撮影装置
【課題】撮像装置の重量、慣性モーメント、又は重心に応じて精度よく手振れを補正する。
【解決手段】本発明は、振れを検出する振れ検出手段11と、撮影した画像を補正する補正手段21と、振れから低周波数成分を抑圧するハイパスフィルタ15と、振れから高周波数成分を抑圧するローパスフィルタ16と、振れを積分処理する積分手段17と、振れをゲイン調整するゲイン調整手段18と、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する手振れ帯域調整手段14とを備える。
【解決手段】本発明は、振れを検出する振れ検出手段11と、撮影した画像を補正する補正手段21と、振れから低周波数成分を抑圧するハイパスフィルタ15と、振れから高周波数成分を抑圧するローパスフィルタ16と、振れを積分処理する積分手段17と、振れをゲイン調整するゲイン調整手段18と、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する手振れ帯域調整手段14とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された画像の手振れ補正を行う手振れ補正装置が適用された撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラ等の撮像装置に適用され、撮像装置に生じた手振れを検出して、検出した手振れに応じて撮影した画像の手振れ補正を行う手振れ補正装置が一般的に知られている。
【0003】
この一般的な手振れ補正装置では、ビデオカメラ等の撮像装置に角速度センサ等の振動検出センサを備えており、この振動検出センサの出力値により手振れの振れ角速度を算出し、算出した振れ角速度を積分することによって振れ角度を算出する。そして、この振れ角度を打ち消すように補正量を算出し、算出した補正量に基づいて撮影光学系に配置された補正レンズを制御する、又は1フィールド単位でCCDやフィールドメモリからの画像読み出し位置を制御することによって、手振れ補正を行う。
【0004】
しかし、手振れの特性は、焦点距離や重量などの撮像装置の状態に密接に関連しており、一般的な手振れ補正装置では、この装置の状態に起因する手振れの特性を加味することなく、補正量を算出し、算出した補正量に基づいて手振れ補正制御を行っている。そのため、その装置の状態に応じて精度よく補正量を算出することができなかった。
【0005】
そこで、装置の状態として、特に焦点距離に応じて補正量を調整する画像動き補正装置が提案されている(特許文献1)。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載の画像動き補正装置は、手振れ補正するために必要な補正量が焦点距離に依存し、焦点距離が短いほど補正量が小さくなるような補正光学系を有する手振れ補正装置において、焦点距離に応じて手振れと判断する周波数の特性を変化させて、補正量を調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3575989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1に記載の画像動き補正装置では、焦点距離に応じて手振れと判断する周波数の特性を変化させて補正量を調整するものである。
【0009】
しかしながら、手振れの特性が変化するのは、焦点距離に限る話ではない。手振れは撮像装置の重量と密接に関係し、撮像装置が軽いと支えが安定しないため、手振れの振り幅が大きくなる。この場合、振り幅が小さく目立たなかった高周波数成分が、撮像装置が軽くなることで増幅されてしまい、ユーザーの目に付きやすくなり、ユーザーに不快な印象を与えてしまう。近年では記録メディアが多様化し、着脱可能なメモリーカード等の半導体メモリーや、重量比で半導体メモリーより数百倍重いハードディスクドライブ(HDD)を選択的に用いることも可能である。バッテリーに関しても同様で、撮影予定時間に応じて容量の異なる(重量比で通常用いるバッテリーより数倍重い)タイプを選択することが可能である。そのため、最終的な撮像装置の重量が使用用途により異なり、またグリップ位置に対しての重量バランスが変動するために慣性モーメントが変動し、同様にグリップ位置に対しての重量バランスが変動するために重心位置が変動することにより、手振れの性質が変化することになる。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、最終的な撮像装置の重量、慣性モーメントや重心位置に依存して、補正対象となる手振れの振れ幅や周波数帯域を調整し、高い精度の手振れ補正が実現可能な撮影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の1)〜5)に記載の手段よりなる。
【0012】
すなわち、
1)撮影装置に加わる振動を検出する振動検出部と、検出した前記振動のうち手振れ成分のみを取り出す手振れ成分検出部と、前記手振れ成分に基づいて手振れを補正する補正部と、撮影部と、撮影部で撮影した画像情報を記録するための記録媒体に接続するための第1の接続部と、撮影装置に電力を供給するためのバッテリーに接続するための第2の接続部とを有する撮影装置において、前記第1または前記第2の接続部に、着脱可能なそれぞれ識別情報を有する複数の記録媒体またはそれぞれ識別情報を有する複数のバッテリーを選択的に接続する場合に、接続された記録媒体またはバッテリーの識別情報に基づいて、接続された記録部または電力供給部の重量情報を取得し、前記重量情報に基づいて手振れを補正する補正部を制御することを特徴とする撮影装置。
【0013】
2)前記手振れ成分検出部はローパスフィルタを有し、前記重量が重いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【0014】
3)前記手振れ成分検出手段はハイパスフィルタを有し、前記重量が重いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【0015】
4)前記手振れ成分検出手段は積分フィルタを有し、前記重量が重いほど積分定数を高く設定し、前記重量が軽いほど積分定数を低く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【0016】
5)前記手振れ成分検出手段はゲイン調整を有し、前記重量が重いほどゲイン定数を低く設定し、前記重量が軽いほどゲイン定数を高く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明による撮影装置によれば、着脱可能な記録メディアやバッテリーを付加して総重量、慣性モーメントや重心位置等が変化した場合でも、安定した補正制御を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る手振れ補正装置の一実施形態の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図3】記憶部に記憶された製品重量テーブルの一例である。
【図4】撮像装置の重量と手振れ特性との関係を示した説明図である。
【図5】記憶部に記憶されたハイパスフィルタテーブルの一例である。
【図6】ハイパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【図7】記憶部に記憶されたローパスフィルタテーブルの一例である。
【図8】ローパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【図9】記憶部に記憶された積分定数テーブルの一例である。
【図10】撮像装置の重量と積分定数の関係を示した説明図である。
【図11】記憶部に記憶されたゲイン調整テーブルの一例である。
【図12】撮像装置の重量とゲイン定数との関係を示した説明図である。
【図13】TG部を介してCCD部からの画像の読み出し位置と、信号処理されフィールドメモリに格納された画像の読み出し位置を制御することで手振れを補正する手振れ補正装置のブロック図である。
【図14】撮像装置の重心、慣性モーメントの変動を示した説明図である。
【図15】実施例3に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図16】実施例4に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は上記目的を達するため、振動検出手段により振動を検出し、ここから出力される検出信号から手振れと考える手振れ成分のみを検出し、この手振れ成分を補正する手振れ補正装置において、外付け機器を含めた装置の総重量等を検出し、この重量等により手振れと判断する周波数や振り幅等を変えることを特徴とする。
【0020】
撮像装置は、撮像装置で撮影した映像情報等を記憶するための記録メディアや、撮像装置に電源を供給するバッテリーが着脱可能な状態で接続されるようになっており、記録メディアは4GBの容量のSDカード(固体メモリー)と、60GBの1.8インチのHDDが選択的にまたは同時に記録を可能とする構成となっている。SDカード(固体メモリー)と、60GBの1.8インチのHDDでは、数グラムと数百グラムの差があり、大きさも大幅に異なるので、撮像装置のグリップの位置とそれぞれの記録メディアの位置関係によって、装着されている状態とそうでない状態での、グリップ位置に対する慣性モーメントと、グリップ位置に対する重心位置は大きく異なる。1.8インチのHDDは2枚の磁気ディスクを用いた60GBのものと、1枚の磁気ディスクを用いた30GBのものも選択可能である。近年の高密度の磁気ディスクはガラスディスクを用いており、枚数の違いによって、磁気ヘッドの数も異なることもあり重量の差は無視できない程度に大きい。
【0021】
また、バッテリーについても、記録可能時間が異なる複数のバッテリーの着脱が可能であり、バッテリーは一般的には、バッテリーの記録可能時間の種類によって大きさが異なることから、撮像装置の外部にバッテリーの一部が露出する構造になる場合が多く、装着されたバッテリーの種類によって、重量又は慣性モーメント又は重心位置等が変動する。
【0022】
CPUブロックではまず外付けの記録メディアやバッテリーを含む撮像装置の重量、慣性モーメントや重心位置等を算出する。そのためには、まず該撮像装置に接続されている記録メディアやバッテリーの種類を確認する。確認の方法として、記録メディアの場合には、CPUからそれぞれの記録メディアの間で通信を行うことにより、装着されているかの確認と共に、装着されている機器(HDD等)のモデル名等の固体識別情報を読み出す。バッテリーにおいても、個々のバッテリーに組み込まれたバッテリーの充電量を制御する用途等で用いられるマイコンと通信を行うことにより、バッテリーの種類やモデル名等の情報を読み出して特定する。
【0023】
そして、予め撮像装置のROM領域に保持している対応する機器の重量又は慣性モーメント又は重心位置に関する情報を読み出し、これを撮像装置自身の重量に加算して総重量を求め、また慣性モーメント又は重心位置に関する情報から慣性モーメントの変動、重心位置の変動を求める。総重量が重ければ安定しているため、手振れの振り幅は小さく、また、高域の周波数帯域も目立たない。逆に、軽ければ、手振れの振り幅は大きく、高域周波数帯域の振れが目立ち始める。慣性モーメントの変動、重心位置の変動についても同様な考え方が適用できる。
【0024】
以下、本発明に係る手振れ補正装置の発明を実施するための最良の形態につき、好ましい実施例により説明する。
【0025】
<実施例1>
本実施例では、撮像装置の重量に応じて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて光学系を駆動させることにより手振れ補正を行う手振れ補正装置を例に挙げて説明する。
【0026】
なお、手振れ補正手段はこれに限らず、フィールドメモリに格納された画像の読み出し位置を制御する手段を用いてもよい。
【0027】
図1は、本実施例に適用される手振れ補正装置の一実施形態を示したブロック図である。
【0028】
本実施例の手振れ補正装置は、撮像装置に生じる振れを所定の振れ検出時間毎に検出し角速度信号を出力する角速度センサ11と、ノイズとみなす高周波成分、直流オフセット成分を除去した信号を増幅する帯域制限アンプ部12と、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部13と、手振れ補正制御の中枢処理を行うCPU2と、CPU2からの信号に基づいて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて補正光学系21を制御する補正制御部20と、脱着可能なバッテリーやハードディスクドライブ(以下、HDDと示す)などの撮像装置本体への接続状態を検出する接続検出部22と、撮像装置重量に応じて補正量を算出するためのテーブルなどを記憶する記憶部23を備えている。
【0029】
なお、本実施例に係る静止画取り込み装置では、振れ検出手段として角速度センサ11を用いているが、角速度センサの替わりに、速度センサ、加速度センサ等を用いてもよい。
【0030】
CPU2は、角速度センサ11により生成した角速度信号からカットオフ周波数以下の低周波数成分を十分に抑圧するハイパスフィルタ15と、ハイパスフィルタ15により低周波数成分が抑圧された角速度信号からカットオフ周波数以上の高周波数成分を十分に抑圧するローパスフィルタ16と、ローパスフィルタ16により高周波数成分が抑圧された角速度信号を積分定数を用いて積分処理することで角度信号を算出する積分手段17と、積分手段17により算出した角度信号をゲイン定数を用いてゲイン調整するゲイン調整手段18と、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する手振れ帯域調整手段14と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換手段19とを備えている。
【0031】
次に、本実施例に係る手振れ補正装置の手振れ補正制御の動作について説明する。
【0032】
図2は、本実施例に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0033】
振れ検出手段として用いられる角速度センサ11は、撮像装置の振動を検出し、角速度信号を生成し、生成した角速度信号を帯域制限アンプ部12、及びA/D変換部13を経由してCPU2へ送信する(ステップS101)。
【0034】
具体的には、角速度センサ11は、撮像装置の振動を検出し、検出した振れ信号から角速度信号を生成し、生成した角速度信号を帯域制限アンプ部12へ送信する。帯域制限アンプ部12は、角速度センサ11より受信した角速度信号からノイズとみなされる高周波成分及び直流オフセット成分を除去した後に、角速度信号を増幅し、A/D変換部13へ送信する。A/D変換部13は、帯域制限アンプ部12から受信した角速度信号をアナログ信号からディジタル信号へ変換する。そして、A/D変換部13によりディジタル信号へ変換された角速度信号はCPU2のハイパスフィルタ15に送信される。さらに、A/D変換部13は、手振れ帯域調整手段14へ角速度検出信号を送信する。
【0035】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信すると、接続検出部22から脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品の撮像装置本体への接続状態を示す接続情報を受信し、撮像装置の重量を算出する(ステップS103)。
【0036】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、接続されているバッテリーやHDDなどの種類を示す製品IDデータを接続検出部22から受信する。
【0037】
そして、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている重量テーブルを読み出し、読み出した重量テーブルから接続検出部22より受信した製品IDデータに一致する製品重量データを抽出する。
【0038】
図3は、記憶部23に記憶された製品重量テーブルの一例である。
【0039】
図3に示すように、製品重量テーブルは、機種毎に用意されており、ヘッダー部分には、当該機種の機種IDデータ101の“ABC01”に対応して、機種重量データ102の“450”(g)が記憶されている。
【0040】
また、図3には、バッテリーなど撮像装置に接続可能な製品の製品IDデータ103と製品重量データ104とが関連付けられて記憶されている。
【0041】
これにより、例えば、撮像装置に製品IDが“BN002”であるバッテリーが接続されると、接続検出部22は接続されたバッテリーより製品IDデータ“BN002”を取得し、取得した製品IDデータを手振れ帯域調整手段14へ送信する。
【0042】
そして、製品IDデータを受信した手振れ帯域調整手段14は、記憶部23から製品重量テーブルを読み出し、読み出した製品重量テーブルから製品IDデータが“BN002”と一致する製品IDに関連付けられた製品重量データ“100”(g)のデータを抽出する。
【0043】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出した製品重量に機種重量を加算した値を撮像装置の重量として算出する。
【0044】
図3では、手振れ帯域調整手段14は、抽出した製品重量データ“100”(g)に製品重量テーブルのヘッダー部分から読み込んだ機種重量データ“450”(g)を加算し、加算した値“550”(g)を撮像装置の重量として算出する。
【0045】
なお、製品重量テーブルを用いて撮像装置の重量を算出する替わりに、接続検出部22により検出した製品重量を用いて撮像装置の重量を算出するようにしてもよい。
【0046】
具体的には、接続検出部22が、撮像装置本体への部品の接続状態及び接続された製品の重量を検出して、手振れ帯域調整手段14へ接続状態データに加えて、接続された製品の製品重量データを送信する。
【0047】
そして、手振れ帯域調整手段14は、接続検出部22から受信した製品重量データに記憶部23から読み出した機種重量を加算した値を撮像装置の重量として算出する。
【0048】
これにより、予め記憶部23に記憶した製品IDを有する製品以外が撮像装置に接続された場合にも、手振れ帯域調整手段14は、撮像装置の重量を算出することができる。
【0049】
また、図2では、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信する毎に、接続検出部22から接続情報を受信し、撮像装置の重量を算出しているが、脱着可能なバッテリーやHDDなどが撮像装置本体へ接続されたときに、接続検出部22が手振れ帯域調整手段14へ接続情報を送信し、手振れ帯域調整手段14が撮像装置の重量を算出するようにしてもよい。
【0050】
これにより、脱着可能なバッテリーやHDDなどが撮像装置本体へ接続されたときのみ手振れ帯域調整手段14が撮像装置の重量を算出するので、CPUの負荷を低減することができる。
【0051】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、ステップS103で算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する(ステップS105)。
【0052】
図4は、撮像装置の重量と手振れ特性との関係の説明図である。
【0053】
手振れ特性曲線201は、撮像装置の重量が比較的重い場合の手振れ特性を示し、手振れ特性曲線202は、撮像装置の重量が比較的軽い場合の手振れ特性を示している。
【0054】
図4の手振れ特性曲線201に示すように、撮像装置の重量が重ければ安定しているため、手振れの振り幅は小さく、また、高域の周波数帯域も目立たない。逆に、手振れ特性曲線202に示すように、撮像装置の重量が軽ければ、手振れの振り幅は大きく、高域周波数帯域の振れが目立ち始める。
【0055】
そのため、求めた撮像装置の重量に基づいて手振れと判断する周波数帯域と振り幅を決定する。重量と手振れの周波数帯域、振り幅の関係は記憶部23にテーブルとして保持しても良いし、重量から帯域と振り幅を算出してもよい。
【0056】
決定した周波数帯域と振り幅はハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタのカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン値に反映する。ここで、決定した周波数帯域と振り幅は以上の全てのブロックに対して反映してもよいし、いずれかの1つの手段へ反映してもよい。
【0057】
以下に、手振れ帯域調整手段14によるハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタのカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン値の設定の動作について説明する。
【0058】
≪カットオフ周波数の設定≫
まず、手振れ帯域調整手段14によるハイパスフィルタのカットオフ周波数の設定の動作について説明する。
【0059】
ハイパスフィルタ15は、A/D変換部13から角速度信号を受信する。
【0060】
そして、ハイパスフィルタ15は、以下の(数式1)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの低周波成分を抑圧する。
【0061】
(aH0 + aH1・Z−1)/( 1 − bH1・Z−1) (数式1)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記(数式1)のフィルタ係数aH0、aH1、bH1を撮像装置の重量に応じて変更することで、ハイパスフィルタ15に撮像装置の重量に応じた手振れの低周波成分を抑圧させる。
【0062】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されているハイパスフィルタテーブルを読み出し、読み出したハイパスフィルタテーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致するフィルタ係数データaH0、aH1、bH1を抽出する。
【0063】
図5は、記憶部23に記憶されたハイパスフィルタテーブルの一例である。
【0064】
図5に示すように、ハイパスフィルタテーブルは、撮像装置の重量データ301に、項目302にはフィルタ係数データaH0が、項目303にはフィルタ係数データaH1が、項目302にはフィルタ係数データbH1が関連付けられて記憶されている。
【0065】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14がステップS103により算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出したハイパスフィルタテーブルから重量データが“550”に関連付けられたフィルタ係数データaH0、aH1、bH1の値“0.95”、“0.95”、“0.9”を抽出する。
【0066】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出したフィルタ係数データaH0、aH1、bH1の値を(数式1)に反映する。
【0067】
これにより、ハイパスフィルタ15は、A/D変換部13より受信した角速度信号から撮像装置の重量に応じたカットオフ周波数で低周波成分を抑圧することができる。
【0068】
図6は、ハイパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【0069】
図6では、最重量時周波数401が、撮像装置の重量が最も重い場合のハイパスフィルタのカットオフ周波数を示しており、最軽量時周波数402が、撮像装置の重量が最も軽い場合のハイパスフィルタのカットオフ周波数を示している。
【0070】
図6に示すように、撮像装置の重量に応じてハイパスフィルタのカットオフ周波数を変更することによって、撮像装置の重量が軽くなるに従って、高域の周波数の手振れがカットされずに補正される。
【0071】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0072】
次に、手振れ帯域調整手段14によるローパスフィルタのカットオフ周波数の設定の動作について説明する。
【0073】
ローパスフィルタ16は、ハイパスフィルタ15から低周波成分を抑圧された角速度信号を受信する。
【0074】
そして、ローパスフィルタ16は、以下の(数式2)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの高周波成分を抑圧する。
【0075】
(aL0 + aL1・Z−1)/( 1 − bL1・Z−1) (数式2)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記(数式2)のフィルタ係数aL0、aL1、bL1を撮像装置の重量に応じて変更することで、ローパスフィルタ16に撮像装置の重量に応じた手振れの高周波成分を抑圧させる。
【0076】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されているローパスフィルタテーブルを読み出し、読み出したローパスフィルタテーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致するフィルタ係数データaL0、aL1、bL1を抽出する。
【0077】
図7は、記憶部23に記憶されたローパスフィルタテーブルの一例である。
【0078】
図7に示すように、ローパスフィルタテーブルは、項目502にはフィルタ係数データaL0が、項目503にはフィルタ係数データaL1503が、項目504にはフィルタ係数データbL1が関連付けられて記憶されている。
【0079】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14がステップS103により算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出したローパスフィルタテーブルから重量データが“550”に関連付けられたフィルタ係数データaL0、aL1、bL1をの値“0.4”、“0.4”、“0.2”を抽出する。
【0080】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出したフィルタ係数データaL0、aL1、bL1をの値を(数式2)に反映する。
【0081】
これにより、ローパスフィルタ16は、ハイパスフィルタ15より受信した角速度信号から撮像装置の重量に応じたカットオフ周波数で高周波成分を抑圧することができる。このようにしてハイパスフィルタ15、及びローパスフィルタ16により低周波成分、及び高周波成分を抑圧された角速度信号が有効角速度信号となる。
【0082】
図8は、ローパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【0083】
図8では、最重量時周波数602が、撮像装置の重量が最も重い場合のローパスフィルタのカットオフ周波数を示しており、最軽量時周波数601が、撮像装置の重量が最も軽い場合のローパスフィルタのカットオフ周波数を示している。
【0084】
図8においても、図6に示した場合と同様に、撮像装置の重量に応じてローパスフィルタのカットオフ周波数を変更することによって、撮像装置の重量が軽くなるに従って、高域の周波数の手振れがカットさせずに補正される。
【0085】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0086】
≪積分定数の設定≫
次に、手振れ帯域調整手段14による積分手段17の積分定数の設定動作について説明する。
【0087】
積分手段17は、ローパスフィルタ16から受信した有効角速度信号を積分することにより角度信号を算出する。具体的には、積分手段17は、以下の(数式3)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、有効角速度信号を積分し、有効角度信号を得る。ここで、Zは有効角速度信号とする。
【0088】
1/( 1 − K・Z−1 ) 0 < K < 1 (数式3)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記(数式3)の積分定数Kを撮像装置の重量に応じて変更することで、積分手段17に撮像装置の重量に応じた積分処理をさせる。
【0089】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている積分定数テーブルを読み出し、読み出した積分定数テーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致する積分定数Kのデータを抽出する。
【0090】
図9は、記憶部23に記憶された積分定数テーブルの一例である。
【0091】
図9に示すように、積分定数テーブルは、撮像装置の重量データ701に、項目702には積分定数Kのデータが関連付けられて記憶されている。
【0092】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14がステップS103により算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出した積分定数テーブルから重量データが“550”に関連付けられた積分定数Kの値“0.8”を抽出する。
【0093】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出した積分定数Kの値を(数式3)に反映する。
【0094】
これにより、積分手段17は、ローパスフィルタ16より受信した有効角速度信号から撮像装置の重量に応じた積分処理を行い、有効角度信号を得ることができる。
【0095】
図10は、撮像装置の重量と積分定数の関係を示した説明図である。
【0096】
図10では、最重量時周波数801が、撮像装置の重量が最も重い場合の手振れのゲインを示しており、最軽量時周波数802が、撮像装置の重量が最も軽い場合の手振れのゲインを示している。
【0097】
図10に示すように、最重量時周波数801の場合、積分定数が1で完全積分となり、低域の周波数帯域では信号が増幅され、逆に高域の周波数帯域では増幅率が小さく積分信号がほとんど出力されない。このため、撮像装置の重量が重いとき、即ち積分定数が1に近いときは、振り幅の小さい高域の周波数帯域の信号は減衰し、振り幅の大きい低域の周波数帯域の信号を中心に出力される。
【0098】
そして、撮像装置の重量が減少するにつれ高域の周波数成分の影響が無視できなくなるため、積分定数を小さな値に設定し、高域の周波数成分を含む手振れを補正する。
【0099】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0100】
≪ゲイン定数の設定≫
次に、手振れ帯域調整手段14によるゲイン調整手段18のゲイン定数の設定の動作について説明する。
【0101】
ゲイン調整手段18は、積分手段17から有効角度信号を受信する。
【0102】
そして、ゲイン調整手段18は、以下の(数式4)により、受信した有効角度信号にゲイン定数αを乗じることによって信号を増幅させる。ここでZは有効角度信号とする。
【0103】
α・Z (数式4)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記ゲイン定数αを撮像装置の重量に応じて変更することで、ゲイン調整手段18に撮像装置の重量に応じたゲイン調整を行わせることができる。
【0104】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されているゲイン調整テーブルを読み出し、読み出したゲイン調整テーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致するゲイン定数データを抽出する。
【0105】
図11は、記憶部23に記憶されたゲイン調整テーブルの一例である。
【0106】
図11に示すように、ゲイン定数テーブルは、撮像装置の重量データ901に、項目902にはゲイン定数αが関連付けられて記憶されている。
【0107】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14が算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出したゲイン定数テーブルから重量データが“550”に関連付けられたゲイン定数データαの値“0.95”を抽出する。
【0108】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出したゲイン定数データαの値を(数式4)に反映する。
【0109】
これにより、ゲイン調整手段18は、積分手段17より受信した有効角度信号について撮像装置の重量に応じてゲイン調整を行うことができる。
【0110】
図12は、撮像装置の重量とゲイン定数との関係を示した説明図である。
【0111】
図12では、ゲイン定数1001が、撮像装置の重量に対するゲイン定数を示している。
【0112】
図12に示すように、撮像装置の重量が軽くなるほど手振れの振り幅は小さくなるため、ゲイン定数を小さくする。逆に、重量が重くなるほど、ゲイン定数を大きくなるように設定する。
【0113】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0114】
次に、図2に戻り、ステップS107以降の動作について説明する。
【0115】
ハイパスフィルタ15は、A/D変換部13から角速度信号を受信し、受信したハイパスフィルタ15は、上記の(数式1)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの低周波成分を除去する(ステップS107)。
【0116】
次に、ローパスフィルタ16が、ハイパスフィルタ15から低周波成分をカットされた角速度信号を受信し、受信したローパスフィルタ16は、上記の(数式2)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの高周波成分を除去する(ステップS109)。
【0117】
次に、積分手段17が、ローパスフィルタ16から受信した有効角速度信号を積分することにより角度信号を算出する(ステップS111)。具体的には、積分手段17は、上記の(数式3)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、有効角速度信号を積分する。
【0118】
そして、ゲイン調整手段18が、積分手段17から有効角度信号を受信し、受信した有効角度信号にゲイン定数αを乗じることによって信号を増幅させる(ステップS113)。
【0119】
次に、補正制御部20は、ゲイン調整手段18から出力されD/A変換手段19でデジタル信号からアナログ信号に変換された有効角度信号に基づいて補正量を算出し、この補正量に基づいて補正光学系21を制御する。
【0120】
以上のように本実施例に係る手振れ補正装置によれば、外付けの機器によりカメラの重量が変化した場合でも、手振れ補正の性能を劣化させることのない、良好な手振れ補正を提供できる。
【0121】
<実施例2>
実施例1では、光学系を駆動させることにより手振れ補正を行う手振れ補正装置を例に挙げて説明したが、実施例2では、電気的に手振れ補正を行う手振れ補正装置を例に挙げて説明する。
【0122】
図13は、TG部を介してCCD部からの画像の読み出し位置と、信号処理されフィールドメモリに格納された画像の読み出し位置を制御することで手振れを補正する手振れ補正装置のブロック図である。
【0123】
図13では、補正制御部20が、撮影した画像の1フィールド毎にCCD部25の読み出し位置とフィールドメモリ28の読み出し位置を、CPU2から受信した補正量に応じて制御することによって手振れ補正を行う。このとき、CCD部25の読み出し位置は固定とし、フィールドメモリ28の読み出し位置の制御のみで手振れ補正を実現してもよい。CCD部25の読み出し位置の制御は、CPU2からTG部24にフィールド単位で読み出し位置を指定することで実現する。また、フィールドメモリ28の読み出し位置はCPU2からフィールドメモリ28を制御する信号処理部26をフィールド単位に制御することで実現する。
【0124】
これにより、撮像装置重量、慣性モーメント、又は重心に応じて精度よく手振れを電気的に補正することができる。
【0125】
<実施例3>
実施例1では、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定するものである。
【0126】
図14に示すように、脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品を撮像装置に接続する際、異なる重量、あるいは容量のバッテリーを接続した場合や、接続するHDD、SDカードなどの記録媒体の選択的な装着により、
第1には装置全体の重心位置が移動し、重心位置の変動に基づいて、重心位置に対する撮像装置の慣性モーメントが(A)のように変動する。
【0127】
第2には装置全体を図14に示すように手で支持する場合に、手の支持に関係する可動中心に対する撮像装置の慣性モーメントが(図示しない)変動する。
【0128】
実施例3では、このように撮像装置の慣性モーメントが変動する場合、重心位置の変動に基づいて、又は手の支持に関係する可動中心に対する慣性モーメントの変動に基づいて撮像装置の慣性モーメントを算出し、算出した慣性モーメントに基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する。
【0129】
図15は、実施例3に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0130】
実施例1では、ステップS103において、撮像装置の重量を算出するが、実施例3では、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信すると、接続検出部22から脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品の撮像装置本体への接続状態を示す接続情報を受信し、撮像装置の慣性モーメント情報を算出する(ステップS203)。
【0131】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、接続されているバッテリーやHDDなどの種類を示す製品IDデータを接続検出部22から受信する。
【0132】
そして、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている慣性モーメント情報テーブルを読み出し、読み出した慣性モーメント情報テーブルから接続検出部22より受信した製品IDデータに一致する慣性モーメント情報を抽出する。
【0133】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、ステップS203で算出した慣性モーメントに基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する(ステップS205)。
【0134】
そして、ハイパスフィルタ15、ローパスフィルタ16、積分手段17、又はゲイン調整手段18が、ステップS305にて設定された低周波カットオフ周波数、高周波カットオフ周波数、積分定数、ゲイン定数を用い、各処理を実行する(ステップS207、S209、S211、S213)。
【0135】
そして、補正制御部20が、CPU2からの信号に基づいて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて補正光学系21を制御する(ステップS215)。
【0136】
以上より、実施例3に係る手振れ補正装置によれば、撮像装置の慣性モーメントに応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0137】
<実施例4>
実施例1では、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する。
【0138】
図14に示すように、脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品を撮像装置に接続する際、異なる重量、あるいは容量のバッテリーを接続した場合や、接続するHDD、SDカードなどの記録媒体の選択的な装着により、装置全体の重心位置が移動し撮像装置の重心が(B)のように移動する。
【0139】
実施例4では、このように撮像装置の重心が変動する場合、撮像装置の重心を算出し、算出した重心に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する。
【0140】
図16は、実施例4に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0141】
実施例1では、ステップS103において、撮像装置の重量を算出するが、実施例4では、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信すると、接続検出部22から脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品の撮像装置本体への接続状態を示す接続情報を受信し、撮像装置の重心を算出する(ステップS303)。
【0142】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、接続されているバッテリーやHDDなどの種類を示す製品IDデータを接続検出部22から受信する。
【0143】
そして、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている重心情報テーブルを読み出し、読み出した重心情報テーブルから接続検出部22より受信した製品IDデータに一致する重心データを抽出する。
【0144】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、ステップS303で算出した重心に応じて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する(ステップS305)。
【0145】
そして、ハイパスフィルタ15、ローパスフィルタ16、積分手段17、又はゲイン調整手段18が、ステップS305にて設定された低周波カットオフ周波数、高周波カットオフ周波数、積分定数、ゲイン定数を用い、各処理を実行する(ステップS307、S309、S311、S313)。
【0146】
そして、補正制御部20が、CPU2からの信号に基づいて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて補正光学系21を制御する(ステップS315)。
【0147】
以上より、実施例4に係る手振れ補正装置によれば、撮像装置の重心に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【符号の説明】
【0148】
1…手振れ補正装置
2…CPU
11…角速度センサ(検出手段)
12…帯域制限アンプ部
13…A/D変換部
14…手振れ帯域調整手段
15…ハイパスフィルタ
16…ローパスフィルタ
17…積分手段
18…ゲイン調整手段
19…D/A変換手段
20…補正制御部
21…補正光学系(補正手段)
22…接続検出部
23…記憶部
24…タイミングジェネレータ部
25…CCD部
26…信号処理部
28…フィールドメモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された画像の手振れ補正を行う手振れ補正装置が適用された撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラ等の撮像装置に適用され、撮像装置に生じた手振れを検出して、検出した手振れに応じて撮影した画像の手振れ補正を行う手振れ補正装置が一般的に知られている。
【0003】
この一般的な手振れ補正装置では、ビデオカメラ等の撮像装置に角速度センサ等の振動検出センサを備えており、この振動検出センサの出力値により手振れの振れ角速度を算出し、算出した振れ角速度を積分することによって振れ角度を算出する。そして、この振れ角度を打ち消すように補正量を算出し、算出した補正量に基づいて撮影光学系に配置された補正レンズを制御する、又は1フィールド単位でCCDやフィールドメモリからの画像読み出し位置を制御することによって、手振れ補正を行う。
【0004】
しかし、手振れの特性は、焦点距離や重量などの撮像装置の状態に密接に関連しており、一般的な手振れ補正装置では、この装置の状態に起因する手振れの特性を加味することなく、補正量を算出し、算出した補正量に基づいて手振れ補正制御を行っている。そのため、その装置の状態に応じて精度よく補正量を算出することができなかった。
【0005】
そこで、装置の状態として、特に焦点距離に応じて補正量を調整する画像動き補正装置が提案されている(特許文献1)。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載の画像動き補正装置は、手振れ補正するために必要な補正量が焦点距離に依存し、焦点距離が短いほど補正量が小さくなるような補正光学系を有する手振れ補正装置において、焦点距離に応じて手振れと判断する周波数の特性を変化させて、補正量を調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3575989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1に記載の画像動き補正装置では、焦点距離に応じて手振れと判断する周波数の特性を変化させて補正量を調整するものである。
【0009】
しかしながら、手振れの特性が変化するのは、焦点距離に限る話ではない。手振れは撮像装置の重量と密接に関係し、撮像装置が軽いと支えが安定しないため、手振れの振り幅が大きくなる。この場合、振り幅が小さく目立たなかった高周波数成分が、撮像装置が軽くなることで増幅されてしまい、ユーザーの目に付きやすくなり、ユーザーに不快な印象を与えてしまう。近年では記録メディアが多様化し、着脱可能なメモリーカード等の半導体メモリーや、重量比で半導体メモリーより数百倍重いハードディスクドライブ(HDD)を選択的に用いることも可能である。バッテリーに関しても同様で、撮影予定時間に応じて容量の異なる(重量比で通常用いるバッテリーより数倍重い)タイプを選択することが可能である。そのため、最終的な撮像装置の重量が使用用途により異なり、またグリップ位置に対しての重量バランスが変動するために慣性モーメントが変動し、同様にグリップ位置に対しての重量バランスが変動するために重心位置が変動することにより、手振れの性質が変化することになる。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、最終的な撮像装置の重量、慣性モーメントや重心位置に依存して、補正対象となる手振れの振れ幅や周波数帯域を調整し、高い精度の手振れ補正が実現可能な撮影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の1)〜5)に記載の手段よりなる。
【0012】
すなわち、
1)撮影装置に加わる振動を検出する振動検出部と、検出した前記振動のうち手振れ成分のみを取り出す手振れ成分検出部と、前記手振れ成分に基づいて手振れを補正する補正部と、撮影部と、撮影部で撮影した画像情報を記録するための記録媒体に接続するための第1の接続部と、撮影装置に電力を供給するためのバッテリーに接続するための第2の接続部とを有する撮影装置において、前記第1または前記第2の接続部に、着脱可能なそれぞれ識別情報を有する複数の記録媒体またはそれぞれ識別情報を有する複数のバッテリーを選択的に接続する場合に、接続された記録媒体またはバッテリーの識別情報に基づいて、接続された記録部または電力供給部の重量情報を取得し、前記重量情報に基づいて手振れを補正する補正部を制御することを特徴とする撮影装置。
【0013】
2)前記手振れ成分検出部はローパスフィルタを有し、前記重量が重いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【0014】
3)前記手振れ成分検出手段はハイパスフィルタを有し、前記重量が重いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【0015】
4)前記手振れ成分検出手段は積分フィルタを有し、前記重量が重いほど積分定数を高く設定し、前記重量が軽いほど積分定数を低く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【0016】
5)前記手振れ成分検出手段はゲイン調整を有し、前記重量が重いほどゲイン定数を低く設定し、前記重量が軽いほどゲイン定数を高く設定することを特徴とする1)に記載の撮影装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明による撮影装置によれば、着脱可能な記録メディアやバッテリーを付加して総重量、慣性モーメントや重心位置等が変化した場合でも、安定した補正制御を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る手振れ補正装置の一実施形態の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図3】記憶部に記憶された製品重量テーブルの一例である。
【図4】撮像装置の重量と手振れ特性との関係を示した説明図である。
【図5】記憶部に記憶されたハイパスフィルタテーブルの一例である。
【図6】ハイパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【図7】記憶部に記憶されたローパスフィルタテーブルの一例である。
【図8】ローパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【図9】記憶部に記憶された積分定数テーブルの一例である。
【図10】撮像装置の重量と積分定数の関係を示した説明図である。
【図11】記憶部に記憶されたゲイン調整テーブルの一例である。
【図12】撮像装置の重量とゲイン定数との関係を示した説明図である。
【図13】TG部を介してCCD部からの画像の読み出し位置と、信号処理されフィールドメモリに格納された画像の読み出し位置を制御することで手振れを補正する手振れ補正装置のブロック図である。
【図14】撮像装置の重心、慣性モーメントの変動を示した説明図である。
【図15】実施例3に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図16】実施例4に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は上記目的を達するため、振動検出手段により振動を検出し、ここから出力される検出信号から手振れと考える手振れ成分のみを検出し、この手振れ成分を補正する手振れ補正装置において、外付け機器を含めた装置の総重量等を検出し、この重量等により手振れと判断する周波数や振り幅等を変えることを特徴とする。
【0020】
撮像装置は、撮像装置で撮影した映像情報等を記憶するための記録メディアや、撮像装置に電源を供給するバッテリーが着脱可能な状態で接続されるようになっており、記録メディアは4GBの容量のSDカード(固体メモリー)と、60GBの1.8インチのHDDが選択的にまたは同時に記録を可能とする構成となっている。SDカード(固体メモリー)と、60GBの1.8インチのHDDでは、数グラムと数百グラムの差があり、大きさも大幅に異なるので、撮像装置のグリップの位置とそれぞれの記録メディアの位置関係によって、装着されている状態とそうでない状態での、グリップ位置に対する慣性モーメントと、グリップ位置に対する重心位置は大きく異なる。1.8インチのHDDは2枚の磁気ディスクを用いた60GBのものと、1枚の磁気ディスクを用いた30GBのものも選択可能である。近年の高密度の磁気ディスクはガラスディスクを用いており、枚数の違いによって、磁気ヘッドの数も異なることもあり重量の差は無視できない程度に大きい。
【0021】
また、バッテリーについても、記録可能時間が異なる複数のバッテリーの着脱が可能であり、バッテリーは一般的には、バッテリーの記録可能時間の種類によって大きさが異なることから、撮像装置の外部にバッテリーの一部が露出する構造になる場合が多く、装着されたバッテリーの種類によって、重量又は慣性モーメント又は重心位置等が変動する。
【0022】
CPUブロックではまず外付けの記録メディアやバッテリーを含む撮像装置の重量、慣性モーメントや重心位置等を算出する。そのためには、まず該撮像装置に接続されている記録メディアやバッテリーの種類を確認する。確認の方法として、記録メディアの場合には、CPUからそれぞれの記録メディアの間で通信を行うことにより、装着されているかの確認と共に、装着されている機器(HDD等)のモデル名等の固体識別情報を読み出す。バッテリーにおいても、個々のバッテリーに組み込まれたバッテリーの充電量を制御する用途等で用いられるマイコンと通信を行うことにより、バッテリーの種類やモデル名等の情報を読み出して特定する。
【0023】
そして、予め撮像装置のROM領域に保持している対応する機器の重量又は慣性モーメント又は重心位置に関する情報を読み出し、これを撮像装置自身の重量に加算して総重量を求め、また慣性モーメント又は重心位置に関する情報から慣性モーメントの変動、重心位置の変動を求める。総重量が重ければ安定しているため、手振れの振り幅は小さく、また、高域の周波数帯域も目立たない。逆に、軽ければ、手振れの振り幅は大きく、高域周波数帯域の振れが目立ち始める。慣性モーメントの変動、重心位置の変動についても同様な考え方が適用できる。
【0024】
以下、本発明に係る手振れ補正装置の発明を実施するための最良の形態につき、好ましい実施例により説明する。
【0025】
<実施例1>
本実施例では、撮像装置の重量に応じて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて光学系を駆動させることにより手振れ補正を行う手振れ補正装置を例に挙げて説明する。
【0026】
なお、手振れ補正手段はこれに限らず、フィールドメモリに格納された画像の読み出し位置を制御する手段を用いてもよい。
【0027】
図1は、本実施例に適用される手振れ補正装置の一実施形態を示したブロック図である。
【0028】
本実施例の手振れ補正装置は、撮像装置に生じる振れを所定の振れ検出時間毎に検出し角速度信号を出力する角速度センサ11と、ノイズとみなす高周波成分、直流オフセット成分を除去した信号を増幅する帯域制限アンプ部12と、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部13と、手振れ補正制御の中枢処理を行うCPU2と、CPU2からの信号に基づいて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて補正光学系21を制御する補正制御部20と、脱着可能なバッテリーやハードディスクドライブ(以下、HDDと示す)などの撮像装置本体への接続状態を検出する接続検出部22と、撮像装置重量に応じて補正量を算出するためのテーブルなどを記憶する記憶部23を備えている。
【0029】
なお、本実施例に係る静止画取り込み装置では、振れ検出手段として角速度センサ11を用いているが、角速度センサの替わりに、速度センサ、加速度センサ等を用いてもよい。
【0030】
CPU2は、角速度センサ11により生成した角速度信号からカットオフ周波数以下の低周波数成分を十分に抑圧するハイパスフィルタ15と、ハイパスフィルタ15により低周波数成分が抑圧された角速度信号からカットオフ周波数以上の高周波数成分を十分に抑圧するローパスフィルタ16と、ローパスフィルタ16により高周波数成分が抑圧された角速度信号を積分定数を用いて積分処理することで角度信号を算出する積分手段17と、積分手段17により算出した角度信号をゲイン定数を用いてゲイン調整するゲイン調整手段18と、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する手振れ帯域調整手段14と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換手段19とを備えている。
【0031】
次に、本実施例に係る手振れ補正装置の手振れ補正制御の動作について説明する。
【0032】
図2は、本実施例に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0033】
振れ検出手段として用いられる角速度センサ11は、撮像装置の振動を検出し、角速度信号を生成し、生成した角速度信号を帯域制限アンプ部12、及びA/D変換部13を経由してCPU2へ送信する(ステップS101)。
【0034】
具体的には、角速度センサ11は、撮像装置の振動を検出し、検出した振れ信号から角速度信号を生成し、生成した角速度信号を帯域制限アンプ部12へ送信する。帯域制限アンプ部12は、角速度センサ11より受信した角速度信号からノイズとみなされる高周波成分及び直流オフセット成分を除去した後に、角速度信号を増幅し、A/D変換部13へ送信する。A/D変換部13は、帯域制限アンプ部12から受信した角速度信号をアナログ信号からディジタル信号へ変換する。そして、A/D変換部13によりディジタル信号へ変換された角速度信号はCPU2のハイパスフィルタ15に送信される。さらに、A/D変換部13は、手振れ帯域調整手段14へ角速度検出信号を送信する。
【0035】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信すると、接続検出部22から脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品の撮像装置本体への接続状態を示す接続情報を受信し、撮像装置の重量を算出する(ステップS103)。
【0036】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、接続されているバッテリーやHDDなどの種類を示す製品IDデータを接続検出部22から受信する。
【0037】
そして、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている重量テーブルを読み出し、読み出した重量テーブルから接続検出部22より受信した製品IDデータに一致する製品重量データを抽出する。
【0038】
図3は、記憶部23に記憶された製品重量テーブルの一例である。
【0039】
図3に示すように、製品重量テーブルは、機種毎に用意されており、ヘッダー部分には、当該機種の機種IDデータ101の“ABC01”に対応して、機種重量データ102の“450”(g)が記憶されている。
【0040】
また、図3には、バッテリーなど撮像装置に接続可能な製品の製品IDデータ103と製品重量データ104とが関連付けられて記憶されている。
【0041】
これにより、例えば、撮像装置に製品IDが“BN002”であるバッテリーが接続されると、接続検出部22は接続されたバッテリーより製品IDデータ“BN002”を取得し、取得した製品IDデータを手振れ帯域調整手段14へ送信する。
【0042】
そして、製品IDデータを受信した手振れ帯域調整手段14は、記憶部23から製品重量テーブルを読み出し、読み出した製品重量テーブルから製品IDデータが“BN002”と一致する製品IDに関連付けられた製品重量データ“100”(g)のデータを抽出する。
【0043】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出した製品重量に機種重量を加算した値を撮像装置の重量として算出する。
【0044】
図3では、手振れ帯域調整手段14は、抽出した製品重量データ“100”(g)に製品重量テーブルのヘッダー部分から読み込んだ機種重量データ“450”(g)を加算し、加算した値“550”(g)を撮像装置の重量として算出する。
【0045】
なお、製品重量テーブルを用いて撮像装置の重量を算出する替わりに、接続検出部22により検出した製品重量を用いて撮像装置の重量を算出するようにしてもよい。
【0046】
具体的には、接続検出部22が、撮像装置本体への部品の接続状態及び接続された製品の重量を検出して、手振れ帯域調整手段14へ接続状態データに加えて、接続された製品の製品重量データを送信する。
【0047】
そして、手振れ帯域調整手段14は、接続検出部22から受信した製品重量データに記憶部23から読み出した機種重量を加算した値を撮像装置の重量として算出する。
【0048】
これにより、予め記憶部23に記憶した製品IDを有する製品以外が撮像装置に接続された場合にも、手振れ帯域調整手段14は、撮像装置の重量を算出することができる。
【0049】
また、図2では、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信する毎に、接続検出部22から接続情報を受信し、撮像装置の重量を算出しているが、脱着可能なバッテリーやHDDなどが撮像装置本体へ接続されたときに、接続検出部22が手振れ帯域調整手段14へ接続情報を送信し、手振れ帯域調整手段14が撮像装置の重量を算出するようにしてもよい。
【0050】
これにより、脱着可能なバッテリーやHDDなどが撮像装置本体へ接続されたときのみ手振れ帯域調整手段14が撮像装置の重量を算出するので、CPUの負荷を低減することができる。
【0051】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、ステップS103で算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する(ステップS105)。
【0052】
図4は、撮像装置の重量と手振れ特性との関係の説明図である。
【0053】
手振れ特性曲線201は、撮像装置の重量が比較的重い場合の手振れ特性を示し、手振れ特性曲線202は、撮像装置の重量が比較的軽い場合の手振れ特性を示している。
【0054】
図4の手振れ特性曲線201に示すように、撮像装置の重量が重ければ安定しているため、手振れの振り幅は小さく、また、高域の周波数帯域も目立たない。逆に、手振れ特性曲線202に示すように、撮像装置の重量が軽ければ、手振れの振り幅は大きく、高域周波数帯域の振れが目立ち始める。
【0055】
そのため、求めた撮像装置の重量に基づいて手振れと判断する周波数帯域と振り幅を決定する。重量と手振れの周波数帯域、振り幅の関係は記憶部23にテーブルとして保持しても良いし、重量から帯域と振り幅を算出してもよい。
【0056】
決定した周波数帯域と振り幅はハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタのカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン値に反映する。ここで、決定した周波数帯域と振り幅は以上の全てのブロックに対して反映してもよいし、いずれかの1つの手段へ反映してもよい。
【0057】
以下に、手振れ帯域調整手段14によるハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタのカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン値の設定の動作について説明する。
【0058】
≪カットオフ周波数の設定≫
まず、手振れ帯域調整手段14によるハイパスフィルタのカットオフ周波数の設定の動作について説明する。
【0059】
ハイパスフィルタ15は、A/D変換部13から角速度信号を受信する。
【0060】
そして、ハイパスフィルタ15は、以下の(数式1)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの低周波成分を抑圧する。
【0061】
(aH0 + aH1・Z−1)/( 1 − bH1・Z−1) (数式1)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記(数式1)のフィルタ係数aH0、aH1、bH1を撮像装置の重量に応じて変更することで、ハイパスフィルタ15に撮像装置の重量に応じた手振れの低周波成分を抑圧させる。
【0062】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されているハイパスフィルタテーブルを読み出し、読み出したハイパスフィルタテーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致するフィルタ係数データaH0、aH1、bH1を抽出する。
【0063】
図5は、記憶部23に記憶されたハイパスフィルタテーブルの一例である。
【0064】
図5に示すように、ハイパスフィルタテーブルは、撮像装置の重量データ301に、項目302にはフィルタ係数データaH0が、項目303にはフィルタ係数データaH1が、項目302にはフィルタ係数データbH1が関連付けられて記憶されている。
【0065】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14がステップS103により算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出したハイパスフィルタテーブルから重量データが“550”に関連付けられたフィルタ係数データaH0、aH1、bH1の値“0.95”、“0.95”、“0.9”を抽出する。
【0066】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出したフィルタ係数データaH0、aH1、bH1の値を(数式1)に反映する。
【0067】
これにより、ハイパスフィルタ15は、A/D変換部13より受信した角速度信号から撮像装置の重量に応じたカットオフ周波数で低周波成分を抑圧することができる。
【0068】
図6は、ハイパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【0069】
図6では、最重量時周波数401が、撮像装置の重量が最も重い場合のハイパスフィルタのカットオフ周波数を示しており、最軽量時周波数402が、撮像装置の重量が最も軽い場合のハイパスフィルタのカットオフ周波数を示している。
【0070】
図6に示すように、撮像装置の重量に応じてハイパスフィルタのカットオフ周波数を変更することによって、撮像装置の重量が軽くなるに従って、高域の周波数の手振れがカットされずに補正される。
【0071】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0072】
次に、手振れ帯域調整手段14によるローパスフィルタのカットオフ周波数の設定の動作について説明する。
【0073】
ローパスフィルタ16は、ハイパスフィルタ15から低周波成分を抑圧された角速度信号を受信する。
【0074】
そして、ローパスフィルタ16は、以下の(数式2)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの高周波成分を抑圧する。
【0075】
(aL0 + aL1・Z−1)/( 1 − bL1・Z−1) (数式2)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記(数式2)のフィルタ係数aL0、aL1、bL1を撮像装置の重量に応じて変更することで、ローパスフィルタ16に撮像装置の重量に応じた手振れの高周波成分を抑圧させる。
【0076】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されているローパスフィルタテーブルを読み出し、読み出したローパスフィルタテーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致するフィルタ係数データaL0、aL1、bL1を抽出する。
【0077】
図7は、記憶部23に記憶されたローパスフィルタテーブルの一例である。
【0078】
図7に示すように、ローパスフィルタテーブルは、項目502にはフィルタ係数データaL0が、項目503にはフィルタ係数データaL1503が、項目504にはフィルタ係数データbL1が関連付けられて記憶されている。
【0079】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14がステップS103により算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出したローパスフィルタテーブルから重量データが“550”に関連付けられたフィルタ係数データaL0、aL1、bL1をの値“0.4”、“0.4”、“0.2”を抽出する。
【0080】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出したフィルタ係数データaL0、aL1、bL1をの値を(数式2)に反映する。
【0081】
これにより、ローパスフィルタ16は、ハイパスフィルタ15より受信した角速度信号から撮像装置の重量に応じたカットオフ周波数で高周波成分を抑圧することができる。このようにしてハイパスフィルタ15、及びローパスフィルタ16により低周波成分、及び高周波成分を抑圧された角速度信号が有効角速度信号となる。
【0082】
図8は、ローパスフィルタのカットオフ周波数と撮像装置の重量との関係を示した説明図である。
【0083】
図8では、最重量時周波数602が、撮像装置の重量が最も重い場合のローパスフィルタのカットオフ周波数を示しており、最軽量時周波数601が、撮像装置の重量が最も軽い場合のローパスフィルタのカットオフ周波数を示している。
【0084】
図8においても、図6に示した場合と同様に、撮像装置の重量に応じてローパスフィルタのカットオフ周波数を変更することによって、撮像装置の重量が軽くなるに従って、高域の周波数の手振れがカットさせずに補正される。
【0085】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0086】
≪積分定数の設定≫
次に、手振れ帯域調整手段14による積分手段17の積分定数の設定動作について説明する。
【0087】
積分手段17は、ローパスフィルタ16から受信した有効角速度信号を積分することにより角度信号を算出する。具体的には、積分手段17は、以下の(数式3)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、有効角速度信号を積分し、有効角度信号を得る。ここで、Zは有効角速度信号とする。
【0088】
1/( 1 − K・Z−1 ) 0 < K < 1 (数式3)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記(数式3)の積分定数Kを撮像装置の重量に応じて変更することで、積分手段17に撮像装置の重量に応じた積分処理をさせる。
【0089】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている積分定数テーブルを読み出し、読み出した積分定数テーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致する積分定数Kのデータを抽出する。
【0090】
図9は、記憶部23に記憶された積分定数テーブルの一例である。
【0091】
図9に示すように、積分定数テーブルは、撮像装置の重量データ701に、項目702には積分定数Kのデータが関連付けられて記憶されている。
【0092】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14がステップS103により算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出した積分定数テーブルから重量データが“550”に関連付けられた積分定数Kの値“0.8”を抽出する。
【0093】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出した積分定数Kの値を(数式3)に反映する。
【0094】
これにより、積分手段17は、ローパスフィルタ16より受信した有効角速度信号から撮像装置の重量に応じた積分処理を行い、有効角度信号を得ることができる。
【0095】
図10は、撮像装置の重量と積分定数の関係を示した説明図である。
【0096】
図10では、最重量時周波数801が、撮像装置の重量が最も重い場合の手振れのゲインを示しており、最軽量時周波数802が、撮像装置の重量が最も軽い場合の手振れのゲインを示している。
【0097】
図10に示すように、最重量時周波数801の場合、積分定数が1で完全積分となり、低域の周波数帯域では信号が増幅され、逆に高域の周波数帯域では増幅率が小さく積分信号がほとんど出力されない。このため、撮像装置の重量が重いとき、即ち積分定数が1に近いときは、振り幅の小さい高域の周波数帯域の信号は減衰し、振り幅の大きい低域の周波数帯域の信号を中心に出力される。
【0098】
そして、撮像装置の重量が減少するにつれ高域の周波数成分の影響が無視できなくなるため、積分定数を小さな値に設定し、高域の周波数成分を含む手振れを補正する。
【0099】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0100】
≪ゲイン定数の設定≫
次に、手振れ帯域調整手段14によるゲイン調整手段18のゲイン定数の設定の動作について説明する。
【0101】
ゲイン調整手段18は、積分手段17から有効角度信号を受信する。
【0102】
そして、ゲイン調整手段18は、以下の(数式4)により、受信した有効角度信号にゲイン定数αを乗じることによって信号を増幅させる。ここでZは有効角度信号とする。
【0103】
α・Z (数式4)
そこで、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、上記ゲイン定数αを撮像装置の重量に応じて変更することで、ゲイン調整手段18に撮像装置の重量に応じたゲイン調整を行わせることができる。
【0104】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されているゲイン調整テーブルを読み出し、読み出したゲイン調整テーブルから上記ステップS103で算出した撮像装置の重量データに一致するゲイン定数データを抽出する。
【0105】
図11は、記憶部23に記憶されたゲイン調整テーブルの一例である。
【0106】
図11に示すように、ゲイン定数テーブルは、撮像装置の重量データ901に、項目902にはゲイン定数αが関連付けられて記憶されている。
【0107】
これにより、例えば、手振れ帯域調整手段14が算出した撮像装置の重量データが“550”(g)であった場合、手振れ帯域調整手段14は、読み出したゲイン定数テーブルから重量データが“550”に関連付けられたゲイン定数データαの値“0.95”を抽出する。
【0108】
そして、手振れ帯域調整手段14は、抽出したゲイン定数データαの値を(数式4)に反映する。
【0109】
これにより、ゲイン調整手段18は、積分手段17より受信した有効角度信号について撮像装置の重量に応じてゲイン調整を行うことができる。
【0110】
図12は、撮像装置の重量とゲイン定数との関係を示した説明図である。
【0111】
図12では、ゲイン定数1001が、撮像装置の重量に対するゲイン定数を示している。
【0112】
図12に示すように、撮像装置の重量が軽くなるほど手振れの振り幅は小さくなるため、ゲイン定数を小さくする。逆に、重量が重くなるほど、ゲイン定数を大きくなるように設定する。
【0113】
これにより、撮像装置の重量に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0114】
次に、図2に戻り、ステップS107以降の動作について説明する。
【0115】
ハイパスフィルタ15は、A/D変換部13から角速度信号を受信し、受信したハイパスフィルタ15は、上記の(数式1)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの低周波成分を除去する(ステップS107)。
【0116】
次に、ローパスフィルタ16が、ハイパスフィルタ15から低周波成分をカットされた角速度信号を受信し、受信したローパスフィルタ16は、上記の(数式2)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、手振れの高周波成分を除去する(ステップS109)。
【0117】
次に、積分手段17が、ローパスフィルタ16から受信した有効角速度信号を積分することにより角度信号を算出する(ステップS111)。具体的には、積分手段17は、上記の(数式3)の伝達関数で表されるような1次のIIRフィルタを用いて、有効角速度信号を積分する。
【0118】
そして、ゲイン調整手段18が、積分手段17から有効角度信号を受信し、受信した有効角度信号にゲイン定数αを乗じることによって信号を増幅させる(ステップS113)。
【0119】
次に、補正制御部20は、ゲイン調整手段18から出力されD/A変換手段19でデジタル信号からアナログ信号に変換された有効角度信号に基づいて補正量を算出し、この補正量に基づいて補正光学系21を制御する。
【0120】
以上のように本実施例に係る手振れ補正装置によれば、外付けの機器によりカメラの重量が変化した場合でも、手振れ補正の性能を劣化させることのない、良好な手振れ補正を提供できる。
【0121】
<実施例2>
実施例1では、光学系を駆動させることにより手振れ補正を行う手振れ補正装置を例に挙げて説明したが、実施例2では、電気的に手振れ補正を行う手振れ補正装置を例に挙げて説明する。
【0122】
図13は、TG部を介してCCD部からの画像の読み出し位置と、信号処理されフィールドメモリに格納された画像の読み出し位置を制御することで手振れを補正する手振れ補正装置のブロック図である。
【0123】
図13では、補正制御部20が、撮影した画像の1フィールド毎にCCD部25の読み出し位置とフィールドメモリ28の読み出し位置を、CPU2から受信した補正量に応じて制御することによって手振れ補正を行う。このとき、CCD部25の読み出し位置は固定とし、フィールドメモリ28の読み出し位置の制御のみで手振れ補正を実現してもよい。CCD部25の読み出し位置の制御は、CPU2からTG部24にフィールド単位で読み出し位置を指定することで実現する。また、フィールドメモリ28の読み出し位置はCPU2からフィールドメモリ28を制御する信号処理部26をフィールド単位に制御することで実現する。
【0124】
これにより、撮像装置重量、慣性モーメント、又は重心に応じて精度よく手振れを電気的に補正することができる。
【0125】
<実施例3>
実施例1では、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定するものである。
【0126】
図14に示すように、脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品を撮像装置に接続する際、異なる重量、あるいは容量のバッテリーを接続した場合や、接続するHDD、SDカードなどの記録媒体の選択的な装着により、
第1には装置全体の重心位置が移動し、重心位置の変動に基づいて、重心位置に対する撮像装置の慣性モーメントが(A)のように変動する。
【0127】
第2には装置全体を図14に示すように手で支持する場合に、手の支持に関係する可動中心に対する撮像装置の慣性モーメントが(図示しない)変動する。
【0128】
実施例3では、このように撮像装置の慣性モーメントが変動する場合、重心位置の変動に基づいて、又は手の支持に関係する可動中心に対する慣性モーメントの変動に基づいて撮像装置の慣性モーメントを算出し、算出した慣性モーメントに基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する。
【0129】
図15は、実施例3に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0130】
実施例1では、ステップS103において、撮像装置の重量を算出するが、実施例3では、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信すると、接続検出部22から脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品の撮像装置本体への接続状態を示す接続情報を受信し、撮像装置の慣性モーメント情報を算出する(ステップS203)。
【0131】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、接続されているバッテリーやHDDなどの種類を示す製品IDデータを接続検出部22から受信する。
【0132】
そして、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている慣性モーメント情報テーブルを読み出し、読み出した慣性モーメント情報テーブルから接続検出部22より受信した製品IDデータに一致する慣性モーメント情報を抽出する。
【0133】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、ステップS203で算出した慣性モーメントに基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する(ステップS205)。
【0134】
そして、ハイパスフィルタ15、ローパスフィルタ16、積分手段17、又はゲイン調整手段18が、ステップS305にて設定された低周波カットオフ周波数、高周波カットオフ周波数、積分定数、ゲイン定数を用い、各処理を実行する(ステップS207、S209、S211、S213)。
【0135】
そして、補正制御部20が、CPU2からの信号に基づいて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて補正光学系21を制御する(ステップS215)。
【0136】
以上より、実施例3に係る手振れ補正装置によれば、撮像装置の慣性モーメントに応じて精度よく手振れを補正することができる。
【0137】
<実施例4>
実施例1では、撮像装置の重量を算出し、算出した重量に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する。
【0138】
図14に示すように、脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品を撮像装置に接続する際、異なる重量、あるいは容量のバッテリーを接続した場合や、接続するHDD、SDカードなどの記録媒体の選択的な装着により、装置全体の重心位置が移動し撮像装置の重心が(B)のように移動する。
【0139】
実施例4では、このように撮像装置の重心が変動する場合、撮像装置の重心を算出し、算出した重心に基づいて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する。
【0140】
図16は、実施例4に係る手振れ補正装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0141】
実施例1では、ステップS103において、撮像装置の重量を算出するが、実施例4では、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、A/D変換部13から角速度検出信号を受信すると、接続検出部22から脱着可能なバッテリーやHDDなどの部品の撮像装置本体への接続状態を示す接続情報を受信し、撮像装置の重心を算出する(ステップS303)。
【0142】
具体的には、手振れ帯域調整手段14は、接続されているバッテリーやHDDなどの種類を示す製品IDデータを接続検出部22から受信する。
【0143】
そして、手振れ帯域調整手段14は、予め撮像装置の記憶部23に記憶されている重心情報テーブルを読み出し、読み出した重心情報テーブルから接続検出部22より受信した製品IDデータに一致する重心データを抽出する。
【0144】
次に、CPU2の手振れ帯域調整手段14は、ステップS303で算出した重心に応じて、ハイパスフィルタ15のカットオフ周波数、ローパスフィルタ16のカットオフ周波数、積分手段17の積分定数、またはゲイン調整手段18のゲイン定数のうち少なくともいずれかを設定する(ステップS305)。
【0145】
そして、ハイパスフィルタ15、ローパスフィルタ16、積分手段17、又はゲイン調整手段18が、ステップS305にて設定された低周波カットオフ周波数、高周波カットオフ周波数、積分定数、ゲイン定数を用い、各処理を実行する(ステップS307、S309、S311、S313)。
【0146】
そして、補正制御部20が、CPU2からの信号に基づいて補正量を算出し、算出した補正量に基づいて補正光学系21を制御する(ステップS315)。
【0147】
以上より、実施例4に係る手振れ補正装置によれば、撮像装置の重心に応じて精度よく手振れを補正することができる。
【符号の説明】
【0148】
1…手振れ補正装置
2…CPU
11…角速度センサ(検出手段)
12…帯域制限アンプ部
13…A/D変換部
14…手振れ帯域調整手段
15…ハイパスフィルタ
16…ローパスフィルタ
17…積分手段
18…ゲイン調整手段
19…D/A変換手段
20…補正制御部
21…補正光学系(補正手段)
22…接続検出部
23…記憶部
24…タイミングジェネレータ部
25…CCD部
26…信号処理部
28…フィールドメモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置に加わる振動を検出する振動検出部と、検出した前記振動のうち手振れ成分のみを取り出す手振れ成分検出部と、前記手振れ成分に基づいて手振れを補正する補正部と、撮影部と、撮影部で撮影した画像情報を記録するための記録媒体に接続するための第1の接続部と、撮影装置に電力を供給するためのバッテリーに接続するための第2の接続部とを有する撮影装置において、
前記第1または前記第2の接続部に、着脱可能なそれぞれ識別情報を有する複数の記録媒体またはそれぞれ識別情報を有する複数のバッテリーを選択的に接続する場合に、接続された記録媒体またはバッテリーの識別情報に基づいて、接続された記録部または電力供給部の重量情報を取得し、前記重量情報に基づいて手振れを補正する補正部を制御することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記手振れ成分検出部はローパスフィルタを有し、前記重量が重いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記手振れ成分検出手段はハイパスフィルタを有し、前記重量が重いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記手振れ成分検出手段は積分フィルタを有し、前記重量が重いほど積分定数を高く設定し、前記重量が軽いほど積分定数を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記手振れ成分検出手段はゲイン調整を有し、前記重量が重いほどゲイン定数を低く設定し、前記重量が軽いほどゲイン定数を高く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項1】
撮影装置に加わる振動を検出する振動検出部と、検出した前記振動のうち手振れ成分のみを取り出す手振れ成分検出部と、前記手振れ成分に基づいて手振れを補正する補正部と、撮影部と、撮影部で撮影した画像情報を記録するための記録媒体に接続するための第1の接続部と、撮影装置に電力を供給するためのバッテリーに接続するための第2の接続部とを有する撮影装置において、
前記第1または前記第2の接続部に、着脱可能なそれぞれ識別情報を有する複数の記録媒体またはそれぞれ識別情報を有する複数のバッテリーを選択的に接続する場合に、接続された記録媒体またはバッテリーの識別情報に基づいて、接続された記録部または電力供給部の重量情報を取得し、前記重量情報に基づいて手振れを補正する補正部を制御することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記手振れ成分検出部はローパスフィルタを有し、前記重量が重いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどローパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記手振れ成分検出手段はハイパスフィルタを有し、前記重量が重いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定し、前記重量が軽いほどハイパスフィルタのカットオフ周波数を高く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記手振れ成分検出手段は積分フィルタを有し、前記重量が重いほど積分定数を高く設定し、前記重量が軽いほど積分定数を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記手振れ成分検出手段はゲイン調整を有し、前記重量が重いほどゲイン定数を低く設定し、前記重量が軽いほどゲイン定数を高く設定することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−138166(P2011−138166A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74755(P2011−74755)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2006−211711(P2006−211711)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2006−211711(P2006−211711)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
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