説明

撮影装置

【課題】必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる撮影装置を得る。
【解決手段】CPU40により、撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影によって得られた第1の画像情報をメモリカード52に記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影によって得られた第2の画像情報を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとしてメモリカード52に記憶するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に係り、特に、被写体を撮像して被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段を有する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)エリアセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の固体撮像素子の高解像度化に伴い、デジタル電子スチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant,携帯情報端末)等の撮影機能を有する情報機器の需要が急増している。なお、以上のような撮影機能を有する情報機器をデジタルカメラと総称する。
【0003】
ところで、このようなデジタルカメラにおいて、手ぶれによる画像のぼけを補正するための技術として、特許文献1には、得られたデジタルフレーム画像を逐次比較し動き検出を行い、この量に応じて光学的にレンズを可動制御することにより、ぶれの影響を抑制する技術が開示されている。この技術によれば、カメラをしっかりと固定せずに、あるいは固定できない状況で撮影を行う際の手ぶれの影響を抑制でき、手ぶれにより生じる画像のぼけを抑えることができる。
【0004】
しかしながら、この技術のように、レンズを光学的に可動とすることでぶれ補正を行う場合、光学部品そのものが大きくなり、また光学精度を確保するために精密な加工、調整が必要となり、高価なシステムとなってしまう、という問題や、1サンプリング時間内で画素の混合が起こるような、動き検出の限界を超えたぶれに対しての補正は難しく、またCCDの画素数が増えるとレンズ等の光学精度に対する要求も厳しくなってしまう、という問題があった。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、特許文献2には、本来目的とする主画像と合わせて、シャッター速度を速くした副画像を取得し、この副画像から得た情報を記録し、あるいは演算によってぶれを補正した主画像を得る技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−145662号公報
【特許文献2】特開2001−346093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に開示されている技術では、副画像を主画像と同じ画素数のものとして取得しているため、当該副画像を示す情報を用いた処理を実行するために必要とされるメモリ容量が比較的多く必要である、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の撮影装置は、被写体を撮像して被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、前記撮像手段により撮影を行うことによって得られた画像情報を記憶する記憶手段と、前記撮像手段により撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影により前記撮像手段によって得られた第1の画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影により前記撮像手段によって得られた第2の画像情報を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして前記記憶手段に記憶するように制御する制御手段と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の撮影装置によれば、撮像手段によって被写体が撮像されて被写体像を示す画像情報が取得され、当該画像情報が記憶手段によって記憶される。なお、上記撮像手段には、CCDエリアセンサ、CMOSイメージ・センサ等の固体撮像素子が含まれる。また、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、フレキシブルディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置等が含まれる。
【0010】
ここで、本発明では、制御手段により、前記撮像手段により撮影を行う際に通常の撮影が行われると共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影が行われるように制御され、前記通常の撮影により前記撮像手段によって得られた第1の画像情報が前記記憶手段に記憶されると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影により前記撮像手段によって得られた第2の画像情報が前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして前記記憶手段に記憶されるように制御される。
【0011】
このように、請求項1に記載の撮影装置によれば、撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影によって得られた第1の画像情報を記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影によって得られた第2の画像情報を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして記憶するように制御しているので、記憶した第2の画像情報を用いて第1の画像情報により示される画像のぼけを補正することにより、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0012】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記撮像手段が、原色又は補色のカラーフィルタが設けられている受光素子とカラーフィルタが設けられていない受光素子とを有するものであり、前記制御手段が、前記第1の画像情報として前記原色又は補色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として前記カラーフィルタが設けられていない受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御するものとしてもよい。これにより、カラーフィルタが設けられていない受光素子によって得られた画像情報は、カラーフィルタが設けられている受光素子によって得られた画像情報に比較して高感度のものであるため、より高精度に手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記撮像手段が、原色又は補色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものであり、前記制御手段が、前記第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として一部の色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御するものとしてもよい。これにより、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0014】
ところで、被写体の色温度が高いほど、撮影によって得られる画像情報は青の光量が多いものとなる。
【0015】
そこで、本発明は、請求項4に記載の発明のように、撮影時における前記被写体の色温度を示す色温度情報を取得する取得手段を更に備え、前記撮像手段が、赤、緑、青の各原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものであり、前記制御手段が、前記第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として、前記色温度情報により示される色温度が所定温度以上である場合に青のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御し、前記色温度が前記所定温度未満である場合に緑のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御するものとしてもよい。これにより、より高精度に手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0016】
一方、被写体の色温度が低いほど、撮影によって得られる画像情報は赤の光量が多いものとなる。
【0017】
そこで、本発明は、請求項5に記載の発明のように、撮影時における前記被写体の色温度を示す色温度情報を取得する取得手段を更に備え、前記撮像手段が、赤、緑、青の各原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものであり、前記制御手段が、前記第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として、前記色温度情報により示される色温度が所定温度未満である場合に赤のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御し、前記色温度が前記所定温度以上である場合に緑のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御するものとしてもよい。これにより、より高精度に手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0018】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記撮像手段が、インターレース方式により画像情報を読み出すものであり、前記制御手段が、前記第1の画像情報として1フレーム分の全ての画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として1フレームの画像を構成するフィールド数未満のフィールド分の画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御するものとしてもよい。これにより、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0019】
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件が、前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び前記通常の撮影における撮影条件より高い感度の少なくとも一方の条件であるものとしてもよい。これにより、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0020】
更に、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度が、予め固定値として定められたシャッター速度であるものとしてもよい。これにより、シャッター速度を可変にする場合に比較して、より簡易に本発明を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影によって得られた第1の画像情報を記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影によって得られた第2の画像情報を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして記憶するように制御しているので、記憶した第2の画像情報を用いて第1の画像情報により示される画像のぼけを補正することにより、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、静止画像の撮影を行うデジタル電子スチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」という。)に適用した場合について説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の外観上の構成を説明する。
【0024】
デジタルカメラ10の正面には、被写体像を結像させるためのレンズ21と、撮影時に必要に応じて被写体に照射する光(撮影補助光)を発するストロボ44と、撮影する被写体の構図を決定するために用いられるファインダ20と、が備えられている。また、デジタルカメラ10の上面には、撮影を実行する際に押圧操作されるレリーズスイッチ(所謂シャッター)56Aと、電源スイッチ56Bと、モード切替スイッチ56Cと、が備えられている。
【0025】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10のレリーズスイッチ56Aは、中間位置まで押下される状態(以下、「半押し状態」という。)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、「全押し状態」という。)と、の2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。
【0026】
そして、デジタルカメラ10では、レリーズスイッチ56Aを半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッター速度、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると露光(撮影)が行われる。
【0027】
また、モード切替スイッチ56Cは、撮影を行うモードである撮影モード及び被写体像を後述するLCD38に再生するモードである再生モードの何れかのモードに設定する際に回転操作される。
【0028】
一方、デジタルカメラ10の背面には、前述のファインダ20の接眼部と、撮影された被写体像やメニュー画面等を表示する液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)38と、十字カーソルスイッチ56Dと、が備えられている。なお、十字カーソルスイッチ56Dは、LCD38の表示領域における上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キーを含んで構成されている。
【0029】
更に、デジタルカメラ10の背面には、LCD38にメニュー画面を表示させるときに押圧操作されるメニュースイッチと、それまでの操作内容を確定するときに押圧操作される決定スイッチと、直前の操作内容をキャンセルするときに押圧操作されるキャンセルスイッチとが備えられている。
【0030】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の電気系の要部構成を説明する。
【0031】
デジタルカメラ10は、前述のレンズ21を含んで構成された光学ユニット22と、レンズ21の光軸後方に配設された電荷結合素子(以下、「CCD」という。)24と、入力されたアナログ信号に対して各種のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部26と、を含んで構成されている。
【0032】
なお、本実施の形態に係るCCD24は、R(赤),G(緑),B(青)の各原色のカラーフィルタが設けられている受光素子とカラーフィルタが設けられていない受光素子とを有し、原色のカラーフィルタが設けられている受光素子によって得られた画像情報(以下、「原色画像情報」という。)と、カラーフィルタが設けられていない受光素子によって得られた画像情報(以下、「フィルタ無し画像情報」という。)の双方を取得することができるものとされている。ここで、上記カラーフィルタが設けられていない受光素子は、上記R,G,Bの各原色のカラーフィルタが設けられている一組の受光素子毎に1つの受光素子が割り当てられている。従って、1画像当たりのフィルタ無し画像情報の情報量は、原色画像情報に比較して大幅に少ないものとされている。
【0033】
また、本実施の形態に係るCCD24は、インターレース方式により1フレーム分の画像情報を示すアナログ信号を複数のフィールド(本実施の形態では、2フィールド)に分けて読み出すものとされている。
【0034】
一方、デジタルカメラ10は、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)28と、入力されたデジタルデータに対して各種のデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部30と、を含んで構成されている。
【0035】
なお、デジタル信号処理部30は、所定容量のラインバッファを内蔵し、入力されたデジタルデータを後述するメモリ48の所定領域に直接記憶させる制御も行う。
【0036】
CCD24の出力端はアナログ信号処理部26の入力端に、アナログ信号処理部26の出力端はADC28の入力端に、ADC28の出力端はデジタル信号処理部30の入力端に、各々接続されている。従って、CCD24から出力された被写体像を示すアナログ信号はアナログ信号処理部26によって所定のアナログ信号処理が施され、ADC28によってデジタル画像データ(以下、「画像情報」ともいう。)に変換された後にデジタル信号処理部30に入力される。
【0037】
一方、デジタルカメラ10は、被写体像やメニュー画面等をLCD38に表示させるための信号を生成してLCD38に供給するLCDインタフェース36と、デジタルカメラ10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40と、撮影により得られたデジタル画像データ等を一時的に記憶するメモリ48と、メモリ48に対するアクセスの制御を行うメモリインタフェース46と、を含んで構成されている。
【0038】
更に、デジタルカメラ10は、可搬型のメモリカード52をデジタルカメラ10でアクセス可能とするための外部メモリインタフェース50と、デジタル画像データに対する圧縮処理及び伸張処理を行う圧縮・伸張処理回路54と、を含んで構成されている。
【0039】
なお、本実施の形態のデジタルカメラ10では、メモリ48としてフラッシュ・メモリ(Flash Memory)が用いられ、メモリカード52としてスマート・メディア(Smart Media(登録商標))が用いられている。
【0040】
デジタル信号処理部30、LCDインタフェース36、CPU40、メモリインタフェース46、外部メモリインタフェース50及び圧縮・伸張処理回路54はシステムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU40は、デジタル信号処理部30及び圧縮・伸張処理回路54の作動の制御、LCD38に対するLCDインタフェース36を介した各種情報の表示、メモリ48及びメモリカード52へのメモリインタフェース46ないし外部メモリインタフェース50を介したアクセスを各々行うことができる。
【0041】
一方、デジタルカメラ10には、主としてCCD24を駆動させるためのタイミング信号を生成してCCD24に供給するタイミングジェネレータ32が備えられており、CCD24の駆動はCPU40によりタイミングジェネレータ32を介して制御される。
【0042】
更に、デジタルカメラ10にはモータ駆動部34が備えられており、光学ユニット22に備えられた図示しない焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータの駆動もCPU40によりモータ駆動部34を介して制御される。
【0043】
すなわち、本実施の形態に係るレンズ21は複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。このレンズ駆動機構に上記焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータは含まれるものであり、これらのモータは各々CPU40の制御によりモータ駆動部34から供給された駆動信号によって駆動される。
【0044】
更に、前述のレリーズスイッチ56A、電源スイッチ56B、モード切替スイッチ56C、十字カーソルスイッチ56D、メニュースイッチ等の各種スイッチ(同図では、「操作部56」と総称。)はCPU40に接続されており、CPU40は、これらの操作部56に対する操作状態を常時把握できる。
【0045】
また、デジタルカメラ10には、ストロボ44とCPU40との間に介在されると共に、CPU40の制御によりストロボ44を発光させるための電力を充電する充電部42が備えられている。更に、ストロボ44はCPU40にも接続されており、ストロボ44の発光はCPU40によって制御される。
【0046】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10は、CCD24による撮影感度を、予め定められた複数種類(本実施の形態では、ISO100,ISO200,ISO400,ISO800,ISO1600,ISO3200の6種類)から選択的に設定する機能を有している。ここで、デジタルカメラ10では、撮影感度の設定を、メニュースイッチを押圧操作することによりLCD38に表示されるメニュー画面上で行うものとされているが、例えば、撮影感度設定用の専用のスイッチを設けておき、当該スイッチを操作することにより設定する形態等、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0047】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10は、レリーズスイッチ56Aが全押し状態とされたときに、ユーザにより設定された撮影条件により通常の撮影を行う通常撮影モードと、当該通常撮影モードによる撮影と同様の通常の撮影を行うと同時又は略同時に、当該通常の撮影を行う際の撮影条件に比較して、手ぶれの発生を抑制することができる撮影条件で撮影を行い、これらの2回の撮影によって得られたデジタル画像データを記録する手ぶれ対策撮影モードの何れか一方を選択的に実行させる機能を有している。
【0048】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記手ぶれの発生を抑制することができる撮影条件として、シャッター速度を予め固定値として定められた速度(ここでは、デジタルカメラ10で設定し得る最大シャッター速度を適用しており、以下、「固定シャッター速度」という。)とし、かつ固定シャッター速度が設定されている状態において設定し得る最大撮影感度とする条件を適用しているが、これに限らず、通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件であれば如何なる条件も適用することができる。
【0049】
なお、上記撮影感度を調節する方法としては、アナログ信号処理部26に対し、CCD24から出力された画像信号を増幅する増幅器を内蔵しておき、当該増幅器による画像信号の増幅率を調節する方法、光学ユニット22に設けられている絞りを調節する方法、及びこれらの2つの調節方法を組み合わせて調節する方法を例示することができる。
【0050】
撮影感度を調節する方法として、上記増幅器による画像信号の増幅率を調節する方法を適用する場合、デジタルカメラには、通常、撮像素子から出力された画像信号の各色信号についてのゲインを補正するゲインコントロールアンプ(GCA)が設けられているので、当該GCAを利用して感度の調節を行うように構成すると、コストアップを招くことなく撮影感度を調節することができ、好ましい。また、撮影感度を調節する方法として、上記2つの調節方法を組み合わせて調節する方法を適用する場合には、何れか一方の調節方法のみを適用する場合に比較して、調節できる感度の範囲が広がり、利便性を向上させることができる。本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記2つの調節方法を組み合わせて調節する方法を適用している。
【0051】
ここで、デジタルカメラ10では、通常撮影モード又は手ぶれ対策撮影モードへの切替設定を、メニュースイッチを押圧操作することによりLCD38に表示されるメニュー画面上で行うものとされているが、例えば、撮影モード設定用の専用のスイッチを設けておき、当該スイッチを操作することにより設定する形態等、これに限るものでないことは言うまでもない。なお、以下では、通常撮影モードが設定されている場合の通常の撮影によって得られた画像を「主画像」といい、手ぶれ対策撮影モードが設定されている場合の撮影によって得られた画像を「副画像」という。
【0052】
次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の通常撮影モードが設定されている場合における撮影時の全体的な動作について簡単に説明する。
【0053】
まず、CCD24は、光学ユニット22を介した撮像を行い、被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)毎のアナログ信号をアナログ信号処理部26に順次出力する。アナログ信号処理部26は、CCD24から入力されたアナログ信号に対して相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を施した後にADC28に順次出力する。
【0054】
ADC28は、アナログ信号処理部26から入力されたR、G、B毎のアナログ信号を各々12ビットのR、G、Bの信号(デジタル画像データ)に変換してデジタル信号処理部30に順次出力する。デジタル信号処理部30は、内蔵しているラインバッファにADC28から順次入力されるデジタル画像データを蓄積して一旦メモリ48の所定領域に直接格納する。
【0055】
メモリ48の所定領域に格納されたデジタル画像データは、CPU40による制御に応じてデジタル信号処理部30により読み出され、所定の物理量に応じたR,G,B毎のデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行うと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行って8ビットのデジタル画像データを生成する。
【0056】
そして、デジタル信号処理部30は、生成した8ビットのデジタル画像データに対しYC信号処理を施して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成し、YC信号をメモリ48の上記所定領域とは異なる領域に格納する。
【0057】
なお、LCD38は、CCD24による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができるものとして構成されており、LCD38をファインダとして使用する場合には、生成したYC信号を、LCDインタフェース36を介して順次LCD38に出力する。これによってLCD38にスルー画像が表示されることになる。
【0058】
ここで、レリーズスイッチ56Aがユーザによって半押し状態とされたタイミングで前述のようにAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態とされたタイミングで、その時点でメモリ48に格納されているYC信号を、圧縮・伸張処理回路54によって所定の圧縮形式(本実施の形態では、JPEG形式)で圧縮した後に外部メモリインタフェース50を介してメモリカード52に電子化ファイル(画像ファイル)として記録する。
【0059】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の手ぶれ対策撮影モードが設定されている場合における撮影時の動作について説明する。なお、図3は、手ぶれ対策撮影モードが設定されており、かつレリーズスイッチ56Aが半押し状態を経て全押し状態とされたときにデジタルカメラ10のCPU40によって実行される撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ48の所定領域に予め記憶されている。
【0060】
まず、ステップ100では、予め定められた副画像撮影用の撮影条件(本実施の形態では、固定シャッター速度及び上記最大撮影感度とする条件)を設定し、次のステップ102では、上記副画像撮影用の撮影条件が設定された状態下で副画像を記録する撮影処理(本実施の形態では、フィルタ無し画像情報のみを電子化ファイルとしてメモリカード52に記録する処理)を実行する。
【0061】
次のステップ104では、通常撮影モードが設定されている場合と同様に、AE機能を実行することによって露出状態を設定した後、AF機能を実行することによって合焦制御し、次のステップ106では、通常撮影モードが設定されている場合と同様に、主画像を記録する撮影処理(本実施の形態では、原色画像情報のみを電子化ファイルとしてメモリカード52に記録する処理)を実行し、その後に本撮影処理プログラムを終了する。
【0062】
図4には、本撮影処理プログラムの実行によるデジタルカメラ10の状態推移が模式的に示されている。なお、同図における‘MV’はスルー画像を表示している状態を表し、‘AE/AF’はAE機能及びAF機能の実行を表し、‘1FLD’はCCD24からの1フィールド目の読み出し期間を表し、‘2FLD’はCCD24からの2フィールド目の読み出し期間を表し、更に‘AVF’はCCD24の垂直同期信号を表す。
【0063】
同図に示されるように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、副画像の画像情報として、副画像撮影用の撮影条件が設定された状態下でCCD24から読み出された全フィールド分(ここでは、2フィールド分)の画像情報(フィルタ無し画像情報)がメモリカード52に記録された後、主画像の画像情報として、通常撮影時の撮影条件が設定された状態下でCCD24から読み出された全フィールド分(ここでは、2フィールド分)の画像情報(原色画像情報)がメモリカード52に記録される。
【0064】
なお、以上の処理によってメモリカード52に記録された副画像の画像情報は、CPU40の制御下で主画像のシャープネスを回復させる処理を行うことにより、手ぶれによる主画像のぼけを補正するために用いられる。
【0065】
この際のシャープネスを回復させる処理として、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、副画像を示す画像情報に基づいて当該副画像のエッジ画像を抽出し、主画像における当該エッジ画像に対応する領域の画像を、一例として図5に示されるように副画像のエッジ画像と同程度の空間周波数分布となるように強調するシャープネス処理を、主画像を示す画像情報に施す処理を適用している。
【0066】
なお、主画像のシャープネスを回復させる処理は、以上の処理に限らず、例えば、主画像の画像全体の空間周波数分布が副画像の画像全体の空間周波数分布と同様の分布状態となるように主画像を示す画像情報にシャープネス処理を施す処理等、副画像の画像情報を用いたシャープネスを回復させる処理であれば、如何なる処理も適用することができる。また、このシャープネスを回復させる処理は、デジタルカメラ10のCPU40等が、撮影直後のタイミングや、撮影を行っていないタイミング等の予め定められたタイミングで自動的に実行するようにしてもよいし、一例として図5に示されるような主画像と副画像の空間周波数分布を示すグラフをLCD38により表示し、ユーザによる予め定められた操作部に対する操作に応じて、主画像の空間周波数分布を、当該主画像の空間周波数分布と副画像の空間周波数分布との間で調整可能とする形態とすることもできる。
【0067】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影によって得られた第1の画像情報(ここでは、原色画像情報)を記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影によって得られた第2の画像情報(ここでは、フィルタ無し画像情報)を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして記憶するように制御しているので、記憶した第2の画像情報を用いて第1の画像情報により示される画像のぼけを補正することにより、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、撮像手段(ここでは、CCD24)として、原色のカラーフィルタが設けられている受光素子とカラーフィルタが設けられていない受光素子とを有するものを適用し、制御手段(ここでは、CPU40)により、前記第1の画像情報として前記原色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を記憶手段(ここでは、メモリカード52)に記憶すると共に、前記第2の画像情報として前記カラーフィルタが設けられていない受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御しているので、カラーフィルタが設けられていない受光素子によって得られた画像情報は、カラーフィルタが設けられている受光素子によって得られた画像情報に比較して高感度のものであるため、より高精度に手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件として、通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び最大撮影感度の双方の条件を適用しているので、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0070】
更に、本実施の形態では、前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度を、予め固定値として定められたシャッター速度としているので、シャッター速度を可変にする場合に比較して、より簡易に本発明を実現することができる。
【0071】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、本発明の撮像手段として、原色のカラーフィルタが設けられている受光素子とカラーフィルタが設けられていない受光素子とを有するものを適用した場合の形態例について説明したが、本第2の実施の形態では、本発明の撮像手段として、原色のカラーフィルタが設けられている受光素子のみを有するものを適用した場合の形態例について説明する。
【0072】
なお、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成は、CCDの構成を除いて上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10(図1,図2参照。)と同様であるので、ここでは、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成の説明として、CCDの構成のみについて説明する。
【0073】
本第2の実施の形態に係るCCD24は、R,G,Bの各原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有し、原色のカラーフィルタが設けられている全ての受光素子によって得られた画像情報(以下、「全画像情報」という。)と、前記原色の何れか1色のカラーフィルタが設けられている受光素子によって得られた画像情報(以下、Rのカラーフィルタが設けられた受光素子によって得られた画像情報を「R画像情報」といい、Gのカラーフィルタが設けられた受光素子によって得られた画像情報を「G画像情報」といい、Bのカラーフィルタが設けられた受光素子によって得られた画像情報を「B画像情報」という。)の双方を取得することができるものとされている。
【0074】
なお、本実施の形態に係るCCD24が、インターレース方式により1フレーム分の画像情報を示すアナログ信号を複数のフィールド(本実施の形態では、2フィールド)に分けて読み出すものとされている点は上記第1の実施の形態に係るものと同様である。
【0075】
次に、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の動作について説明する。なお、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の動作は、手ぶれ対策撮影モードが設定されている場合における撮影時の動作以外については、上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10と同様であるので、ここでは、図6を参照して、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の手ぶれ対策撮影モードが設定されている場合における撮影時の動作について説明する。なお、図6は、手ぶれ対策撮影モードが設定されており、かつレリーズスイッチ56Aが半押し状態を経て全押し状態とされたときに本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10のCPU40によって実行される撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ48の所定領域に予め記憶されている。
【0076】
まず、ステップ200では、予め定められた副画像撮影用の撮影条件(本実施の形態では、固定シャッター速度及び上記最大撮影感度とする条件)を設定し、次のステップ202では、その時点の被写体の色温度を示す色温度情報を取得する。なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記色温度情報を、CCD24による撮像によって得られた画像情報に基づく輝度信号Yを用いて取得しているが、これに限らず、例えば、被写体の色温度を検出するためのセンサをデジタルカメラ10に設けておき、当該センサを用いて取得する形態等とすることもできることは言うまでもない。
【0077】
次のステップ204では、上記ステップ202の処理によって取得した色温度が予め定められた第1温度(本実施の形態では、9000K)以上であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ206に移行して、上記副画像撮影用の撮影条件が設定された状態下で副画像を記録する撮影処理(本実施の形態では、B画像情報のみを電子化ファイルとしてメモリカード52に記録する処理)を実行し、その後に後述するステップ210に移行する。
【0078】
一方、上記ステップ204において否定判定となった場合にはステップ208に移行し、上記副画像撮影用の撮影条件が設定された状態下で副画像を記録する撮影処理(本実施の形態では、G画像情報のみを電子化ファイルとしてメモリカード52に記録する処理)を実行し、その後にステップ210に移行する。
【0079】
ステップ210では、通常撮影モードが設定されている場合と同様に、AE機能を実行することによって露出状態を設定した後、AF機能を実行することによって合焦制御し、次のステップ212では、通常撮影モードが設定されている場合と同様に、主画像を記録する撮影処理(本実施の形態では、全画像情報を電子化ファイルとしてメモリカード52に記録する処理)を実行し、その後に本撮影処理プログラムを終了する。
【0080】
なお、以上の処理によってメモリカード52に記録された副画像の画像情報は、上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10と同様に、主画像のシャープネスを回復させるために用いられる。
【0081】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影によって得られた第1の画像情報(ここでは、全画像情報)を記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影によって得られた第2の画像情報(B画像情報又はG画像情報)を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして記憶するように制御しているので、記憶した第2の画像情報を用いて第1の画像情報により示される画像のぼけを補正することにより、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0082】
また、本実施の形態では、撮像手段(ここでは、CCD24)として、原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものを適用し、制御手段(ここでは、CPU40)により、第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を記憶手段(ここでは、メモリカード52)に記憶すると共に、第2の画像情報として一部の色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御しているので、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0083】
特に、本実施の形態では、制御手段により、前記第2の画像情報として、被写体の色温度を示す色温度情報により示される色温度が所定温度(ここでは、第1温度)以上である場合に青のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報(ここでは、B画像情報)を前記記憶手段に記憶するように制御し、前記色温度が前記所定温度未満である場合に緑のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報(ここでは、G画像情報)を前記記憶手段に記憶するように制御しているので、より高精度に手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件として、通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び最大撮影感度の双方の条件を適用しているので、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0085】
更に、本実施の形態では、前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度を、予め固定値として定められたシャッター速度としているので、シャッター速度を可変にする場合に比較して、より簡易に本発明を実現することができる。
【0086】
[第3の実施の形態]
本第3の実施の形態では、上記第2の実施の形態の変形例について説明する。
【0087】
なお、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成は、上記第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0088】
以下、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10の動作について説明する。なお、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10の動作も、手ぶれ対策撮影モードが設定されている場合における撮影時の動作以外については、上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10と同様であるので、ここでは、図7を参照して、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10の手ぶれ対策撮影モードが設定されている場合における撮影時の動作について説明する。なお、図7は、手ぶれ対策撮影モードが設定されており、かつレリーズスイッチ56Aが半押し状態を経て全押し状態とされたときに本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10のCPU40によって実行される撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、同図における図6と同一の処理を行うステップについては図6と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0089】
同図のステップ205では、ステップ202の処理によって取得した色温度が予め定められた第2温度(本実施の形態では、3200K)未満であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ207に移行して、上記副画像撮影用の撮影条件が設定された状態下で副画像を記録する撮影処理(本実施の形態では、R画像情報のみを電子化ファイルとしてメモリカード52に記録する処理)を実行し、その後にステップ210に移行する。なお、上記ステップ205において否定判定となった場合にはステップ208に移行する。
【0090】
なお、本撮影処理プログラムによってメモリカード52に記録された副画像の画像情報は、上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10と同様に、主画像のシャープネスを回復させるために用いられる。
【0091】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影によって得られた第1の画像情報(ここでは、全画像情報)を記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影によって得られた第2の画像情報(R画像情報又はG画像情報)を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして記憶するように制御しているので、記憶した第2の画像情報を用いて第1の画像情報により示される画像のぼけを補正することにより、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、撮像手段(ここでは、CCD24)として、原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものを適用し、制御手段(ここでは、CPU40)により、第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を記憶手段(ここでは、メモリカード52)に記憶すると共に、第2の画像情報として一部の色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御しているので、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0093】
特に、本実施の形態では、制御手段により、前記第2の画像情報として、被写体の色温度を示す色温度情報により示される色温度が所定温度(ここでは、第2温度)未満である場合に赤のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報(ここでは、R画像情報)を前記記憶手段に記憶するように制御し、前記色温度が前記所定温度以上である場合に緑のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報(ここでは、G画像情報)を前記記憶手段に記憶するように制御しているので、より高精度に手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件として、通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び最大撮影感度の双方の条件を適用しているので、より簡易に、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0095】
更に、本実施の形態では、前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度を、予め固定値として定められたシャッター速度としているので、シャッター速度を可変にする場合に比較して、より簡易に本発明を実現することができる。
【0096】
なお、上記各実施の形態に係るデジタルカメラでは、副画像を示す画像情報として1フレームの画像を構成する全てのフィールドの画像情報を記録する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、副画像を示す画像情報として1フレームの画像を構成するフィールド数未満のフィールド分の画像情報を記録する形態とすることもできる。
【0097】
図8は、1フレームの画像を構成するフィールド数が2であり、副画像を示す画像情報として1フィールド分のみの画像情報を記録する場合のデジタルカメラ10の状態推移の一例を示す模式図であり、図9は、1フレームの画像を構成するフィールド数が3であり、副画像を示す画像情報として2フィールド分のみの画像情報を記録する場合のデジタルカメラ10の状態推移の一例を示す模式図である。
【0098】
この場合も、必要とされるメモリ容量の増加を抑制しつつ、手ぶれによる画像のぼけを補正することができる。
【0099】
また、上記各実施の形態では、本発明の撮像手段として原色のカラーフィルタが設けられたCCDを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記原色のカラーフィルタに代えて、補色のカラーフィルタが設けられたCCDを適用する形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0100】
また、上記各実施の形態では、手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件として、通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び最大撮影感度の双方の条件を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び最大撮影感度の何れか一方の条件を適用する形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0101】
また、上記各実施の形態では、手ぶれ対策撮影モードにおける撮影時において副画像の撮影を行った後に主画像の撮影を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、主画像の撮影を行った後に副画像の撮影を行う形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0102】
その他、上記各実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成(図1,図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な構成要素を削除したり、新たな構成要素を追加したり、電気的な接続状態を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0103】
また、上記各実施の形態において説明した撮影処理プログラムの処理の流れ(図3,図6,図7参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、各ステップの処理順序の変更、処理内容の変更、不要なステップの削除、新たなステップの追加等を行うことができることは言うまでもない。
【0104】
更に、上記各実施の形態では、本発明をデジタル電子スチルカメラに適用した場合について説明したが、本発明は、PDA、携帯電話機等、撮影機能を有する情報機器であれば如何なるものにでも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す外観図である。
【図2】実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係る撮影処理プログラムの実行によるデジタルカメラの状態推移を示す模式図である。
【図5】実施の形態に係るデジタルカメラにより実行されるシャープネスを回復させる処理の説明に供するグラフである。
【図6】第2の実施の形態に係る撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態に係る撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係るデジタルカメラの変形例の状態推移を示す模式図である。
【図9】実施の形態に係るデジタルカメラの他の変形例の状態推移を示す模式図である。
【符号の説明】
【0106】
10 デジタルカメラ
24 CCD(撮像手段、取得手段)
40 CPU(制御手段)
52 メモリカード(記憶手段)
56 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影を行うことによって得られた画像情報を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により撮影を行う際に通常の撮影を行うと共に、当該通常の撮影より手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件で撮影を行うように制御し、前記通常の撮影により前記撮像手段によって得られた第1の画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件での撮影により前記撮像手段によって得られた第2の画像情報を前記第1の画像情報より情報量が少ないものとして前記記憶手段に記憶するように制御する制御手段と、
を備えた撮影装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、原色又は補色のカラーフィルタが設けられている受光素子とカラーフィルタが設けられていない受光素子とを有するものであり、
前記制御手段は、前記第1の画像情報として前記原色又は補色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として前記カラーフィルタが設けられていない受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御する
請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、原色又は補色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものであり、
前記制御手段は、前記第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として一部の色のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御する
請求項1記載の撮影装置。
【請求項4】
撮影時における前記被写体の色温度を示す色温度情報を取得する取得手段を更に備え、
前記撮像手段は、赤、緑、青の各原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものであり、
前記制御手段は、前記第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として、前記色温度情報により示される色温度が所定温度以上である場合に青のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御し、前記色温度が前記所定温度未満である場合に緑のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御する
請求項1記載の撮影装置。
【請求項5】
撮影時における前記被写体の色温度を示す色温度情報を取得する取得手段を更に備え、
前記撮像手段は、赤、緑、青の各原色のカラーフィルタが設けられている受光素子を有するものであり、
前記制御手段は、前記第1の画像情報として全ての受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として、前記色温度情報により示される色温度が所定温度未満である場合に赤のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御し、前記色温度が前記所定温度以上である場合に緑のカラーフィルタが設けられている受光素子により得られた画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御する
請求項1記載の撮影装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、インターレース方式により画像情報を読み出すものであり、
前記制御手段は、前記第1の画像情報として1フレーム分の全ての画像情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記第2の画像情報として1フレームの画像を構成するフィールド数未満のフィールド分の画像情報を前記記憶手段に記憶するように制御する
請求項1記載の撮影装置。
【請求項7】
前記手ぶれの発生を抑制することのできる撮影条件は、前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度、及び前記通常の撮影における撮影条件より高い感度の少なくとも一方の条件である
請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の撮影装置。
【請求項8】
前記通常の撮影における撮影条件より速いシャッター速度は、予め固定値として定められたシャッター速度である
請求項7記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−227840(P2008−227840A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62076(P2007−62076)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】