説明

撮像/表示方式

【発明の詳細な説明】
A.産業上の利用分野 本発明は、CCDのような撮像素子における撮像/表示方式に関する。
B.発明の概要 撮像素子と表示素子が絵素構造を持つ場合に、両者の絵素配列(絵素の空間周波数、カラー素子配列)を等しくして、同一周期の駆動信号で撮像素子および表示素子を駆動し、撮像出力に設けられる低域フィルタを除いて再現画像の空間解像度の低下を防ぐ。
C.従来の技術 近年撮像素子には、例えばCCDのように、撮像面が絵素配列のものが多くなってきている。一方、表示系も、液晶(LCD)を主体に、個体表示素子の多くは絵素配列となっている。
絵素配列は空間的なサンプリングと同義である。したがって、撮像素子で連続した入力情報を空間サンプリングし、その信号を走査機構に基づいて時系列のPAM信号として、撮像素子出力とする。多くの場合、時間的な低域フィルタを通して、撮像素子出力の持つサンプリング性を排除して表示系に再生する。もし、この低域フィルタが十分に高周波成分を低減してないと、表示素子の空間サンプリングである絵素構成により偽信号(画像)を発生することになる。
このことを第3図から第5図までに示す。第3図は従来の撮像/表示とも絵素構造を持つ際の伝送系の図式図で、図中、1は光入力、2は撮像素子においてサンプリングによって映像周波数fs′を持つ撮像絵素構造とすることを表わす表示、3は遮断周波数fc1の低域フィルタ、4は表示素子においてfs″の周波数で再サンプリングして表示絵素構造とすることを表わす表示、5は表示装置、6は観視者を表わす。第4図は第3図に示す系のいろいろな部分における信号波形を示す図で、(a)は光入力、(b)はサンプリング後の信号、(c)は低域フィルタ後の信号、(d)は再サンプリング後の信号を示す。第5図は撮像素子(a)および表示素子(b)における絵素構造を示す。撮像素子の空間サンプリング周波数fsは走査により映像周波数fs′となる。したがって、サンプリング定理により低域フィルタの遮断周波数fc1は、

ならば、後でfs″の周波数で再サンプリングしても、偽信号を生じない。一般に撮像素子の映像周波数に換算したサンプリング周波数fs″は等しくない。
fs′≠fs″ このため、撮像素子出力の低域フィルタの遮断周波数はfc1≒1/3fs′程度にする。このことは表示系の解像度を低下させ、画質が十分にならない欠点となる。
D.発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、撮像/表示とも絵素構造を持つ系の再現画像の空間解像力を向上することを可能にする撮像/表示方式を提供することである。
E.問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明による撮像/表示方式は絵素構造の撮像手段において、所定の周波数で絵素のサンプリングを行ない、絵素構造の表示手段において、上記撮像手段と同一の周波数で絵素のサンプリングを行なうことを要旨とする。
F.作用 本発明による方式の原理的概念図を第1図に示す。撮像側の絵素のサンプリング周期と表示側の絵素のサンプリング周期を等しくして、第3図で用いた遮断周波数fc1の低域フィルタを除去し、再現像の空間分解能の向上を図る。
G.実施例 以下に、図面を参照しながら、実施例を用いて本発明を一層詳細に説明するが、それらは例示に過ぎず、本発明の枠を越えることなしにいろいろな変形や改良があり得ることは勿論である。
第1図は本発明による撮像/表示方式を図式的に示す図で、図中、第3図と共通する引用番号は第3図におけるものと同じか、またはそれに対応する部分を表わす。図示のように、撮像側の絵素のサンプリング周期と表示側の絵素のサンプリング周期が等しいので、遮断周波数fc1の低減フィルタが必要ではなく、再現像の空間分解能の向上を図ることができる。
第2図は画像の水平方向の走査についての映像信号の帯域の変化を示す。撮像側では周波数fs′でサンプリングしているので、撮像素子出力信号には0〜fs′/2の周波数成分(斜線を施されている部分)が含まれている。一般には、伝送して、再サンプリングする際の偽信号を生じないようにするために、低減フィルタ(遮断周波数fc1)を用いる。fc1≒1/3fs′が現実的な特性であり、第2図の一点鎖線で示す理想的なフィルタの場合に較べて伝送成分が消失する。本発明では、撮像素子の空間サンプリング周波数と表示素子の空間サンプリング周波数を一致させることにより、遮断周波数fc1の低域フィルタを除外して撮像側でのサンプリング(周波数fs′)による伝送成分0〜fs′/2を全て表示素子に再現する。
このために撮像素子としてCCDを用いる場合のクロック周波数(CCDの電荷転送の周波数)と表示素子としてLCDを用いる場合のクロック周波数を等しくすればよい。
勿論、水平方向のみでなくて垂直方向に対しても撮像素子と表示素子の絵素数を等しくする。
さらに、カラー撮像とカラー表示の場合には、カラーの絵素配列を等しくすることにより忠実な色再現が可能となる。特に、カラー撮像素子の出力をNTSCのように多重化する場合に較べて著しく色信号の解像力が向上する。たゞし、撮像素子と表示素子を結ぶ伝送線は広帯域を必要とし、短距離の伝送、例えば、車輌のバックアイカメラシステムに適している。
H.発明の効果 以上説明した通り、本発明によれば、モノクロームでは、撮像素子出力の低域フィルタを除くことで表示系の再現像の水平および垂直の空間撮像度を高めて鮮鋭な画像が得られ、カラーでは、多重化を行なわないので、NTSCのような色度信号の帯域制限による解像度劣化がないという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による撮像/表示とも絵素構造を持つ際の伝送方式を図示的に示す図、第2図は画像の水平方向の走査についての映像信号の帯域の変化を示す図、第3図R>図は従来の撮像/表示系の図式図、第4図は第3図に示す系のいろいろな部分における信号波形を示す図、第5図R>図は撮像素子および表示素子における絵素構造を示す図である。
1……光入力、2……撮像素子においてサンプリングによって映像周波数fs′を持つ撮像絵素構造とすることを表わす表示、3……遮断周波数fc1の低域フィルタ、4……表示素子においてfs″の周波数で再サンプリングして表示絵素構造とすることを表わす表示、5……表示装置、6……観視者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)絵素構造の撮像手段において、所定の周波数で絵素のサンプリングを行ない、(b)絵素構造の表示手段において、上記撮像手段と同一の周波数で絵素のサンプリングを行なうことを特徴とする撮像/表示方式。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【特許番号】第2516367号
【登録日】平成8年(1996)4月30日
【発行日】平成8年(1996)7月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−141990
【出願日】昭和62年(1987)6月5日
【公開番号】特開昭63−305687
【公開日】昭和63年(1988)12月13日
【出願人】(999999999)クラリオン株式会社