説明

撹拌凍結装置

【課題】 連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置であって、特に粒状食品等を機械的に撹拌することなくバラ状にして凍結するとともに構造を簡素化する撹拌凍結装置を提供する。
【解決手段】 断熱トンネル内に凍結室を有し、搬入口から粒状食品を搬送する第1コンベヤと、第1コンベアの下方であって、第1コンベヤよりも低速度で搬出口へ搬送する第2コンベヤと、複数の噴射ノズルを第1及び第2コンベヤのベルト往動部の下方に、第1及び第2コンベヤの搬送方向に対して交差する方向に間隙を確保して設けてなり、搬送される粒状食品が下方より噴出する冷気にて浮流するよう、第1噴射ノズルの風速を、第2噴射ノズルの風速よりも大きくし、浮流した粒状食品がベルト往動部上に帰着するよう、第1噴射ノズルを等間隔に配置したことを特徴とする撹拌凍結装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置であって、特に粒状食品等を撹拌しバラ状にして凍結する撹拌凍結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、冷凍食品の需要が増大する中、米飯、刻み野菜等のような粒状の食品を凍結する凍結装置が使用されている。
例えば、下部に冷却空気を導入して吹出す冷却空気吹出口を有し、上部に排気口を設けた冷凍処理室と、底部に冷却空気の通過する多数の通気孔を有し、冷凍処理室に出し入れされて前記冷却空気吹出口の上に載置される丸皿形の処理容器と、冷凍処理室内に上下動可能に設けられ、冷却空気吹出口上の処理容器とほぼ同心の自動軸まわりにこの自転軸を中心に旋回されるように放射方向に延びて自転されるほぐしローラを有するほぐし機構とを備えた凍結装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これによって、処理容器内をこれとほぼ同心的に旋回しながら自転するほぐしローラによって処理容器内の被処理物を順次機械的に掻きほぐし、処理容器内の被処理物の全てを強制的に効率よく掻きほぐしてムラなくバラ化することができ、処理容器の底部から吹出されてくる冷却空気の吹き上げ力によってもさらにバラ化を促進しながら、1粒ずつを冷却空気にさらしてバラ凍結を達成することができるものである。
【0004】
また、従来より、コンベアベルトに振動を与えて粒状食品をバラバラにして、下方よりの冷気により表面を凍結させ、互いの接合を防ぐ工程の第1コンベアベルトと、その後に、粒状食品の中心部まで凍結させる工程の第2コンベアベルトとを有する2段凍結装置も公知である。
【特許文献1】特開平5−153943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような構成では、当該構成にて、処理容器内の被処理物は旋回するほぐしローラによって掻き上げられながら順次ほぐされると共に、ほぐしローラによって上方から掻き崩されながら順次ほぐされ、機械的な強制ほぐし作用を万遍なく効率よく受け、粘着性のある飯類でもムラなくバラ化させることができるが、粒状食品が一定の塊になって凍結した場合には、機械的な強制ほぐし作用によって撹拌させると、粒状食品が割れてしまう虞があり、商品価値を下げてしまう。
【0006】
また、コンベアベルトに振動を与えて粒状食品をバラバラにして表面を凍結させる従来技術においては、コンベアベルトに振動を与える要素を別途に設けなければならず、構造を簡素化することができない。また、機械的に粒状食品に振動を与えるので、粒状食品はコンベアベルトとの間の摩擦によって、粒状食品の表面が損傷する虞もある。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置であって、特に粒状食品等を機械的に撹拌することなくバラ状にして凍結するとともに構造を簡素化する撹拌凍結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明の撹拌凍結装置は、断熱トンネル内に凍結室を有し、搬入口から粒状食品を搬送する第1コンベヤベルトと、前記第1コンベアベルトの下方であって、前記第1コンベヤベルトの延長線と平行な位置に配置され、前記第1コンベヤベルトから落下する粒状食品を自動的に受け止めて前記第1コンベヤベルトよりも低速度で搬出口へ搬送する第2コンベヤベルトと、凍結室内の冷気を回収する冷気回収口と、凍結室内の冷気を吸引して回収する冷気回収手段とを有し、その冷気を冷気用熱交換手段に送る冷気回収室と、前記冷気回収室からの冷気を冷却する冷気用熱交換手段と、前記冷気用熱交換手段からの冷気を後記噴射ノズルに供給する冷気供給室と、前記複数の噴射ノズルを前記第1及び第2コンベヤベルトのベルト往動部の下方に、前記第1及び第2コンベヤベルトの搬送方向に対して交差する方向に間隙を確保して設けてなり、搬送される前記粒状食品が下方より噴出する冷気にて浮流するよう、前記第1コンベアベルト下方における第1噴射ノズルの風速を、前記第2コンベアベルト下方における第2噴射ノズルの風速よりも大きくし、浮流した前記粒状食品がベルト往動部上に帰着するよう、前記第1噴射ノズルを等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の撹拌凍結装置に係る請求項1に記載の発明によれば、第1コンベアベルトにおいて、粒状食品が第1噴射ノズルの位置まで搬送されると、搬送ベルトにおける多数の貫通孔から第2噴射ノズルよりも風速の大きい冷気が噴出しているので、粒状食品は上方へ浮流する。また、凍結室の長手方向に沿って第1噴射ノズルは等間隔で設けられているので、隣接する第1噴射ノズルとの間の領域においては、冷気が噴出されることがないので、粒状食品は搬送ベルト上に帰着される。
この浮流と帰着の工程を繰り返すことによって、粒状食品を互いに接合した一定の塊にすることなく、バラ状に撹拌させることができ、また、表面部にのみ凍結部分を有するようにして凍結することができる。
これによって、粒状食品を機械的に撹拌することなくバラ状にして、表面部のみを凍結させることができるので、粒状食品を損傷させることなく、商品価値を下げることもない。
更に、機械的に撹拌する構造を設けないことから、当該構造を簡素化することができ、従来製品より低コスト化を計ることができる。
また、第2コンベアベルトにおいては、粒状食品は第1コンベアベルトより低速度で搬送されるので、未凍結部分と凍結部分との境界部分を有することがないよう、中心部まで凍結させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態における撹拌凍結装置を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1の全体簡略正面図である。図2は、本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1を長手方向に切断した全体簡略正面図である。図3は、本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1を図1のA−A線で切断した拡大端面簡略図である。図4は、本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1を図1のB−B線で切断した拡大端面簡略図である。図5は、凍結対象物の表面が先行して凍結し、内部が未凍結の状態を示す簡略図である。図6は、本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1における第1及び第2噴射ノズルの断面図である。
【実施例1】
【0012】
本発明を具体化した実施形態について図1から図6に従って説明する。本発明の実施例に係る撹拌凍結装置1における基本構造は、出願人が発明し実施する凍結装置(特願2005−205191)と同様のものとされる。
【0013】
本発明を具体化した実施形態について図1から図6に従って説明する。本発明の実施例に係る撹拌凍結装置1は、断熱トンネル1a内に凍結室6、冷気回収口7、送風機8、冷気回収室9、冷気供給室10、第1コンベアベルト11、第2コンベアベルト12、冷気用熱交換手段13、複数の第1噴射ノズル14及び第2噴射ノズル15を有する。
【0014】
図1乃至図4に示すように、前記断熱トンネル1aの断面形状は略直方形である。前記撹拌凍結装置1の正面には手前に開く扉部1bが設けられており、扉部1bを開けて前記断熱トンネル1a内の点検、清掃等を行えるようになっている。
【0015】
図3及び図4に示すように、前記断熱トンネル1aの内側は、長手方向に沿って設けられた隔壁によって凍結室6、冷気回収室9、冷気供給室10に区分されている。前記凍結室6は、前記断熱トンネル1aの内側を隔壁で仕切られて図3及び図4における左側に設けられる。前記冷気供給室10は、前記凍結室6の図3及び図4における右側に設けられる。
【0016】
前記冷気回収室9は、前記凍結室6の上方であって、かつ前記冷気供給室10の図示左側に設けられる。後述するように、前記凍結室6、前記冷気回収室9、前記冷気供給室10はそれぞれ連通する部分を有しており、冷気は前記凍結室6、前記冷気回収室9、前記冷気供給室10を強制循環するようになっている。
【0017】
前記凍結室6は、搬送される粒状食品Fを冷気によって凍結させる区画である。図2に示すように、前記凍結室6は、前記断熱トンネル1a内において長手方向の一端から他端まで連続している。前記凍結室6の長手方向の一端側には、前記粒状食品Fを前記凍結室6内に供給する搬入口1cが設けられている。前記凍結室6の長手方向の他端側には、前記粒状食品Fを前記凍結室6内から取り出すための搬出口1dが設けられている。
【0018】
前記第1コンベアベルト11は、ベルト往動部11b及びベルト復動部11cを有する搬送ベルト11a、駆動プーリ11d、従動プーリ11e及び前記駆動プーリ11dを稼働するモータ(図示しない)からなり、前記搬送ベルト11aは、前記凍結室6内で前記粒状食品Fを搬送するために設けられている。図2に示すように、前記搬送ベルト11aは、前記凍結室6の前記搬入口1cから前記撹拌凍結装置1における中央部にかけて前記凍結室6内を横貫するように架設されている。また、前記駆動プーリ11dと前記従動プーリ11eの位置関係はいずれを駆動側とすることもできる。
【0019】
前記第2コンベアベルト12は、ベルト往動部12b及びベルト復動部12cを有する搬送ベルト12a、駆動プーリ12d、従動プーリ12e及び前記駆動プーリ12dを稼働するモータ(図示しない)からなり、前記搬送ベルト12aは、前記凍結室6内で前記粒状食品Fを搬送するために設けられている。図2に示すように、前記搬送ベルト12aは、2段になるよう前記第1コンベアベルト11の下方に位置し、前記第1コンベヤベルト11の延長線と平行な位置に配置され、前記第1コンベヤベルト11から落下する前記粒状食品Fを自動的に受け止めることができる位置で、前記撹拌凍結装置1における中央部から前記凍結室6の前記搬出口1dにかけて前記凍結室6内を横貫するように架設されている。また、前記駆動プーリ12dと前記従動プーリ12eの位置関係はいずれを駆動側とすることもできる。また、第2コンベアベルト12は、前記第1コンベアベルト11よりも低速度で稼動する。
【0020】
前記搬送ベルト11a、12aは無端状であり、多数の貫通孔を有する熱伝導率の大きいステンレス製の薄い鋼板で形成されている。当該貫通孔は、搬送される前記粒状食品Fの大きさによって、径が選定されるものである。また、前記搬送ベルト11a、12aは、ステンレス鋼板に限られるものではなく、搬送される前記粒状食品Fに応じて樹脂製等のベルトに置換することもできる。
また、前記搬送ベルト12aにおいては、後述するが、冷気によって前記粒状食品Fを浮流させないので、前記搬送ベルト11aのように多数の貫通孔を有しなくてもよい。
【0021】
前記冷気回収室9は、前記凍結室6内の冷気を回収し、その冷気を冷気用熱交換手段13に送る区画である。図3及び図4に示すように、前記冷気回収室9の図示左側には、前記冷気供給室10と離隔した位置に冷気回収口7が設けられる。前記冷気回収口7は前記冷気回収室9と前記凍結室6とを連通させて、前記凍結室6内の冷気を前記冷気回収室9内に回収するために設けられる。前記冷気回収口7の内側には冷風回収手段としての送風機8が設けられており、前記送風機8によって前記凍結室6の冷気が前記冷気回収室9に回収される。前記冷気回収室9と前記冷気供給室10との間の供給室隔壁2には前記冷気回収室9と前記冷気供給室10とを連通させる前記回収室連通穴部3が形成される。
【0022】
前記冷気用熱交換手段13は冷媒によって空気と熱交換を行い、空気を冷却する部分である。図3及び図4に示すように、前記冷気用熱交換手段13は前記冷気回収室9内であって、前記冷気回収口7と前記冷気供給室10との間に設けられる。前記冷風回収口7から前記送風機8によって回収された冷気は前記冷気用熱交換手段13に接触し、冷媒と熱交換を行って冷却される。前記送風機8によって回収され、前記冷気用熱交換手段13で冷却された冷気は、前記冷気回収室9と前記冷気供給室10とを連通させる前記回収室連通穴部3から前記冷気供給室10に送られる。また、前記冷気用熱交換手段13を断熱トンネル1a内に設置したが、断熱トンネル1aの外部に設置してもよい。
【0023】
前記冷気供給室10は、前記冷気用熱交換手段13によって冷却された冷気を取り入れ、第1噴射ノズル14と第2噴射ノズル15とに供給する部分である。図3及び図4に示すように、前記冷気供給室10は前記凍結室6の図示右側であって、前記凍結室6の長手方向に沿って設けられている。前記冷気供給室10と前記凍結室6とを仕切る凍結室隔壁4には、前記第1噴射ノズル14と前記第2噴射ノズル15とに連通させる凍結室連通穴部5が設けられている。前記凍結室連通穴部5は複数設けられており、前記凍結室6の長手方向に沿って前記第1噴射ノズル14側と前記第2噴射ノズル15側の上下2段にして等間隔で設けられている。前記凍結室連通穴部5は、前記搬送ベルト11aにおける前記ベルト往動部11bよりやや下方、前記搬送ベルト12aにおける前記ベルト往動部12bよりやや下方に設けられる。
【0024】
前記第1噴射ノズル14は、前記冷気供給室10からの冷気を前記搬送ベルト11aの幅方向に送り、冷気を前記搬送ベルト11aの前記ベルト往動部11bに向けて噴射する部分である。また、前記第2噴射ノズル15は、前記冷気供給室10からの冷気を前記搬送ベルト12aの幅方向に送り、冷気を前記搬送ベルト12aの前記ベルト往動部12bに向けて噴射する部分である。
【0025】
図6は、前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15を示しているが、前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15は略同一形状であって、いずれも噴射部主体14a、15a、噴射用スリット14e、15e、冷風案内空間部14f、15fを有している。前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15は、断面右側部材14b、15bと断面左側部材14c、15c及び蓋部材14d、15dとから構成されており、それぞれステンレス製薄板を屈曲して形成されている。これらを溶接して前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15の噴射部主体14a、15a、噴射用スリット14e、15e、冷風案内空間部14f、15fが構成される。前記噴射部主体14a、15aの一端は開口部となっており、他端は蓋部材14d、15dによって閉塞される。
【0026】
前記噴射部主体14a、15aは、前記冷風供給室10に連通させて冷風を前記搬送ベルト11a、12a下方まで導く部分である。図6に示すように、前記噴射部主体14a、15aの内側は冷風を導くための空間になっている。
図3及び図4に示すように、前記噴射部主体14a、15aは前記搬送ベルト11a、12aを幅方向に跨ぐ長さを有する。前記噴射部主体14a、15aの一端(開口部側)には前記凍結室隔壁4に取り付けるためのフランジ部17が形成されている。
【0027】
前記噴射用スリット14e、15eは、前記搬送ベルト11a、12aの前記ベルト往動部11b、12bの下面部に向けて冷気を噴射する部分である。前記噴射部主体14a、15aから離隔して形成される前記噴射用スリット14e、15eは、前記搬送ベルト11a、12aの搬送方向に対して交差する方向となるように形成され、前記搬送ベルト11a、12aの搬送方向に対して交差する方向に冷気を噴射する。
また、前記凍結室隔壁4から前記搬送ベルト11a、12aに亘るまでは、冷気の噴射を要しないことから、図3及び図4に示すように、前記噴射用スリット14e、15eに閉鎖部14g、15gが設けられている。これによって、冷気を要する箇所のみ噴射させることができ、熱効率もよい。
【0028】
前記冷風案内空間部14f、15fは、前記噴射部主体14a、15aから前記噴射用スリット14e、15eに冷風を案内し、前記噴射用スリット14e、15eから噴射される冷気を層流に近い状態とする部分である。図6に示すように、前記冷風案内空間部14f、15fは前記噴射部主体14a、15aと前記噴射用スリット14e、15eとの間に設けられる。前記冷風案内空間部14f、15fの幅は、前記噴射用スリット14e、15eの幅と略同一の幅である。
【0029】
前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15は、図1乃至図4に示すように、前記搬送用ベルト11aの前記ベルト往動部11bの下方及び前記搬送用ベルト12aの前記ベルト往動部12bの下方に位置し、かつ、前記搬送用ベルト11a、12aの搬送方向に対して交差する方向に設け、前記搬送用ベルト11a、12aの搬送方向に対して等間隔に設ける。前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15における前記フランジ部17を前記凍結室隔壁4に固定される。また、前記第1噴射ノズル14及び前記第2噴射ノズル15の他端は、前記搬送用ベルト11a、12aの側方で支持させる。
また、前記第1噴射ノズル14は、前記第2噴射ノズル15よりも風速が大きく設定される。詳細は後述するが、これによって、前記第1コンベアベルト11では前記粒状食品Fを浮流させることができる。
このとき、前記第1コンベアベルト11では前記粒状食品Fを浮流させるが、前記第2コンベアベルト12では前記粒状食品Fを浮流させないので、前記第2噴射ノズル15を等間隔に設けなくてもよいし、前記第2噴射ノズル15以外の他の冷却装置等を用いて、凍結させることもできる。
【0030】
ホッパー16は、傾斜板16a、16bを有し、前記第1コンベアベルト11及び前記第2コンベアベルト12における幅方向の両端部に設置され、当該両端部からそれぞれ上方に向かって突出している。前記傾斜板16a、16bは互いに対向し、その対向する幅は上方に向かうにつれ拡がり、前記傾斜板16aの先端は前記断熱トンネル1aの壁面に当接し、前記傾斜板16bの先端は前記冷気用熱交換手段13が設置される架台に当接している。これによって、前記粒状食品Fは、前記第1コンベアベルト11及び前記第2コンベアベルト12における両端からこぼれ落ちることはない。
【0031】
次に本発明の実施例に係る撹拌凍結装置1の作動について説明する。
前記搬入口1cより供給される前記粒状食品Fは、前記第1コンベアベルト11で搬送されることによって、バラ状に撹拌されながら表面部のみが凍結される。
具体的には、前記粒状食品Fが前記第1噴射ノズル14の位置まで搬送されると、図2及び図3に示すように、前記搬送ベルト11aには多数の貫通孔から冷気が噴出しているので、前記粒状食品Fは上方へ浮流する。
また、隣接する前記第1噴射ノズル14との間の領域においては、冷気が噴出されることがないので、前記粒状食品Fは前記搬送ベルト11a上に帰着される。
この浮流と帰着の工程を繰り返すことによって、前記粒状食品Fを互いに接合した一定の塊にすることなく、バラ状に撹拌させることができる。更に、前記第1コンベアベルト11では、例えば、前記粒状食品Fは搬送距離2.6mを30秒で搬送され、前記第2コンベアベルト12よりも約6倍の高速度で搬送されるので、図5に示すように表面部に凍結部分F2を有し、中央部に未凍結部分F1を有するようにして凍結される。
【0032】
このようにしてバラ状に撹拌され、表面部のみに凍結部分F2を有する前記粒状食品Fは、下方の前記第2コンベアベルト12へ移動される。
前記第2コンベアベルト12では、例えば、前記粒状食品Fは搬送距離2.6mを3分で搬送され、前記粒状食品Fは前記第1コンベアベルト11より約6分の1の低速度で搬送される。また、前記第2噴射ノズル15は、前記第1噴射ノズル14よりも風速が小さく設定されているので、前記粒状食品Fは上方へ浮流することはなく、冷気が集中して吹き付けられる。
この状態で前記搬出口1d付近まで搬送されるので、前記未凍結部分F1と前記凍結部分F2との境界部分F3を有することがないよう、中心部まで凍結させることができる。
【0033】
以上説明した本発明の実施例に係る撹拌凍結装置1によれば、前記第1コンベアベルト11において、前記凍結室6の長手方向に沿って前記第1噴射ノズル14は等間隔で設けられているので、前記粒状食品Fが前記第1噴射ノズル14の位置まで搬送されると、前記搬送ベルト11aには多数の貫通孔から冷気が噴出しているので、前記粒状食品Fは上方へ浮流され、隣接する前記第1噴射ノズル14との間の領域においては、冷気が噴出されることがないので、前記粒状食品Fは前記搬送ベルト11a上に帰着される。
この浮流と帰着の工程を繰り返すことによって、前記粒状食品Fを互いに接合した一定の塊にすることなく、バラ状に撹拌させることができ、また、表面部にのみ凍結部分F2を有するようにして凍結することができる。
これによって、前記粒状食品Fを機械的に撹拌することなくバラ状にして、表面部のみを凍結させることができるので、前記粒状食品Fを損傷させることなく、商品価値を下げることもない。
更に、機械的に撹拌する構造を設けないことから、当該構造を簡素化することができ、従来製品より低コスト化を計ることができる。
また、前記第2コンベアベルト12においては、前記粒状食品Fは前記第1コンベアベルト11より約6分の1の低速度で搬送され、且つ、前記第2噴射ノズル15は、前記第1噴射ノズル14よりも風速が小さく設定されているので、前記粒状食品Fは上方へ浮流することはなく、冷気が集中して吹き付けられる。
この状態で前記搬出口1d付近まで搬送されるので、前記未凍結部分F1と前記凍結部分F2との境界部分F3を有することがないよう、中心部まで凍結させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1の全体簡略正面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1を長手方向に切断した全体簡略正面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1を図1のA−A線で切断した拡大端面簡略図である。
【図4】本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1を図1のB−B線で切断した拡大端面簡略図である。
【図5】凍結対象物の表面が先行して凍結し、内部が未凍結の状態を示す簡略図である。
【図6】本発明の実施例1に係る撹拌凍結装置1における第1及び第2噴射ノズルの断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 撹拌凍結装置
1a 断熱トンネル
1b 扉部
1c 搬入口
1d 搬出口
2 供給室隔壁
3 回収室連通穴部
4 冷凍室隔壁
5 凍結室連通穴部
6 凍結室
7 冷気回収口
8 送風機
9 冷気回収室
10 冷気供給室
11 第1コンベアベルト
11a 搬送ベルト
11b ベルト往動部
11c ベルト復動部
11d 駆動プーリ
11e 従動プーリ
12 第2コンベアベルト
12a 搬送ベルト
12b ベルト往動部
12c ベルト復動部
12d 駆動プーリ
12e 従動プーリ
13 冷気用熱交換手段
14 第1噴射ノズル
14a 噴射部主体
14b 断面右側部材
14c 断面左側部材
14d 蓋部材
14e 噴射用スリット
14f 冷風案内空間部
14g 閉鎖部
15 第2噴射ノズル
15a 噴射部主体
15b 断面右側部材
15c 断面左側部材
15d 蓋部材
15e 噴射用スリット
15f 冷風案内空間部
15g 閉鎖部
16 ホッパー
16a、16b 傾斜板
17 フランジ
F 粒状食品
F1 未凍結部分
F2 凍結部分
F3 境界部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱トンネル内に凍結室を有し、
搬入口から粒状食品を搬送する第1コンベヤベルトと、
前記第1コンベアベルトの下方であって、前記第1コンベヤベルトの延長線と平行な位置に配置され、前記第1コンベヤベルトから落下する粒状食品を自動的に受け止めて前記第1コンベヤベルトよりも低速度で搬出口へ搬送する第2コンベヤベルトと、
凍結室内の冷気を回収する冷気回収口と、
凍結室内の冷気を吸引して回収する冷気回収手段とを有し、
その冷気を冷気用熱交換手段に送る冷気回収室と、
前記冷気回収室からの冷気を冷却する冷気用熱交換手段と、
前記冷気用熱交換手段からの冷気を後記噴射ノズルに供給する冷気供給室と、
前記複数の噴射ノズルを前記第1及び第2コンベヤベルトのベルト往動部の下方に、
前記第1及び第2コンベヤベルトの搬送方向に対して交差する方向に間隙を確保して設けてなり、
搬送される前記粒状食品が下方より噴出する冷気にて浮流するよう、前記第1コンベアベルト下方における第1噴射ノズルの風速を、前記第2コンベアベルト下方における第2噴射ノズルの風速よりも大きくし、
浮流した前記粒状食品がベルト往動部上に帰着するよう、前記第1噴射ノズルを等間隔に配置したことを特徴とする撹拌凍結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−19790(P2009−19790A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181641(P2007−181641)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(391018547)高橋工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】