説明

撮像装置

【課題】端末装置に接続される複数台の周辺機器へ供給する電源を、該周辺機器が接続される従データ入出力端子から供給するようにして、利便性を高めた撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10は、撮像部11と装置本体12と電源13とからなる。電源13は、撮像部11と画像処理部14、画像入出力部17に電源を供給する主電源供給手段25と、データ入出力部18と従データ入出力端子ユニット20に電源を供給する副電源供給手段26と、外部電源を最適な電源に変換する電源制御手段27からなる。副電源供給手段26は、主電源供給手段のオン・オフにかかわらず従データ入出力端子18bから周辺機器35,36に電源を供給する。これにより、撮像装置に対して端末装置30、周辺機器35,36、及びプロジェクタ40を接続したままにしておくことができるので、撮像装置10の利便性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に被写体を撮像した画像を電気的に変換した画像原信号に基づいた画像信号をプロジェクタ等の外部表示装置に出力すると共に、該画像原信号を圧縮して形成した画像データ信号をパソコン等の端末装置に出力する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコン等の端末装置は、各種の周辺機器を有している。当該周辺機器は、例えば、キーボード、マウス、イメージスキャナ、モニタ、プリンタ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等がある。
これ等周辺機器と端末装置は、それぞれ周辺機器の特性に合わせて、各種規格に準拠したデータ伝送路で結ばれている。該データ伝送路の規格の一つに、USB(Universal Serial Bus)が制定されている。
USBによる周辺機器(以下「USB機器」という)は、端末装置に設けられたUSBによるデータ入出力端子(以下「USBポート」という)に、USBケーブルで接続されている。
従来、USBポートは、端末装置に複数個、多くは2個乃至4個程備えられている。ところが、近年、USBが普及したことから端末装置に接続されるUSB機器が増加し、USBポート数が不足するようになった。そのため、端末装置のUSBポートに、複数のUSBポートを備えたUSBハブと呼ばれる機器を接続することで、USBポート数を増設し、複数台のUSB機器を接続している。
また、USBポートには、接続されたUSB機器に給電する機能を備えたバスパワー型と、接続されたUSB機器に給電する機能を備えていないセルフパワー型とがある。
通常、端末装置が有するUSBポートはバスパワー型である。当該端末装置が有するUSBポートは、1ポートあたりの供給可能な電源が、電圧5V±5%、消費電流500mA、消費電力2.5Wに制限されている。
ここで、当該端末装置のUSBポートに接続されるバスパワー型USBハブは、上記の制限された電源をさらに当該USBハブが有するポート数で分割するので、消費電力の小さいWebカメラやカードリーダ、USBメモリ等が主に接続されている。
一方で、バスパワーUSBハブは、接続されるUSB機器の電源ケーブルが不要となることから、端末装置とUSB機器間の配線を整理することができる。
さらに、バスパワーUSBハブを組み込んだUSB機器が知られている。該USBハブ付USB機器の一例として、1個乃至3個のUSBポートを有するキーボードやマウス等がある。
USBハブ付USB機器は、該USB機器自身がUSBポートを1つ占有する。そのため、USBハブ付USB機器は、単体のUSBハブよりも使用可能なUSBポート数が1つ少なくなる。また、パソコンから供給されているハブ電源を一部使用することから、他のUSBポートに供給する電源が単体のUSBハブよりもさらに制限される。
【0003】
一方、セルフパワー型USBポートを有するUSBハブは、専らパソコンとUSB機器間のデータ通信に用いられている。セルフパワー型USBハブに接続されるUSB機器は、例えば、プリンタ、スキャナ等である。当該USB機器は消費電力が大きいものの、それぞれ別途電源を確保しているので、パソコンに電源を依存することなく動作することができる。
そのようなUSB機器の一例として、特開2008−193391に開示されている資料提示装置がある。該資料提示装置は、基台の背面に外部機器との電気的接続を確保するための各種の連結ソケットが配設されている。
該連結ソケットからは画像信号と画像データ信号が出力される。画像信号は、プロジェクタ、モニタ等の表示機器へ出力される。画像データ信号は、端末装置のモニタ画面上に表示され、又はハードディスクドライブ等の外部記憶媒体に記録される。
これにより、プレゼンテーションや授業等の場において、画像信号に基づく画像をプロジェクタによってスクリーン等へ映写すると共に、画像データに基づく画像を資料提示装置の近傍に配した端末装置のモニタ画面に表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−193391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のプレゼンテーションや授業等の場において、端末装置に接続した外部記憶媒体に保存した画像と上記の資料提示装置で撮像した画像とを任意に切り替えて表示する使用する場合がある。このとき、端末装置と資料提示装置はそれぞれプロジェクタ等の表示装置に接続されている。この場合、端末装置と表示装置、資料提示装置と表示装置のそれぞれにデータ伝送用ケーブルと電源ケーブルが必要となるため、ケーブル本数が増えて配線が複雑になるおそれがある。
【0006】
そして、端末装置が有するUSBポートに、USBメモリ、外付けハードディスクドライブ等の外部記憶媒体を接続して、該外部記憶媒体から発表者が所望するファイルを読み出し、上記の表示装置等で表示して使用する場合がある。
また、発表者が自身が所有するノートパソコン等の端末装置を持ち込んだときには、該端末装置を表示装置へ新たに接続する必要があり、手間がかかる。
ところで、このような場合に、プロジェクタといった表示装置は、発表者が登壇する位置からは離れていることが多い。そのため、ケーブル等の繋ぎなおしに手間がかかる。また、スムーズに次の発表に移れないことから、授業や発表の進行を妨げるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、端末装置に接続される複数台の周辺機器へ供給する電源を、該周辺機器が接続される外部データ入出力端子から供給するようにして、利便性を高めた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の撮像装置は、被写体を撮影した画像を電気的に変換して形成した画像原信号を出力する撮像部と、
前記画像原信号に基づいた画像信号又は外部映像機器類から入力された映像信号を外部表示装置へ出力すると共に、前記画像原信号を圧縮して形成した画像データ信号をパソコン等の端末装置へ出力する装置本体とからなる撮像装置であって、
前記端末装置とデータ通信をするための主データ入出力端子と、前記端末装置とデータ通信をする周辺機器を接続するための従データ入出力端子とからなる外部データ入出力端子を前記装置本体に設け、
前記撮像部と前記装置本体に電源を供給する一の主電源供給手段と、
前記従データ入出力端子から前記周辺機器に電源を供給する一又は複数の副電源供給手段と、
外部電源の電圧及び電流を前記撮像部及び前記装置本体、並びに前記周辺機器の各動作に適した電圧及び電流に変換する制御を行う電源制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の撮像装置は、請求項1に記載の発明において、前記主電源供給手段に前記撮像部の電源をオン又はオフにするためのスイッチを設け、
該スイッチのオン・オフにかかわらず、前記副電源供給手段は、略一定の値の電源を前記従データ入出力端子から出力するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の撮像装置は、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、前記端末装置が前記主データ入出力端子に接続されたことを検知すると共に、前記周辺機器が前記従データ入出力端子に接続されたことを検知する検知手段を前記副電源供給手段に設けて、
前記端末装置が前記主データ入出力端子に接続されている場合に、前記周辺機器を前記従データ入出力端子へ接続したとき、
前記従データ入出力端子が電源を出力するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の撮像装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記副電源供給手段は、前記従データ入出力端子を一個乃至複数個毎にまとめた従データ入出力端子ユニットを有していることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の撮像装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記副電源供給手段が前記従データ入出力端子から出力する電源電圧は、前記主電源供給手段が供給する電源電圧よりも低電圧であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の撮像装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明において、前記主データ入出力端子及び前記従データ入出力端子からなる前記外部データ入出力端子がUSBポートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の撮像装置によれば、主電源供給手段と副電源供給手段とを設け、端末装置とデータ通信をするための主データ入出力端子と、端末装置とデータ通信をする周辺機器を接続するための従データ入出力端子とからなる外部データ入出力端子を設けた。そして、副電源供給手段が従データ入出力端子に接続された周辺機器に対して電源を供給するようにした。
これにより、撮像装置をバスパワー付きのハブとして使用することができる。そのため、該従データ入出力端子に接続された周辺機器は、電源ケーブルを省くことができるので、撮像装置周辺の配線を整理することができる。
ここで、撮像装置は、一般的に発表する者の手元に配置されることが多い。この場合に、端末装置や周辺機器等を撮像装置にケーブル一本でそれぞれ接続することにより、該撮像装置を中心とした利便性の高いプレゼンテーションシステムを構成することができる。
【0015】
請求項2に記載の撮像装置によれば、前記撮像部の電源をオン又はオフにするためのスイッチを主電源供給手段に設けて、該スイッチのオン・オフにかかわらず、副電源供給手段は略一定の値の電源を従データ入出力端子から出力するようにした。これにより、従データ入出力端子から安定した電源を周辺装置に対して供給することができる。そのため、周辺機器を安定して動作させることができるので、撮像装置の信頼性を高め、利便性を高めることができる。
【0016】
請求項3に記載の撮像装置によれば、端末装置と周辺機器がそれぞれ主データ出入力端子と従データ出入力端子に接続されたことを検知する検知手段を副電源供給手段に設けて、端末装置が主データ出入力端子に接続されている場合に、周辺機器が従データ入出力端子に接続されたとき、瞬間的に副電源供給手段が従データ入出力端子から電源を周辺機器へ供給するようにした。
これにより、空き端子に供給される電源を遮断し、周辺機器が接続されている端子に電源を可及的速やかに供給することができるので、余分な電力の消費を抑えることができる。そのため、撮像装置の消費電力を抑制し、利便性を高めることができる。
【0017】
請求項4に記載の撮像装置によれば、副電源供給手段は、従データ入出力端子を一個乃至複数個毎にまとめた従データ入出力端子ユニットを有している。これにより、用意した周辺機器の数に合わせて、当該従データ入力端子ユニットを増設することにより、バスパワーの電源が容量不足に陥ることを防止できる。そのため、一つあたりの従データ入出力端子が供給可能な電源容量を気にすることなく、複数台の周辺機器を接続することができるので、撮像装置の利便性を高めることができる。
【0018】
請求項5に記載の撮像装置によれば、副電源供給手段が従データ入出力端子から出力する電圧を主電源供給手段が供給する電圧よりも低くした。これにより、従データ入出力端子に複数台の周辺機器を接続したときにかかる負荷が増加した場合に、当該負荷の増加に伴う影響が主電源供給手段側に波及することを防ぐことができる。そのため、主電源供給手段が供給する撮像部及び装置本体の電源を安定させることができるので、撮像装置の利便性を高めることができる。
【0019】
請求項6に記載の撮像装置によれば、主データ入出力端子及び従データ入出力端子からなる外部データ入出力端子を汎用性の高いUSBポートとした。これにより、複数個のUSBポートを有するUSBハブとして撮像装置は使用される。そして、該USBポートにそれぞれUSB機器を接続することができるので、撮像装置の使用の態様に合わせて、外付けハードディスクドライブや、USBメモリ、Webカメラ等の様々なUSB機器を接続することができる。そのため、撮像装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例に係る撮像装置の構成の概略を示したブロック図である。
【実施例1】
【0021】
本実施例に係る撮像装置を添付した図面にしたがって説明する。図1は、構成の概略を示したブロック図である。
撮像装置10は、撮像部11と、装置本体12と、撮像部11及び装置本体12に電源を供給する電源13とからなる。
【0022】
撮像部11は、単数若しくは複数のレンズ(図示略)と、レンズを透して入力された被写体の画像を電気的に変換する撮像素子(図示略)とからなり、被写体の画像を電気的に変換して形成した画像原信号sを出力する。
そして、撮像部11のスイッチ11aと、スイッチ11aのオン・オフ切替を制御するスイッチ切替制御手段11bと、スイッチ切替制御手段を操作する電源ボタン11cは、装置本体12に設けられている。
【0023】
装置本体12は、画像原信号sが入力される画像処理部14を有する。該画像処理部14は、撮像部11から入力された画像原信号sをエンコード或いはデコード等の最適化処理を行い、用途に合わせて分割する処理を行う画像処理手段を有し、画像出力端子15と、画像データ出力端子16を備えている。
画像出力端子15からは、画像原信号sに基づいて形成された画像信号iが出力される。
一方、画像データ出力端子16からは、画像原信号sを圧縮して形成した画像データ信号jが出力される。
【0024】
装置本体12はまた、画像入出力部17とデータ入出力部18を有する。
画像入出力部17は、画像出力端子15から画像信号iが入力される画像入力端子17aと、ビデオ再生機或いはパソコン等の端末装置等の外部映像機器類が出力した映像信号mが入力される外部映像入力端子17bと、画像信号i又は映像信号mのうち何れか一方が出力される画像出力端子17cと、画像信号i又は映像信号mの何れか一方に自動的又は手動で切り替える切替手段19とを有する。
これにより、画像入出力部17は、撮像部11で撮影した被写体の画像を構成する画像信号i又は外部映像機器類から入力された映像信号mの何れか一方を画像出力端子17cから出力することができる。
なお、図1に示す画像出力端子17cには、外部表示装置としてプロジェクタ40が接続されている。そしてプロジェクタ40に対向してスクリーン41が設置されている。入力された画像信号i又は映像信号mに基づいてプロジェクタ40で復号された画像又は映像は、スクリーン41に表示される。
ここで、本実施例において、外部映像入力端子17bはRGB入力端子、画像出力端子17cはRGB出力端子であるが、これに限定されるものではなく、映像又は画像を入出力する場合に最適な規格を選択することができる。
【0025】
データ入出力部18は、画像データ出力端子16から画像データ信号jが入力される画像データ入力端子18aを有し、パソコン等の端末装置30とデータ通信をするための主データ入出力端子18bと、端末装置30とデータ通信をするために周辺機器35,36が接続される従データ入出力端子18cとからなる外部データ入出力端子を有する。
画像データ入力端子18aに入力された画像データ信号jは、主データ入出力端子18bから端末装置30に出力される。
本実施例において、従データ入出力端子18cに接続されている周辺機器35,36は、Webカメラ35と、外付けハードディスクドライブ装置36である。
また、本実施例において、主データ入出力端子18bと従データ入出力端子18cはUSB規格に準拠した通信を行うUSBポートである。しかし、これに限定されるものではなく、例えばIEEE1394規格のように、端末装置30と周辺機器35,36との間でデータ通信を行うと共に、電源を供給する規格をもちいても良い。
【0026】
従データ入出力端子18cは、1個又は2個乃至4個毎にまとめて並列に配し、従データ入出力端子ユニット20を形成している。該従データ入出力端子ユニット20に対して、後述する副電源供給手段26から電源がそれぞれ供給されている。
従データ入出力端子ユニット20は、図1の実線に示すように一つであっても良く、また点線で示したように、増設しても良い。
また、従データ入出力端子ユニット20は、副電源供給手段26と連動して端末装置30と周辺機器35,36を検知する検知手段である検知回路21を有している。
検知回路21は、主データ入出力端子18bへ端末装置30が接続されたことを検知し、従データ入出力端子18cへ周辺機器35,36が接続されたことを検知する。
そして、主データ入出力端子18bに端末装置30が接続されている場合に、従データ入出力端子18cへ周辺機器35,36を接続したとき、検知回路21は、瞬間的に周辺機器35,36の接続を検知し、該検知回路21に連動する副電源供給手段26が、従データ入出力端子18cから電源を可及的速やかに出力する。
これにより、従データ入出力端子18cの空き端子にデータ通信用の信号が端末装置30から流されたり、電源が供給される等の通信回線や電力の無駄を省くことができる。
【0027】
電源13は、一の主電源供給手段25と、一又は複数の副電源供給手段26と、一の電源制御手段27とからなる。
主電源供給手段25は、撮像部11並びに画像処理部14及び画像入出力部17に電源を供給する。
副電源供給手段26は、データ入出力部18と、検知回路21と、従データ入出力端子ユニット20に配された従データ入出力端子18cから周辺機器35,36に電源を供給する。
そして、電源制御手段27は、外部電源45の電圧及び電流を撮像部11及び装置本体12、並びに周辺機器35,36の各動作に適した電圧及び電流に変換する制御を行う。
【0028】
主電源供給手段25は、撮像部11に供給する12V電源25aと、画像処理部14及び画像入出力部17に供給する5V電源25bとを有する。
5V電源25bは、また、撮像部11のスイッチ11aのオン・オフを切り替えるための制御を行うスイッチ切替制御手段11bの動作にも用いられている。
そして、電源ボタン11cをオンにしたとき、スイッチ切替手段11bに5V電源を流してスイッチ11aをオンにする制御が行われ、電源ボタン11cをオフにしたとき、スイッチ切替手段11bに流れる5V電源を遮断してスイッチ11aをオフにする制御が行われる。
また同様に、画像入出力部17へ供給される5V電源25bは、切替手段19を動作する制御にも用いられている。切替手段19では、該5V電源25bを用いて、画像入力端子17aに入力された画像信号iを検知したとき、画像入力端子17a側に接続し、外部映像入力端子17bに入力された映像信号mを検知したとき、外部映像入力端子17b側に接続するようにされている。
なお、本実施例において、切替手段19は、5V電源25bによって自動的に切り替わるように構成されている。しかし、該5V電源25bを遮断して、手動で切り替えるようにしても良い。
【0029】
副電源供給手段26は、12V電源25aを変換した5V電源26aを有し、データ入出力部18及び従データ入出力端子ユニット20へ電源を供給している。従データ入出力端子ユニット20へ供給された5V電源26aは、従データ入出力端子18cから周辺機器35,36に電源を供給する。
本実施例において、従データ入出力端子ユニット20に供給される5V電源26aは、電圧5V±5%、消費電流500mA、消費電力2.5Wに制限されている。
ここで、従データ入出力端子ユニット20に設けられた検知回路21は、データ入出力部18に供給された5V電源26aを用いる。
【0030】
従データ入出力端子ユニット20を増設したとき、増設した従データ入出力端子ユニット20の数に合わせて副電源供給手段26を増設する。これにより、増設した各従データ入出力端子ユニット20は、電圧5V±5%、消費電流500mA、消費電力2.5Wの電源をそれぞれ独立して利用することができる。
そして、増設する従データ入出力端子ユニット20に設ける従データ入出力端子18bの端子数を接続する周辺機器35,36の消費電力に合わせて増減すれば、接続する周辺機器35,36に最適な電源を供給することができる。
そのため、複数台の周辺機器35,36を使用の態様にあわせて接続することができ、撮像装置10の利便性を高めることができる。
【0031】
電源制御手段27は、ACアダプタ28とコンセント29を有する。ACアダプタ28では、外部電源45の電圧及び電流を変換して12V電源27aを形成する制御が行われている。
12V電源27aは、主電源供給手段25に供給されて12V電源25aとなり、また、主電源供給手段25及び副電源供給手段26に供給されて5V電源25b,26aに変換される。
本実施例において、外部電源45は家庭用に供給される100V交流電源であるが、これに限定されるものではなく、ACアダプタ28を換えることによって、様々な電圧の外部電源を用いることができる。
これにより、日本国内のみならず、海外においても撮像装置10を使用することができるので、撮像装置10の利便性を高めることができる。
【0032】
上記の構成を有する撮像装置10は、以下のように使用される。
撮像装置10は、コンセント29を外部電源45に接続したとき、ACアダプタ28から12V電源27aが主電源供給手段25と副電源供給手段26に供給される。
【0033】
主電源供給手段25に供給された12V電源27aは、そのまま撮像部11に供給される12V電源25aと、撮像部11のスイッチ11並びに画像処理部及び画像出力部に供給される5V電源25bに変換される。
また、副電源供給手段26に供給された12V電源27aは、5V電源26aに変換される。
【0034】
撮像部11のスイッチ11a及びスイッチ切替制御手段11bに供給された5V電源25bによって、撮像部11は起動準備が終了して何時でも撮影を開始することができる、いわゆるスタンバイ状態に移行する。
ここで、画像入出力部17は5V電源25bが供給され、副電源供給手段26には5V電源26aが供給されている。
このとき、画像入出力部17の切替手段19は、外部映像入力端子17b側に保持するように設定されている。これにより、外部映像入力端子17bへ映像信号mが入力された場合に、画像出力端子17cからプロジェクタ40に映像信号mを直接出力することができる。
また、副電源供給手段26は、データ入出力部18と従データ入出力端子ユニット20に5V電源26aを供給し、検知回路21と従データ入出力端子18cに接続されたWebカメラ35と外付けハードディスクドライブ装置36に電源を供給する。
【0035】
一方、電源ボタン11cをオンにすると、スイッチ切替制御手段11bのスタンバイ状態が解除されてスイッチ11aがオンになり、撮像部11で撮影が開始される。
そして撮像部11から画像処理部14に画像原信号sが出力される。
【0036】
このとき、画像入出力部17の切替手段19の切替制御が有効になる。これにより、画像処理部14で画像原信号sに基づいて形成された画像信号iと外部映像入力端子17bに入力された映像信号mとを切り替えて画像出力端子17cから出力することができる。
また、副電源供給手段26は、データ入出力部18と従データ入出力端子ユニット20に5V電源26aを供給し、検知回路21と従データ入出力端子18bに接続されたWebカメラ35と外付けハードディスクドライブ装置36に電源を供給する。
【0037】
上記のように、電源ボタン11cのオン・オフ、すなわち、撮像部11のスイッチ11aのオン・オフにかかわらず、副電源供給手段26は、データ入出力部18と従データ入出力端子ユニット20に5V電源26aを供給し、検知回路21と従データ入出力端子18bに接続されたWebカメラ35と外付けハードディスクドライブ装置36に電源を供給する。
【0038】
副電源供給手段26が5V電源26aをデータ入出力部18に供給したとき、該データ入出力部18側から検知回路21に電源が供給され、該検知回路21が起動する。
そして、起動した検知回路21では、まず主データ入出力端子18bに端末装置30が接続されているか否かを検知する処理が開始される。
具体的には、検知回路21が、主データ入出力端子18bに端末装置30が接続されて通電した瞬間に、端末装置30が主データ入出力端子18bへ接続されたとみなされる。
その後、データ入出力部18と端末装置30は、データ通信を開始し、端末装置30の接続状態が継続していることを確認するホスト信号hが主データ入出力端子18bに周期的に入力される。
【0039】
また、検知回路21は、周辺機器35,36が従データ入出力端子18cに接続されたことを検知するようにも構成されている。
ここで、周辺機器35,36が検知される前段の条件として、端末装置30が主データ入出力端子18bに接続されていることを要する。この場合に、従データ入出力端子18cに、Webカメラ35、外付けハードディスクドライブ装置36等の周辺機器を接続すると、瞬間的にその接続状態が検知回路21で検知され、従データ入出力端子18bから周辺機器35,36に向けて5V電源26aの供給が可及的速やかに開始される。
【0040】
端末装置30が主データ入出力端子18bに接続されていない場合には、従データ入出力端子18cに周辺機器35,36を接続したとしても、従データ入出力端子18bから周辺機器35,36に向けて5V電源26aは供給されない。
このとき、検知回路21は、従データ入出力端子18cに接続されている周辺機器35,36を検知するが、副電源供給手段26は、電源の供給を中断して、主データ入出力端子18bに端末装置30が接続される場合に備えたスタンバイ状態に移行する。
そして、端末装置30が主データ入出力端子18bに接続されたときには速やかに、従データ入出力端子18bから周辺機器35,36に向けて5V電源26aの供給が開始される。
【0041】
その後、周辺機器35,36は、データ入出力部18を経由して端末装置30と、データ通信を開始する。
そして、周辺機器35,36の電源スイッチがオフにされる等して、データ通信の応答が所定時間途絶えた場合、又は周辺機器35,36が従データ入出力端子18cから抜脱された場合に、副電源供給手段26は、5V電源26aの供給を停止する。これにより、通信回線や、電力の無駄を省くことができる。
【0042】
また、本実施例に係る撮像装置10は、図1に示すように、ネットワーク50上で端末装置30と他の端末装置55とからなる仮想的な会議室において、被写体の画像を提示することができる。
具体的には、従データ入出力端子18cに接続されたWebカメラ35を用いて、他の端末装置55とネットワーク50を介してテレビ電話のように互いに顔を映すと共に通話し、必要なときに撮像装置10の電源ボタン11cを押下して、撮像部11で撮影した被写体の画像をネットワーク50上に掲示する。一方、端末装置30内に保存されている資料の映像は、端末装置30から直接ネットワーク50上へ提示すると共に、映像信号mとして画像出力端子17cからプロジェクタ40へ出力することができる。
【0043】
本実施例に係る撮像装置10によれば、撮像部11が起動していない、いわゆるスタンバイ状態においても、従データ入出力端子18cから周辺機器35,36へ電源を出力し、また、画像出力端子17cを使用することができる。
そのため、撮像部11が何も映していない場合であっても、端末装置30のモニタ画面に表示された画像をプロジェクタ40で表示し、Webカメラ35、外付けハードディスクドライブ装置36等の従データ入出力端子18cに接続された周辺機器35,36を使用することができる。
これにより、撮像装置10を教室や会議室等の発表の場において設置しておき、ノートパソコン等の端末装置30を接続したり、また、USB機器を接続するためのUSBハブとして用いることができる。
さらに、従データ入出力端子ユニット20、すなわち、従データ入出力端子18cであるUSBポートを複数個毎に増設することができるので、撮像装置11の使用の態様にあわせて、当該USBポートを増設して任意の台数のUSB機器を接続することができる。
したがって、撮像装置の利便性を高めることができる。
【符号の説明】
【0044】
10…撮像装置、11…撮像部、11a…スイッチ、11b…スイッチ切替制御手段、11c…電源ボタン、12…装置本体、13…電源、
14…画像処理部、15…画像信号出力端子、16…画像データ信号出力端子、
17…画像入出力部、17a…画像入力端子、17b…外部映像入力端子、17c…画像出力端子、
18…データ入出力部、18a…画像データ入力端子、18b…主データ入出力端子、18c…従データ入出力端子、
19…切替手段、
20…外部データ入出力端子ユニット、
21…検知回路、
25…主電源供給手段、25a…12V電源、25b…5V電源、
26…副電源供給手段、26a…5V電源、
27…電源制御手段、27a…12V電源、28…ACアダプタ、
29…コンセント、
30…端末装置、
35…Webカメラ、36…外付けハードディスクドライブ装置、
40…プロジェクタ、41…スクリーン、
45…外部電源、
50…ネットワーク、55…他の端末装置、
s…画像原信号、i…画像信号、j…画像データ信号、m…映像信号、
h…ホスト信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影した画像を電気的に変換して形成した画像原信号を出力する撮像部と、
前記画像原信号に基づいた画像信号又は外部映像機器類から入力された映像信号を外部表示装置へ出力すると共に、前記画像原信号を圧縮して形成した画像データ信号をパソコン等の端末装置へ出力する装置本体とからなる撮像装置であって、
前記端末装置とデータ通信をするための主データ入出力端子と、前記端末装置とデータ通信をする周辺機器を接続するための従データ入出力端子とからなる外部データ入出力端子を前記装置本体に設け、
前記撮像部と前記装置本体に電源を供給する一の主電源供給手段と、
前記従データ入出力端子から前記周辺機器に電源を供給する一又は複数の副電源供給手段と、
外部電源の電圧及び電流を前記撮像部及び前記装置本体、並びに前記周辺機器の各動作に適した電圧及び電流に変換する制御を行う電源制御手段とを設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記主電源供給手段に前記撮像部の電源をオン又はオフにするためのスイッチを設け、
該スイッチのオン・オフにかかわらず、前記副電源供給手段は、略一定の値の電源を前記従データ入出力端子から出力するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記端末装置が前記主データ入出力端子に接続されたことを検知すると共に、前記周辺機器が前記従データ入出力端子に接続されたことを検知する検知手段を前記副電源供給手段に設けて、
前記端末装置が前記主データ入出力端子に接続されている場合に、前記周辺機器を前記従データ入出力端子へ接続したとき、
前記従データ入出力端子が電源を出力するようにしたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記副電源供給手段は、前記従データ入出力端子を一個乃至複数個毎にまとめた従データ入出力端子ユニットを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記副電源供給手段が前記従データ入出力端子から出力する電源電圧は、前記主電源供給手段が供給する電源電圧よりも低電圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記主データ入出力端子及び前記従データ入出力端子からなる前記外部データ入出力端子がUSBポートであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−239136(P2011−239136A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108025(P2010−108025)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】