説明

撮像装置

【課題】撮像素子への入射情報量の減衰を補正する。
【解決手段】ガルバノメータ方式の絞りと焦点距離値を検出する手段を備えたレンズを用いる固体撮像装置において、前記レンズはパターンプロジェクタとエクステンダとを内蔵した望遠ズームレンズであり、前記固体撮像装置は前記ガルバノメータの電流を検出する手段を有し、前記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数と前記検出したズーム値とからレンズ絞り値を算出し、前記レンズのエクステンダと前記レンズのズーム値と前記算出した絞り値と光学フィルタ種類との条件マトリクスにより変化するパターンプロジェクタの映像におけるレンズと撮像素子間の塵埃の影と周辺光量減衰との映像減衰を前記条件マトリクスで各画素ごとに検出し、各画素ごとに映像信号の増幅度を変調して補正する。
撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに用いる固体撮像装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オンチップカラーフイルタ付き固体撮像素子を1ヶ用いたカラー固体撮像装置(以下単板カラーカメラ)はCCD(Charge Coupled Device)撮像素子と雑音を除去するCDS(Correlated Double Sampling)と暗電流補正と利得可変増幅回路(Automatic Gain Control以下AGC)とデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)とを内蔵したアナログフロントエンド(Analog Front End:AFE)とCCD駆動回路と信号処理回路からなる。上記の全ての機能を実現したCMOS撮像素子を用いても良い。
【0003】
ズームレンズやバリフォーカルレンズの絞り値が開放端付近ではレンズの周辺光量や周辺の変調度が低下する。図5はレンズの周辺光量の低下の一例を示す模式図であり、図6はレンズの周辺の変調度が低下の一例を示す模式図である。図5の様に、望遠端付近では口径食による周辺光量低下が加わり周辺光量低下が顕著になり、開放絞り値も大きく(開口数も小さく)なる。また、広角側ではコサイン四乗則による周辺光量低下が加わり、ズーム値で大きく周辺光量低下が変化し絞り値ではあまり変化しない。広角端では、絞り値を大きくしても周辺光量低下が直らない。さらに、図6の様に、望遠端付近では収差補正不足による変調度低下も加わり画面周辺の変調度低下も顕著になる。絞り値が閉塞端に近づくと、図6の様に、回折により画面均一に変調度が低下する。
そこで絞りの近くにスポットNDフィルタを挿入するが、変調度の低下が少ないスポットNDフィルタは高価である。絞り値情報を出力するレンズを用いる放送用カメラでは、絞り値が閉塞端に近づくと、絞り値をF11程度以下に保ち、電子シャッタで露光時間を短くして感度を低下させて変調度を維持する。
さらに、レンズとCCD撮像素子との間の塵埃の影もレンズの絞り値に応じて変化する。そこで、レンズの絞り値に応じて変化するレンズとCCD撮像素子との間の塵埃の影をレンズ絞り値に応じて補正していた(特許文献1参照)。
しかし、ガルバノ方式のレンズ絞り値を検出する手段が無く、レンズの絞り値に応じて変化するレンズの変調度やレンズの周辺光量低下や、レンズとCCD撮像素子との間の塵埃の影等の現象に対して映像信号処理をすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−51459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、撮像装置において、ガルバノ方式のレンズ絞り値を検出し、レンズの絞り値に応じて変化する映像を映像信号処理で補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するため、ガルバノメータ方式の絞りを備えたレンズを用いガルバノメータコイルを駆動する手段と固体撮像素子と映像信号処理部とを有する固体撮像装置において、前記固体撮像装置は前記ガルバノメータの電流を検出する手段(電流検出抵抗とA/D機能内蔵CPUと)と前記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数からレンズ絞り値を算出する手段(CPU)とを有し、前記映像信号処理部は映像信号を補正する映像信号処理部であり、前記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数からレンズ絞り値を算出し、前記算出したレンズの絞り値により変化する映像信号を前記映像信号処理部で補正することを特徴とする撮像装置である。
【0007】
また、上記固体撮像装置において、上記レンズは焦点距離を検出し検出した焦点距離情報を上記固体撮像装置に伝送する手段を内蔵したレンズであり、上記固体撮像装置は伝送された上記レンズの焦点距離を判断する手段(CPU)と、AFEと、画面周辺の映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数と輪郭強調量とを補正する機能とを含む信号処理部と、を有し、AFEまたは信号処理部の少なくとも一方が画面周辺の映像信号の輝度低下を補正する機能を有し、前記算出した絞り値が開放端に近づくと、上記レンズの画面周辺の変調度低下による映像信号の画面周辺の変調度(映像信号の輪郭)低下を補正すること、前記算出した絞り値が閉塞端に近づくと、上記レンズの回折による画面均一の変調度低下による映像信号の画面均一の変調度(映像信号の輪郭)低下を補正すること、上記レンズの焦点距離情報から望遠側と判断した場合は、上記レンズの望遠側の口径食による画面周辺の光量低下による映像信号の画面周辺の振幅低下と、上記レンズの画面均一の変調度低下による映像信号の画面均一の変調度低下と上記レンズの画面周辺の変調度低下による映像信号の画面周辺の変調度低下との両方と、の少なくとも一方を補正すること、上記レンズの焦点距離情報から広角端に近づいたと判断した場合は、上記レンズの広角側のコサイン四乗側による画面周辺の光量低下による映像信号の画面周辺の振幅低下を補正すること、前記算出した絞り値が、閉塞端に近づくと、ガルバノメータコイル(の電圧を所定値以上に保つと閉塞方向の応答速度が遅くなるので、)電流の時間平均値を所定値以上に保ち、電子シャッタで露光時間を短く(して感度を低下)させること、の少なくとも一つを行うことを特徴とする撮像装置である。
【0008】
また、上記固体撮像装置において、上記固体撮像装置の映像信号処理部は、入力映像信号を走査線期間遅延する映像信号走査線遅延部を6ヶ以上の偶数2Mヶと、上記入力映像信号と走査線期間遅延後の映像信号とから垂直輪郭信号を生成する多画素垂直輪郭信号生成部と、上記入力映像信号と走査線期間遅延後の映像信号とを画素遅延する映像信号画素遅延部を各6ヶ以上の偶数2Nヶ合計4MNヶと、上記入力映像信号をM走査線期間遅延した映像信号とM走査線期間遅延し各画素遅延後の映像信号とから水平輪郭信号を生成する多画素水平輪郭信号生成部と、上記入力映像信号をM走査線期間遅延しN画素遅延した映像信号に上記多画素垂直輪郭信号と上記多画素水平輪郭信号とを加算する多画素輪郭補正部と、を有し、上記算出したレンズの絞り値の大きさに応じて、多画素輪郭補正の垂直輪郭補正の強調中心となる走査線本数を多くすることと、多画素輪郭補正の水平輪郭補正の強調中心となる周波数を低くすることと、多画素輪郭補正を強くすることと、の少なくとも一つを行うことを特徴とする撮像装置である。
【0009】
また、上記固体撮像装置において、上記レンズはズームレンズまたは電動バリフォーカルレンズまたは(バリフォーカルプラス等の)焦点変動補正機構内蔵バリフォーカルレンズの少なくとも一つのレンズでありかつ焦点距離を検出し該検出した焦点距離情報を上記固体撮像装置に伝送する手段を内蔵したレンズであり、上記固体撮像装置は伝送された上記レンズの焦点距離情報を判断する手段(CPU)と、AFEと、画面周辺の映像信号の多画素輪郭補正の輪郭強調中心周波数と輪郭強調量とを補正する機能とを含む信号処理部と、を有し、AFEまたは信号処理部の少なくとも一方が画面周辺の映像信号の輝度低下を補正する機能を有し、前記算出した絞り値が開放端に近づくと、上記レンズの画面周辺の変調度低下による映像信号の画面周辺の変調度(映像信号の輪郭)低下を補正すること、前記算出した絞り値が閉塞端に近づくと、上記レンズの回折による画面均一の変調度低下による映像信号の画面均一の変調度(映像信号の輪郭)低下を補正すること、上記レンズの焦点距離情報から望遠側と判断した場合は、上記レンズの望遠側の口径食による画面周辺の光量低下による映像信号の画面周辺の振幅低下と、上記レンズの画面均一の変調度低下による映像信号の画面均一の変調度低下と上記レンズの画面周辺の変調度低下による映像信号の画面周辺の変調度低下との両方と、の少なくとも一方を補正すること、上記レンズの焦点距離情報から広角端に近づいたと判断した場合は、上記レンズの広角側のコサイン四乗側による画面周辺の光量低下による映像信号の画面周辺の振幅低下を補正すること、前記算出した絞り値が、閉塞端に近づくと、ガルバノメータコイル(の電圧を所定値以上に保つと閉塞方向の応答速度が遅くなるので、)電流の時間平均値を所定値以上に保ち、電子シャッタで露光時間を短く(して感度を低下)させること、の少なくとも一方を行うことを特徴とする撮像装置である。
【0010】
また、上記固体撮像装置において、上記レンズは焦点距離を検出し該検出した焦点距離情報を上記固体撮像装置に伝送する手段とパターンプロジェクタまたはLD等のコヒーレント光源とエクステンダとを内蔵した望遠ズームレンズであり、上記映像信号処理部は、塵埃の映像信号減衰(影)の補正信号の画面記憶部(画面メモリ)と増幅可変手段(掛け算器)とを含み、上記レンズのズーム値を検出して検出したズーム値を上記固体撮像装置に伝送し、上記固体撮像装置は、上記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数と前記検出したズーム値とからレンズ絞り値を算出し、前記レンズのエクステンダと前記レンズのズーム値と前記算出した絞り値と光学フィルタ種類との条件マトリクスにより変化するパターンプロジェクタまたはLD等のコヒーレント光源光の映像における、レンズと撮像素子間の塵埃の影の映像を前記条件マトリクスで検出し上記塵埃の映像信号減衰(影)の補正信号の画面記憶部(画面メモリ)前記条件マトリクスごとに記憶し、前記条件マトリクスとにより変化するレンズと撮像素子間の塵埃の影の部分の映像信号を前記増幅可変手段(掛け算器)で前記塵埃の映像信号減衰(影)の補正信号分を増幅して補正することを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0011】
上記によると、撮像装置において、ガルバノ方式のレンズ絞り値を検出し、レンズの絞り値に応じて変化する映像を映像信号処理で補正することができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1実施例の固体撮像装置のブロック図
【図2】本発明の1実施例の塵埃補正付増幅度変調部のブロック図
【図3】本発明の1実施例の多画素輪郭補正部のブロック図
【図4】本発明の1実施例の多画素輪郭補正部の動作の模式図
【図5】レンズの周辺光量の低下の一例を示す模式図
【図6】レンズの周辺の変調度の低下の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の1実施例の固体撮像装置のブロック図の図1と、本発明の1実施例の塵埃補正付増幅度変調部のブロック図の図2と、レンズの周辺光量の低下の一例を示す模式図の図5と、レンズの周辺の変調度が低下の一例を示す模式図の図6とを用いて、本発明の実施例の概要を説明する。
【0014】
図1の本発明の1実施例の固体撮像装置のブロック図において、1はパターンプロジェクタまたはLD等コヒーレント光源の10とガルバノメータ方式絞りのガルバノメータコイル12と焦点距離を検出し上記固体撮像装置に伝送する手段を内蔵したレンズである。具体的には、1はズームレンズまたは電動バリフォーカルレンズまたはバリフォーカルプラス等の焦点変動補正機構内蔵バリフォーカルレンズの少なくとも一つのレンズである。また、2は固体撮像装置で、3は雑音を除去するCDS(Correlated Double Sampling)と暗電流補正と利得可変増幅回路(Automatic Gain Control:AGC)とデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)とを内蔵したアナログフロントエンド(Analog Front End:AFE)である。また、4は映像信号を補正する映像信号処理部、5はTG、6はA/DとD/Aとを内蔵したCPU、7は絞り駆動部、8はCCD撮像素子、9は光学フィルタ、11は電流検出抵抗Rrである。また、Linは入射光で、Voは出力映像信号である。
【0015】
本発明の1実施例の塵埃補正部のブロック図の図2Aにおいて、12は塵埃補正付増幅度変調部であり、14は光学フィルタ9ごとのレンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と各絞り値における塵埃の映像信号減衰(影)の画面メモリ、16は掛け算器である。図2Aでは、掛け算器16の信号処理部内を例示したが、掛け算器16は、画素単位に高速応答すれば、AFE内のAGCでも構わない。17は足し算器であり、18は各焦点距離と各絞り値における画面周辺映像信号減衰値の画面メモリである。レンズのエクステンダ状態は1倍と2倍とが一般的だが、ワイド対応の0.8倍や長焦点距離用の2.5倍や3倍もある。
【0016】
絞り値を検出できないガルバノメータ方式絞りのレンズは、絞り値が安定している状態では、ガルバノメータコイルの12の電流は絞りの開き具合つまり絞り値の逆数(開口数)に比例する。したがって、ガルバノメータコイルの12の電流値の時間平均の逆数に絞り値は比例する。ガルバノメータコイルの12の電流値0なら絞りきりで、電流値最大なら絞り開放となる。
そこで、絞り値を検出できないガルバノメータ方式絞りのレンズ使用時に、絞り駆動部の7で駆動されたガルバノメータコイルの12の電流を11の検出抵抗Rrの電流降下電圧VrとCPUの6に内蔵したA/Dとで検出し、CPUの6で計算した時間平均値の逆数からレンズ絞り値を算出する。
【0017】
ズームレンズやバリフォーカルレンズや低価格のレンズの絞り値が開放端付近ではレンズの周辺光量や周辺の変調度が低下する。
レンズの周辺光量の低下の一例を示す模式図の図5の様に、絞り値が開放端付近ではレンズの周辺光量が低下し、望遠端付近では口径食による周辺光量低下が加わり周辺光量低下が顕著になり、開放絞り値も大きく(開口数も小さく)なる。また、広角側ではコサイン四乗則による周辺光量低下が加わり、ズーム値で大きく周辺光量低下が変化し絞り値ではあまり変化しない。広角端では、絞り値を大きくしても周辺光量低下が直らない。
さらに、望遠ズームレンズレンズは、エクステンダを挿入する等により、焦点距離が1000mmに到達すると、レンズ開放絞りがF11近辺まで暗くなる。また、直射日光下では、電子シャッタやND(Neutral Density)フィルタを用いても、レンズ絞りがF11以上に絞られる。
ところで、レンズは、絞り値に応じて光の回折による変調度(Modulation Transfer Function:MTF)が低下する。具体的には、画高4.8mmの1/3型撮像素子でNTSC用で垂直有効画素485個では、画素周波数での変調度はレンズ絞り値が閉塞端に近づくF11で27%まで低下する。レンズ値が閉塞端F16付近では低い周波数での変調度まで低下する。また、ズームレンズやバリフォーカルレンズは、絞り値が開放端付近では収差により変調度特に周辺の変調度が低下する。その結果、レンズの周辺の変調度が低下の一例を示す模式図の図6の様に、絞り値が開放端付近ではレンズの周辺の変調度が低下し、絞り値が閉塞端に近づくと、回折により画面均一に変調度が低下する。ズームレンズやバリフォーカルレンズの望遠端付近では収差補正不足による変調度低下も加わり画面均一に変調度が低下する上に画面周辺の変調度低下も顕著になる。
【0018】
そして、測定方法は後で説明するが、光学フィルタ9ごとのレンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と各絞り値における塵埃の映像信号減衰(影)の画面メモリ14と、レンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と各絞り値における画面周辺映像信号減衰値の画面メモリ18と、足し算器17と掛け算器16とで、各焦点距離と各絞り値に合わせて、各画素ごとに、増幅度を変調する。その結果、塵埃の映像信号減衰(影)も、周辺光量低下も補正された映像信号を出力する。
【0019】
レンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と各絞り値における画面周辺映像信号減衰値の画面メモリ18の値は、予めレンズ1の種類ごとに測定して記憶しておき、使用するレンズ1の種類ごとに呼び出して使用しても良いし、使用するレンズ1で積分球等の均一光源を撮影して実測して記憶して、使用しても良い。
画面中心とレンズ1との光軸が合致していれば、画面周辺映像信号減衰はほぼ画面中心に対し軸対称である。そこで、レンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と各絞り値における画面周辺映像信号減衰値の画面メモリ18の代わりに、汎用のメモリに画面中心からの距離に対する画面周辺映像信号減衰を記憶しておく。そして、CPUの6または映像信号処理部4において、各画素の画面中心からの距離に基づいて、画面周辺映像信号減衰を算出して、各画素ごとに、増幅度を変調するようにしても良い。
【0020】
また、レンズ1はズームレンズまたは電動バリフォーカルレンズまたはバリフォーカルプラス等の焦点変動補正機構内蔵バリフォーカルレンズの少なくとも一つのレンズでありかつ焦点距離を検出し検出した焦点距離情報を上記固体撮像装置に伝送する手段を内蔵したレンズであれば良い。上記固体撮像装置は伝送された焦点距離情報を判断する手段CPU6と、AFE3と画面周辺の映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数と輪郭強調量とを補正する機能とを含む信号処理部4とを有し、AFE3または信号処理部4の少なくとも一方が画面周辺の映像信号の輝度低下を補正する機能を有すれば良い。簡易には、信号処理部4で輪郭補正の輪郭強調中心周波数を固定とし、輪郭強調量を増加しても効果がある。多画素輪郭補正については、実施例3で説明する。
CPU6が算出した絞り値が開放端に近づくと、多画素輪郭補正部19で画面周辺の映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数を下げて、画面周辺の映像信号の輪郭強調量を増加して、画面周辺の変調度(映像信号の輪郭)低下を補正する。また、CPU6が算出した絞り値が閉塞端に近づくと、画面全体の映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数を下げて、画面全体の映像信号の輪郭強調量を増加して、画面全体を均一に変調度低下を補正する。
伝送された焦点距離情報からCPU6が望遠端付近と判断すると、多画素輪郭補正部19で画面全体を均一に映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数を下げて映像信号の輪郭強調量を増加して、変調度(映像信号の輪郭)低下を補正するだけでなく、画面周辺の映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数を下げて、画面周辺の映像信号の輪郭強調量を増加して、画面周辺の変調度(映像信号の輪郭)低下を補正する。
【0021】
CPU6がズーム位置出力から望遠側と判断した場合で、前記算出した絞り値から開放端に近づいたと判断した場合は、画面周辺の光量(映像信号の輝度)低下または画面均一の変調度低下と画面周辺の変調度低下との両方との少なくとも一方を補正する。CPU6がズーム位置出力から広角端に近づいたと判断した場合は、画面周辺の光量(映像信号の振幅)低下を塵埃補正付増幅度変調部12のレンズ1の各焦点距離と各絞り値における画面周辺映像信号減衰値の画面メモリ18と足し算器17と掛け算器16とで、映像信号の増幅度を変調して補正する。
CPU6が算出した絞り値が、閉塞端に近づくと、ガルバノメータコイルの電圧を所定値以上に保つと閉塞方向の応答速度が遅くなるので、ガルバノメータコイルの電流の時間平均値を所定値以上に保ち、電子シャッタで露光時間を短くして感度を低下させる。その結果、ガルバノメータ方式の絞りを備え、高価なスポットNDフィルタを備えないレンズを用いても、絞り値が、閉塞端に到達せず、絞りの閉塞端ハンチングが防止でき、レンズ値が閉塞端付近では低い周波数での変調度まで低下することが防止できる。
【0022】
そのため、ズームレンズやバリフォーカルレンズや低価格のレンズの周辺光量低下や変調度低下を許容できるようになり、ガルバノメータ方式の絞りを備えたズームレンズやバリフォーカルレンズや低価格のレンズの小型化と低価格化と映像信号の高変調度との両立が容易になる。
【実施例2】
【0023】
図1の本発明の1実施例の固体撮像装置のブロック図において、レンズの1は、均一照明のパターンプロジェクタまたはLD等コヒーレント光源の10をガルバノメータ方式絞りの入射光側に内蔵する望遠ズームレンズである。光学フィルタ9ごとのレンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と絞り値との条件マトリクスにより変化するレンズとCCD撮像素子間の塵埃の影の映像を前記条件マトリクスで検出し条件マトリクスにおける塵埃の映像信号減衰(影)の画面メモリの14に前記条件マトリクスごとに記憶する。前記条件マトリクスとにより変化するレンズとCCD撮像素子間の塵埃の映像信号減衰(影)をレンズとCCD撮像素子間の塵埃の映像信号減衰(影)の部分だけ14は光学フィルタ9ごとのレンズ1の各焦点距離おける塵埃の映像信号減衰(影)の画面メモリの14から補正値を読み出し、CPUの6で制御される掛け算器の15で修正し、掛け算器の16で映像信号を可変増幅して、塵埃の映像信号減衰(影)を補正する。
望遠ズームレンズの1の中の10は、均一照明のパターンプロジェクタの方が精度よく塵埃の映像信号減衰(影)を検出できる。しかし、LD等コヒーレント光源の方が小型化と低価格化が容易である。
【0024】
工場の外でレンズ交換時に、レンズとCCD撮像素子間の塵埃が付着し易い。しかし、本発明により、工場の外でレンズ交換時に付着したレンズとCCD撮像素子間の塵埃影の部分だけ映像信号を補正することができる。
【実施例3】
【0025】
レンズの周辺の変調度が低下の一例を示す模式図の図6の様に、絞り値が開放端付近ではレンズの周辺の変調度が低下し、絞り値が閉塞端に近づきF11付近では、回折により画面均一に変調度が低下し、絞り値が閉塞端F16付近では、回折により画面均一に低い周波数から変調度が低下する。ズームレンズやバリフォーカルレンズの望遠端付近では収差補正不足による変調度低下も加わり画面均一に変調度が低下する上に画面周辺の変調度低下も顕著になる。図示しないが、高倍率の長焦点望遠ズームレンズの望遠端付近では低い周波数から変調度が低下し、絞り値が開放端付近では周辺で特に顕著に低い周波数から変調度が低下する。
そこで、以下、本発明の1実施例の多画素輪郭補正部のブロック図の図3と、本発明の1実施例の多画素輪郭補正部の動作図の図4とを用い、低い周波数から変調度が低下することを補正する実施例3を説明する。
【0026】
本発明の1実施例の多画素輪郭補正部のブロック図の図3において、19は多画素輪郭補正部であり、20〜26と29とは加算器、27は映像レベル判定器、28は画素遅延6ヶ部、30は正負と増幅度を可変する掛け算器、31は小振幅大振幅の圧縮制限器、32と33は輪郭信号生成部、M1〜M6はラインメモリ部、N0〜N6は負の掛け算器、P1とP4は正の掛け算器である。
補正前信号は、M1〜M6のラインメモリ部で走査線(H)期間遅延し0Hから6Hの合計7Hの信号となる。3H信号は、さらに28の画素遅延6ヶ部で画素時間つまりCCDクロック時間し合計7組の遅延信号となる。合計7Hの信号と合計7組の遅延信号とは、32と33との輪郭信号生成部に入り、垂直輪郭信号と水平輪郭信号とになり、加算器29で加算され、小振幅大振幅圧縮制限部の31で小振幅と大振幅とを圧縮制限され、3H3画素遅延信号を入力した映像レベル判定部40の制御を受ける正負掛算器30で輪郭補正信号となり、3H3画素遅延信号に加算されて、補正後信号となる。
【0027】
その結果、本発明の1実施例の多画素輪郭補正部の動作図の図4の(a)低周波数から低い変調度の補正前信号のように低周波数から変調度が低下していても、(b)輪郭補正7画素成分と、(c)輪郭補正5画素成分と、(d)輪郭補正3画素成分とを合成し、(e)本発明補正後信号のように、輪郭が補正できる。
そして、多画素輪郭補正の位相そのままで、算出したレンズの絞り値の大きさに応じて、画面周辺で多画素輪郭補正の垂直輪郭補正の強調中心となる走査線本数を多く(垂直周波数を低く)し、多画素輪郭補正の水平輪郭補正の強調中心となる周波数を低くし、輪郭強調量を画面周辺で増加させる。
【0028】
つまり、実施例3では、高倍率の望遠ズームレンズの望遠端付近や絞り値が開放端付近や絞り値が閉塞端F16付近で低い周波数から変調度が低下していても、図3の多画素輪郭補正部で、図4の(e)本発明補正後信号のように、映像信号の輪郭が再現できる。
そのため、ズームレンズやバリフォーカルレンズの変調度低下を許容できるようになり、ズームレンズやバリフォーカルレンズの小型化と低価格化と映像信号の高変調度との両立が容易になる。
また、絞り値が開放端付近や絞り値が閉塞端と映像信号の高変調度との両立が容易になるため、レンズの絞り値の検出誤差も許容でき、ガルバノメータ方式の絞りを備えたレンズが許容できるようになり、ズームレンズやバリフォーカルレンズの小型化と低価格化と映像信号の高変調度との両立が容易になる。
【0029】
収差の少ないズームレンズやバリフォーカルレンズの望遠端付近や絞り値が閉塞端に近づきF11付近の変調度が低下では、ラインメモリM1〜M6を減らし、垂直輪郭補正の輪郭強調中心周波数を固定とし、水平輪郭補正の強調中心となる周波数を低くし、輪郭強調量を画面周辺で増加させても効果がある。更に収差を補正したズームレンズやバリフォーカルレンズの望遠端付近や絞り値が開放端付近の変調度が低下では、画素遅延6ヶ部28も減らし、水平輪郭補正の輪郭強調中心周波数も固定とし、輪郭強調量を増加しても効果がある。単純に、多画素輪郭補正で輪郭補正の輪郭強調中心周波数を固定とし、輪郭強調量を増加しても効果がある。
【0030】
また、実施例1のガルバノメータ方式の絞りを備えたレンズの周辺光量低下の補正と周辺の変調度低下の補正と絞り閉塞端防止と、実施例3の多画素輪郭補正による低い周波数までの変調度低下の補正とを組み合わせれば、ズームレンズやバリフォーカルレンズの望遠端の口径食による開放絞り値の落ち込みと、収差による望遠端の変調度低下と、収差による絞り開放の変調度低下と、を許容できるようになる。その結果、高解像度対応や近赤外光対応や高倍率や長焦点距離のズームレンズやバリフォーカルレンズの小型化と低価格化と、映像信号の高変調度との両立とが容易になる。つまり、ガルバノメータ方式の絞りを備えた電動バリフォーカルレンズまたは(バリフォーカルプラス等の)焦点変動補正機構内蔵バリフォーカルレンズまたは高倍率長焦点距離ズームレンズとの組み合わせた監視に最適になる。
【符号の説明】
【0031】
1:ガルバノメータ絞り方式レンズ、
2:固体撮像装置、3:AFE、4:映像信号処理部、
5:TG、6:CPU、7:絞り駆動部、
8:CCD撮像素子、9:光学フィルタ、
10:パターンプロジェクタまたはLD等コヒーレント光源、
11:電流検出抵抗Rr、12:塵埃補正付増幅度変調部、
14:光学フィルタ9ごとのレンズ1の各焦点距離とエクステンダ状態と各絞り値における塵埃の映像信号減衰(影)の画面メモリ、
16:掛け算器、17:足し算器、
18:レンズ1の各焦点距離と各絞り値における画面周辺映像信号減衰値の画面メモリ、
Lin:入射光、Vo:出力映像信号、
19:多画素輪郭補正部、20〜26,29:加算器、27:映像レベル判定器、
28:画素遅延6ヶ部、30:正負と増幅度を可変する掛け算器、
31:小振幅大振幅の圧縮制限器、32,33:輪郭信号生成部、
M1〜M7:ラインメモリ部、N1〜N7:負の掛け算器、P1、P4:正の掛け算器、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルバノメータ方式の絞りを備えたレンズを用いガルバノメータコイルを駆動する手段と固体撮像素子と映像信号処理部とを有する固体撮像装置において、前記固体撮像装置は前記ガルバノメータの電流を検出する手段と前記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数からレンズ絞り値を算出する手段とを有し、前記映像信号処理部は映像信号を補正する映像信号処理部であり、前記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数からレンズ絞り値を算出し、前記算出したレンズの絞り値により変化する映像信号を前記映像信号処理部で補正することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1の撮像装置において、上記レンズは焦点距離を検出し該検出した焦点距離情報を上記固体撮像装置に伝送する手段を内蔵したレンズであり、
上記固体撮像装置は伝送された上記レンズの焦点距離を判断する手段と、AFEと、画面周辺の映像信号の輪郭補正の輪郭強調中心周波数と輪郭強調量とを補正する機能とを含む信号処理部と、を有し、
AFEまたは信号処理部の少なくとも一方が画面周辺の映像信号の振幅低下を補正する機能を有し、
前記算出した絞り値が開放端に近づくと、上記レンズの画面周辺の変調度低下による画面周辺の映像信号の変調度低下を補正すること、
前記算出した絞り値が閉塞端に近づくと、上記レンズの画面均一の変調度低下による画面均一の映像信号の変調度低下を補正すること、
上記レンズの焦点距離情報から望遠側と判断した場合は、上記レンズの望遠側の口径食による画面周辺の光量低下による映像信号の画面周辺の振幅低下と、上記レンズの画面均一の変調度低下による映像信号の画面均一の変調度低下と上記レンズの画面周辺の変調度低下による映像信号の画面周辺の変調度低下との両方と、の少なくとも一方を補正すること、
上記レンズの焦点距離情報から広角端に近づいたと判断した場合は、上記レンズの広角側のコサイン四乗側による画面周辺の光量低下による映像信号の画面周辺の振幅低下を補正すること、
前記算出した絞り値が、閉塞端に近づくと、ガルバノメータコイル電流の時間平均値を所定値以上に保ち、電子シャッタで露光時間を短くさせること、
の少なくとも一つを行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2の撮像装置において、
上記固体撮像装置の映像信号処理部は、入力映像信号を走査線期間遅延する映像信号走査線遅延部を6ヶ以上の偶数2Mヶと、上記入力映像信号と走査線期間遅延後の映像信号とから垂直輪郭信号を生成する多画素垂直輪郭信号生成部と、上記入力映像信号と走査線期間遅延後の映像信号とを画素遅延する映像信号画素遅延部を各6ヶ以上の偶数2Nヶ合計4MNヶと、上記入力映像信号をM走査線期間遅延した映像信号とM走査線期間遅延し各画素遅延後の映像信号とから水平輪郭信号を生成する多画素水平輪郭信号生成部と、上記入力映像信号をM走査線期間遅延しN画素遅延した映像信号に上記多画素垂直輪郭信号と上記多画素水平輪郭信号とを加算する多画素輪郭補正部と、を有し、
上記算出したレンズの絞り値の大きさに応じて、多画素輪郭補正の垂直輪郭補正の強調中心となる走査線本数を多くすることと、多画素輪郭補正の水平輪郭補正の強調中心となる周波数を低くすることと、多画素輪郭補正を強くすることと、の少なくとも一つを行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1の撮像装置において、上記レンズはズーム値を検出する手段とパターンプロジェクタまたはLD等のコヒーレント光源とエクステンダとを内蔵した望遠ズームレンズであり、上記映像信号処理部は、塵埃の映像信号減衰の補正信号の画面記憶部と増幅可変手段とを含み、上記レンズのズーム値を検出して検出したズーム値を上記固体撮像装置に伝送し、上記固体撮像装置は、上記検出したガルバノメータの電流の時間平均値の逆数と前記検出したズーム値とからレンズ絞り値を算出し、前記レンズのエクステンダと前記レンズのズーム値と前記算出した絞り値と光学フィルタ種類との条件マトリクスにより変化するパターンプロジェクタまたはLD等のコヒーレント光源光の映像における、レンズと撮像素子間の塵埃の影の映像を前記条件マトリクスで検出し上記塵埃の映像信号減衰の補正信号の画面記憶部前記条件マトリクスごとに記憶し、前記条件マトリクスとにより変化するレンズと撮像素子間の塵埃の影の部分の映像信号を前記増幅可変手段で前記塵埃の映像信号減衰の補正信号分を増幅して補正することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−54621(P2012−54621A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184942(P2010−184942)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】