説明

擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠および擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法

【課題】宅地造成の境界壁、道路の路肩等土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するための擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠および擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法を提供する。
【解決手段】擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、成形型枠15と、成形型枠載置架台21とからなる。前記成形型枠15は、擁壁用L字型コンクリートブロック10を構成する垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を製造できる空間を少なくとも備える。成形型枠載置架台21は、前記成形型枠15の垂直部および傾斜底板に沿った載置台と、前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を一部囲む側壁と、から少なくとも構成される。前記成形型枠15および成形型枠載置架台21に打設されたコンクリートは、一次養生後に直ちに、成形型枠載置架台21から前記成形型枠15ごと除去し、別の場所で二次養生が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅地造成の境界壁、道路の路肩等土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠および擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法に関するものである。また、本発明は、擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する際の型枠コストの低減、前記型枠の稼働効率、および前記擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する際の作業効率を向上させることができる擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠および生産効率の良い擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4(イ)および(ロ)は擁壁用L字型コンクリートブロックの形状を説明するための図である。図4(イ)および(ロ)において、擁壁用L字型コンクリートブロック10は、垂直壁11とほほ直角に曲げられた傾斜底板12とが一体に成形されている。また、前記垂直壁11と前記傾斜底板12とは、105度の角度を設けて一体に成形されている。
【0003】
前記垂直壁11は、さらに、左右に嵌合凸部112および嵌合凹部113と、下部に施工時に支点となる垂直壁基部111とを備えている。また、前記傾斜底板12は、両端にテーパー部121を備えている。前記嵌合凸部112および嵌合凹部113、と両端テーパー部121は、前記擁壁用L字型コンクリートブロック10を連続して設けた場合、特に、曲がっている場合に好都合なように成形されている。図4(ロ)に示す図は、擁壁用L字型コンクリートブロック10の内側(盛土側)から見た図である。前記擁壁用L字型コンクリートブロック10の内側は、補強支持部114が図示のごとく張り出ている。
【0004】
図5(イ)は擁壁用L字型コンクリートブロックを使用した盛土の土留めを説明するための図で、(ロ)は前記擁壁用L字型コンクリートブロックを連結した状態を説明するための図である。図5(イ)において、前記擁壁用L字型コンクリートブロックは、垂直壁11を垂直にし、一つの擁壁用L字型コンクリートブロックにおける嵌合凸部112と、他の一つの擁壁用L字型コンクリートブロックにおける嵌合凹部113とを互いに嵌合させるようにして、連続した壁を土地51の上に製造する。前記擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠10は、前記傾斜底板12側に盛土52が置かれて、土留めができる。前記傾斜底板12と前記垂直壁11との角度αは、約105度にした場合、施工がやり易く、また、施工後の状態を良好にすることができる。図5(イ)および(ロ)において、前記擁壁用L字型コンクリートブロックは、内部中央に補強支持部114が設けられている。前記補強支持部114は、たとえば、二つのテーパー孔115、115′が設けられている。前記テーパー孔115、115′には、前記補強支持部114を連結するための連結棒53が嵌合されている。前記連結棒53は、たとえば、上向きに湾曲させた形状とすることにより、互いの擁壁用L字型コンクリートブロックを連結すると同時に、自重を支えることができるような形状にしてある。
【0005】
また、擁壁用L字型コンクリートブロックは、特開2007−170153号公報に記載されており、垂直壁の下部に嵌合凹部を備え、前記垂直壁の底板を基礎台に嵌合している。前記擁壁用L字型コンクリートブロックは、ほぼ同形の型枠を用いて製造されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−170153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特開2007−170153号公報に記載された擁壁用L字型コンクリートブロックは、一つの型枠を用いて大量に生産されている。しかし、前記擁壁用L字型コンクリートブロックは、前記型枠にコンクリートを打設した後、前記型枠で一次養生を行い、その後、水養生あるいはスチーム養生等の二次養生を行い、最後に型枠から取り出すという方法を用いていた。
【0008】
前記擁壁用L字型コンクリートブロックは、垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板からなり、工事の対象によって多少異なるが、相当な大きさと重量を有するものとなった。そのため、前記擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、大掛かりなものとなり、コンクリートの打設および養生を行った後、前記型枠から取り出す作業も大変であった。また、前記擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、大型であるため、材料費が嵩むという問題があった。さらに、前記擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、型枠が大型となり、コンクリートの打設から完成までに時間がかかるため、生産性が悪いという問題があった。
【0009】
以上のような課題を解決するために、本発明は、擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するために、コンクリート型枠を成形型枠と成形型枠載置架台とに分けることにより、型枠全体のコストを低減できるとともに、一つの成形型枠載置架台に対して、複数個の成形型枠が使用できる構造にすることで、擁壁用L字型コンクリートブロックの生産効率、前記型枠にかかる経費および材料を節約することができる擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠および擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁を製造するためのものであり、垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を少なくとも備えている擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するためのコンクリートを打設する成形型枠と、前記成形型枠の垂直部および傾斜底板に沿った載置台と、前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を一部囲む側壁と、から少なくとも構成されている成形型枠載置架台と、前記成形型枠と成形型枠載置架台とによって、擁壁用L字型コンクリートブロックを成形するコンクリートを打設する空間とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0011】
(第2発明)
第2発明の擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する成形型枠は、側部に吊り上げ用フックが設けられていることを特徴とする。
【0012】
(第3発明)
第3発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法は、土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁を製造するものであり、前記成形型枠の垂直部および傾斜底板に沿った載置台と前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を囲む側壁から少なくとも構成されている成形型枠載置架台に、垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を少なくとも備えている擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するためのコンクリートを打設する成形型枠を載置する工程と、前記成形型枠および成形型枠載置架台にコンクリートを打設するとともに、一次養生を行う工程と、前記コンクリートの一次養生が終了した後、前記コンクリートブロックを前記成形型枠ごと吊り上げて、前記成形型枠載置架台から取り外す工程と、前記成形型枠にあるコンクリートブロックを二次養生する工程とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0013】
(第4発明)
第4発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法における一次養生は、2時間から3時間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、成形型枠と成形型枠載置架台とを分けて、一組の型枠とすることにより、一つ成形型枠載置架台に対して、複数個の成形型枠を使用することができるようにしたため、型枠にかかるコストを低減できるとともに、生産効率を大幅に向上させることができるようになった。
【0015】
本発明によれば、一つ成形型枠載置架台に対して、成形型枠を複数個備えておくことにより、コンクリートの二次養生が同時に複数個できることになり、見かけ上、養生時間を短縮することができるだけでなく、一つの型枠だけを使用する時と比較して、安価で、かつ、省資源にかなった擁壁用L字型コンクリートブロックを得ることができる。
【0016】
本発明によれば、成形型枠と成形型枠載置架台とに分けて一つの型枠としたため、擁壁用L字型コンクリートブロックの移動が容易になり、作業時間、作業労力、作業効率を向上させることができるようになった。
【0017】
本発明によれば、打設された擁壁用L字型コンクリートブロックが崩れない程度の半乾き状態の時に成形型枠ごと吊り上げて、昇降および移動ができるため、大量生産に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例であるコンクリートを打設前の成形型枠を説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明の実施例である成形型枠載置架台に成形型枠をセットした状態を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の実施例であり、成形型枠載置架台からコンクリートが打設された成形型枠を取り出す際を説明するための分解斜視図である。
【図4】(イ)および(ロ)は本発明の擁壁用L字型コンクリートブロックの形状を説明するための図である。
【図5】(イ)は擁壁用L字型コンクリートブロックを使用した盛土の土留めを説明するための図で、(ロ)は前記擁壁用L字型コンクリートブロックを連結した状態を説明するためのある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1発明)
第1発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、宅地造成の境界壁、道路の路肩等土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するためのものである。本発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、型枠を効率良く使用することで、型枠の使用効率および擁壁用L字型コンクリートブロックの生産効率を向上させることができるものである。
【0020】
第1発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、大きく分けて、成形型枠と、成形型枠載置架台とから構成されている。前記成形型枠は、擁壁用L字型コンクリートブロックを構成する垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を製造できる空間を少なくとも備えている。成形型枠載置架台は、前記成形型枠の垂直部および傾斜底板に沿った載置台と、前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を一部囲む側壁と、から少なくとも構成されている。
【0021】
前記成形型枠載置架台は、上部に前記成形型枠が載置される。この状態で、前記成形型枠と成形型枠載置架台とは、擁壁用L字型コンクリートブロックを成形するためのコンクリートを打設する空間が成形される。前記成形型枠および成形型枠載置架台に打設されたコンクリートは、一次養生(コンクリートの形が崩れない程度の半乾き状態)後に直ちに、成形型枠載置架台から前記成形型枠ごと除去し、別の場所で二次養生が行われる。次の成形型枠は、前記成形型枠載置架台に載置され、次の擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するためにコンクリートが打設される。前記擁壁用L字型コンクリートブロック成形型枠は、一つの成形型枠載置架台に対して、複数個の成形型枠を準備することにより、複数個の擁壁用L字型コンクリートブロックを短時間に成形することが可能になった。
【0022】
本願発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、前記成形型枠と、成形型枠載置架台とを分けて使用することで、使用効率を向上させるだけでなく、短時間に大量生産が可能になる。前記成形型枠は、コンクリートの打設から二次養生が終わり、最終製品となるまで、必要である。しかし、前記成形型枠載置架台は、複数個の成形型枠を使用して、擁壁用L字型コンクリートブロックを製造することができるため、生産性を向上させるだけでなく、生産費のコストダウンおよび型枠の材料費の節約に貢献することができる。
【0023】
(第2発明)
第2発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠は、前記成形型枠の側部に吊り上げ用フックが設けられている。前記成形型枠は、コンクリートが打設され、半乾きの状態で、前記吊り上げ用フックを利用して、前記成形型枠載置架台から外し、二次養生を行う場所に、容易に移動させることができる。
【0024】
(第3発明)
第3発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法は、宅地造成の境界壁、道路の路肩等土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する方法に関するものである。本発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法は、擁壁用L字型コンクリートブロックを短時間で効率良く、かつ、品質の良い擁壁用L字型コンクリートブロックを得ることができる。
【0025】
本発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法は、成形型枠を成形型枠載置架台に載置する工程と、前記成形型枠と成形型枠載置架台にコンクリートを打設する工程と、一次養生を行う工程と、前記成形型枠を前記成形型枠載置架台から取り外す工程と、コンクリートブロックを二次養生する工程とから少なくとも構成されている。
【0026】
本発明の第1工程は、前記成形型枠を成形型枠載置架台に載置することで、前記成形型枠の垂直部および傾斜底板を備えた前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を囲む側壁が構成される。前記成形型枠および成形型枠載置架台からなる型枠は、垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を少なくとも備えている擁壁用L字型コンクリートブロックと同じ型になる。次の工程は、前記成形型枠および成形型枠載置架台からなる型枠にコンクリートが打設される。
【0027】
前記成形型枠および成形型枠載置架台に打設されたコンクリートは、一次養生が行われる。前記コンクリートは、一次養生により、ある程度の硬さを維持することができる状態になった場合、前記コンクリートブロックを前記成形型枠ごと吊り上げて、前記成形型枠載置架台から取り外す。前記成形型枠に打設され、一次養生が終了したコンクリートブロックは、前記成形型枠ごと水槽に移動し、二次養生(たとえば、水養生)を行う。二次養生が終了したコンクリートブロックは、前記成形型枠から取り出し、最終的な擁壁用L字型コンクリートブロックとなる。
【0028】
(第4発明)
第4発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法は、一次養生を2時間から3時間とし、その後、コンクリートブロックを成形型枠だけで移動し、二次養生を行う。前記コンクリートブロックは、二次養生を成形型枠載置架台と別の場所に移して行うことができるため、一つの成形型枠載置架台で、複数のコンクリートブロックを製造することができる。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の実施例であるコンクリートを打設前の成形型枠を説明するための斜視図である。図2は本発明の実施例である成形型枠載置架台に成形型枠をセットした状態を説明するための斜視図である。図3は本発明の実施例であり、成形型枠載置架台からコンクリートが打設された成形型枠を取り出す際を説明するための分解斜視図である。本発明の擁壁用L字型コンクリートブロックは、宅地造成の境界壁、道路の路肩等土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用される。
【0030】
図1から図3を用いて本発明の擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠を説明する。図1に示す成形型枠15および図2に示す成形型枠載置架台21は、一体になって、擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する型枠となるものである。前記成形型枠15は、擁壁用L字型コンクリートブロック10を構成する垂直部11および前記垂直部11に連設された傾斜底板12を製造できる空間(図3における符号151、152の部分)を少なくとも備えている。前記成形型枠15は、補強支持部成形部にテーパーピン157が設けられている。図示されていないコンクリートは、打設された場合、前記成形型枠15に剥離剤が塗ってあっても、一次養生後の移動に際し、前記テーパーピン157により、成形型枠から移動することがない。前記コンクリートは、二次養生の後、前記成形型枠15から取り出す場合、前記テーパーピン157を外してから、取り出される。
【0031】
前記成形型枠15は、図1に示す擁壁用L字型コンクリートブロック10が成形できる型から構成されている。特に、前記成形型枠15は、補強支持部114を成形する補強支持部成形154、および傾斜底板12を成形する傾斜底板囲部155を備えている。また、前記成形型枠15は、コンクリートを打設し、一次養生後に、コンクリートブロックごと運ぶことができるように4カ所に吊上用フック153、153′が設けられている。一次養生(形が崩れない程度に半乾き状態)後のコンクリートブロックは、前記吊上用フック153、153′を用いて、前記成形型枠15ごとクレーン等によって、吊り上げて所定の場所に、容易に、しかも短時間で、移すことができる。
【0032】
図2および図3において、成形型枠載置架台21は、支持架211と、支持架211の上部に設けられているコ字型の側部成形板212、213および頂部成形板214と、傾斜底板成形蓋215と、左右に設けられた補強部218とから少なくとも構成されている。前記支持架体211は、補強部材で図示のように構成されているが、骨組みの状態を変えることができるだけでなく、周囲を板状部材により覆うように構成することも可能である。
【0033】
前記側部成形板212、213は、たとえば、図3に示すように、蝶番216により、左右方向に開くことができる。前記蝶番216は、前記成形型枠15を移動させる際に、開き、前記成形型枠15を擁壁用L字型コンクリートブロックごとクレーン等で吊り上げる際の作業を容易にする。前記側部成形板212、213、および頂部成形板214は、コ字型になっており、前記成形型枠15の垂直壁11を成形できる垂直壁成形型枠部151からなっている。
【0034】
前記傾斜底板成形型枠部152は、傾斜底板成形蓋215と一緒になって、擁壁用L字型コンクリートブロックの傾斜底板12を成形する。前記成形型枠15は、擁壁用L字型コンクリートブロック10を製造する部分の一部を成形型枠載置架台21に分担させることができるため、軽量で、しかも、製造のための材料を節約することができる。
【0035】
図3における成形型枠載置架台21は、支持架211の上部に設けられた成形型枠載置部219上に成形型枠15を載置する。前記成形型枠15および成形型枠載置架台21は、図4(イ)および(ロ)に示す擁壁用L字型コンクリートブロック10を成形できる型枠ができれば、必ずしも、図1から図3に示す通りのものである必要はなく、設計変更が可能である。
【0036】
次に、本発明の擁壁用L字型コンクリートブロックの製造方法を説明する。まず、成形型枠15は、成形型枠載置架台21に載置される。前記成形型枠載置架台21は、前記成形型枠15と一体になって、擁壁用L字型コンクリートブロック10の型枠となる。前記成形型枠15および成形型枠載置架台21には、コンクリートが打設される。前記打設されたコンクリートは、一次養生を行い、形状を維持できる半乾き状態にする。
【0037】
前記一次養生の終了したコンクリートは、前記成形型枠15に入った状態で、吊上用フック153、153′によって吊り上げられて、前記成形型枠載置架台21から取り外される。前記成形型枠15に入ったコンクリートブロックは、前記状態で所定の場所に移動し、二次養生を行う。前記成形型枠載置架台21は、別の成形型枠15が載置されて、新たにコンクリートが打設される。これを繰り返すことにより、一つの成形型枠載置架台21に対して、複数個の成形型枠15を準備することで、生産時間の短縮、作業効率の向上、型枠部材の節約等を果たすことができる。
【0038】
前記成形型枠15および成形型枠載置架台21にコンクリートを打設した後の一次養生に必要な時間は、2時間から3時間で済んだ。2時間から3時間の一次養生は、前記成形型枠15および成形型枠載置架台21からなる型枠によって、半乾き状態になり、前記成形型枠載置架台21から成形型枠15とコンクリートブロックとを外して、二次養生を行う場所に移動させることができる。前記擁壁用L字型コンクリートブロック成形型枠は、一つの成形型枠載置架台21に対して、複数個の成形型枠15を準備することにより、複数個の擁壁用L字型コンクリートブロック10を短時間に成形することが可能になった。
【0039】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の成形型枠および成形型枠載置架台は、大きさ、形状等を任意に変更することができる。本発明の成形型枠と成形型枠載置架台との組立方および細部の構造は、任意に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・擁壁用L字型コンクリートブロック
11・・・垂直壁
111・・・垂直壁基部
112・・・嵌合凸部
113・・・嵌合凹部
114・・・補強支持部
115、115′・・・テーパー孔
12・・・傾斜底板
121・・・テーパー部
15・・・成形型枠
151・・・垂直壁成形型枠部
152・・・傾斜底板成形型枠部
153、153′・・・吊上げフック
154・・・補強支持部成形部
155・・・傾斜底板囲部
157・・・テーパーピン
21・・・成形型枠載置架台
211・・・支持架
212、213・・・側部成形板
214・・・頂部成形板
215・・・傾斜底板成形蓋
216・・・蝶番
217・・・フック(固定留具)
218・・・補強部
219・・・成形型枠載置部
53・・・連結棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁を製造する擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠において、
垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を少なくとも備えている擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するためのコンクリートを打設する成形型枠と、
前記成形型枠の垂直部および傾斜底板に沿った載置台と、前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を一部囲む側壁と、から少なくとも構成されている成形型枠載置架台と、
前記成形型枠と成形型枠載置架台とによって、擁壁用L字型コンクリートブロックを成形するコンクリートを打設する空間と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠。
【請求項2】
前記成形型枠は、側部に吊り上げ用フックが設けられていることを特徴とする請求項1に記載された擁壁用L字型コンクリートブロック製造型枠。
【請求項3】
土木工事で切り取った崖、あるいは盛土等を保持するために使用する擁壁を製造する擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法において、
前記成形型枠の垂直部および傾斜底板に沿った載置台と前記擁壁擁L字型コンクリートブロックの周囲を囲む側壁から少なくとも構成されている成形型枠載置架台に、垂直部および前記垂直部に連設された傾斜底板を少なくとも備えている擁壁用L字型コンクリートブロックを製造するためのコンクリートを打設する成形型枠を載置する工程と、
前記成形型枠および成形型枠載置架台にコンクリートを打設するとともに、一次養生を行う工程と、
前記コンクリートの一次養生が終了した後、前記コンクリートブロックを前記成形型枠ごと吊り上げて、前記成形型枠載置架台から取り外す工程と、
前記成形型枠にあるコンクリートブロックを二次養生する工程と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。
【請求項4】
前記一次養生は、2時間から3時間であることを特徴とする請求項3に記載された擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−106348(P2012−106348A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254837(P2010−254837)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(510302216)株式会社日本ユニコンJQ (1)
【Fターム(参考)】