説明

撮像装置

【課題】 携帯用袋ケース、鞄などに入れられて持ち運ばれる未使用時のカメラに電源がユーザの意図に反し不意に入った場合でも、鏡枠が繰り出されることがなく、レンズ鏡筒の損傷を防止した撮像装置を提供すること。
【解決手段】 撮像装置1は、伸縮自在な撮影レンズ鏡筒3と、電源スイッチ46と、外光を検出する撮像素子82、及び測光センサ37とを備え、電源スイッチ46が操作されて電源が入ると、撮像素子82、または測光センサ37により外光が検出されない場合、撮影レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに強制的に電源を切り、撮像素子82、または測光センサ37が外光を検出した場合、撮影レンズ鏡筒3の繰り出し制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈胴状態のレンズ鏡筒を繰り出して使用される撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡枠が沈胴するタイプのカメラは、再生モード以外で電源を入れると同時に鏡枠が繰り出す構成となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外力などによるレンズ鏡筒の損傷を防止するため、ユーザの手指が撮影モードボタンに接触したときの静電容量の変化を検出して、電源が入り、レンズ鏡筒を繰り出す制御を行なうカメラ及びカメラレンズ鏡筒制御方法が開示されている。尚、この従来のカメラは、撮影モード以外のボタンが操作されたときは、レンズ鏡筒を沈胴させる制御を行なう。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、CCDによってレンズキャップの有無を検出し、CCDによってレンズキャップが検出されなかった場合のみ、レンズ鏡筒を繰り出すカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−304632号公報
【特許文献2】特開2008−122827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンパクトカメラは、布、革などの柔らかな携帯用袋ケース、鞄などに入れて持ち運ばれることが多い。そのため、携帯用袋ケース、鞄の中などで、ユーザの意図に反して不意に使用しないカメラの電源が入ってしまった場合、レンズ鏡筒が繰り出してしまい、鏡枠に無理な付加が与えられ損傷を受ける可能性がある。このように鏡枠の損傷防止のために、上述した従来のカメラの技術を用いることで、カメラの使用時と未使用時の判別を行なうことができる。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来のカメラにおいては、ユーザが手袋などしている場合、静電容量の変化を検出できず、電源が入らず、レンズ鏡筒を繰り出す制御が実行されないという問題があった。また、上述した特許文献2のカメラの技術においては、レンズキャップのないコンパクトカメラに適用することができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、携帯用袋ケース、鞄などに入れられて持ち運ばれる未使用時のカメラの保護を目的とし、ユーザの意図に反して電源が不意に入った場合においても、鏡枠が繰り出されることがなく、レンズ鏡筒の損傷を防止した撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の撮像装置は、伸縮自在な撮影レンズ鏡筒を有する撮像装置において、撮影レンズ光軸方向に短縮された短縮状態と伸長した伸長状態とに伸縮可能な撮影レンズ鏡筒と、第1の操作部材と、外光を検出するセンサと、上記第1の操作部材が入力されると、上記センサにより外光を検出させ、該外光が検出されないときは上記撮影レンズ鏡筒の繰り出しを行なわずに強制的に電源を切り、上記センサにより外光が検出されたときには上記撮影レンズ鏡筒の繰り出し制御を行なう制御手段と、を具備することを特徴としている。
【0010】
本発明の第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置において、上記センサは、撮像素子であることを特徴としている。
【0011】
本発明の第3の撮像装置は、上記第1の撮像装置、または上記第2の撮像装置の何れかにおいて、さらに上記第1の操作部材とは異なる第2の操作部材を具備し、上記制御手段は、上記第1の操作部材と上記第2の操作部材が同時に操作されたときに強制的に電源をONにする制御を行なうことを特徴としている。
【0012】
本発明の第4の撮像装置は、上記第3の撮像装置において、複数の撮影モードを有し、
上記第1の操作部材、及び上記第2の操作部材とは異なる第3の操作部材を具備し、上記第3の操作部材は、上記複数の撮影モードの1つを選択するモードスイッチであることを特徴としている。
【0013】
本発明の第5の撮像装置は、上記第1の撮像装置、または上記第2の撮像装置において、さらに、上記撮影レンズの前面より退避する退避位置と該撮影レンズ前面を遮蔽する遮蔽位置とに駆動されるバリアを具備し、上記制御手段は、上記第1の操作部材が入力されると、上記バリアを上記遮蔽位置から上記退避位置へと駆動させ、上記センサにより、外光を検出させ、該外光が検出されないときは上記撮影レンズ鏡筒の繰り出しを行なわずに、上記バリアを該退避位置から該遮蔽位置へと駆動させ、上記電源を強制的に切る制御を行なうことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯用袋ケース、鞄などに入れられて持ち運ばれる未使用時のカメラに電源がユーザの意図に反して不意に入った場合でも、鏡枠が繰り出されることがなく、レンズ鏡筒の損傷を防止した撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るバリア付きカメラのバリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴の状態における光軸を含む横断面図である。
【図2】図1のカメラの前メタルカバーおよびレンズバリア,バリア駆動部を含むバリア装置の分解斜視図である。
【図3】図1のカメラの前本体,固定枠,駆動ユニットの分解斜視図である。
【図4】図1のカメラのレンズ鏡筒の一部の分解斜視図である。
【図5】図1のカメラのレンズ鏡筒の他の一部の分解斜視図である。
【図6】図1のカメラのバリア装置をバリアキャップが外された状態で前面側から見た斜視図である。
【図7】図6のバリア装置を背面側から見た斜視図である。
【図8】図6のバリア装置の正面図である。
【図9】図6のバリア装置の背面図である。
【図10】図1のカメラのレンズバリア閉状態における前メタルカバーを外した状態の正面図である。
【図11】図10の状態でさらにバリアキャップを外した状態の正面図である。
【図12】図1のカメラのレンズバリア開状態における前カバーを外した状態の正面図である。
【図13】図12のA−A断面図である。
【図14】図6のバリア装置の一動作状態を示す正面図であり、レンズバリアの閉方向の移動が外力で不意に阻止されたときの状態を示す。
【図15】図1のカメラのバリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴の状態での光軸を含む横断面図である。
【図16】図1のカメラのバリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴の状態におけるバリア体/バリアベース当接部分を含む面(光軸から外れた面)上の横断面図である。
【図17】図1のカメラのバリア開でレンズ鏡筒沈胴の状態での光軸を含む横断面図である。
【図18】図1のカメラのバリア開でレンズ鏡筒テレの状態での光軸を含む横断面図である。
【図19】図4,図5のレンズ鏡筒ワイド状態における光軸を含む縦断面図である。
【図20】図4,図5のレンズ鏡筒のフレア絞りの中央開口部周辺が前方に押し出された状態を示す図である。
【図21】図4,図5のレンズ鏡筒の上記フレア絞りの中央開口部周辺が後方に押し出された状態を示す。
【図22】図4,図5のレンズ鏡筒の固定枠の内周面と鏡筒駆動ギヤとの展開図に上記回転移動枠の外周ギヤ部,ヘリコイドネジ(雄),凸部の部分展開図を重ねて示した作動状態展開図であり、図22(A)は、図1のカメラがバリア閉、レンズ鏡筒沈胴状態にある駆動初期時の上記レンズ鏡筒の状態を示し、図22(B)は、図1のカメラがバリア開、レンズ鏡筒沈胴状態、および、レンズ鏡筒繰り出し状態(ワイド状態)にある時のレンズ鏡筒の状態を示し、図22(C)は、上記カメラがレンズ鏡筒ワイド状態からテレ状態に変化した時のレンズ鏡筒の状態を示す。
【図23】図4,図5のレンズ鏡筒の回転移動枠の内周部の展開図にカム枠のカムフォロアおよび直進枠のカム溝を重ねて示した作動図であって、バリア閉/沈胴状態からバリア開/沈胴状態、バリア開/繰り出し初期状態、バリア開/繰り出し終了状態、さらに、バリア開/ズーム状態(テレ状態)を示す図である。
【図24】図4,図5のレンズ鏡筒のカム枠のカムフォロアおよびカム溝を外周から見た展開図である。
【図25】図1のカメラの背面図である。
【図26】図1のカメラ内の電気的な構成を示すブロック図である。
【図27】図1のカメラの制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【図28】第2の実施の形態に係り、図1のカメラの制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【図29】第3の実施の形態に係り、図1のカメラの制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【図30】第4の実施の形態に係り、図1のカメラの制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【図31】第5の実施の形態に係り、図1のカメラの制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【図32】第6の実施の形態に係り、図1のカメラの制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を用いて本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のバリア付きカメラのバリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴の状態における光軸を含む横断面図である。図2〜図5は、上記カメラの分解斜視図であり、図2は、前メタルカバーおよびレンズバリア,バリア駆動部を含むバリア装置の分解斜視図、図3は、前本体,固定枠,駆動ユニットの分解斜視図、図4は、レンズ鏡筒の一部の分解斜視図、図5は、レンズ鏡筒の他の一部の分解斜視図である。図6は、上記バリア装置のバリアキャップを外した状態を前面側から見た斜視図である。図7は、上記バリア装置を背面側から見た斜視図である。図8は、上記バリア装置の正面図である。図9は、上記バリア装置の背面図である。図9は、上記カメラのレンズバリア閉状態で前メタルカバーを外した状態の正面図である。図11は、図10の状態でさらにバリアキャップを外した状態での正面図である。図12は、上記カメラのレンズバリア開状態で前メタルカバーを外した状態の正面図である。図13は、図12のA−A断面図である。図14は、上記バリア部の一動作状態を示す正面図であり、レンズバリアの閉方向の移動が外力で不用意に阻止されたときの状態を示す。
【0017】
なお、以下の説明において、カメラの撮影レンズ光軸をOとし、光軸Oと平行な方向をZ方向とする。Z方向の被写体側を前方側,結像側を後方側(背面側)とする。Z方向に対して直交する左右方向をX方向とし、その左右方向は、被写体側(前方側)から見た方向で示す。回転方向は、被写体側から見た反時計回り、または、時計回り方向で示す。
【0018】
本実施の形態の撮像装置となるカメラ1は、撮像素子としてCCDを内蔵する沈胴(短縮)およびズーム(伸長)可能な撮影レンズ鏡筒を有するバリア付きの防水カメラであって、図1に示すようにズーム駆動ユニット4などの各カメラ内蔵部材が収納される枠部材(カメラ本体)としての、レンズ開口部5aを有する前本体5と後本体6が配される。前本体5の前面部には、撮影レンズ開口窓部であるレンズ開口部7aを有する外装部材としてアルミニウム合金などからなる前メタルカバー7が接着固着もしくはネジにより固定され、同じく後本体6の背面部には、LCD表示窓を有する外装部材としてアルミニウム合金などからなる後メタルカバー9が接着固着もしくはネジにより固定される。さらに、前メタルカバー7と後メタルカバー9の間には、その周囲の一部に外装部材としてアルミニウム合金などからなる帯状の中メタルカバー8が配されている。また、前本体5の左端部には、開閉可能な外部端子/メモリカード蓋11が配されている。
【0019】
なお、前メタルカバー7のレンズ開口部7aの周辺は、X方向の右方側がZ方向後方に僅かに傾斜する傾斜面を形成しているものとする。
【0020】
前本体5と後本体6の内部には、X方向右寄りの位置にズーミング,フォーカシングが可能であって、撮影不可能位置な収納位置である沈胴位置(収縮位置)と、沈胴位置から繰り出された撮影可能位置(伸長位置)との間のレンズ移動軌跡上を進退移動するレンズ駆動装置を含むレンズ鏡筒3と、該レンズ鏡筒3およびレンズバリアを含むバリア装置2を駆動するためのズーム駆動ユニット4が内蔵、保持される。さらに、該内部には、X方向左寄りの前方側から電気回路基板12,13と上記基板13に実装される記録媒体スロット14および電池収納室に収納される主電源用電池17などが配され、レンズ鏡筒3の右側と前本体5の間の隙間にストロボ用メインコンデンサ15が収納され、後本体6のLCD表示窓の内側にLCD16が配されている。そして、前本体5と前メタルカバー7との間のスペースには、レンズバリア33および該レンズバリア33を駆動するためのバリア駆動部を含むバリア装置2が配されている。
【0021】
なお、前本体5と後本体6の接合部は、レンズ鏡筒3の周囲を含めて防水構造を有している。そして、前本体5と後本体6との上記接合部には、凸,凹嵌合部が形成されており、該嵌合部に紐状パッキン18が一周以上巻回されて挟持されており、該接合部のシールがなされている。但し、前本体5と前メタルカバー7の間は完全な防水構造を有してはおらず、前メタルカバー7内部にバリア装置2が収納されるが水滴が侵入しても特に問題となる部材は配されていない。
【0022】
ズーム駆動ユニット4は、図3に示すように電動駆動源となる駆動モータ41と、前本体5にビスによって固定支持されるギヤボックスに組み込まれ、かつ、駆動モータ41によって駆動されるギヤ列、および、該ギヤ列によって駆動される第1の出力ギヤ42および第1の出力ギヤ42と連動駆動される第2の出力ギヤ43とを有してなる。
【0023】
第1の出力ギヤ42は、レンズ鏡筒3の固定枠51のギヤ室51gに配されるロングギヤ状の鏡筒駆動ギヤ44に噛合する。鏡筒駆動ギヤ44は、後述するレンズ鏡筒3の回転移動枠52の外周ギヤ部52a(図4)に噛合し、該回転移動枠52を回動駆動することによってレンズ鏡筒の各構成鏡枠部材(図4,5)の進退回転駆動を行う。
【0024】
上記ギヤボックス内には、さらに、第2の出力ギヤ43と噛合するバリア駆動ギヤ45が回転可能に支持されて内蔵されている。バリア駆動ギヤ45を介してバリア装置2が駆動される。なお、バリア駆動ギヤ45は、嵌合角度が特定可能な非円形断面の出力軸端部45aを有し、バリア装置駆動用のピニオン23と後述する回転軸21を介して結合される。
【0025】
駆動モータ41により鏡筒駆動ギヤ44と回転移動枠52(図4)を介してレンズ鏡筒3の収納状態から撮影状態(または、その逆方向状態)までの回動進退駆動が行われ、かつ、バリア駆動ギヤ45とピニオン23,駆動リング24(図2)を介してバリア装置2の開閉駆動を行われるが、回転移動枠52と駆動リング24とは、連動関係にある。
【0026】
詳しくは、後述する図22の固定枠/回転移動枠の動作状態の展開図や図23の回転移動枠/直進枠/カム枠の動作状態の展開図を用いてあとで説明するが、カメラ1がバリア閉状態で、かつ、レンズ鏡筒3が沈胴状態にあるときの回転移動枠52の初期回動位置(バリア閉/沈胴位置)をP0として、駆動モータ41を始動させて、回転移動枠52が繰り出し準備(バリア開放)のための回転角θ0だけ回動し、繰り出しを始めるバリア開/沈胴位置P1に到達する(図22の展開図)。その後、回転移動枠52が上記レンズ鏡筒の繰り出し開始から終了まで回転角θ1だけ回動すると、繰り出し終了回動位置(すなわち、ワイド位置)であるバリア開/繰り出し終了位置P2に到達する。さらに、回転移動枠52を回転角θ2(ズーム回転角)だけ回動させるとバリア開/ズーム位置(テレ)P3に到達する。上述したレンズ鏡筒3の繰り出し準備、繰り出し、および、ズーム動作のためのトータルした回転角、すなはち、θ0+θ1+θ2だけ回転移動枠52は、駆動モータ41により駆動されるが、その回転移動枠52の回動に連動してバリア駆動ギヤ45,ピニオン23を介して駆動リング24が回転角θ0+θ1+θ2に対応する角度だけ回動駆動される。
【0027】
バリア装置2は、前述したように図2に示す被駆動部としてのバリア部材であるレンズバリア33と、被駆動部駆動手段(バリア駆動手段)としてのバリア駆動部とからなる。
【0028】
レンズバリア33は、その前面部にバリアキャップ34が接着により固着される円板形状の樹脂成形部材であり、駆動モータ41の駆動力により上記第2の出力ギヤ43および上記バリア駆動部を介してX方向に沿ってスライド移動される。そのスライド移動位置は、レンズ鏡筒3の撮影レンズである第1群レンズ71を含む鏡枠(回転移動枠52など)の前面に対向した光軸O上の対向位置であって、沈胴位置にある該撮影レンズを保護する保護位置(第1の位置)である閉位置、および、第1群レンズ71および回転移動枠52などの前面から退避した退避位置(第2の位置)である開位置である。さらに、後述するようにレンズバリア33が上記保護位置に移動したときは、レンズバリア33の左側がZ方向前方に僅かに回動して持ち上がり、バリアキャップ34がレンズ開口部7aに嵌入し、前面が前メタルカバー7のレンズ開口部7aまわりの前面部と同一面となるように移動する。
【0029】
レンズバリア33には、中央部に開口部33bと、該開口部内に光軸Oを中心にしてX方向に突出する2つの突起部33iと、該突起部の前面側にX方向に沿って設けられる切り欠きのある溝部33aと、突起部33iの左側に設けられる穴部33eの左方端部に配される斜面部33dと、光軸Oより僅かに左側に寄った部分の上下離間した位置に左方に突出する2つの当接部33cが設けられる。
【0030】
バリアキャップ34は、アルミニウム合金などの金属板製の部材であり、前メタルカバー7のレンズ開口部7aに嵌合可能な形状の前面側円形突出部を有し、該突出部の周囲に沿ってフランジ部34bが設けられる。
【0031】
上記バリア駆動部は、図2に示すように外部伝達部材としての回転軸部材である回転軸21と、回転軸21に結合される金属板製のピニオン23と、ピニオン押さえ板25と、前本体5に回動可能に保持され、駆動機構を構成するピニオン23と噛合する駆動リング24と、駆動リング押さえ板26と、駆動リング24と係合可能な第1の部材としてのスライダ27と、スライダ押さえ板28と、スライダ27と連動し、回動する第2の部材としてのバリアレバー29と、バリアレバー29とスライダ27とを相対的に互いに接近する方向に付勢する付勢手段であるトーションバネ31と、バリアレバー29によりスライド移動可能に支持される移動部材としての移動板32と、移動板32をX方向に沿ってスライドガイドするガイド軸35とを有してなる。
【0032】
回転軸21は、Z方向に沿って配される小円筒形状の軸部材であって、後方にバリア駆動ギヤ45の出力軸端部45aと相対回転規制状態で嵌入するメクラ穴である嵌合軸穴部21cが設けられ、外周部に形成される溝にはシール部材であるOリング22が装着されている。さらに、先端部には、ピニオン23の軸穴に回転規制状態で嵌合する嵌合凸部21bと先端軸部21aが設けられる。
【0033】
回転軸21は、図13に部分断面図に示すように前本体5の右方に配された貫通部である段付き貫通軸穴5eにOリング22を周上で挟んだ状態で回転可能に嵌入し貫通した状態で支持される。回転軸21の後方にはバリア駆動ギヤ45の出力軸端部45aが嵌入され、さらに、前方にはピニオン23と、が共に相対回転規制状態で嵌合される。そして、ピニオン押さえ板25がピニオン23の前方への移動を規制した状態で軸穴部25aに回転軸21の先端軸部21aを回転可能に嵌入させた状態でビスを前本体5のビス穴5mに螺着して前本体5に取り付けられる。
【0034】
従って、Oリング22によりシールされた状態で回転軸21が回転可能に貫通した状態でバリア駆動ギヤ45の回転が前本体5の外方に配されるピニオン23に伝達される。
【0035】
なお、上述のように前本体5の貫通軸穴5eが前本体5の外部とシールされることによって前述した本体接合部や他の接合部を含めて本体全外形面がシールされることになり、少なくとも前本体5と後本体6の内部は、防水された状態には保持される。なお、バリア装置2の構成部材が配される前本体5の前面と前メタルカバー7との間のスペ−スは防水された状態にはならないが、バリア装置2自体が特に防水を施す必要のない部材で構成されていることから特に問題にはならない。
【0036】
駆動リング24は、前本体5の光軸O中心のレンズ開口部5aの周辺(周囲)に沿って配される駆動リング嵌合外周部5bに回動可能に嵌入する部材であり、外周の所定の角度範囲に設けられるギヤ部24aと、ギヤ部24aの対向側外周部に係合,解除手段である切り欠き部24cと突起部24dが設けられている。
【0037】
ギヤ部24aは、ピニオン23と噛合するが、上記ギヤ部24aの所定角度範囲は、ピニオン23が駆動モータ41による前述したレンズ鏡筒の回転移動枠52の回転角度θ0,θ1,θ2のトータル角度に対応する角度分の回転を許容する範囲である。
【0038】
切り欠き部24cには、後述するスライダ27の従動ピン27bが駆動リング24の初期位置から時計回りの所定回動期間(回転移動枠52の回転角度θ0に対応する回動角度)だけ係合し、それ以上の回動では、切り欠き部24cから従動ピン27bの係合が解除される。駆動リング24の反時計回りの回動時には、逆に解除状態から係合状態に戻り、係合した状態で駆動リング24が反時計回りに回動することになる。そして、上記従動ピン27bの係合状態では、スライダ27がX方向の左方、または、右方にスライド移動する。解除状態では、スライダ27は左方移動位置に停止している。
【0039】
駆動リング押さえ板26は、凸部26aを前本体5の溝部5dに挿入してレンズ開口部5aに周辺に取り付け、ビスで固着される。該押さえ板26によって駆動リング24は、駆動リング嵌合外周部5bにZ方向に位置規制され、かつ、回動可能に支持される。また、該押さえ板26にはガイド軸35の軸押さえ突起26bやアース接片26dも設けられる。
【0040】
駆動リング押さえ板26のアース接片26dは、カメラ組み立て状態で前メタルカバー7の内面に電気的に接触する。一方、前メタルカバー7,中メタルカバー8,後メタルカバー9は、互いに電気的に接続状態にあり、さらに、中メタルカバー8と内蔵電気回路基板のグランドラインとがビス結合されている。従って、カメラ1のすべての金属製外装部は、電気回路側のグランドラインに落ちるようになっている。また、駆動リング押さえ板26の凸部26aの先端部は、レンズ鏡筒3の回転移動枠52の外周の金属製のキャップ62が繰り出された状態で極めて接近する位置に配されている。従って、レンズ鏡筒3のキャップに生じる静電気は、レンズ鏡筒繰り出し時に凸部26aの先端部を介して放電される。
【0041】
スライダ27は、従動ピン27bを駆動リング24の切り欠き部24cに嵌入係合させ、該ピンの先端部を前本体5のX方向のガイド溝5kに摺動可能に挿入させ、さらに、X方向のガイド溝27aを前本体5のボス部5hに摺動可能に嵌入させた状態で支持されて前本体5の前面下方部に取り付けられる。このスライダ27のX方向左側には、駆動ピン27cとバネ掛ケ部27dとが設けられる。
【0042】
スライダ押さえ板28は、ビスを前本体5のボス部5h上のビス穴5gと右方のビス穴5iに螺着して固定され、スライダ27をX方向にスライド可能な状態でそのZ方向を規制する。このスライダ押さえ板28には、左方先端に突出する突起部28bと中央部にX方向の長穴28cが設けられる。突起部28bは、スライダ27の駆動ピン27cがバリアレバー29の後述するカム部29bと当接したとき、駆動ピン27cと当接し、駆動ピン27cの下方向の分力を受ける。長穴28cは、組み立て時のスライダ27の操作用開口穴である。
【0043】
バリアレバー29は、軸穴29aを前本体5のボス部5nに駆動可能に嵌入させ、ビスをボス部5nのビス穴5jに螺着して装着される。このバリアレバー29には、軸穴29a近傍にカム部29bと、バネ掛部29dと、レバー端部に曲線状のガイド溝29cとが設けられる。
【0044】
バリアレバー29のカム部29bは、スライダ27の駆動ピン27cと当接していて、スライダ27のX方向に従動してバリアレバー29は、回動駆動される。ガイド溝29cには、移動板32の背面側に固着される頭付き連動ピン36が摺動可能に嵌入する。
【0045】
さらに、バリアレバー29のバネ掛部29dには、ボス部5nに挿入されたトーションバネ31の一方のバネ端31bが懸架される。バリアレバー29が時計回りに付勢される。トーションバネ31の他方のバネ端31aは、スライダ27のバネ掛ケ部27dに懸架される。トーションバネ31は、スライダ27をX方向左方にバリアレバー29と接近する方向に、また、バリアレバー29を時計回りに(スライダ27の駆動ピン27cとバリアレバー29のカム部29bとが当接する方向に)付勢するチャージ状態で組み込まれる。
【0046】
ガイド軸35は、X方向に沿った真直軸であり、一端が前本体5の左方の軸支部5fに支持され、他端がレンズ開口部5aの上方に位置する軸支部5cで支持される。
【0047】
移動板32は、レンズバリア33に対応する平面部をもつ、ステンレス鋼板などの金属板の部材であり、その平面部をZ方向に対して垂直に保った状態で、2つの軸摺動支持部32aと1つの中央軸押さえ凸部32bを挿通するガイド軸35によってX方向にスライド可能に支持される。
【0048】
この移動板32には、その中央部に光軸Oを中心とする嵌合部である嵌合溝32iが設けられ、嵌合溝上辺から左方方向にUターンした形状の付勢部としての片持ち梁状のバネ部32dが設けられ、バネ部32dの先端には、上下凸のT状先端部32eが設けられる。また、嵌合溝32iの左側に傾斜した舌片部32fが設けられ、光軸Oの左側の上下に前面側突起状の2つの凸部32gが設けられる。凸部32gの右側面部は傾斜面となっている。さらに、移動板32の下端部に突出した当接摺動部32hが設けられる。
【0049】
移動板32には、嵌合溝32iをレンズバリア33の突起部33iにX方向に相対的に摺動可能、かつ、回転規制状態で嵌合してレンズバリア33に取り付けられる。その取り付け状態では、移動板32は、T状先端部32eがレンズバリア33の溝部33aに当接し、バネ部32dの付勢力によりレンズバリア33を常時、後方(F方向(図6))に押圧する。また、レンズバリア33が閉位置にあるとき、舌片部32fがレンズバリア33の穴部33eに挿通した状態で、かつ、凸部32gの頂上部にレンズバリア33の当接部33cが当接する状態で位置する。
【0050】
レンズバリア33が開位置にあるときは、上記閉位置のときのレンズバリア33と移動板32の相対位置状態よりも移動板32がレンズバリア33に対して相対的にX方向左方に所定量スライド移動している。従って、舌片部32fがレンズバリア33の斜面部33dに当接し、かつ、レンズバリア33の当接部33cがバネ部32dの付勢力を受けて凸部32gから降下したX方向右側の平面部上に接触し、レンズバリア33が移動板32側に密着した状態に保持される。
【0051】
移動板32の裏面部には、頭付き連動ピン36に係合したバリアレバー29が挿入されており、移動板32にはバリアレバー29によるZ方向後方への付勢力が作用している。従って、移動板32のZ方向前方への浮き上がりが防止される。また、移動板32のZ方向後方へ変位(ずれ)は、移動板32の上方はガイド軸35で受け、下方は当接摺動部32hがスライダ押さえ板28の表面を摺接することで規制される。
【0052】
上述した構成を有するバリア装置2の組み立て状態は、前面側、または、背面側から見た斜視図として図6,図7に示される。
【0053】
次に、バリア装置2の開閉動作について、図1,図8〜図12,図14、さらに、図15〜図18などを用いて説明する。
【0054】
図15,図17,図18は、上記カメラの各動作状態における横断面図であり、図15は、バリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴の状態での光軸を含む横断面を示し、図16は、バリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴の状態におけるレンズバリア/移動板当接部分を含む面(光軸より下方の面)の横断面を示し、図17は、バリア開でレンズ鏡筒沈胴の状態での光軸を含む横断面を示し、図18は、バリア開でレンズ鏡筒テレの状態での光軸を含む横断面を示す。
【0055】
カメラ1がバリア閉状態、かつ、レンズ鏡筒沈胴状態である初期状態(完全沈胴状態)にあって、駆動モータ41を始動させるとレンズ鏡筒3の繰り出しは行われず、駆動モータ41の駆動によりバリア装置2の開放駆動が行われる。該バリア装置の開放駆動が終了すると、レンズ鏡筒3の繰り出しが開始される。なお、レンズ鏡筒3の進退駆動については、後で詳細に説明する。
【0056】
以下、バリア開閉動作について詳しく説明すると、レンズ鏡筒が完全沈胴状態にあって、駆動リング24が上記初期位置にある状態は、図1〜図3、または、図8〜図11に示すようにバリア装置2は閉状態にあって、レンズバリア33は、撮影レンズ(レンズ鏡筒の回転移動枠52などを含む)の前面を覆う閉位置にある。
【0057】
このバリア閉状態においては、スライダ27は、従動ピン27bが駆動リング24の切り欠き部24cに係合した状態でX方向右端位置に保持されている。バリアレバー29は、トーションバネ31の付勢力によってスライダ27に左端部に対して時計回りに回動付勢されており、連動ピン36を介して移動板32を右方(X方向)に移動させている(図10,図11)。レンズバリア33は、同様に右方向に移動した上記閉位置にある。レンズバリア33に対して移動板32が相対的に左側に移動していることから、レンズバリア33は、バネ部32dの付勢に抗して当接部33cが移動板32の凸部32g上に乗り上げた状態になっている(図16)。
【0058】
上述したレンズバリア33が閉位置にあるとき、バリアキャップ34を光軸O方向に押圧してもその押圧力はレンズバリア33の当接部33cの後面部が当接する凸部32gで受けられるので、バリアキャップ34,レンズバリア33がカメラ側内方に沈み込むことはない(図16)。一方、バリアキャップ34が前メタルカバー7のレンズ開口部7aに嵌り込み、バリアキャップ34のフランジ部34bが前メタルカバー7のレンズ開口部7aの内面側に当て付き、バリアキャップ34の前面が該レンズ開口部7aまわりの前面と一致した状態に保持されている。
【0059】
そこで、駆動モータ41が正回転方向に回転すると、回転移動枠52が初期回動位置(バリア閉/沈胴位置)P0からバリア開/沈胴位置P1に向けて回転を開始する(図22)。その回転角θ0の範囲では、あとで説明するように回転移動枠52は、繰り出されることなく回動するのみであり、また、レンズ鏡筒3の移動枠53(図4)などの他の繰り出し可能な鏡枠部材すべてが繰り出されることなく回転移動枠52が回動する。そして、繰り出しを始める位置に達する。上述した回転移動枠52の回動に連動して回転軸21が回転駆動され、前本体5の外側にある駆動リング24が最も反時計回りに回動した初期位置から時計回りに回動する。
【0060】
駆動リング24の上記時計回りの回動に伴って従動ピン27bを介して係合関係にあるスライダ27が左方(X方向)にスライド移動を開始し、駆動リング24が回転移動枠52の回転角θ0に対応した連動回転角だけ回動すると、従動ピン27bが駆動リング24の切り欠き部24cから外れて解放され、スライダ27は、その左方移動端位置で停止する。
【0061】
上述したスライダ27の左方へのスライド移動によりバリアレバー29は、トーションバネ31のチャージ力で当接状態にあるスライダ27の駆動ピン27cとバリアレバー29のカム部29bとを介して押圧駆動され、反時計回りに回動する。その反時計回りの回動により移動板32は、ガイド軸35に沿って左方へスライド移動する。移動板32の左方への移動の初期において、図1に示すようにバリアキャップ34は、まだ前メタルカバー7のレンズ開口部7aに嵌入しているので移動せず、移動板32のみが所定量左方に移動する。
【0062】
従って、移動板32のバネ部32dの付勢力でレンズバリア33の当接部33cが押圧されているので、移動板32の凸部32gの右側面を滑ってレンズバリア33が移動板32の前面と、が接触するようにZ方向後方に降下する。同時にレンズバリア33の斜面部33dが移動板32の舌片部32fと接触する。このレンズバリア33の移動板32に対するZ方向後方への相対移動によりバリアキャップ34のレンズ開口部7aとの嵌合が解放され、以後、移動板32とともにレンズバリア33,バリアキャップ34は、一体的に左方に開位置に向けてスライド移動する。そのとき、レンズバリア33は、移動板32のバネ部32dで後方の移動板側に付勢され、かつ、斜面部33dが舌片部32fの背面に接触しているので移動板32から浮き上がることはなく、バリアキャップ34は、前メタルカバー7の内方部を接触しない状態で左方に移動する(図17)。
【0063】
スライダ27が上述した左方移動端位置に到達すると、レンズバリア33およびバリアキャップ34は、レンズ鏡筒3の移動軌跡外の位置、すなわち、前メタルカバー7のレンズ開口部7aより退避した開位置、言い換えると撮影レンズの前面から退避した退避位置に位置する(図12)。
【0064】
上述した回転移動枠52の回転角θ0の回動後、駆動モータ41がさらに回転駆動され、回転移動枠52が反時計回りに回転角θ1だけ回動すると、レンズ鏡筒3の回転移動枠52および各進退可能な鏡枠部材の撮影可能な繰り出し位置への繰り出しが行われる。またさらに、回転移動枠52が回転角θ2の範囲で回動すると、各進退可能な鏡枠部材は、ワイド位置からテレ位置に進退移動する。上述した回転移動枠52の回転角θ1,θ2の範囲に対応して駆動リング24も連動して時計回りに回動するが、その駆動リング24の回動範囲では、スライダ27の従動ピン27bは、駆動リング24の切り欠き部24cから外れて、従動ピン27bが駆動リング24の外周部に当接した状態となる。このように従動ピン27bが駆動リング24の外周部に当接していることからスライダ27は、上述した左方移動端位置に留まり、バリアレバー29,移動板32も停止し、レンズバリア33とバリアキャップ34も上記開位置に留まる。
【0065】
レンズバリア33が上記開位置にある状態では、最外周の回転移動枠52をはじめ各進退可能な鏡枠部材がレンズバリア33に干渉することなく、前メタルカバー7のレンズ開口部7aを挿通して撮影可能位置へ繰り出される。
【0066】
その後、カメラをレンズ鏡筒沈胴状態に戻し、レンズバリア33を閉位置に移動させるには、まず、駆動モータ41を逆転駆動し、回転移動枠52をテレ位置から繰り込むため、回転角θ2、続いて、回転角θ1だけで時計回りに逆転回動駆動させる。その回転移動枠52の逆移転駆動に連動して、駆動リング24が対応した角度だけ反時計回りに回動駆動された時、スライダ27の従動ピン27bが突起部24dで押圧され、駆動リング24の切り欠き部24cに再度、係合する。
【0067】
続いて、回転移動枠52の時計回りの回転角θ0に対応して駆動リング24が反時計回りに回動されると、スライダ27が右方向に移動に移動する。その移動時、スライダ27の駆動ピン27cとバリアレバー29のカム部29bとは、トーションバネ31のチャージ力で当接した状態のままでバリアレバー29が時計回りに回動する(つまり、トーションバネ31のチャージ力でバリアレバー29が従動して時計回りに回動する)。該回動により移動板32,レンズバリア33,バリアキャップ34も共に右方向に移動する。
【0068】
スライダ27が右方向初期位置までスライド移動し、バリアキャップ34の外径部の右端部34aが前メタルカバー7のレンズ開口部7aの右端7a1に当接して、レンズバリア33の右方向の移動は停止する。しかし、さらに移動板32は所定量だけ右方向に移動する。そのとき、移動板32に対して相対的に移動するレンズバリア33の当接部33cがバネ部32dによるZ方向後方への付勢力に抗して移動板32の凸部32gの右側方からその頂点部に乗り上げる。そこで、移動板32は、レンズバリア33の内面側右端段部に当接して停止する。
【0069】
上記乗り上げ動作によりバリアキャップ34の外径部が前メタルカバー7のレンズ開口部7aに嵌入し、バリアキャップ34の表面が前メタルカバー7の表面に一致した状態となり、バリア閉位置に戻される。
【0070】
その後、駆動リング24は、さらに僅かに反時計回りに回動し、スライダ27のみをオーバーストロークさせてレンズバリア33および移動板32の上述したバリア閉位置への移動を確実に行わせて停止する。その停止状態では、トーションバネ31は、僅かな量だけチャージされ、スライダ27の駆動ピン27cとバリアレバー29のカム部29bとの間が僅かに離間し、隙間が生じる。この時点で回転移動枠52も上述した初期回動位置P0に戻る。
【0071】
なお、バリア装置2において、図14に示すようにバリア閉動作中にレンズバリア33の右側から外力Gが作用してバリアの閉動作が阻止された場合、レンズバリア33によって移動板32が左方に押圧され、バリアレバー29がトーションバネ31を撓ませながら反時計回りに回動移動する。このトーションバネ31の撓みによって、外力Gが吸収され、バリア装置2の変形や駆動モータ41のギヤ系などの破損を防ぐことができる。
【0072】
上述したバリア装置2の開閉動作において、バリアレバー29の反時計回りの回動中は、バリアレバー29のカム部29bをスライダ27の駆動ピン27cで押圧することによってバリアレバー29を回動駆動し、一方、バリアレバー29の時計回りの回動中は、バリアレバー29のカム部29bがスライダ27の駆動ピン27cに従動、あるいは、わずかに離間する状態でバリアレバー29が回動することから、上記動作中、トーションバネ31の開き角度α(図9)が大きく変動することがない。言い換えると、トーションバネ31のチャージ状態がほとんど変化しない。したがって、駆動モータ41のバリア装置2の駆動のための消費エネルギは、駆動付勢用バネ部材のチャージ量の変化の大きい従来のバリア駆動装置に対してきわめて少なくなる。
【0073】
次に、レンズ鏡筒3の構成について、図1や図4,図5の該レンズ鏡筒の分解斜視図を用いて説明する。
【0074】
レンズ鏡筒3は、前本体5に固定支持される第1の枠である固定枠51と、回転および進退移動が可能な第2の枠である回転移動枠52と、回転が規制され、カム枠55とともに直進移動が可能な移動枠53と、回転が規制され、直進移動が可能な枠部材であり、カム枠55により進退駆動される第1群枠54と、回転および進退移動が可能な枠部材であり、直進枠58によって進退駆動される第4の枠であるカム枠55と、撮影レンズである第1群レンズ71を保持する第1群レンズ保持枠72を進退可能に支持し、第1群枠54に固着支持されるフォーカス枠56と、回転が規制され、進退駆動される枠部材であって、撮影レンズである第2群レンズ73を保持する第2群レンズ保持枠74を保持し、カム枠55によって進退駆動される第2群枠57と、回転が規制され、直進移動が可能な枠部材であり、回転移動枠52とともに進退移動する第3の枠である直進枠58と、第2群枠57を直進ガイドする可動枠部材であるキーリング59と、キーリング59に貼付され、絞り装置を形成する絞り部材としてのフレア絞り60および直進枠58に貼付されるフレア絞り69(図18,19)と、固定枠51に固定支持されるCCD支持枠61とを有してなる。
【0075】
固定枠51は、円筒形状の枠部材であり、その内周部に回転移動制御手段として第2の領域に配されるヘリコイドネジ(雌)51bと、第1の領域の端部に配されるヘリコイドネジ(雌)端面51aと、ヘリコイドネジ51bの前端側周方向に沿った円周挿通部51iと、該円周挿通部と連通する3本の傾斜ガイド溝51cと、該連通ガイド溝に連通する周方向に沿った第3の領域に配される3つの円周ガイド溝51dとが設けられ、さらに、後端面開口部をもつ3本の直進ガイド溝51eが設けられる。
【0076】
また、固定枠51の外方の一部に内周部に開口するギヤ室51gと、その前方部に軸支穴51hが設けられる。このギヤ室51gには、軸部44aを軸支穴51hに嵌入させ、他方の軸部44bをCCD支持枠61の軸支穴61cに嵌入させた状態で鏡筒駆動ギヤ44が回転可能に支持され、収納される。
【0077】
固定枠51の前端面外周部には防水用のV字断面を有する防水用シールリング65が固着される。固定枠51が前本体5に固定されるとき、防水用シールリング65の外周部が前本体5の固定枠装着内周面に圧接される。
【0078】
回転移動枠52は、円筒形状の枠部材であり、その外周後方部の周上の一部分に平歯状の外周ギヤ部52aと、該外周上の他の部分に回転移動制御手段としてヘリコイドネジ(雄)52bと、外周ギヤ部52aおよびヘリコイドネジ52bに対してZ方向前方側に離間して配される回転移動制御手段として3つの凸部52cが設けられる。また、回転移動枠52の内周後方部には、周方向に沿い、後方開口部をもつカム枠駆動手段であるバヨネット機構用の円周溝52dと、該円周溝に対してZ方向に所定距離離間した周上に後方開口部をもつバヨネット機構用の円周溝52eと、後方開口部をもち、円周溝52dに連続(連通状態)するカム枠駆動手段である2本の直進溝52fと、円周溝52dに連続(連通状態)し、かつ、円周溝52eに交差しているZ方向に沿ったカム枠駆動手段である1本の直進溝52gとを有している(図23)。円周溝52dが直進溝52gと連続する部分、言い換えると、連通する部分の時計回り方向溝壁面部52hが設けられる(図23)。
【0079】
回転移動枠52の外周部には、金属製のキャップ62が嵌入され、接着される。また、回転移動枠52の内周先端部には、V字断面の防水用シールリング66が接着固定される。
【0080】
移動枠53は、円筒形状の枠部材であり、その外周後方部に直進ガイド凸部53aが設けられ、内周後方部に円周溝53bと、直進ガイド溝53dとが設けられる。
【0081】
移動枠53の外周部には、金属製のキャップ63が嵌入され、接着される。また、移動枠53の内周先端部には、V字断面の防水用シールリング67が接着固定される。
【0082】
第1群枠54は、レンズ開口部を有する前方円環部が形成された円筒形状の枠部材であり、その外周後方部に直進ガイド凸部54dが設けられ、内周後方部のピン穴54eにカムフォロア54cが固着される。第1群枠54の円環部の内側にはフォーカス枠56が上記円環部に設けられるビス挿通穴54bを挿通したビスをビス穴56aに螺着して固定される。
【0083】
フォーカス枠56は、フォーカスモータ70を含むフォーカシング駆動機構を内蔵し、また、上記フォーカシング駆動機構によって進退駆動される枠部材であって、第1群レンズ71を保持する第1群レンズ保持枠72を進退可能に支持している。
【0084】
第1群枠54の外周部には金属製のキャップ64が嵌入され、接着され、上記前方円環部に飾り板68が接着固定される。
【0085】
カム枠55は、円筒形状の枠部材であって、後方の段状外周部に光軸O方向に傾斜した側面および周方向に平行な側面を有する略平行四辺形断面をもつ、カム枠(第4の枠)回転制御手段である3つのカムフォロア55aと、カムフォロア55aの中心部に外方に突出する丸ピン状のカム枠駆動手段である3つのピン状カムフォロア55b0,55b1とが設けられる。上記段状外周部の前方にその先端部が上記段状外周部より低い、周方向に沿った3つのガイド凸部55cが設けられる。前方外周部には、カム手段であるカム溝55dが設けられ、内周後方部に円周溝55eと内周部にカム手段であるカム溝55fが設けられる。
【0086】
フォーカス枠56は、円形開口部を有する枠部材であって、上記円形開口部に第1群レンズ71を保持する第1群レンズ保持枠72が光軸O方向に進退可能な状態で挿入されている。また、フォーカス枠には、ステップモータからなるフォーカスモータ70が装着されており、フォーカス駆動時に第1群レンズ保持枠72を進退駆動する。
【0087】
第2群枠57は、内部に第2群レンズ73を保持する第2群レンズ保持枠74が組み込まれる枠部材であり、シャッタアクチュエータを含むシャッタ機構部およびフィルタアクチュエータを含むNDフィルタ機構部を内蔵している。この第2群枠57には、外方に突出するカムフォロア57bと、両側部にZ方向に延びる直進溝57aとが設けられる。
【0088】
キーリング59は、リング形状の枠部材であって、移動方向(光軸O方向)に直交する平面上に中央開口部(内周部)59eと外周部59aとを有し、外周部59aから外方に突出する3つの直進ガイド凸部59bと、開口部59eからZ方向前方に延びる真直状の2本のキー部59cとが設けられる。
【0089】
フレア絞り60は、ポリエステル材などのシート材からなる中央開口部60aをもつ変形可能な薄板リング形状の絞り部材であり、径方向に沿った切り込み60bおよび周方向に沿った切り込み60cを有している。このフレア絞り60は、外周3カ所に凹状取り付け部60dをキーリング59の背面側3箇所のフレア絞り装着部59dに接着して固定される。フレア絞り60の面は、キーリング59の背面側への装着状態でキーリング59の移動方向(光軸O方向)と直交する平面である。
【0090】
キーリング59に取り付けられたフレア絞り60は、後述するように中央開口部60aの周辺がZ方向の前方、または、後方に他の枠部材で押圧された場合、切り込み60bや60cにて弾性変形することによって中央開口部60a周辺が押圧方向に倣って変位し、キーリング59の中央開口部57e中を前方に通り抜けたり、あるいは、他の相対移動する枠部材の中央凸状部で中央開口部60a周辺を押して後方に移動させたりすることも可能である。
【0091】
直進枠58は、円筒形状の枠部材であって、後端フランジ部には外周に突出する直進ガイド凸部58aが設けられ、後端フランジ外周部寄りの円筒部には、径方向および周方向に沿って延びた5つのバヨネット爪となる凸部58bが設けられ、さらに、凸部58bの周方向位置からZ方向の所定距離離れた位置に径方向および周方向に沿って延びた1つのバヨネット爪となる凸部58cが設けられる。
【0092】
なお、5つの凸部58bと1つの凸部58cとは、必要に応じて円周上の要所に分散して配置されており、回転移動枠52や直進枠58にスラスト力が作用した場合に直進枠58、あるいは、回転移動枠52の変形や傾きが防止され、あるいは、破損が防止される。
【0093】
また、直進枠58の後端面には、シート部材からなるフレア絞り69が貼付されている。このフレア絞り69は、フレア絞り60と異なり、レンズ鏡筒3の進退動作時、変形することはない。
【0094】
直進枠58の円筒部には、内外周を貫通する溝であって、レンズ駆動用円周カム手段であって、カム枠(第4の枠)空転領域を与える円周カム溝部58e、および、繰り出しカム手段であって、カム枠(第4の枠)駆動領域を与える傾斜カム溝部58fとからなるカム枠(第4の枠)回転制御手段である3本のカム溝58dが設けられる。内周部には、後方に開口する3つの直進ガイド溝58hと、前方に開口する3本の直進ガイド溝58gとが設けられる。
【0095】
CCD支持枠61は、撮像素子であって、外光を検出するセンサとしても機能するCCD82および光学フィルタ81を保持するCCD支持板が固着され、CCD82および光学フィルタ81の前方に配されるCCD開口部61aと固定枠51の後方内周部に嵌合する嵌合部61bを有している。
【0096】
次に、上述したレンズ鏡筒3の各構成部材の組み付け、嵌合状態について説明する。
【0097】
なお、表1は、レンズ鏡筒3の組み付け状態において、各構成部材が互いに係合、または、嵌合する関係にある対応部分を示したものであり、表中、()内符号は、図4および図5の()中に記載された符号であり、各構成部材間で互いに係合/嵌合する部分を同一符号で示すものである。
【表1】

【0098】
まず、直進枠58には、カム枠55、第1群枠54,第2群枠57,キーリング59,移動枠53が組み付け嵌合される。
【0099】
詳しくは、第1群枠54は、カム枠55の外周部に相対回転,進退が可能な状態でカムフォロア54cをカム枠55のカム溝55dに摺動可能に嵌め込んだ状態で嵌入する。第1群枠54に固着されているフォーカス枠56は、カム枠55の内周部に挿入される。第2群枠57は、カムフォロア57bをカム溝55fに摺動可能に嵌め込んだ状態でカム枠55の内周部に相対回動,進退可能に嵌入する。
【0100】
キーリング59は、カム枠55の後方からその内周部に挿入され、外周部59aをカム枠55の内周の円周溝55eに回転可能な状態で嵌入し、さらに、キー部59cは第2群枠57の直進溝57aに摺動可能に嵌入する。
【0101】
カム枠55は、直進枠58の内周に後方からカム枠55の上記段状外周部を嵌合させて相対回動,進退可能な状態で嵌入する。そして、カム枠55のカムフォロア55aは、カム溝58dに摺動可能に嵌入する。
【0102】
移動枠53は、第1群枠54の前方から直進ガイド溝53dに第1群枠54の直進ガイド凸部54dを摺動可能に嵌入させた状態で相対的に進退可能に嵌合し、さらに、移動枠53の円周溝53bにカム枠55のガイド凸部55cが摺動可能に嵌入する。そして、移動枠53の直進ガイド凸部53aは、直進枠58の直進ガイド溝58gに摺動可能に嵌入する。直進枠58の直進ガイド溝58hには、キーリング59の直進ガイド凸部59bが摺動可能に嵌入させる。したがって、キーリング59は、直進枠58に対して回動が規制され、進退可能な状態で支持される。
【0103】
カム枠55などが組み付けられ、挿入された直進枠58は、回転移動枠52の内周に後方から挿入され、直進枠58の凸部58bを円周溝52dに、凸部58cを円周溝52eにそれぞれ摺動可能に嵌入させた状態で回転移動枠52に相対的に回動可能に、かつ、Z方向(光軸O方向)には一体的移動可能に嵌合する。その嵌合状態でカム枠55の2つのピン状カムフォロア55b0は、まず、回転移動枠52の円周溝52dに摺動可能に嵌入し、さらに、回転移動枠52の相対回転によって直進溝52f側に進入可能となる。また、カム枠55の1つのピン状カムフォロア55b1は、まず、回転移動枠52の円周溝52dに摺動可能に嵌入し、回転移動枠52の相対回転によって直進溝52g側に進入可能な状態で嵌合する。
【0104】
直進枠58などが組み付けられた回転移動枠52は、固定枠51の内周にヘリコイドネジ52bとヘリコイドネジ51bを螺合させた状態で回動,進退可能に嵌入する。また、回転移動枠52の凸部52cは、固定枠51の傾斜ガイド溝51cおよび円周ガイド溝51dに摺動可能に嵌合する。さらに、固定枠51の直進ガイド溝51eに直進枠58の直進ガイド凸部58aが摺動可能に嵌入する。
【0105】
そして、回転移動枠52の外周ギヤ部52aには鏡筒駆動ギヤ44が噛合し、回転移動枠52が鏡筒駆動ギヤ44によって回動駆動される。
【0106】
回転移動枠52などが組み込まれた固定枠51の後方内周部51fには、光学フィルタ81,CCD82が装着されたCCD支持枠61が嵌合部61bを嵌入させて固着される。
【0107】
なお、レンズ鏡筒3のまわりの防水構造としては、固定枠51と前本体5との間の接合部、および、固定枠51と回転移動枠52のキャップ62との間の摺動部は、固定枠51の先端に固着される防水用シールリング65によって防水シールがなされ、回転移動枠52の内周部と移動枠53のキャップ63との間の摺動部は、回転移動枠52の先端に固着される防水用シールリング66によって防水シールがなされ、さらに、移動枠53の内周部と第1群枠54のキャップ64との間の摺動部は、移動枠53の先端に固着される防水用シールリング67によって防水シールがなされ、レンズ鏡筒3と固定枠51の間が防水状態となる。
【0108】
上述したレンズ鏡筒3において、回転移動枠52は、鏡筒駆動ギヤ44によって回転駆動された場合、固定枠51に対してバリア駆動するための初期の期間に所定の角度だけ進退することなく回動後、ヘリコイドネジ51bによって繰り出され、繰り出された位置で回動する。この回転移動枠52の回動によって、以下のように各鏡枠の進退、または、回動が行われる。
【0109】
直進枠58は、固定枠51によって直進ガイド溝51eによって回転規制された状態で回転移動枠52とともに直進進退移動する。移動枠53は、直進ガイド溝58gによって回転規制された状態で、回転、かつ、進退移動するカム枠55のガイド凸部55cを介してその進退移動と一体の状態で進退する。
【0110】
カム枠55は、回転移動枠52が上記初期の所定角度回動する間、不動状態であるが、その後、回転移動枠52が回動すると直進枠58のカム溝58dによって回転しながら進退移動する。第1群枠54は、移動枠53の直進ガイド溝53dによって回転規制された状態でフォーカス枠56と一体にカム枠55のカム溝55dにより進退駆動される。第2群枠57は、直進枠58の直進ガイド溝で回動規制され,かつ、直進枠58と一体に進退するキーリング59によって回動が規制され、カム枠55のカム溝55fによって進退駆動される。
【0111】
ここで、レンズ鏡筒3の鏡枠進退動作時におけるフレア絞り60の変形状態について、図1,図19〜図21を用いて説明する。
【0112】
なお、図19は、上記カメラのレンズ鏡筒のワイド状態における光軸を含む縦断面図である。図20,図21は、上記レンズ鏡筒に適用されるキーリング59とフレア絞り60の斜視図であり、図20は、上記フレア絞りの中央開口部周辺が前方に押し出された状態を示し、図21は、上記フレア絞りの中央開口部周辺が後方に押し出された状態を示す。
【0113】
カム枠55の後方部に嵌入されているキーリング59の背面部にはフレア絞り60が貼り付けられている。図1に示すようにレンズ鏡筒3が沈胴状態にあるときは、キーリング59の開口部59e内方にCCD支持枠61の開口部61a周辺の凸部が進入している。そのとき、フレア絞り60は、図20に示すようにフレア絞り60の切り込み部60bが変形し、同時に周方向に切り込まれた切り込み部60cによって形成される梁状部60e,60fも変形してフレア絞り中央開口部60aの周辺が前方に変位してキーリング59の開口部59eを通り抜け可能であることから、上述したCCD支持枠61の開口部61a周辺の凸部がキーリング59の開口部59eへの進入が可能となる。
【0114】
また、図19に示すようにレンズ鏡筒3がワイド状態にあるときは、キーリング59よりも後方に第2群枠57の後端面が出る状態になる。その状態でフレア絞り60は、図21に示すようにフレア絞り60の切り込み部60bが変形し、同時に切り込み部60cによって形成される梁状部60e,60fも変形してフレア絞りの中央開口部60aの周辺が後方に変位する。この変位のより前述したようにキーリング59の開口部59eより後方に第2群枠57の後端面が出る状態を許容する。
【0115】
次に、カメラ1における上述した構成を有するレンズ鏡筒3の進退動作をバリア装置2の開閉動作に合わせて図1,図15〜図19,図22〜24などを用いて説明する。
【0116】
図22(A),(B),(C)は、上記レンズ鏡筒の固定枠の内周面と鏡筒駆動ギヤとの展開図に上記回転移動枠の外周ギヤ部,ヘリコイドネジ(雄),凸部の部分展開図を重ねて示す内周側から見た作動状態展開図であり、図22(A)は、上記カメラがバリア閉、レンズ鏡筒沈胴状態にある駆動初期時のレンズ鏡筒の状態を示し、図22(B)は、上記カメラがバリア開、レンズ鏡筒沈胴状態、および、レンズ鏡筒繰り出し状態(ワイド状態)にある時のレンズ鏡筒の状態を示し、図22(C)は、上記カメラがレンズ鏡筒ワイド状態からテレ状態に変化した時のレンズ鏡筒の状態を示す。図23は、上記レンズ鏡筒の回転移動枠の内周部の展開図にカム枠のカムフォロアおよび直進枠のカム溝を重ねて示す内周側から見た作動状態展開図であって、バリア閉/沈胴状態からバリア開/沈胴状態、バリア開/繰り出し初期状態、バリア開/繰り出し終了状態、さらに、バリア開/ズーム状態(テレ状態)を示す図である。図24は、上記レンズ鏡筒のカム枠のカムフォロアおよびカム溝を外周から見た展開図である。
【0117】
カメラ1を図1,図15に示すバリア閉、かつ、レンズ鏡筒沈胴状態から沈胴状態を維持してバリア開状態にするには、駆動モータ41を正転駆動し、鏡筒駆動ギヤ44を介して回転移動枠52を初期位置(バリア閉/沈胴状態位置)P0から反時計回りに角度θ0(第1の領域)だけ回転させる(図4のD1方向回動)。そのとき、駆動リング24も回転移動枠52の角度θ0に対応する角度だけ連動して駆動され(図2のD3方向回動)、前述したようにバリア装置2のレンズバリア33が図1,図15に示す閉位置(保護位置)から図17に示す開位置(退避位置)に移動する。
【0118】
レンズ鏡筒3側は、図22(A)の初期位置P0にあって固定枠51のヘリコイドネジ(雌)51bと非螺合状態にある回転移動枠52が反時計回りに角度θ0(第1の領域)だけ回動して図22(B)に示すバリア開/沈胴状態位置P1に達すると、ヘリコイドネジ(雄)52bがヘリコイドネジ(雌)端面51aに接触する状態となる。上記角度θ0の回動範囲では、ヘリコイドネジ52bがまだ螺合状態にないので回転移動枠52の光軸O方向の繰り出しはなされない(沈胴位置のまま)。
【0119】
一方、回転移動枠52が初期位置P0にあるとき、直進枠58の5つの凸部58bと1つの凸部58cが常時、摺動可能に嵌入している回転移動枠52の円周溝52dおよび52eには、さらに、カム枠55のピン状カムフォロア55b0,55b1がそれぞれ嵌入している(図23の回転移動枠52(P0)の状態)。そこで、回転移動枠52が角度θ0だけ回動すると(位置P1まで回動)、ピン状カムフォロア55b0の方は、円周溝52d上を相対移動して回転移動枠52の直進溝52fと光軸方向において対向する状態となる。一方、ピン状カムフォロア55b1方は、円周溝52dを相対的に移動し、円周溝52dの溝壁面52hに接触し、該壁面に連なる回転移動枠52の直進溝52gと光軸方向において対向する状態となる(図23の回転移動枠52(P1)の状態)。
【0120】
上述した回転移動枠52が角度θ0だけ回動するとき、カム枠55のピン状カムフォロア55b0,55b1は、円周溝52d上にあるのでカム枠55の光軸O方向の移動はない。また、カム枠55の直進枠58に対する回動もなされないので、カム枠55のカムフォロア55aは、直進枠58のカム溝58dの傾斜カム溝部58fの後方端部に止まっている。従って、直進枠58の光軸O方向の移動もなく、第1群枠54の進退移動もない。言い換えると、レンズ鏡筒3の全鏡枠部材の光軸O方向の繰り出しがなされず、沈胴位置に留まり、レンズバリア33の繰り出し動作には支障がない。
【0121】
続いて、回転移動枠52がバリア開/沈胴状態位置P1から反時計回りにバリア開/繰り出し終了位置P2に向けて回動駆動された場合、すなわち、回転角θ1の回動範囲(第2の領域)に入ると、回転移動枠52は、ヘリコイドネジ(雄)52bがヘリコイドネジ(雌)端面51aに当接して繰り出し方向の力を受けるので、ヘリコイドネジ(雄)52bがヘリコイドネジ(雌)51bに螺合する状態となり、回転移動枠52が光軸O方向に回転しながら繰り出しを開始する(図22(B))。図22(B)に示すH方向は、回転移動枠52の展開図上における移動方向を示している。
【0122】
なお、直進枠58の凸部58b,58cが回転移動枠52の円周溝52d,52eに嵌入しているので非回転状態の直進枠58も回転移動枠52とともに繰り出される。この繰り出し開始時、すでにレンズバリア33は図17に示すように開位置(退避位置)に移動しているのでレンズ鏡筒の繰り出しには支障がない。
【0123】
一方、回転移動枠52の上記回動駆動によりピン状カムフォロア55b1が回転移動枠52の直進溝52g端部の溝壁面52hによって反時計回りの回転力を受け、カム枠55が回転移動枠52と一体になって反時計回りに回動を開始する(図23の回転移動枠52(P1)の状態)。カム枠55の反時計回りの回動開始によってカムフォロア55aが直進枠58のカム溝58dのうちの傾斜カム溝部58f上のカム枠駆動領域を摺動し、カム枠55の直進枠58に対する相対的な光軸O方向への繰り出しが開始される。また、同時にカム枠55にガイド凸部55cで連結されている移動枠53も非回転状態で光軸O方向へ繰り出される。
【0124】
なお、カム枠55の回動開始によりカム溝55dとカムフォロア54cを介して第1群枠54,フォーカス枠56がワイド位置に向け、カム枠55に対する相対的な繰り出しを開始し、また、カム溝55fとカムフォロア57bを介して第2群枠57がワイド位置に向け、カム枠55に対する相対的な繰り込みを開始する(図24)。
【0125】
上記カム枠55の繰り出し開始によってピン状カムフォロア55b1は、回転移動枠52の直進溝52gに進入し、同時にピン状カムフォロア55b0も回転移動枠52の直進溝52fに進入する。それ以後は、ピン状カムフォロア55b1と55b0とが回転移動枠52の直進溝52gと52fによる回動駆動力を共に受けてカム枠55が反時計回りに回動され、カムフォロア55aが直進枠58の傾斜カム溝部58f上を摺動し続ける。
【0126】
回転移動枠52が回転角θ1の範囲内であって、バリア開/沈胴状態位置P1から回転角θaだけ回動し、カム枠55が繰り出し量S0だけ繰り出されたとき(図23の回転移動枠52(P1〜P2)の状態)、回転移動枠52の直進溝52gに進入しているピン状カムフォロア55b1が、直進溝52gの円周溝52eとの交差部分に到達する。そのとき、他の方のピン状カムフォロア55b0が交差部分のない直進溝52fでガイドされているのでピン状カムフォロア55b1が直進溝52gから逸脱することなく、正常なカム枠55の回動、繰り出しが続行される。
【0127】
回転移動枠52が回転角θ1の範囲(第2の領域)だけ回動し、バリア開/繰り出し終了位置P2(言い換えるとワイド位置)に到達すると、回転移動枠52のヘリコイドネジ52bが固定枠51のヘリコイドネジ51bとの螺合状態を通過して円周挿通部51iに達する(図22(B))。回転移動枠52の外周ギヤ部52aも同様に円周挿通部51iに達する。さらに、回転移動枠52の凸部52cは、固定枠51の傾斜ガイド溝51cを通過して円周ガイド溝51dの端部(入り口)に達する。なお、直進枠58も回転移動枠52とともに光軸O方向に繰り出されている。
【0128】
一方、カム枠55のカムフォロア55aは、直進枠58の傾斜カム溝部58fの終端、すなわち、円周カム溝部58eの端部(入り口)に達し(図23の回転移動枠52(P2)の状態)、カム枠55は、直進枠58に対して(従って、回転移動枠52に対しても)相対的に繰り出し量S1だけ繰り出される。移動枠53もカム枠55とともに繰り出される。
【0129】
また、図24のカム溝展開図に示すようにカム枠55のカム溝に係合しているカムフォロア54c,57bが回転移動枠52の回転角θ1の範囲だけカム溝55d,55f上を摺動し、第1群枠54,フォーカス枠56がワイド位置まで繰り出され、同時に第2群枠57がワイド位置まで繰り込まれる。
【0130】
カメラ1は、上述したように回転移動枠52の回転角θ0(第1の領域)の回動によりレンズバリア33を開放した後、回転移動枠52の回転角θ1(第2の領域)の回動によって各鏡枠部材が進退駆動され、レンズ鏡筒3が沈胴状態から撮影可能な繰り出し状態(ワイド繰り出し状態)にセットされる(図19)。
【0131】
続いて、図22(C)に示すように回転移動枠52がバリア開/繰り出し終了位置P2からバリア開/ズーム(テレ端)位置P3に向けてさらに回転角θ2の範囲(第3の領域)を回動駆動された場合、回転移動枠52の凸部52cは、固定枠51の円周ガイド溝51dに進入し、ガタのない状態で摺動移動する。また、ヘリコイドネジ52bおよび外周ギヤ部52aは、固定枠51の円周挿通部51i中を移動する。
【0132】
回転移動枠52が上述のように凸部52cが固定枠51上の円周ガイド溝51dに沿ってガイドされて回動した場合、回転移動枠52は、光軸O方向に進退移動することなく回動する。直進枠58も回転移動枠52とともに光軸O方向に進退移動することなく保持される。
【0133】
一方、カム枠55は、カムフォロア55aが直進枠58の円周カム溝部58eに進入し、ガタのない状態で摺動移動することから回転移動枠52とともに直進枠58に対して進退することなく、言い換えれば、空転領域上を光軸O方向に進退移動することなく回動する。
【0134】
上述したようにカム枠55が進退しない状態で回転移動枠52,カム枠55が回転角θ2の範囲を回動した場合、図24に示すように第1群枠54のカムフォロア54cがカム枠55のカム溝55dを摺動移動し、ワイド位置からテレ位置への第1群枠54の進退が行われる。同時に第2群枠57のカムフォロア57bがカム枠55のカム溝55fを摺動移動し、ワイド位置からテレ位置への第2群枠57の進退が行われる。図18は、レンズ鏡筒3がテレ位置に繰り出された状態を示している。
【0135】
上述した撮影可能状態にあるカメラ1をワイド状態から沈胴状態に戻し、さらに、バリア閉状態にする場合は、駆動モータ41を逆転駆動させ、図22Bに示す回転移動枠52を位置P2から位置P1まで回転角θ1だけ時計回りに回動させながら沈胴位置に繰り込むと、他の鏡枠部材も同様に沈胴位置に繰り込まれる。その回動期間中、前述したバリア装置2の駆動リング24も反時計回りに連動して回動するが、この回動範囲ではスライダ27が駆動リング24に係合されていないので左方移動位置に止まり、レンズバリア33は、開状態を維持している。
【0136】
さらに、駆動モータ41を逆転駆動すると、回転移動枠52が図22Aに示すバリ開/沈胴位置P1からバリア閉/沈胴位置P0まで時計回りに回転角θ0だけ回動する。同時に駆動リング24がさらに反時計回りに回動するのでスライダ27が右方へのスライド移動を開始し、レンズバリア33が前述した閉位置(保護位置)に移動する。この回転移動枠52の時計回りの回転角θ0の回動によりカメラ1は、初期状態であるバリア閉/レンズ鏡筒沈胴状態に戻される。
【0137】
上述した本実施の形態のバリア付きカメラ1は、防水カメラとして機能するが、前述したように前本体5の前面と前メタルカバー7との間のスペ−スにレンズバリアを開閉するバリア装置2が配置され、バリア装置2を駆動するための回転軸21は、前本体5の貫通軸穴5eを貫通して外部のバリア装置2側に突出して配置される。バリア装置2は、特に防水する必要がない部材で構成されており、特に防水の必要はない。一方、カメラ1の駆動源などがその内部に配される前本体5と後本体6とは、周囲の接合部および貫通軸穴5eを防水することによって防水状態とすることができる。特に貫通軸穴5eは、該穴部に嵌入される回転軸21の外径部に装着されるOリング22によって防水シールされ、前本体5の内部を確実に防水状態とすることができる。
【0138】
ところで、本実施の形態のバリア付きカメラ1は、図3に示すように、前本体5に形成された孔部5pに、測光センサ37が前本体5の前面において、前メタルカバーに設けられた開口7bを介して、露出するように配置される。この測光センサ37は、外光を受光して検出する受光センサを構成している。また、前本体5の上方縁辺部には、本実施の形態における第1の操作部材である電源スイッチ46と、シャッタボタン47と、レンズ鏡筒3を伸縮操作して所望のワイド状態、及びテレ状態を設定するズームレバー48が配設されている(図25)。
【0139】
なお、後メタルカバー9には、図25に示すように、撮影画像を表示するLCD(液晶モニタ)38と、撮影モードなどを切替えるモードスイッチのモードダイヤル75と、メニューボタン76と、再生ボタン77と、露出補正などを操作する十字ボタン78と、OK(ファンクション)ボタン79と、メモリ内に格納された画像データ消去などを操作するボタン83と、LCD38の表示切替などを操作するボタン84と、が配設されている。また、図25は、図1のカメラの背面図である。
【0140】
以上のように構成されたカメラ1は、図26に示すように、周知のCPU,ROM、タイマ(いずれも不図示)などを備えた制御手段としての制御部91が内蔵されている。なお、図26は、カメラ内の電気的な構成を示すブロック図である。
【0141】
この制御部91は、鏡枠駆動回路93、CCD駆動回路94、A/D変換回路96、及びSDRAM(ワークメモリ)97、センサ駆動回路92、画像信号処理回路98などが接続されている。また、制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46、第2の操作部材であるOKボタン79、第3の操作部材であるモードダイヤル75、各種ボタン83,84(図26では不図示)などが接続されている。
【0142】
CCD駆動回路94は、電気的に接続されたCCD82を駆動制御する。CCD82は、
光電変換したアナログ画像信号をA/D変換回路96に出力する。このA/D変換回路96により、デジタル化されたデジタル画像信号は、SDRAM97に出力されて一時記録される。そして、SDRAM97に一時記録されたデジタル画像信号は、画像信号処理回路98によって、信号処理が施され、LCD38に表示する最適な表示用画像データ化がされる。
【0143】
また、この表示用画像データは、画像信号処理回路98と電気的に接続された記録媒体スロット14(図1)へ着脱自在なSD(登録商標)、xDピクチャーカード(登録商標)などの記録媒体のメモリカード99へ格納(記憶)される。また、画像信号処理回路98は、メモリカード99に格納された表示用画像データを再読込みして、読込んだ表示用画像データをLCD38に表示用画像信号として出力することもできる。
【0144】
鏡枠駆動回路93には、電流検出回路95が接続されている。この電流検出回路95は、バリア装置2、及びズーム駆動ユニット4を鏡枠駆動回路93が駆動したとき、なんらかの不具合、例えば、鏡筒移動が出来ていないなどの不具合がバリア装置2、ズーム駆動ユニット4に生じたときに、それを検出するためのものである。つまり、鏡枠駆動回路93は、バリア装置2、及びズーム駆動ユニット4を駆動制御する。
【0145】
センサ駆動回路92は、受光センサである測光センサ37が接続されている。測光センサ37は、ここでは、上述したように外光を検出して、センサ駆動回路92を介して、検出信号を制御部91へ出力する。
【0146】
ここで、制御部91が実行する電源ON時の制御例について、図26、図27などを用いて説明する。なお、図27は、制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【0147】
本実施の形態のカメラ1の制御部91は、電源スイッチ46が押下されると、図27に示すフローチャートに従って各処理を実行する。
制御部91は、電源スイッチ46が押下(ON)されて起動すると、バリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態に制御する(ステップS1)。すなわち、電源スイッチ46が押下されると、制御部91に電源スイッチ46から信号が入力されて、カメラ1の電気的な構成要素が起動する。
【0148】
このとき、制御部91は、鏡枠駆動回路93に制御信号を出力し、鏡枠駆動回路93が電流検出回路95にモニタされながら、ズーム駆動ユニット4に駆動電流を供給する。これによって、最初にレンズ鏡筒3を繰り出さずに、バリア装置2のレンズバリア33は、上述したように、閉位置(遮蔽位置、図1,図15)から開位置(退避位置、図17)に移動する。
【0149】
次に、制御部91は、撮像素子であるCCD82によって検出する外光(被写体輝度)が所定レベル以上であるか否かの判定を行なう(ステップS2)。ここでは、バリア装置2のレンズバリア33が開状態となることで、レンズ鏡筒3を介して、入射される光をCCD82が測光して、制御部91がCCD82により所定レベル以上の外光が検出されているか否かを判定する。
【0150】
このとき、上述したように、CCD82により検出した外光が光電変換され、A/D変換回路96、SDRAM97、及び画像信号処理回路98を介して、表示用画像信号化された信号が制御部91に出力される。そして、制御部91は、画像信号処理回路98から入力された表示用画像信号が所定レベル以上の信号強度であるか否かを判定している。
【0151】
このステップS2の処理において、CCD82によって検出した外光(被写体輝度)が所定レベル未満、つまり、表示用画像信号化された信号強度が所定レベル未満であった場合、制御部91は、LCD38に警告表示させる(ステップS3)。なお、所定レベル未満の外光とは、ここでは、例えば、CCD82により外光が検出されない状態である。また、所定レベル未満の外光は、例えば、CCD82により、ある程度の外光が検出されるものの、ストロボ発光などが必要な暗状態としても良い。
【0152】
ステップS3において、制御部91は、画像信号処理回路98に警告表示信号を出力し、LCD38に、「撮影光量が足りません。」、「モードダイヤルを夜間撮影モード(夜景、暗環境モード)にしてください。」、「このまま撮影するときは、電源スイッチを長押ししてください。」などのメッセージを表示させる。
【0153】
一方、ステップS2の処理において、CCD82によって検出した外光(被写体輝度)が所定レベル以上、つまり、表示用画像信号化された信号強度が所定レベル以上であった場合、制御部91は、ズーム駆動ユニット4の駆動を継続し、後述する、ステップS8の鏡筒セットアップの開始の処理に移行する。
【0154】
ステップS3の次に、制御部91は、電源スイッチ46が押下されるON操作がなされているか否かを判定する(ステップS4)。そして、制御部91は、ステップS4の処理において、電源スイッチ46がON操作(押下)されているかどうか判断し、ONされていれば、電源スイッチ46が予め設定された所定時間の間、押下されているかの計時を開始するためステップS5に進む。ステップS5では、タイマー(計時)を開始させる。電源スイッチ46がONされていれば、ステップS7に進み、上記所定時間が経過したかどうかを判断する。上記所定時間が経過していなければ、ステップS6に戻り、計時を継続する。ここでは、例えば、所定時間が1秒に設定されていた場合、制御部91により、ステップS5の計時開始から電源スイッチ46が1秒以上、長押しされているかの判定が実行される。
【0155】
なお、これらステップS4、及びステップS6の各処理において、電源スイッチ46がON操作されていない場合、制御部91は、ズーム駆動ユニット4を駆動して、バリア装置2のレンズバリア33を閉位置(遮蔽位置、図1,図15)に位置させ(ステップS12)、全ての処理を終了し、強制的に電源を切る(OFF)。
【0156】
ステップS7において、電源スイッチ46がON操作され続けている状態(長押し状態)が所定時間(1秒以上)経過した場合、制御部91は、レンズ鏡筒3のセットアップを開始する(ステップS8)。なお、上述のステップS2の処理において、上述したように、CCD82によって検出した外光が所定レベル以上であった場合にも、制御部91は、ステップS8に移行して、その後の処理を実行する。
【0157】
このステップS8において、制御部91は、鏡枠駆動回路93に制御信号を出力し、鏡枠駆動回路93は電流検出回路95でモニタされながら、ズーム駆動ユニット4に駆動信号を出力する。ここでは、ズーム駆動ユニット4の駆動モータ41に所定の駆動電流が供給される。そして、カメラ1は、上述したように、駆動モータ41により、鏡筒駆動ギヤ44と回転移動枠52(図4)を介してレンズ鏡筒3の収納状態(沈胴状態である短縮状態)から撮影状態(設定された所定のセットアップ位置まで繰り出された伸長状態)までの回動進退駆動が行われる。
【0158】
この駆動モータ41に駆動電流を供給しているとき、制御部91は、ズーム駆動ユニット4への供給している駆動電流値が過電流値となっているか否かを判定する(ステップS9)。
【0159】
このステップS9において、制御部91には、電流検出回路95が検出した、ズーム駆動ユニット4の駆動モータ41を駆動している駆動電流値が入力される。そして、制御部91は、電流検出回路95から入力された駆動電流値が設定された所定の電流値以下であった場合、初期の撮影状態となる設定された所定のセットアップ位置の伸長状態までレンズ鏡筒3が移動したか否かの判定をする(ステップS10)。
【0160】
なお、ステップS9において、制御部91は、ズーム駆動ユニット4へ供給している駆動電流値が過電流値となっていた場合、レンズ鏡筒3を沈胴状態に駆動制御し(ステップS11)、バリア装置2のレンズバリア33を閉位置(遮蔽位置、図1,図15)に駆動制御して(ステップS12)、全ての処理を終了し、強制的に電源を切る(OFF)。
【0161】
また、ステップS11において、制御部91は、ズーム駆動ユニット4の駆動モータ41を駆動制御して、鏡筒駆動ギヤ44と回転移動枠52(図4)を介してレンズ鏡筒3を収納状態(沈胴状態である短縮状態)まで回動進退駆動させ、バリア装置2のレンズバリア33を開位置(退避位置、図17)から閉位置(遮蔽位置、図1,図15)に移動する。
【0162】
なお、ステップS9において、ズーム駆動ユニット4への供給している駆動電流値が過電流値となっている状態では、レンズ鏡筒3が伸長しているとき、繰り出し動作を妨げる所定の抵抗がレンズ鏡筒3に与えられた状態となっている可能性が高いことが想定される。つまり、カメラ1は、レンズ鏡筒3が何かの障害物によって、繰り出し動作が妨げられた可能性が高いため、未使用の状態で、ユーザの意図しない不意な電源がONされた状態と想定される。
【0163】
上述のステップS10では、所定のセットアップ位置までレンズ鏡筒3が移動するまで、制御部91がステップS9のズーム駆動ユニット4への供給している駆動電流値が過電流値となっているか否かを繰り返し判定する。
【0164】
ステップS10において、制御部91は、所定のセットアップ位置までレンズ鏡筒3が移動した場合、レンズ鏡筒3のセットアップを完了させて正常終了として、カメラ1が撮影可能状態となる。
【0165】
以上のようにカメラ1の制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46が押下されて、電源がONされると、バリア装置2のレンズバリア33を開けて、CCD82により外光(撮影光)を検出させ、外光が所定レベル以上とならない、つまり、ここでは、外光が検出されないときは、レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに、強制的に電源を切る。一方、制御部91は、CCD82により、外光が検出されたときは、撮影可能なセットアップ位置までレンズ鏡筒3の繰り出し制御を行う。
【0166】
以上の説明から、本実施の形態のカメラ1は、携帯用袋ケース、鞄などに入れて持ち運ばれたときなど、使用しないときに不意に電源スイッチ46が押下されて電源が入って(ON)しまった場合でも、レンズ鏡筒3が繰り出さないように制御されるため、レンズ鏡筒3に無理な付加が与えられず、レンズ鏡筒3の損傷を防止することができる。
【0167】
また、制御部91は、上述したステップS3において、CCD82により外光が検出されないときは、LCD38に警告メッセージを表示させる。この制御により、カメラ1は、ストロボ発光、夜間撮影モード(夜景、暗環境モード)切替などの操作警告の表示により、ユーザが夜間や、撮影光量不足などの場所で使用するときの操作を電源ON時に促すことができる。
【0168】
さらに、制御部91は、ステップS4〜ステップS7において、電源スイッチ46が長押し操作されているかを判定している。この制御により、カメラ1は、夜間や、撮影光量不足などの場所でユーザが所望にレンズ鏡筒3のセットアップをしたい場合には、電源スイッチ46を長押しすることで、レンズ鏡筒3のセットアップを実施可能な構成となっている。
【0169】
なお、カメラ1は、制御部91によって、ステップS8〜ステップS10までの制御を行なうことで、携帯用袋ケース、鞄の中などで、ユーザの意図に反して不意に電源スイッチ46が押下され続けた状態(長押しの状態)となった場合においても、レンズ鏡筒3の繰り出しを妨げる所定の抵抗が与えられたときに、強制的にレンズ鏡筒3を沈胴させて(ステップS11)、バリア装置2を閉じて(ステップS12)、電源をOFFする。これにより、カメラ1は、レンズ鏡筒3に無理な負荷を与えることがなく、レンズ鏡筒3の損傷を防止することができる。
【0170】
(第2の実施の形態)
次に、制御部91が実行する電源ON時の制御例の第2の実施の形態について、図26、図28などを用いて説明する。なお、図28は第2の実施の形態の制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【0171】
本実施の形態は、第1の実施の形態における外光を検出するセンサであるCCD82に変えて、例えば、カメラ外部の外部光を検出するセンサである測光センサ37により外光を検出させて、カメラ1の制御部91が実行する電源ON時の制御例である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の各処理(ステップS)については、それぞれ同一のステップ番号を用いて、それらの詳細な説明を省略する。
【0172】
先ず、制御部91は、電源スイッチ46が押下(ON)されて起動すると、第1の実施の形態に説明した図27のフローチャートにおけるステップS1のバリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態にする制御を行なわず、受光センサである測光センサ37によって外光が検出されているか否かを判定する(ステップS21)。
【0173】
ここでは、制御部91は、センサ駆動回路92に制御信号を出力し、測光センサ37によって、外光を検出させる。そして、測光センサ37による外光の検出結果がセンサ駆動回路92に入力され、センサ駆動回路92から検出信号が制御部91に出力される。
【0174】
このステップS21の処理において、測光センサ37によって検出した外光が所定レベル未満であった場合、制御部91は、上述した図27に示した制御例と同様に、LCD38に警告表示させる(ステップS3)。なお、所定レベル未満の外光とは、ここでも、例えば、測光センサ37により外光が検出されない状態である。なお、所定レベル未満の外光は、例えば、測光センサ37により、ある程度の外光が検出されるものの、ストロボ発光などが必要な暗状態としても良い。
【0175】
そして、制御部91は、第1の実施の形態の図27に示した制御例と同様に、ステップS3〜ステップS7までの各処理を実行する。なお、これらステップS3〜ステップS7の各処理の詳細な説明は、図27の制御例と同一であるため省略する。また、本実施の形態では、電源ON時にバリア装置2のレンズバリア33を開状態にしないため、ステップS4、及びステップS6において、電源スイッチ46がON操作されていない場合、制御部91がステップS12のバリア装置2のレンズバリア33を閉じる制御を実行しないで強制的に電源を切る(OFF)。
【0176】
一方、ステップS21において、測光センサによって検出した外光が所定レベル以上であった場合、制御部91は、ステップS22の処理に移行する。また、ステップS7の処理において、制御部91は、電源スイッチ46がON操作され続けている状態(長押し状態)が所定時間経過した場合も、ステップS22の処理に移行する。
【0177】
このステップS22において、制御部91は、バリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態に制御する(ステップS22)。このとき、第1の実施の形態の図27で説明したステップS1と同様に、制御部91は、鏡枠駆動回路93に制御信号を出力し、鏡枠駆動回路93は電流検出回路95でモニタされながら、ズーム駆動ユニット4に駆動信号を出力する。つまり、駆動信号が入力されたズーム駆動ユニット4のバリア装置2のレンズバリア33は、閉位置(遮蔽位置、図1,図15)から開位置(退避位置、図17)に移動する。
【0178】
次に、制御部91は、レンズ鏡筒3のセットアップを開始する(ステップS8)。そして、制御部91は、図27に示した制御例と同様に、ステップS8〜ステップS12の各処理を実行する。なお、これらステップS8〜ステップS12の各処理の詳細な説明は、図27の制御例と同一であるため省略する。
【0179】
以上のようにカメラ1の制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46が押下されて、電源がONされると、測光センサ37により外光を検出させ、ここでも、外光が検出されないときは、レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに、強制的に電源を切る(OFF)。以上の説明から、本実施の形態のカメラ1においても、第1の実施の形態で記載した効果を備えている。
【0180】
(第3の実施の形態)
次に、制御部91が実行する電源ON時の制御例の第3の実施の形態について、図26、図29などを用いて説明する。なお、図29は第3の実施の形態の制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【0181】
本実施の形態は、第3の操作部材であるモードダイヤル75が夜間撮影モード(夜景、暗環境モード)有する場合のカメラ1の制御部91が実行する電源ON時の制御例である。
【0182】
本実施の形態のカメラ1の制御部91は、電源スイッチ46が押下されると、図29に示すフローチャートに従って各処理を実行する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の各処理(ステップS)については、それぞれ同一のステップ番号を用いて、それらの詳細な説明を省略する。
【0183】
先ず、制御部91は、電源スイッチ46が押下され、起動すると、第1の実施の形態の図27のフローチャートに示す制御例と同様に、バリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態に制御する(ステップS1)。そして、制御部91は、ステップS1〜ステップS3の処理を行った後、モードダイヤル75が暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定されているか否かの判定を行なう(ステップS31)。なお、ステップS1〜ステップS3の各処理の詳細な説明は、第1の実施の形態の図27で説明した制御例と同一であるため省略する。
【0184】
このステップS31において、制御部91には、モードダイヤル75からモード選択信号が入力される。そして、制御部91は、入力されたモード選択信号が暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)の場合、レンズ鏡筒3のセットアップを開始する(ステップS8)。その後、制御部91は、第1の実施の形態の図27で説明した制御例と同様に、ステップS8〜ステップS12の処理を実行する。なお、これらステップS8〜ステップS12の各処理の詳細な説明は、第1の実施の形態の図27で説明した制御例と同一であるため省略する。
【0185】
一方、制御部91は、入力されたモード選択信号が暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)以外の場合、ステップS4の電源スイッチ46がON操作されているか否かを判定する(ステップS4)。そして、電源スイッチ46がONでなければ、制御部91は、図27に示した制御例と同様に、ステップS4〜ステップS12の各処理を実行する。なお、これらステップS4〜ステップS12の各処理の詳細な説明も、第1の実施の形態の図27で説明した制御例と同一であるため省略する。
【0186】
なお、本実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に、電源ON時にバリア装置2のレンズバリア33を開状態にしないため、ステップS4、及びステップS6において、電源スイッチ46がON操作されていない場合、制御部91がステップS12のバリア装置2のレンズバリア33を閉じる制御を実行しないで強制的に電源を切る(OFF)。
【0187】
以上のようにカメラ1の制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46が押下されて、電源がONされると、バリア装置2のレンズバリア33を開けて、CCD82により外光(撮影光)を検出させ、外光が検出されないときは、第3の操作部材であるモードダイヤル75による撮影モードが暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定されているかを判定し、暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)が設定されていない場合に、レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに、強制的に電源を切る(OFF)。
【0188】
以上からカメラ1は、モードダイヤル75による撮影モードが暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定された状態であるときは、CCD82により、外光が検出されないときでも、撮影可能なセットアップ位置までレンズ鏡筒3の繰り出し制御を行う。なお、カメラ1は、モードダイヤル75による撮影モードが暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定された状態であるとき、ユーザの意図に反して、電源スイッチ46が押下されてしまった場合、ステップS8〜ステップS10までの制御を行なうことで、レンズ鏡筒3の繰り出しを妨げる所定の抵抗が与えられたときにはレンズ鏡筒3を沈胴させて(ステップS11)、バリア装置2のレンズバリア33を閉じて(ステップS12)、強制的に電源を切る(OFF)。
【0189】
以上の説明により、本実施の形態のカメラ1は、第1の実施の形態に記載の効果に加え、モードダイヤル75による撮影モードが暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定された状態であるときに、ユーザの意図に反して、電源スイッチ46が押下されてしまった場合でも、レンズ鏡筒3に無理な負荷を与えることがなく、レンズ鏡筒3の損傷を防止することができる。
【0190】
(第4の実施の形態)
次に、制御部91が実行する電源ON時の制御例の第4の実施の形態について、図26、図30などを用いて説明する。なお、図30は第4の実施の形態の制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【0191】
本実施の形態は、第3の実施の形態の変形例であって、外光を検出するセンサであるCCD82に変えて、第2の実施の形態と同様に、例えば、カメラ外部の外部光を検出するセンサである測光センサ37により外光を検出させて、カメラ1の制御部91が実行する電源ON時の制御例である。なお、以下の説明において、図27〜図29と同一の各処理については、それぞれ同一のステップ番号を用いて、それらの詳細な説明を省略する。
【0192】
先ず、制御部91は、電源スイッチ46が押下(ON)されて起動すると、第2の実施の形態と同様に、ステップS1のバリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態にする制御を行なわず、測光センサ37によって外光が検出されているか否かを判定する(ステップS21)。そして、このステップS21の処理において、測光センサ37によって検出した外光が所定レベル未満であった場合、制御部91は、上述の各実施の形態と同様に、LCD38に警告表示させる(ステップS3)。
【0193】
制御部91は、ステップS21、及びステップS3の処理を行った後、第3の実施の形態と同様に、第3の操作部材であるモードダイヤル75が暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定されているか否かの判定を行なう(ステップS31)。
【0194】
このステップS31において、制御部91には、モードダイヤル75からモード選択信号が入力される。そして、制御部91は、入力されたモード選択信号が暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)の場合、バリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態に制御する(ステップS22)。
【0195】
次に、制御部91は、レンズ鏡筒3のセットアップを開始する(ステップS8)。そして、制御部91は、上述の各実施の形態と同様に、ステップS8〜ステップS12の処理を実行する。
【0196】
一方、制御部91は、入力されたモード選択信号が暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)以外の場合、第3の実施の形態と同様に、ステップS4の電源スイッチ46が押下されるON操作がなされているか否かを判定する(ステップS4)。そして、制御部91は、上述の各実施の形態と同様に、ステップS4〜ステップS12の処理を実行する。なお、ステップS4〜ステップS12の各処理の詳細な説明も、上述の各実施の形態の制御例と同一であるため省略する。
【0197】
なお、本実施の形態においては、第2の実施の形態と同様に、電源ON時にバリア装置2のレンズバリア33を開状態にしないため、ステップS4、及びステップS6において、電源スイッチ46がON操作されていない場合、制御部91がステップS12のバリア装置2のレンズバリア33を閉じる制御を実行しないで強制的に電源を切る(OFF)。
【0198】
以上のようにカメラ1の制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46が押下されて、電源がONされると、測光センサ37により外光を検出させ、ここでも、外光が検出されないときは、第3の操作部材であるモードダイヤル75による撮影モードが暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定されているかを判定し、暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)が設定されていない場合に、レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに、強制的に電源を切る(OFF)。
【0199】
以上の説明から本実施の形態のカメラ1においても、第1の実施の形態の効果に加え、第3の実施の形態の効果、具体的には、モードダイヤル75による撮影モードが暗環境モード(夜景、夜間撮影モード)に設定された状態であるときに、ユーザの意図に反して、電源スイッチ46が押下されてしまった場合でも、レンズ鏡筒3に無理な負荷を与えることがなく、レンズ鏡筒3の損傷を防止することができる。
【0200】
(第5の実施の形態)
次に、制御部91が実行する電源ON時の制御例の第5の実施の形態について、図26、図31などを用いて説明する。なお、図31は第5の実施の形態の制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【0201】
第1の実施の形態においては、カメラ1の制御部91が図27のステップS4〜ステップS7の処理を実行することによって、電源スイッチ46をユーザが例えば、1秒以上で長押しすることで、CCD82が所定レベル以上の外光を検出していないときでも、レンズ鏡筒3を繰り出して、撮影可能な状態とすることができた。
【0202】
これに対して、本実施の形態は、CCD82によって、所定レベル以上の外光が検出されていないときでも、ユーザが所望に電源スイッチ46、及びOKボタン79を同時操作することで、カメラ1のレンズ鏡筒3の繰り出し制御を行なうことができるカメラ1の制御部91が実行する電源ON時の制御例である。
【0203】
本実施の形態のカメラ1の制御部91は、電源スイッチ46が押下されると、図31に示すフローチャートに従って各処理を実行する。なお、以下の説明において、図27と同一の処理(ステップS)については、同一のステップ番号を用いて、詳細な説明を省略する。
【0204】
先ず、制御部91は、電源スイッチ46が押下(ON)されて起動すると、図27のフローチャートに示す制御例と同様に、バリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態に制御する(ステップS1)。そして、制御部91は、ステップS1〜ステップS3の処理を実行する。なお、ステップS1〜ステップS3の各処理の詳細な説明は、図27の制御例と同一であるため省略する。
【0205】
また、本実施の形態のカメラ1の制御部91は、ステップS2の処理において、CCD82により、外光が検出されない場合、移行したステップS3の処理ではLCD38に、「撮影光量が足りません。」、「モードダイヤルを夜間撮影モード(夜景、暗環境モード)にしてください。」の他、「このまま撮影するときは、電源スイッチとOKボタンを同時に押してください。」などのメッセージを表示させる。
【0206】
このステップS3の後、制御部91は、電源スイッチ46が押下されるON操作がなされているか否かを判定する(ステップS41)。そして、制御部91は、ステップS4の処理において、電源スイッチ46がON操作(押下)されている場合、OKボタン79がON操作(押下)されているか否かを判定する(ステップS42)。
【0207】
なお、ステップS41の処理では、制御部91が電源スイッチ46からの信号が入力されているか否かを判定し、ステップS42の処理では制御部91がOKボタン79からの信号が入力されているか否かの判定を行なう。
【0208】
また、ステップS41における電源スイッチ46、またはステップS42におけるOKボタン79がON操作されていない場合、制御部91は、バリア装置2のレンズバリア33を閉状態に駆動制御して、強制的に電源を切る(OFF)。すなわち、制御部91は、電源スイッチ46からの信号、及びOKボタン79からの信号が共に入力されていない場合、ステップS12に移行して、バリア装置2のレンズバリア33を閉状態に駆動制御して、強制的に電源を切る(OFF)。
【0209】
一方、ステップS41における電源スイッチ46、及びステップS42におけるOKボタン79がON操作されている場合、制御部91は、レンズ鏡筒3のセットアップを開始する(ステップS8)。そして、制御部91は、図27〜図29に示した制御例と同様に、ステップS8〜ステップS12の処理を実行する。すなわち、制御部91は、電源スイッチ46からの信号、及びOKボタン79からの信号が共(同時)に入力された場合、ステップSS8〜ステップS12の処理を実行する。なお、ステップS8〜ステップS12の各処理の詳細な説明も、上述の各実施の形態の制御例と同一であるため省略する。
【0210】
以上のようにカメラ1の制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46が押下されて、電源がONされると、CCD82により外光を検出させ、ここでも、外光が検出されないときは、レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに、強制的に電源を切る(OFF)。
【0211】
以上から、カメラ1は、制御部91がステップS41〜ステップS42において、電源スイッチ46、及びOKボタン79が同時に操作されているかを判定している。この制御により、本実施の形態のカメラ1は、第1の実施の形態の効果に加え、夜間や、撮影光量不足などの場所でユーザが所望にレンズ鏡筒3のセットアップをしたい場合には、電源スイッチ46、及びOKボタン79を同時に操作することで、レンズ鏡筒3のセットアップを実施可能な構成となっている。
【0212】
(第6の実施の形態)
次に、制御部91が実行する電源ON時の制御例の第6の実施の形態について、図26、図32などを用いて説明する。なお、図32は第6の実施の形態の制御部が実行する電源ON時の制御処理を示すフローチャートである。
【0213】
本実施の形態は、第5の実施の形態における外光を検出するセンサであるCCD82に変えて、第2、第4の実施の形態と同様に、例えば、カメラ外部の外部光を検出するセンサである測光センサ37により外光を検出させて、カメラ1の制御部91が実行する電源ON時の制御例である。なお、以下の説明において、図27〜図31と同一の処理(ステップS)については、同一のステップ番号を用いて、詳細な説明を省略する。
【0214】
先ず、制御部91は、電源スイッチ46が押下(ON)されて起動すると、図27、図29、図31のフローチャートにおけるステップS1のバリア装置2のレンズバリア33をバリア開状態にする制御を行なわず、測光センサ37によって外光が検出されているか否かを判定する(ステップS21)。そして、このステップS21の処理において、測光センサ37によって検出した外光が所定レベル未満であった場合、制御部91は、図27に示した制御例と同様に、LCD38に警告表示させる(ステップS3)。
【0215】
ここでも、本実施の形態のカメラ1の制御部91は、ステップS2の処理において、CCD82により、外光が検出されない場合、移行したステップS3の処理ではLCD38に、「撮影光量が足りません。」、「モードダイヤルを夜間撮影モード(夜景、暗環境モード)にしてください。」の他、「このまま撮影するときは、電源スイッチとOKボタンを同時に押してください。」などのメッセージを表示させる。
【0216】
このステップS3の後、制御部91は、第5の実施の形態と同様に、電源スイッチ46が押下されるON操作がなされているか否かを判定する(ステップS41)。そして、制御部91は、ステップS4の処理において、電源スイッチ46がON操作(押下)されている場合、OKボタン79がON操作(押下)されているか否かを判定する(ステップS42)。
【0217】
そして、ステップS41における電源スイッチ46、またはステップS42におけるOKボタン79がON操作されていない場合、制御部91は、バリア装置2のレンズバリア33を閉状態に駆動制御して、強制的に電源を切る(OFF)。
【0218】
一方、ステップS41における電源スイッチ46、及びステップS42におけるOKボタン79がON操作されている場合、制御部91は、バリア装置2のレンズバリア33を開状態にし(ステップS22)、レンズ鏡筒3のセットアップを開始する(ステップS8)。そして、制御部91は、図27〜図31に示した制御例と同様に、ステップS8〜ステップS12の処理を実行する。なお、ステップS22、ステップS8〜ステップS12の各処理の詳細な説明も、図28、及び図30の制御例と同一であるため省略する。
【0219】
以上のようにカメラ1の制御部91は、第1の操作部材である電源スイッチ46が押下されて、電源がONされると、測光センサ37により外光を検出させ、ここでも、外光が検出されないときは、レンズ鏡筒3の繰り出しを行なわずに、強制的に電源を切る(OFF)。
【0220】
以上から、カメラ1は、制御部91が、第5の実施の形態と同様に、ステップS41〜ステップS42において、電源スイッチ46、及びOKボタン79が同時に操作されているかを判定している。この制御により、本実施の形態のカメラ1も、第1の実施の形態の効果に加え、第5の実施の形態と同様に、夜間や、撮影光量不足などの場所でユーザが所望にレンズ鏡筒3のセットアップをしたい場合には、電源スイッチ46、及びOKボタン79を同時に操作することで、レンズ鏡筒3のセットアップを実施可能な構成となっている。
【0221】
なお、実施の形態の説明において、電源スイッチ46を押下式のスイッチで説明したが、スライド式スイッチでも同様である。
【0222】
以上の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本発明による撮影レンズ鏡筒を備えたカメラは、ユーザの意図に反して電源が入ってしまった場合でも、撮影レンズ鏡筒の繰り出しを行なわず、強制的に電源を切ることが可能とするコンパクトカメラに利用することができる。
【符号の説明】
【0224】
1…カメラ(撮像装置)
2…バリア装置
3…レンズ鏡筒(撮影レンズ鏡筒)
4…ズーム駆動ユニット
33…レンズバリア(バリア)
37…測光センサ(受光センサ)
46…電源スイッチ(第1の操作部材)
75…モードダイヤル(第3の操作部材)
79…OK(ファンクション)ボタン(第2の操作部材)
82…CCD(センサ、撮像素子)
91…制御部(制御手段)
92…センサ駆動回路
93…鏡枠駆動回路
94…CCD駆動回路
95…電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な撮影レンズ鏡筒を有する撮像装置において、
撮影レンズ光軸方向に短縮された短縮状態と伸長した伸長状態とに伸縮可能な撮影レンズ鏡筒と、
第1の操作部材と、
外光を検出するセンサと、
上記第1の操作部材が入力されると、上記センサにより外光を検出させ、該外光が検出されないときは上記撮影レンズ鏡筒の繰り出しを行なわずに強制的に電源を切り、上記センサにより外光が検出されたときには上記撮影レンズ鏡筒の繰り出し制御を行なう制御手段と、
を具備したことを特徴とした撮像装置。
【請求項2】
上記センサは、撮像素子であることを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記第1の操作部材とは異なる第2の操作部材を具備し、
上記制御手段は、上記第1の操作部材と上記第2の操作部材が同時に操作されたときに
強制的に電源をONにする制御を行なうことを特徴とした請求項1、または請求項2の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項4】
複数の撮影モードを有し、
上記第1の操作部材、及び上記第2の操作部材とは異なる第3の操作部材を具備し、
上記第3の操作部材は、上記複数の撮影モードの1つを選択するモードスイッチであることを特徴とした請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記撮影レンズの前面より退避する退避位置と該撮影レンズ前面を遮蔽する遮蔽位置とに駆動されるバリアを具備し、
上記制御手段は、上記第1の操作部材が入力されると、上記バリアを上記遮蔽位置から上記退避位置へと駆動させ、上記センサにより、外光を検出させ、該外光が検出されないときは上記撮影レンズ鏡筒の繰り出しを行なわずに、上記バリアを該退避位置から該遮蔽位置へと駆動させ、上記電源を強制的に切る制御を行なうことを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2011−22415(P2011−22415A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168077(P2009−168077)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】