説明

撮影画像記録再生装置

【課題】偶発的な出来事が発生した現場においても即座に被着体から取り外してその場で再生することができる撮影画像記録再生装置を提供する。
【解決手段】撮像部品と再生部品とを一つの筐体1Aに収容し、被着体2に対して着脱可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両事故発生原因の追求及び解決に用いられるドライブレコーダや盗難事件の原因追及び解決に用いられるセキュリティレコーダなどの撮影画像記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車事故の原因を究明するための従来のドライブレコーダとしては、車両周囲を撮影するカメラと、このカメラによる画像情報を記録するメモリと、車両事故の発生を契機付けする衝突センサとを備え、衝突センサの作動を契機としてメモリの記録内容を保存するものが知られている。この種のドライブレコーダは、車両事故が発生した後にメモリから記録画像を読み出し、事故の後処理に用いられているのが一般的である。
【0003】
ところで、自動車事故の後処理において、事故原因に対する当事者の主張が大きく食い違い、事故の解決が円滑に進行しないという問題は少なくない。こうした場合に、事故発生直後のその現場で当事者及び第三者が事故の状況を再生ビデオで確認できれば円満解決につながるものの、従来のドライブレコーダはそれに対応できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、撮像部品と再生部品とを一つの筐体に収容し被着体に対して着脱可能にすることで、偶発的な出来事が発生した現場においても即座に被着体から取り外して再生することができる撮影画像記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の撮影画像記録再生装置は、偶発的な出来事の直前又は前後の環境映像を記録する撮影画像記録再生装置であって、筐体と、前記筐体に設けられて目的とする環境を撮影するカメラと、前記筐体に設けられて前記カメラで撮影したときの年月日及び時刻を計測する時計と、前記筐体に設けられ、前記カメラで撮影した画像情報と前記時計で計測した年月日及び時刻を同期して順次記録するとともに容量オーバーしたときは時間的に最古の画像情報を消去して最新の画像情報に更新する記録手段と、前記筐体に設けられて前記偶発的な出来事の発生を検知するセンサと、前記筐体に設けられて前記カメラで撮影した画像情報又は前記記録手段に記録した画像情報を表示するモニターと、前記筐体に設けられ、前記カメラ、前記時計、前記記録手段及び前記モニターを制御する制御手段と、前記筐体に設けられ、前記カメラ、前記時計、前記記録手段、前記モニター及び前記制御手段に電力を供給する電源と、を備え、前記筐体が被着体に着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の撮影画像記録再生装置は、カメラ、時計、記録手段、センサ、モニター、制御手段及び電源手段が一つの筐体に設けられ、しかも筐体が被着体に着脱可能に設けられているので、偶発的な出来事が発生した現場において、被着体から筐体を取り外して即座に再生することができ、出来事の円滑な解決を補助することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は本発明の撮影画像記録再生装置をドライブレコーダに応用した実施形態を示すブロック図であり、本例のドライブレコーダ1は、目的とする環境状況を撮影するCCDカメラ11と、CCDカメラ11で撮影した画像情報を記録する記録手段15,16と、CCDカメラで撮影した画像情報等を表示するモニター20と、自動車事故の発生を検知するセンサ22と、記録手段15,16やモニター20等を制御する制御回路18と、CCDカメラ11、記録手段15,16、モニター20及び制御回路18に電力を供給する電源23,24と、を備え、これらの構成部品が一つの小型筐体1Aに全て収容されている。
【0009】
ドライブレコーダ1の筐体1Aは、車両走行時の主として前方の状況を撮影するために、たとえば図3に示すように室内のルームミラー2の裏面にブラケット1Bを用いて装着される。または、図示は省略するが室内のインストルメントパネルの上面、フロント窓ガラス、リヤ窓ガラス、リヤパーセルの上面などの適宜箇所にテープなどの固定手段を用いて装着される。これらは何れも着脱可能な手段であって、自動車事故が発生した現場においてもドライブレコーダ1を車両から取り外すことができる。
【0010】
なお、筐体1Aとブラケット1Bとの間には、ブラケット1Bに対して筐体1Aが揺動可能なようにユニバーサルジョイントなどの自在継手が介装されている。これにより、ブラケット1Bが被着体であるルームミラー2に固定されても、筐体1Aの角度を調節してCCDカメラ11による視野を適宜の範囲に設定することができる。
【0011】
本発明の変形例として、ブラケット1Bを省略して筐体1Aをルームミラー2に固定し、ルームミラー2を車体に対して着脱可能に構成してもよい。また、筐体1Aをルームミラー2の筐体で構成し、ルームミラー2の筐体内に上記撮影画像記録再生装置の構成部品を内蔵しても良い。この場合も、ルームミラー2を車体に対して着脱可能に構成する。
【0012】
なお、図示は省略するが、本例のドライブレコーダ1には、筐体1Aのブラケット1Bが被着体であるルームミラー2に装着されているか取り外されているかを検出するセンサが設けられており、このセンサにより筐体1A側がルームミラー2から取り外されていることが検出されたら、ドライブレコーダモードからビデオカメラモードに切り替わるようになっている。
【0013】
CCDカメラ11で撮影されたアナログ画像データ(ビデオ信号)は、A/D変換器12でデジタル信号に変換され、デコーダ13で暗号処理され、さらに画像圧縮回路14で所定の圧縮率に画像圧縮されてからランダムアクセスメモリ15に記録される。なお、これと同時に、制御回路18に内蔵された時計19からの年月日及び時刻情報も画像情報に同期してランダムアクセスメモリ15に記録される。また、筐体1Aにマイクロホンとスピーカを設け、画像情報に同期して環境音声を記録し、出力しても良い。
【0014】
ランダムアクセスメモリ15は複数枚用意されていて、最新の情報を記録する時には、時間的に最古の情報は消去され、エンドレスにたえず最新の情報を記録するように制御回路18により制御される。この場合、記録のタイミングは任意の同期で設定することができる。また、音声信号をも同時に記録する場合も同様に更新させる。
【0015】
センサ22としては、本例では所定以上の衝撃の有無を検出する衝突センサを用いることができる。ただし、本発明の撮影画像記録再生装置として用いられるセンサには衝突センサ以外にも、音センサ、光センサ、タッチセンサ、モーションセンサ、温度センサ、湿度センサ、水漏れセンサ、濃度センサ、臭いセンサ、重量センサ、引っ張りセンサ、プッシュセンサ等のセンサを、目的に応じて適用することができ、これらのセンサを一つ又は二つ以上組み合わせて構成することもできる。
【0016】
センサ22からの衝突信号は制御回路18に送出され、制御回路18はこれを契機にして、それ以後の一定時間経過後におけるランダムアクセスメモリ15に書き込み禁止命令を送出し、それ以後の各情報の記録を停止させる。これと同時に停止直前及び直後の最新の記録情報をランダムアクセスメモリ15からフラッシュメモリ16に転送して記録し、事故発生時に電源が遮断されることがあっても、記録情報が消去されないようにする。
【0017】
モニター20は、ランダムアクセスメモリ15に時々刻々記録される現在撮影中の画像をエンコーダ17で復号化(圧縮画像情報の伸張等)したのちリアルタイムで表示したり、フラッシュメモリ16に転送された画像を同じくエンコーダ17で複合化したのち表示したりする。これらの指令は制御回路18から実行される。
【0018】
また、ランダムアクセスメモリ15又はフラッシュメモリ16に記録された画像は、モニター20に表示する以外にも、ビデオ出力端子21を介して外部の表示装置に出力することができる。また、ルームミラー2の筐体内に本発明の撮影画像記録再生装置の部品を内蔵した場合、モニターをルームミラーのミラー面と共用しても良い。
【0019】
本例の電源手段としては、筐体1Aに内蔵される一次電池又は二次電池23が望ましいが、これ以外にも自動車のバッテリから供給される電力を外部電源端子24から入力することができる。
【0020】
事故解析を行うにあたっては、フラッシュメモリ16に記録された情報をエンコーダ17で復号化処理し、これをその現場で、モニター20に事故直前及び直後の画像及び時刻、並びにマイクロホンを設けた場合には音声信号を再生することができる。
【0021】
図2は上述した本例のドライブレコーダ1の動作フローチャートである。
【0022】
同図において、ステップS0ではブラケット1Bがルームミラー2に装着されているか、取り外されているかどうかを図示しないセンサで検出し、ブラケット1Bがルームミラー2に装着されているときはドライブレコーダモード、取り外されているときはビデオカメラモードとしてそれぞれ機能するように制御回路18へ指令信号を送出する。
【0023】
そして、ステップS0においてドライブレコーダモードであると判断されたときはステップS1へ進む。
【0024】
ステップS1ではCCDカメラ11により車両前方の画像を撮影し、ステップS2でその画像の上述した信号処理を行なって時計19による時刻とともにメモリ(RAM)15に記録する。マイクロホンを設けた場合には音声信号をもメモリ15に記録する。
【0025】
ステップS3では衝突センサ22が作動するか否かを判定し、作動しない時はステップS1に戻るが、作動すればステップS4でランダムアクセスメモリ15の記録情報をフラッシュメモリ16に転送して記録し、ステップS5で再生指令信号が入力されたら、ステップS6でフラッシュメモリ16の記録情報の画像をモニター20に再生する。
【0026】
なお、ステップS0においてビデオカメラモードであると判断されたときはステップS7へ進み、制御回路18においてセンサ22からの入力信号をキャンセルするとともに、図3及び図4に示す各種ボタン群25の中の撮影ボタンをマニュアル操作することで、周囲の映像を撮影することができる。たとえば、交通事故が発生した際に自動車の破損状況や周囲の状況をマニュアル撮影することができ、この画像情報はRAM15を介してフラッシュメモリ16の空き領域に記録される。
【0027】
図3及び図4に本例の撮影画像記録再生装置1の外観を示す。図3に示すように、略直方体状の筐体1Aの前面にカメラ11が設けられ、上面にモニター20が倒立可能に設けられている。図3はモニター20を倒して収納した状態、図4はモニター20を倒立させた状態を示す。また、筐体1Aの上面には、撮影画像の再生を行う際の各種ボタン群25が設けられ、再生、一時停止、巻き戻し、早送り、停止などの各種操作指令を入力することができる。符号26は電池23を入れるための蓋である。
【0028】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る撮影画像記録装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すドライブレコーダの動作フローチャートである。
【図3】図1に示すドライブレコーダの車両への装着例を示す正面図である。
【図4】図1に示すドライブレコーダの車両への装着例を示す背面図である。
【符号の説明】
【0030】
1…ドライブレコーダ
1A…筐体
1B…ブラケット
11…CCDカメラ
15…RAM
16…フラッシュメモリ
18…制御回路
20…モニター
22…センサ
23…電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偶発的な出来事の直前又は前後の環境映像を記録する撮影画像記録再生装置であって、
筐体と、
前記筐体に設けられて目的とする環境を撮影するカメラと、
前記筐体に設けられて前記カメラで撮影したときの年月日及び時刻を計測する時計と、
前記筐体に設けられ、前記カメラで撮影した画像情報と前記時計で計測した年月日及び時刻を同期して順次記録するとともに容量オーバーしたときは時間的に最古の画像情報を消去して最新の画像情報に更新する記録手段と、
前記筐体に設けられて前記偶発的な出来事の発生を検知するセンサと、
前記筐体に設けられて前記カメラで撮影した画像情報又は前記記録手段に記録した画像情報を表示するモニターと、
前記筐体に設けられ、前記カメラ、前記時計、前記記録手段及び前記モニターを制御する制御手段と、
前記筐体に設けられ、前記カメラ、前記時計、前記記録手段、前記モニター及び前記制御手段に電力を供給する電源と、を備え、
前記筐体が被着体に着脱可能に設けられていることを特徴とする撮影画像記録再生装置。
【請求項2】
前記筐体を前記被着体に着脱可能に設けるブラケットを有することを特徴とする請求項1記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項3】
前記筐体に、前記記録手段に記録された画像情報を外部へ出力する出力端子が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項4】
前記筐体に設けられ、環境の音声を入力するマイクロホンと、
前記マイクロホンから入力された音声信号を、前記カメラで撮影した画像情報に同期させて記録する記録手段と、
前記記録手段に記録された音声信号を出力するスピーカとを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項5】
前記偶発的な出来事が自動車事故であって、前記筐体の被着体が自動車のルームミラー、自動車のインストルメントパネル、自動車のフロントもしくはリヤ窓ガラスまたは自動車のリヤパーセルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項6】
前記偶発的な出来事が自動車事故であって、前記筐体が前記自動車のルームミラーに内蔵または固定され、前記被着体が自動車であって前記ルームミラーが自動車に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項7】
前記ルームミラーのミラー面が前記モニターと共用されていることを特徴とする請求項6記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項8】
前記偶発的な出来事が自動車事故であって、前記筐体が二輪車の前部に設けられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項9】
前記偶発的な出来事が盗難事件であって、前記筐体が家屋に設けられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項10】
前記偶発的な出来事が火災事件であって、前記筐体が家屋に設けられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項11】
前記センサは、衝突センサ、音センサ、光センサ、タッチセンサ、モーションセンサ、温度センサ、湿度センサ、水漏れセンサ、濃度センサ、臭いセンサ、重量センサ、引っ張りセンサ、プッシュセンサの一つ又は二つ以上で構成されることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項12】
前記電源手段は、一次電池、二次電池又は外部電源からの電力を入力する外部電源端子であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。
【請求項13】
前記筐体が前記被着体に装着されているかどうかを検出する手段をさらに備え、当該手段により前記筐体が前記被着体から取り外されていると判断されたときは、前記偶発的な出来事の発生を検知するセンサからの入力信号をキャンセルしてマニュアル操作により撮影可能なビデオカメラモードに切り替わることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の撮影画像記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−140334(P2008−140334A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328505(P2006−328505)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(591103298)アサヒリサーチ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】