説明

撮像装置

【課題】プレノプティックカメラにより撮像されたライトフィールド画像から、再構成画像が生成される場合に生ずるノイズを低減させること。
【解決手段】撮像装置1は、メインレンズ31、複数のマイクロレンズ32−iからなるマイクロレンズアレイ32、及び撮像素子33を光学系に備える。マイクロレンズアレイ32においては、マイクロレンズ32−iの各々のエッジが、他のマイクロレンズ32−iのエッジと線接触するように、規則的に連続して繰り返して配置されており、メインレンズ31のアパーチャー形状は、マイクロレンズ32−iの形状と略同一の形状を有しており、複数のマイクロレンズ32−iの各エッジと焦点距離の比とが略同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、プレノプティックカメラと呼ばれる撮像装置により撮像されたライトフィールド画像から、再構成された画像に生ずるノイズを低減させることが可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入射光線の方向分布(direction distribution)についての情報を取り込む撮像装置、即ち「プレノプティック(plenoptic)カメラ」と呼ばれる撮像装置が研究開発されている(特許文献1参照)。
プレノプティックカメラの光学系においては、従来の撮像レンズ(以下、「メインレンズ」と呼ぶ)と撮像素子との間に、極小のレンズ(以下、「マイクロレンズ」と呼ぶ)を縦横に連続して繰り返し配置した複眼状レンズ(以下、「マイクロレンズアレイ」と呼ぶ)が挿入されている。
【0003】
マイクロレンズアレイを構成する個々のマイクロレンズは、メインレンズによって集光された光を、その到達した角度に応じて、撮像素子内の複数の画素に分配する。
即ち、個々のマイクロレンズの各々によって撮像素子に集光された像を、以下「サブイメージ」と呼ぶならば、複数のサブイメージの集合体からなる画像のデータが、撮像画像のデータとして撮像素子から出力される。
なお、このようなプレノプティックカメラの撮像画像、即ち、複数のサブイメージの集合体からなる画像を、以下、「ライトフィールド画像」と呼ぶ。
ライトフィールド画像は、このように従来のメインレンズのみならず、マイクロレンズアレイを介して入射された光により生成される。このため、ライトフィールド画像は、従来の撮像画像にも含まれていた2次元の空間情報を有することは勿論のこと、さらに、従来の撮像画像には含まれていなかった情報として、撮像素子からみて何れの方向から到達した光線なのかを示す2次元の方向情報を有している。
【0004】
そこで、プレノプティックカメラは、このような2次元の方向情報を利用して、ライトフィールド画像の撮像後に、当該ライトフィールド画像のデータを用いて、撮像時に任意の距離だけ前方に離間していた面の像を再構成することができる。
換言すると、プレノプティックカメラは、所定距離で焦点を合わせずにライトフィールド画像を撮像した場合であっても、その撮像後に、当該ライトフィールド画像のデータを用いることで、当該所定距離で合焦して撮像したような画像(以下、「再構成画像」と呼ぶ)のデータを自在に作り出すことができる。
【0005】
具体的には、プレノプティックカメラは、任意の距離にある面の1点を注目点に設定し、当該注目点からの光がメインレンズ及びマイクロレンズアレイを介して撮像素子内の何れの画素に分配されるのかを算出する。
ここで、例えば、撮像素子の各画素が、ライトフィールド画像を構成する各画素に対応しているならば、プレノプティックカメラは、ライトフィールド画像を構成する各画素のうち、当該注目点からの光が分配される1以上の画素の画素値を積分する。この積分値が、再構成画像における、注目点に対応する画素の画素値となる。このようにして、再構成画像における、注目点に対応する画素が再構成される。
プレノプティックカメラは、再構成画像を構成する各画素(任意の距離にある面の各点に対応する各画素)のそれぞれを注目点に順次設定して、上述の一連の処理を繰り返すことで、再構成画像のデータ(再構成画像の各画素の画素値の集合体)を再構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−532993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のプレノプティックカメラにより再構成画像のデータが生成されると、空間方向に周期的なノイズが生ずる場合がある。
このため、当該ノイズを低減する手法が求められている状況である。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、プレノプティックカメラと呼ばれる撮像装置により撮像されたライトフィールド画像から、再構成画像が生成される場合に生ずるノイズを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の撮像装置は、メインレンズ、複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイ、及び撮像素子を光学系に備える撮像装置であって、前記マイクロレンズアレイにおいては、前記マイクロレンズの各々のエッジが、他のマイクロレンズのエッジと線接触するように、規則的に連続して繰り返して配置されており、前記メインレンズのアパーチャー形状は、前記マイクロレンズの形状と略同一の形状を有しており、前記複数のマイクロレンズの各エッジと焦点距離の比とが略同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プレノプティックカメラにより撮像されたライトフィールド画像から、再構成画像が生成される場合に生ずるノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の構成を有する撮像装置のうち、光学系の構成例を示す模式図である。
【図3】図1の撮像装置が実行する再構成処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】従来の撮像装置の光学系の構成を示す模式図である。
【図5】本発明に係るマイクロレンズ間隙間手法を適用した場合に得られる再構成画像と、従来の手法を適用した場合により得られる再構成画像とを比較する図である。
【図6】本発明に係るマイクロレンズ間隙間縮小手法を適用した、本実施形態に係る撮像装置と、従来の撮像装置との光学係の構成を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0014】
撮像装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、撮像部16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、を備えている。
【0015】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0016】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0017】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、撮像部16、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20及びドライブ21が接続されている。
【0018】
撮像部16は、メインレンズ31と、マイクロレンズアレイ32と、撮像素子33と、を備えている。なお、撮像部16のさらなる詳細については、図2を参照して後述する。
【0019】
入力部17は、図示せぬシャッタ釦等の各種釦により構成され、ユーザの指示操作に応じた各種情報を入力する。
出力部18は、モニタやスピーカ等により構成され、各種画像や各種音声を出力する。
記憶部19は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、後述するライトフィールド画像や再構成画像等、各種画像のデータを記憶する。
通信部20は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0020】
ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア22が適宜装着される。ドライブ21によってリムーバブルメディア22から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。また、リムーバブルメディア22は、記憶部19に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部19と同様に記憶することができる。
【0021】
図2は、このような構成を有する撮像装置1のうち、光学系の構成例を示す模式図である。
【0022】
撮像装置1の光学系においては、被写体たる物体面obからみて、メインレンズ31と、マイクロレンズアレイ32と、撮像素子33と、がその順番で配置されている。
マイクロレンズアレイ32においては、N個(Nは2以上の任意の整数値)のマイクロレンズ32−1乃至32−Nの各々が規則的に連続して繰り返して配置されている。
【0023】
メインレンズ31は、光源から射出された光束を集光して、所定の面Maに結像させ、マイクロレンズアレイ32に入射させる。なお、以下、メインレンズ31により結像される面Maを、「メインレンズ結像面Ma」と呼ぶ。
【0024】
マイクロレンズアレイ32内のマイクロレンズ32−i(iは、1乃至Nの範囲内の整数値)は、物体面obからメインレンズ31を介して入射されてくる光束を入射方向毎に集光して、撮像素子33の上にサブイメージを結像させる。
即ち、撮像素子33においては、複数のマイクロレンズ32−1乃至32−Nの各々により複数のサブイメージが結像され、これらの複数のサブイメージの集合体であるライトフィールド画像が生成される。
【0025】
ここで、撮像装置1が、物体面obを撮像した結果得られるライトフィールド画像のデータから、再構成画像のデータを生成する場合を考える。
この場合、撮像装置1は、メインレンズ31の前方の任意の距離にある面の像(当該任意の距離に被写体があると仮定したときにおける、メインレンズ31により結像されるであろう面)の1点を注目点に設定すると、当該注目点からの光がメインレンズ31及びマイクロレンズアレイ32を介して撮像素子33内の何れの画素に分配されるのかを算出する。なお、以下、再構成対象の面、即ち、注目点が設定される面を、「再構成面」と呼ぶ。
そして、撮像装置1は、分配された画素に対応する、ライトフィールド画像のデータ内の画素値を積分することにより、再構成画像のうち、注目点に対応する画素の画素値を推定演算する。
撮像装置1は、このような推定演算を、再構成画像の各画素毎に実行することにより、再構成画像のデータを生成する。
なお、このようにして撮像装置1が再構成画像のデータを生成するまでの処理を、以下、「再構成処理」と呼ぶ。
【0026】
図3は、図1の撮像装置1が実行する再構成処理の流れを説明するフローチャートである。
なお、撮像装置1は、再構成処理の前に、被写体を撮像して、その結果得られるライトフィールド画像のデータを記憶部19等に記憶しているものとする。
【0027】
ステップS11において、撮像装置1のCPU11は、ライトフィールド画像のデータを記憶部19等から取得する。
ステップS12において、CPU11は、メインレンズ31の前方の所定距離の位置にある面の像を、再構成面として設定する。
【0028】
ステップS13において、CPU11は、再構成面の1点を、再構成注目画素に設定する。
ステップS14において、CPU11は、再構成注目画素についての分配画素範囲を算出する。分配画素範囲とは、再構成注目画素からの光がメインレンズ31及びマイクロレンズアレイ32を介して分配される、撮像素子33内の画素の範囲、即ちライトフィールド画像内の画素の範囲である。
ステップS15において、CPU11は、分配画素範囲内の各画素の画素値を積分する。
ステップS16において、CPU11は、ステップS15の処理の結果得られる積分値を、再構成注目画素の画素値に設定する。
【0029】
ステップS17において、CPU11は、再構成面の全点が再構成注目画素に設定されたか否かを判定する。
再構成面の各点のうち再構成注目画素に未だ設定されていない点が存在する場合、ステップS17においてNOであると判定されて、処理はステップS13に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、再構成面の各点が再構成注目画素に順次設定され、その都度、ステップS13乃至S17のループ処理が繰り返し実行されて、再構成注目画素の画素値が設定される。
このようにして、再構成面の各点に対応する各画素の画素値がそれぞれ設定されることによって、再構成画像のデータが生成される。これにより、ステップS17においてYESであると判定されて、処理はステップS18に進む。
ステップS18において、CPU11は、再構成画像を出力部18から表示出力する。
これにより、再構成処理は終了となる。
【0030】
しかしながら、このようなステップS13乃至S17のループ処理による再構成画像の各画素の推定演算(以下、「再構成の演算」と呼ぶ)では、特許文献1等の従来の技術では、真円形状のメインレンズ31及び真円形状のマイクロレンズ32−iを光学系に有する撮像装置によって得られたライトフィールド画像のデータが用いられていた。
このため、空間周波数の高い物体領域が再構成面に実在しないと、再構成画像の領域のうち、理想的には通常の撮像装置により撮像された場合と同様に自然なボケとなるべき領域において、周期的なノイズが生ずる場合がある。
【0031】
図4は、周期的なノイズが生ずる要因を説明するための、従来の撮像装置の光学系の構成を示す模式図である。
なお、図4においては、ライトフィールド画像が撮像されたときの物体面ob(撮像時に合焦していた物体面ob)の位置が、図2の場合と異なっているため、メインレンズ結像面Maの位置も、図2の場合と異なり、撮像素子33の後方になっている。
ライトフィールド画像が撮像されるときには、図4の下方の図に示すように、物体面obの点光源psからの光線は、メインレンズ31を介してマイクロレンズアレイ32に入射されてくる。このようなマイクロレンズアレイ32に入射された光線のうち、マイクロレンズ32−iが未配置の領域(以下、「マイクロレンズ間隙間」と呼ぶ)に到達した光線は、当該マイクロレンズアレイ32を透過することができない。従って、マイクロレンズ間隙間に到達した光線は、撮像素子33に到達せず、その結果当然ながら撮像素子33で集光されない(光量として積分されない)。
ここで、図4には図示しないが、再構成処理の実行に際し、仮にメインレンズ結像面Maと同一位置に再構成面が設定された場合(図3のステップS12参照)、物体面obの点光源psからの光線は再構成面の1点に集中する。このため、マイクロレンズ間隙間に到達した光線の情報(撮像素子33で集光されないため、撮像素子33において欠損する情報)は、マイクロレンズ32−iに到達した光線の情報(撮像素子33で集光されるため、撮像素子33において取得される情報)で補うことが可能である。このため、再構成画像には、周期的なノイズがほぼ生じない。
しかしながら、再構成処理は、上述したように、ライトフィールド画像の撮像時に合焦していた物体面obとは異なった面で合焦していた画像と等価な再構成画像のデータを得るために、実行される。この場合、「ライトフィールド画像の撮像時に合焦していた物体面obとは異なった面で合焦していた」様子を推定するためには、図4の下方の図に示すように、再構成面Raは、メインレンズ結像面Maと異なる位置に設定されることになる。このため、マイクロレンズ間隙間に到達した光線は、撮像素子33で集光されていない(光量として積分されていない)ことから、その情報を再構成処理で用いることはできず、その結果、再構成画像において周期的なノイズが生じてしまうことになる。
【0032】
以上説明したように、再構成画像において周期的なノイズが生じてしまう要因は、マイクロレンズ間隙間が存在するからである。
そこで、本発明人らは、当該ノイズを低減すべく、(1)マイクロレンズアレイ32を構成するマイクロレンズ32−iの個々の形状を、真円形状以外の形状、例えば正方形状にすること、及び、(2)メインレンズ31のアパーチャー形状をマイクロレンズ32−iの形状に合わせること、例えば正方形状にすることで、マイクロレンズ間隙間を従来よりも縮小する手法を発明した。以下、かかる手法を、「マイクロレンズ間隙間縮小手法」と呼ぶ。
【0033】
図5は、このような本発明に係るマイクロレンズ間隙間手法を適用した場合に得られる再構成画像と、従来の手法を適用した場合により得られる再構成画像とを比較する図である。
ここで、従来の手法とは、(1)マイクロレンズアレイ32を構成するマイクロレンズ32−iの個々の形状を、真円形状にすること、及び、(2)メインレンズ31のアパーチャー形状をマイクロレンズ32−iの形状に合わせて、真円形状にすることをいう。
【0034】
図5の左上方には、撮像により得られたライトフィールド画像XEが示されている。
なお、説明の簡略上、1枚のライトフィールド画像XEしか図示していないが、実際には、サブイメージの形状が相異なる別々のライトフィールド画像のデータが得られることになる。即ち、従来の手法で得られるライトフィールド画像のサブイメージの形状は、図示はしないが、従来のマイクロレンズ32−iの形状である真円形状になる。これに対して、本発明に係るマイクロレンズ間隙間手法を適用した場合に得られるライトフィールド画像の形状は、図示はしないが、真円形状以外の形状、例えば正方形状になる。
【0035】
ライトフィールド画像XEは、メインレンズ31の前方から近い順に、「A」と表示されたカード、「B」と表示されたカード、及び「C」と表示されたカードが一定距離ずつ離間してそれぞれ配置された様子が撮像されたものである。図5に示すように、当該ライトフィールド画像XEの撮像時点では、「B」と表示されたカードにほぼ合焦していることがわかる。
このため、本例では、「C」と表示されたカードに合焦したような再構成画像が得られるように、再構成処理が実行されている。
【0036】
図5の右上方には、従来の技術を適用した場合に得られる再構成画像AFが示されている。
再構成画像AFには、領域NA等において、空間方向に周期的なノイズが生じていることがわかる。
【0037】
これに対して、図5の右下方には、本発明に係るマイクロレンズ間隙間手法を適用した場合に得られる再構成画像BFが示されている。
再構成画像BFには、空間方向の周期的なノイズはほぼ生じておらず、「C」と表示されたカードに合焦し、それ以外の「A」や「B」と表示されたカードの各像は、ボケた像(本来このようになるべき理想的な像)となっていることがわかる。
【0038】
図6は、本発明に係るマイクロレンズ間隙間縮小手法を適用した、本実施形態に係る撮像装置1と、従来の撮像装置との光学係の構成を比較した図である。
【0039】
図6において、メインレンズ31O及びマイクロレンズアレイ32Oを有する光学系は、従来の撮像装置のものである。このような従来の撮像装置が、物体面obの点光源psからの光線(同図は白黒画像に変換したものであるため濃い灰色の点のようになっている)を撮像すると、その結果として、ライトフィールド画像LFOのデータが得られることになる。
従来の撮像装置のマイクロレンズアレイ32Oを構成する各マイクロレンズ32O−iの形状は、真円状である。このことは、マイクロレンズアレイ32Oが複数の正方形の格子に区分されたとして、当該正方形の格子に、真円状のマイクロレンズ32O−iを内接するように配置させたことと等価である。また、メインレンズ31Oのアパーチャー形状も、マイクロレンズ32O−iに合わせて、真円状である。
このため、マイクロレンズ32O−iと、それに隣接するマイクロレンズ32O−jとは点接触することになるため、マイクロレンズ間隙間の面積が大きくなる。このような構成の光学系を有する従来の撮像装置により撮像されたライトフィールド画像LFOでは、マイクロレンズ間隙間に到達した光線の情報が欠損した領域(サブイメージ間の隙間の図中黒い領域)が生じてしまう。このようなライトフィールド画像LFOのデータを用いて再構成処理が実行されると、その結果得られる再構成画像(図5の再構成画像AF参照)では、周期的なノイズが生じてしまう。
【0040】
これに対して、図6において、メインレンズ31N及びマイクロレンズアレイ32Nを有する光学系は、本実施形態の撮像装置1のものである。このような本実施形態の撮像装置1が、物体面obの点光源psからの光線(同図中、説明の簡略上、白黒逆転させて黒い点としている)を撮像すると、その結果として、ライトフィールド画像LFNのデータが得られることになる。
本実施形態の撮像装置1のマイクロレンズアレイ32Nを構成する各マイクロレンズ32N−iの形状は、正方形状である。このことは、マイクロレンズアレイ32Nが複数の正方形の格子に区分されたとして、当該正方形の格子に、真円を外接するように配置させ、当該真円のうち格子内の正方形部分をレンズ化したことと等価である。また、メインレンズ31Nのアパーチャー形状も、マイクロレンズ32N−iに合わせて、正方形状である。
このため、マイクロレンズ32N−iと、それに隣接するマイクロレンズ32N−jとは線接触することになるため、マイクロレンズ間隙間がほぼなくなる。このような構成の光学系を有する本実施形態の撮像装置1により撮像されたライトフィールド画像LFNには、マイクロレンズアレイ32に到達した光線の情報がほぼ欠損することなく漏れなく埋め込まれている。このようなライトフィールド画像LFNのデータを用いて再構成処理が実行されると、その結果得られる再構成画像(図5の再構成画像BF参照)では、周期的なノイズがほぼ生じなくなり、再構成により合焦した像以外は、ボケた像(本来このようになるべき理想的な像)になる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像装置1の撮像部16は、正方形のアパーチャー形状を有するメインレンズ31と、正方形状のN個のマイクロレンズ32−1乃至32−Nからなるマイクロレンズアレイ32と、撮像素子33と、を含む光学系を備える。
このような構成の撮像装置1により撮像されたライトフィールド画像のデータから、再構成画像のデータが生成されると、従来生じていた周期的なノイズが抑制される。
【0042】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0043】
例えば、上述の実施形態では、(1)マイクロレンズアレイ32を構成するマイクロレンズ32−iの個々の形状を正方形状とし、(2)メインレンズ31のアパーチャー形状も、マイクロレンズ32−iの形状に合わせて、正方形状である構成の光学系として説明したが、光学系の構成これに限定されない。即ち、マイクロレンズ間隙間の面積を、真円のマイクロレンズ32−i等を用いている従来の場合と比較して小さくすることができるような、光学系の構成であれば足りる。
具体的には、マイクロレンズアレイ32においては、マイクロレンズ32−iの各々のエッジが、他のマイクロレンズ32−jのエッジと線接触するように、規則的に連続して繰り返して配置されており、メインレンズ31のアパーチャー形状が、マイクロレンズ32−iの形状と略同一の形状を有しているような光学系であれば、本発明に係る撮像装置に適用できる。
即ち、マイクロレンズ32−iの形状は、正方形状である必要は特になく、例えば、六角形等の多角形状であってもよい。
ただし、サブイメージ間に隙間が生じたり重なったりしてしまうライトフィールド画像のデータが得られると、当該ライトフィールド画像のデータから生成された再構成画像のデータにおいては、周期的なノイズが生じてしまうおそれがある。
そこで、このようなおそれを回避するためには、複数のマイクロレンズ32−iの各エッジ(正方形等の多角形ならば各辺)と焦点距離の比とを略同一にすることが望ましい。このことは、マイクロレンズ32−i形状が真円状の場合においてメインレンズ31とマイクロレンズ32−iのFナンバーを合わせること、即ち、焦点距離と有効口径との比を合わせることと等価な効果を奏することを意味するからである。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0045】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
メインレンズ、複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイ、及び撮像素子を光学系に備える撮像装置であって、
前記マイクロレンズアレイにおいては、前記マイクロレンズの各々のエッジが、他のマイクロレンズのエッジと線接触するように、規則的に連続して繰り返して配置されており、
前記メインレンズのアパーチャー形状は、前記マイクロレンズの形状と略同一の形状を有しており、
前記複数のマイクロレンズの各エッジと焦点距離の比とが略同一である
ことを特徴とする撮像装置。
[付記2]
前記メインレンズのアパーチャー形状と前記マイクロレンズの形状とは、略正方形状である、
ことを特徴とする、付記1記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0046】
1・・・撮像装置、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・撮像部、17・・・入力部、18・・・出力部、19・・・記憶部、20・・・通信部、21・・・ドライブ、31・・・メインレンズ、32・・・マイクロレンズアレイ、33・・・撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインレンズ、複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイ、及び撮像素子を光学系に備える撮像装置であって、
前記マイクロレンズアレイにおいては、前記マイクロレンズの各々のエッジが、他のマイクロレンズのエッジと線接触するように、規則的に連続して繰り返して配置されており、
前記メインレンズのアパーチャー形状は、前記マイクロレンズの形状と略同一の形状を有しており、
前記複数のマイクロレンズの各エッジと焦点距離の比とが略同一である
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記メインレンズのアパーチャー形状と前記マイクロレンズの形状とは、略正方形状である、
ことを特徴とする、請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−205111(P2012−205111A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68369(P2011−68369)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】