説明

撮像装置

【課題】動画像撮影中に撮影する静止画像に対し、撮影シーンに適した画像処理を行うこと。
【解決手段】撮像装置は、被写体像を撮像する撮像部21と、撮像部21により撮像された動画像を記録部29に記録する動画像記録制御部31と、撮影シーンを判定するシーン判定部31と、動画像を構成するフレーム画像に対して、動画像の撮像開始前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第1の画像処理部24と、静止画像の記録を指示する操作部材33aと、動画像の撮像中の操作部材33aからの操作信号に応じて、撮像部21が撮像した画像を静止画像として記録する静止画像記録制御部31と、静止画像に対して、シーン判定部31による直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第2の画像処理部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静止画像を撮影する際に、撮影シーンを判定し、撮影した静止画像に対してシーン判定結果に応じた最適な画像処理を行うデジタルカメラが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−18453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、静止画像と動画像とを撮影可能なデジタルカメラにおいて、動画像や、動画像の撮影中に撮影する静止画像に対して撮影シーンの判定をどうするかは考えられていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1に記載の発明による撮像装置は、被写体像を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された動画像を記録部に記録する動画像記録制御部と、撮影シーンを判定するシーン判定部と、動画像を構成するフレーム画像に対して、動画像の撮像開始前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第1の画像処理部と、静止画像の記録を指示する操作部材と、動画像の撮像中の操作部材からの操作信号に応じて、撮像部が撮像した画像を静止画像として記録する静止画像記録制御部と、静止画像に対して、シーン判定部による直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第2の画像処理部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
(2)請求項6に記載の発明による撮像装置は、被写体像を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された画像を、逐次出力する出力部と、撮影シーンを判定するシーン判定部と、出力部から逐次出力される画像に対して、所定のタイミングにおけるシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第1の画像処理部と、画像の記録を指示する操作部材と、出力部による画像の逐次出力中に、操作部材からの操作信号に応じて、撮像部が撮像した画像を静止画像または動画像として記録する記録制御部と、静止画像または動画像に対して、シーン判定部による直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第2の画像処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動画像を構成する各フレーム間で画質が急に変化して観察者に違和感を与えるのを防止することができると共に、動画像撮影中に撮影する静止画像には、撮影シーンに適した画像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態によるデジタルカメラの構成を例示する図である。
【図2】撮影処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】撮影処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態によるデジタルカメラ1の構成を例示する図である。図1に例示されるデジタルカメラ1は、撮影レンズ11と、絞り12と、撮像素子21と、A/D変換回路22と、露出制御部23と、表示装置28と、画像処理ブロック30と、CPU31と、操作部材33とを備え、記録媒体29が着脱可能に構成される。
【0010】
画像処理ブロック30は、画像処理回路24と、画像メモリ25と、圧縮伸張回路26と、表示回路27とを含む。
【0011】
操作部材33は、デジタルカメラ1を操作するためのスイッチやボタンで構成される。操作部材33は、不図示の電源スイッチ、シャッターボタン33a、録画ボタン33bを含む。
【0012】
ユーザが電源スイッチをオン操作すると、デジタルカメラ1の電源がオンし、スルー画像の撮影および表示装置28への該スルー画像の表示が開始される。スルー画像は、撮影指示前に取得するモニタ用の画像である。
【0013】
録画ボタン33bは、動画像の撮影開始と撮影終了とを指示する操作部材である。たとえばユーザが録画ボタン33bを操作すると動画像の撮影開始が指示され、録画ボタン33bを再度操作すると動画像の撮影終了が指示される。
【0014】
シャッターボタン33aは、静止画像の撮影を指示する操作部材である。たとえばユーザが動画像の撮影中にシャッターボタン33aを操作すると、動画像撮影中の静止画像撮影が指示される。ここで、動画像撮影中の静止画像撮影とは、動画像撮影中の1フレームを静止画像として記録することをいう。動画像の撮影が行われていないときにシャッターボタン33aを操作した場合は、静止画像の撮影が指示される。
【0015】
撮影レンズ11を透過した透過光、すなわち被写体光は、絞り12を介して撮像素子21に入射する。撮像素子21は、CMOSイメージセンサであって、被写体光をアナログ画像信号に光電変換し、A/D変換回路22へ出力する。撮像素子21から出力されたアナログ画像信号は、A/D変換回路22によりデジタル画像信号に変換され、画像処理回路24へ出力される。露出制御部23は、CPU31により指示された絞り値Avおよびシャッター速度Tvに基づいて、絞り12の駆動および撮像素子21の蓄積時間を制御する。
【0016】
画像処理回路24は、A/D変換回路22から入力されたデジタル画像信号に対して所定の画像処理(ホワイトバランス、輪郭強調、階調補正、ノイズリダクション、色補正など)を行う。
【0017】
圧縮伸張回路26は、画像処理回路24とともに動作する回路であって、静止画像についてはJPEGなどの圧縮ファイル形式に圧縮し、動画像についてはMPEGやMotionJPEGなどの圧縮ファイル形式に圧縮する。また圧縮伸張回路26は、圧縮された静止画像データまたは動画像データの伸張を行う。
【0018】
画像メモリ25は、画像データの高速な書き込みおよび読み出しを行うメモリであって、たとえば、揮発性の記憶装置であるSRAMや、VRAMなどで構成される。画像メモリ25は、画像処理回路24および圧縮伸張回路26の作業領域として用いられる。画像メモリ25には、A/D変換回路22から画像処理回路24へ送信されたデジタル画像信号、画像処理後の画像データ、および圧縮後の圧縮画像データなどが一時的に格納される。
【0019】
画像メモリ25は、静止画像用バッファおよび動画像用バッファとしても用いられる。静止画像用バッファは、画像処理回路24が静止画像撮影用の作業領域とする記憶領域である。動画像用バッファは、画像処理回路24が動画像撮影用の作業領域とする記憶領域である。
【0020】
表示回路27は、動画像や静止画像の再生表示、スルー画像表示、各種設定メニューを表示装置28へ表示させるための処理を行う。
【0021】
表示装置28は、液晶タイプの表示装置であり、各種画像やメニュー画面を表示する。記録媒体29は、撮影された静止画像のデータまたは動画像のデータを記憶する。記録媒体29は、たとえばメモリーカードによって構成される。記録媒体29に記録されたデータは、外部のコンピュータに接続または搭載された読み取り装置により読み取ることができ、画像の再生が可能である。
【0022】
CPU31は、デジタルカメラ1に備えられた各要素を制御して、静止画像や動画像の撮影処理を行う。
【0023】
シャッターボタン33aを介して静止画像の撮影が指示されると、CPU31は画像処理回路24へ指示を送り、撮像素子21からA/D変換回路22を介して出力されたデジタル画像信号を画像メモリ25の静止画像用バッファに格納させる。
【0024】
画像処理回路24は、静止画像用バッファに格納されたデジタル画像信号に対して所定の画像処理を行う。そして、画像処理回路24は、圧縮伸張回路26とともに画像処理後の画像データをJPEG形式などの圧縮画像データに圧縮する。そして、その圧縮画像データを静止画像ファイルとして記録媒体29に記憶させる。
【0025】
録画ボタン33bを介して動画像の撮影開始が指示されると、CPU31は画像処理回路24へ指示を送り、撮像素子21からA/D変換回路22を介して出力されたデジタル画像信号を、画像メモリ25の動画像用バッファに格納させる。
【0026】
画像処理回路24は、動画像用バッファに格納された各フレームのデジタル画像信号に対して所定の画像処理を行う。そして、画像処理回路24は、圧縮伸張回路26とともに画像処理後の画像データをMPEG形式やMotionJPEGなどの圧縮画像データに圧縮する。そして、その圧縮画像データを記録媒体29に記憶させる。
【0027】
録画ボタン33bを介して動画像の撮影終了が指示されると、CPU31は画像処理回路24へ指示を送り、動画像の撮影終了時点までの圧縮画像データを記録媒体29に記憶させ、記録媒体29に動画ファイルを完成させる。
【0028】
なお、動画像の撮影時、デジタルカメラ1は、1秒間に所定のフレーム数(たとえば、24〜60フレーム)の画像を撮影する。動画像の撮影中、A/D変換回路22は、そのフレーム数のデジタル画像信号を画像処理回路24へ出力する。
【0029】
動画像の撮影中にシャッターボタン33aが操作されると、CPU31は動画像撮影中の静止画像撮影を指示する。画像処理回路24は、静止画像撮影の指示があった直後の1フレーム分の動画像のデジタル画像信号を、画像メモリ25の動画像用バッファだけでなく静止画像用バッファにも記憶する。
【0030】
画像処理回路24は、動画像用バッファに記憶した上記デジタル画像信号に対しては、各フレームのデジタル画像信号と同様に、所定の画像処理を行った後、圧縮伸張回路26とともにMPEG形式やMotionJPEGなどの圧縮画像データに圧縮する。そして、その圧縮画像データを記録媒体29に記憶させる。
【0031】
一方、画像処理回路24は、静止画像用バッファに記憶したデジタル画像信号に対しては、所定の画像処理を行った後、圧縮伸張回路26とともにJPEG形式などの圧縮画像データに圧縮する。そして、その圧縮画像データを静止画像ファイルとして記録媒体29に記憶させる。
【0032】
本実施形態のCPU31は、スルー画像の表示中や動画像の撮影中などに、撮影シーンを判定するシーン判定処理を行う。判定される撮影シーンとしては、たとえば、主要被写体として人物を撮影するシーンである「ポートレート」、夜景を撮影するシーンである「夜景」、風景を撮影するシーンである「風景」、スポーツ中の人物を撮影するシーンである「スポーツ」、夕方の風景を撮影するシーンである「夕景」などがある。
【0033】
撮影シーンの判定方法は、公知の方法を用いるものとする。たとえば、撮像素子21からの画像信号に基づく情報(輝度や色バランス(R/G比、B/G比)など)や、カメラ設定情報(撮影レンズ11の焦点距離や撮影倍率など)に基づいて撮影シーンを判定する。
【0034】
また本実施形態では、撮影シーンに適した画像が得られるように、撮影シーンごとに露出演算モード、および画像処理パラメータが予め定められている。露出演算モードは、露出パラメータ(絞り値Av、シャッター速度Tv)を決定するための演算モードである。たとえば、「風景」シーンの場合、人物と背景の両方にピントが合うように絞り値Avを固定値とする絞り優先演算モードで露出パラメータを決定する。また、「スポーツ」シーンの場合、被写体の一瞬の動きを捉えるようにシャッター速度Tvを固定値とするシャッター速度優先演算モードで露出パラメータを決定する。
【0035】
画像処理パラメータは、画像処理に用いられるパラメータであり、たとえば、ホワイトバランスゲイン、輪郭強調の強さ、階調補正の度合い、ノイズリダクション用パラメータ、色補正用パラメータなどがある。たとえば、「夕景」の画像処理パラメータは、夕方の赤みを残した画像を取得できるように定められている。
【0036】
なお、上述した撮影シーンごとの露出演算モードおよび画像処理パラメータは、たとえば不図示のメモリに予め格納記憶されている。CPU31は、撮影画像にシーン判定結果を反映させる場合、判定した撮影シーンに対応する露出演算モードおよび画像処理パラメータを該メモリから読み出す。CPU31は、読み出した露出演算モードを、露出パラメータ演算に用いる露出演算モードとして決定し、読み出した画像処理パラメータを、画像処理に用いる画像処理パラメータとして決定する。
【0037】
CPU31は、決定した露出演算モードにより、画像の明るさ(信号値)に基づいて露出パラメータを決定して露出制御部23へセットする。露出制御部23は、CPU31からの露出パラメータに基づいて絞り12の駆動および撮像素子21の蓄積時間を制御する。
【0038】
またCPU31は、決定した画像処理パラメータを画像処理回路24にセットする。画像処理回路24は、CPU31からの画像処理パラメータを用いて、画像信号に対する画像処理を行う。
【0039】
<撮影処理>
図2および図3は、CPU31が実行する撮影処理の流れを説明するフローチャートである。CPU31は、操作部材33の不図示の電源スイッチがオン操作されると、電源をオンして、図2および図3に例示する処理を実行するプログラムを起動する。
【0040】
図2のステップS1において、CPU31は、スルー画像の取得を開始させて、ステップS2へ進む。具体的には、CPU31は、撮像素子21に所定のフレームレートで光電変換を開始させ、撮像素子21からの画像信号に基づくスルー画像を表示装置28に逐次再生表示させる。
【0041】
ステップS2において、CPU31は、数フレームごとに、スルー画像やカメラ設定情報に基づいて上記シーン判定処理を行い、ステップS3へ進む。
【0042】
ステップS3において、CPU31は、ステップS2の判定結果に基づいて露出演算モードを決定する。CPU31はさらに、決定した露出演算モードにより、スルー画像の明るさに基づいて露出パラメータを決定し、ステップS4へ進む。
【0043】
ステップS4において、CPU31は、ステップS2の判定結果に基づいて画像処理パラメータを決定し、ステップS5へ進む。
【0044】
ステップS5において、CPU31は、録画ボタン33bを介して動画像の撮影開始が指示されたか否かを判定する。CPU31は、録画ボタン33bからの操作信号を受けると、ステップS5を肯定判定してステップS6へ進む。CPU31は、録画ボタン33bからの操作信号を受けない場合には、ステップS5を否定判定してステップS2へ戻る。
【0045】
ステップS2およびステップS5間の処理を繰り返すCPU31は、露出制御部23にセットする露出パラメータを、現在の露出パラメータからステップS3で決定した露出パラメータに徐々に変化させる。これにより、スルー画像取得時の露出がフレーム間で急に変化して観察者が違和感を感じることを防止できる。
【0046】
またCPU31は、画像処理回路24にセットする画像処理パラメータを、現在の画像処理パラメータからステップS4で決定した画像処理パラメータに徐々に変化させる。これにより、スルー画像の画質がフレーム間で急に変化して観察者が違和感を感じることを防止できる。
【0047】
ステップS5を肯定判定して進むステップS6において、CPU31は、ステップS3で決定した露出演算モードを、動画像の撮影中に用いる露出演算モードとしてセットして、ステップS7へ進む。すなわち、CPU31は、動画像の撮影開始にあたり、撮影開始指示の直前に判定した撮影シーンに基づく露出演算モードをセットする。
【0048】
ステップS7において、ステップS4で決定した画像処理パラメータを画像処理回路24にセットして、ステップS8へ進む。すなわち、CPU31は、動画像の撮影開始にあたり、撮影開始指示の直前に判定した撮影シーンに基づく画像処理パラメータを画像処理回路24にセットする。
【0049】
ステップS8において、CPU31は、動画像の取得を開始させて、ステップS9へ進む。具体的には、CPU31は、ステップS6でセットした露出演算モードにより、直前のスルー画像の明るさに基づいて露出パラメータを決定する。CPU31は、露出制御部23にこの露出パラメータに基づいて絞り12の駆動および撮像素子21の蓄積時間を制御させながら撮像素子21に所定のフレームレートで光電変換を行わせ、1枚目のフレーム画像を取得させる。なお、CPU31は、2フレーム目以降については、各フレームごとに、ステップS6でセットした露出演算モードにより、前フレーム画像の明るさに基づいて露出パラメータを決定し、露出制御部23にこの露出パラメータに基づいて露出を制御させる。
【0050】
ステップS9において、CPU31は、動画像の撮影中に数フレームごとに、現在のフレーム画像やカメラ設定情報に基づいて上記シーン判定処理を行い、ステップS10へ進む。
【0051】
ステップS10において、CPU31は画像処理回路24へ指示を送り、現在のフレーム画像に対し、ステップS7でセットした画像処理パラメータを用いた画像処理を行わせる。CPU31は、画像処理回路24および圧縮伸張回路26へ指示を送り、該画像処理後の画像データを圧縮画像データに圧縮させて記録媒体29に記憶させ、ステップS11へ進む。
【0052】
このように本実施形態では、動画像の撮影中、動画像の取得開始後のシーン判定結果に基づく露出演算モードおよび画像処理パラメータを動画像に適用せず、動画像の取得開始前に決定した露出演算モードおよび画像処理パラメータ(ステップS6、S7)に固定して動画像に適用する。但し、露出パラメータについては、固定した露出演算モードにおいて最適な露出が得られるように、フレーム画像の明るさに応じて変化させる。
【0053】
ステップS11において、ステップS9の判定が行われるごとに、ステップS9のシーン判定結果を、記録媒体29に記憶された現在のフレームのタグ情報として記録し、ステップS12へ進む。
【0054】
図3のステップS12において、CPU31は、動画像の撮影中にシャッターボタン33aが操作され静止画像を撮影する場合に、該静止画像に対してシーン判定結果を反映させるか否かを判定する。本実施形態のデジタルカメラ1は、該静止画像に対してシーン判定結果を反映させるか否かを、予めユーザが操作部材33を介して選択して設定できるよう構成されている。シーン判定結果を反映させる設定が行われている場合のCPU31は、ステップS12を肯定判定してステップS13へ進む。シーン判定結果を反映させない設定が行われている場合のCPU31は、ステップS12を否定判定してステップS19へ進む。
【0055】
ステップS13において、CPU31は、ステップS9の判定が行われるごとに、ステップS9の判定結果に基づいて露出演算モードを決定する。CPU31はさらに、決定した露出演算モードにより、現フレーム画像の明るさに基づいて露出パラメータを決定し、ステップS14へ進む。
【0056】
ステップS14において、CPU31は、ステップS9の判定が行われるごとに、ステップS9の判定結果に基づいて画像処理パラメータを決定し、ステップS15へ進む。
【0057】
ステップS15において、CPU31は、シャッターボタン33aを介して静止画像の撮影が指示されたか否かを判定する。CPU31は、シャッターボタン33aからの操作信号を受けると、ステップS15を肯定判定してステップS16へ進む。CPU31は、シャッターボタン33aからの操作信号を受けない場合には、ステップS15を否定判定してステップS23へ進む。
【0058】
ステップS16において、CPU31は、露出制御部23に、ステップS13で決定した露出パラメータをセットする。この結果、この露出パラメータに基づいて制御した露出により、静止画像撮影の指示があった直後の1フレーム分の動画像が撮影される。CPU31は、画像処理回路24に指示を送り、該1フレーム分のデジタル画像信号を、画像メモリ25の動画像用バッファだけでなく静止画像用バッファにも記憶させる。CPU31は、このようにして動画像撮影中の静止画像撮影処理を行うと、ステップS17へ進む。
【0059】
ステップS17において、CPU31は、画像処理回路24にステップS14で決定した画像処理パラメータをセットし、該画像処理パラメータを用いて静止画像用バッファに記憶された上記1フレーム分のデジタル画像信号に画像処理を行わせ、ステップS18へ進む。
【0060】
なお、CPU31は、動画像用バッファに記憶された上記1フレーム分のデジタル画像信号に対しては、動画像を構成する他のフレームと同様に、ステップS7でセットした画像処理パラメータを用いた画像処理を画像処理回路24に行わせる(ステップS11)。
【0061】
ステップS18において、CPU31は、画像処理回路24および圧縮伸張回路26に指示を送り、ステップS17で画像処理された静止画像用のデータを圧縮画像データに圧縮させて静止画ファイルとして記録媒体29に記憶させる。なお、CPU31は、ステップS9において判定したシーン判定結果を、該静止画像ファイルのタグ情報として記録する。CPU31は、このような静止画像の記録処理を行うと、ステップS23へ進む。
【0062】
なお、CPU31は、露出制御部23に、静止画像撮影の指示があった直後の1フレーム分の動画像についてはステップS13で決定した露出パラメータで露出を制御させるが(ステップS16)、その後の動画像については、ステップS6でセットした露出演算モードにより決定した露出パラメータによる露出制御に戻す。
【0063】
上述したステップS12を否定判定して進むステップS19において、CPU31は、シャッターボタン33aを介して静止画像の撮影が指示されたか否かを判定する。CPU31は、シャッターボタン33aからの操作信号を受けると、ステップS19を肯定判定してステップS20へ進む。CPU31は、シャッターボタン33aからの操作信号を受けない場合には、ステップS19を否定判定してステップS23へ進む。
【0064】
ステップS20において、CPU31は、ステップS6でセットした露出演算モード(動画像の取得開始前にセットした露出演算モード)のままで直前のフレーム画像の明るさに基づいて露出パラメータを決定し、この露出パラメータで露出制御部23に露出を制御させる。CPU31は、画像処理回路24へ指示を送り、該1フレーム分の動画像のデジタル画像信号を、画像メモリ25の動画像用バッファだけでなく静止画像用バッファにも記憶させる。CPU31は、このようにして動画像撮影中の静止画像撮影処理を行うと、ステップS21へ進む。
【0065】
ステップS21において、CPU31は、画像処理回路24に、ステップS7でセットした画像処理パラメータ(動画像の取得開始前にセットした画像処理パラメータ)のままで、静止画像用バッファに記憶された上記1フレーム分のデジタル画像信号に画像処理を行わせ、ステップS22へ進む。すなわち、CPU31は、動画像撮影中に撮影した静止画像に対し、動画像と同様の画像処理パラメータを用いた画像処理を行う。
【0066】
なお、CPU31は、動画像用バッファに記憶された上記1フレーム分のデジタル画像信号に対しては、動画像を構成する他のフレームと同様に、ステップS7でセットした画像処理パラメータを用いた画像処理を画像処理回路24に行わせる(ステップS11)。
【0067】
ステップS22において、CPU31は、画像処理回路24および圧縮伸張回路26に指示を送り、ステップS21で画像処理された静止画像用のデータを圧縮画像データに圧縮させて静止画像ファイルとして記録媒体29に記憶させる。なお、CPU31は、ステップS20およびS21で用いた露出パラメータおよび画像処理パラメータに対応するシーン判定結果を、該静止画像ファイルのタグ情報として記録する。CPU31は、このような静止画像の記録処理を行うと、ステップS23へ進む。
【0068】
ステップS23において、CPU31は、録画ボタン33bを介して動画像の撮影終了が指示されたか否かを判定する。CPU31は、録画ボタン33bからの操作信号を受けると、ステップS23を肯定判定してステップS24へ進む。CPU31は、録画ボタン33bからの操作信号を受けない場合には、ステップS23を否定判定してステップS9へ戻る。
【0069】
ステップS23を肯定判定して進むステップS24において、CPU31は、動画像の記録を終了して記録媒体29に動画ファイルを完成させ、図3の処理を終了する。
【0070】
なお、CPU31は、上記シーン判定処理を、数フレームごとに実行するようにしたが、各フレームごとに実行するようにしてもよい。
【0071】
上述したように、本実施形態のデジタルカメラ1は、記録する動画像に対しては、ステップS7でセットした画像処理パラメータを用いて画像処理を行う。一方、動画像記録中も撮像素子21からの出力に基づいてシーン判定処理を行い、動画像の記録中に静止画像を記録する際には、(該静止画像に対してシーン判定結果を反映させる設定の場合)ステップS14で求めた画像処理パラメータを用いて、該静止画像に対して画像処理を行う。
【0072】
<検索処理>
また本実施形態のデジタルカメラ1は、上述した撮影処理によって記録したファイルから撮影シーンを検索する検索モードを有している。CPU31は、検索モードに設定されると、たとえば、検索対象とする撮影シーンをユーザが選択するための選択画面を表示装置28に表示させる。
【0073】
CPU31は、操作部材18の操作によって検索対象の撮影シーンが選択されると、上記タグ情報として記録されたシーン判定結果に基づいて、動画像を構成する各フレームの中から、検索対象の撮影シーンに合致するフレームを検索する。そしてCPU31は、検索したフレームの画像を表示装置28に表示させる。たとえば、検索したフレームの画像を縮小してサムネイル画像を生成し、生成したサムネイル画像を動画像の時系列順に並べて表示装置28に表示させる。
【0074】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)デジタルカメラ1は、被写体像を撮像する撮像素子21と、撮像素子21により撮像された動画像を記録媒体29に記録するCPU31と、撮影シーンを判定するCPU31と、動画像を構成するフレーム画像に対して、動画像の撮像開始前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う画像処理回路24と、静止画像の記録を指示するシャッターボタン33aと、動画像の撮像中のシャッターボタン33aからの操作信号に応じて、撮像素子21が撮像した画像を静止画像として記録するCPU31と、静止画像に対して、CPU31による直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う画像処理回路24と、を備えるようにしたので、動画像を構成する各フレーム画像に対して行う画像処理を共通にでき、フレーム間で画質が急に変化して観察者に違和感を与えるのを防止することができる。さらに、動画像撮影中に撮影する静止画像に対して撮影シーンに適した画像処理を行うことができる。
【0075】
(2)上記(1)に記載のデジタルカメラ1において、静止画像に対して、動画像の撮像開始前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う画像処理回路24と、該画像処理回路24および上記(1)の画像処理回路24のうちいずれか一方に静止画像に対する画像処理を行わせるCPU31と、を備えるようにしたので、動画像撮影中に撮影する静止画像に対し、動画像と共通の画像処理を行うか、撮影シーンに適した画像処理を行うかを選ぶことができる。
【0076】
(3)上記(1)または(2)に記載のデジタルカメラ1において、動画像の撮像時は、動画像の撮像開始前のシーン判定結果に基づいた露出パラメータを用いて露出制御を行い、静止画像の撮像時は、直近のシーン判定結果に基づいた露出パラメータを用いて露出制御を行う露出制御部23、を備えるようにしたので、動画像撮影中に撮影する静止画像を撮影シーンに適した露出で撮影することができる。
【0077】
(4)上記(3)に記載のデジタルカメラ1において、動画像および静止画像の撮像時のそれぞれにおいて、動画像の撮像開始前のシーン判定結果に基づいた露出パラメータを用いて露出制御を行う露出制御部23と、該露出制御部23および上記(3)の露出制御部23のうちいずれか一方に露出制御を行わせるCPU31と、を備えるようにしたので、動画像撮影中に撮影する静止画像において、動画像と共通の露出制御を行うか、撮影シーンに適した露出制御を行うかを選ぶことができる。
【0078】
(5)上記(1)〜(4)に記載のデジタルカメラ1において、シーン判定結果を動画像と関連付けて記録媒体29に記録するCPU31、を備えるようにしたので、たとえば、記録した動画像から撮影シーンを検索することができる。
【0079】
(変形例1)
上述した実施の形態では、静止画像に対してシーン判定結果を反映させる設定である場合、動画像の撮影中に静止画像の撮影が指示されると、直近のシーン判定結果に基づく露出演算モードにより決定した露出パラメータで露出を制御するようにしたが、動画像の取得開始前に決定した露出演算モードにより決定した露出パラメータで露出を制御するようにしてもよい。変形例1のCPU31は、該静止画像に対する画像処理については、直近のシーン判定結果に基づく画像処理パラメータを用いるようにする。
【0080】
(変形例2)
上述した実施の形態では、CPU31は、動画像の撮影中におけるシーン判定結果を、フレームのタグ情報として記録するようにしたが、たとえば不図示のメモリに一時記録するようにしてもよい。
【0081】
(変形例3)
上述した実施の形態では、動画像の撮影中にシャッターボタン33aが操作されると、動画像の1フレームを静止画像としても記録するようにしたが、たとえば、動画像の撮影を一時停止して静止画像撮影を行い、静止画像撮影の終了後に動画像撮影を再開するようにしてもよい。
【0082】
(変形例4)
上述した実施の形態では、スルー画像の取得中にシーン判定処理を行うようにしたが、必ずしもスルー画像の取得中に行わなくてもよい。変形例4のCPU31は、たとえば、録画ボタン33bを介して動画像の撮影が指示されると、直近に取得したスルー画像に基づいてシーン判定処理を行い、判定結果に基づいて動画像に適用する露出パラメータおよび画像処理パラメータを決定する。
【0083】
(変形例5)
上述した実施の形態では、記録する動画像に対して、動画像の記録指示前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータに固定して画像処理を行うようにしたが、記録せずに表示のみを行う動画像(スルー画像)に対して、同様の処理を行うようにしてもよい。
【0084】
たとえば、変形例5のCPU31は、スルー画像を表示しながらシーン判定処理を行い、スルー画像に対し、直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う。このようなスルー画像の表示中、操作部材33を介して所定の指示(たとえばシャッターボタン33aの半押し操作)が行われると、変形例5のCPU31は、該指示後のスルー画像に対しては、該指示直前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータに固定して画像処理を行う。さらに変形例5のCPU31は、該指示後のスルー画像の表示中も撮像素子12からの出力に基づいてシーン判定処理を継続して行い、操作部材33を介して静止画像または動画像の記録指示があると、該静止画像または動画像に対して直近のシーン判定結果に基づく画像処理パラメータを用いて画像処理を行う。
【0085】
また、スルー画像に対して、たとえばスルー画像の表示開始時のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータに固定して画像処理を行うようにしてもよい。この場合のCPU31は、操作部材33を介して電源のオン操作が行われると、スルー画像を表示させると共にシーン判定処理を行う。CPU31は、スルー画像に対して、スルー画像の表示開始時のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータに固定して画像処理を行う。CPU31は、スルー画像の表示中も撮像素子12からの出力に基づいてシーン判定処理を継続して行い、操作部材33を介して所定の指示(たとえばシャッターボタン33aの半押し操作)が行われると、該指示後のスルー画像に対しては、該指示直前のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータに固定して画像処理を行う。さらにCPU31は、該指示後のスルー画像の表示中も、撮像素子12からの出力に基づいてシーン判定処理を継続して行い、操作部材33を介して静止画像または動画像の記録指示があると、該静止画像または動画像に対して直近のシーン判定結果に基づく画像処理パラメータを用いて画像処理を行う。
【0086】
このように変形例5のCPU31は、表示装置28から逐次出力されるスルー画像に対して、所定のタイミング(たとえば、操作部材33を介した所定の指示の直前や、スルー画像の表示開始時など)におけるシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う。一方、変形例5のCPU31は、スルー画像の表示中に操作部材33を介した記録指示に応じて記録される静止画像または動画像に対しては、直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う。変形例5によれば、スルー画像を構成する各フレーム間で画質が急に変化して観察者に違和感を与えるのを防止することができると共に、スルー画像表示中に記録する静止画像または動画像には、撮影シーンに適した画像処理を行うことができる。
【0087】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態に各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【符号の説明】
【0088】
1…デジタルカメラ
11…撮影レンズ
12…絞り
21…撮像素子
23…露出制御部
24…画像処理回路
25…画像メモリ
28…表示装置
29…記録媒体
31…CPU
33…操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された動画像を記録部に記録する動画像記録制御部と、
撮影シーンを判定するシーン判定部と、
前記動画像を構成するフレーム画像に対して、前記動画像の撮像開始前の前記シーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第1の画像処理部と、
静止画像の記録を指示する操作部材と、
前記動画像の撮像中の前記操作部材からの操作信号に応じて、前記撮像部が撮像した画像を静止画像として記録する静止画像記録制御部と、
前記静止画像に対して、前記シーン判定部による直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第2の画像処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記静止画像に対して、前記動画像の撮像開始前の前記シーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第3の画像処理部と、
前記第2の画像処理部および前記第3の画像処理部のうちいずれか一方に前記静止画像に対する画像処理を行わせる第1の制御部と、
をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記動画像の撮像時は、前記動画像の撮像開始前の前記シーン判定結果に基づいた露出パラメータを用いて露出制御を行い、前記静止画像の撮像時は、直近の前記シーン判定結果に基づいた露出パラメータを用いて露出制御を行う第1の露出制御部、をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記動画像および前記静止画像の撮像時のそれぞれにおいて、前記動画像の撮像開始前の前記シーン判定結果に基づいた露出パラメータを用いて露出制御を行う第2の露出制御部と、
前記第1の露出制御部および前記第2の露出制御部のうちいずれか一方に露出制御を行わせる第2の制御部と、
をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記シーン判定部によるシーン判定結果を前記動画像と関連付けて記録部に記録する記録制御部、をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
被写体像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を、逐次出力する出力部と、
撮影シーンを判定するシーン判定部と、
前記出力部から逐次出力される前記画像に対して、所定のタイミングにおける前記シーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第1の画像処理部と、
画像の記録を指示する操作部材と、
前記出力部による画像の逐次出力中に、前記操作部材からの操作信号に応じて、前記撮像部が撮像した画像を静止画像または動画像として記録する記録制御部と、
前記静止画像または前記動画像に対して、前記シーン判定部による直近のシーン判定結果に基づいた画像処理パラメータを用いて画像処理を行う第2の画像処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−16907(P2013−16907A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146373(P2011−146373)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】