説明

撹拌部材及びそれを備えた現像装置並びに画像形成装置

【課題】中空状のスクリューの羽根間のリブに現像剤が付着するのを防ぎ、現像剤の良好な搬送性が得られる撹拌部材、及びそれを現像装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーを撹拌して長手方向に搬送する第1の撹拌部材23であって、第1の撹拌部材23は、回転可能に支持される一方の回転軸31と、回転可能に支持される他方の回転軸32と、一方の回転軸31から他方の回転軸32に螺旋状に延びて形成される螺旋部33aに中空部33bを形成してなるスクリュー33と、スクリュー33の長手方向において対向する螺旋部33a、33aの間に形成されるリブ34と、を備える。リブ34は、回転方向Aの下流側端部に設けられ該下流側端部における回転方向Aに対して所定の角度で傾斜した傾斜面34aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等に用いる現像剤を撹拌及び搬送するスクリューを備える撹拌部材、及びそれを備えた現像装置、及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現像装置は、感光体に現像剤を供給する現像ローラーと、現像剤を撹拌及び搬送して現像ローラーに供給する撹拌部材とを備え、撹拌部材は、現像剤を十分に撹拌して、撹拌した現像剤を現像ローラーの長手方向にわたってむらなく均一に分布させて供給する必要がある。撹拌部材には、現像剤を撹拌及び搬送するために、長手方向に延びる撹拌軸の外周に螺旋状のスクリューが設けられている。
【0003】
しかし、撹拌軸が長手方向に延びて存在するので、撹拌及び搬送するときに撹拌軸の外周面に現像剤が付着、堆積することで撹拌軸の直径が太くなる。その結果、現像剤を十分に撹拌することができなくなり、また、現像剤の搬送される空間が狭くなって搬送性が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1記載の撹拌部材では、撹拌軸が撹拌部材から取り除かれた中空状のスクリューが長手方向に延びた複数のリブに取り付けられている。このように構成することで、撹拌軸に現像剤が付着、堆積するのを防ぎ、現像剤の搬送性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−307140号公報(段落[0007]、[0008]、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の撹拌部材では、スクリューで撹拌された現像剤が撹拌部材の回転方向に対し複数のリブの下流側端部に付着するという不都合があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、中空状のスクリューの羽根間のリブに現像剤が付着するのを防ぎ、現像剤の良好な搬送性が得られる撹拌部材、及びそれを現像装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1の発明は、現像剤を撹拌して長手方向に搬送する撹拌部材であって、回転可能に支持される一方の回転軸と、回転可能に支持される他方の回転軸と、前記一方の回転軸から前記他方の回転軸に螺旋状に延びて形成される螺旋部に中空部を形成してなるスクリューと、前記スクリューの長手方向において対向する前記螺旋部の間に形成されるリブと、を備え、前記リブは、回転方向の下流側端部に設けられ該下流側端部における回転方向に対して所定の角度で傾斜した傾斜面を有することを特徴としている。
【0009】
また、第2の発明では、上記の撹拌部材において、前記傾斜面は、前記下流側端部における回転方向に対して45度より小さい角度で傾斜することを特徴としている。
【0010】
また、第3の発明では、上記の撹拌部材において、前記リブの下流側端部には、前記傾斜面と、前記下流側端部における回転方向に対して直角方向に平坦である平坦面とが形成され、前記平坦面と傾斜面は夫々前記直角方向の幅を有し、前記平坦面の幅は前記傾斜面の幅より小さいことを特徴としている。
【0011】
また、第4の発明では、上記構成の撹拌部材と、該撹拌部材及び現像剤が収容される現像容器と、を備えた現像装置である。
【0012】
また、第5の発明では、上記の現像装置において、前記現像容器は、現像剤が所定方向に搬送される第1の搬送路と、現像剤が前記第1の搬送路と逆方向に搬送されるとともに前記第1の搬送路に隣接して平行に延びる第2の搬送路と、前記第1及び第2の搬送路を仕切る仕切り部材と、前記第1及び第2の搬送路内を現像剤が循環するように前記仕切り部材の長手方向の両端部側が開放される連通部と、を有し、前記撹拌部材は、前記第1の搬送路内に配置される第1の撹拌部材と、前記第2の搬送路内に配置される第2の撹拌部材とからなり、前記第1及び第2の撹拌部材は夫々前記連通部に対向して設けられ、前記傾斜面は前記回転軸の軸中心を基準とした前記リブの外縁側に設けられることを特徴としている。
【0013】
また、第6の発明では、上記の構成の現像装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、スクリューが螺旋状に延びて中空に形成される構成であるために、撹拌された現像剤が中空部に分散されながら良好に搬送される。また、撹拌部材の回転にともなって、リブの下流側端部は現像剤に接触しながら周回するが、リブの下流側端部に傾斜面が形成されることで、下流側端部近傍の現像剤は、リブに対して傾斜面に添って滑り上流側に移動するために、現像剤がリブに付着することがなく、現像剤の良好な搬送性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撹拌部材を備えた画像形成装置の概略構成を示す図
【図2】第1実施形態に係る撹拌部材を備えた現像装置の概略構成を示す断面図
【図3】第1実施形態に係る現像装置の撹拌部を示す断面平面図
【図4】第1実施形態に係る撹拌部材を示す斜視図
【図5】第1実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図
【図6】第2実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図
【図7】第3実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図
【図8】第4実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る撹拌部材を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。画像形成装置1は、その下部に配設された給紙部2と、給紙部2の右側に配設された用紙搬送部3と、用紙搬送部3の上側に配設された画像形成部4と、画像形成部4よりも排出側に配設された定着部5と、画像形成部4及び定着部5の上側に配設された画像読取部6とを備えている。
【0018】
給紙部2は、用紙9を収容する複数の給紙カセット7を備えており、給紙ローラー8の回転動作により、複数の給紙カセット7のうち選択された給紙カセット7から用紙9を1枚ずつ用紙搬送部3に送り出す。
【0019】
用紙搬送部3に送られた用紙9は、用紙供給経路10を経由して画像形成部4に向けて搬送される。この画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙9にトナー像を形成するものであり、所定の方向(図1の矢印方向)に回転可能である感光体11と、この感光体11の周囲にその回転方向に沿って、帯電部12、現像装置14、転写部15、クリーニング部16、及び除電部17を備えている。
【0020】
帯電部12は、高電圧を印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体11の表面に所定電位を与えると、感光体11の表面が一様に帯電させられる。そして、画像読取部6によって読み取られた原稿の画像データに基づく光が、露光部13により感光体11に照射されると、感光体11の表面電位が選択的に減衰され、感光体11の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像装置14が感光体11表面の静電潜像を現像し、感光体11の表面にトナー像が形成される。このトナー像が転写部15によって感光体11と転写部15との間に供給された用紙9に転写される。
【0021】
トナー像が転写された用紙9は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置された定着部5に向けて搬送される。定着部5では、加熱部材18及び加圧ローラー19によって、用紙9が加熱加圧され、用紙9上にトナー像が溶融定着される。次いで、トナー像の定着された用紙9は、排出ローラー対20によって排出トレイ21上に排出される。転写部15による転写後、感光体11表面に残留しているトナーは、クリーニング部16により除去され、また感光体11表面の残留電荷は、除電部17により除去される。そして、感光体11は帯電部12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0022】
図2は上記画像形成装置1に用いられる現像装置14の概略構成を示す断面図である。
【0023】
現像装置14は、一成分磁性現像剤を収容する現像容器22と、この現像剤(以下、「トナー」と記すことがある)を撹拌および搬送する第1の撹拌部材23及び第2の撹拌部材24と、現像スリーブ26と磁極部材25とからなる現像ローラーと、規制部材41とを備えている。
【0024】
第1及び第2の撹拌部材23、24は、現像容器22内に、仕切り部材を挟んで回転可能に配設されている。また、第1及び第2の撹拌部材23、24は、軸方向に螺旋状に形成されるスクリューを備える。第1及び第2の撹拌部材23、24が回転すると、トナーが撹拌され、撹拌されたトナーが仕切り部材に設けた連通部を介して、現像容器22内を長手方向(図2の紙面の表裏方向)に循環し、トナー相互の摩擦によってトナーが帯電する。そして、第2の撹拌部材24によって、トナーが現像スリーブ26に供給される。
【0025】
現像スリーブ26は、アルミニウム等の非磁性材料で円筒状に形成され、磁極部材25を内蔵している。また、現像スリーブ26は、第2の撹拌部材24に隣接する位置で現像容器22内に回転可能に支持される。また、現像スリーブ26は、現像容器22の開口から露出し、像担持体である感光体11に一定の間隔を有して対向している。この対向する領域には、現像スリーブ26に担持されたトナーを感光体11に向けて供給するための現像領域Dが形成されている。
【0026】
磁極部材25は、周方向に複数の磁極部を有し、現像スリーブ26表面に向けて磁界を発生させることで、現像スリーブ26の表面に帯電したトナーを担持させる。
【0027】
規制部材41は、現像スリーブ26の表面に担持されたトナーを所定の層厚に規制するものであり、ブレード状をなし、現像領域Dに対して回転スリーブ26の回転方向の上流側で現像スリーブ26の表面と所定間隔を隔てて、現像容器22に取り付けられている。
【0028】
第2の撹拌部材24から供給されたトナーが現像スリーブ26表面に担持され、担持されたトナーは、規制部材41により一定の層厚に規制され、さらに、現像スリーブ26の回転によって現像流域Dに向けて搬送される。現像スリーブ26と感光体11との間に、バイアス電圧が印加されることにより、現像領域Dにおいて、現像スリーブ26上のトナーは感光体11に供給され、感光体11上の静電潜像はトナー像に現像される。
【0029】
次に、図3を用いて現像装置の撹拌部について詳しく説明する。図3は撹拌部を上側から見た断面平面図である。
【0030】
現像容器22には、前述のように、第1の搬送路22cと、第2の搬送路22dと、仕切り部材22bと、連通部22e、22fが形成されている。
【0031】
仕切り部材22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1の搬送路22cと第2の搬送路22dとを並列させるように仕切っている。仕切り部材22bの長手方向の右側端部は、現像容器22の側壁部とともに連通部22eを形成し、一方、仕切り部材22bの長手方向の左側端部は、現像容器22の側壁部とともに連通部22fを形成している。連通部22e、22fは、第1の搬送路22cと第2の搬送路22dとの間をトナーが移動可能なように開放されている。従って、トナーは、第1の搬送路22cと、連通部22eと、第2の搬送路22d、及び連通部22f内を反時計回りに循環することが可能である。
【0032】
第1の搬送路22c内には第1の撹拌部材23が配設され、第2の搬送路22d内には第2の撹拌部材24が配設されている。
【0033】
第1の撹拌部材23は、回転軸31、32によって現像容器22に回転可能に支持され、鍔部27、28との間に回転軸31、32の軸方向に一定のピッチで螺旋状に延びて中空に形成されるスクリュー33と、回転時にスクリュー33を回転軸31、32の軸中心に対して偏芯することなく回転保持するリブ34と、を有する。スクリュー33及びリブ34は、第1の搬送路22cの長手方向の両端部側まで延び、連通部22e及び連通部22fにも対向して設けられている。
【0034】
第2の撹拌部材24は第1の撹拌部材23と同じ構成を備える。具体的には、第2の撹拌部材24は、回転軸31、32によって現像容器22に回転可能に支持され、鍔部27、28との間に回転軸31、32の軸方向に一定のピッチで螺旋状に延びて中空に形成されるスクリュー33と、回転時にスクリュー33を回転軸31、32の軸中心に対して偏芯することなく回転保持するリブ34と、を有する。スクリュー33及びリブ34は、第2の搬送路22dの長手方向の両端部側まで延び、連通部22e及び連通部22fにも対向して設けられている。
【0035】
第1及び第2の撹拌部材23、24が、図示しないモーターやギア等の駆動源によって、互いに逆方向に回転させられると、第1の撹拌部材23のスクリュー33が第1の方向に回転し、トナーは、スクリュー33によって第1の搬送路22c内で矢印P方向に撹拌されながら搬送される。トナーが第1の搬送路22c内を搬送されるとき、撹拌されたトナーは、スクリュー33の外縁部の周辺及び中空部を分散されながら良好に搬送され、その後、連通部22eを通って第2の搬送路22d内に搬送される。また、第2の撹拌部材24のスクリュー33が第1の方向の逆方向に回転し、トナーは、スクリュー33によって第2の搬送路22d内で矢印Q方向に撹拌されながら搬送される。トナーが第2の搬送路22d内を搬送されるとき、撹拌されたトナーは、スクリュー33の外縁部の周辺及び中空部を分散されながら良好に搬送され、さらに連通部22fを通って第1の搬送路22cに搬送される。このようにトナーは、第1の搬送路22cから、連通部22e、第2の搬送路22d、及び連通部22fと循環しながら撹拌され、撹拌されたトナーは現像スリーブ26(図2参照)に供給される。
【0036】
上記の第1及び第2の撹拌部材23、24は、図4、図5に示すように構成される。図4は、第1及び第2の撹拌部材23、24を示す斜視図であり、図5は、第1の撹拌部材23を図3の面Y−Yにて断面し模式的に示す側面図である。尚、図3をY−Y断面視すると、スクリュー33が螺旋状に連続して形成されるので、スクリュー33の破断線が現れるが、図5では、図が煩雑にならないように、スクリュー33の破断線を省略して示している。また、第1及び第2の撹拌部材23、24は同じ構成であるので、第1の撹拌部材23を代表させて説明する。
【0037】
図4に示すように、第1の撹拌部材23は、スクリュー33と、一対のリブ34、34と、円板状の鍔部27、28と、一方の回転軸31と、他方の回転軸32(鍔部28の後方にあり不可視)とを有して構成され、ABS樹脂等のトナーが付着しにくい樹脂で一体的に成形される。
【0038】
一方の回転軸31が形成される一方の鍔部27の反対側の面には、スクリュー33の一端が連続して設けられ、また、他方の回転軸32が形成される他方の鍔部28の反対側の面には、スクリュー33の他端が連続して設けられる。
【0039】
スクリュー33は、その一端側から他端側まで螺旋羽根状に延びて形成される螺旋部33aを有する。螺旋部33aは、その外縁部33cが円形状をなし、その内縁部33dには矩形状の中空部33bが形成される。螺旋部33aは、外縁部33cの厚み(長手方向の長さ)が小さく、内縁部33d側に向かうにつれて厚みが大きくなるように構成されている。
【0040】
隣接する螺旋部33a、33aの互いに対向する面間には、リブ34が形成される。リブ34は螺旋部33aの内縁部33dに沿って断面を略長方形状に形成される。このリブ34は、回転軸31、32の軸中心を通る直線に対し対称な位置に一対形成される。一対のリブ34、34は、螺旋部33a、33aの互いに対向する全ての面間に形成され、さらに、一端側の螺旋部33aと一方の鍔部27との間に形成されるとともに、他端側の螺旋部33aと他方の鍔部28との間に形成される。
【0041】
尚、リブ34を螺旋部33a、33aの互いに対向する面間に一対設ける構成に限らず、第1の撹拌部材23が長手方向(回転軸31、32の軸方向)に長く構成される場合、或いは、スクリュー33の外縁部33cの直径が比較的に大きく構成される場合、スクリュー33が偏芯することなく回転可能である強度を確保するために、回転軸31、32を中心として螺旋部33aを等分割する位置にリブ34を3個以上配置するようにしてもよい。一方、第1の撹拌部材23が比較的に小型である場合、リブ34が一方及び他方の鍔部27、28間に連続して延びていることによって、スクリュー33の強度を確保することができるのであれば、一つのリブ34で構成してもよい。
【0042】
図5に示すように、各リブ34は、その断面視にて一つのコーナーに傾斜面34aを設けた長方形状に形成して構成される。リブ34の一方の長辺部は、螺旋部33aの内縁部33dに重なるように配置され、その短辺部はスクリュー33の回転方向Aに対面するように配置される。リブ34は、一方の短辺部(回転方向Aの下流側端部)に傾斜面34aと平坦面34bとが形成される一方、他方の短辺部(回転方向Aの上流側端部)に平坦面34cが形成される。
【0043】
傾斜面34aは下流側端部における回転方向A(長辺部に略平行な方向)に対して傾斜角Xを有し、傾斜角Xは所定の角度で構成されるが、45度より小さい角度で構成されるのが好ましい。スクリュー33の矢印A方向への回転にともなって、リブ34の下流側端部はトナーに接触しながら周回するが、上記の構成によって、下流側端部近傍のトナーは、リブ34の傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送される。
【0044】
平坦面34bは、下流側端部おける回転方向Aに対して直角方向に平坦に形成され、その直角方向に幅Sを有する。また、傾斜面34aは、その直角方向に幅Tを有する。リブ34の平坦面34bの幅Sはその傾斜面34aの幅Tより小さく構成される。この構成によって、リブ34の下流側端部近傍のトナーは、下流側端部近傍に滞留し難くなり、さらにリブ34の傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送される。
【0045】
傾斜面34aは、回転軸31の軸中心を基準としたリブ34の外縁側に設けられる。この構成によって、スクリュー33が回転しているとき、リブ34の傾斜面34a近傍のトナーは、傾斜面34aからの抗力によって、傾斜面34aに対して直角方向でスクリュー33の外側方向(スクリュー33から離間する側)に押し遣られる。
【0046】
従って、第1の撹拌部材23が仕切り部材22b(図3参照)に形成された連通部22eに対向する位置では、第1の撹拌部材23が回転するときに、リブ34の傾斜面34aが連通部22eに対向することが可能となる。リブ34の傾斜面34aが連通部22eに対向するとき、第1の搬送路22c(図3参照)内のトナーは、リブ34の傾斜面34aによって連通部22e側に押し遣られ、第2の搬送路22dに搬送される。
【0047】
また、第2の撹拌部材24が仕切り部材22b(図3参照)に形成された連通部22fに対向する位置では、第2の撹拌部材24が回転するときに、リブ34の傾斜面34aが連通部22fに対向することが可能となる。リブ34の傾斜面34aが連通部22fに対向するとき、第2の搬送路22d(図3参照)内のトナーは、リブ34の傾斜面34aによって連通部22f側に押し遣られ、第1の搬送路22cに搬送される。
【0048】
このように、トナーは、第1の搬送路22c、連通部22e、第2の搬送路22d、及び連通部22f内を撹拌されながら良好に循環することになる。
【0049】
尚、上記第1実施形態では、リブ34をスクリュー33の内縁部33dに沿って設ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、リブ34をスクリュー33の外縁部33cに沿って設けてもよく、また、スクリュー33の外縁部33cと内縁部33dとの間に設けてもよく、この別形態も上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
また、上記第1実施形態では、リブ34が断面視にて長方形状に形成され、そのコーナーに傾斜面34aが設けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、リブ34は、スクリュー33の大きさに対する必要強度等に応じて正方形状であってもよく、また短辺、長辺の各サイズ、短辺と長辺との割合等が適宜設定され、そのように設定されたリブのコーナー(角部)に傾斜面34aを設けてもよい。
【0051】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図である。第2実施形態では、スクリュー33が円板状に構成され、またリブ34がスクリュー33の内側に配設される点が第1実施形態と異なり、第1実施形態と異なる構成について主に説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0052】
第1の撹拌部材23は、スクリュー33と、一対のリブ34、34と、一部突出する一方の鍔部27及び他方の鍔部28(一方の鍔部27と同じ構成のため図略)と、一方の回転軸31と、他方の回転軸32(一方の回転軸31と同じ構成のため図略)とを有して構成され、ABS樹脂等のトナーが付着しにくい樹脂で一体的に成形される。
【0053】
一方及び他方の鍔部27、28は夫々第1及び第2の回転軸31、32を中心として反対側に突出して形成される。一方及び他方の鍔部27、28の突出部には一対のリブ34、34が回転軸31の軸方向(図6の紙面の表裏方向)に延びて設けられる。
【0054】
一対のリブ34、34の外縁にはスクリュー33が一体に設けられる。スクリュー33は、回転軸31の軸方向に一定のピッチで螺旋状に延びて形成される螺旋部33aを有し、該螺旋部33aに中空部33bを形成して構成される。具体的には、螺旋部33aは、その外縁部33cが円形状をなすとともに、その内縁部33dが円形状をなし、内縁部33dには円形状の中空部33bが形成される。スクリュー33の両端部は夫々一方及び他方の鍔部27、28に一体に設けられる。中空のスクリュー33が一対のリブ34、34及び一方及び他方の鍔部27、28に一体に設けられることで、第1の撹拌部材23の回転時にスクリュー33は偏芯することなく回転することができる。
【0055】
一対のリブ34、34は、回転軸31の軸中心を通る直線に対し対称な位置に二つ設けられる。回転軸31の軸方向に延びる各リブ34は、スクリュー33の螺旋部33aに対向する部分では、その断面視にて長方形状に形成して構成されるが、対向する螺旋部33a、33aの間では、その断面視にて一つのコーナーに傾斜面34aを設けた長方形状に形成して構成される。リブ34の長辺部は、鍔部27の幅に合わせるように設けられ、その短辺部はスクリュー33の回転方向Aに対面するように設けられる。リブ34は、一方の短辺部(回転方向Aの下流側端部)に傾斜面34aと平坦面34bとが形成される一方、他方の短辺部(回転方向Aの上流側端部)に平坦面34cが形成される。
【0056】
傾斜面34aは下流側端部における回転方向Aに対して傾斜角Xを有し、傾斜角Xは所定の角度で構成されるが、45度より小さい角度で構成されるのが好ましい。スクリュー33の矢印A方向への回転にともなって、リブ34の下流側端部はトナーに接触しながら周回するが、上記の構成によって、下流側端部近傍のトナーは、リブ34の傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送される。
【0057】
平坦面34bは、下流側端部における回転方向Aに対して直角方向に平坦に形成され、その直角方向に幅Sを有する。また、傾斜面34aは、その直角方向に幅Tを有する。リブ34の平坦面34bの幅Sはその傾斜面34aの幅Tより小さく構成される。この構成によって、リブ34の下流側端部近傍のトナーは、下流側端部近傍に滞留し難くなり、さらにリブ34の傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送される。
【0058】
傾斜面34aは、回転軸31の軸中心を基準としたリブ34の外縁側に設けられる。この構成によって、スクリュー33が回転しているとき、リブ34の傾斜面34a近傍のトナーは、傾斜面34aからの抗力によって、傾斜面34aに対して直角方向でスクリュー33の外側方向(スクリュー33から離間する側)に押し遣られる。
【0059】
従って、第1の撹拌部材23が仕切り部材22b(図3参照)に形成された連通部22eに対向する位置では、第1の撹拌部材23が回転するときに、リブ34の傾斜面34aが連通部22eに対向することが可能となる。リブ34の傾斜面34aが連通部22eに対向するとき、第1の搬送路22c(図3参照)内のトナーは、リブ34の傾斜面34aによって連通部22e側に押し遣られ、第2の搬送路22dに搬送される。第1の撹拌部材23と同様に第2の撹拌部材24は、第2の搬送路22d内のトナーをリブ34の傾斜面34aによって連通部22f側に押し遣り、第1の搬送路22cに搬送する。このように、トナーは、第1の搬送路22c、連通部22e、第2の搬送路22d、及び連通部22f内を撹拌されながら良好に循環することになる。
【0060】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図である。第3実施形態は第2実施形態に対してリブ34の構成が異なる。
【0061】
一対のリブ34、34の外縁にはスクリュー33が一体に設けられる。スクリュー33は、回転軸31の軸方向に一定のピッチで螺旋状に延びて形成される螺旋部33aを有し、該螺旋部33aに中空部33bを形成して構成される。具体的には、螺旋部33aは、その外縁部33cが円形状をなすとともに、その内縁部33dが円形状をなし、内縁部33dには円形状の中空部33bが形成される。スクリュー33の両端部は夫々一方及び他方の鍔部27、28に一体に設けられる。中空のスクリュー33が一対のリブ34、34及び一方及び他方の鍔部27、28に一体に設けられることで、第1の撹拌部材23の回転時にスクリュー33は偏芯することなく回転することができる。
【0062】
一対のリブ34、34は、回転軸31の軸中心を通る直線に対し対称な位置に二つ設けられる。回転軸31の軸方向に延びる各リブ34は、スクリュー33の螺旋部33aに対向する部分では、その断面視にて長方形状に形成して構成されるが、対向する螺旋部33a、33aの間では、その断面視にて二つのコーナーに各傾斜面34aを設けた長方形状に形成して構成される。リブ34の長辺部は、鍔部27の幅に合わせるように設けられ、その短辺部はスクリュー33の回転方向Aに対面するように設けられる。リブ34は、一方の短辺部(回転方向Aの下流側端部)に二つの傾斜面34aと平坦面34bとが形成される一方、他方の短辺部(回転方向Aの上流側端部)に平坦面34cが形成される。
【0063】
二つの傾斜面34aのうち、一方の傾斜面34aは平坦面34bに対してリブ34の外縁側に設けられ、他方の傾斜面34aは平坦面34bに対してリブ34の内縁側に設けられる。各傾斜面34aは下流側端部における回転方向Aに対して傾斜角Xを有し、傾斜角Xは所定の角度で構成されるが、45度より小さい角度で構成されるのが好ましい。スクリュー33の矢印A方向への回転にともなって、リブ34の下流側端部はトナーに接触しながら周回するが、上記の構成によって、下流側端部近傍のトナーは、リブ34の各傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送性される。
【0064】
平坦面34bは、下流側端部における回転方向Aに対して直角方向に平坦に形成され、その直角方向に幅Sを有する。また、各傾斜面34aは、その直角方向に幅Tを有する。リブ34の平坦面34bの幅Sは各傾斜面34aの幅Tより小さく構成される。この構成によって、リブ34の下流側端部近傍のトナーは、下流側端部近傍に滞留し難くなり、さらにリブ34の傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送性される。
【0065】
一方の傾斜面34aは、回転軸31の軸中心を基準としたリブ34の外縁側に設けられる。この構成によって、スクリュー33が回転しているとき、一方の傾斜面34a近傍のトナーは、この傾斜面34aからの抗力によって、傾斜面34aに対して直角方向でスクリュー33の外側方向(スクリュー33から離間する側)に押し遣られる。
【0066】
従って、第1の撹拌部材23が仕切り部材22b(図3参照)に形成された連通部22eに対向する位置では、第1の撹拌部材23が回転するときに、リブ34の一方の傾斜面34aが連通部22eに対向することが可能となる。一方の傾斜面34aが連通部22eに対向するとき、第1の搬送路22c(図3参照)内のトナーは、一方の傾斜面34aによって連通部22e側に押し遣られ、第2の搬送路22dに搬送される。第1の撹拌部材23と同様に第2の撹拌部材24は、第2の搬送路22d内のトナーをリブ34の一方の傾斜面34aによって連通部22f側に押し遣り、第1の搬送路22cに搬送する。このように、トナーは、第1の搬送路22c、連通部22e、第2の搬送路22d、及び連通部22f内を撹拌されながら良好に循環することになる。
【0067】
尚、上記第3実施形態では、対向する螺旋部33a、33aの全ての間に、二つの傾斜面34aと平坦面34bとが形成されたリブ34を設ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、二つの傾斜面34aのうち、リブ34の外縁側に形成された傾斜面34aは、連通部22e、22fに対向する部分にのみ設けるように構成してもよい。
【0068】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態に係る撹拌部材のスクリュー及びリブを模式的に示す側面図である。第4実施形態は第2実施形態に対してリブ34の構成が異なる。
【0069】
一対のリブ34、34の外縁にはスクリュー33が一体に設けられる。スクリュー33は、回転軸31の軸方向に一定のピッチで螺旋状に延びて形成される螺旋部33aを有し、該螺旋部33aに中空部33bを形成して構成される。具体的には、螺旋部33aは、その外縁部33cが円形状をなすとともに、その内縁部33dが円形状をなし、内縁部33dには円形状の中空部33bが形成される。スクリュー33の両端部は夫々一方及び他方の鍔部27、28に一体に設けられる。中空のスクリュー33が一対のリブ34、34及び一方及び他方の鍔部27、28に一体に設けられることで、第1の撹拌部材23の回転時にスクリュー33は偏芯することなく回転することができる。
【0070】
一対のリブ34、34は、回転軸31の軸中心を通る直線に対し対称な位置に二つ設けられる。各リブ34は、その断面視にて一つのコーナーに傾斜面34aを設けた長方形状に形成して構成される。リブ34の長辺部は、鍔部27の幅に合わせるように設けられ、その短辺部はスクリュー33の回転方向Aに対面するように設けられる。リブ34は、一方の短辺部(回転方向Aの下流側端部)に傾斜面34aと平坦面34bとが形成される一方、他方の短辺部(回転方向Aの上流側端部)に平坦面34cが形成される。
【0071】
傾斜面34aは平坦面34bに対してリブ34の内縁側に設けられる。傾斜面34aは下流側端部における回転方向Aに対して傾斜角Xを有し、傾斜角Xは所定の角度で構成されるが、45度より小さい角度で構成されるのが好ましい。スクリュー33の矢印A方向への回転にともなって、リブ34の下流側端部はトナーに接触しながら周回するが、上記の構成によって、下流側端部近傍のトナーは、リブ34の各傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送される。
【0072】
平坦面34bは、下流側端部における回転方向Aに対して直角方向に平坦に形成され、その直角方向に幅Sを有する。また、傾斜面34aは、その直角方向に幅Tを有する。リブ34の平坦面34bの幅Sは傾斜面34aの幅Tより小さく構成される。この構成によって、リブ34の下流側端部近傍のトナーは、下流側端部近傍に滞留し難くなり、さらにリブ34の傾斜面34aに添って滑り回転方向Aの上流側に移動するために、トナーがリブ34に付着することがなく、トナーが良好に搬送される。
【0073】
尚、上記第2〜第4実施形態では、一対のリブ34、34をスクリュー33の内縁部33dに沿って設ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、一対のリブ34、34をスクリュー33の外縁部33cに沿って設けてもよく、また、スクリュー33の外縁部33cと内縁部33dとの間に設けてもよく、この別形態も上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0074】
また、上記第1〜第4実施形態では、リブ34の下流側端部に傾斜面34aと平坦面34bとを設ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、リブ34の下流側端部には傾斜面34aのみが設けられる構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等に用いる現像剤を撹拌及び搬送するスクリューを備える撹拌部材、及びそれを備えた現像装置、及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
14 現像装置
22 現像容器
22b 仕切り部材
22c 第1の搬送路
22d 第2の搬送路
22e、22f 連通部
23 第1の撹拌部材
24 第2の撹拌部材
27 一方の鍔部
28 他方の鍔部
31 一方の回転軸
32 他方の回転軸
33 スクリュー
33a 螺旋部
33b 中空部
33c 外縁部
33d 内縁部
34 リブ
34a 傾斜面
34b 平坦面
A 回転方向
S 平坦面の幅
T 傾斜面の幅
X 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を撹拌して長手方向に搬送する撹拌部材であって、
回転可能に支持される一方の回転軸と、回転可能に支持される他方の回転軸と、前記一方の回転軸から前記他方の回転軸に螺旋状に延びて形成される螺旋部に中空部を形成してなるスクリューと、前記スクリューの長手方向において対向する前記螺旋部の間に形成されるリブと、を備え、
前記リブは、回転方向の下流側端部に設けられ該下流側端部における回転方向に対して所定の角度で傾斜した傾斜面を有することを特徴とする撹拌部材。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記下流側端部における回転方向に対して45度より小さい角度で傾斜することを特徴とする請求項1に記載の撹拌部材。
【請求項3】
前記リブの下流側端部には、前記傾斜面と、前記下流側端部における回転方向に対して直角方向に平坦である平坦面とが形成され、前記平坦面と傾斜面は夫々前記直角方向の幅を有し、前記平坦面の幅は前記傾斜面の幅より小さいことを特徴とする請求項2に記載の撹拌部材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撹拌部材と、該撹拌部材及び現像剤が収容される現像容器と、を備えた現像装置。
【請求項5】
前記現像容器は、現像剤が所定方向に搬送される第1の搬送路と、現像剤が前記第1の搬送路と逆方向に搬送されるとともに前記第1の搬送路に隣接して平行に延びる第2の搬送路と、前記第1及び第2の搬送路を仕切る仕切り部材と、前記第1及び第2の搬送路内を現像剤が循環するように前記仕切り部材の長手方向の両端部側が開放される連通部と、を有し、
前記撹拌部材は、前記第1の搬送路内に配置される第1の撹拌部材と、前記第2の搬送路内に配置される第2の撹拌部材とからなり、
前記第1及び第2の撹拌部材は夫々前記連通部に対向して設けられ、前記傾斜面は前記回転軸の軸中心を基準とした前記リブの外縁側に設けられることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37258(P2013−37258A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174593(P2011−174593)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】