説明

撮像装置

【課題】撮影モード自動切替機能を有さない撮像装置において、通常撮影モードでの撮影が可能な照度を有する通常撮影環境で、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行うことを防ぐ。
【解決手段】通常撮影環境において、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行おうとすると(S1でYES、S2でYES)、撮影環境の照度が、ナイトモードでの撮影を行うべき夜間等の撮影環境における照度よりも大きくなり、しかも、ナイト用最小ゲイン値とナイト用最小露光時間とが、通常撮影用最小ゲイン値と通常撮影用最小露光時間より大きいので、マイコンは、これらの値に基づいて、露出オーバーになると判定する(S5でYES)。このため、マイコンは、ナイトモードの状態で撮影しないように警告すると共に(S6)、撮像処理ができないように制御する(撮像処理を中止する)(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、詳しくは、赤外光領域の撮像が可能な撮像素子を備え、赤外光領域の波長成分をカットする赤外光カットフィルタの位置を、撮像素子への入射光の光路上のカット位置と、撮像素子への入射光の光路から離脱した離脱位置との間で切り替え可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ビデオカメラやディジタルカメラ等の撮像装置に搭載されるCCD(Charge Coupled Device) やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子は、通常可視光領域と、赤外光領域の一部を撮像することができる。これを利用して、撮像装置に赤外光LED(Light Emitting Diode)ランプ等の赤外光源を付設すると共に、赤外光カットフィルタを撮像素子への入射光の光路上に挿脱自在に取り付けて、主に日中での撮影において自然光(のうちの可視光)を利用して(赤外光カットフィルタを撮像素子への入射光の光路上に挿入させて)撮影を行う通常撮影モードと、主に夜間での撮影において赤外光を利用して(赤外光カットフィルタを撮像素子への入射光の光路から離脱させて)撮影を行うナイトモードとの2種類の撮影モードを切り替え可能にした撮像装置がある。この種の撮像装置において、上記の2種類の撮影モードを、撮影環境における照度に応じて自動的に切り替える撮影モード自動切替機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
ところが、上記のような撮影モード自動切替機能を有する撮像装置は、撮影環境における照度に応じて通常撮影モードとナイトモードのうちのより好ましい方の撮影モードを自動的に選択してしまうので、撮影モードの選択に全く自由性がない。また、上記のような撮影モード自動切替機能を採用するためには、赤外光カットフィルタの位置を、撮像素子への入射光の光路上のカット位置と、撮像素子への入射光の光路から離脱した離脱位置との間で自動的に切り替えるための機構や駆動部材(モータ等)が必要になり、製造コストの上昇につながってしまう。
【0004】
これに対して、ユーザがつまみやレバー等の操作用の部材を操作することにより、赤外光カットフィルタの位置を、上記のカット位置と離脱位置との間で(手動的に)切り替えることができるようにした撮影モード手動切替機能を有する撮像装置がある。この装置によれば、ユーザによる撮影モードの選択に自由性が生じ、しかも、上記の撮影モード自動切替機能を有する撮像装置と比べて製造コストの削減を図ることが可能になる。
【0005】
けれども、上記のような撮影モード手動切替機能を有する撮像装置では、ユーザが通常撮影モードとナイトモードのうちのいずれを選択するかが全く自由であるため、以下の問題が生じる。すなわち、ユーザがナイトモードに切り替えて(赤外光カットフィルタを撮像素子への入射光の光路から離脱させて)撮像を行った場合には、撮像素子は赤外光も光電変換してしまうため、撮像画像における画質の劣化(色再現性や色リニアリティがなくなるという問題)が発生する。このため、画質の面から考えると、少なくとも通常撮影モードでの撮影が可能な(通常撮影モードでの撮影により良質な画像を得ることが可能な)照度を有する通常撮影環境では、ナイトモードでの撮影(赤外光カットフィルタを用いない撮影)を行うことは好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−146873号公報
【特許文献2】特開2004−120202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、撮影モード自動切替機能を有さない場合でも、通常撮影モードでの撮影が可能な照度を有する通常撮影環境において、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行うことを防ぐことが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、赤外光領域と可視光領域の両方の画像を撮像可能な撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子への入射光の赤外光領域の波長成分をカットする赤外光カットフィルタと、前記赤外光カットフィルタの位置を、前記撮像素子への入射光の光路上のカット位置と、前記入射光の光路から離脱した離脱位置との間で切り替えるフィルタ位置切替手段と、前記撮像手段により撮像された画像と、前記撮像素子が出力する画像信号の最小ゲインの値と、前記撮像素子の最小露光時間とを記憶する記憶手段とを備えた撮像装置において、前記記憶手段は、前記赤外光カットフィルタの位置が前記カット位置であるとき(以下、「通常撮影モードのとき」と言う)に使用する、前記最小ゲインの値(以下、通常撮影用最小ゲイン値という)と前記最小露光時間(以下、通常撮影用最小露光時間という)とに加えて、前記赤外光カットフィルタの位置が前記離脱位置であるとき(以下、「ナイトモードのとき」と言う)に使用する、前記最小ゲインの値(以下、ナイト用最小ゲイン値という)と前記最小露光時間(以下、ナイト用最小露光時間という)とを記憶し、前記撮像素子による撮影環境の照度を検出する照度検出手段と、前記ナイトモードのときに、前記照度検出手段により検出された撮影環境の照度、及び前記ナイト用最小ゲイン値と前記ナイト用最小露光時間とに基づいて、前記撮影環境において前記ナイト用最小ゲイン値と前記ナイト用最小露光時間とに従って前記撮像手段により撮像した場合に、露出オーバーになるか否かを判定する露出オーバー判定手段と、前記露出オーバー判定手段により露出オーバーになると判定されたときに、前記撮像手段による撮像処理、又は前記撮像手段により撮像された画像の前記記憶手段への記憶処理ができないように制御する撮像記憶防止制御手段とをさらに備え、前記ナイト用最小ゲイン値は、前記通常撮影用最小ゲイン値よりも大きく、前記ナイト用最小露光時間は、前記通常撮影用最小露光時間よりも長いものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記ナイト用最小ゲイン値と前記ナイト用最小露光時間とは、前記照度検出手段により検出される撮影環境の照度が、日中での屋外の撮影環境における照度以上の照度である場合に、前記露出オーバー判定手段が露出オーバーになると判定する値であるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の撮像装置において、前記照度検出手段は、前記撮像素子から出力された信号のレベルに基づいて、前記撮影環境の照度を検出するものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置において、前記露出オーバー判定手段により露出オーバーになると判定されたときに、前記ナイトモードの状態で撮影しないように警告する警告手段をさらに備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、通常撮影環境において、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行おうとすると、照度検出手段により検出される撮影環境の照度が、ナイトモードでの撮影を行うべき夜間等の撮影環境における照度よりも大きく、しかも、ナイトモードのときに使用されるナイト用最小ゲイン値が通常撮影用最小ゲイン値よりも大きく、ナイト用最小露光時間が通常撮影用最小露光時間よりも長いので、露出オーバー判定手段は、これらの値に基づいて、露出オーバーになると判定する。このため、撮像処理、又は撮像された画像の記憶処理ができないように制御される。これにより、撮影モード自動切替機能を有さない場合でも、通常撮影環境において、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行うという誤操作を防ぐことができるので、通常撮影環境において上記の誤操作に起因して撮像画像の画質が劣化するのを防ぐことができる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、上記に記載の発明の効果を的確に得ることができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、撮像素子から出力された信号のレベルに基づいて、撮影環境の照度を検出するようにしたので、照度検出用のセンサを別途設ける必要がなくなる。従って、撮影環境の照度の検出に要するコストを低減することができる。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、露出オーバーになると判定されたときに、警告手段が、ナイトモードの状態で撮影しないように警告するので、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行おうとしたときに、ユーザに注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置であるディジタルカメラのブロック図。
【図2】図1中のモード設定情報のデータフォーマットを示す図。
【図3】同ディジタルカメラの撮像処理のフローチャート。
【図4】同ディジタルカメラにおける警告画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明の撮像装置がディジタル(スチル)カメラである場合の例について説明する。図1は、本実施形態によるディジタルカメラを示す。このディジタルカメラ1は、主に、撮像部7(撮像手段)と、装置全体の動作を制御するマイコン8(露出オーバー判定手段、撮像記憶防止制御手段)とから構成されている。撮像部7は、ズームレンズ2、フォーカスレンズ3、絞り4、赤外光領域と可視光領域の両方の画像を撮像可能なCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)により構成される撮像素子5、及び撮像素子5が出力する画像信号のゲイン制御とAD(Analog to Digital)変換を行う信号制御回路6を有している。マイコン8は、装置の制御用のプログラムを格納したROM(Read Only Memory)8aを有している。
【0018】
また、ディジタルカメラ1は、絞り4の開閉量を変更するためのドライバ9と、信号制御回路6から出力された画像信号に対して色補正、輪郭補正等の各種信号処理を施す信号処理回路11と、信号処理回路11によって各種信号処理が施された画像信号に基づくリアルタイムの画像を表示するビューファインダ12と、ユーザが各種の指示操作を行うための操作部13と、各種のデータを記憶するメモリ14(記憶手段)とを備えている。操作部13には、撮像処理の開始を指示するためのシャッタボタン13aが設けられている。また、メモリ14に記憶されるデータには、撮像部7により撮像された画像と、図に示されるモード設定情報15とが含まれる。なお、上記のビューファインダ12とマイコン8と後述する警告画面31(図4参照)とが、請求項における警告手段に相当する。
【0019】
上記のモード設定情報15は、撮像素子5が出力する画像信号の最小ゲインの値と、撮像素子5の最小露光時間とから構成されている。
【0020】
上記のズームレンズ2と絞り4との間には、赤外光カットフィルタ18が配されている。この赤外光カットフィルタ18は、ユーザの操作によって、撮像部7内の光の進路(以下、光路という)17に挿入されて撮像素子5への入射光の赤外光領域の波長成分をカットするカット位置(図中の実線で示される位置)と、入射光の光路17から下方へ離脱されて光をそのまま撮像素子5に到達させる離脱位置(図中の二点鎖線で示される位置)との間で切替え自在になっている。
【0021】
具体的には、赤外光カットフィルタ18の側部が不図示のレールによって上下方向に摺動自在に支持され、位置を切替えるときには、ユーザが赤外光カットフィルタ18のつまみ部18aを持って上下に移動することにより行う。このつまみ部18aと不図示のレールとが請求項におけるフィルタ位置切替手段に相当する。なお、赤外光カットフィルタ18の位置を切替え自在にする構成は上記のものに限定されず、例えば赤外光カットフィルタ18が上下に揺動するレバーの先端に固定されているものなど種々の構成が可能である。
【0022】
上記のようにして位置が切替え自在になった赤外光カットフィルタ18の下方には、赤外光カットフィルタ18が下方へ移動されたときに、フィルタ18の下端が当接することによりオンするスイッチ19が備えられている。マイコン8は、スイッチ19からのオン信号を受信すると、赤外光カットフィルタ18の離脱位置への切替えを検知して、撮影モードをナイトモードに切り替える。また、マイコン8は、スイッチ19からのオフ信号を受信すると、赤外光カットフィルタ18のカット位置への切替えを検知して、撮影モードを通常撮影モードに切り替える。ここで、通常撮影モードとは、主に日中での撮影において自然光(のうちの可視光)を利用して(赤外光カットフィルタ18を上記のカット位置にして)撮影を行う撮影モードであり、ナイトモードとは、主に夜間での撮影において赤外光を利用して(赤外光カットフィルタ18を上記の離脱位置にして)撮影を行う撮影モードである。
【0023】
上記の撮像部7の近傍には、被写体16の方向へ向けて赤外光21を発する赤外光LEDランプ22が設けられ、マイコン8がランプ駆動源23に駆動信号を送信することにより点灯するようになっている。マイコン8は、ナイトモードのときには、赤外光LEDランプ22を点灯させ、通常撮影モードのときには、赤外光LEDランプ22を消灯状態にする。
【0024】
マイコン8は、撮影モードの時に撮像素子5からビューファインダ12へ常時出力されている画像信号のレベルに基づいて撮影環境の照度を検出する。すなわち、主に、撮像素子5とマイコン8とが、請求項における照度検出手段に相当する。そして、マイコン8は、上記の検出した照度に応じてROM8aに予め格納されたプログラムに従い、撮像条件としての絞り値と露出時間(シャッタ速度)とゲインとを決定する。ただし、マイコン8は、これらの値の決定の際に、メモリ14に記憶された上記の最小ゲインの値と最小露光時間と(モード設定情報15)を読み込んで、ゲインが上記の最小ゲインの値以上になり、露出時間(シャッタ速度)が上記の最小露光時間の長さ以上になるようにする。
【0025】
ここで、図2を参照して、上記のメモリ14に記憶されたモード設定情報15について詳述する。上記のモード設定情報15には、上記の通常撮影モードのときに使用する最小ゲインの値(以下、通常撮影用最小ゲイン値という)15aと最小露光時間(以下、通常撮影用最小露光時間という)15bとに加えて、上記のナイトモードのときに使用する最小ゲインの値(以下、ナイト用最小ゲイン値という)15cと最小露光時間(以下、ナイト用最小露光時間という)15dとが含まれている。
【0026】
従って、マイコン8は、上記の露出時間(シャッタ速度)とゲインとの決定の際に、現在の撮影モードが通常撮影モードのときには、メモリ14に記憶された上記の通常撮影用最小ゲイン値15aと通常撮影用最小露光時間15bとを読み込んで、ゲインが上記の通常撮影用最小ゲイン値15a以上になり、露出時間(シャッタ速度)が上記の通常撮影用最小露光時間15b以上の長さになるようにする。また、マイコン8は、上記の露出時間(シャッタ速度)とゲインとの決定の際に、現在の撮影モードがナイトモードのときには、メモリ14に記憶された上記のナイト用最小ゲイン値15cとナイト用最小露光時間15dとを読み込んで、ゲインが上記のナイト用最小ゲイン値15c以上になり、露出時間が上記のナイト用最小露光時間15d以上の長さになるようにする。ここで、ナイト用最小ゲイン値15cは、通常撮影用最小ゲイン値15aよりも大きく、ナイト用最小露光時間15bは、通常撮影用最小露光時間15dよりも長いものとする。
【0027】
上記の絞り値と露出時間とゲインとの決定処理が終了すると、マイコン8は、絞り4のドライバ9に制御信号を出力して絞り4の開閉量を変えることにより、絞り値を上記の決定した絞り値に変更する。また、マイコン8は、撮像素子5に制御信号を送信して、撮像素子5の露出時間(シャッタ速度)を、上記の決定した露出時間に変更する。さらにまた、マイコン8は、信号制御回路6に制御信号を送信して、信号制御回路6内のアンプのゲイン値を、上記の決定したゲイン値に変更する。
【0028】
また、マイコン8は、ナイトモードのときには、上記のように撮像素子5から出力された画像信号のレベルに基づき検出した撮影環境の照度、及び上記のナイト用最小ゲイン値15cと前記ナイト用最小露光時間15dとに基づいて、現在の撮影環境においてナイト用最小ゲイン値15cとナイト用最小露光時間15dとに従って撮像部7により撮像した場合に、露出オーバーになるか否かを判定する。そして、露出オーバーになると判定したときには、マイコン8は、撮像部7による撮像処理ができないように制御する。なお、上記のナイト用最小ゲイン値15cとナイト用最小露光時間15dとは、撮像素子5から出力された画像信号のレベルに基づき検出した撮影環境の照度が、日中での屋外の通常の撮影環境における照度以上の照度である場合に、マイコン8が、上記の露出オーバーになるか否かの判定処理において、露出オーバーになると判定する値である。ここで、本明細書における「露出オーバー」には、撮像素子5による蓄積電荷が飽和してしまう状態だけではなく、撮像した画像が白っぽくなってしまう状態も含まれる。
【0029】
次に、本ディジタルカメラ1による撮像時にマイコン8が実行する撮像処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。ユーザがシャッタボタン13aを押下して撮像処理の開始を指示すると(S1でYES)、マイコン8は、スイッチ19からの信号に基づいて、現在の撮影モードがナイトモードであるか否かを判定する(S2)。そして、現在の撮影モードがナイトモードであると判定したときには(S2でYES)、マイコン8は、撮像素子5から出力された画像信号のレベルに基づいて、撮影環境の照度を検出し(S3)、検出した撮影環境の照度、及びメモリ14から読み込んだナイト用最小ゲイン値15cとナイト用最小露光時間15dとに基づいて、現在の撮影環境においてナイト用最小ゲイン値15cとナイト用最小露光時間15dとに従って撮像部7により撮像した場合に、露出オーバーになるか否かを判定する(S4)。そして、露出オーバーになると判定したときには(S5でYES)、マイコン8は、ナイトモードの状態で撮影しないように警告して、撮像部7による撮像処理ができないように制御する。具体的には、マイコン8は、ビューファインダ12上に、図4に示される警告画面31を表示して(S6)、撮像部7による撮像(処理)を中止する(S7)。
【0030】
一方、上記S5の判定処理において露出オーバーにならないと判定したときには(S5でNO)、マイコン8は、ナイト用最小ゲイン値15cとナイト用最小露光時間15dとに従って、撮像部7によるナイトモードの撮像(赤外光LEDランプ22を点灯させて赤外光カットフィルタ18を用いない状態で行う撮像)を行う(S8)。
【0031】
また、上記S2の判定処理において、現在の撮影モードがナイトモードでないと判定したときには(S2でNO)、マイコン8は、メモリ14に記憶された通常撮影用最小ゲイン値15aと通常撮影用最小露光時間15bとを読み込んで、読み込んだ通常撮影用最小ゲイン値15aと通常撮影用最小露光時間15bとに従って、撮像部7による通常撮影モードの撮像(赤外光LEDランプ22を消灯させて赤外光カットフィルタ18を用いた状態で行う撮像)を行う(S10)。
【0032】
上記のように、本実施形態のディジタルカメラ1によれば、通常撮影環境において、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行おうとすると、撮像素子5から出力された画像信号のレベルに基づき検出される撮影環境の照度が、ナイトモードでの撮影を行うべき夜間等の撮影環境における照度よりも大きくなり、しかも、ナイト用最小ゲイン値15cが通常撮影用最小ゲイン値15aよりも大きく、ナイト用最小露光時間15dが通常撮影用最小露光時間15bよりも長いので、マイコン8は、これらの値に基づいて、露出オーバーになると判定する。このため、マイコン8は、撮像処理ができないように制御する(撮像(処理)を中止する)。これにより、ディジタルカメラ1が撮影モード自動切替機能を有さない場合でも、通常撮影環境において、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行うという誤操作を防ぐことができるので、通常撮影環境において上記の誤操作に起因して撮像画像の画質が劣化するのを防ぐことができる。
【0033】
また、本実施形態のディジタルカメラ1によれば、撮像素子5から出力された画像信号のレベルに基づいて、撮影環境の照度を検出するようにしたので、照度検出用のセンサを別途設ける必要がなくなる。従って、撮影環境の照度の検出に要するコストを低減することができる。
【0034】
さらにまた、本実施形態のディジタルカメラ1によれば、露出オーバーになると判定したときには、図4に示される警告画面31を表示して、ナイトモードの状態で撮影しないように警告するので、ユーザが誤ってナイトモードでの撮影を行おうとしたときに、ユーザに注意を促すことができる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明をディジタルスチルカメラに適用した場合の例を示したが、本発明を、ディジタルビデオカメラに適用してもよい。また、上記実施形態では、撮像素子から出力された画像信号のレベルに基づいて撮影環境の照度を検出するようにしたが、撮像素子とは別に設けた照度検出用のセンサを用いて撮影環境の照度を検出してもよい。さらにまた、上記実施形態では、露出オーバーになると判定されたときに、撮像部による撮像処理ができないように制御したが、露出オーバーになると判定されたときに、撮像部により撮像された画像をメモリに記憶できないように制御してもよい。また、上記実施形態では、露出オーバーになると判定したときに、警告画面を表示して、ナイトモードの状態で撮影しないように警告する場合の例を示したが、音声出力用のスピーカを設けて、スピーカを介して音声で警告用のメッセージを出力してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ディジタルカメラ(撮像装置)
5 撮像素子(照度検出手段)
7 撮像部(撮像手段)
8 マイコン(照度検出手段、露出オーバー判定手段、撮像記憶防止制御手段、警告手段)
12 ビューファインダ(警告手段)
14 メモリ(記憶手段)
15a 通常撮影用最小ゲイン値
15b 通常撮影用最小露光時間
15c ナイト用最小ゲイン値
15d ナイト用最小露光時間
18 赤外光カットフィルタ
18a つまみ部(フィルタ位置切替手段)
31 警告画面(警告手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光領域と可視光領域の両方の画像を撮像可能な撮像素子を有する撮像手段と、
前記撮像素子への入射光の赤外光領域の波長成分をカットする赤外光カットフィルタと、
前記赤外光カットフィルタの位置を、前記撮像素子への入射光の光路上のカット位置と、前記入射光の光路から離脱した離脱位置との間で切り替えるフィルタ位置切替手段と、
前記撮像手段により撮像された画像と、前記撮像素子が出力する画像信号の最小ゲインの値と、前記撮像素子の最小露光時間とを記憶する記憶手段とを備えた撮像装置において、
前記記憶手段は、前記赤外光カットフィルタの位置が前記カット位置であるとき(以下、「通常撮影モードのとき」と言う)に使用する、前記最小ゲインの値(以下、通常撮影用最小ゲイン値という)と前記最小露光時間(以下、通常撮影用最小露光時間という)とに加えて、前記赤外光カットフィルタの位置が前記離脱位置であるとき(以下、「ナイトモードのとき」と言う)に使用する、前記最小ゲインの値(以下、ナイト用最小ゲイン値という)と前記最小露光時間(以下、ナイト用最小露光時間という)とを記憶し、
前記撮像素子による撮影環境の照度を検出する照度検出手段と、
前記ナイトモードのときに、前記照度検出手段により検出された撮影環境の照度、及び前記ナイト用最小ゲイン値と前記ナイト用最小露光時間とに基づいて、前記撮影環境において前記ナイト用最小ゲイン値と前記ナイト用最小露光時間とに従って前記撮像手段により撮像した場合に、露出オーバーになるか否かを判定する露出オーバー判定手段と、
前記露出オーバー判定手段により露出オーバーになると判定されたときに、前記撮像手段による撮像処理、又は前記撮像手段により撮像された画像の前記記憶手段への記憶処理ができないように制御する撮像記憶防止制御手段とをさらに備え、
前記ナイト用最小ゲイン値は、前記通常撮影用最小ゲイン値よりも大きく、前記ナイト用最小露光時間は、前記通常撮影用最小露光時間よりも長いことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ナイト用最小ゲイン値と前記ナイト用最小露光時間とは、前記照度検出手段により検出される撮影環境の照度が、日中での屋外の撮影環境における照度以上の照度である場合に、前記露出オーバー判定手段が露出オーバーになると判定する値であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記照度検出手段は、前記撮像素子から出力された信号のレベルに基づいて、前記撮影環境の照度を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露出オーバー判定手段により露出オーバーになると判定されたときに、前記ナイトモードの状態で撮影しないように警告する警告手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−95143(P2012−95143A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241356(P2010−241356)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】