説明

撮像装置

【課題】低消費電力の撮像装置を提供する。
【解決手段】
HDカメラ110は、本体部2とビューファインダー1を備えている。ビューファインダー1は、撮像素子21で撮像した信号を閲覧する表示部13と、表示部13を暖めるヒーター12とを備えている。第一通風孔27は、本体部2を冷却するため、騒音に配慮して配置された空冷用の通風孔である。第二通風孔28は、表示部13を放熱で温めるように配置された補助加熱用の通風孔である。制御部24は、周囲温度に応じて前記第一通風孔及び/又は前記第二通風孔を切り換える制御を行う。この際、制御部24は、低温環境では、第一通風孔27からの放熱により前記表示部の補助的な加熱を行うよう制御する。また、制御部24は、低温環境以外では、第二通風孔28からの放熱により本体部2を放熱するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特に撮像装置のビューファインダーの表示部の温度調整に特徴のある撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、放送局用等のHD(High Definition、高精細)カメラのカラー・ビューファインダーとして小型の液晶表示装置が使用されている。
液晶表示装置は、低温になると表示応答が遅くなり、残像を生じるという問題がある。このため、低温環境下で運用する場合、液晶表示装置をヒーターなどの加熱手段により加熱し、応答速度を確保する必要があった。
また、HDカメラでは、撮像部や映像処理を行う演算部など発熱部品の放熱手段として冷却ファンを有している。しかし、番組収録時にファンの駆動音が騒音となり、音声収録の妨害となることがある。そのため、筐体内に温度センサーを内蔵し、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段で温度監視を行い、ファンの駆動を制御している。また、HDカメラは筐体の通風孔の位置や形状が工夫されており、ファン駆動時にマイクロフォン(マイク)が騒音を収録しにくいように設計されている。
【0003】
このように、液晶表示装置を加熱する従来のHDカメラの例として特許文献1を参照すると、映像素子の放熱板の一部を接合して撮像素子をダミー駆動させてヒーターの代わりとする撮像装置が記載されている(以下、従来技術1とする。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−200646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のHDカメラや従来技術1のように、加熱手段としてヒーターや撮像素子のダミー駆動等で電気的に発熱を生じさせると、無駄な電力が消費される。このため、屋外などで電源供給にバッテリーを用いる場合、低温環境下では、この無駄な消費電力により、常温環境下に比べ装置の運用時間が短くなるという課題があった。
このため、より電力効率が高いHDカメラが求められていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、以下のような構成を用いた。
本発明の撮像装置は、撮像素子と映像信号処理部を備えた本体部と、前記撮像素子で撮像した信号を閲覧する表示部と、前記表示部を暖めるヒーターとを備えた撮像装置において、前記本体部を冷却するための空冷用の第一通風孔と、前記表示部を前記本体部の熱で暖めるように配置された補助加熱用の第二通風孔と、周囲温度に応じて前記第一通風孔及び/又は前記第二通風孔を切り換える制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、低温環境では、前記第二通風孔からの放熱により前記表示部の補助的な加熱を行い、低温環境以外では、前記第一通風孔からの放熱により前記本体部を放熱するよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体部の放熱をビューファインダーの表示部の加熱に用いることで、ヒーターによる加熱装置の使用時間を低減させ、低温環境下では省電力化し、常温環境下と同様の運用時間を確保できる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るHDカメラ110の制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る温度調整処理のフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るHDカメラ120の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る温度調整処理のフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るHDカメラ130の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
〔撮像装置110の構成〕
まず、図1と図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置110について詳しく説明する。
本実施形態の撮像装置110は、HDカメラ等の業務用又は個人用の撮像装置であり、高性能の内部回路が発熱するため、例えば送風により冷却する。
撮像装置110は、主にビューファインダー1及び本体部2を備えている。
ビューファインダー1は、液晶や有機EL等の表示手段を備えた小型のディスプレイ装置である。ビューファインダー1は、本体部2の撮像素子21で撮像した信号を閲覧し確認する小型のモニタとして機能する。この際、ビューファインダー1の表示部13は、残像等を避けるために所定の温度範囲で動作させる。
本体部2は、HDカメラ本体であり、HD動画像や静止画像を撮像するHDカメラである。本実施形態の本体部2は、回路の通常動作時に発熱した熱を、ファン等を用いてビューファインダー1に伝えて暖め、温度制御を行う。
【0011】
撮像装置110のビューファインダー1は、主に、VF温度センサー11、ヒーター12、及び表示部13を備える。
VF温度センサー11は、サーミスタや赤外線センサーとA/Dコンバータ等を備えた温度センサーであり、ビューファインダー1の主に表示部13の温度を測定する。
ヒーター12は、電気抵抗やペルチェ素子等であり、表示部13の温度を所定範囲に保つために主に加熱し、サーモスタットとして機能させることもできる。この温度の所定範囲としては、例えば−5℃〜50℃程度のように、液晶素子とその他の電子回路が好適に駆動できる温度範囲を用いる。
表示部13は、主に液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等を用いたビューファインダーの表示手段である。表示部13は、上述したように、残像やコントラスト等について所望の表示性能を保つため、所定温度範囲で使用する。
なお、表示部13の表示素子にVF温度センサー11やヒーター12を内蔵するように構成してもよい。
【0012】
撮像装置110の本体部2は、レンズ20、撮像素子21、映像信号処理部22、カメラ温度センサー23、制御部24(制御手段)、冷却ファン25(主熱伝送手段)、サブファン26(副熱伝送手段)、第一通風孔27(主放熱手段)、第二通風孔28(副放熱手段)を備えている。
レンズ20は、望遠レンズや広角レンズ等の光学レンズと絞りとフォーカスを備えた、例えば脱着可能なレンズである。レンズ20は、撮像のための外光を撮像素子21に導く機能を備える。なお、レンズ20は3D(三次元)撮像用等のため、複数備えられていてもよい。
撮像素子21は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子やHARP等の撮像管とA/Dコンバータ等を備えた部位である。撮像素子21は、光信号を電気信号に変換してHD画像を撮像することができる。撮像素子21は、撮像に伴って発熱する。また、撮像素子21は、撮像の際のS/N比を高めるため、ペルチェ素子等を用いて冷却することで本体部2の筐体内に熱を放出する。
映像信号処理部22は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やDSP(Digital Signal Processor)等の回路ある。映像信号処理部22は、撮像素子21からの電気信号を画像処理して所定の映像信号、例えばHD−SDI信号(High Definition Serial Digital Interface)等に変換する。映像信号処理部22は、高い処理能力でHD画像信号を処理するため発熱する。
カメラ温度センサー23は、サーミスタや赤外線センサーとA/Dコンバータ等を備えた温度センサーであり、本体部2の筐体内部の温度を測定する。カメラ温度センサー23は、具体的には、主に発熱する回路である、撮像素子21、映像信号処理部22、制御部24等の発熱を監視できる。
制御部24は、GPP(General Purpose Processor)であるCPU、MPU(Micro Processing Unit)等の制御演算部位である。制御部24は、各部の制御を行う制御・演算処理により発熱する。
冷却ファン25は、本体部2の内部の熱を伝送する冷却ファン及びヒートシンク等である。冷却ファン25が伝送した内部の熱は、排気により第一通風孔27から放出される。なお、冷却ファン25により熱を伝える媒体として、通常は空気を用いる(空冷)が、これに限られず液冷等を用いることもできる。制御部24は、本体部2の筐体内部が、例えば5〜45℃程度の通常の動作温度になるよう、カメラ温度センサー23の値を用いて、冷却ファン25の回転数を制御する。
サブファン26は、本体部2の内部の熱を伝送する冷却ファン及びヒートシンク等である。サブファン26が伝送した内部の熱は、排気により第二通風孔28から放出され、ビューファインダー1を暖めることができる。
第一通風孔27は、本体部2の内部の熱を放出するための空冷の放熱用の開口部である。第一通風孔27は、主に冷却ファン25からの排気を放出する。また、第一通風孔27は、騒音がマイクに収録されにくい背面等に配置されている。また、第一通風孔27は、スリットや網等により、空気を通すものの、大きな異物が内部に入らないようにしている。また、第一通風孔27は、排気音がマイクで収録されにくいように、マイクの装着部(図示せず)と離して側面や背面等に設けられ、形状等も工夫されている。
第二通風孔28は、主にサブファン26からの排気を、ビューファインダー1を暖めるために送出するための通風孔である。第二通風孔28は、低温環境下で表示部13を補助加熱することを目的として、表示部13を放熱で温めるような配置とする補助加熱用の通風孔である。第二通風孔28はビューファインダー1の近傍又は内部にあり、ヒートシンク等を介してビューファインダー1全体を暖めることができる。第二通風孔28から放熱する際には、騒音が少なくなるよう、サブファン26や冷却ファン25の回転数を、定格の回転数に対して、低めの回転数に制御する。
なお、これに加えて、本体部2にはバッテリー等の電源を備えている。また、本体部2は、図示しないマイクロフォン等の音声入力手段を、第二通風孔28から離して接続して備えることができる。
【0013】
〔撮像装置110の温度調整処理〕
ここで、撮像装置110による温度調整処理について説明する。
本実施形態の温度調整処理では、撮像装置110は、2つのファンを備えており、それらのON/OFF制御を行う。このため、撮像装置110の制御部24は、低温環境とそれ以外において、冷却ファン25とサブファン26の動作を変更し、本体部2の内部の熱を用いてビューファインダー1の温度調整を行う。
以下、図2を参照して、本実施形態の温度調整処理の詳細についてステップ毎に詳しく説明する。
【0014】
まず、ステップS111において、制御部24は、電源投入後の起動と初期化の後、低温環境であるか否か判定する。具体的に、制御部24は、ビューファインダー1の内部において、VF温度センサー11で温度を検出する。この上で、制御部24は、検出されたビューファインダー1の内部の温度が所定の閾値より低かった場合、低温環境であるためYesと判定する。それ以外の場合はNoと判定する。
Yesの場合、制御部24は、処理をステップS112に進める。
Noの場合、制御部24は、処理をステップS114に進める。
【0015】
ステップS112において、低温環境の場合、制御部24は、まず、初期ヒーターVF加熱処理を行う。
具体的には、制御部24は、低温環境での起動時であるので、ビューファインダー1のヒーター12をONに制御し、表示部13を加熱する。
ここで、制御部24は、本体部2の内部について、カメラ筐体内の撮像素子21及び映像信号処理部22の発熱を、カメラ温度センサー23で監視する。
制御部24は、起動直後に、冷却ファン25及びサブファン26をともにOFFに制御する。
この上で、制御部24は、部品の発熱により本体部2が温まり、カメラ温度センサー23で検出された温度が所定の閾値を超えた場合、処理をステップS113に進める。
【0016】
ステップS113において、制御部24は、VFファン加熱処理を行う。
この処理では、制御部24は、VF温度センサー11とカメラ温度センサー23の監視を行い、冷却ファン25及びサブファン26の駆動を制御する。
ここで、本体部2の内部の温度が所定の閾値を超えているため、制御部24は、サブファン26をONに切り換える。これにより、制御部24は、第二通風孔28を介して、本体部2の筐体内の熱でビューファインダー1を温めることができる。この際に、制御部24は、ヒーター12をOFFに制御する。
このとき、制御部24は、冷却ファン25についてもONに制御する。この際、制御部24は、PWM等により、冷却ファン25の回転数を、本体部2の筐体内の温度により制御して、騒音および電力消費を抑えた駆動制御を行う。これにより、第二通風孔28へ排気する空気の流れを作ることができる。冷却ファン25は、回転数が低いほど、騒音が少なくなる。また、本体部2の筐体内が熱くなってきた場合、所定温度以内になるように、冷却ファン25の回転数を制御する。サブファン26についても、ビューファインダー1が所定温度範囲内になるよう、できるだけ低く回転させることで、ビューファインダー1近辺にあるマイクにファンノイズが収録されることを抑えることができる。
また、制御部24は、VF温度センサー11を監視し、表示部13の温度が所定範囲を超えて熱くなった場合には、冷却ファン25の回転数を大きくし、サブファン26の回転数を少なくするよう制御する。これにより、ビューファインダー1の温度を適切に保つことができる。
以上により温度調整処理を終了する。
【0017】
ステップS114において、低温環境でなかった場合、制御部24は、VFファン冷却処理を行う。
具体的には、制御部24は、VF温度センサー11が通常〜高温を示している高温環境下における処理を行う。
制御部24は、サブファン26をOFFに、冷却ファン25をONに制御する。これにより、本体部2の筐体内を、撮像素子21と映像信号処理部22を含めて冷却することができる。
また、制御部24は、ビューファインダー1では、ヒーター12をOFFに制御する。このとき、制御部24は、カメラ温度センサー23により得られた温度に従って冷却ファン25の回転数を制御する。この際、制御部24は、マイクが騒音を収録しにくいように、第一通風孔27より排気を行う。
以上により温度調整処理を終了する。
【0018】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置110は、騒音に配慮して配置された空冷用の第一通風孔27と、ビューファインダー1の表示部13を放熱で温めるよう配置された補助加熱用の第二通風孔28とを備え、周囲温度に応じて通風孔の切り換え制御を行う。
すなわち、撮像装置110は、カメラの本体部2の放熱をビューファインダー1の表示部13の加熱に用いる。このため、VF温度センサー11の温度に従い、低温環境の場合は、本体部2の第二通風孔28からの放熱により、表示部13の補助的な加熱を行う。
これにより、ヒーター12による加熱時間を低減させ、低温環境下における運用で省電力化でき、常温環境下と同等の消費電力での運用ができる。これにより、バッテリーでの運用時間が確保できる。
また、撮像装置110の制御部24は、低温環境下でない場合、冷却ファン25の回転数を本体部2の温度に従って制御する。この際、制御部24は、サブファン26をOFF、又は表示部13が所定温度範囲になる程度に、回転を低く制御する。ここで、冷却ファン25は、マイクが騒音を拾いにくいようにマイクから離されて配置されているため、マイクで録音されるファンノイズを少なくすることができる。
また、撮像装置110は、従来技術のように映像素子の放熱板の一部を接合するといった特殊な機構を備えない。このため、構造が簡単になりコストを下げることができる。さらに、撮像装置110は、表示部13を含むビューファインダー1が脱着式の業務用カメラにも用いることができる。加えて、撮像素子21と表示部13とが離れている大型のHDカメラにも用いることができる。
【0019】
また、本実施形態に係る撮像装置110の特徴をまとめると、以下のようになる。
撮像装置110は、撮像素子21と映像信号処理部22を備えた本体部2と、撮像素子21で撮像した信号を閲覧する表示部13と、表示部を暖めるヒーター12と、本体部2を冷却するために騒音に配慮して配置された空冷用の第一通風孔27と、表示部13を放熱で温めるように配置された補助加熱用の第二通風孔28と、周囲温度に応じて第一通風孔27及び/又は第二通風孔28を切り換える制御を行う制御部24とを備え、制御部24は、低温環境では、第二通風孔28からの放熱により表示部13の補助的な加熱を行い、低温環境以外では、第一通風孔27からの放熱により本体部2を放熱するよう制御することを特徴とする。
撮像装置110は、制御部24は、低温環境では表示部13の補助加熱のため、騒音が少なくなるようサブファン26及び冷却ファン25の回転数を制御し、低温環境以外では本体部2を冷却するよう冷却ファン25の回転数を制御しサブファン26を止めることを特徴とする。
撮像装置110は、制御部24が、低温環境ではヒーター12を用いて表示部13を補助加熱し、本体部2が暖まった後に第二通風孔28から表示部13を暖め、低温環境でない場合には、第一通風孔27から本体部2の熱を放熱することを特徴とする。
撮像装置110は、複数の通風孔を筐体に有し、ビューファインダーの周囲温度に応じて、排気する通風孔の切り換え制御を行うことを特徴とする。
撮像装置110は、複数の通風孔を筐体に有し、ビューファインダーの周囲温度に応じて、排気する通風孔の切り換え制御を行うことを特徴とする。
撮像装置110は、通風孔からの放熱を利用して低温環境下におけるビューファインダーの表示部の補助的な加熱を行うことを特徴とする。
撮像装置110は、通風孔の切り換え手段として、複数のファンを備え、各ファンのON/OFF制御を行うことを特徴とする。
【0020】
<第2の実施の形態>
〔撮像装置120の構成〕
次に、図3と図4を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置120について、図面を参照して詳しく説明する。
第2の実施の形態に係る撮像装置120は、第一通風孔27と第二通風孔28とに対して、各通風孔の開閉制御を行う。
図3のブロック図において、図1と同じ符号を付した構成部位は、同様の機能を備える部位である。これに加えて、撮像装置120の本体部2は、第一通風孔開閉部31(主熱伝送手段)と、第二通風孔開閉部32(副熱伝送手段)とを備えている。
第一通風孔開閉部31は、制御部24で制御可能なアクチュエータ等を備えた電動のシャッター等である。第一通風孔開閉部31は、冷却ファン25からの送風を第一通風孔27から出す/出さないように制御することができる。
第二通風孔開閉部32は、第一通風孔開閉部31と同様の構成の電動シャッター等である。第二通風孔開閉部32は、冷却ファン25からの送風を第一通風孔27から出す/出さないように制御することができる。
【0021】
〔撮像装置120の温度調整処理〕
ここで、撮像装置120による温度調整処理について説明する。
本実施形態の温度調整処理では、撮像装置120は、通風孔の切り換えとして、第一通風孔27と第二通風孔28の開閉の制御を行う。
以下で、図4を参照して、本実施形態の温度調整処理詳細についてステップ毎に詳しく説明する。
【0022】
ステップS121において、図2のステップS111と同様に、制御部24は、電源投入後の起動と初期化の後、低温環境であるか否か判定する。つまり、制御部24は、ビューファインダー1の内部において、VF温度センサー11で温度を検出し、所定の閾値より低い場合、低温環境下であるとしてYesと判定する。それ以外の場合、制御部24は、Noと判定する。
Yesの場合、制御部24は、処理をステップS122に進める。
Noの場合、制御部24は、処理をステップS124に進める。
【0023】
ステップS122において、図2のステップS112と同様に、制御部24は、初期ヒーターVF加熱処理を行う。
具体的には、制御部24は、ヒーター12をONに制御し、表示部13の加熱を行う。
制御部24は、撮像素子21と映像信号処理部22の発熱を、カメラ温度センサー23で監視を行う。
これにより、制御部24は、本体部2の内部の音頭が所定の閾値よりも高くなったと判断したらステップS123に処理を進める。
【0024】
ステップS123において、制御部24は、VF開閉制御処理を行う。
具体的に、制御部24は、VF温度センサー11とカメラ温度センサー23の監視を行う。この上で、制御部24は、冷却ファン25を駆動しつつ、第一通風孔開閉部31及び第二通風孔開閉部32の開閉を制御して、ビューファインダー1の温度を管理する。
制御部24は、起動直後は、冷却ファン25をOFFに制御する。
その上で、制御部24は、部品の発熱により、本体部2のカメラ筐体内が温まると、第一通風孔開閉部31を閉め、第二通風孔開閉部32を開くよう制御する。
さらに、制御部24は、冷却ファン25を本体部2の筐体内の温度に対応するよう、できるだけ低い回転数で回し、第二通風孔28を介して筐体内の熱でビューファインダー1を温める。その際、制御部24は、ヒーター12をOFF側へ制御する。
以上により、温度調整処理を終了する。
【0025】
ステップS124において、低温環境でなかった場合、制御部24は、VF開閉冷却処理を行う。
具体的には、制御部24は、制御部24で冷却ファン25を、カメラ温度センサー23の値に従い、本体部2の内部の温度を所定範囲に保つ回転数になるよう制御する。これにより、本体部2の撮像素子21、映像信号処理部22の冷却を行う。
また、制御部24は、ビューファインダー1のヒーター12をOFFに制御する。
このとき、制御部24は、第一通風孔開閉部31を開き、第二通風孔開閉部32を閉めるよう制御する。これにより、マイクが騒音を拾わないように、第一通風孔27より排気する。
以上により、温度調整処理を終了する。
【0026】
以上のように構成することで、本発明の第2の実施の形態の撮像装置120では、第一の実施の形態の撮像装置110の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
本実施形態の撮像装置120は、第二通風孔28用のサブファン26を備えないため、消費電力を削減できる。これは、第二通風孔開閉部32及び第一通風孔開閉部31は、開閉部の制御時以外に電力を消費しないためである。
また、ファンが少なくなるため、ファン同士の共振による本体部2の振動やノイズも抑えることができる。このため、映像や音声のS/N比を高めて美麗な映像を撮像し音声を録音できる。
【0027】
また、本実施形態に係る撮像装置120の特徴をまとめると、以下のようになる。
撮像装置120は、通風孔の切り換え手段として、通風孔の開閉制御を行うことを特徴とする。
【0028】
<第3の実施の形態>
〔撮像装置120の構成〕
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置130について詳しく説明する。
図5のブロック図において、図1と同じ符号を付した構成部位は、同様の機能を備える部位である。
これに加えて、本実施形態の撮像装置130は、第一通風孔27と第二通風孔28に対して、風の流れを変更できる導風板33(導風手段、主熱伝送手段、副熱伝送手段)を備えている。
導風板33は、ステッピングモーター等により駆動する金属やプラスチック等で製造された導風部を備え、この導風部の動作により排気の制御を行う。
つまり、本実施形態の撮像装置130は、図3における第一通風孔開閉部31及び第二通風孔開閉部32の代わりに導風板33を本体部2の筐体内に配置している。制御部24は、導風板33を制御して、排気の流れを第一通風孔27及び/又は第二通風孔28に向かわせる。
【0029】
第3の実施の形態に係る撮像装置130は、第2の撮像装置120の温度調整処理と同様の処理を行う。
この際に、制御部24は、第一通風孔開閉部31と第二通風孔開閉部32(図3)の制御の代わりに、導風板33を制御する。すなわち、制御部24は、それぞれ第一通風孔27と第二通風孔28から排気されるよう導風板33を動かす。導風板33の角度により、第一通風孔27と第二通風孔28とに向かう排気の風量を調整できる。このため、制御部24は、導風板33の駆動により、ビューファインダー1の暖め度合いと、本体部2の冷却度合いとを調整できる。
【0030】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の第3の実施の形態の撮像装置130は、第一の実施の形態の撮像装置110及び本発明の第2の実施の形態の撮像装置120での効果に加えて、以下のような効果が得られる。
まず、本実施形態の撮像装置130は、1つの導風板33により、第一通風孔27と第二通風孔28との排気を制御するため、部品点数が少なくなるという効果が得られる。
また、撮像装置130は、冷却ファン25の排気の流路に沿って導風板33を配置することで、風圧の抵抗が少なくなる。よって、冷却ファン25の風量を少なくし、静音化することができる。また、撮像装置130は、導風板33の制御だけで第一通風孔27と第二通風孔28の制御をすることができるため、制御部24の制御を簡単にして、ビューファインダー1と本体部2の温度調整をしやすくすることができる。
【0031】
また、本実施形態に係る撮像装置130の特徴をまとめると、以下のようになる。
撮像装置130は、通風孔の切り換え手段として、導風板の可動制御を行うことを特徴とする。
【0032】
なお、上述の実施の形態においては、撮像装置110、120、130を空冷で冷却する場合について説明したが、これに限られない。
すなわち、水冷を始めとする液体冷却やヒートパイプ等を用いた冷却でも用いることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 ビューファインダー
2 本体部
11 VF温度センサー
12 ヒーター
13 表示部
20 レンズ
21 撮像素子
22 映像信号処理部
23 カメラ温度センサー
24 制御部
25 冷却ファン
26 サブファン
27 第一通風孔
28 第二通風孔
31 第一通風孔開閉部
32 第二通風孔開閉部
33 導風板
110、120、130 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と映像信号処理部を備えた本体部と、前記撮像素子で撮像した信号を閲覧する表示部と、前記表示部を暖めるヒーターとを備えた撮像装置において、
前記本体部を冷却するための空冷用の第一通風孔と、
前記表示部を前記本体部の熱で暖めるように配置された補助加熱用の第二通風孔と、
周囲温度に応じて前記第一通風孔及び/又は前記第二通風孔を切り換える制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、低温環境では、前記第二通風孔からの放熱により前記表示部の補助的な加熱を行い、低温環境以外では、前記第一通風孔からの放熱により前記本体部を放熱するよう制御する
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110447(P2013−110447A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251415(P2011−251415)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】