説明

撮像装置

【課題】 従来、カバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源スイッチが押され続けると、撮像装置に電力が供給され続けて、電池が消耗してしまう。
【解決手段】 CPU21によって5ヶ所以上の同時操作入力がタッチパネル12に検出され、S6の判別が“YES”の場合には、S7で電源OFF処理が行われ、電源ボタン6が操作されても撮像部25の撮像動作に必要な電力を供給させない制御がCPU21によって行われる。このため、デジタルカメラ1がカバン等の中に収納された状態で不用意に電源ボタン6が操作されても、CPU21によって5ヶ所以上の同時操作入力がタッチパネル12に検出された場合には、デジタルカメラ1がカバン等の中に収納された状態でタッチパネル12がカバン等に接触しており、何らかの物によって電源ボタン6が操作されたと判断され、撮像部25の撮像動作に必要な電力が供給されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ボタンが操作されると撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の撮像装置としては、例えば、特許文献1に開示されたデジタルカメラがある。このデジタルカメラでは、電源スイッチの押下が検知されると、起動管理ブロックがCPUへの電源供給を開始する。その後、長押しと判定する所定の時間が経過すると、起動管理ブロックは電源スイッチの押下を再び確認する。この際、電源スイッチが押されていなかった場合、起動管理ブロックはCPUへの電源供給を停止させる。従って、このデジタルカメラでは、電源スイッチの押下が2回確認され、2回目で押下されていなかった場合、CPUの起動が中断されることにより、電源スイッチの誤操作や押下の誤検出が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−177612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のデジタルカメラのような撮像装置では、カバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源スイッチが押され続けると、2回目の確認で押下が検出されるため、撮像装置に電力が供給され続けて、電池が消耗してしまう。また、電源スイッチが押されることで行われるレンズ鏡筒の繰り出し動作がカバンやケース等に妨げられ、また、繰り出したレンズ鏡筒がカバンやケース等に衝突して、レンズ鏡筒に不具合が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
被写体像を撮像する撮像部と、
所定の装置機能を実行させる操作部と、
操作されると撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させる電源ボタンと、
操作部からの複数の同時操作入力を検出する操作入力検出部と、
操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出された場合には、電源ボタンが操作されても撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させない制御を行う電力供給制御部と
を備えて、撮像装置を構成した。
【0006】
本構成によれば、操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出された場合には、使用者が電源ボタンを操作する際、通常、操作部に複数の同時操作入力をすることはないため、電源ボタンが操作されても撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させない制御が電力供給制御部によって行われる。このため、撮像装置がカバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源ボタンが操作されても、操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出された場合には、撮像装置がカバンやケース等の中に収納された状態でその操作部がカバンやケース等に接触しており、何らかの物によって電源ボタンが操作されたと判断され、電力供給制御部によって撮像部の撮像動作に必要な電力が供給されない。この結果、不用意に電源ボタンが操作されて撮像部の撮像動作に必要な電力が供給された状態が継続して、撮像装置の電池が消耗してしまうことが防止される。
【0007】
また、本発明は、
沈胴位置から突出位置へ移動自在に構成されて撮像部へ被写体光を導くレンズ鏡筒と、
電源ボタンが操作された際に操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出されていない場合、レンズ鏡筒を沈胴位置から所定の突出位置へ駆動するレンズ鏡筒駆動部と
を備えて、撮像装置を構成した。
【0008】
本構成によれば、電源ボタンが操作された際に操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出されていない場合、レンズ鏡筒駆動部によってレンズ鏡筒が沈胴位置から所定の突出位置へ駆動される。このため、撮像装置がカバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源ボタンが操作されても、操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出された場合には、撮像装置がカバンやケース等の中に収納された状態でその操作部がカバンやケース等に接触しており、何らかの物によって電源ボタンが操作されたと判断され、レンズ鏡筒は沈胴位置から所定の突出位置へ駆動されない。この結果、不用意に電源ボタンが操作されて、レンズ鏡筒の繰り出し動作がカバンやケース等に妨げられ、また、繰り出したレンズ鏡筒がカバンやケース等に衝突して、レンズ鏡筒に不具合が生じてしまうことが防止される。
【0009】
また、本発明は、
撮像部によって撮像される被写体像を表示する画像表示部と、
画像表示部の表示面に配置されて、使用者が触れると所定の機能を実行させるタッチパネルとを備え、
電力供給制御部が、電源ボタンが操作された際に操作入力検出部によってタッチパネルから複数の同時操作入力が検出されると、撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させない制御を行うことを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、電源ボタンが操作された際に操作入力検出部によってタッチパネルから複数の同時操作入力が検出される場合、撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させない制御が電力供給制御部によって行われる。このため、撮像装置がカバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源ボタンが操作されても、操作入力検出部によってタッチパネルから複数の同時操作入力が検出されると、撮像装置がカバンやケース等の中に収納された状態でタッチパネルがカバンやケース等に接触しており、何らかの物によって電源ボタンが操作されたと判断され、撮像部の撮像動作に必要な電力が供給されない。
【0011】
また、本発明は、
操作入力検出部によって操作が検出される操作部が、電源ボタンと異なる筐体側面に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、 電源ボタンと異なる筐体側面に操作部が配置されていることにより、カバンやケース等と筐体側面との間で隙間のない状態に撮像装置が収納されることで、操作部が接触して操作されやすくなり、撮影装置がカバンやケース等の中に収納されていることを容易に識別できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による撮像装置によれば、上記のように、不用意に電源ボタンが操作されて撮像部の撮像動作に必要な電力が供給された状態が継続して、撮像装置の電池が消耗してしまうことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの外観の概略を示す正面斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの外観の概略を示す背面斜視図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラの電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【図4】図1に示すデジタルカメラの電源構成の概略を示すブロック図である。
【図5】図1に示すデジタルカメラの、情報取得ポイントが設けられたモニタを示す図である。
【図6】図1に示すデジタルカメラのCPUによって行われる電源起動処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明による撮像装置をデジタルカメラに適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0016】
図1は、この一実施の形態によるデジタルカメラ1の外観の概略を示す正面斜視図である。
【0017】
デジタルカメラ1は、筐体を構成するカメラボディ2と、このカメラボディ2の前面に設けられた撮影用のレンズ3とから構成される。同図(a)に示すデジタルカメラ1はレンズ3が沈胴位置、同図(b)に示すデジタルカメラ1はレンズ3が突出位置にある。カメラボディ2の正面から見て左側には、撮影時に撮影者によって握られるグリップ部4が設けられている。このグリップ部4の上面には、撮影用のシャッターボタンであるレリーズボタン5が設けられている。このレリーズボタン5の右方のカメラボディ2の上面には、操作されるとデジタルカメラ1の内部の各回路に動作電源を供給させる電源ボタン6が設けられている。また、カメラボディ2の正面から見て右上側には、被写体が暗い場合に明るさを確保するためのフラッシュ7が備えられている。
【0018】
図2は、デジタルカメラ1の外観の概略を示す背面斜視図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0019】
カメラボディ2の背面にはモニタ11が設けられている。モニタ11は、TFT(Thin Film Transistor)液晶などからなり、構図を確認するためのスルー画や、撮影情報などの各種情報を表示すると共に、撮影した画像を再生表示する。タッチパネル12は、モニタ11の表示面に配置されて、使用者が触れると所定の機能を実行させる。使用者によるモニタ11に対するタッチ操作は、タッチパネル12により検出される。
【0020】
モニタ11の右側には、ズームボタン13および十字ボタン14が配置されている。ズームボタン13は、モニタ11に表示される撮影画像を拡大、縮小表示させる際などに操作される。十字ボタン14は、上下方向および左右方向といった操作方向を検出する方向キーからなり、デジタルカメラ1の各種設定を行うメニュー画面において、種々の設定項目の中から所望の設定項目を選択する際などに操作される。十字ボタン14の中央には決定ボタン15が設けられている。決定ボタン15は、十字ボタン14の操作によって選択された所望の設定項目を決定する際などに操作される。また、これらのボタンは、モニタ11に表示されているメニュー画面などにおいて、モニタ11のタッチパネル操作で代用することもできる。レリーズボタン5、電源ボタン6、タッチパネル12、ズームボタン13、十字ボタン14、および決定ボタン15等は、所定の装置機能を実行させる操作部を構成する。
【0021】
図3は、デジタルカメラ1の電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【0022】
デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)21、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などで構成される不揮発性メモリ22、およびRAM(Random Access Memory)などで構成されるバッファメモリ23を備えている。不揮発性メモリ22には、CPU21が種々の制御を行う際に参照される制御プログラムなどが格納されている。CPU21は、不揮発性メモリ22に格納されている制御プログラムに従い、バッファメモリ23を一時記憶作業領域として回路各部の制御を行い、デジタルカメラ1の種々の装置機能を作動させる。
【0023】
被写体からの光は、光学系を構成するレンズ3を介してデジタルカメラ1内に取り込まれる。なお、レンズ3は、ズームレンズやフォーカスレンズを含む複数のレンズ群で構成されており、同図では1枚のレンズとして図示されている。デジタルカメラ1内に取り込まれた被写体光は、レンズ3の光軸上に配置された撮像部25の撮像面25a上に被写体像を投影する。レンズ3は、沈胴位置から突出位置へ移動自在に構成されて、撮像部25へ被写体光を導くレンズ鏡筒を構成する。撮像面25aには受光素子が2次元配列されている。撮像部25は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなり、撮像部25の撮像面25a上に結像した被写体像を撮像し、アナログの撮像信号に変換する。撮像信号は、AFE(アナログフロントエンド)回路26によりゲイン調整が行われ、デジタル信号に変換される。
【0024】
画像処理部27は、AFE回路26でデジタル信号に変換された撮像信号を取得し、取得した撮像信号に対して、色補間処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス処理などの画像処理を行い、撮影された画像の画像データを生成する。画像処理部27によって生成された画像データは、圧縮処理が施されてバス28を介してバッファメモリ23に一時格納されると共に、モニタ11にスルー画として表示される。モニタ11は、撮像部25によって撮像される被写体像を表示する画像表示部を構成する。また、モニタ11の表示領域に対して行われるタッチ操作は、CPU21に接続されたタッチパネル12によって検出される。タッチ操作が検出されると、タッチパネル12からタッチ操作検出信号が出力され、タッチ操作により入力される情報がCPU21に送出される。
【0025】
CPU21にはレリーズボタン5、電源ボタン6、および鏡筒駆動部31が接続されている。レリーズボタン5は、半押しされるとオートフォーカス機能を作動させ、鏡筒駆動部31によりレンズ3を移動させて焦点距離を自動調整し、全押しされると予め設定されたシャッター速度で図示しないシャッターを開かせ、被写体像を撮像部25の撮像面25aに所定時間露光させて、被写体の撮影を行わせる。撮影された画像データは、記録I/F部29を介して、図示しないスロットに着脱される、記憶媒体を構成するメモリカード30に記録される。また、電源ボタン6が操作されると、CPU21によって、DC電源回路33が制御されて、撮像部25の撮像動作に必要な各電気回路に電池32の電力が供給される。
【0026】
図4は、デジタルカメラ1の電源構成の概略を示すブロック図である。なお、同図において図3と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0027】
CPU21は、非バックアップ部21aとバックアップ部21bとから成り、バックアップ部21bには、ボタン電池などのバックアップ電源41から電力が常に供給されている。バックアップ部21bはこの電力供給を受けて常に動作しており、電源ボタン6が押されたか否かなどを常に監視している。
【0028】
電源ボタン6が押されると、バックアップ部21bは、DC電源回路33のEN1端子にイネーブル信号を送信する。この信号送信により、DC電源回路33の各チャンネルCH1、CH2、CH3を介して、CPU21の非バックアップ部21a、メモリ42、デジタルI/F43に電池32の電力が供給され、第1Boot状態となる。メモリ42は、不揮発性メモリ22や、バッファメモリ23、メモリカード30などを表している。デジタルI/F43は、記録I/F部29や、タッチパネル20のI/F部などを表している。この第1Boot状態で、タッチパネル20のI/F部に電力が供給されると、タッチパネル20に対するタッチ操作が検出されるようになり、タッチパネル20上に例えば図5に示すように設けられた9ヶ所の情報取得ポイント51についての操作入力の検出が可能になる。ただし、第1Boot状態では、モニタ11のLCDバックライト46に電力が供給されず、点灯していない。CPU21は、操作部を構成するタッチパネル12における各情報取得ポイント51からの複数の同時操作入力を検出する操作入力検出部を構成する。操作部を構成するタッチパネル12は、図2に示すように、デジタルカメラ1の上面にある電源ボタン6と異なるカメラボディ2の筐体側面に配置されている。
【0029】
電源ボタン6が操作された上述した第1boot状態において、タッチパネル12の複数の所定の情報取得ポイント51から複数の同時操作入力が検出されない場合、本実施形態では5ヶ所以上の情報取得ポイント51について同時操作入力が検出されない場合、バックアップ部21bは、DC電源回路33のEN2端子にイネーブル信号を送信する。この信号送信により、DC電源回路33の各チャンネルCH4、CH5、CH6を介して、撮像系44、鏡筒駆動系45、LCDバックライト46に電池32の電力が供給され、第2Boot状態となって、デジタルカメラ1の撮影機能が作動する。撮像系44は、撮像部25、AFE回路26、画像処理部27などを表している。また、鏡筒駆動系45は、鏡筒駆動部31などを表している。LCDバックライト46はモニタ11の背面に設けられてモニタ11を照明する光源である。各チャンネルCH4、CH5、CH6を介して電力が供給されると、鏡筒駆動部31によりレンズ3が沈胴位置から所定の突出位置へ駆動され、また、モニタ11が点灯して、デジタルカメラ1を用いた撮影が可能となる。鏡筒駆動部31は、電源ボタン6が操作された際に操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出されていない場合、レンズ3を沈胴位置から所定の突出位置へ駆動するレンズ鏡筒駆動部を構成する。
【0030】
一方、電源ボタン6が操作された上述した第1boot状態において、操作入力検出部によって5ヶ所以上の情報取得ポイント51について同時操作入力が検出された場合には、CPU21は、電源ボタン6が操作されても撮像部25の撮像動作に必要な電力を供給させない制御を行う。CPU21は、電源ボタン6が操作された際に操作入力検出部によってタッチパネル12における各情報取得ポイント51から複数の同時操作入力が検出されると、撮像部25の撮像動作に必要な電力を供給させない制御を行う電力供給制御部を構成する。
【0031】
図6は、デジタルカメラ1のCPU21によって行われる電源起動処理の概略を示すフローチャートである。
【0032】
同図に示すフローチャートにおいて、CPU21は、ステップ(以下、Sと記す)1において、電源ボタン6が押されたか否かを判別する。電源ボタン6が押されず、S1の判別が“NO”の場合、CPU21は、電源ボタン6が押されるまで待機状態となる。一方、電源ボタン6が押されて、S1の判別が“YES”の場合、次に、CPU21は、S2において、各チャンネルCH1、CH2、CH3を介して電池32から電力を供給する上述した第1boot処理を開始し、S3おいて、CPU21の初期化を行って、第1boot処理に対応して予め格納されているプログラムを読み込む。そして、S4において、読み込んだプログラムに従い、DC電源回路33を起動させてCPU21の非バックアップ部21a、メモリ42、デジタルI/F43に電力を供給する。これにより、第1boot処理が完了し、デジタルカメラ1は第1boot状態となる。この第1boot状態では、タッチパネル12の入力読み込みI/F機能が有効になる。次に、CPU21は、S5において、各情報取得ポイント51についての操作入力を検出する。
【0033】
CPU21は、S6において、検出された操作入力がタッチパネル12上の9ヶ所の情報取得ポイント51のうちの5ヶ所以上であったか否かを判別する。9ヶ所の情報取得ポイント51のうちの5ヶ所以上で操作入力があり、S6の判別が“YES”の場合、CPU21は、カバンの中などで何らかの物によって電源ボタン6が押されたと判断して、S7において、電池32からデジタルカメラ1への電力供給を停止する電源OFF処理を行う。これは、使用者がデジタルカメラ1の電源ボタン6を押すと同時に、タッチパネル12上の9ヶ所の情報取得ポイント51の半数以上を押すことは通常考えにくいからである。この電源OFF処理では、DC電源回路33のチャンネルCH1、CH2、CH3を介する、CPU21の非バックアップ部21a、メモリ42、デジタルI/F43への電池32の電力供給が停止される。
【0034】
一方、9ヶ所の情報取得ポイント51のうちの5ヶ所以上で操作入力がなく、S6の判別が“NO”の場合、CPU21は、使用者が電源ボタン6を押したと判断して、S8において、各チャンネルCH4、CH5、CH6を介して電池32から電力を供給する上述した第2boot処理を開始し、第2boot処理に対応して予め格納されているプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従い、撮像系44、鏡筒駆動系45、LCDバックライト46に電力を供給する。そして、S9において、鏡筒駆動系45を初期化して、鏡筒駆動部31によりレンズ3を沈胴位置から所定の突出位置へ駆動する。その後、CPU21は、S10において、LCDバックライト46によって照明されるモニタ11にスルー画等を表示することで、S11において、デジタルカメラ1を撮影可能状態とする。これにより、第2boot処理が完了し、デジタルカメラ1は第2boot状態となる。
【0035】
このような本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、CPU21によって複数の同時操作入力が検出され、図5、S6の判別が“YES”の場合には、S7で電源OFF処理が行われ、電源ボタン6が操作されても撮像部25の撮像動作に必要な電力を供給させない制御がCPU21によって行われる。このため、デジタルカメラ1がカバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源ボタン6が操作されても、CPU21によって5ヶ所以上の同時操作入力がタッチパネル12に検出された場合には、デジタルカメラ1がカバンやケース等の中に収納された状態でタッチパネル12がカバンやケース等に接触しており、何らかの物によって電源ボタン6が操作されたと判断され、CPU21によって撮像部25の撮像動作に必要な電力が供給されない。この結果、不用意に電源ボタン6が操作されて撮像部25の撮像動作に必要な電力が供給された状態が継続して、デジタルカメラ1の電池32が消耗してしまうことが防止される。
【0036】
また、本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、電源ボタン6が操作された際にCPU21によって5ヶ所以上の同時操作入力がタッチパネル12に検出されず、S6の判別が“NO”である場合に、S9で、鏡筒駆動部31によってレンズ3が沈胴位置から所定の突出位置へ駆動される。このため、デジタルカメラ1がカバンやケース等の中に収納された状態で不用意に電源ボタン6が押されても、CPU21によって5ヶ所以上の同時操作入力がタッチパネル12に検出され、S6の判別が“YES”である場合には、デジタルカメラ1がカバンやケース等の中に収納された状態でタッチパネル12がカバンやケース等に接触しており、何らかの物によって電源ボタン6が操作されたと判断され、S9の処理が行われないため、レンズ3は沈胴位置から所定の突出位置へ駆動されない。この結果、不用意に電源ボタン6が押されて、レンズ3の繰り出し動作がカバンやケース等に妨げられ、また、繰り出したレンズ3がカバンやケース等に衝突して、レンズ3に不具合が生じてしまうことが防止される。
【0037】
また、本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、図2に示すように、電源ボタン6と異なるカメラボディ2の筐体側面にタッチパネル12が配置されていることにより、カバンやケース等とカメラボディ2の筐体側面との間で隙間のない状態にデジタルカメラ1が収納されることで、タッチパネル12が接触して操作されやすくなり、デジタルカメラ1がカバンやケース等の中に収納されていることを容易に識別できる。
【0038】
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1が、沈胴位置から突出位置へ移動自在な沈胴式のレンズ3を備える構成であったが、デジタルカメラのカメラボディ表面に露出するレンズを覆う閉状態から、レンズをカメラボディ表面に露出させる開状態へ移動自在なバリアを備える、撮影レンズが屈曲式のデジタルカメラであってもよい。このようなカメラにおいても、不用意に電源ボタン6が操作されて撮像部25の撮像動作に必要な電力が供給された状態が継続して、デジタルカメラ1の電池32が消耗してしまうことが防止される。
【0039】
また、本実施形態では、電源ボタン6が押される際、タッチパネル12上の9ヶ所の情報取得ポイント51のうちの5ヶ所以上で操作入力があった場合に、何らかの物によって電源ボタン6が押されたと判断して、デジタルカメラ1への電力供給を停止する構成であったが、デジタルカメラ1への電力供給の基準となるタッチパネル12上の情報取得ポイント51の操作入力個数は5ヶ所に限らず、例えば、4ヶ所や6ヶ所等の他の値であってもよい。また、この構成において、情報取得ポイント51が4〜6ヶ所で同時操作入力され、物による操作入力か使用者による操作入力かの判断をつけ難い場合には、所定時間だけ確認画面をモニタ11に表示するようにしてもよい。確認画面において使用者が使用を続行する選択をした場合には、デジタルカメラ1へ電力を供給し、確認画面において使用者が使用を続行しない選択をした場合には、デジタルカメラ1への電力供給を停止する。また、確認画面を表示した後、所定時間経過しても選択が行われない場合には、何らかの物によって電源ボタン6が押されたと判断して、確認画面の表示を停止して、デジタルカメラ1への電力供給を停止する。また、情報取得ポイント51が2または3ヶ所の少ない箇所で同時操作入力された場合には、使用者が電源ボタン6を押したと直ちに判断して、デジタルカメラ1へ電力を供給し、情報取得ポイント51が7〜9ヶ所の多い箇所で同時操作入力された場合には、何らかの物によって電源ボタン6が押されたと直ちに判断して、デジタルカメラ1への電力の供給を停止する構成にしてもよい。
【0040】
また、本実施形態は、タッチパネル20上に図5に示すように設けられた9ヶ所の複数の情報取得ポイント51についての操作入力を検出する構成であったが、タッチパネル20上の操作入力を検出する情報取得ポイント51の個数は、9ヶ所に限らず、例えば、5ヶ所や20ヶ所などであってもよい。
【0041】
また、本実施形態では、電源ボタン6が押される際、タッチパネル12に複数の同時操作入力があった場合に、何らかの物によって電源ボタン6が押されたと判断して、デジタルカメラ1への電力供給を停止する構成であったが、電源ボタン6が押される際、十字ボタン14、 決定ボタン15、メニューボタン等の操作部について複数箇所で同時に操作入力が検出された場合に、デジタルカメラ1への電力供給を停止する構成であってもよい。この構成によっても本実施形態と同様な作用効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上記実施形態においては、本発明の撮像装置をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、ビデオカメラや、携帯電話機等に内蔵されるカメラ等のその他の撮像装置にも適用することが可能である。このような撮像装置に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0043】
3…レンズ
5…レリーズボタン
6…電源ボタン
13…ズームボタン
14…十字ボタン
15…決定ボタン
11…モニタ
12…タッチパネル
21…CPU
25…撮像部
31…鏡筒駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像部と、
所定の装置機能を実行させる操作部と、
操作されると前記撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させる電源ボタンと、
前記操作部からの複数の同時操作入力を検出する操作入力検出部と、
前記操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出された場合には、前記電源ボタンが操作されても前記撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させない制御を行う電力供給制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
沈胴位置から突出位置へ移動自在に構成されて前記撮像部へ被写体光を導くレンズ鏡筒と、
前記電源ボタンが操作された際に前記操作入力検出部によって複数の同時操作入力が検出されていない場合、前記レンズ鏡筒を沈胴位置から所定の突出位置へ駆動するレンズ鏡筒駆動部と
を備える撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像部によって撮像される被写体像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部の表示面に配置されて、使用者が触れると所定の機能を実行させるタッチパネルとを備え、
前記電力供給制御部は、前記電源ボタンが操作された際に前記操作入力検出部によって前記タッチパネルから複数の同時操作入力が検出されると、前記撮像部の撮像動作に必要な電力を供給させない制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記操作入力検出部によって操作が検出される前記操作部は、前記電源ボタンと異なる筐体側面に配置されていることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−135410(P2011−135410A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293996(P2009−293996)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】