説明

撮影支援システム

【課題】撮影者の意図に反することがなく、撮影対象を確実に撮影する。
【解決手段】撮影人物30に取り付けられ、撮影人物30の位置を発信する通信機31と、撮影人物30を撮影する利用者カメラ10と、利用者カメラ10にて指定された撮影予約情報をデータベースに格納し、通信機31から発信された撮影人物30の位置と、利用者カメラ10の位置情報とに基づいて、データベースに格納された撮影予約情報に応じた撮影支援情報を利用者カメラ10に送信する撮影アナウンスサーバー20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラによる撮影を支援する撮影支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラが多数出回っており、高度な技術と繊細な画像により、各家庭では、子供の運動会やイベント等の時の撮影に利用されることが多い。
【0003】
ところが、学校等では、子供の人数が多く、また、集団生活であることによって同じ服装で行動することが一般的に多く、そのため、自分の子供が何処にいるのか見分けが付きにくい。このような状況で、子供をピンポイント撮影するためには、子供の位置情報を事前に入手しておかなければならない。また、子供の位置情報を入手できた場合であっても、撮影対象である子供が移動すると、フェンダー上で動く人物を追うのは難しく、希望するアングルでの撮影はなかなか出来ない。
【0004】
このように、デジタルカメラでの動画撮影の際は、撮影する人物の位置を事前入手し、撮影場所を決定する、もしくはフェンダー上で撮影する人物をレンズの角度を変更したりして探していたので、他人物を撮影してしまうことが多くあった。また、この方法では、大勢の中にいる1人のみを撮影する場合、見つけるのに服装、顔のみでの見極めは困難である。また、遠くからの撮影は更に困難になる。
【0005】
ここで、カメラを用いた撮影において、カメラと被写体との距離等に応じて、ズームの倍率や撮影角度等をアドバイスするシステムが、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4058454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、カメラと被写体との距離等に応じて、ズームの倍率や撮影角度等をアドバイスするものであるため、撮影した画像が撮影者の意図に反したものとなってしまう虞れがある。
【0008】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、撮影者の意図に反することがなく、撮影対象を確実に撮影することができる撮影支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
撮影対象に取り付けられ、該撮影対象の位置を発信する発信機と、
前記撮影対象を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段にて指定された撮影予約情報をデータベースに格納し、前記発信機から発信された前記撮影対象の位置と、前記撮影手段の位置情報とに基づいて、前記データベースに格納された撮影予約情報に応じた撮影支援情報を前記撮影手段に送信する支援手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明においては、撮影対象の位置を発信する発信機が撮影対象に取り付けられ、撮影対象を撮影する撮影手段にて指定された撮影予約情報をデータベースに格納し、発信機から発信された撮影対象の位置と、撮影手段の位置情報とに基づいて、データベースに格納された撮影予約情報に応じた撮影支援情報を撮影手段に送信する支援手段を有する構成としたため、撮影者の意図に反することがなく、撮影対象を確実に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の撮影支援システムの実施の一形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は撮影アナウンスサーバーの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した撮影予約情報データベースの構成を示す図である。
【図3】図1に示した撮影支援システムの動作の一例を示す図である。
【図4】図1に示した撮影支援システムの全体の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示した撮影支援システムの全体の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示した撮影アナウンスサーバーから送信されてきた撮影開始準備指示に応じた利用者カメラの出力イメージを示す図である。
【図7】図1に示した撮影アナウンスサーバーから送信されてきた撮影開始準備指示に応じた利用者カメラの出力イメージを示す図である。
【図8】図1に示した撮影支援システムにおいて利用者カメラが予約情報で動作する場合の撮影開始から撮影終了までの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1に示した撮影支援システムにおいて利用者カメラが予約情報で動作する場合の撮影開始から撮影終了までの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1に示した撮影アナウンスサーバーから送信されてきた撮影支援情報に応じた利用者カメラの出力イメージを示す図である。
【図11】図1に示した撮影アナウンスサーバーから送信されてきた撮影終了指示に応じた利用者カメラの出力イメージを示す図である。
【図12】図1に示した撮影支援システムの動作の一例を示す図である。
【図13】図1に示した撮影支援システムにおいて利用者カメラが手動で操作される場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の撮影支援システムの実施の一形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は撮影アナウンスサーバー20の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示した撮影予約情報データベース22の構成を示す図である。
【0014】
本形態は図1に示すように、撮影手段である利用者カメラ10と、撮影対象となる撮影人物に取り付けられた通信機31と、支援手段である撮影アナウンスサーバー20とがネットワーク100を介して接続可能に構成されている。
【0015】
通信機31は、利用者カメラ10が撮影する撮影人物30の衣服等に取り付けられ、GPS機能付きのものであって、撮影人物30の位置を発信し、撮影アナウンスサーバー20において、撮影人物30の位置を検知して把握できるような機能を有している。
【0016】
利用者カメラ10は、撮影人物30を撮影するユーザが利用するデジタルカメラ機器である。利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20に無線を介してインターネット等のネットワーク100に接続可能に構成され、撮影人物30を撮影するユーザによって、撮影予約情報を撮影アナウンスサーバー20に送信し、また、撮影アナウンスサーバー20から送信された撮影支援情報を受信し、この撮影支援情報によってPAN/TILDやズーム等の遠隔操作が行われ、また、撮影支援情報が音声にて出力されたり、電子メールにて表示出力されたりする。また、利用者カメラ10はGPS機能を有しており、利用者カメラ10の位置情報は、撮影アナウンスサーバー20にて取得される。
【0017】
撮影アナウンスサーバー20は、処理装置21と撮影予約情報データベース22とを有している。処理装置21はサーバー等の情報処理装置であり、撮影人物30に取り付けられた通信機31の位置を常時検知して把握している。
【0018】
処理装置21は、利用者カメラ10にて指定されて送信されてきた撮影予約情報を受信すると、“予約NO”を自動採番し、図2に示すように、受信した撮影予約情報をこの予約NOに対応づけて撮影予約情報データベース22に格納する。なお、利用者カメラ10にて指定された撮影予約情報には、図2に示すように、例えば、「撮影開始時刻」、「撮影終了時刻」、「ズーム開始時刻」、「ズーム終了時刻」、「ズーム度」、「アングル変更開始時刻」、「アングル変更終了時刻」、「撮影希望アングル」等が含まれている。そして、撮影予約情報を撮影予約情報データベース22に格納した後、撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報のうち「撮影開始時刻」の一定時間前になると、利用者カメラ10に対して撮影支援情報である〈撮影開始準備指示〉を送信する。また同様に、「撮影開始時刻」になると、利用者カメラ10に対して撮影支援情報である〈撮影開始指示〉を送信する。さらに、「撮影終了時刻」になると、同様に、利用者カメラ10に対して撮影支援情報である〈撮影終了指示〉を送信する。
【0019】
また、処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報のうち「撮影開始時刻」〜「撮影終了時刻」の間に予約されている「ズーム開始時刻」になると、利用者カメラ10に対して、撮影支援情報である〈ズーム開始指示〉を送信するとともに、利用者カメラ10のズーム度を撮影予約情報データベース22に格納された〈ズーム度〉に変更する遠隔操作を行うための情報を送信する。その後、「ズーム終了時刻」になると、利用者カメラ10に対して、撮影支援情報である〈ズーム終了指示〉を送信するとともに、利用者カメラ10のズーム度を元に戻す遠隔操作を行うための情報を送信する。また、ズーム機能と同様に、撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報のうち「アングル変更開始時刻」になると、利用者カメラ10に対して、〈撮影位置変更指示〉を送信するとともに、利用者カメラ10の撮影アングルが、撮影予約情報データベース22に格納された〈撮影希望アングル〉になるように利用者カメラ10のPAN/TILDを遠隔操作し、撮影位置移動の指示を送信する。その後、「アングル変更終了時刻」になると、利用者カメラ10に対して、〈撮影位置変更終了指示〉を送信するとともに、利用者カメラ10の撮影アングルを元に戻す遠隔操作を行うための情報を送信する。
【0020】
このように、利用者カメラ10から撮影アナウンスサーバー20に撮影予約情報を予めに送信しておくことにより、利用者カメラ10にて指定された撮影予約情報を撮影アナウンスサーバー20の撮影予約情報データベース22に格納しておくことができる。そして、利用者カメラ10が、撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報によって特定される時刻に撮影開始が可能になる。利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20と無線を介してネットワーク100を介して通信可能に構成され、撮影アナウンスサーバー20からの指示に応じて音声アナウンス及び遠隔操作が可能であるため、撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報にて撮影予約した時刻になると、撮影アナウンスサーバー20から、撮影開始一定時間前、及び撮影終了時には、その旨を示す電子メールや音声アナウンスするための情報を受信し、また、撮影、ズーム、アングル変更の開始や終了時においても、その旨の指示を受信し、音声にてアナウンスすることが可能になる。さらに、撮影アナウンスサーバー20は、音声アナウンスするための情報を送信した後、撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報にて指定された時刻になると、利用者カメラ10を遠隔操作でズーム、TILD/PANにてアングル変更することができる。
【0021】
また、利用者カメラ10においては、ズーム、アングル変更を手動でも行うことができる。この場合、利用者カメラ10の操作の内容を示す操作情報が撮影アナウンスサーバー20に送信され、この操作情報が撮影予約情報データベース22に格納された撮影予約情報と比較照合され、利用者カメラ10にて現在どの操作を行っているかを調査し、その調査結果に応じたアナウンス指示を撮影支援情報として利用者カメラ10へ送信し、利用者カメラ10において、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきたアナウンス指示に応じた音声をアナウンスすることもできる。これらの操作により、利用者カメラ10は、撮影人物30の位置を無意識で確認することができ、自ら手動でカメラ設定する手間が省ける。
【0022】
以下に、上記のように構成された撮影支援システムの動作について説明する。
【0023】
図3は、図1に示した撮影支援システムの動作の一例を示す図であり、図4及び図5は、図1に示した撮影支援システムの全体の動作を説明するためのフローチャートである。
【0024】
まず、撮影対象となる撮影人物30に、予め位置が特定できるGPS機能付き通信機31を取り付ける(ステップ30−1)。なお、撮影人物30に取り付けた通信機31は、撮影アナウンスサーバー20の処理装置21において、GPSにて予め位置が把握できるように設定されている。
【0025】
利用者カメラ10は、インターネット100を介して撮影人物30を動画撮影するための事前設定を行うため、撮影予約情報(撮影開始及び終了時刻、ズーム開始及び終了時刻、ズーム度、希望アングル等)を利用者カメラ10に事前設定されている機器NO(001)とともに、撮影アナウンスサーバー20に送信する(ステップ10−1)。
【0026】
撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、機器NO(001)と撮影予約情報を受信すると(ステップ20−1)、予約NO(1)の自動採番を行い(ステップ20−2)、撮影予約情報に対応づけて撮影予約情報データベース22に格納する(ステップ20−3)。なお、撮影予約情報データベース22における“予約NO”欄は、撮影予約の受付NOであり、1つの受付予約に対して、ズーム、アングル変更は複数回(好きな回数分だけ)行うことができる。よって、複数のレコードで登録されるものと仮定する。
【0027】
撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22の“撮影開始時刻(09:00)”の一定時間前(本例においては5分前と仮定する)になると、ネットワーク100を介して、利用者カメラ10(機器NO:001)に対して〈撮影開始準備指示〉を送信する。この〈撮影開始準備指示〉の送信は、撮影開始準備を音声アナウンスで出力する旨の指示の送信と(ステップ20―4)、撮影開始準備を示す電子メールの送信とによって行われる(ステップ20−5)。
【0028】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈撮影開始準備指示〉を受信すると(ステップ10−2)、撮影開始準備を示す電子メールを画面に表示する(ステップ10−3)。
【0029】
図6及び図7は、図1に示した撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた撮影開始準備指示に応じた利用者カメラ10の出力イメージを示す図である。
【0030】
図6及び図7に示すように、利用者カメラ10においては、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈撮影開始準備指示〉を受信すると、その旨を示す案内が音声アナウンスで出力されるとともに、撮影アナウンスサーバー20から送信された電子メールが利用者カメラ10の画面に表示される。
【0031】
以下に、撮影開始から撮影終了までの動作についてパターン別に詳細に説明する。
【0032】
パターン1:<予約情報で動作する場合>
図8及び図9は、図1に示した撮影支援システムにおいて利用者カメラ10が予約情報で動作する場合の撮影開始から撮影終了までの動作を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納されている“撮影開始時刻(09:00)”の時間になると、利用者カメラ10に対して、撮影開始の音声アナウンスを出力するための〈撮影開始指示〉を送信する(ステップ20−6)。
【0034】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信された〈撮影開始指示〉を受信すると、「9時です。撮影を開始します」という音声アナウンスを出力し(ステップ10−4)、撮影アナウンスサーバー20の遠隔操作により、撮影人物30の位置を認識しながら撮影を開始する(ステップ10−5)。
【0035】
図10は、図1に示した撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた撮影支援情報に応じた利用者カメラ10の出力イメージを示す図である。
【0036】
撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納されている“アングル変更開始時刻(09:08)”になると、この“予約NO(1)”の“撮影希望アングル”が「正面」となっているので、処理装置21は、現在の利用者カメラ10の位置情報と撮影人物30の位置とをGPS機能を用いて取得し、さらに、現在の撮影人物30の向きを分析し、希望する「正面」で撮影するために、利用者カメラ10がどの位置に立てば撮影できるか撮影ポイントを計算する(ステップ20−7)。なお、この際、撮影人物30の向きの分析は、例えば、利用者カメラ10にて撮影された画像を利用者カメラ10から取得して分析し、その分析結果に基づいて行うことや、撮影人物30の位置の変化を用いて行うことが考えられる。
【0037】
そして、撮影アナウンスサーバー20は、利用者カメラ10及び撮影人物30の位置、並びにこの分析結果に基づいて利用者カメラ10の撮影位置を変更するための〈撮影位置変更指示〉を利用者カメラ10に送信し、利用者カメラ10の撮影位置を変更する音声アナウンスを出力するように指示を行う(ステップ20−8)。
【0038】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈撮影位置変更指示〉に基づいて、「撮影アングルを“正面”にしますので、右に10M移動して下さい」等と、撮影位置が正面になるまで音声アナウンスを出力し、また、撮影アナウンスサーバー20の遠隔操作により、撮影人物30の位置を自動認識し、再び撮影を続ける(ステップ10−6)。
【0039】
撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納された“アングル変更終了時刻(09:10)”になると、利用者カメラ10の撮影位置を元に戻すための〈撮影位置変更終了指示〉を利用者カメラ10に送信し、利用者カメラ10の撮影位置を元に戻す音声アナウンスを出力するように指示を行う(ステップ20−9)。
【0040】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈撮影位置変更終了指示〉に基づいて、「撮影アングルを元に戻します」という音声アナウンスを出力し、撮影アナウンスサーバー20の遠隔操作により、撮影人物30の位置を自動認識し、再び撮影を続ける(ステップ10−7)。
【0041】
また、撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納された“ズーム開始時刻(09:15)”になると、利用者カメラ10のズームを変更するための〈ズーム開始指示〉を利用者カメラ10に送信し、利用者カメラ10のズームを変更する旨の音声アナウンスを出力するように指示を行う(ステップ20−10)。
【0042】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈ズーム変更指示〉に基づいて、「ズームを1.5倍に変更します」という音声アナウンスを出力するとともに、撮影アナウンスサーバー20の遠隔操作によってズームを1.5倍に変更し、撮影人物30の位置を自動認識して再び撮影を続ける(ステップ10−8)。なお、この遠隔操作は、利用者カメラ10内に設けられた自動ズーム機能を用いて行われる。利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈ズーム変更指示〉を受信すると、その〈ズーム変更指示〉に応じて自動ズーム機能が動作し、ズームが変更されることになる。
【0043】
撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納された“ズーム終了時刻(09:30)”になると、利用者カメラ10に対して、利用者カメラ10のズームを元に戻すための〈ズーム終了指示〉を利用者カメラ10に送信し、利用者カメラ10のズームを元に戻す音声アナウンスを出力するように指示を行う(ステップ20−11)。
【0044】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈ズーム終了指示〉に基づいて、「ズームを終了します」という音声アナウンスを出力するとともに、撮影アナウンスサーバー20の遠隔操作によってズームを元に戻し、撮影人物30の位置を自動認識して再び撮影を続ける(ステップ10−9)。
【0045】
その後、撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納された“撮影終了時刻(10:00)”の時間になると、利用者カメラ10に対して、撮影終了の音声アナウンスを出力するための〈撮影終了指示〉を送信するとともに(ステップ20−12)、撮影終了を電子メールにて通知する(ステップ20−13)。
【0046】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈撮影終了指示〉と電子メールを受信すると(ステップ10−10)、「10時です。撮影を終了します」という音声アナウンスを出力し(ステップ10−11)、撮影アナウンスサーバー20の指示に従って撮影を終了し(ステップ10−12)、その旨の画面表示を行う(ステップ10−13)。
【0047】
図11は、図1に示した撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた撮影終了指示に応じた利用者カメラ10の出力イメージを示す図である。
【0048】
パターン2:<予約通り+一部手動の場合>
図12は、図1に示した撮影支援システムの動作の一例を示す図であり、図13は、図1に示した撮影支援システムにおいて利用者カメラ10が手動で操作される場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0049】
パターン1において、ステップ20−10とステップ20−11との間に、予約外で手動にて撮影アングルを変更する場合(09:17に操作を行う場合)を例に挙げて説明する。
【0050】
ステップ20−10とステップ20−11との間はズーム中なので、この動作中に手動で撮影位置や撮影角度を変更することになる。利用者カメラ10を手動で操作した場合は、利用者カメラ10は手動で行った操作内容と操作時刻とを示す操作情報を、その操作をする都度、撮影アナウンスサーバー20へ送信する(ステップ10−14)。
【0051】
撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、利用者カメラ10から送信されてきた操作内容と操作時刻とを示す操作情報を受信すると(ステップ20−14)、受信した操作情報と、撮影予約情報データベース22に格納された“ズーム開始時刻〜ズーム終了時刻”及び“アングル変更開始時間〜アングル変更終了時刻”とを比較し、操作時刻はどの動作を行っているかを照合する(ステップ20−15)。
【0052】
本例においては、ズーム中の時間(09:17)に手動操作を行っているので、撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、利用者カメラ10に対して、〈操作変更指示〉を送信し、操作変更を示す音声アナウンスを出力するように指示する(ステップ20−16)。
【0053】
利用者カメラ10は、撮影アナウンスサーバー20から送信されてきた〈操作変更指示〉を受信すると、「現在はズーム中です。角度を○○に変更致します」という音声アナウンスを出力し(ステップ10−15)、手動で変更した動作のまま撮影を継続する(ステップ10−16)。
【0054】
再び、撮影アナウンスサーバー20の処理装置21は、撮影予約情報データベース22に格納された“ズーム終了時刻(09:30)”になると、ステップ20−11に移行して上記同様の処理を行い、“撮影終了時刻(10:00)”になると、ステップ20−12に移行して上記同様の動作を行って撮影を終了する。
【0055】
本例では、手動で撮影角度の変更操作を行うことについて詳細に記載したが、これ以外の手動動作(「ズーム」、「撮影中止」等)についても、パターン2と同様に、撮影アナウンスサーバー20から利用者カメラ10に対して〈操作変更指示〉を送信し、利用者カメラ10においてその都度音声アナウンスを出力することになる。
【0056】
上記のように、撮影アナウンスサーバー20と利用者カメラ10との連携処理により、予め指定されたアングルにて動画を撮影できるように音声アナウンスが利用者カメラ10から出力されたり、GPSにより運動会等の混雑なイベント時等でも、GPSと追尾機能により自動で撮影人物30を追尾するので、利用者カメラ10が自ら撮影人物30を探し出しピントを合わせることも不要である。また、ズ−ムや撮影アングルも事前に予約することができ、また、一部手動でも利用者カメラ10を操作することができるので、好きな時間帯で、好みの撮影が可能である。
【0057】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、撮影アナウンスサーバー20が、撮影人物30に取り付けているGPS機能付き通信機等の通信機31にて撮影人物30の位置を把握し、利用者カメラ10にて位置を指示して遠隔操作をして撮影しているが、このような通信機31の代わりに、利用者カメラ10が受信する発信機を撮影人物30に取り付けることにより、撮影アナウンスサーバー20を介することなく、利用者カメラ10のみでも撮影人物30の位置を追尾しながらの撮影は可能になる。この場合、撮影予約は撮影アナウンスサーバー20上ではなく、利用者カメラ10本体のみで行わなければならない。このような機能を利用者カメラ10に追加することによっても、上記の構成を実現することができる。
【0058】
本形態は上述したように構成され、動作するため、下記のような効果を奏する。
【0059】
(1)撮影アナウンスサーバー20において、利用者カメラ10が撮影する撮影人物30の位置を特定し、利用者カメラ10を遠隔操作して撮影することが可能になることにより、利用者カメラ10において撮影人物30の位置を常に把握でき追尾にて撮影することができる。
【0060】
(2)撮影予約をすることにより、利用者カメラ10を実際に手動で操作することもなく、撮影開始及び終了、ズーム、アングル修正指示が音声や遠隔操作にて行われることになり、撮影忘れが無くなる。
【0061】
(3)撮影アナウンスサーバー20において通信機31を用いて撮影人物30の位置を特定し、遠隔操作により撮影人物30を撮影するので、撮影人物30を探す必要がなくなり、撮影人物の間違いがなくなる。
【0062】
(4)利用者カメラ10から出力される音声アナウンスによって、所望のアングルでの撮影ができるように移動位置が指示されるので、撮影画面を見ないでの移動も可能である。またその場合においても、撮影アナウンスサーバー20による遠隔操作により、撮影人物を見失わないで、撮影を上手に継続することができる。
【0063】
また、本形態においては、利用者カメラ10にて撮影された画像は、利用者カメラ10内の記録媒体に格納されるが、利用者カメラ10が撮影アナウンスサーバー20とネットワーク100を介して接続可能なため、利用者カメラ10にて撮影された画像を撮影アナウンスサーバー20へ送信することもできる。それにより、利用者カメラ10にて撮影された画像を撮影者が自ら編集して記録媒体へ格納することも可能であるが、更に画像編集用の業者に撮影データを送信することもできるので、業者側で画像編集することも可能になる。その場合、利用者側も画像編集の手間がなくなり、業者側での利益も発生する。
【0064】
また、本形態においては、利用者カメラ10として、通常個人にて利用しているデジタルカメラを用いているが、この技術を用いれば、各施設で設置しているWEBカメラを用いることも可能となる。この場合、撮影アナウンスサーバー20とWEBカメラとの通信が行われるようになる。この技術が実現すれば、カメラを持参しなくても撮影が可能になると考えられる。
【符号の説明】
【0065】
10 利用者カメラ
20 撮影アナウンスサーバー
21 処理部
22 撮影予約情報データベース
30 撮影人物
31 通信機
100 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象に取り付けられ、該撮影対象の位置を発信する発信機と、
前記撮影対象を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段にて指定された撮影予約情報をデータベースに格納し、前記発信機から発信された前記撮影対象の位置と、前記撮影手段の位置情報とに基づいて、前記データベースに格納された撮影予約情報に応じた撮影支援情報を前記撮影手段に送信する支援手段とを有する撮影支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影支援システムにおいて、
前記支援手段は、前記撮影支援情報を用いて前記撮影手段を遠隔操作する撮影支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮影支援システムにおいて、
前記撮影手段は、前記支援手段から送信されてきた撮影支援情報を音声にて出力する撮影支援システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮影支援システムにおいて、
前記撮影手段は、前記支援手段から送信されてきた撮影支援情報を表示出力する撮影支援システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮影支援システムにおいて、
前記撮影手段は、前記支援手段から送信されてきた撮影支援情報とは異なる操作が行われた場合、当該操作情報を前記支援手段に送信し、
前記支援手段は、前記撮影手段から送信されてきた操作情報に応じた撮影支援情報を前記撮影手段に送信する撮影支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の撮影支援システムにおいて、
前記支援手段は、前記撮影手段から送信されてきた操作情報と、前記データベースに格納された撮影予約情報とを比較し、該比較結果に応じた撮影支援情報を前記撮影手段に送信する撮影支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−66768(P2011−66768A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216925(P2009−216925)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】