撮影条件生成装置、撮像装置および撮影条件生成プログラム
【課題】ユーザの撮影意図を反映させた撮影条件を設定する。
【解決手段】撮影条件生成装置であって、ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出部と、抽出された撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成部とを備える。上記撮影条件生成装置は、現在の環境情報を取得する取得部を備え、生成部は、取得部が取得した現在の環境情報に基づいて撮影条件を生成する。
【解決手段】撮影条件生成装置であって、ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出部と、抽出された撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成部とを備える。上記撮影条件生成装置は、現在の環境情報を取得する取得部を備え、生成部は、取得部が取得した現在の環境情報に基づいて撮影条件を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮影条件生成装置、撮像装置および撮影条件生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いったん撮影した撮影画像をユーザが削除した場合に、削除された画像の撮影条件を評価して以降の撮影条件に反映させる撮像装置がある(特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009−218932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮像装置における撮影条件は撮影環境に応じて様々に設定される。このため、削除画像の撮影条件を総合的に評価しても、評価を反映した撮影条件が効果的に改善されるとは限らなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく、本発明の第一態様として、ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出部と、抽出された撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成部とを備える撮影条件生成装置が提供される。
【0005】
また、本発明の第二態様として、上記撮影条件生成装置を含む撮像装置であって、生成部により生成された撮影条件により撮影を実行する制御部を備える撮像装置が提供される。
【0006】
更に、本発明の第三態様として、ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出ステップと、抽出された撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成ステップとをコンピュータに実行させる撮影条件生成プログラムが提供される。
【0007】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これら特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】カメラシステム1の模式的断面図である。
【図2】カメラシステム1のブロック図である。
【図3】カメラシステム1の背面図である。
【図4】背面モニタ21の表示内容を示す図である。
【図5】画像ファイル50の構造を示す図である。
【図6】本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。
【図7】失敗回避設定ファイルのデータ構造を示す模式図である。
【図8】失敗回避設定算出モジュールの動作手順を示す流れ図である。
【図9】本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。
【図10】本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。
【図11】本体CPU27の他の制御手順を示す流れ図である。
【図12】削除履歴テーブルの構造を模式的に示す図である。
【図13】本体CPU27の他の制御手順を示す流れ図である。
【図14】制御プログラムを実行するコンピュータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、一眼レフカメラであるカメラシステム1の模式的断面図である。カメラシステム1は電子装置の一例であり、カメラ本体2および撮影レンズ3を含む。撮影レンズ3は、カメラ本体2に対して交換可能に装着される。
【0011】
撮影レンズ3は、レンズCPU7、フォーカスレンズ、ズームレンズおよび防振レンズを含むレンズ群4、絞り5、カメラシステム1の振れを検出する角速度センサ6、レンズ群4を駆動する図示していない駆動装置等を備える。角速度センサ6は、少なくとも光軸に直交する2軸周りの角速度を検出する。
【0012】
駆動装置は、例えば振動波モータ、VCMにより構成される複数のモータを有し、フォーカスレンズを光軸方向に駆動する。また、防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動する。レンズCPU7は、撮影レンズ3の全体を制御すると共に、カメラ本体2と協働するレンズCPU7を有する。
【0013】
カメラ本体2は、メインミラー10を備える。メインミラー10は、撮影レンズ3からの光束を反射してファインダ光学系8に導く反射位置と、撮影レンズ3からの光束がCCDまたはCMOSなどから構成される撮像素子9に入射するように退避する退避位置との間で揺動する。
【0014】
カメラ本体2において、メインミラー10の一部の領域は半透過領域となっており、半透過領域を透過した光束を焦点検出センサ11へ反射するサブミラー12が配される。サブミラー12は、メインミラー10に連動して揺動し、メインミラー10が退避位置をとるときには、サブミラー12も光束から退避する。焦点検出センサ11は、位相差方式により入射する光束の焦点状態を検出する。
【0015】
反射位置にあるメインミラー10で反射された光束は、焦点板13、ペンタプリズム14を介してファインダ光学系8へ導かれる。ファインダ光学系8は複数のレンズを含み、ユーザはファインダ光学系8により被写界を確認できる。
【0016】
ペンタプリズム14を透過する光束の一部は測光センサ15に導かれる。測光センサ15は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより、被写界の輝度分布を計測する。また、ペンタプリズム14の上方にはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)モジュール16を備える。
【0017】
さらに、カメラ本体2は、撮影レンズ3のマウント部近傍で撮影レンズ3と干渉しない位置に、被写界の音を録音するマイクロフォン17を備える。また、カメラ本体2は、ファインダ光学系8の近傍に、ビープ音などを発するスピーカ18を備える。
【0018】
メインミラー10が退避位置にあるとき、撮影レンズ3からの光束は、ローパスフィルタ19を介して撮像素子9に入射する。撮像素子9の背後には、撮像基板20が設けられ、撮像基板20の更に後方には外部に面して背面モニタ21が設けられる。
【0019】
図2は、本実施形態に係るカメラシステム1のブロック図である。図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0020】
本体CPU27は、レンズCPU7と協働してカメラシステム1の全体を制御する。本体CPU27に接続された撮像基板20は、撮像素子9を駆動する駆動部23、撮像素子9の出力をデジタル信号に変換するA/D変換部24、ASICで構成される画像処理部25および撮像素子9からの信号の高周波成分を抽出するコントラストAF回路26などを有している。
【0021】
画像処理部25は、デジタル信号に変換された画像信号に対してホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、階調調整などの画像処理を施すと共に、JPEGなどの画像圧縮を行って画像ファイルを生成する。生成された画像ファイルは、二次記録媒体34に記憶される。二次記録媒体34は、カメラ本体2に対して着脱可能なフラッシュメモリなどの記録媒体であっても良いし、カメラ本体2に内蔵されるSSD(Solid State Drive)などの記録媒体であっても良い。
【0022】
画像処理を施された画像信号は、背面モニタ制御部28の制御により、背面モニタ21に表示される。撮影直後に撮影された画像信号を所定時間表示すれば、二次記録媒体34に記録された画像ファイルに対応する画像をユーザに視認させることができる。
【0023】
また、撮像素子9が光電変換する被写体像を二次記録媒体34に格納することなく背面モニタ21に表示し続ければライブビュー表示ができる。ライブビュー表示している場合は、被写界の映像が背面モニタ21に表示される。
【0024】
さらに、撮像素子9が連続的に光電変換する被写体像を二次記録媒体34に連続的に記録すれば動画撮影ができる。この場合、記録される動画ファイルは、画像処理部25によりMPEG、H.264などに動画圧縮処理されている。また、動画撮影をする場合は、マイクロフォン17で音声も併せて記録できる。動画撮影により生成される動画像のフレームレートは、複数のフレームレートから、例えば30fpsなどと設定される。
【0025】
コントラストAF回路26は、撮像素子9からの撮像信号の高周波成分を抽出してAF評価値信号を生成し、AF評価値信号が最大になるフォーカスレンズ位置を検出する。検出されたAF評価値信号は、本体CPU27に参照される。
【0026】
レンズCPU7は、撮影レンズ3内の防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動して、角速度センサ6で検出した手振れを打ち消す光学式手振れ補正機能を有する。一方、カメラ本体2も、画像処理部25から出力された複数枚の画像間の動きベクトルを算出して、画像読み出し位置を変化させることにより画像間の動きベクトルをキャンセルする電子式手振れ補正機能を備える。光学式手振れ補正は静止画撮影に好適であり、電子式手振れ補正は動画撮影に好適である。
【0027】
測光センサ15は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光して被写界の輝度分布を計測する。計測結果は本体CPU27に参照される。本体CPU27は、選択された測光モードに応じて露出値を算出する。測光モードは、明るい部分と暗い部分のバランスを取る分割測光モード、画面中央を適正露出とする中央重点測光モード、選択したフォーカスポイントの狭領域を適正露出とするスポット測光モードなどから選択できる。
【0028】
カレンダ部54は、水晶発振子、計時用集積回路等を有しており、年月日時分秒といったカレンダ情報を生成する。本体CPU27は、カレンダ部54から日にちおよび時間に関する情報を取得できる。
【0029】
GPSモジュール16は、GPS衛星からのGPS信号を受信してカメラ本体2が存在している緯度、経度、高度情報を算出する。本体CPU27は、GPSモジュール16からカメラ本体2の位置に関する位置情報を取得する。なお、GPS信号は高精度な時間情報を含むので、GPSモジュール16が受信したGPS信号からカレンダ部54を較正することもできる。
【0030】
フラッシュROM29は、EEPROM(登録商標)を含み、カメラシステム1を動作させるプログラムのほか、各種調整値、設定値を格納する。具体的には、AF調整データ、AE調整データ、製造時の年月日時間データ、設定スイッチの設定履歴などの設定値を格納する。また、フラッシュROM29は、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の使用履歴等も記憶する。更に、フラッシュROM29は、後述する削除履歴ファイル、失敗回避設定ファイルも格納する。
【0031】
フラッシュROMに格納する設定値のうち、ユーザが設定または変更する設定値は、背面モニタ21に表示する設定画面のメニュー項目として用意されている。更に、フラッシュROM29は、後述するように、削除された画像の撮影条件を含む削除履歴の蓄積、失敗回避設定の格納も担う。
【0032】
RAM30は、本体CPU27が高速にアクセスできるDRAMなどの高速RAMであり、フラッシュROM29に記憶されたプログラムが展開される。また、本体CPU27が高速にアクセスできるように、頻繁に参照される調整値、設定値などがフラッシュROM29からRAM30にコピーされる場合もある。
【0033】
失敗回避設定算出モジュール55は、フラッシュROM29に格納された削除履歴から、後述する失敗回避設定を算出して生成する。また、失敗回避設定算出モジュール55は、算出した失敗回避設定をフラッシュROM29に書き込んで蓄積する。なお、失敗回避設定については後述する。
【0034】
背面モニタ制御部28は、画像処理された撮影画像の他、フラッシュROM29から読み出したメニュー設定画面およびユーザガイド画面を背面モニタ21へ表示する。背面モニタ21は、表面にタッチパネルセンサが積層される。ユーザは、背面モニタ21に表示されるメニュー項目等を視認しつつタッチパネルセンサを操作できる。タッチパネルセンサから入力された指示は本体CPU27に参照される。
【0035】
方位センサ33は地磁気センサを有し、カメラシステム1がどの方向を向いているかを検出する。IP通信部31は、インターネットプロトコルによるネットワーク接続部と、ネットワーク上から情報を取得するプログラムとを有する。これにより、IP通信部31は、イベントの開催される日時、場所等を含むイベント情報をネットワークを介して取得する。
【0036】
レリーズスイッチ32は、ユーザがカメラシステム1に対して撮影のタイミングを指示する場合に押される。ユーザがレリーズスイッチ32を半押しすると、本体CPU27は、オートフォーカス、測光などの撮影準備動作が実行される。ユーザが更にレリーズスイッチ32を全押しすると、本体CPU27は、静止画撮影または動画撮影を開始する。
【0037】
図3は、カメラ本体2の背面図である。他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0038】
カメラ本体2の背面中央には、ファインダ光学系8の後端および背面モニタ21が配される。背面モニタ21の側方には、背面ダイヤル35、十字ボタン36、決定ボタン37、再生モードボタン38、削除ボタン39、確認ボタン40等が配される。
【0039】
カメラ本体2は、再生モードボタン38が押された場合に再生モードで動作する。再生モードにおいては、二次記録媒体34に格納された撮影画像データが背面モニタ21に表示される。この状態で背面ダイヤル35を回転させることにより、背面モニタ21に表示される撮影画像が順次切り替わる。このように、背面ダイヤル35は、画像を選択する選択部を形成する。
【0040】
再生モードであって背面モニタ21にある画像が表示されている場合に削除ボタン39が押されると、表示されていた画像を二次記録媒体34から削除できる。ただし、一動作で画像削除が完了すると、誤操作により撮影画像データが削除される場合がある。そこで、削除ボタン39に続いて確認ボタン40が押された場合に削除が実行される。
【0041】
なお、十字ボタン36は、上下左右の4箇所に個別にオン/オフするスイッチを有する。これにより、例えば、背面モニタ21に二次元的に配置された画像または選択肢を選択する場合に十字ボタン36を使用できる。また、十字ボタン36に含まれる4つのスイッチに、一時的に個別の機能を割り当てる場合もある。
【0042】
決定ボタン37は、十字ボタン36により選択した選択肢等を決定旨の指示を入力する場合に押される。これにより、確認ボタン40の場合と同様に、一動作で何らかの動作が確定することを防止している。
【0043】
図4は、カメラ本体2が再生モードになった場合に、背面モニタ21に表示される表示画像のひとつを例示する図である。図示の例では、背面モニタ21に、複数の撮影画像データに対応する複数の縮小画像49が表示されている。複数の縮小画像49は、例えば図中の一点鎖線で示すように撮像順に配列される。
【0044】
背面モニタ21に表示された複数の縮小画像49に対して、ユーザは背面ダイヤル35を操作することにより、図中に点線で示す選択枠43を、図中に一点鎖線で示す撮影順に移動させる。これにより、ひとつの縮小画像49に対応した撮影画像データが特定される。この状態で削除ボタン39を押すことにより、その縮小画像49に対応した撮影画像データの削除が指示される。
【0045】
背面モニタ21において、上記のようにしてユーザから削除を指示された画像データA〜Eの縮小画像49には、図中に実線で示すように表示形態が変化した選択枠43が各々に付加される。更に、ユーザが、削除すべき撮影画像データA〜Fを全て特定した後に確認ボタン40を押すと、撮影画像データが削除される。このように、ユーザは、選択した縮小画像49に対応する撮影画像データA〜Fを一括して削除できる。
【0046】
なお、上記の例では、背面モニタ21に複数の縮小画像49を表示させて、削除する画像を複数指定する例を示した。しかしながら、細部を確認しながら削除すべき画像を特定できるように、背面モニタ21全体にひとつの画像を表示するようにしてもよい。この場合は、例えば、画像毎に削除ボタン39および確認ボタン40を押して、撮影画像データをひとつずつ削除する。
【0047】
図5は、カメラシステム1で生成される画像ファイル50の構造を示す図である。画像ファイル50は、タグデータ51、サムネイル画像データ52および本画像データ53を格納する。
【0048】
本画像データ53は、カメラシステム1により撮影された撮影画像データに相当する。サムネイル画像データ52は、本画像データ53よりも解像度、階調等が低く、データサイズが小さい。よって、画像一覧等を表示する場合に容易に取り扱うことができる。
【0049】
タグデータ51は、カメラシステム1の仕様、撮影条件等を格納する。カメラシステム1に対して画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式で保存することを指示した場合、本画像データ53にタグデータ51およびサムネイル画像データ52が付加されてEXIFファイルとして保存される。
【0050】
タグデータ51には、本画像データ53を撮影したカメラシステム1のメーカ、仕様、ファームウエアの版数、開放F値等の情報が記録される。また、EXIFファイルには、当該画像を撮影したときの露出時間、F値、ISO値、焦点距離、撮影日時等の撮影情報が記録される。更に、EXIFファイルには、カメラシステム1のカレンダ部54、方位センサ33、GPSモジュール16、IP通信部31等が検出した日時、姿勢、方位、位置、イベント等に関する付加情報も記録される。
【0051】
上記タグデータ51に記録された様々な情報は、静止画または動画を撮影する場合にカメラシステム1に設定される露出時間、ISO値等の撮影設定情報と、撮影設定値としては用いられないが、カメラシステム1の撮影日時、方位、位置等を示す撮影環境情報とに大別できる。
【0052】
よって、二次記録媒体34にEXIF形式で記録された画像ファイル50からは、画像ファイル50に含まれる本画像データ53自体の他に、当該本画像データ53を撮影したときの撮影環境情報および撮影設定情報を読み出すことができる。従って、本体CPU27は、画像ファイル50が削除対象として指定された場合に、当該画像ファイルに含まれる撮影環境情報および撮影設定情報を抽出できる。
【0053】
図6は、画像データの削除に係る本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。十字ボタン36および決定ボタン37等を用いたユーザの操作により撮影画像に対して削除が指示された場合に、本体CPU27は図6に示す制御手順を開始する。
【0054】
本体CPU27は、まず、削除が指定された撮影画像の画像ファイル50のタグデータ51から、当該撮影画像を撮影したときの撮影設定情報と撮影環境情報とを含む削除画像データを読み込む(ステップS101)。次に、本体CPU27は、読み込んだ削除画像データを、フラッシュROM29に形成された削除履歴ファイルに順次追加して書き込む(ステップS102)。
【0055】
削除画像データに含まれる撮影設定情報は、当該削除画像についてカメラシステム1が適正な設定値として算出した算出Ev値と、撮影に当たってユーザが設定した露光補正量を含んでいてもよい。また、カメラシステム1が適正な設定値として算出した色温度と、撮影のときに色温度に対してユーザが設定した補正値を含んでもよい。
【0056】
削除画像データの撮影環境情報は、撮影日時、撮影場所、撮影方位、撮影時の天候の他、被写体に人物が含まれるか否かの情報を含んでもよい。また、撮影環境情報は、撮影時にIP通信部31を通じて取得していたイベント情報等も含んでよい。換言すれば、本体CPU27は、撮影環境情報として取得したい情報を、タグデータ51の付加情報として画像ファイル50に記録しておくことが好ましい。
【0057】
次に、本体CPU27は、失敗回避設定算出モジュール55に、失敗回避設定を算出させる(ステップS103)。失敗回避設定は、削除画像データが撮影環境情報として有する撮影環境において、ユーザが当該画像データを削除した理由と考えられる撮影設定を回避すべく算出される、当該撮影環境に適した撮影設定である。失敗回避設定の算出手順については、他の図を参照して後述する。
【0058】
続いて、本体CPU27は、失敗回避設定を算出された削除画像データの撮影環境情報を読み込んで、失敗回避設定ファイルに同じ撮影環境情報を有する失敗回避設定が記録されているか否かを調べる(ステップS104)。ここで、失敗回避設定ファイルは、フラッシュROM29に記録されて、複数の失敗回避設定を規定したファイルを意味する。
【0059】
図7は、失敗回避設定ファイルのデータ構造を例示する模式図である。失敗回避設定ファイルは、撮影環境情報に応じて分類した状態で、撮影設定情報に関する失敗回避設定を規定する。
【0060】
撮影環境情報は、既に説明した通り、撮影日時、撮影場所、撮影方位、天候情報、人物、シーンモード、イベント情報等、多くの項目を有する。よって、失敗回避設定ファイルにおいて、それぞれの失敗回避設定は複数の撮影環境情報、即ち、図示の例では時間と季節によりマトリックスをなす撮影環境テーブルに規定される。
【0061】
このように、失敗回避設定算出モジュール55は、算出した失敗回避設定を、撮影環境情報によって分類して蓄積する。なお、図7は模式図に過ぎず、失敗回避設定はより多くの種類の撮影環境情報により分類されてもよい。その場合、上記失敗回避設定を規定したテーブルの次元が高くなる。
【0062】
再び図6を参照すると、ステップS104において、共通の撮影環境情報を有する失敗回避設定が失敗回避設定ファイルに既に規定されていた場合、(ステップS104:NO)、失敗回避設定算出モジュール55は、既に規定されていた失敗回避設定を、算出した新しい失敗回避設定で上書きして保存する(ステップS105)。
【0063】
一方、算出した失敗回避設定に対応する撮影環境情報が、失敗回避設定ファイルに規定されていない場合(ステップS104:YES)、失敗回避設定算出モジュール55は、既に規定されている失敗回避設定を残したまま、算出された新しい失敗回避設定を、失敗回避設定ファイルに新規に規定する(ステップS107)。更に、本体CPU27は、失敗回避設定が保存された削除画像データを削除履歴ファイルから削除して制御を終了する(ステップS106)。
【0064】
図8は、失敗回避設定の算出に関する本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。図示の制御手順は、図6に示した制御手順のステップS103において実行される。
【0065】
失敗回避設定算出モジュール55は、まず、削除履歴ファイルに書き込まれた削除画像データのうち、撮影設定情報を順次読み込む。そして、失敗回避設定算出モジュール55は、ステップS202で、読み込んだ撮影設定情報における撮影設定値から、基準となるカメラ適正値を算出し、このカメラ適正値と実際に撮影時に適用された撮影設定とを比較する。カメラ適正値とは、例えば、予め設定された基準となるプログラム線図に沿って露出値を算出した場合の露出値など、標準的な設定値である。つまり、ステップS202では、カメラシステム1が適正値とする設定値と、削除された画像データの設定値を比較する。
【0066】
そして、ステップS203で、失敗回避設定算出モジュール55は、比較して得た差分を頻度分布としてリスト化する。上記ステップS201〜ステップS203は、フラッシュROM29の削除履歴から削除画像データが無くなるまで(ステップS204:YES)繰り返される(ステップS204:NO)。
【0067】
削除履歴から削除画像データが無くなると(ステップS204:YES)、失敗回避設定算出モジュール55はループを抜けて、リスト化された頻度分布から、撮影設定値の補正値を算出する(ステップS205〜S207)。補正値の算出は、統計処理によって実行される。具体的には、ステップS205で、失敗回避設定算出モジュール55は、削除履歴として、頻度の少ない値の区間[a,b]を算出する。頻度の少ない値の区間[a,b]は、2つの極大値a、bに挟まれた区間として定義される。そして、ステップS206において失敗回避設定算出モジュール55は、区間[a,b]のうち、最も削除履歴の少ない、即ち、最も頻度の低い値差cを算出する。そして、値cを区間[a,b]における補正値として設定する。
【0068】
例えば、特定の測光モードを基準とした場合に、削除された画像データの露出値が何段分の差を持つかを頻度分布としてリスト化できる。例えば、1/3段ごとに設定された区間において、+1/3段と−1段とに極大値があれば、この区間において削除履歴の最も少ない、例えば−1/3段の補正値が設定される。設定された露出値は、シャッタスピードが固定された場合には絞り値の調整値として用い、絞り値が固定された場合にはシャッタスピード調整値として適用される。
【0069】
上記のような制御手順は、露出値に限らず様々な撮影設定に対して適用され得る。例えば、コントラストの強弱、彩度の強弱、フォーカスポイントの前後、ズーミングの大小等を撮影設定値のひとつとして取り扱ってもよい。このように、失敗回避設定算出モジュール55は、削除画像データから抽出された撮影環境情報に基づいて、カメラシステム1における撮影設定値の補正値を生成する。
【0070】
なお、失敗回避設定算出モジュール55は、削除されなかった撮影画像の画像ファイルからも情報を取得してもよい。即ち、削除されなかった画像の枚数を勘案して、撮影枚数に対する削除画像データの枚数で頻度を置き換えることにより、撮影画像を削除したユーザの意図を反映した、より精度の高い失敗回避設定を算出できる。
【0071】
また、カメラシステム1の稼働時間あるいは撮影枚数および削除枚数が少ない段階では、IP通信部31を通じて、他のカメラシステム1または電子機器から失敗回避設定を取得してもよい。ただし、ユーザ固有の傾向は反映され難くなるので、カメラシステム1で生成された失敗回避設定を重視しつつ、外部から導入された失敗回避設定を参照するように、失敗回避設定の由来に応じて失敗回避設定に重み付けをしてもよい。
【0072】
図9は、失敗回避設定を利用して撮影を実行する場合の本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。撮影は、ユーザがレリーズスイッチ32を押し下げた場合にカメラシステム1において実行される。
【0073】
カメラシステム1において撮影が開始されると、本体CPU27は、撮影環境に関する撮影環境情報を取得する(ステップS301)。次に、本体CPU27は、フラッシュROM29に格納された失敗回避設定ファイルから、取得した撮影環境情報と共通する撮影環境情報に対応した失敗回避設定を読み込む(ステップS302)。
【0074】
読み込まれた失敗回避設定は、この撮影における撮影設定値としてカメラシステム1に設定され(ステップS303)、カメラシステム1は、当該撮影設定の下に撮像素子9を露光して撮影を実行する(ステップS304)。このように、カメラシステム1の本体CPU27は、失敗回避設定算出モジュール55が生成した失敗回避設定を撮影設定値として撮影を実行する。カメラシステム1により撮影された撮影画像は、撮影設定情報と共に、撮影環境情報も併せて記録された画像ファイル50として二次記録媒体34に記録される(ステップS305)。こうして、撮影に係る本体CPU27の制御手順が終了する。
【0075】
このように、カメラシステム1は、撮影環境情報に対応した失敗回避設定を適用して撮影するので、カメラシステム1が算出した撮影設定値がユーザの好みの設定値である可能性が高く、ユーザは削除すべき画像を撮影することが少なくなる。また、失敗回避設定は撮影環境情報に応じて使い分けられるので、例えば、白とびを避けたい夏の海の撮影と、多少の白とびを許容できる冬の雪山の撮影など、さまざまな撮影環境状況において、それぞれ適切な失敗回避設定を適用できる。
【0076】
なお、カメラシステム1には、ユーザが希望しない場合に、失敗回避設定の読み込みを禁止する設定を設けてもよい。また、カメラシステム1の動作モードがマニュアル撮影等に設定された場合には、失敗回避設定の読み込みを自動的に控えてもよい。
【0077】
図10は、カメラシステム1による撮影において撮影環境情報を取得する場合について、本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。すなわち、図9におけるステップS301の具体的な処理を示す。撮影環境情報を取得する場合、本体CPU27は、カレンダ部54から撮影日時に関する日時情報を取得する(ステップS401)。日時情報は、GPSモジュール16が受信したGPS信号を参照することにより、高精度に較正できる。
【0078】
また、本体CPU27は、GPSモジュール16から、緯度情報、経度情報および高度を含む位置情報を取得する(ステップS402)。このとき、GPSモジュール16から、高精度な時間情報も併せて取得してもよい。更に、本体CPU27は、IP通信部31を通じて、天候情報を取得する(ステップS403)。更に、本体CPU27は、IP通信部31を通じて、地図情報(ステップS404)も取得する。
【0079】
このように、カメラシステム1において、本体CPU27は、日時情報、位置情報、天候情報および地図情報等の環境情報を取得する要素を有して環境情報を取得する。更に、本体CPU27は、これらの情報を総合的に勘案して、撮影環境情報を生成する(ステップS406)。例えば、日時情報および位置情報を合わせて取得することにより、撮影環境が朝方、昼間、夕方、夜間のいずれの時間帯に分類されるかを判定できる。また、日の出および日の入りの時間帯は光線状態が特殊なので、独立した撮影環境として分類としてもよい。このように、本体CPU27は、収集した環境情報から失敗回避設定を保存する場合に関連付ける撮影環境情報を生成する。
【0080】
また、天候情報を併せて判定することにより、被写界の色温度が曇天のものであったか晴天のものであったかが判る。更に、地図情報を併せることにより、撮影位置が何らかの施設内であるか、屋外であるかを判定して分類できる。また更に、海、山等の特定の環境であるか否かも判定できる。カメラシステム1に、他のセンサを設けて、より多くの撮影環境情報を収集してもよい。このように、収集する環境情報の項目を増やせば、失敗回避設定ファイルでマトリックス状に定義する撮影環境情報の分類を細分化することができ、より具体的な環境に精度良く対応することができる。
【0081】
なお、カメラシステム1にブラケッティングモードが設定された場合に、本体CPU27は、失敗回避設定の補正値cを中心として、範囲[a,b]で撮影設定値を変化させてもよい。例えば、ブラケッティングの対象となる撮影設定値が露出値であるとすると、補正値cを中心として、範囲[a,b]において露出値が1/3段ずつずれる撮影設定値でブラケッティング撮影を実行する。
【0082】
また、本体CPU27は、ブラケッティングに対して適用する撮影設定値として、現在の撮影環境情報に対応した失敗回避設定ファイルにおいて、失敗回避設定を分類する撮影環境情報の隣接する項目に対応した複数の失敗回避設定を適用してもよい。再び図7を参照すると、時刻に関する環境設定情報を固定して、春夏秋冬に属する隣接した失敗回避設定を用いてブラケッティングを実行してもよい。これにより、例えば、屋内であって季節による撮影設定情報の影響が小さい場合に有効なブラケッティング撮影を実行できる。
【0083】
このように、失敗回避設定は撮影環境情報に関連付けて失敗回避設定ファイルに格納される。よって、撮影環境が変化した場合は、変化した撮影環境に応じた失敗回避設定が適用される。よって、撮影設定値のユーザによる補正を減らすことができると共に、撮影後に削除する画像ファイルを減らすことができる。
【0084】
なお、カメラシステム1は、撮影モードとしてシーンモードを備える場合がある。シーンモードは、風景、ポートレート、夕日、夜景、動体撮影など、撮影環境条件に応じて選択された撮影設定条件の組み合わせを、カメラシステム1に予め実装して選択できるようにした撮影モードである。このため、失敗回避設定ファイルにおける撮影環境設定の組み合わせの一部は、特定のシーンモードにおいて想定された撮影環境の組み合わせと一致する場合がある。
【0085】
そこで、そのような失敗回避設定は、撮影設定値としてではなく、シーンモードの初期値に反映させてもよい。このように、失敗回避設定算出モジュール55は、生成した補正値により、撮影シーンに対応して用意された複数の撮影モードのいずれかに設定されている撮影条件を変更してもよい。
【0086】
なお、失敗回避設定算出モジュール55は、撮影画像が撮影された撮影時刻と、当該撮影画像が削除された削除時刻との間隔が、予め定められた閾値時間以内である場合に、補正値を算出することとしてもよい。これにより、二次記録媒体34の容量が足りなくなった場合、単に古い画像が不要になった場合等の画像の削除と、ユーザの撮影意図に沿わない撮影画像の意図的な削除とを峻別して、失敗回避設定算出モジュール55が有効な補正値を算出できる。
【0087】
また、上述の処理においては、削除履歴に複数の削除画像データの情報が蓄積された状況を想定して説明したが、複数の削除画像データは、連続的して削除指定が実行された画像データを対象画像データとしても良い。これにより、失敗回避設定算出モジュール55は、撮影画像を削除した特定の原因がより強く反映された補正値を算出するこができる。
【0088】
図11は、図6に示した制御手順に換えて本体CPU27が実行し得る制御手順を示す流れ図である。即ち、十字ボタン36および決定ボタン37等を用いたユーザの操作により、削除すべき撮影画像が指定された場合に、本体CPU27は図11に示す制御手順を開始する。
【0089】
本体CPU27は、まず、削除が指定された撮影画像の画像ファイル50のタグデータ51から、当該撮影画像を撮影したときの撮影設定情報と撮影環境情報とを含む削除画像データを読み込む(ステップS501)。次に、本体CPU27は、読み込んだ削除画像データから、撮影環境情報と撮影設定情報とを抽出する(ステップS502)。
【0090】
次に、本体CPU27は、読み込んだ削除画像データ毎に、撮影環境情報に基づいて撮影設定情報を分類する(ステップS503)。更に、本体CPU27は、撮影環境情報により分類された撮影設定情報を、フラッシュROM29に格納された削除履歴テーブルに格納する(ステップS504)。こうして、本体CPU27は、撮影画像の削除後の制御手順を終了する。なお、上記一連の手順では、失敗回避設定は算出されない。
【0091】
図12は、上記した削除履歴テーブルのデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、削除履歴テーブルにおいては、削除された撮影画像の撮影設定情報が、対応する撮影環境情報に応じて分類されている。既に説明した通り、撮影環境情報は、撮影日時、撮影場所、撮影方位、天候情報、人物、イベント情報等、多くの項目を有する。従って、撮影設定情報は、複数の撮影環境情報に応じてマトリックス状に配される。
【0092】
図13は、上記削除履歴テーブルを用いたカメラシステム1による撮影動作であり、本体CPU27が実行する制御手順を示す流れ図である。撮影動作は、ユーザがレリーズスイッチ32を押し下げた場合に開始される。
【0093】
カメラシステム1において撮影動作が開始されると、本体CPU27は、撮影環境に関する撮影環境情報を取得する(ステップS601)。撮影環境情報の取得は、図10を参照して既に説明した手順で実行できる。
【0094】
次に、本体CPU27は、フラッシュROM29に格納された削除履歴テーブルから、取得した撮影環境情報と共通する撮影環境情報に対応する撮影設定情報を読み込む(ステップS602)。続いて、本体CPU27は、失敗回避設定算出モジュール55に、読み込んだ撮影設定情報から失敗回避設定を算出させる(ステップS603)。失敗回避設定の算出は、図8を参照して既に説明した手順で実行できる。
【0095】
続いて、本体CPU27は、算出した失敗回避設定をカメラシステム1に適用した後(ステップS504)、撮像素子9を露光する(ステップS605)。更に、本体CPU27は、撮影画像に撮影環境情報を加えた画像ファイル50を生成して、二次記録媒体34に記録する(ステップS606)。こうして、撮影に係る本体CPU27の制御手順が終了する。
【0096】
上記のように、過去に削除した画像の撮影設定情報を撮影環境情報により分類して保持し、撮影する段階で失敗回避設定を算出することにより、常に最新の算出方法で失敗回避設定を算出できる。また、削除履歴テーブルに削除画像データが蓄積されるにつれて、算出される失敗回避設定の精度が向上される。
【0097】
なお、上記の一連の形態は、レンズ交換式一眼レフカメラであるカメラシステム1を例として説明した。しかしながら、上記の制御は、コンパクトデジタルカメラ、ミラーレス一眼カメラはもちろん、携帯電話などにも適用できる。また、失敗回避設定は、ビデオカメラの静止画および動画に対しても有効作用する。
【0098】
図14は、撮影条件生成プログラムを実行するパーソナルコンピュータ60を模式的に示す図である。パーソナルコンピュータ60は、ケーブル61を介して、カメラシステム1と接続されている。
【0099】
パーソナルコンピュータ60は、ディスプレイ62、本体部63およびキーボード64を有する。本体部63は、予め定められた画像処理を施した上でディスプレイ62に画像を表示する背面モニタ制御部、カメラシステム1との通信により撮影画像データを格納する記録媒体、実行すべきプログラムをロードする場合に用いられる光学ドライブ65等を備える。また、本体部63は、ロードされたプログラムを実行するプロセッサを備える。
【0100】
上記のようなパーソナルコンピュータ60は、プログラムを読み込ませることにより、図13までに示した制御手順を実行する画像処理装置として動作する。また、パーソナルコンピュータ60は、ケーブル61を介して、カメラシステム1から撮影画像データを受け取って処理の対象にできる。
【0101】
よって、ユーザは、より大きなディスプレイ62およびキーボード64を用いて、撮影画像の削除、失敗回避設定の算出等ができる。また、カメラシステム1に蓄積した削除履歴および失敗回避設定をパーソナルコンピュータ60に格納することも、パーソナルコンピュータに格納した削除履歴および心配回避設定をカメラシステム1に転送することもできる。これにより、より大規模な削除履歴の蓄積、失敗回避設定の高度な算出等が可能になる。
【0102】
なお、カメラシステム1およびパーソナルコンピュータ60の間のデータ転送は、図示するようにケーブル61を経由してもよいし、無線通信であってもよい。また、撮影画像データが格納された二次記録媒体34を受け渡すことにより、撮影画像データおよび設定情報を受け渡してもよい。
【0103】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0104】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示していない限り、あるいは、前の処理の出力を後の処理で用いない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するとは限らない。
【符号の説明】
【0105】
1 カメラシステム、2 カメラ本体、3 撮影レンズ、4 レンズ群、5 絞り、6 角速度センサ、7 レンズCPU、8 ファインダ光学系、9 撮像素子、10 メインミラー、11 焦点検出センサ、12 サブミラー、13 焦点板、14 ペンタプリズム、15 測光センサ、16 GPSモジュール、17 マイクロフォン、18 スピーカ、19 ローパスフィルタ、20 撮像基板、21 背面モニタ、23 駆動部、24 A/D変換部、25 画像処理部、26 コントラストAF回路、27 本体CPU、28 背面モニタ制御部、29 フラッシュROM、30 RAM、31 IP通信部、32 レリーズスイッチ、33 方位センサ、34 二次記録媒体、35 背面ダイヤル、36 十字ボタン、37 決定ボタン、38 再生モードボタン、39 削除ボタン、40 確認ボタン、43 選択枠、49 縮小画像、50 画像ファイル、51 タグデータ、52 サムネイル画像データ、53 本画像データ、54 カレンダ部、55 失敗回避設定算出モジュール、60 パーソナルコンピュータ、61 ケーブル、62 ディスプレイ、63 本体部、64 キーボード、65 光学ドライブ
【技術分野】
【0001】
本発明は撮影条件生成装置、撮像装置および撮影条件生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いったん撮影した撮影画像をユーザが削除した場合に、削除された画像の撮影条件を評価して以降の撮影条件に反映させる撮像装置がある(特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009−218932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮像装置における撮影条件は撮影環境に応じて様々に設定される。このため、削除画像の撮影条件を総合的に評価しても、評価を反映した撮影条件が効果的に改善されるとは限らなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく、本発明の第一態様として、ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出部と、抽出された撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成部とを備える撮影条件生成装置が提供される。
【0005】
また、本発明の第二態様として、上記撮影条件生成装置を含む撮像装置であって、生成部により生成された撮影条件により撮影を実行する制御部を備える撮像装置が提供される。
【0006】
更に、本発明の第三態様として、ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出ステップと、抽出された撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成ステップとをコンピュータに実行させる撮影条件生成プログラムが提供される。
【0007】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これら特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】カメラシステム1の模式的断面図である。
【図2】カメラシステム1のブロック図である。
【図3】カメラシステム1の背面図である。
【図4】背面モニタ21の表示内容を示す図である。
【図5】画像ファイル50の構造を示す図である。
【図6】本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。
【図7】失敗回避設定ファイルのデータ構造を示す模式図である。
【図8】失敗回避設定算出モジュールの動作手順を示す流れ図である。
【図9】本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。
【図10】本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。
【図11】本体CPU27の他の制御手順を示す流れ図である。
【図12】削除履歴テーブルの構造を模式的に示す図である。
【図13】本体CPU27の他の制御手順を示す流れ図である。
【図14】制御プログラムを実行するコンピュータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、一眼レフカメラであるカメラシステム1の模式的断面図である。カメラシステム1は電子装置の一例であり、カメラ本体2および撮影レンズ3を含む。撮影レンズ3は、カメラ本体2に対して交換可能に装着される。
【0011】
撮影レンズ3は、レンズCPU7、フォーカスレンズ、ズームレンズおよび防振レンズを含むレンズ群4、絞り5、カメラシステム1の振れを検出する角速度センサ6、レンズ群4を駆動する図示していない駆動装置等を備える。角速度センサ6は、少なくとも光軸に直交する2軸周りの角速度を検出する。
【0012】
駆動装置は、例えば振動波モータ、VCMにより構成される複数のモータを有し、フォーカスレンズを光軸方向に駆動する。また、防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動する。レンズCPU7は、撮影レンズ3の全体を制御すると共に、カメラ本体2と協働するレンズCPU7を有する。
【0013】
カメラ本体2は、メインミラー10を備える。メインミラー10は、撮影レンズ3からの光束を反射してファインダ光学系8に導く反射位置と、撮影レンズ3からの光束がCCDまたはCMOSなどから構成される撮像素子9に入射するように退避する退避位置との間で揺動する。
【0014】
カメラ本体2において、メインミラー10の一部の領域は半透過領域となっており、半透過領域を透過した光束を焦点検出センサ11へ反射するサブミラー12が配される。サブミラー12は、メインミラー10に連動して揺動し、メインミラー10が退避位置をとるときには、サブミラー12も光束から退避する。焦点検出センサ11は、位相差方式により入射する光束の焦点状態を検出する。
【0015】
反射位置にあるメインミラー10で反射された光束は、焦点板13、ペンタプリズム14を介してファインダ光学系8へ導かれる。ファインダ光学系8は複数のレンズを含み、ユーザはファインダ光学系8により被写界を確認できる。
【0016】
ペンタプリズム14を透過する光束の一部は測光センサ15に導かれる。測光センサ15は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより、被写界の輝度分布を計測する。また、ペンタプリズム14の上方にはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)モジュール16を備える。
【0017】
さらに、カメラ本体2は、撮影レンズ3のマウント部近傍で撮影レンズ3と干渉しない位置に、被写界の音を録音するマイクロフォン17を備える。また、カメラ本体2は、ファインダ光学系8の近傍に、ビープ音などを発するスピーカ18を備える。
【0018】
メインミラー10が退避位置にあるとき、撮影レンズ3からの光束は、ローパスフィルタ19を介して撮像素子9に入射する。撮像素子9の背後には、撮像基板20が設けられ、撮像基板20の更に後方には外部に面して背面モニタ21が設けられる。
【0019】
図2は、本実施形態に係るカメラシステム1のブロック図である。図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0020】
本体CPU27は、レンズCPU7と協働してカメラシステム1の全体を制御する。本体CPU27に接続された撮像基板20は、撮像素子9を駆動する駆動部23、撮像素子9の出力をデジタル信号に変換するA/D変換部24、ASICで構成される画像処理部25および撮像素子9からの信号の高周波成分を抽出するコントラストAF回路26などを有している。
【0021】
画像処理部25は、デジタル信号に変換された画像信号に対してホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、階調調整などの画像処理を施すと共に、JPEGなどの画像圧縮を行って画像ファイルを生成する。生成された画像ファイルは、二次記録媒体34に記憶される。二次記録媒体34は、カメラ本体2に対して着脱可能なフラッシュメモリなどの記録媒体であっても良いし、カメラ本体2に内蔵されるSSD(Solid State Drive)などの記録媒体であっても良い。
【0022】
画像処理を施された画像信号は、背面モニタ制御部28の制御により、背面モニタ21に表示される。撮影直後に撮影された画像信号を所定時間表示すれば、二次記録媒体34に記録された画像ファイルに対応する画像をユーザに視認させることができる。
【0023】
また、撮像素子9が光電変換する被写体像を二次記録媒体34に格納することなく背面モニタ21に表示し続ければライブビュー表示ができる。ライブビュー表示している場合は、被写界の映像が背面モニタ21に表示される。
【0024】
さらに、撮像素子9が連続的に光電変換する被写体像を二次記録媒体34に連続的に記録すれば動画撮影ができる。この場合、記録される動画ファイルは、画像処理部25によりMPEG、H.264などに動画圧縮処理されている。また、動画撮影をする場合は、マイクロフォン17で音声も併せて記録できる。動画撮影により生成される動画像のフレームレートは、複数のフレームレートから、例えば30fpsなどと設定される。
【0025】
コントラストAF回路26は、撮像素子9からの撮像信号の高周波成分を抽出してAF評価値信号を生成し、AF評価値信号が最大になるフォーカスレンズ位置を検出する。検出されたAF評価値信号は、本体CPU27に参照される。
【0026】
レンズCPU7は、撮影レンズ3内の防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動して、角速度センサ6で検出した手振れを打ち消す光学式手振れ補正機能を有する。一方、カメラ本体2も、画像処理部25から出力された複数枚の画像間の動きベクトルを算出して、画像読み出し位置を変化させることにより画像間の動きベクトルをキャンセルする電子式手振れ補正機能を備える。光学式手振れ補正は静止画撮影に好適であり、電子式手振れ補正は動画撮影に好適である。
【0027】
測光センサ15は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光して被写界の輝度分布を計測する。計測結果は本体CPU27に参照される。本体CPU27は、選択された測光モードに応じて露出値を算出する。測光モードは、明るい部分と暗い部分のバランスを取る分割測光モード、画面中央を適正露出とする中央重点測光モード、選択したフォーカスポイントの狭領域を適正露出とするスポット測光モードなどから選択できる。
【0028】
カレンダ部54は、水晶発振子、計時用集積回路等を有しており、年月日時分秒といったカレンダ情報を生成する。本体CPU27は、カレンダ部54から日にちおよび時間に関する情報を取得できる。
【0029】
GPSモジュール16は、GPS衛星からのGPS信号を受信してカメラ本体2が存在している緯度、経度、高度情報を算出する。本体CPU27は、GPSモジュール16からカメラ本体2の位置に関する位置情報を取得する。なお、GPS信号は高精度な時間情報を含むので、GPSモジュール16が受信したGPS信号からカレンダ部54を較正することもできる。
【0030】
フラッシュROM29は、EEPROM(登録商標)を含み、カメラシステム1を動作させるプログラムのほか、各種調整値、設定値を格納する。具体的には、AF調整データ、AE調整データ、製造時の年月日時間データ、設定スイッチの設定履歴などの設定値を格納する。また、フラッシュROM29は、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の使用履歴等も記憶する。更に、フラッシュROM29は、後述する削除履歴ファイル、失敗回避設定ファイルも格納する。
【0031】
フラッシュROMに格納する設定値のうち、ユーザが設定または変更する設定値は、背面モニタ21に表示する設定画面のメニュー項目として用意されている。更に、フラッシュROM29は、後述するように、削除された画像の撮影条件を含む削除履歴の蓄積、失敗回避設定の格納も担う。
【0032】
RAM30は、本体CPU27が高速にアクセスできるDRAMなどの高速RAMであり、フラッシュROM29に記憶されたプログラムが展開される。また、本体CPU27が高速にアクセスできるように、頻繁に参照される調整値、設定値などがフラッシュROM29からRAM30にコピーされる場合もある。
【0033】
失敗回避設定算出モジュール55は、フラッシュROM29に格納された削除履歴から、後述する失敗回避設定を算出して生成する。また、失敗回避設定算出モジュール55は、算出した失敗回避設定をフラッシュROM29に書き込んで蓄積する。なお、失敗回避設定については後述する。
【0034】
背面モニタ制御部28は、画像処理された撮影画像の他、フラッシュROM29から読み出したメニュー設定画面およびユーザガイド画面を背面モニタ21へ表示する。背面モニタ21は、表面にタッチパネルセンサが積層される。ユーザは、背面モニタ21に表示されるメニュー項目等を視認しつつタッチパネルセンサを操作できる。タッチパネルセンサから入力された指示は本体CPU27に参照される。
【0035】
方位センサ33は地磁気センサを有し、カメラシステム1がどの方向を向いているかを検出する。IP通信部31は、インターネットプロトコルによるネットワーク接続部と、ネットワーク上から情報を取得するプログラムとを有する。これにより、IP通信部31は、イベントの開催される日時、場所等を含むイベント情報をネットワークを介して取得する。
【0036】
レリーズスイッチ32は、ユーザがカメラシステム1に対して撮影のタイミングを指示する場合に押される。ユーザがレリーズスイッチ32を半押しすると、本体CPU27は、オートフォーカス、測光などの撮影準備動作が実行される。ユーザが更にレリーズスイッチ32を全押しすると、本体CPU27は、静止画撮影または動画撮影を開始する。
【0037】
図3は、カメラ本体2の背面図である。他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0038】
カメラ本体2の背面中央には、ファインダ光学系8の後端および背面モニタ21が配される。背面モニタ21の側方には、背面ダイヤル35、十字ボタン36、決定ボタン37、再生モードボタン38、削除ボタン39、確認ボタン40等が配される。
【0039】
カメラ本体2は、再生モードボタン38が押された場合に再生モードで動作する。再生モードにおいては、二次記録媒体34に格納された撮影画像データが背面モニタ21に表示される。この状態で背面ダイヤル35を回転させることにより、背面モニタ21に表示される撮影画像が順次切り替わる。このように、背面ダイヤル35は、画像を選択する選択部を形成する。
【0040】
再生モードであって背面モニタ21にある画像が表示されている場合に削除ボタン39が押されると、表示されていた画像を二次記録媒体34から削除できる。ただし、一動作で画像削除が完了すると、誤操作により撮影画像データが削除される場合がある。そこで、削除ボタン39に続いて確認ボタン40が押された場合に削除が実行される。
【0041】
なお、十字ボタン36は、上下左右の4箇所に個別にオン/オフするスイッチを有する。これにより、例えば、背面モニタ21に二次元的に配置された画像または選択肢を選択する場合に十字ボタン36を使用できる。また、十字ボタン36に含まれる4つのスイッチに、一時的に個別の機能を割り当てる場合もある。
【0042】
決定ボタン37は、十字ボタン36により選択した選択肢等を決定旨の指示を入力する場合に押される。これにより、確認ボタン40の場合と同様に、一動作で何らかの動作が確定することを防止している。
【0043】
図4は、カメラ本体2が再生モードになった場合に、背面モニタ21に表示される表示画像のひとつを例示する図である。図示の例では、背面モニタ21に、複数の撮影画像データに対応する複数の縮小画像49が表示されている。複数の縮小画像49は、例えば図中の一点鎖線で示すように撮像順に配列される。
【0044】
背面モニタ21に表示された複数の縮小画像49に対して、ユーザは背面ダイヤル35を操作することにより、図中に点線で示す選択枠43を、図中に一点鎖線で示す撮影順に移動させる。これにより、ひとつの縮小画像49に対応した撮影画像データが特定される。この状態で削除ボタン39を押すことにより、その縮小画像49に対応した撮影画像データの削除が指示される。
【0045】
背面モニタ21において、上記のようにしてユーザから削除を指示された画像データA〜Eの縮小画像49には、図中に実線で示すように表示形態が変化した選択枠43が各々に付加される。更に、ユーザが、削除すべき撮影画像データA〜Fを全て特定した後に確認ボタン40を押すと、撮影画像データが削除される。このように、ユーザは、選択した縮小画像49に対応する撮影画像データA〜Fを一括して削除できる。
【0046】
なお、上記の例では、背面モニタ21に複数の縮小画像49を表示させて、削除する画像を複数指定する例を示した。しかしながら、細部を確認しながら削除すべき画像を特定できるように、背面モニタ21全体にひとつの画像を表示するようにしてもよい。この場合は、例えば、画像毎に削除ボタン39および確認ボタン40を押して、撮影画像データをひとつずつ削除する。
【0047】
図5は、カメラシステム1で生成される画像ファイル50の構造を示す図である。画像ファイル50は、タグデータ51、サムネイル画像データ52および本画像データ53を格納する。
【0048】
本画像データ53は、カメラシステム1により撮影された撮影画像データに相当する。サムネイル画像データ52は、本画像データ53よりも解像度、階調等が低く、データサイズが小さい。よって、画像一覧等を表示する場合に容易に取り扱うことができる。
【0049】
タグデータ51は、カメラシステム1の仕様、撮影条件等を格納する。カメラシステム1に対して画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式で保存することを指示した場合、本画像データ53にタグデータ51およびサムネイル画像データ52が付加されてEXIFファイルとして保存される。
【0050】
タグデータ51には、本画像データ53を撮影したカメラシステム1のメーカ、仕様、ファームウエアの版数、開放F値等の情報が記録される。また、EXIFファイルには、当該画像を撮影したときの露出時間、F値、ISO値、焦点距離、撮影日時等の撮影情報が記録される。更に、EXIFファイルには、カメラシステム1のカレンダ部54、方位センサ33、GPSモジュール16、IP通信部31等が検出した日時、姿勢、方位、位置、イベント等に関する付加情報も記録される。
【0051】
上記タグデータ51に記録された様々な情報は、静止画または動画を撮影する場合にカメラシステム1に設定される露出時間、ISO値等の撮影設定情報と、撮影設定値としては用いられないが、カメラシステム1の撮影日時、方位、位置等を示す撮影環境情報とに大別できる。
【0052】
よって、二次記録媒体34にEXIF形式で記録された画像ファイル50からは、画像ファイル50に含まれる本画像データ53自体の他に、当該本画像データ53を撮影したときの撮影環境情報および撮影設定情報を読み出すことができる。従って、本体CPU27は、画像ファイル50が削除対象として指定された場合に、当該画像ファイルに含まれる撮影環境情報および撮影設定情報を抽出できる。
【0053】
図6は、画像データの削除に係る本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。十字ボタン36および決定ボタン37等を用いたユーザの操作により撮影画像に対して削除が指示された場合に、本体CPU27は図6に示す制御手順を開始する。
【0054】
本体CPU27は、まず、削除が指定された撮影画像の画像ファイル50のタグデータ51から、当該撮影画像を撮影したときの撮影設定情報と撮影環境情報とを含む削除画像データを読み込む(ステップS101)。次に、本体CPU27は、読み込んだ削除画像データを、フラッシュROM29に形成された削除履歴ファイルに順次追加して書き込む(ステップS102)。
【0055】
削除画像データに含まれる撮影設定情報は、当該削除画像についてカメラシステム1が適正な設定値として算出した算出Ev値と、撮影に当たってユーザが設定した露光補正量を含んでいてもよい。また、カメラシステム1が適正な設定値として算出した色温度と、撮影のときに色温度に対してユーザが設定した補正値を含んでもよい。
【0056】
削除画像データの撮影環境情報は、撮影日時、撮影場所、撮影方位、撮影時の天候の他、被写体に人物が含まれるか否かの情報を含んでもよい。また、撮影環境情報は、撮影時にIP通信部31を通じて取得していたイベント情報等も含んでよい。換言すれば、本体CPU27は、撮影環境情報として取得したい情報を、タグデータ51の付加情報として画像ファイル50に記録しておくことが好ましい。
【0057】
次に、本体CPU27は、失敗回避設定算出モジュール55に、失敗回避設定を算出させる(ステップS103)。失敗回避設定は、削除画像データが撮影環境情報として有する撮影環境において、ユーザが当該画像データを削除した理由と考えられる撮影設定を回避すべく算出される、当該撮影環境に適した撮影設定である。失敗回避設定の算出手順については、他の図を参照して後述する。
【0058】
続いて、本体CPU27は、失敗回避設定を算出された削除画像データの撮影環境情報を読み込んで、失敗回避設定ファイルに同じ撮影環境情報を有する失敗回避設定が記録されているか否かを調べる(ステップS104)。ここで、失敗回避設定ファイルは、フラッシュROM29に記録されて、複数の失敗回避設定を規定したファイルを意味する。
【0059】
図7は、失敗回避設定ファイルのデータ構造を例示する模式図である。失敗回避設定ファイルは、撮影環境情報に応じて分類した状態で、撮影設定情報に関する失敗回避設定を規定する。
【0060】
撮影環境情報は、既に説明した通り、撮影日時、撮影場所、撮影方位、天候情報、人物、シーンモード、イベント情報等、多くの項目を有する。よって、失敗回避設定ファイルにおいて、それぞれの失敗回避設定は複数の撮影環境情報、即ち、図示の例では時間と季節によりマトリックスをなす撮影環境テーブルに規定される。
【0061】
このように、失敗回避設定算出モジュール55は、算出した失敗回避設定を、撮影環境情報によって分類して蓄積する。なお、図7は模式図に過ぎず、失敗回避設定はより多くの種類の撮影環境情報により分類されてもよい。その場合、上記失敗回避設定を規定したテーブルの次元が高くなる。
【0062】
再び図6を参照すると、ステップS104において、共通の撮影環境情報を有する失敗回避設定が失敗回避設定ファイルに既に規定されていた場合、(ステップS104:NO)、失敗回避設定算出モジュール55は、既に規定されていた失敗回避設定を、算出した新しい失敗回避設定で上書きして保存する(ステップS105)。
【0063】
一方、算出した失敗回避設定に対応する撮影環境情報が、失敗回避設定ファイルに規定されていない場合(ステップS104:YES)、失敗回避設定算出モジュール55は、既に規定されている失敗回避設定を残したまま、算出された新しい失敗回避設定を、失敗回避設定ファイルに新規に規定する(ステップS107)。更に、本体CPU27は、失敗回避設定が保存された削除画像データを削除履歴ファイルから削除して制御を終了する(ステップS106)。
【0064】
図8は、失敗回避設定の算出に関する本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。図示の制御手順は、図6に示した制御手順のステップS103において実行される。
【0065】
失敗回避設定算出モジュール55は、まず、削除履歴ファイルに書き込まれた削除画像データのうち、撮影設定情報を順次読み込む。そして、失敗回避設定算出モジュール55は、ステップS202で、読み込んだ撮影設定情報における撮影設定値から、基準となるカメラ適正値を算出し、このカメラ適正値と実際に撮影時に適用された撮影設定とを比較する。カメラ適正値とは、例えば、予め設定された基準となるプログラム線図に沿って露出値を算出した場合の露出値など、標準的な設定値である。つまり、ステップS202では、カメラシステム1が適正値とする設定値と、削除された画像データの設定値を比較する。
【0066】
そして、ステップS203で、失敗回避設定算出モジュール55は、比較して得た差分を頻度分布としてリスト化する。上記ステップS201〜ステップS203は、フラッシュROM29の削除履歴から削除画像データが無くなるまで(ステップS204:YES)繰り返される(ステップS204:NO)。
【0067】
削除履歴から削除画像データが無くなると(ステップS204:YES)、失敗回避設定算出モジュール55はループを抜けて、リスト化された頻度分布から、撮影設定値の補正値を算出する(ステップS205〜S207)。補正値の算出は、統計処理によって実行される。具体的には、ステップS205で、失敗回避設定算出モジュール55は、削除履歴として、頻度の少ない値の区間[a,b]を算出する。頻度の少ない値の区間[a,b]は、2つの極大値a、bに挟まれた区間として定義される。そして、ステップS206において失敗回避設定算出モジュール55は、区間[a,b]のうち、最も削除履歴の少ない、即ち、最も頻度の低い値差cを算出する。そして、値cを区間[a,b]における補正値として設定する。
【0068】
例えば、特定の測光モードを基準とした場合に、削除された画像データの露出値が何段分の差を持つかを頻度分布としてリスト化できる。例えば、1/3段ごとに設定された区間において、+1/3段と−1段とに極大値があれば、この区間において削除履歴の最も少ない、例えば−1/3段の補正値が設定される。設定された露出値は、シャッタスピードが固定された場合には絞り値の調整値として用い、絞り値が固定された場合にはシャッタスピード調整値として適用される。
【0069】
上記のような制御手順は、露出値に限らず様々な撮影設定に対して適用され得る。例えば、コントラストの強弱、彩度の強弱、フォーカスポイントの前後、ズーミングの大小等を撮影設定値のひとつとして取り扱ってもよい。このように、失敗回避設定算出モジュール55は、削除画像データから抽出された撮影環境情報に基づいて、カメラシステム1における撮影設定値の補正値を生成する。
【0070】
なお、失敗回避設定算出モジュール55は、削除されなかった撮影画像の画像ファイルからも情報を取得してもよい。即ち、削除されなかった画像の枚数を勘案して、撮影枚数に対する削除画像データの枚数で頻度を置き換えることにより、撮影画像を削除したユーザの意図を反映した、より精度の高い失敗回避設定を算出できる。
【0071】
また、カメラシステム1の稼働時間あるいは撮影枚数および削除枚数が少ない段階では、IP通信部31を通じて、他のカメラシステム1または電子機器から失敗回避設定を取得してもよい。ただし、ユーザ固有の傾向は反映され難くなるので、カメラシステム1で生成された失敗回避設定を重視しつつ、外部から導入された失敗回避設定を参照するように、失敗回避設定の由来に応じて失敗回避設定に重み付けをしてもよい。
【0072】
図9は、失敗回避設定を利用して撮影を実行する場合の本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。撮影は、ユーザがレリーズスイッチ32を押し下げた場合にカメラシステム1において実行される。
【0073】
カメラシステム1において撮影が開始されると、本体CPU27は、撮影環境に関する撮影環境情報を取得する(ステップS301)。次に、本体CPU27は、フラッシュROM29に格納された失敗回避設定ファイルから、取得した撮影環境情報と共通する撮影環境情報に対応した失敗回避設定を読み込む(ステップS302)。
【0074】
読み込まれた失敗回避設定は、この撮影における撮影設定値としてカメラシステム1に設定され(ステップS303)、カメラシステム1は、当該撮影設定の下に撮像素子9を露光して撮影を実行する(ステップS304)。このように、カメラシステム1の本体CPU27は、失敗回避設定算出モジュール55が生成した失敗回避設定を撮影設定値として撮影を実行する。カメラシステム1により撮影された撮影画像は、撮影設定情報と共に、撮影環境情報も併せて記録された画像ファイル50として二次記録媒体34に記録される(ステップS305)。こうして、撮影に係る本体CPU27の制御手順が終了する。
【0075】
このように、カメラシステム1は、撮影環境情報に対応した失敗回避設定を適用して撮影するので、カメラシステム1が算出した撮影設定値がユーザの好みの設定値である可能性が高く、ユーザは削除すべき画像を撮影することが少なくなる。また、失敗回避設定は撮影環境情報に応じて使い分けられるので、例えば、白とびを避けたい夏の海の撮影と、多少の白とびを許容できる冬の雪山の撮影など、さまざまな撮影環境状況において、それぞれ適切な失敗回避設定を適用できる。
【0076】
なお、カメラシステム1には、ユーザが希望しない場合に、失敗回避設定の読み込みを禁止する設定を設けてもよい。また、カメラシステム1の動作モードがマニュアル撮影等に設定された場合には、失敗回避設定の読み込みを自動的に控えてもよい。
【0077】
図10は、カメラシステム1による撮影において撮影環境情報を取得する場合について、本体CPU27の制御手順を示す流れ図である。すなわち、図9におけるステップS301の具体的な処理を示す。撮影環境情報を取得する場合、本体CPU27は、カレンダ部54から撮影日時に関する日時情報を取得する(ステップS401)。日時情報は、GPSモジュール16が受信したGPS信号を参照することにより、高精度に較正できる。
【0078】
また、本体CPU27は、GPSモジュール16から、緯度情報、経度情報および高度を含む位置情報を取得する(ステップS402)。このとき、GPSモジュール16から、高精度な時間情報も併せて取得してもよい。更に、本体CPU27は、IP通信部31を通じて、天候情報を取得する(ステップS403)。更に、本体CPU27は、IP通信部31を通じて、地図情報(ステップS404)も取得する。
【0079】
このように、カメラシステム1において、本体CPU27は、日時情報、位置情報、天候情報および地図情報等の環境情報を取得する要素を有して環境情報を取得する。更に、本体CPU27は、これらの情報を総合的に勘案して、撮影環境情報を生成する(ステップS406)。例えば、日時情報および位置情報を合わせて取得することにより、撮影環境が朝方、昼間、夕方、夜間のいずれの時間帯に分類されるかを判定できる。また、日の出および日の入りの時間帯は光線状態が特殊なので、独立した撮影環境として分類としてもよい。このように、本体CPU27は、収集した環境情報から失敗回避設定を保存する場合に関連付ける撮影環境情報を生成する。
【0080】
また、天候情報を併せて判定することにより、被写界の色温度が曇天のものであったか晴天のものであったかが判る。更に、地図情報を併せることにより、撮影位置が何らかの施設内であるか、屋外であるかを判定して分類できる。また更に、海、山等の特定の環境であるか否かも判定できる。カメラシステム1に、他のセンサを設けて、より多くの撮影環境情報を収集してもよい。このように、収集する環境情報の項目を増やせば、失敗回避設定ファイルでマトリックス状に定義する撮影環境情報の分類を細分化することができ、より具体的な環境に精度良く対応することができる。
【0081】
なお、カメラシステム1にブラケッティングモードが設定された場合に、本体CPU27は、失敗回避設定の補正値cを中心として、範囲[a,b]で撮影設定値を変化させてもよい。例えば、ブラケッティングの対象となる撮影設定値が露出値であるとすると、補正値cを中心として、範囲[a,b]において露出値が1/3段ずつずれる撮影設定値でブラケッティング撮影を実行する。
【0082】
また、本体CPU27は、ブラケッティングに対して適用する撮影設定値として、現在の撮影環境情報に対応した失敗回避設定ファイルにおいて、失敗回避設定を分類する撮影環境情報の隣接する項目に対応した複数の失敗回避設定を適用してもよい。再び図7を参照すると、時刻に関する環境設定情報を固定して、春夏秋冬に属する隣接した失敗回避設定を用いてブラケッティングを実行してもよい。これにより、例えば、屋内であって季節による撮影設定情報の影響が小さい場合に有効なブラケッティング撮影を実行できる。
【0083】
このように、失敗回避設定は撮影環境情報に関連付けて失敗回避設定ファイルに格納される。よって、撮影環境が変化した場合は、変化した撮影環境に応じた失敗回避設定が適用される。よって、撮影設定値のユーザによる補正を減らすことができると共に、撮影後に削除する画像ファイルを減らすことができる。
【0084】
なお、カメラシステム1は、撮影モードとしてシーンモードを備える場合がある。シーンモードは、風景、ポートレート、夕日、夜景、動体撮影など、撮影環境条件に応じて選択された撮影設定条件の組み合わせを、カメラシステム1に予め実装して選択できるようにした撮影モードである。このため、失敗回避設定ファイルにおける撮影環境設定の組み合わせの一部は、特定のシーンモードにおいて想定された撮影環境の組み合わせと一致する場合がある。
【0085】
そこで、そのような失敗回避設定は、撮影設定値としてではなく、シーンモードの初期値に反映させてもよい。このように、失敗回避設定算出モジュール55は、生成した補正値により、撮影シーンに対応して用意された複数の撮影モードのいずれかに設定されている撮影条件を変更してもよい。
【0086】
なお、失敗回避設定算出モジュール55は、撮影画像が撮影された撮影時刻と、当該撮影画像が削除された削除時刻との間隔が、予め定められた閾値時間以内である場合に、補正値を算出することとしてもよい。これにより、二次記録媒体34の容量が足りなくなった場合、単に古い画像が不要になった場合等の画像の削除と、ユーザの撮影意図に沿わない撮影画像の意図的な削除とを峻別して、失敗回避設定算出モジュール55が有効な補正値を算出できる。
【0087】
また、上述の処理においては、削除履歴に複数の削除画像データの情報が蓄積された状況を想定して説明したが、複数の削除画像データは、連続的して削除指定が実行された画像データを対象画像データとしても良い。これにより、失敗回避設定算出モジュール55は、撮影画像を削除した特定の原因がより強く反映された補正値を算出するこができる。
【0088】
図11は、図6に示した制御手順に換えて本体CPU27が実行し得る制御手順を示す流れ図である。即ち、十字ボタン36および決定ボタン37等を用いたユーザの操作により、削除すべき撮影画像が指定された場合に、本体CPU27は図11に示す制御手順を開始する。
【0089】
本体CPU27は、まず、削除が指定された撮影画像の画像ファイル50のタグデータ51から、当該撮影画像を撮影したときの撮影設定情報と撮影環境情報とを含む削除画像データを読み込む(ステップS501)。次に、本体CPU27は、読み込んだ削除画像データから、撮影環境情報と撮影設定情報とを抽出する(ステップS502)。
【0090】
次に、本体CPU27は、読み込んだ削除画像データ毎に、撮影環境情報に基づいて撮影設定情報を分類する(ステップS503)。更に、本体CPU27は、撮影環境情報により分類された撮影設定情報を、フラッシュROM29に格納された削除履歴テーブルに格納する(ステップS504)。こうして、本体CPU27は、撮影画像の削除後の制御手順を終了する。なお、上記一連の手順では、失敗回避設定は算出されない。
【0091】
図12は、上記した削除履歴テーブルのデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、削除履歴テーブルにおいては、削除された撮影画像の撮影設定情報が、対応する撮影環境情報に応じて分類されている。既に説明した通り、撮影環境情報は、撮影日時、撮影場所、撮影方位、天候情報、人物、イベント情報等、多くの項目を有する。従って、撮影設定情報は、複数の撮影環境情報に応じてマトリックス状に配される。
【0092】
図13は、上記削除履歴テーブルを用いたカメラシステム1による撮影動作であり、本体CPU27が実行する制御手順を示す流れ図である。撮影動作は、ユーザがレリーズスイッチ32を押し下げた場合に開始される。
【0093】
カメラシステム1において撮影動作が開始されると、本体CPU27は、撮影環境に関する撮影環境情報を取得する(ステップS601)。撮影環境情報の取得は、図10を参照して既に説明した手順で実行できる。
【0094】
次に、本体CPU27は、フラッシュROM29に格納された削除履歴テーブルから、取得した撮影環境情報と共通する撮影環境情報に対応する撮影設定情報を読み込む(ステップS602)。続いて、本体CPU27は、失敗回避設定算出モジュール55に、読み込んだ撮影設定情報から失敗回避設定を算出させる(ステップS603)。失敗回避設定の算出は、図8を参照して既に説明した手順で実行できる。
【0095】
続いて、本体CPU27は、算出した失敗回避設定をカメラシステム1に適用した後(ステップS504)、撮像素子9を露光する(ステップS605)。更に、本体CPU27は、撮影画像に撮影環境情報を加えた画像ファイル50を生成して、二次記録媒体34に記録する(ステップS606)。こうして、撮影に係る本体CPU27の制御手順が終了する。
【0096】
上記のように、過去に削除した画像の撮影設定情報を撮影環境情報により分類して保持し、撮影する段階で失敗回避設定を算出することにより、常に最新の算出方法で失敗回避設定を算出できる。また、削除履歴テーブルに削除画像データが蓄積されるにつれて、算出される失敗回避設定の精度が向上される。
【0097】
なお、上記の一連の形態は、レンズ交換式一眼レフカメラであるカメラシステム1を例として説明した。しかしながら、上記の制御は、コンパクトデジタルカメラ、ミラーレス一眼カメラはもちろん、携帯電話などにも適用できる。また、失敗回避設定は、ビデオカメラの静止画および動画に対しても有効作用する。
【0098】
図14は、撮影条件生成プログラムを実行するパーソナルコンピュータ60を模式的に示す図である。パーソナルコンピュータ60は、ケーブル61を介して、カメラシステム1と接続されている。
【0099】
パーソナルコンピュータ60は、ディスプレイ62、本体部63およびキーボード64を有する。本体部63は、予め定められた画像処理を施した上でディスプレイ62に画像を表示する背面モニタ制御部、カメラシステム1との通信により撮影画像データを格納する記録媒体、実行すべきプログラムをロードする場合に用いられる光学ドライブ65等を備える。また、本体部63は、ロードされたプログラムを実行するプロセッサを備える。
【0100】
上記のようなパーソナルコンピュータ60は、プログラムを読み込ませることにより、図13までに示した制御手順を実行する画像処理装置として動作する。また、パーソナルコンピュータ60は、ケーブル61を介して、カメラシステム1から撮影画像データを受け取って処理の対象にできる。
【0101】
よって、ユーザは、より大きなディスプレイ62およびキーボード64を用いて、撮影画像の削除、失敗回避設定の算出等ができる。また、カメラシステム1に蓄積した削除履歴および失敗回避設定をパーソナルコンピュータ60に格納することも、パーソナルコンピュータに格納した削除履歴および心配回避設定をカメラシステム1に転送することもできる。これにより、より大規模な削除履歴の蓄積、失敗回避設定の高度な算出等が可能になる。
【0102】
なお、カメラシステム1およびパーソナルコンピュータ60の間のデータ転送は、図示するようにケーブル61を経由してもよいし、無線通信であってもよい。また、撮影画像データが格納された二次記録媒体34を受け渡すことにより、撮影画像データおよび設定情報を受け渡してもよい。
【0103】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0104】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示していない限り、あるいは、前の処理の出力を後の処理で用いない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するとは限らない。
【符号の説明】
【0105】
1 カメラシステム、2 カメラ本体、3 撮影レンズ、4 レンズ群、5 絞り、6 角速度センサ、7 レンズCPU、8 ファインダ光学系、9 撮像素子、10 メインミラー、11 焦点検出センサ、12 サブミラー、13 焦点板、14 ペンタプリズム、15 測光センサ、16 GPSモジュール、17 マイクロフォン、18 スピーカ、19 ローパスフィルタ、20 撮像基板、21 背面モニタ、23 駆動部、24 A/D変換部、25 画像処理部、26 コントラストAF回路、27 本体CPU、28 背面モニタ制御部、29 フラッシュROM、30 RAM、31 IP通信部、32 レリーズスイッチ、33 方位センサ、34 二次記録媒体、35 背面ダイヤル、36 十字ボタン、37 決定ボタン、38 再生モードボタン、39 削除ボタン、40 確認ボタン、43 選択枠、49 縮小画像、50 画像ファイル、51 タグデータ、52 サムネイル画像データ、53 本画像データ、54 カレンダ部、55 失敗回避設定算出モジュール、60 パーソナルコンピュータ、61 ケーブル、62 ディスプレイ、63 本体部、64 キーボード、65 光学ドライブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、前記撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出部と、
抽出された前記撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成部と
を備える撮影条件生成装置。
【請求項2】
現在の前記環境情報を取得する取得部を備え、
前記生成部は、前記取得部が取得した現在の前記環境情報に基づいて前記撮影条件を生成する請求項1に記載の撮影条件生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記撮影画像データが撮影された時と削除指定された時の間隔が、予め定められた時間以内である場合に、前記撮影条件を生成する請求項1または2に記載の撮影条件生成装置。
【請求項4】
前記生成部は、ユーザが複数の前記撮影画像データに対し連続して削除指定を実行した場合に、前記撮影条件を生成する請求項1から3のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置。
【請求項5】
前記抽出部は、それぞれが複数の項目を有する複数種類の撮影環境パラメータによりマトリックス状に構成される撮影環境テーブルに、抽出した前記撮影環境情報を分類すると共に削除対象の前記撮影画像データが生成された撮影時の撮影条件を蓄積し、
前記生成部は、前記撮影環境テーブルに基づいて前記撮影条件を生成する請求項1から4のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、一度の撮影指示に対する前記撮影条件として、現在の前記環境情報に対応する前記撮影環境テーブルの対応項目と、前記対応項目に隣接する隣接項目のそれぞれに基づいて複数の前記撮影条件を生成する請求項5に記載の撮影条件生成装置。
【請求項7】
前記生成部は、それぞれが複数の項目を有する複数種類の撮影環境パラメータによりマトリックス状に構成される撮影条件テーブルに、推奨される前記撮影条件を生成して蓄積する請求項1から5のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置。
【請求項8】
前記生成部は、一度の撮影指示に対する前記撮影条件として、現在の前記環境情報に対応する前記撮影条件テーブルの対応項目と、前記対応項目に隣接する隣接項目のそれぞれから前記撮影条件を選択する請求項7に記載の撮影条件生成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置を含む撮像装置であって、
前記生成部により生成された前記撮影条件により撮影を実行する制御部
を備える撮像装置。
【請求項10】
前記生成部が生成する前記撮影条件に基づいて、撮影シーンに対応して用意された複数の撮影モードのいずれかに設定されている撮影条件を変更する変更部を備える請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、前記撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出ステップと、
抽出された前記撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成ステップと
をコンピュータに実行させる撮影条件生成プログラム。
【請求項1】
ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、前記撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出部と、
抽出された前記撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成部と
を備える撮影条件生成装置。
【請求項2】
現在の前記環境情報を取得する取得部を備え、
前記生成部は、前記取得部が取得した現在の前記環境情報に基づいて前記撮影条件を生成する請求項1に記載の撮影条件生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記撮影画像データが撮影された時と削除指定された時の間隔が、予め定められた時間以内である場合に、前記撮影条件を生成する請求項1または2に記載の撮影条件生成装置。
【請求項4】
前記生成部は、ユーザが複数の前記撮影画像データに対し連続して削除指定を実行した場合に、前記撮影条件を生成する請求項1から3のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置。
【請求項5】
前記抽出部は、それぞれが複数の項目を有する複数種類の撮影環境パラメータによりマトリックス状に構成される撮影環境テーブルに、抽出した前記撮影環境情報を分類すると共に削除対象の前記撮影画像データが生成された撮影時の撮影条件を蓄積し、
前記生成部は、前記撮影環境テーブルに基づいて前記撮影条件を生成する請求項1から4のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、一度の撮影指示に対する前記撮影条件として、現在の前記環境情報に対応する前記撮影環境テーブルの対応項目と、前記対応項目に隣接する隣接項目のそれぞれに基づいて複数の前記撮影条件を生成する請求項5に記載の撮影条件生成装置。
【請求項7】
前記生成部は、それぞれが複数の項目を有する複数種類の撮影環境パラメータによりマトリックス状に構成される撮影条件テーブルに、推奨される前記撮影条件を生成して蓄積する請求項1から5のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置。
【請求項8】
前記生成部は、一度の撮影指示に対する前記撮影条件として、現在の前記環境情報に対応する前記撮影条件テーブルの対応項目と、前記対応項目に隣接する隣接項目のそれぞれから前記撮影条件を選択する請求項7に記載の撮影条件生成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮影条件生成装置を含む撮像装置であって、
前記生成部により生成された前記撮影条件により撮影を実行する制御部
を備える撮像装置。
【請求項10】
前記生成部が生成する前記撮影条件に基づいて、撮影シーンに対応して用意された複数の撮影モードのいずれかに設定されている撮影条件を変更する変更部を備える請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
ユーザが指定する削除対象の撮影画像データに対して、前記撮影画像データが生成された撮影時の撮影環境情報を抽出する抽出ステップと、
抽出された前記撮影環境情報に基づいて撮像装置の撮影条件を生成する生成ステップと
をコンピュータに実行させる撮影条件生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−85223(P2012−85223A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231797(P2010−231797)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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