説明

撮像装置

【課題】複数のカードスロットを備える、剛性の低下を抑制した撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置の一例であるデジタルビデオカメラは、メモリカード17a,17bを挿抜可能な上段・下段カードスロット18a,18bを一定の間隔を空けて本体部11に配置された構造を有する。デジタルビデオカメラは、上段・下段カードスロット18a,18bの開口部及び上段・下段カードスロット18a,18b間に形成されている空間に配置される梁形状部19bを有するスロットホルダ19を有しており、本体部11において上段・下段カードスロット18a,18b間に形成されている空間に対向する部分と梁形状部19bとを接続させて本体部11の剛性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカードスロットを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラ等の撮像装置では、撮影データをSDカード等のメモリカードに記録するものが多くなってきている。また、長時間の撮影に対応するために、大容量のメモリカードが使用可能な撮像装置も増えているが、複数枚のメモリカードを挿入可能な撮像装置も登場している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−31168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている撮像装置のように、複数のカードスロットを挿入方向の位置をずらして階段状に配置することができない場合がある。その場合、複数のカードスロットを平行配置するレイアウトにすることが考えられる。ここで、撮像装置に対するメモリカードの着脱にプッシュイン・プッシュイジェクト方式のカードスロットが用いられている場合、一般的に、メモリカードの挿入時は、ユーザがメモリカードをカードスロットに押し込むことでメモリカードは装着ロックされる。また、メモリカードの抜去時は、ユーザがメモリカードの幅方向中心付近をプッシュするだけで、ロックが解除され、メモリカードがイジェクトされる。
【0005】
したがって、一方のメモリカードを挿抜する際に装着済みの別のメモリカードを誤ってプッシュしてしまう等の誤挿抜を防止するために、カードスロット同士の間に一定の離間距離を設ける必要がある。しかし、カードスロット同士を離間して配置すると、カードスロット間に空間ができてしまい、撮像装置の剛性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、複数のカードスロットを備えることによる剛性低下を抑制した撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る撮像装置は、メモリカードを挿抜可能な複数のカードスロットが一定の間隔を空けて本体部に配置された撮像装置であって、前記複数のカードスロットの開口部と、前記複数のカードスロットの間に形成されている空間に配置される第1の梁形状部とを有するスロットホルダを有し、前記本体部において前記空間に対向する部分と前記第1の梁形状部とが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のカードスロットを備えた撮像装置において、剛性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルビデオカメラの外観を示す斜視図である。
【図2】デジタルビデオカメラにおいて、カード蓋が開かれた状態を示す斜視図である。
【図3】デジタルビデオカメラをグリップ側(ディスプレイユニットが配置されている面の反対側)から見た斜視図である。
【図4】ジャックカバーが開かれたデジタルビデオカメラの状態を示す斜視図である。
【図5】グリップカバーとジャックカバーを取り除いたデジタルビデオカメラの状態を示す斜視図である。
【図6】デジタルビデオカメラにおける、メイン基板、スロットホルダ及び上段・下段カードスロットの位置関係を示す斜視図である。
【図7】デジタルビデオカメラが備えるグリップカバーの内側面の構造を示す斜視図である。
【図8】デジタルビデオカメラにおいて、グリップカバーとスロットホルダとを嵌合させた状態を示す斜視図である。
【図9】デジタルビデオカメラにおける、トリガーボタンの内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る撮像装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、撮像装置の一例として、所謂、デジタルビデオカメラを取り上げることとするが、本発明は、複数のメモリカードを挿抜可能な撮像装置、例えば、デジタルスチルカメラであってもよく、更にこれに限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルビデオカメラの外観を示す斜視図である。デジタルビデオカメラの本体である本体部11には、操作手段として、光学ズームを変更するズームレバー12、静止画撮影を行うためのレリーズボタン13、動画撮影を行うためのトリガーボタン14が設けられている。また、本体部11は、画像を表示するディスプレイユニット15を備えている。
【0012】
なお、本体部11の内部には、画像や音声を記録、再生する記録再生部(不図示)が設けられている。図1にはディスプレイユニット15が開かれ、メモリカードの収容部がカード蓋16によって閉塞された状態が示されており、ユーザはディスプレイユニット15が開いた状態でカード蓋16を開閉することができる。
【0013】
図2は、図1に示されるデジタルビデオカメラのカード蓋16が開かれた状態を示す斜視図である。カメラ本体1においてカード蓋16により開閉される部分には、一定の間隔を空けて配置された上段カードスロット18aと下段カードスロット18b(図2に不図示、後述する図6参照)が備えられている。図2の状態では、上段・下段カードスロット18a,18bにそれぞれ、メモリカード17a,17bが挿入され、保持されている。
【0014】
本実施形態では、メモリカード17a,17bをプッシュイン・プッシュイジェクト方式で上段・下段カードスロット18a,18bに挿抜する。そのため、メモリカード17a,17bの挿入時は、ユーザがメモリカード17a,17bをそれぞれ上段・下段カードスロット18a,18bに押し込むことでメモリカード17a,17bが装着ロックされる。また、メモリカード17a,17bの抜去時には、ユーザがメモリカード17a,17bの幅方向中心付近をプッシュするだけでロックが解除され、メモリカード17a,17bがイジェクトされる。ユーザがメモリカード17a,17bのいずれか一方を挿抜する際に他方が邪魔にならないように、上段カードスロット18aと下段カードスロット18bとは、一定の距離を空けて配置されている。上段・下段カードスロット18a,18bの開口部(挿入口)を形成する部材であるスロットホルダ19は、ユーザがメモリカード17a,17bの挿抜を行い易くなるように、その中央部に凹部19aを有している。
【0015】
図3は、図1に示されるデジタルビデオカメラをグリップ側(ディスプレイユニット15が配置されている面の反対側)からみた斜視図である。本体部11の一側面は、グリップカバー20とジャックカバー21とで構成されている。つまり、グリップカバー20とジャックカバー21は共に、本体部11の一部である。
【0016】
図4は、図3に示されるジャックカバー21が開かれたデジタルビデオカメラの状態を示す斜視図である。ジャックカバー21を外した際に本体部11に露出する部分には、映像・音声の出力をするAV端子22と、映像を出力するコンポーネント端子23と、本体部11に電源を供給する電源端子24とが設けられている。
【0017】
図5は、図3に示されるデジタルビデオカメラの状態からグリップカバー20とジャックカバー21を取り除いた状態を示す斜視図である。AV端子22、コンポーネント端子23及び電源端子24が実装されたフレキシブル基板であるジャックフレキ25は、メイン基板26に接続されている。電源端子24に入力される電力は、ジャックフレキ25に半田付け等により接続された電源ワイヤ27を通してメイン基板26に供給される。また、この電源ワイヤ27はスロットホルダ19のリブに挟まれており、これにより配設位置が固定されている。
【0018】
図6は、デジタルビデオカメラにおける、メイン基板26、スロットホルダ19及び上段・下段カードスロット18a,18bの位置関係を示す斜視図である。下段カードスロット18bはメイン基板26に実装されており、上段カードスロット18aは、上段・下段カードスロット18a,18b間に配置されているカード基板29に実装されている。カード基板29とメイン基板26とは、データのやり取りを行うためにカードフレキ28で接続されている。
【0019】
スロットホルダ19は、下段カードスロット18bとカード基板29との間の空間に配置された第1の梁形状部である梁形状部19bと、梁形状部19bの先端に設けられた第1の突起部であるボス形状部19c,19dとを有している。スロットホルダ19はまた、上段カードスロット18aの上位部に設けられた第2の梁形状部である上部梁形状部19eを有しており、上部梁形状部19eの先端には第2の突起部であるボス形状部19fが設けられている。梁形状部19bと上部梁形状部19eとが上段カードスロット18aを囲む構造とすることで、スロットホルダ19自体のみならず本体部11の剛性が高められる。また、スロットホルダ19の上部梁形状部19eの表面には自身の剛性が高められるように多くのリブ(突起状の壁部)が設けられており、これにより本体部11の剛性が高められている。
【0020】
図7は、グリップカバー20の内側面の構造を示す斜視図である。グリップカバー20は、AV端子22、コンポーネント端子23及び電源端子24をそれぞれ配置する開口部31a,31b,31cと、他の部品とビス止めするためのビス穴を備えている。本実施形態では、スロットホルダ19の梁形状部19bと上部梁形状部19eがそれぞれグリップカバー20の内側に当接するようになっており、これにより、グリップカバー20が内側へ撓むことを防止して、本体部11の剛性を高めている。グリップカバー20において上段・下段カードスロット18a,18bの間の空間に対向する部分には、スロットホルダ19のボス形状部19c,19dとそれぞれ嵌合するように第1の嵌合部である嵌合部32a,32bが形成されている。
【0021】
図8は、グリップカバー20とスロットホルダ19とを嵌合させた状態を示す斜視図である。スロットホルダ19の梁形状部19bに形成されているボス形状部19c,19dとグリップカバー20に形成されている嵌合部32a,32bとが嵌合することで、スロットホルダ19に位置ずれが生じることを防止している。グリップカバー20はまた、スロットホルダ19の上部梁形状部19eに形成されているボス形状部19fと嵌合する第2の嵌合部である嵌合部32cを有しており、ボス形状部19fと嵌合部32cとの嵌合によって本体部11の剛性が更に高められている。
【0022】
図8に示されるように、スロットホルダ19は、グリップカバー20と嵌合して本体部11の剛性を高める部位以外に、カード蓋16の回転軸を押さえる軸受け部19gと、トリガーボタン14が押しこまれたときの静圧を受ける側面壁部19hとを有している。スロットホルダ19自体の剛性はこれらの部位によっても高められており、ひいては、本体部11の剛性が高められている。
【0023】
図9は、トリガーボタン14の内部構成を示す斜視図である。トリガーボタン14を押下すると、フレキシブル基板であるトリガーフレキ41に実装されたトリガースイッチ42が信号を検出する。トリガーボタン14は、図2の通り、本体部11の背面に配置されており、本体部11が背面を下にして落下したときに大きな衝撃が加わり易く、内部部品であるトリガースイッチ42やトリガーフレキ41を本体部11の内部へ押し込もうとする。そこで本実施形態では、スロットホルダ19の側面壁部19hが、トリガーボタン14の端部であるトリガーフレキ41に対してホルダ板金43を介して密着する構造を採っている。ここで、本体部11の背面の外観カバーであるリアカバー(図9に不図示)に対して、ビスでスロットホルダ19とホルダ板金43、トリガーフレキ41とを共締めしている。これにより、スロットホルダ19はトリガーボタン14に対しての静圧を受ける役割を果たし、ひいては本体部11の剛性を高めている。
【0024】
本発明に係る撮像装置では、以上に説明したスロットホルダ19とグリップカバー20のそれぞれの構造及び嵌合構造により、スロットホルダ19及びグリップカバー20のそれぞれの剛性が高められ、且つ、本体部11の剛性が高められている。
【0025】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。また、撮像装置を構成する部品の形状は任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0026】
11 カメラ本体
15 ディスプレイユニット
16 カード蓋
18a 上段カードスロット
18b 下段カードスロット
19 スロットホルダ
20 グリップカバー
26 メイン基板
29 カード基板
31a,31b,31c 開口部
32a,32b,32c 嵌合部
43 ホルダ板金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカードを挿抜可能な複数のカードスロットが一定の間隔を空けて本体部に配置された撮像装置であって、
前記複数のカードスロットの開口部と、前記複数のカードスロットの間に形成されている空間に配置される第1の梁形状部とを有するスロットホルダを有し、
前記本体部において前記空間に対向する部分と前記第1の梁形状部とが嵌合により接続されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記スロットホルダは、前記第1の梁形状部との間に前記複数のカードスロットのうち少なくとも1つのカードスロットが位置するように設けられた第2の梁形状部を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の梁形状部の表面にリブが形成されていることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の梁形状部は第2の突起部を有し、前記本体部は前記第2の突起部と嵌合する第2の嵌合部を有し、前記第2の突起部と前記第2の嵌合部とを嵌合させることで前記本体部において前記空間に対向する部分と前記第2の梁形状部とが接続されることを特徴とする請求項3又は4に記載の撮像装置。
【請求項5】
当該撮像装置を操作する操作手段を更に備え、
前記操作手段の端部が前記スロットホルダの側面壁部に当接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記操作手段は、動画撮影を行うためのトリガーボタンであることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−134752(P2012−134752A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284792(P2010−284792)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】