説明

撮像装置

【課題】 従来の撮像素子を備える第1の筐体と、屈曲光学系を備える前記第1の筐体と回動可能な第2の筐体を有する撮像装置では、撮像素子に投影される画像の回転を記録時に補正するために、前記第2の筐体の回転角度を検出する回転角度検出部が必要となり、ジャイロ又はステッピングモーター等を撮像装置に組み込むため、撮像装置が大型化してしまう課題があった。
【解決手段】 撮像素子を備えた第1の筐体と、屈折光学系を備えた前記第1の筐体と回動可能に取り付けられた第2の筐体と、撮像素子に投影される光路の一部を遮蔽する遮蔽部と、撮像された画像から前記遮蔽部を検出する画像認識手段と、前記検出された遮蔽部から前記画像の天地を決定する画像方向決定手段を備え、前記画像方向決定手段にて決定した画像の天地に基づいて、前記画像に特定の処理を施す処理手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像素子を備える第1の筐体と、屈曲光学系を備える前記第1の筐体と回動可能な第2の筐体を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像素子を備える第1の筐体と、屈曲光学系を備える前記第1の筐体と回動可能な第2の筐体を有する撮像装置では、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回動した時に、前記撮像素子に投影される画像は、前記第2の筐体の回動と共に回転する。このために実際に記録された画像を見ると、前記第2の筐体を回動させた時は、画像の天地が回転してしまうため、前記第2の筐体の回転角度をパンジャイロで検出し、検出された値に応じて記録画像を逆回転させて補正し、画像の天地を保ちながら記録するものが提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、別の提案ではステッピングモータを使用して回転角度を検出するものもある。(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−091106号公報
【特許文献2】特開2006−220834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では前記撮像素子に投影される画像の回転を記録時に補正するために、前記第2の筐体の回転角度を検出する回転角度検出部が必要となり、ジャイロ又はステッピングモーター等を撮像装置に組み込むため、撮像装置が大型化してしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本請求項1記載の撮像装置は、撮像素子を備えた第1の筐体と、屈折光学系を備えた前記第1の筐体と回動可能に取り付けられた第2の筐体と、撮像素子に投影される光路の一部を遮蔽する遮蔽部と、撮影された画像から前記遮蔽部を検出する画像認識手段と、前記検出された遮蔽部から前記画像の天地を決定する画像方向決定手段を備え、前記画像方向決定手段にて決定した画像の天地に基づいて、前記画像に特定の処理を施す処理手段を有することを特徴とする。
【0007】
本請求項2記載の撮像装置は、前記特定の処理に撮影画像の回転、あるいは撮影画像の切り出し、あるいは画像ファイルに撮影画像の上下方向データを記録する、処理の中で少なくとも一つ以上の処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、前記第1の筐体と前記第2の筐体の回転角度を撮影画像から検出された遮蔽部により算出するため、従来の撮像装置に必要とされていた回転角度検出部を設けなくて良い構成となり、撮像装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】実施形態による撮像装置使用時の第1の姿勢例で撮像装置前面側を示す外観斜視図
【図1b】実施形態による撮像装置使用時の第1の姿勢例で撮像装置背面側を示す外観斜視図
【図1c】実施形態による撮像装置使用時の第2の姿勢例で撮像装置前面側を示す外観斜視図
【図2】図1aに示すA−A断面図
【図3a】撮像装置使用時の第1の姿勢例における、前記撮像素子へ投影された撮影画像
【図3b】撮像装置使用時の第2の姿勢例における、前記撮像素子へ投影された撮影画像
【図4】実施形態による撮像装置の構成例を示すブロック図
【図5】実施形態における撮影画像処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本実施形態を説明する。
【0011】
図1aは本発明の実施形態による撮像装置使用時の第1の姿勢例で撮像装置前面側を示す外観斜視図である。図1aにおいて、第1の筐体101は撮像素子を内蔵しており、電源釦103を有する。矢印Hは前記第1の筐体の背面から前面へ向かう方向を示している。前記矢印Hは前記撮像素子のある特定の方向でも良い。第2の筐体102は屈折光学系を内蔵しており、前記第1の筐体101と回動可能に取り付けられている。撮影方向は前記矢印Hと同方向であり、このときの撮影画像の上方向は矢印K1となる。
【0012】
図1bは本発明の実施形態による撮像装置使用時の第1の姿勢例で撮像装置背面側を示す外観斜視図である。図1bにおいて、前記筐体1の背面には表示と操作を兼ねるタッチパネル104を有する。
【0013】
図1cは本発明の実施形態による撮像装置使用時の第2の姿勢例で撮像装置前面側を示す外観斜視図である。図1cにおいて、前記第2の筐体102は、前記第1の筐体101から回転角度θでパンされている。撮影方向は前記矢印Hから回転角度θずれた方向であり、このときの撮影画像の上方向は矢印K2となる。撮像装置から見た前記矢印K1と前記矢印K2の方向は同方向である。
【0014】
図2は図1aに示すA−A断面図である。図2において、撮像装置に入る光路201は、レンズ部202を通り、反射板203で屈折され、前記筐体1と前記筐体2を回動可能に取り付ける中空軸204を通り、前記第2の筐体と共に動く前記中空軸204に固定された遮蔽部205a乃至205bと不図示の205c乃至205eにより光路を遮蔽され撮像素子206へ撮影画像を投影する。基板207は後述するA/D変換部401、CPU405、ROM402、RAM403、記録部406等を搭載している。
【0015】
図3aは本発明の実施形態による撮像装置使用時の第1の姿勢例図1aにおける、前記撮像素子206へ投影された撮影画像である。図2aにおいて、前記撮像素子206に投影される前記光路201は、遮蔽部205a乃至205eにて遮蔽されている。前記遮蔽部205a乃至205eの位置において、撮影画像上方向は前記反射板203にて反転され前記第1の筐体の背面から前面へ向かう方向Hと同方向がK1となる。前記遮蔽部205a乃至205eの位置と撮影画像上方向K1を後述するROM402へ記憶しておく。図中の301は後述する特定の処理後の画角である。
【0016】
図3bは本発明の実施形態による撮像装置使用時の第2の姿勢例図1cにおける、前記撮像素子206へ投影された撮影画像である。図3bにおいて、前記撮像素子206へ投影された撮影画像は、前記第2の筐体102が、前記第1の筐体101から回転角度θでパンされたことで、前記遮蔽部205a乃至205eは、図3aから回転角度θで回転した状態となる。前記遮蔽部205a乃至205eの位置より、撮影画像上方向K2が算出できる。
【0017】
図4は本実施形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。図4において、第2の筐体102は、レンズ部202と反射板203から成る屈折光学系を備える。第1の筐体101は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子206、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部401により、被写体画像をデジタル信号に変換し、撮影画像データを出力する。ROM402は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。前記ROM402には、CPU405の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。前記CPU405は、撮像装置全体を制御する。前述したROM402に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。RAM403はシステムメモリ、ワークメモリ、画像メモリであり、RAM等が用いられる。RAM403には、CPU405の動作用の定数、変数、ROM402から読み出したプログラム等を展開する。また、前記撮影画像データ、後述する画像回転角、特定の処理を行った画像データを記憶する。
【0018】
表示部404は、CPU405がRAM403に送信させる特定の処理を行った画像データにより、画像を表示する。表示部404には液晶パネル、有機EL等を用いる。記録部406はCPU405がRAM403に送信させる特定の処理を行った画像データを記録する。記録部406は画像データを記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク、磁気テープ等から構成される。操作部407は、撮像装置に設けられる電源釦103、表示部404と重ねて設けられるタッチパネル104等により構成される。電源釦103は撮像装置の電源ON、OFFを行う。タッチパネル104には、シャッター釦が配置され、これら操作部を操作することにより、撮影画像に特定の処理が行われた画像データが記録部406に保存される。タッチパネル104は、重ねて設けらた表示部404に表示される種々のアイコンを選択操作することで、各種機能釦として作用する。機能釦としては、例えば撮影モード切り替え釦、ズーム釦、メニュー釦、等がある。例えば、ズーム釦が押されるとズーム機能が開始され撮影シーンに適した画角にできる。利用者は、表示部404に表示された釦を重ねて配置されたタッチパネル104により操作することで、直感的に各種設定を行うことができる。その他、撮像装置に使われる構成として、撮像装置本体を駆動するための電源部、バッテリー部、音声入出力部、ストロボ部、等あるが、撮像装置として周知の事実を用いるため、ここでは図示、及び詳細な説明を省く。
【0019】
図5は、本実施形における撮影画像処理のフローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、CPU405がROM402に格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することにより実現される。図5において、ステップS502は、CPU405が電源釦103により電源ONの命令があるか判断を行う。CPU405は前記電源釦103より電源ONの命令がないと判断した場合、ステップS502に戻る。CPU405は前記電源釦103により電源ONの命令があったと判断した場合、ステップS503へ進む。ステップS503は、CPU405がA/D変換部401から出力される撮影画像データをRAM403に記憶させ、遮蔽部205a乃至205eの検出を行う。先ず前記遮蔽部が検出できた場合から説明する。S504は、CPU405が前記遮蔽部205a乃至205eから少なくとも一つの遮蔽部を検出することより、画像回転角θを算出してCPU405へ出力する。ステップS505は、CPU405が、入力された画像回転角θの値に応じて、撮影画像に特定の処理を行い、RAM403へ画像データとして記録する。前記特定の処理とは、前記撮影画像データに対して、回転、切り出し、画像データに撮影画像の上下方向データを含ませる、の処理の中で、少なくとも一つ以上の処理である。ステップS506は、CPU405がステップS505の特定の処理行う時に使用した前記画像回転角度θを回転角度データとしてRAM403に記憶させる。ステップS508は、CPU405がタッチパネル104に表示されたシャッター釦が押されたか判断をする。前記シャッター釦が押されたと判断した場合、ステップS509に進み、CPU405はRAM403に記憶された特定の処理後の画像データを記録部406に記録する。前記シャッター釦が押されてないと判断した場合、ステップS508を行わない。ステップS509は、CPU405が電源釦103により電源OFFの命令があったか判断を行う。CPU405は前記電源釦103により電源OFFの命令があると判断した場合、ステップS510へ進む。CPU405は前記電源釦103により電源OFFの命令が無かったと判断した場合、ステップS503へ進む。
【0020】
次に、ステップS503にて、CPU405がRAM403に記憶させた撮影画像データから、遮蔽部205a乃至205eの遮蔽部を一つも検出できなかった場合を説明する。ステップS503にて、ステップS511に進んだ場合、CPU405はRAM403に記憶された角度データをCPU405へ出力し、ステップS505へ進む。RAM403に角度データが記憶されていない時は、角度を0として出力しても良い。
【0021】
上述した遮蔽部は少なくとも一つ以上あれば良く、複数の遮蔽部がある場合は遮蔽形状を変えることで、複数の遮蔽部のいずれか一つを検出すれば画像回転角度が算出できるようにしても良い。本案件は遮蔽部の数、形状によって限られない。また撮像装置内における遮蔽部の配置は、撮影画像から遮蔽部の検出が可能で、第2の筐体と共に動くことを条件に、レンズ部202から撮像素子206の間のどこに配置しても良い。
【0022】
以上のように、本発明によれば、前記第1の筐体と前記第2の筐体の回転角度を撮影画像から検出された遮蔽部により算出するため、従来の撮像装置に必要とされていた回転角度検出部を設けなくて良い構成となり、撮像装置の小型化が可能となる。
【符号の説明】
【0023】
101‥‥第1の筐体
102‥‥第2の筐体
103‥‥電源釦
104‥‥タッチパネル
201‥‥光路
202‥‥レンズ部
203‥‥反射板
204‥‥中空軸
205a〜205e‥‥遮蔽部
206‥‥撮像素子
207‥‥基板
301‥‥特定の処理後の画角
401‥‥A/D変換部
402‥‥ROM
403‥‥RAM
404‥‥表示部
405‥‥CPU
406‥‥記録部
407‥‥操作部
H‥‥第1の筐体の背面から前面へ向かう方向
K1‥‥撮像装置使用時の第1の姿勢例のおける撮影画像の上方向
K2‥‥撮像装置使用時の第2の姿勢例のおける撮影画像の上方向
θ‥‥撮像装置使用時の第1の姿勢例から第2の姿勢例へのパン角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を備えた第1の筐体と、屈折光学系を備えた前記第1の筐体と回動可能に取り付けられた第2の筐体と、撮像素子に投影される光路の一部を遮蔽する遮蔽部と、撮影された画像から前記遮蔽部を検出する画像認識手段と、前記検出された遮蔽部から前記画像の天地を決定する画像方向決定手段を備え、前記画像方向決定手段にて決定した画像の天地に基づいて、前記画像に特定の処理を施す処理手段を有する撮像装置。
【請求項2】
前記特定の処理は撮影画像の回転、あるいは撮影画像の切り出し、あるいは画像ファイルに撮影画像の上下方向データを記録する、処理の中で少なくとも一つ以上の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。


【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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