003】
そして、上記のような内視鏡システムとしては、CCDなどの固体撮像素子を用いたものが提案されており、特に、撮像感度の向上を図るため、電荷増倍型の撮像素子を用いた内視鏡システムが提案されている。
【0004】
この電荷増倍型の撮像素子は、その水平転送路に電荷量を増倍する増倍レジスタを備え、受光素子によって光電変換された電荷信号を増倍して出力するものである。そして、電荷増倍型撮像素子における電荷量の増倍率は、制御部から出力された増倍率制御信号に基づいて制御される。
【0005】
したがって、制御部から出力される増倍制御信号の特性に変動があった場合には、その特性の変動に応じて増倍率も変動してしまい、撮像感度が変動してしまうという問題を生じる。
【0006】
そこで、特許文献1においては、制御部から出力される増倍率制御信号の特性を取得し、その特性に基づいて、増倍率の変動を補正する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−330352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電荷増倍型撮像素子の増倍率は、上記のような増倍率制御信号の特性による変動だけでなく、経時的に変動することが近年わかってきた。そして、この経時的な増倍率の変動は、増倍レジスタ内を電荷が通過することによる経時劣化に基づくものであることが考えられ、このような経時劣化に基づく増倍率の変動は、特許文献1に記載の方法を採用したとしても補正することができず、所望の増倍率を得ることができない問題を生じる。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、電荷増倍型の撮像素子を用いた撮像装置において、撮像素子の経時劣化に基づく増倍率の変動を抑制することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像装置は、電荷増倍型の撮像素子と、撮像素子の増倍率を制御する増倍率制御信号を出力する増倍率制御部とを備えた撮像装置において、増倍率制御部が、撮像期間における撮像素子の増倍率よりも非撮像期間における撮像素子の増倍率の方が小さくなるように撮像素子に増倍率制御信号を出力するものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の撮像装置においては、増倍率制御部を、非撮像期間における撮像素子の増倍率が最小増倍率になるように撮像素子に増倍率制御信号を出力するものとすることができる。
【0012】
また、被観察部に照明光または特殊光を照射する光照射部と、撮像期間において光照射部により照射される光量よりも非撮像期間において光照射部により照射される光量の方が小さくなるように光照射部を制御する光量制御部とを設けることができる。
【0013】
ここで、上記「撮像期間」とは、撮像の開始を示す信号を受け付けた時点から撮像の終了を示す信号を受け付けた時点までの期間のことをいい、「非撮像期間」とは、撮像素子の駆動中であって、撮像終了を示す信号を付け付けた時点から撮影開始を示す信号を受け付けた時点までの期間のことをいう。また、撮像開始を示す信号および撮影終了を示す信号としては、たとえば、操作者による撮影開始を指示する指示信号および撮影終了を指示する指示信号があるが、このような直接的に撮影開始および撮影終了を示す信号に限らず、間接的に撮影開始および撮影終了を示す信号でもよい。たとえば、内視鏡装置である場合には、内視鏡挿入部が体腔内に挿入されたことを検出した検出信号を撮影開始を示す信号とし、体腔外に出されたことを検出した検出信号を撮影終了を示す信号としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の撮像装置によれば、撮像期間における撮像素子の増倍率よりも非撮像期間における撮像素子の増倍率の方が小さくなるように撮像素子に増倍率制御信号を出力するようにしたので、非撮像期間において撮像素子に流れる電荷量を減少させることができるので撮像素子の増倍率の経時変化を抑制することができ、適切な画像信号を取得することができる。
【0015】
また、上記本発明の撮像装置において、撮像期間において光照射部により照射される光量よりも非撮像期間において光照射部により照射される光量の方が小さくなるように制御するようにした場合には、さらに非撮像期間において撮像素子に流れる電荷量を減少させることができ、撮像素子の経時変化をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の撮像装置の第1の実施形態を用いた腹腔鏡システムの概略構成図
【図2】硬質挿入部の概略構成図
【図3】撮像ユニットの概略構成図
【図4】画像処理装置の概略構成図
【図5】第1の実施形態の腹腔鏡システムの作用を説明するためのフローチャート
【図6】本発明の撮像装置の第2の実施形態を用いた腹腔鏡システムの概略構成図
【図7】第2の実施形態の腹腔鏡システムの作用を説明するためのフローチャート
【図8】本発明の撮像装置の第3の実施形態を用いた腹腔鏡システムの概略構成図
【図9】第3の実施形態の腹腔鏡システムの通常画像撮像モードの作用を説明するためのフローチャート
【図10】第3の実施形態の腹腔鏡システムの蛍光画像撮像モードの作用を説明するためのフローチャート
【図11】本発明の撮像装置の第4の実施形態を用いた腹腔鏡システムの撮像ユニットの概略構成図
【図12】第4の実施形態の腹腔鏡システムの通常画像撮像モードの作用を説明するためのフローチャート
【図13】第4の実施形態の腹腔鏡システムの蛍光画像撮像モードの作用を説明するためのフローチャート
【図14】第3の実施形態の腹腔鏡システムの同時撮像モードの作用を説明するためのフローチャート
【図15】トロッカーの概略構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の撮像装置の第1の実施形態を用いた腹腔鏡システムについて詳細に説明する。図1は、本実施形態の腹腔鏡システム1の概略構成を示す外観図である。
【0018】
本実施形態の腹腔鏡システム1は、図1に示すように、白色の照明光を射出する通常光源2と、通常光源2から射出された照明光を導光して被観察部に照射するとともに、被観察部から反射された反射光に基づく像を撮像する硬性鏡撮像装置10と、硬性鏡撮像装置10によって撮像された画像信号に所定の処理を施す画像処理装置3と、画像処理装置3において生成された表示制御信号に基づいて被観察部の通常画像を表示するモニタ4とを備えている。
【0019】
通常光源2は、約400〜700nmの広帯域の波長からなる通常光(白色光)を射出するものであって、たとえばハロゲンランプを備えている。通常光源2は光ケーブルLCを介して硬性鏡撮像装置10に光学的に接続されている。
【0020】
硬性鏡撮像装置10は、図1に示すように、腹腔内に挿入される硬質挿入部30と、硬質挿入部30によって導光された被観察部の像を撮像する撮像素子を備えた撮像ユニット20とを備えている。
【0021】
また、硬性鏡撮像装置10は、図2に示すように、硬質挿入部30と撮像ユニット20とは着脱可能に接続されている。そして、硬質挿入部30は接続部材30a、挿入部材30b、ケーブル接続口30c、および照射窓30dを備えている。
【0022】
接続部材30aは、硬質挿入部30(挿入部材30b)の一端側30Xに設けられており、たとえば撮像ユニット20側に形成された開口20aに嵌め合わされることにより、撮像ユニット20と硬質挿入部30とが着脱可能に接続される。
【0023】
挿入部材30bは、腹腔内の撮影を行う際に腹腔内に挿入されるものであって、硬質な材料から形成され、たとえば、直径略5mmの円柱形状を有している。挿入部材30bには、被観察部の像を結像するためのレンズ群が収容されており、他端側30Yから入射された被観察部の像はレンズ群を介して一端側30Xの撮像ユニット20側に射出される。
【0024】
挿入部材30bの側面にはケーブル接続口30cが設けられており、このケーブル接続口30cに光ケーブルLCが機械的に接続される。これにより、通常光源2と挿入部材30bとが光ケーブルLCを介して光学的に接続されることになる。
【0025】
照射窓30dは、硬質挿入部30の他端側30Yに設けられており、光ケーブルLCによって導光された通常光を被観察部に対し照射するものである。なお、挿入部材30b内にはケーブル接続口30cから照射窓30dまで通常光を導光するライトガイドが収容されており(図示せず)、照射窓30dはライトガイドによって導光された通常光を被観察部に照射するものである。
【0026】
図3は、撮像ユニット20の概略構成を示す図である。撮像ユニット20は、硬質挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の像を撮像し、被観察部の画像信号を生成するものであって、硬質挿入部30から射出された像を結像する結像光学系22、結像光学系22により結像された像を撮像する電荷増倍型撮像素子23、電荷増倍型撮像素子23を制御する撮像制御ユニット24、および撮像開始を示す信号と撮像終了を示す信号の操作者による入力を受け付ける撮像開始終了受付部25を備えている。
【0027】
電荷増倍型撮像素子23は、その水平転送路に電荷量を増倍する増倍レジスタを備え、受光素子によって光電変換された電荷信号を増倍して出力するものである。そして、電荷増倍型撮像素子23における電荷量の増倍率は、撮像制御ユニット24から出力される増倍率制御信号によって制御されるものである。また、電荷増倍型撮像素子23の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。
【0028】
撮像開始終了受付部25は、操作者による撮像開始を示す信号を受け付ける撮像開始ボタン25Aと、操作者による撮像終了を示す信号を受け付ける撮像終了ボタン25Bとを備えている。
【0029】
撮像制御ユニット24は、撮像開始終了受付部25によって受け付けられた信号に基づいて、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を制御するものである。具体的には、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下され、撮像開始を示す信号が入力された場合には、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が予め設定された第1の増倍率になるように制御し、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下され、撮像終了を示す信号が入力された場合には、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が上記第1の増倍率よりも小さい第2の増倍率になるように制御するものである。第2の増倍率については、電荷増倍型撮像素子23において設定可能な増倍率のうちの最小増倍率に設定することが望ましい。なお、電荷増倍型撮像素子23の増倍率の制御については、具体的には、電荷増倍型撮像素子23の水平転送路に印加される水平転送電極電圧の大きさを制御したり、水平転送路に与えられる水平転送パルス信号の振幅またはパルス数を制御したりして行われる。
【0030】
また、撮像制御ユニット24は、電荷増倍型撮像素子23により撮像された画像信号に対し、CDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理を施し、ケーブル5(図1参照)を介して画像処理装置3に出力するものである。
【0031】
画像処理装置3は、画像入力コントローラ31、画像処理部32、メモリ33、ビデオ出力部34、操作部35およびCPU36を備えている。
【0032】
画像入力コントローラ31は、所定容量のラインバッファを備えており、撮像ユニット20の撮像制御ユニット24から出力された1フレーム分の画像信号を一時的に記憶するものである。そして、画像入力コントローラ31に一時的に記憶された画像信号は、バスを介してメモリ33に格納される。
【0033】
画像処理部32は、メモリ33に格納された1フレーム分の画像信号が読み出されて入力され、所定の画像処理を施し、バスに出力するものである。
【0034】
ビデオ出力部34は、画像処理部32から出力された画像信号がバスを介して入力され、所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ4に出力するものである。
【0035】
操作部35は、種々の操作指示や制御パラメータなどの操作者による入力を受け付けるものであり、CPU36は画像処理装置3の全体を制御するものである。
【0036】
次に、第1の実施形態の腹腔鏡システムの作用について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
まず、光ケーブルLCが接続された硬質挿入部30が撮像ユニット20に取り付けされ、ケーブル5が撮像ユニット20に取り付けられた後、通常光源2、撮像ユニット20および画像処理装置3の電源が投入され、これらが駆動される。
【0038】
そして、画像処理装置3の操作部35を用いて、操作者により撮像に必要な種々のパラメータなどが設定され、撮影準備が行われる(S10)。ここでは、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときに電荷増倍型撮像素子23に設定される第1の増倍率と、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下されたときに電荷増倍型撮像素子23に設定される第2の増倍率が操作部35により入力され、その増倍率が撮像ユニット20の撮像制御ユニット24に出力されて設定される。なお、本実施形態では、第2の増倍率として、電荷増倍型撮像素子23に設定可能な増倍率のうちの最小増倍率が設定される。
【0039】
そして、撮像ユニット20の撮像制御ユニット24は、電荷増倍型撮像素子23に増倍率制御信号を出力し、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を第2の増倍率である最小増倍率に設定する(S12)。
【0040】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0041】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S14、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像開始を示す信号に応じて電荷増倍型撮像素子23に増倍率制御信号を出力し、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を第1の増倍率に設定する(S16)。
【0042】
そして、第1の増倍率に設定された状態での電荷増倍型撮像素子23による撮像が開始される(S18)。
【0043】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット20の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S19、YES)。
【0044】
撮像制御ユニット24は、入力された撮像終了を示す信号に応じて電荷増倍型撮像素子23に増倍率制御信号を出力し、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を再び最小増倍率に設定する(S12)。
【0045】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、電荷増倍型撮像素子23の増倍率は最小増倍率に維持される。
【0046】
次に、本発明の撮像装置の第2の実施形態を用いた腹腔鏡システムについて説明する。
【0047】
第1の実施形態の腹腔鏡システムにおいては、撮像期間(第1の実施形態では撮像開始ボタン25Aが押下されてから撮像終了ボタン25Bが押下されるまで)と非撮像期間(第1の実施形態では撮像終了ボタン25Bが押下されてから撮像開始ボタン25Aが押下されるまで)とで電荷増倍型撮像素子23の増倍率を切り替えるようにしたが、第2の実施形態の腹腔鏡システムは、撮像期間と非撮像期間とで通常光源2から射出される通常光の光量を切り替えるものである。
【0048】
具体的には、第2の実施形態の腹腔鏡システムは、図6に示すような光源ユニット50を備えている。光源ユニット50は、白色光源51と、白色光源51から射出された通常光の光ケーブルLCへの入射量を制御する絞り52と、絞り52を透過した通常光を光ケーブルLCの端面に集光する集光レンズ53と、絞り52の絞り量を制御する光量制御部54とを備えている。なお、第2の実施形態の腹腔鏡システムのその他の構成については、第1の実施形態の腹腔鏡システムとほぼ同様である。
【0049】
そして、通常光源2における光量制御部54は、撮像ユニット20の撮像開始終了受付部25によって受け付けられた信号に基づいて、絞り53の絞り量を制御するものである。具体的には、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下され、撮像開始を示す信号が入力された場合には、絞り53の絞り量が予め設定された第1の絞り量になるように制御し、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下され、撮像終了を示す信号が入力された場合には、絞り53の絞り量が上記第1の絞り量よりも大きい第2の絞り量になるように制御するものである。第2の絞り量については、絞り53において設定可能な絞り量のうちの最大絞り量に設定することが望ましい。最大絞り量としては完全に光量をゼロにする、すなわち通過する光を完全に遮断するようにしてもよい。
【0050】
次に、第2の実施形態の腹腔鏡システムの作用について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
まず、光ケーブルLCが接続された硬質挿入部30が撮像ユニット20に取り付けされ、ケーブル5が撮像ユニット20に取り付けられた後、光源ユニット50、撮像ユニット20および画像処理装置3の電源が投入され、これらが駆動される。
【0052】
そして、画像処理装置3の操作部35を用いて、操作者により撮像に必要な種々のパラメータなどが設定され、撮影準備が行われる(S20)。ここでは、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときに絞り53に設定される第1の絞り量と、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下された絞り53に設定される第2の絞り量が操作部35により入力され、その絞り量がCPU35を介して光源ユニット50の光量制御部54に出力されて設定される。なお、本実施形態では、第2の絞り量として、絞り53に設定可能な絞り量のうちの最大絞り量が設定される。
【0053】
そして、光源ユニット50の光量制御部54は、絞り53に光量制御信号を出力し、絞り53の絞り量を第2の絞り量である最大絞り量に設定する(S22)。
【0054】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0055】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像ユニット20から光源ユニット50の光量制御部54に出力される(S24、YES)。光量制御部54は、入力された撮像開始を示す信号に応じて絞り53に光量制御信号を出力し、絞り53の絞り量を第1の絞り量に設定する(S26)。
【0056】
そして、絞り53が第1の絞り量に設定された状態で通常光が被観察部に照射され、電荷増倍型撮像素子23による撮像が開始される(S28)。
【0057】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット20の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像ユニット20から光源ユニット50の光量制御部54に出力される(S30、YES)。
【0058】
光量制御部54は、入力された撮像終了を示す信号に応じて絞り53に光量制御信号を出力し、絞り53の絞り量を再び最大絞り量に設定する(S22)。
【0059】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、絞り53の絞り量は最大絞り量に維持される。
【0060】
また、上記第2の実施形態においては、絞り53の絞り量を制御することによって通常光の光量を制御するようにしたが、これに限らず、たとえば、白色光源51としてレーザー光源などを用いる場合には、このレーザー光源を制御することによって通常光の光量を制御するようにしてもよい。
【0061】
また、上記第1の実施形態の腹腔鏡システムと第2の実施形態の腹腔鏡システムとを組み合わせてもよい。すなわち、撮像期間と非撮像期間とで、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を切り替えるとともに、通常光の光量を切り替えるようにしてもよい。
【0062】
次に、本発明の撮像装置の第3の実施形態を用いた腹腔鏡システムについて説明する。
【0063】
第3の実施形態の腹腔鏡システムは、第1および第2の実施形態の腹腔鏡システムとは、光源ユニットの構成が異なるものである。
【0064】
具体的には、第3の実施形態の腹腔鏡システムの光源ユニット60は、図8に示すように、白色光源61と、白色光源61から射出された通常光の光ケーブルLCへの入射量を制御する絞り62と、被観察部の蛍光画像を撮像するための励起光源63と、白色光源61から射出された通常光と励起光源63から射出された励起光とを切り替えて射出する切替部64と、切替部64から射出された通常光または励起光を光ケーブルLCの端面に集光する集光レンズ65と、絞り62の絞り量を制御するとともに、励起光源63の駆動電流を制御する光量制御部66とを備えている。なお、励起光源63はLED光源またはレーザ光源から構成されており、その駆動電流が制御されることによって発光量が制御されるものである。
【0065】
そして、光源ユニット60の光量制御部66は、撮像ユニット20の撮像開始終了受付部25によって受け付けられた信号に基づいて、絞り62の絞り量および励起光源63の駆動電流を制御するものである。
【0066】
具体的には、通常画像撮像モードにおいて、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下され、撮像開始を示す信号が入力された場合には、絞り62の絞り量が予め設定された第1の絞り量になるように制御し、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下され、撮像終了を示す信号が入力された場合には、絞り62の絞り量が上記第1の絞り量よりも大きい第2の絞り量になるように制御するものである。第2の絞り量については、上記第2の実施形態と同様に、絞り53において設定可能な絞り量のうちの最大絞り量に設定することが望ましい。
【0067】
一方、蛍光画像撮像モードにおいて、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下され、撮像開始を示す信号が入力された場合には、励起光源63の駆動電流が第1の駆動電流値になるように制御し、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下され、撮像終了を示す信号が入力された場合には、励起光源63の駆動電流が上記第1の駆動電流値よりも小さい第2の駆動電流値になるように制御する。第2の駆動電流値については、励起光源63において設定可能な駆動電流値のうちの最小の駆動電流値に設定することが望ましい。
【0068】
なお、通常画像撮像モードと蛍光画像撮像モードの設定は、操作部35やその他の所定の入力手段からの指示入力によって行われる。通常画像撮像モードが設定されると光源ユニット60の切替部64は通常光を射出し、蛍光画像撮像モードが設定されると光源ユニット60の切替部64は励起光を射出するように切り替える。
【0069】
また、第3の実施形態の撮像ユニット20の撮像制御ユニット24は、第1の実施形態と同様に、撮像開始終了受付部25によって受け付けられた信号に基づいて、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を制御するものであるが、通常画像撮像モードと蛍光画像撮像モードとで増倍率の制御方法が異なる。
【0070】
具体的には、通常画像撮像モードのときには、第1の実施形態と同様に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下され、撮像開始を示す信号が入力された場合には、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が予め設定された第1の増倍率になるように制御し、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下され、撮像終了を示す信号が入力された場合には、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が上記第1の増倍率よりも小さい第2の増倍率になるように制御する。
【0071】
一方、蛍光画像撮像モードのときには、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下され、撮像開始を示す信号が入力された場合には、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が予め設定された第3の増倍率になるように制御する。そして、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下され、撮像終了を示す信号が入力された場合には、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が上記第3の増倍率よりも小さい第4の増倍率になるように制御する。第4の増倍率については、通常画像撮像時の第2の増倍率と同様に、電荷増倍型撮像素子23において設定可能な増倍率のうちの最小増倍率に設定することが望ましい。
【0072】
さらに、撮像制御ユニット24は、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときから撮像終了ボタン25Bが押下されたときまでの間に、すなわち、撮像期間において、通常画像撮像モードと蛍光画像撮像モードとが切り替えられた場合には、上記第1の増倍率と上記第3の増倍率とを切り替えるものである。
【0073】
次に、第3の実施形態の腹腔鏡システムの作用について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0074】
まず、光ケーブルLCが接続された硬質挿入部30が撮像ユニット20に取り付けされ、ケーブル5が撮像ユニット20に取り付けられた後、光源ユニット60、撮像ユニット20および画像処理装置3の電源が投入され、これらが駆動される。
【0075】
そして、画像処理装置3の操作部35を用いて、操作者により撮像に必要な種々のパラメータなどが設定され、撮影準備が行われる(S40)。
【0076】
ここでは、通常画像撮像モードにおいて、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときに絞り62に設定される第1の絞り量と、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下された絞り62に設定される第2の絞り量が操作部35により入力され、その絞り量がCPU35を介して光源ユニット60の光量制御部66に出力されて設定される。なお、本実施形態では、第2の絞り量として、絞り62に設定可能な絞り量のうちの最大絞り量が設定される。
【0077】
そして、さらに、通常画像撮像モードにおいて、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときに電荷増倍型撮像素子23に設定される第1の増倍率と、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下されたときに電荷増倍型撮像素子23に設定される第2の増倍率が操作部35により入力され、その増倍率が撮像ユニット20の撮像制御ユニット24に出力されて設定される。なお、本実施形態では、第2の増倍率として、電荷増倍型撮像素子23に設定可能な増倍率のうちの最小増倍率が設定される。
【0078】
また、蛍光画像撮像モードにおいて、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときに絞り62に設定される励起光源63の第1の駆動電流値と、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下された絞り53に設定される第2の駆動電流値が操作部35により入力され、その駆動電流値がCPU35を介して光源ユニット60の光量制御部66に出力されて設定される。なお、本実施形態では、第2の駆動電流値として、励起光源63に設定可能な駆動電流値のうちの最小駆動電流値が設定される。
【0079】
そして、さらに、蛍光画像撮像モードにおいて、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されたときに電荷増倍型撮像素子23に設定される第3の増倍率と、操作者により撮像終了ボタン25Bが押下されたときに電荷増倍型撮像素子23に設定される第4の増倍率が操作部35により入力され、その増倍率が撮像ユニット20の撮像制御ユニット24に出力されて設定される。なお、本実施形態では、第4の増倍率として、電荷増倍型撮像素子23に設定可能な増倍率のうちの最小増倍率が設定される。すなわち、第2の増倍率と第4の増倍率とは同じ最小増倍率に設定される。
【0080】
そして、次に観察部位の撮像が行われるが、まず、通常画像撮像モードに設定されているときの作用について説明する。
【0081】
通常画像撮像モードにおいては、まず、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を第2の絞り量である最大絞り量に設定するとともに、撮像ユニット20の撮像制御ユニット24が、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を最小増倍率に設定する(S42)。
【0082】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0083】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像ユニット20から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S44、YES)。光量制御部66は、入力された撮像開始を示す信号に応じて絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を第1の絞り量に設定する(S46)。また、撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S44、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像開始を示す信号に応じて電荷増倍型撮像素子23の増倍率を第1の増倍率に設定する(S46)。
【0084】
そして、絞り62が第1の絞り量に設定されるとともに、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が第1の増倍率に設定された状態で通常光が被観察部に照射され、電荷増倍型撮像素子23による撮像が開始される(S48)。
【0085】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット20の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像ユニット20から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S50、YES)。
【0086】
光量制御部66は、入力された撮像終了を示す信号に応じて絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を再び最大絞り量に設定する(S42)。
【0087】
また、撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S50、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像終了を示す信号に応じて電荷増倍型撮像素子23の増倍率を再び最小増倍率に設定する(S42)。
【0088】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、絞り62の絞り量は最大絞り量に維持され、電荷増倍型撮像素子23の増倍率は最小増倍率に維持される。
【0089】
次に、蛍光画像撮像モードに設定されているときの作用について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図10に示すS60の撮像準備のステップは、上述した図9にS40の撮像準備のステップと同様である。
【0090】
蛍光画像撮像モードにおいては、まず、光源ユニット60の光量制御部66が、励起光源63に流れる駆動電流を第2の駆動電流値である最小駆動電流値に設定するとともに、撮像ユニット20の撮像制御ユニット24が、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を最小増倍率に設定する(S62)。
【0091】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0092】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像ユニット20から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S64、YES)。光量制御部66は、入力された撮像開始を示す信号に応じて励起光源63の駆動電流を第1の駆動電流値に設定する(S66)。また、撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S64、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像開始を示す信号に応じて電荷増倍型撮像素子23の増倍率を第1の増倍率に設定する(S66)。
【0093】
そして、励起光源63の駆動電流が第1の駆動電流値に設定されるとともに、電荷増倍型撮像素子23の増倍率が第1の増倍率に設定された状態で通常光が被観察部に照射され、電荷増倍型撮像素子23による撮像が開始される(S68)。
【0094】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット20の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像ユニット20から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S70、YES)。
【0095】
光量制御部66は、入力された撮像終了を示す信号に応じて励起光源の駆動電流を再び最小駆動電流値に設定する(S62)。
【0096】
また、撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S70、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像終了を示す信号に応じて電荷増倍型撮像素子23の増倍率を再び最小増倍率に設定する(S62)。
【0097】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、励起光源63の駆動電流は最小駆動電流値に維持され、電荷増倍型撮像素子23の増倍率は最小増倍率に維持される。
【0098】
なお、上記通常画像撮像モードの撮像期間において、蛍光画像撮像モードへの切替指示が入力された場合には、切替部64が通常光の射出から励起光の射出へと切り替える。そして、光源ユニット60の光量制御部66が、励起光源63の駆動電流を第1の駆動電流値に設定し、撮像ユニット20の撮像制御ユニット24が、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を上記第1の増倍率から上記第3の増倍率に切り替える。
【0099】
また、逆に、上記蛍光画像撮像モードの撮像期間において、通常画像撮像モードへの切替指示が入力された場合には、切替部64が励起光の射出から通常光の射出へと切り替える。そして、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62の絞り量を第1の絞り量に設定し、撮像ユニット20の撮像制御ユニット24が、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を上記第3の増倍率から上記第1の増倍率に切り替える。
【0100】
次に、本発明の撮像装置の第4の実施形態を用いた腹腔鏡システムについて説明する。
【0101】
第4の実施形態の腹腔鏡システムは、第3の実施形態の腹腔鏡システムと撮像ユニット40の構成が異なり、第4の実施形態の撮像ユニット40は、通常画像と蛍光画像とを同時に撮像できるものである。
【0102】
具体的には、第4の実施形態の腹腔鏡システムの撮像ユニット40は、図11に示すように、通常画像を撮像するための通常画像用撮像素子27と、蛍光画像を撮像するための蛍光画像用撮像素子28と、結像光学系22によって結像された通常像を透過して通常画像用撮像素子27に入射させるとともに、結像光学系22によって結像された蛍光像を反射して蛍光画像用撮像素子28に入射させるダイクロイックプリズム26を備えている。
【0103】
そして、通常画像用撮像素子27および蛍光画像用撮像素子28は、ともに電荷増倍型撮像素子であり、その増倍率が撮像制御ユニット24から出力される増倍率制御信号によって制御されるものである。また、通常画像用撮像素子27の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。なお、蛍光画像用撮像素子28はモノクロの撮像素子となっている。
【0104】
撮像制御ユニット24は、第3の実施形態と同様に、撮像開始終了受付部25によって受け付けられた信号に基づいて、電荷増倍型撮像素子23の増倍率を制御するものであるが、本実施形態の撮像制御ユニット24は、通常画像用撮像素子27と蛍光画像用撮像素子28の両方の増倍率を制御するものである。
【0105】
また、本実施形態の光源ユニット60は、第3の実施形態と同様の構成であるが、白色光源61と励起光源63とから通常光と励起光とを同時に射出可能なものである。なお、絞り62の絞り量および励起光源63の駆動電流の制御については、第3の実施形態と同様である。
【0106】
次に、第4の実施形態の腹腔鏡システムの作用について、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0107】
まず、光ケーブルLCが接続された硬質挿入部30が撮像ユニット40に取り付けされ、ケーブル5が撮像ユニット40に取り付けられた後、光源ユニット60、撮像ユニット40および画像処理装置3の電源が投入され、これらが駆動される。
【0108】
そして、画像処理装置3の操作部35を用いて、操作者により撮像に必要な種々のパラメータなどが設定され、撮影準備が行われる(S40)。撮像準備のステップは、上記第3の実施形態と同様にして、絞り62の第1および第2の絞り量、励起光源63の第1および第2の駆動電流値、通常画像用撮像素子27の第1および第2の増倍率、蛍光画像用撮像素子28の第3および第4の増倍率がそれぞれ設定される。
【0109】
そして、次に観察部位の撮像が行われるが、まず、通常画像撮像モードに設定されているときの作用について説明する。
【0110】
通常画像撮像モードにおいては、まず、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を第2の絞り量である最大絞り量に設定するとともに、励起光源63の駆動電流を最小駆動電流値に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27と蛍光画像用撮像素子28の増倍率を最小増倍率(第2の増倍率と第4の増倍率)に設定する(S82)。なお、本実施形態においては、通常画像用撮像素子27として電荷増倍型撮像素子を使用しているので、上記のように増倍率を制御するが、通常画像用撮像素子27として増倍機能がないものを使用してもよく、その場合には、通常画像用撮像素子の増倍率の制御は行わないものとする。
【0111】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0112】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像ユニット40から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S84、YES)。光量制御部66は、入力された撮像開始を示す信号に応じて絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を第1の絞り量に設定する(S86)。また、撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S84、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像開始を示す信号に応じて通常画像用撮像素子27のみの増倍率を第1の増倍率に設定すし(S86)、蛍光画像用撮像素子28の増倍率は最小増倍率のまま維持する。
【0113】
そして、絞り62が第1の絞り量に設定されるとともに、通常画像用撮像素子27の増倍率が第1の増倍率に設定された状態で通常光が被観察部に照射され、通常画像用撮像素子27による撮像が開始される(S88)。
【0114】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット40の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像ユニット40から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S90、YES)。
【0115】
光量制御部66は、入力された撮像終了を示す信号に応じて絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を再び最大絞り量に設定する(S82)。
【0116】
また、撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S90、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像終了を示す信号に応じて通常画像用撮像素子27の増倍率を再び最小増倍率に設定する(S82)。
【0117】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、絞り62の絞り量は最大絞り量に維持され、通常画像用撮像素子27の増倍率は最小増倍率に維持される。
【0118】
次に、蛍光画像撮像モードに設定されているときの作用について、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図13に示すS100の撮像準備のステップは、上述した図12にS80の撮像準備のステップと同様である。
【0119】
蛍光画像撮像モードにおいては、まず、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を第2の絞り量である最大絞り量に設定するとともに、励起光源63の駆動電流を最小駆動電流値に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27と蛍光画像用撮像素子28の増倍率を最小増倍率(第2の増倍率と第4の増倍率)に設定する(S102)。
【0120】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0121】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像ユニット40から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S104、YES)。光量制御部66は、入力された撮像開始を示す信号に応じて励起光源63の駆動電流を第1の駆動電流値に設定する(S66)。また、撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S104、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像開始を示す信号に応じて蛍光画像用撮像素子28の増倍率を第3の増倍率に設定し(S106)、通常画像用撮像素子27の増倍率は最小増倍率のまま維持する。
【0122】
そして、励起光源63の駆動電流が第1の駆動電流値に設定されるとともに、蛍光画像用撮像素子28の増倍率が第3の増倍率に設定された状態で励起光が被観察部に照射され、蛍光画像用撮像素子28による撮像が開始される(S108)。
【0123】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット40の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像ユニット40から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S110、YES)。
【0124】
光量制御部66は、入力された撮像終了を示す信号に応じて励起光源の駆動電流を再び最小駆動電流値に設定する(S102)。
【0125】
また、撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S110、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像終了を示す信号に応じて蛍光画像用撮像素子28の増倍率を再び最小増倍率に設定する(S102)。
【0126】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、励起光源63の駆動電流は最小駆動電流値に維持され、蛍光画像用撮像素子28の増倍率は最小増倍率に維持される。
【0127】
なお、上記通常画像撮像モードの撮像期間において、蛍光画像撮像モードへの切替指示が入力された場合には、切替部64が通常光の射出から励起光の射出へと切り替える。そして、光源ユニット60の光量制御部66が、励起光源63の駆動電流を第1の駆動電流値に設定するとともに、絞り62の絞り量を最大絞り量に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27の増倍率を最小増倍率に設定するとともに、蛍光画像用撮像素子28の増倍率を第3の増倍率に切り替える。
【0128】
また、逆に、上記蛍光画像撮像モードの撮像期間において、通常画像撮像モードへの切替指示が入力された場合には、切替部64が励起光の射出から通常光の射出へと切り替える。そして、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62の絞り量を第1の絞り量に設定するとともに、励起光源63の駆動電流を最小駆動電流値に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27の増倍率を第1の増倍率に切り替えるとともに、蛍光画像用撮像素子28の増倍率を最小増倍率に切り替える。
【0129】
次に、蛍光画像と通常画像とを同時に撮像する同時撮像モードに設定されているときの作用について、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図14に示すS200の撮像準備のステップは、上述した図12にS80の撮像準備のステップと同様である。
【0130】
同時撮像モードにおいては、まず、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62に光量制御信号を出力し、絞り62の絞り量を第2の絞り量である最大絞り量に設定するとともに、励起光源63の駆動電流を最小駆動電流値に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27と蛍光画像用撮像素子28の増倍率を最小増倍率(第2の増倍率と第4の増倍率)に設定する(S202)。
【0131】
次に、操作者により硬質挿入部30が腹腔内に挿入され、硬質挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0132】
そして、次に、操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像ユニット40から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S204、YES)。光量制御部66は、入力された撮像開始を示す信号に応じて励起光源63の駆動電流を第1の駆動電流値に設定するとともに、絞り62の絞り量を第1の絞り量に設定する(S206)。また、撮像開始ボタン25Aが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S204、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像開始を示す信号に応じて蛍光画像用撮像素子28の増倍率を第3の増倍率に設定するとともに、通常画像用撮像素子27の増倍率を第1の増倍率に設定する。
【0133】
そして、励起光源63の駆動電流が第1の駆動電流値に設定され、絞り62の絞り量が第1の絞り量に設定されるとともに、蛍光画像用撮像素子28の増倍率が第3の増倍率に設定され、通常画像用撮像素子27の増倍率が第1の増倍率に設定された状態で、励起光および通常光が被観察部に照射される。なお、このとき切替部64は、通常光と励起光の両方とを射出するように切り替えるものとする。そして、通常光の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像は、結像光学系22およびダイクロイックプリズム26を透過して通常画像用撮像素子27に結像され、通常画像の撮像が開始される。一方、励起光の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像は、結像光学系22を透過した後、ダイクロイックプリズム26によって反射されて蛍光画像用撮像素子28に結像され、蛍光画像の撮像が開始される(S208)。
【0134】
そして、検査または手術などが終了した後、操作者により撮像ユニット40の撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像終了を示す信号が撮像ユニット40から光源ユニット60の光量制御部66に出力される(S210、YES)。
【0135】
光量制御部66は、入力された撮像終了を示す信号に応じて励起光源の駆動電流を再び最小駆動電流値に設定するとともに、絞り62の絞り量を再び最大絞り量に設定する(S202)。
【0136】
また、撮像終了ボタン25Bが押下されると、これに応じて撮像開始を示す信号が撮像制御ユニット24に入力される(S210、YES)。撮像制御ユニット24は、入力された撮像終了を示す信号に応じて蛍光画像用撮像素子28の増倍率を再び最小増倍率に設定するとともに、通常画像用撮像素子27の増倍率を再び最小増倍率に設定する(S202)。
【0137】
そして、次に操作者により撮像開始ボタン25Aが押下されるまでの間(非撮像期間)は、励起光源63の駆動電流は最小駆動電流値に維持されるとともに、絞り62に絞り量は最大絞り量に維持される。また、蛍光画像用撮像素子28と通常画像用撮像素子27の増倍率は最小増倍率に維持される。
【0138】
なお、上記同時撮像モードの撮像期間において、蛍光画像撮像モードへの切替指示が入力された場合には、切替部64が励起光のみの射出へと切り替える。そして、光源ユニット60の光量制御部66が、励起光源63の駆動電流を第1の駆動電流値に設定するとともに、絞り62の絞り量を最大絞り量に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27の増倍率を最小増倍率に設定するとともに、蛍光画像用撮像素子28の増倍率を第3の増倍率に切り替える。
【0139】
また、上記同時撮像モードの撮像期間において、通常画像撮像モードへの切替指示が入力された場合には、切替部64が通常光のみの射出へと切り替える。そして、光源ユニット60の光量制御部66が、絞り62の絞り量を第1の絞り量に設定するとともに、励起光源63の駆動電流を最小駆動電流値に設定する。また、撮像ユニット40の撮像制御ユニット24が、通常画像用撮像素子27の増倍率を第1の増倍率に切り替えるとともに、蛍光画像用撮像素子28の増倍率を最小増倍率に切り替える。
【0140】
また、上記第1から第4の実施形態においては、撮像開始を示す信号および撮影終了を示す信号として、撮像開始ボタン25Aによる撮影開始指示信号および撮像終了ボタン25Bによる撮影終了指示信号を用いるようにしたが、このような直接的に撮影開始および撮影終了を示す信号に限らず、間接的に撮影開始および撮影終了を示す信号でもよい。たとえば、腹腔鏡システムを用いて手術をする際に患者に設置されるトロッカー内を硬性鏡撮像装置10の硬質挿入部30が通過したことを検出し、その検出信号を撮影開始を示す信号および撮影終了を示す信号として用いるようにしてもよい。より具体的には、たとえば、図15に示すように、トロッカー70の挿入口に磁場を発生する磁場発生手段71を設けるとともに、硬質挿入部30の先端に磁場発生手段71の磁場を検出する磁場検出手段30eを設け、硬質挿入部30を体腔内に挿入する際に磁場検出手段30eにより検出された検出信号を撮影開始を示す信号とし、硬質挿入部30を体腔内から取り出す際に磁場検出手段30eにより検出された検出信号を撮影終了を示す信号としてもよい。
【0141】
また、硬質挿入部30の先端に、硬質挿入部30と生体の間との空間容量を検出する空間容量検出手段を設け、硬質挿入部30と生体の間との空間容量を検出することによって
硬質挿入部30の体腔内への挿入時および取出時を検出し、硬質挿入部30の体腔内への挿入時の検出信号を撮影開始を示す信号とし、硬質挿入部30の体腔内からの取出時の検出信号を撮影終了を示す信号としてもよい。
【0142】
また、トロッカー70の挿入口に、光を照射する光照射手段および光照射手段により照射され硬質挿入部30を反射した反射光を検出する反射光検出手段を設け、硬質挿入部30からの反射光を検出することによって硬質挿入部30の体腔内への挿入時および取出時を検出し、硬質挿入部30の体腔内への挿入時の検出信号を撮影開始を示す信号とし、硬質挿入部30の体腔内からの取出時の検出信号を撮影終了を示す信号としてもよい。
【0143】
また、トロッカー70の挿入口に、光を照射する光照射手段および光照射手段から照射された光を直接検出する光検出手段を設け、光照射手段から照射された光を光検出手段によって検出することによって硬質挿入部30の体腔内への挿入時および取出時を検出し、硬質挿入部30の体腔内への挿入時の検出信号を撮影開始を示す信号とし、硬質挿入部30の体腔内からの取出時の検出信号を撮影終了を示す信号としてもよい。
【0144】
また、上記第3の実施形態の腹腔鏡システムと第4の実施形態の腹腔鏡システムにおいては、被観察部の蛍光画像を取得するため励起光源を設けるようにしたが、被観察部が吸光特性を有するような吸収光を照射する特殊光源を設けるようにしてもよく、その場合においても、光源によって照射される光の光量を、撮像期間と非撮像期間とで切り替えるようにすればよい。
【0145】
なお、上記第1から第4の実施形態は、本発明の撮像装置を腹腔鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡装置を有するシステムなどその他の電荷増倍型撮像素子を備える装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 腹腔鏡システム
2 通常光源
3 画像処理装置
4 モニタ
5 ケーブル
10 硬性鏡撮像装置
20,40 撮像ユニット
20a 開口
22 結像光学系
23 電荷増倍型撮像素子
24 撮像制御ユニット
25 撮像開始終了受付部
25A 撮像開始ボタン
25B 撮像終了ボタン
26 ダイクロイックプリズム
27 蛍光画像用撮像素子
30 硬質挿入部
35 操作部
30e 磁場検出手段
50 光源ユニット
51 白色光源
54 光量制御部
60 光源ユニット
61 白色光源
63 励起光源
66 光量制御部
70 トロッカー
71 磁場発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷増倍型の撮像素子と、該撮像素子の増倍率を制御する増倍率制御信号を出力する増倍率制御部とを備えた撮像装置において、
前記増倍率制御部が、撮像期間における前記撮像素子の増倍率よりも非撮像期間における前記撮像素子の増倍率の方が小さくなるように前記撮像素子に増倍率制御信号を出力するものであることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記増倍率制御部が、前記非撮像期間における前記撮像素子の増倍率が最小増倍率になるように前記撮像素子に増倍率制御信号を出力するものであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
被観察部に照明光または特殊光を照射する光照射部と、
前記撮像期間において前記光照射部により照射される光量よりも前記非撮像期間において前記光照射部により照射される光量の方が小さくなるように前記光照射部を制御する光量制御部とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−268328(P2010−268328A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119421(P2009−119421)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
【Fターム(参考)】