説明

撹拌容器の邪魔板ユニット

【課題】市販の容器にも手軽に着脱自在に装着して使用でき、且つ取り扱いや保守管理が簡単で容器を使い捨てにしやすい撹拌容器の邪魔板ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】円筒状の撹拌容器11の内部にモータ13に駆動されて回転する撹拌羽根12を配設する。邪魔板ユニット20は、リング状の取付部材21に複数個の邪魔板22を等間隔で垂設して成る。邪魔板ユニット20を容器11に装着し、撹拌羽根12を水平回転させると、撹拌容器11内の混合液15は水平回転流となるが、撹拌容器11の内周壁面に沿って流れる旋回流は邪魔板22に衝突して乱流を生じ、混合液15は十分に撹拌される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、塗料、薬品等の各種試験等において用いられる撹拌容器の邪魔板ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料、塗料、薬品等の各種試験等において、異種溶液や異種溶剤、粉体などの混合対象物を容器内で撹拌羽根を回転させて撹拌混合することが行われる。粉体、液体との混合では、容器内で撹拌羽根を回転させた場合、遠心力のために外側(容器の内周壁面付近)の粒子濃度は高くなりやすい。また液体同士の混合では、容器内で液体は旋回するが、液体同士が均一に混ざり合うまでにかなりの時間を要する。
【0003】
このために、従来より撹拌効果を上げるために、容器の内周壁面に邪魔板を設けることが知られている。これは、容器の内周壁面に長板状の邪魔板を溶接等により垂直に複数個取り付けたものであり、これにより容器の内周壁面に沿って旋回する旋回流の流れを乱し、撹拌効果をあげるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、邪魔板は溶接等により容器と一体化していたため、邪魔板付き容器自体がかなり高価なものとなって使い捨てにしづらく、また清掃・洗浄等の保守管理にも手間を要するという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術の問題点を解消し、取り扱いや清掃・洗浄等の保守管理が簡単で、且つ市販の容器にも手軽に装着して使用でき、容器の使い捨てもしやすい撹拌容器の邪魔板ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、撹拌羽根を備えた円筒状の撹拌容器に配設される邪魔板ユニットであって、前記撹拌容器の上縁部に取りはずし自在に配置される取付部材と、前記撹拌容器の内周壁面に沿うように前記取付部材に互いに間隔をおいて垂設された複数の邪魔板とから成る。
【0007】
請求項2記載の発明は、望ましくは、前記取付部材は、共回り防止手段を備えた。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記共回り防止手段は、前記撹拌容器の上縁部に着脱自在に係止される係止手段である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記共回り防止手段は、重量のある自身である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記取付部材はリング状であって、前記邪魔板は前記取付部材に等間隔で垂設されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の撹拌容器の邪魔板ユニットは、撹拌容器の上縁部に取りはずし自在に配置される取付部材と、撹拌容器の内周壁面に沿うように取付部材に互いに間隔をおいて垂設された複数の邪魔板とから成るので、複数個の邪魔板を1個のユニットとして手軽に一括して容器に着脱自在に装着できる。また邪魔板ユニットを容器から簡単に取りはずして、邪魔板ユニットと容器を別々に手軽に清掃・洗浄することができる。また取付部材をリング状とし、邪魔板を取付部材に等間隔で取り付けておけば、邪魔板は容器内に等間隔で配置されることになり、また等間隔の再現性も確保できるので、より均一な撹拌効果をあげることができる。
【0012】
また容器が市販・既存の容器であって、邪魔板の設置を考慮せずに制作されている場合でも、これに何らの追加工をすることなく邪魔板ユニットを手軽に装着することができる。また安価な使い捨ての容器も使用できるので、容器の洗浄を不要にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明の一実施の形態における撹拌容器と邪魔板ユニットの分離状態の斜視図(b)同邪魔板ユニットを装着した撹拌容器の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における撹拌容器の側断面図
【図3】本発明の一実施の形態における撹拌容器の平断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(a)(b)において、撹拌容器11は円筒状であり、その内部の下方には撹拌羽根12が配設されている。撹拌羽根12はモータ13に駆動されて回転し、容器11内の混合対象物としての混合液を撹拌混合する。容器11は、ビーカー、ペール缶、ドラム缶等である。
【0015】
なお、撹拌羽根は斜めシャフトに取り付けて斜め回転させる方式のものでもよい。あるいは、磁性体から成る撹拌羽根を磁気的に回転させるなどして撹拌する方式のものでもよく、撹拌方法は様々な方式のものが適用できる。また磁性体から成る撹拌羽根を磁気的に回転させる場合、撹拌羽根の回転シャフトは不要であり、しがたって取付部材は後述するようなリング状である必要はなく、盲の円板でもよい。
【0016】
容器11には邪魔板ユニット20が取りはずし自在に装着される。邪魔板ユニット20は、リング状の取付部材21に複数個(本例では4個)の邪魔板22を等間隔(90°)で互いに間隔をおいて垂設して成っている。取付部材21には止具23が取付けられている。図1(b)に示すように邪魔板22を上方から容器11内に挿入し、取付部材21を容器11の上縁部上に載置し、止具23を上縁部に着脱自在に係止することにより、邪魔板ユニット20は容器11に着脱自在に装着される。その状態で、邪魔板22は容器11の内周壁面に沿うように垂下する。モータ13に駆動される回転シャフト14は、リング状の取付部材21の中央を通っており、その下端部に撹拌羽根12が取り付けられている。
【0017】
図2及び図3は、容器11内の混合液15を撹拌混合している様子を示している。撹拌羽根12が回転すると、混合液15は略水平回転する旋回流となるが、容器11の内周壁面に沿う旋回流は邪魔板22に衝突し、乱流を生じる。したがって混合液15中は十分に撹拌混合される。また邪魔板ユニット20は止具23で容器11の上縁部に係止されているので、水平回転流と共回りすることはない。すなわち、止具23は共回り防止手段となっている。共回り防止手段としては、止具以外にも、例えば取付部材や邪魔板等の邪魔板ユニットを構成する要素をステンレス等の重量のある素材で形成してもよく、あるいは邪魔板の下端部を容器の底面に着地させるようにしてもよい。
【0018】
この邪魔板ユニット20は、簡単に容器11に載置して配設でき、また容器11から取り出して清掃等の保守管理を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の邪魔板ユニットは、邪魔板の設置を考慮せずに制作された市販の容器であっても、これに追加工せずに装着して使用することができる。また複数個の邪魔板を1個のユニットとして容器に手軽に一括して装着でき、またこれから簡単に取りはずして、容器とは別々に清掃・洗浄できる。また安価な容器を使い捨てにしやすい。また邪魔板の等間隔の再現性も確保できるので、撹拌効果をより十分に上げることができ、特に飲料、塗料、薬品等の各種試験等において用いられる撹拌容器の邪魔板ユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0020】
11 撹拌容器
12 撹拌羽根
13 モータ
15 混合液
20 邪魔板ユニット
21 取付部材
22 邪魔板
23 止具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌羽根を備えた円筒状の撹拌容器に配設される邪魔板ユニットであって、
前記撹拌容器の上縁部に取りはずし自在に配置される取付部材と、前記撹拌容器の内周壁面に沿うように前記取付部材に互いに間隔をおいて垂設された複数の邪魔板とから成ることを特徴とする撹拌容器の邪魔板ユニット。
【請求項2】
前記取付部材は、共回り防止手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撹拌容器の邪魔板ユニット。
【請求項3】
前記共回り防止手段は、前記撹拌容器の上縁部に着脱自在に係止される係止手段であることを特徴とする請求項2記載の撹拌容器の邪魔板ユニット。
【請求項4】
前記共回り防止手段は、重量のある自身であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撹拌容器の邪魔板ユニット。
【請求項5】
前記取付部材はリング状であって、前記邪魔板は前記取付部材に等間隔で垂設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撹拌容器の邪魔板ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−20267(P2012−20267A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162129(P2010−162129)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】