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操作された抗TSLP抗体
説明

操作された抗TSLP抗体

【課題】遺伝子組み換えTSLP抗体、ならびに炎症性疾患、および特にアレルギー性炎症性疾患を治療するためのその使用を提供する。
【解決手段】ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、特定の配列番号からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント;または少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、特定の核酸配列群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントを含む結合化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)特異的抗体、ならびに特に炎症性疾患、およびアレルギー性炎症性疾患におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は、個体を感染性物質、例えば細菌、多細胞生物体、およびウイルスから、ならびに癌から保護するために機能する。この系には、数種のタイプのリンパ球および骨髄性細胞、例えば単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)、好酸球、T細胞、B細胞、および好中球が含まれる。これらのリンパ球および骨髄性細胞は、サイトカインとして公知のシグナル伝達タンパク質を産生することが多い。免疫応答には、炎症、すなわち全身性または身体の特定の場所における免疫細胞の蓄積が含まれる。感染性物質もしくは異物に対して応答して、免疫細胞はサイトカインを分泌し、これは順に免疫細胞の増殖、発達、分化、または移動を調節する。免疫応答は、例えばそれが過度の炎症を含む場合にはアレルギー性炎症性疾患におけるような病理学的結果を生じさせることがある。
【0003】
TSLPは、前同種性表現型を備える樹状細胞媒介性CD4 T細胞応答を誘導する免疫サイトカインである(非特許文献1)。TSLPは、アレルギー性炎症の開始に関係している(非特許文献2;非特許文献3)。
【0004】
抗体は、免疫疾患に関係する多数の抗原標的に対して開発されている。インビボの治療薬として抗体を使用する際の最も重大な制限は、抗体の免疫原性である。大多数のモノクローナル抗体は齧歯類に由来するので、ヒトにおける繰り返しの使用は、治療用抗体に対する免疫応答の生成を生じさせる。そのような免疫応答は、最小の場合には治療有効性の消失を、そして最大の場合には潜在的致死性アナフィラキシー反応を生じさせる。齧歯類抗体の免疫原性を低下させるための初期の努力は、マウス可変領域がヒト定常領域と融合されたキメラ抗体の生成を含んでいた(非特許文献4)。しかし、ヒト可変領域およびマウス定常領域のハイブリッドを注射されたマウスはヒト可変領域に対して向けられた強度の抗抗体反応を発生するので、これはそのようなキメラ抗体における全齧歯類Fv領域の残留が患者において好ましくない免疫原性を依然として生じさせる可能性があることを示唆している。
【0005】
一般に、可変ドメインの相補性決定領域(CDR)ループは抗体分子の結合部位を含むと考えられている。このため、齧歯類配列をさらに最小化するために、ヒトフレームワーク上への齧歯類CDRループの移植(すなわち、ヒト化)が試みられた(非特許文献5;非特許文献6)。しかし、CDRループ交換は、起源の抗体と同一結合特性を備える抗体を一様には生じさせないことがある。ヒト化抗体におけるCDRループ支持体に含まれる残基であるフレームワーク残基(FR)における変化は、抗原結合親和性を保存するためにも必要とされることがある(非特許文献7)。多数のヒト化抗体構築体におけるCDR移植およびフレームワーク残基保存の使用は報告されてきたが、特定の配列が所望の結合をともない、そして時には生物学的特性をともなう抗体を生じさせるかどうかを予測することは困難である。例えば、非特許文献8,非特許文献9、および非特許文献10を参照されたい。
【0006】
本発明は、遺伝子組み換えTSLP抗体、ならびに炎症性疾患、および特にアレルギー性炎症性疾患を治療するためのその使用を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gillietら、J.Exp.Medicine 197(8):1059−1063(2003)
【非特許文献2】Watanabeら、Nature Immunology 5:426−434(2004)
【非特許文献3】Soumelisら、Nature Immunology 3:673−680(2002)
【非特許文献4】Liuら、(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−43
【非特許文献5】Jonesら、(1986)Nature 321:522
【非特許文献6】Verhoeyenら、(1988)Science 239:1534
【非特許文献7】Kabatら、(1991)J.Immunol.147:1709
【非特許文献8】Queenら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029
【非特許文献9】Gormanら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4181
【非特許文献10】Hodgson(1991)Biotechnology(NY)9:421−5
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1、2および3からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント;または少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4、5および6からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントを含む結合化合物を提供する。
【0009】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPへ特異的に結合する結合化合物であって、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1、2および3からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントと;および少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4、5および6からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントとを含む結合化合物を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、抗体重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号1、2および3からなる群から選択される少なくとも2つのCDR配列を含んでいる。他の実施形態では、抗体重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号1、2および3に規定された3つのCDR配列を有している。
【0011】
一部の実施形態では、抗体軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号4、5および6からなる群から選択される少なくとも2つのCDR配列を含んでいる。他の実施形態では、抗体軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号4、5および6に規定された3つのCDR配列を有している。
【0012】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1のCDR−H1、もしくはその変異体;配列番号2のCDR−H2、もしくはその変異体;および配列番号3のCDR−H3、もしくはその変異体を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント;または少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4のCDR−L1、もしくはその変異体;配列番号5のCDR−L2、もしくはその変異体;および配列番号6のCDR−L3、もしくはその変異体を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントを含む結合化合物をさらに提供する。本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1のCDR−H1、もしくはその変異体;配列番号2のCDR−H2、もしくはその変異体;配列番号3のCDR−H3、もしくはその変異体を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントと;および少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4のCDR−L1、もしくはその変異体;配列番号5のCDR−L2、もしくはその変異体;および配列番号6のCDR−L3、もしくはその変異体を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントとを含む結合化合物をさらに提供する。1つの実施形態では、変異体は、20個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、10個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、5個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、3個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。
【0013】
上述した結合化合物の一部の実施形態では、重鎖可変領域の残りの全部または実質的に全部は、全部もしくは実質的に全部ヒトIg領域である;および軽鎖可変領域の残りの全部または実質的に全部は、全部もしくは実質的に全部ヒトIg領域である。好ましい実施形態では、重鎖可変領域の残りは、ヒト重鎖アミノ酸配列である;および軽鎖可変領域の残りはヒト軽鎖アミノ酸配列である。
【0014】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、配列番号10の残基1〜116を含む重鎖可変領域もしくはその変異体と;および配列番号12の残基1〜108を含む軽鎖可変領域もしくはその変異体とを含む結合化合物をさらに提供する。1つの実施形態では、変異体は、20個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、10個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、5個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、3個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号12の49位にあるアミノ酸がYからKへ変更させられている変異体を含んでいる。
【0015】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、配列番号10の残基1〜116を含む重鎖可変領域と;および配列番号12の残基1〜108を含む軽鎖可変領域とを含む結合化合物をさらに提供する。
【0016】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、本質的に配列番号10の残基1〜116からなる重鎖可変領域と;および本質的に配列番号12の残基1〜108からなる軽鎖可変領域とを含む結合化合物をさらに提供する。
【0017】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、配列番号10の残基1〜116に対して少なくとも95%、90%、85%もしくは80%の相同性を有する重鎖可変領域と;および/または配列番号12の残基1〜108に対して少なくとも95%、90%、85%もしくは80%の相同性を有する軽鎖可変領域とを含む結合化合物をさらに提供する。1つの実施形態では、本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、配列番号10の残基1〜116に対して少なくとも90%の相同性を有する重鎖可変領域と;および配列番号12の残基1〜108に対して少なくとも90%の相同性を有する軽鎖可変領域とを含む結合化合物を提供する。一部の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号10の残基1〜116に対して少なくとも95%の相同性を含むであろう;および軽鎖可変領域は配列番号12の残基1〜108に対して少なくとも95%の相同性を含むであろう。
【0018】
一部の実施形態では、本発明の結合化合物は、重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含んでいる。1つの実施形態では、重鎖定常領域は、γ1、γ2、γ3、もしくはγ4ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体を含んでいる。様々な実施形態では、軽鎖定常領域は、λもしくはκヒト軽鎖定常領域を含んでいる。
【0019】
一部の実施形態では、本発明の結合化合物は、抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。様々な実施形態では、本発明の抗体もしくはそのフラグメントは、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、cyno化、ヒト化、もしくは完全ヒト抗体もしくはそのフラグメントである。好ましい実施形態では、抗体は、ヒト化抗体もしくはそのフラグメントである。
【0020】
本発明は、結合フラグメントがFab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびジアボディ(diabody)からなる群から選択される抗体フラグメントであることもまた企図している。本発明は、結合化合物が、ナノボディ(nanobody)、アビマー(avimer)、もしくはアプチマー(aptimer)であることもまた企図している。
【0021】
好ましい実施形態では、結合化合物は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体である。また別の実施形態では、結合化合物は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない。
【0022】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPへ特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメントであって、配列番号18の重鎖アミノ酸配列、もしくはその変異体と;および/または配列番号17の軽鎖アミノ酸配列もしくはその変異体とを含む抗体もしくはその抗原結合フラグメントもまた含んでいる。本発明は、ヒトおよびcynoTSLPへ特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメントであって、配列番号18のアミノ酸19〜472、もしくはその変異体と;および/または配列番号17のアミノ酸20〜233もしくはその変異体とを含む抗体もしくはその抗原結合フラグメントもまた含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、20個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、10個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、5個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。1つの実施形態では、変異体は、3個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含んでいる。
【0023】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって、KinExA技術およびリガンドとしてのヒトTSLPを用いて測定した場合に約2.1pM以下のKを有する結合化合物をさらに含んでいる。本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物をさらに含んでおり、このとき前記結合化合物は、KinExA技術およびリガンドとしてのヒトTSLPを用いて測定した場合に2.1pM(±2倍)のKを有する。1つの実施形態では、結合化合物は、ヒト化抗TSLP抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
【0024】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物をさらに含んでおり、このとき前記結合化合物は表面プラズモン共鳴法およびリガンドとしてのヒトTSLPを用いて測定した場合に約111pM以下のKを有する。本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物をさらに含んでおり、このとき前記結合化合物は表面プラズモン共鳴法およびリガンドとしてのヒトTSLPを用いて測定した場合に111pM(±2倍)のKを有する。1つの実施形態では、結合化合物は、ヒト化抗TSLP抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
【0025】
本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物をさらに含んでおり、このとき前記結合化合物は約7.6nM以下のEC50を有する。本発明は、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物をさらに含んでおり、このとき前記結合化合物は約7.6nM(±2倍)のEC50を有する(EC50は、結合化合物の非存在下で観察されるレベルの50%へヒトTSPLを中和させるために必要とされる結合化合物の濃度を意味する)。1つの実施形態では、結合化合物は、ヒト化抗TSLP抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
【0026】
本発明は、本発明の結合化合物の重鎖可変領域または軽鎖可変領域の少なくとも1つをコードする単離された核酸をさらに提供する。さらに、発現ベクターであって、宿主細胞が前記ベクターを用いてトランスフェクトされると前記宿主細胞によって認識されるコントロール配列へ操作可能に連結された核酸を含む発現ベクターもまた提供される。さらに、前記発現ベクターを含む宿主細胞もまた提供される。
【0027】
さらに、本発明の重鎖可変領域もしくは軽鎖可変領域を含むポリペプチドを生成する方法であって:核酸配列が発現させられる条件下で培養培地中において宿主細胞を培養し、それにより前記軽鎖および重鎖可変領域を含むポリペプチドを生成する工程と;および前記宿主細胞もしくは前記培養培地からポリペプチドを回収する工程とを含む方法も提供される。
【0028】
本発明は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体によって結合されるヒトTSLP上のエピトープへ特異的に結合する結合化合物(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメント)もまた提供するが、このときヒトTSLP上のエピトープへ特異的に結合する抗体は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない。
【0029】
本発明は、ヒトTSLPに対するPTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体による結合を競合的に阻害する結合化合物(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメント)もまた含んでいるが、このとき結合を競合的に阻害する抗体は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない。
【0030】
本発明は、TSLP媒介性活性をブロックする結合化合物(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメント)をさらに含んでいる。TSLP媒介性活性には、その受容体への結合、T2細胞の増殖もしくは生存を導く樹状細胞の活性化の促進、例えばTARCおよびMDCなどの樹状細胞によるT2誘因性ケモカインの分泌、例えばIL−4、IL−5、IL−13およびTNF−αなどの前アレルギー性サイトカインの産生が含まれるがそれらに限定されない。結合化合物がTSLP媒介性活性をブロックするかどうかを決定するためには、多数のアッセイを使用できる。これらには、実施例に記載したアッセイおよび当該技術分野において記載されたアッセイを含む他のアッセイが含まれる。例えば、Recheら、J.Immunol.167:336−43(2001);Isaksenら、J.Immunol.168:3288−94(2002)を参照されたい。
【0031】
1つの実施形態では、結合化合物は、交差ブロッキングアッセイ(cross−blocking assay)においてTSLPのTSLPRへの結合をブロックすることができる。
【0032】
本発明は、ヒト対象における免疫応答を抑制する方法であって、それを必要とする対象へ、TSLPの生物活性をブロックするために有効な量で、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物を投与する工程を含む方法を含んでいる。本発明は、追加の免疫抑制薬もしくは抗炎症薬を投与する工程をさらに企図している。好ましい実施形態では、免疫応答は、喘息である。また別の好ましい実施形態では、免疫応答は、アレルギー性炎症である。また別の好ましい実施形態では、アレルギー性炎症は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎である。また別の好ましい実施形態では、免疫応答は、線維症、炎症性腸疾患もしくはホジキン(Hodgkin)リンパ腫である。また別の好ましい実施形態では、結合化合物は、また別の免疫調節薬と組み合わせて投与される。
【0033】
本発明の抗体もしくはそのフラグメントは、医薬上許容される担体もしくは希釈剤と組み合わせて、本発明の結合化合物を含む組成物中にあってよい。また別の実施形態では、本組成物は、免疫抑制薬もしくは抗炎症薬をさらに含んでいる。
【0034】
本発明は、本発明の結合化合物および医薬上許容される担体もしくは希釈剤を含む組成物をさらに含んでいる。
【0035】
本発明は、本発明の抗体もしくはそのフラグメントのポリペプチド配列をコードする単離された核酸を含んでいる。核酸は、ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞によって認識されるコントロール配列へ操作可能に連結された発現ベクター中にあってよい。さらに、前記ベクターを含む宿主細胞、およびポリペプチドを生成する方法であって、前記核酸配列が発現させられる条件下で前記宿主細胞を培養し、それによって前記ポリペプチドを生成する工程と;および前記宿主細胞もしくは培地から前記ポリペプチドを回収する工程とを含む方法もまた含まれる。
【0036】
様々な実施形態では、本発明は、本発明の抗体もしくはそのフラグメントを含む薬剤に関する。例えば、本発明は、免疫応答の抑制を治療するための医薬品を調製するために、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物(例えば、本発明による結合化合物のいずれか1つ)の使用を含んでいる。本発明は、喘息を治療するための医薬品を調製するために、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物(例えば、本発明による結合化合物のいずれか1つ)の使用を含んでいる。本発明は、炎症性疾患を治療するための医薬品を調製するために、ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物(例えば、本発明による結合化合物のいずれか1つ)の使用を含んでいる。1つの実施形態では、炎症性疾患は、アレルギー性炎症性疾患である。1つの実施形態では、アレルギー性炎症性疾患は、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎である。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって:
少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1、2および3からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント;または
少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4、5および6からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントを含む結合化合物。
(項目2)
前記結合化合物は、
少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1、2および3からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント;および
少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4、5および6からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントを含む、項目1に記載の結合化合物。
(項目3)
前記抗体重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号1、2および3からなる群から選択される少なくとも2つのCDR配列を含み;および
前記抗体軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号4、5および6からなる群から選択される少なくとも2つのCDR配列を含む、項目2に記載の結合化合物。
(項目4)
前記抗体重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号1、2および3に規定した3つのCDR配列を含み;および
前記抗体軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントは、配列番号4、5および6に規定した3つのCDR配列を含む、項目2に記載の結合化合物。
(項目5)
ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって:
少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1のCDR−H1、もしくはその変異体;配列番号2のCDR−H2、もしくはその変異体;配列番号3のCDR−H3、もしくはその変異体を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントと;または
少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4のCDR−L1、もしくはその変異体;配列番号5のCDR−L2、もしくはその変異体;および配列番号6のCDR−L3、もしくはその変異体を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントとを含む結合化合物。
(項目6)
前記結合化合物は:
少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1のCDR−H1、もしくはその変異体;配列番号2のCDR−H2、もしくはその変異体;配列番号3のCDR−H3、もしくはその変異体を含む前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントと;および
少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4のCDR−L1、もしくはその変異体;配列番号5のCDR−L2、もしくはその変異体;および配列番号6のCDR−L3、もしくはその変異体を含む前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメントとを含む、項目5に記載の結合化合物。
(項目7)
ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって:
配列番号10の残基1〜116を含む重鎖可変領域もしくはその変異体と;および
配列番号12の残基1〜108を含む軽鎖可変領域もしくはその変異体とを含み、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸残基を含む結合化合物。
(項目8)
配列番号10の残基1〜116を含む重鎖可変領域と;および
配列番号12の残基1〜108を含む軽鎖可変領域とを含む、項目7に記載の結合化合物。
(項目9)
ヒトおよびcynoTSLPを特異的に結合する結合化合物であって:
配列番号10の残基1〜116に対して少なくとも90%の相同性を有する重鎖可変領域と;および
配列番号12の残基1〜108に対して少なくとも90%の相同性を有する軽鎖可変領域とを含む結合化合物。
(項目10)
項目1に記載の結合化合物の重鎖可変領域または軽鎖可変領域の少なくとも1つをコードする単離された核酸。
(項目11)
発現ベクターであって、宿主細胞が前記ベクターを用いてトランスフェクトされると前記宿主細胞によって認識されるコントロール配列へ操作可能に連結された項目10に記載の核酸を含む発現ベクター。
(項目12)
項目11に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
(項目13)
ポリペプチドを生成する方法であって:
核酸配列が発現させられる条件下で培養培地中において項目8に記載の宿主細胞を培養し、それにより前記軽鎖および重鎖可変領域を含む前記ポリペプチドを生成する工程と;および
前記宿主細胞もしくは前記培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程とを含む方法。
(項目14)
ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体であって、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含むヒト重鎖定常領域もしくはその変異体;または
ヒト軽鎖定常領域もしくはその変異体であって、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含むヒト軽鎖定常領域もしくはその変異体とをさらに含む、項目1に記載の結合化合物。
(項目15)
前記ヒト重鎖定常領域は、γ4もしくはγ1ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体を含み、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む、項目14に記載の結合化合物。
(項目16)
ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体であって、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含むヒト重鎖定常領域もしくはその変異体;または
ヒト軽鎖定常領域もしくはその変異体であって、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含むヒト軽鎖定常領域もしくはその変異体をさらに含む、項目2に記載の結合化合物。
(項目17)
前記ヒト重鎖定常領域は、γ4もしくはγ1ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体を含み、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む、項目16に記載の結合化合物。
(項目18)
前記結合化合物は、ヒト化抗体もしくはそのTSLP結合フラグメントである、項目1に記載の結合化合物。
(項目19)
前記結合化合物は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびジアボディからなる群から選択されるTSLP結合抗体フラグメントである、項目1に記載の結合化合物。
(項目20)
ヒト対象における免疫応答を抑制する方法であって、それを必要とする対象へ、TSLPの生物活性をブロックするために有効な量で、項目1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントを投与する工程を含む方法。
(項目21)
前記免疫応答は、炎症反応である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記対象は、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎からなる群から選択される障害を有する、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記対象は、喘息を有する、項目20に記載の方法。
(項目24)
項目1に記載の結合化合物を医薬上許容される担体もしくは希釈剤と組み合わせて含む組成物。
(項目25)
PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体によって結合されるヒトTSLP上のエピトープへ特異的に結合する抗体であって、ヒトTSLP上のエピトープへ特異的に結合する抗体は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない抗体。
(項目26)
ヒトTSLPに対するPTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体によって結合を競合的に阻害する抗体であって、結合を競合的に阻害する前記抗体は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない抗体。
(項目27)
前記結合化合物は、TSLP媒介性活性をブロックする、項目1に記載の結合化合物。
(項目28)
前記結合化合物は、交差ブロッキングアッセイにおいてTSLPのTSLPRへの結合をブロックすることができる、項目1に記載の結合化合物。
(項目29)
免疫応答を抑制するための医薬品を調製するための、項目1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
(項目30)
炎症を治療するための医薬品を調製するための、項目1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
(項目31)
アレルギー性炎症を治療するための医薬品を調製するための、項目1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
(項目32)
アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎を治療するための医薬品を調製するための、項目1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
(項目33)
喘息を治療するための医薬品を調製するための、項目1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付の特許請求項を含めて本発明において使用する場合、例えば「1つの」および「その」などの単数形の用語は、別途明確に示さない限り、それらの対応する複数の言及を含んでいる。本明細書に引用したすべての参考文献は、各個別刊行物、特許出願、もしくは特許が詳細に、そして個別に参考として援用されると示されているのと同程度に参考として援用される。
I.用語の定義
「活性化」、「刺激」、および「治療」は、細胞もしくは受容体に適用される場合は、例えば別途明確に示されるか、明らかでない限り、リガンドを用いた細胞もしくは受容体の活性化、刺激、または治療と同一の意味を有する可能性がある。「リガンド」は、天然および合成リガンド、例えば、サイトカイン、サイトカイン変異体、アナログ、突然変異タンパク質、および抗体に由来する結合組成物を含んでいる。「リガンド」は、小分子、例えばサイトカインのペプチドミメティックおよび抗体のペプチドミメティックをさらに含んでいる。「活性化」は、内部機序ならびに外部もしくは環境因子によって調節される細胞活性化を意味することができる。例えば細胞、組織、器官、もしくは生物の「応答」は、生化学的もしくは生理学的挙動における変化、例えば、生物学的区画内の濃度、密度、接着、もしくは移動、遺伝子発現の速度、または分化の状態における変化を含んでいるが、このとき変化は、活性化、刺激、もしくは治療、または例えば遺伝子プログラミングなどの内部機序と相関している。
【0038】
分子の「活性」は、リガンドもしくは受容体への分子の結合;触媒活性;遺伝子発現または細胞シグナル伝達、分化、もしくは成熟を刺激する能力;抗原活性、他の分子の活性の調節などを説明する、または意味する場合がある。分子の「活性」は、細胞−細胞相互作用、例えば接着を調節もしくは維持する際の活性、または細胞の構造、例えば細胞膜もしくは細胞骨格を維持する際の活性にもまた関係する場合がある。「活性」は、特異的活性、例えば[触媒活性]/「mg(タンパク質)]、もしくは[免疫学的活性]/[mg(タンパク質)]、生物学的区画内の濃度などもまた意味することができる。「増殖活性」は、例えば正常細胞分割、ならびに癌、腫瘍、形成異常、細胞形質転換、転移、および血管形成を促進する、それらのために必要である、それらと特異的に関連している活性を含んでいる。
【0039】
「投与」および「治療」は、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官、もしくは生体液に適用される場合は、動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官もしくは生体液への外因性の医薬物質、治療薬、診断薬、または組成物の接触を意味する。「投与」および「治療」は、例えば、治療方法、薬物動態的方法、診断方法、研究方法、および実験方法に関係することがある。細胞の治療は、細胞への試薬の接触、ならびに流体への試薬の接触を含んでおり、このとき流体は細胞と接触している。「投与」および「治療」は、例えば、試薬、診断用組成物、結合組成物、または別の細胞による細胞のインビトロおよびエックスビボ治療もさらに意味する。「治療」は、ヒト、獣医学対象、もしくは研究対象に適用される場合は、治療療法、予防的もしくは防止的措置、研究および診断用途を意味する。
【0040】
本明細書で使用する用語「抗体」は、所望の生物活性を示す任意の形状の抗体もしくはそのフラグメントを意味する。そこで、抗体は極めて広い意味で使用され、詳細には、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例、ジアボディ)、およびそれらが所望の生物活性を示す限りは抗体フラグメントを含んでいる。
【0041】
本明細書で使用する用語「TSLP結合フラグメント」もしくは「それらの結合フラグメント」は、TSLP活性を阻害するその生物活性を依然実質的に保持している抗体のフラグメントもしくは誘導体を含んでいる。このために、用語「抗体のフラグメント」もしくはTSLP結合フラグメントは、全長抗体の一部分、一般にはその抗原結合もしくは可変領域を意味する。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;ジアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子、例えば、sc−Fv;ドメイン抗体;および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれる。典型的には、結合フラグメントもしくは誘導体は、そのTSLP阻害活性の少なくとも10%を保持している。好ましくは、結合フラグメントもしくは誘導体は、そのTSLP阻害活性の少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%もしくは100%(またはそれ以上)を保持しているが、所望の生物学的作用を発揮する十分な親和性を備える任意の結合フラグメントが有用であろう。TSLP結合フラグメントは、その生物活性を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換を含むことができることもまた意図されている。
【0042】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から入手される抗体を意味しており、すなわち、前記集団を構成する個別抗体は、少量で存在する可能性のある自然に発生する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原性エピトープに対して向けられている。対照的に、従来型の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には相違するエピトープに対して向けられた(または特異的な)多数の抗体を含んでいる。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるような抗体の特性を示しており、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とされると見なすべきではない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、(1975)Nature 256:495に最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができる、または組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)によって作製することができる。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら、(1991)Nature 352:624−628およびMarksら、(1991)J.Mol.Biol.222:581−597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0043】
本明細書のモノクローナル抗体は、詳細には、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の種に由来する、もしくは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一もしくは相同であるが、鎖の残りはまた別の種に由来する、もしくはまた別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一もしくは相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにそれらが所望の生物活性を示す限りはそのような抗体のフラグメントを含んでいる(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrisonら、(1984)Proc.Natl.Acad Sci.USA 81:6851−6855)。
【0044】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域だけを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントである。一部の例では、2つ以上のV領域は、ペプチドリンカーと共有結合されて二価ドメイン抗体を作り出す。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同一もしくは相違する抗原を標的とすることができる。
【0045】
「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含んでいる。一部の例では、2つの結合部位は、同一の抗原特異性を有している。しかし、二価抗体は二重特異性であってもよい(下記を参照されたい)。
【0046】
本明細書で使用する用語「一本鎖Fv」もしくは「scFv」抗体は、抗体のVおよびVドメインを含む抗体フラグメントを意味するが、このときこれらのドメインは一本鎖ポリペプチド中に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVおよびVドメイン間のポリペプチドリンカーをさらに含んでいる。sFvの概論については、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315を参照されたい。
【0047】
本明細書に記載のモノクローナル抗体は、ラクダ化(camelized)単一ドメイン抗体もまた含んでいる。例えば、全体として参照により組み込まれる、Muyldermansら、(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmannら、(1999)J.Immunol.Methods 231:25;国際公開第94/04678号パンフレット;国際公開第94/25591号パンフレット;米国特許第6,005,079号明細書を参照されたい)。1つの実施形態では、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような修飾を備える2つのVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0048】
本明細書で使用する用語「ジアボディ(diabody)」は、2つの抗原結合部位を備える小さな抗体フラグメントを意味しており、そのフラグメントは、同一ポリペプチド鎖(V−VまたはV−V)内で軽鎖可変ドメイン(V)に結合した重鎖可変ドメイン(V)を含んでいる。同一鎖上の2つのドメイン間の対合を許容するには短すぎるリンカーを使用することによって、これらのドメインは別の鎖の相補性ドメインと強制的に対合させられ、2つの抗原結合部位を作り出す。ジアボディは、例えば、欧州特許第404,097号明細書;国際公開第93/11161号パンフレット;およびHolligerら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448においてより詳細に記載されている。遺伝子組み換え抗体変異体についての概論については、一般にHolliger and Hudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126−1136を参照されたい。
【0049】
本明細書で使用する用語「ヒト化抗体」は、非ヒト(例、マウス)抗体ならびにヒト抗体からの配列を含有する抗体の形態を意味する。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する。一般に、ヒト化抗体は少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含むが、このとき超可変性のループの全部もしくは実質的に全部は非ヒト免疫グロブリンの超可変性のループに対応し、FR領域の全部もしくは実質的に全部はヒト免疫グロブリン配列のFR領域に対応する。ヒト化抗体は、任意で、免疫グロブリン、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含むであろう。接頭辞「hu」もしくは「hum」は、ヒト化抗体(例えば、「hu23B12」)を親齧歯類抗体(例、ラット23B12、もしくは「r23B12」)から識別することが必要な場合に抗体クローン名称に加えられる。齧歯類抗体のヒト化形は、一般に親齧歯類抗体の同一CDR配列を含んでいるが、ヒト化抗体の親和性を増加させるため、または安定性を増加させるためには、所定のアミノ酸置換を含めることができる。
【0050】
本発明の抗体は、変化したエフェクター機能を提供するために修飾(もしくはブロック)されたFc領域を持つ抗体をさらに含んでいる。例えば、米国特許第5,624,821号明細書;国際公開第2003/086310号パンフレット;国際公開第2005/120571号パンフレット;国際公開第2006/0057702号パンフレット;Presta(2006)Adv.Drug Delivery Rev.58:640−656を参照されたい。そのような修飾は、診断および治療において可能性のある有益な作用を備える、免疫系の様々な反応を増強または抑制するために使用できる。Fc領域の変化には、アミノ酸変化(置換、欠失および挿入)、グリコシル化もしくは脱グリコシル化、および複数のFcの付加が含まれる。Fcに対する変化は、治療用抗体における抗体の半減期もまた変化させることができ、そしてより長い半減期は、付随する増加した便宜性および材料の使用量の減少とともに、より低頻度の投与を生じさせるであろう。例えば、Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731 at 734−35を参照されたい。
【0051】
用語「完全ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列だけを含む抗体を意味する。完全ヒト抗体は、マウス内、マウス細胞内、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマ内で生成された場合はマウス炭水化物鎖を含有していてよい。同様に、「マウス抗体」は、マウス免疫グロブリン配列だけを含む抗体を意味する。
【0052】
本明細書で使用する用語「超可変領域」は、抗原結合の原因となる抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、「相補性決定領域」もしくは「CDR」からのアミノ酸残基(例、軽鎖可変ドメイン内の残基24〜34(CDRL1)、50〜56(CDRL2)および89〜97(CDRL3)ならびに重鎖可変ドメイン内の残基31〜35(CDRH1)、50〜65(CDRH2)および95〜102(CDRH3);Kabatら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)および/または「超可変ループ」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン内の残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメイン内の残基26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);Chothia and Lesk,(1987)J.Mol.Biol.196:901−917)を含んでいる。本明細書で使用する用語「フレームワーク」もしくは「FR」残基は、本明細書においてCDR残基と規定した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を意味する。上記の残基のナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに関連しており、必ずしも詳細には、添付の配列表に記載した配列ナンバリングには一致しない。配列ナンバリングが配列表を参照している表2および3を参照されたい。
【0053】
「結合」は、結合組成物と標的との結び付きを意味しており、この結び付きは、結合組成物を溶液中に溶解もしくは懸濁させることのできる場合における結合組成物の正常ブラウン運動(Brownian motion)の減少を生じさせる。
【0054】
「結合化合物」は、ヒトTSLPへ特異的に結合する1つ以上のアミノ酸配列を含む分子を意味する。1つの好ましい実施形態では、結合化合物は、抗体である。また別の好ましい実施形態では、結合化合物は、抗体フラグメントを含んでいる。
【0055】
「結合組成物」は、標的に結合することのできる安定剤、賦形剤、塩、緩衝液、溶媒、もしくは添加物と組み合わされたTSLP結合化合物を意味する。
【0056】
「保存的に修飾された変異体」もしくは「保存的置換」は、当業者には公知であるアミノ酸の置換を意味しており、一般には結果として生じる分子の生物活性を変化させずに作製することができる。当業者であれば、一般にポリペプチドの非必須領域内の単一アミノ酸置換は生物活性を実質的に変化させないことを認識している(例えば、Watsonら、Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Edition 1987)を参照されたい)。そのような例示的な置換は、好ましくは以下の表1にしたがって作製される。
【0057】
【表1−1】

【0058】
【表1−2】

本明細書および特許請求の範囲を通して使用する用語「本質的に〜からなる」または「〜から本質的になる」などのバリエーションは、任意の言及した要素もしくは要素群の包含、および他の要素、または類似もしくは言及した要素とは相違する性質の、本明細書に規定した用法・用量、方法、もしくは組成物の基本的もしくは新規な特性を物質的には変化させない他の要素の任意の包含を示している。非限定的例として、抗体もしくは本質的に言及したアミノ酸配列からなるそのフラグメントは、さらにまた結合化合物の特性を実質的には変化させない1つ以上のアミノ酸残基の置換を含む1つ以上のアミノ酸をさらに含んでいてよい。
【0059】
「有効量」は、医学的状態の症状もしくは兆候を緩和もしくは予防するための十分な量を含んでいる。有効量は、診断を許容もしくは容易にするために十分な量をさらに意味する。特定の患者もしくは獣医学的対象のための有効量は、例えば治療される状態、患者の全体的健康、投与の方法、経路および用量、ならびに副作用の重症度などの因子に依存して変動し得る(例えば、Nettiらに付与された米国特許第5,888,530号を参照されたい)。有効量は、重大な副作用もしくは毒性作用を回避する最大用量もしくは投与プロトコールであってよい。その作用は、診断尺度もしくはパラメーターの、少なくとも5%、通常は少なくとも10%、より通常は少なくとも20%、最も通常は少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%、理想的には少なくとも70%、より理想的には少なくとも80%、および最も理想的には少なくとも90%の改善を生じさせるであろうが、このとき100%は正常対象によって示される診断的パラメーターであると規定されている(例えば、Maynardら、(1996)A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice,Interpharm Press,Boca Raton,FL;Dent(2001)Good Laboratory and Good Clinical Practice,Urch Publ.,London,UK)を参照されたい)。
【0060】
「外因性」は、状況に依存して、生物、細胞、もしくはヒトの身体の外側で生成される物質に関する。
【0061】
「内因性」は、状況に依存して、細胞、生物、もしくはヒトの身体の内側で生成される物質に関する。
【0062】
本明細書で使用する用語「単離された核酸分子」は、抗体核酸の天然起源において通常はそれと結び付いている少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定かつ分離される核酸分子を意味する。単離された核酸分子は、自然に見いだされる形状もしくは状況にある以外である。このため単離された核酸分子は、それが天然細胞中に存在する核酸分子とは識別される。しかし、単離された核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞とは相違する染色体位置中にある、抗体を通常は発現する細胞内に含有された核酸分子を含んでいる。
【0063】
「コントロール配列」という表現は、特定の宿主生物における操作可能に連結されたコーディング配列の発現のために必要なDNA配列を意味する。原核生物に適するコントロール配列には、例えば、プロモーター、任意でオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞がプロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することは公知である。
【0064】
核酸は、他の核酸配列との機能的関係に配置されている場合、「操作可能に連結されている」。例えば、先行配列もしくは分泌性リーダーに対するDNAは、ポリペプチドの分泌に関係するプレタンパク質として発現する場合はポリペプチドのためのDNAに操作可能に連結されている;プロモーターもしくはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合はコーディング配列へ操作可能に連結されている;またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進できるように配置されている場合はコーディング配列へ操作可能に連結されている。一般に、「操作可能に連結された」は、連結しているDNA配列が隣接しており、そして分泌性リーダーの場合には隣接してリーディング相内にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、隣接している必要はない。連結する工程は、便宜的制限部位でのライゲーションによって遂行される。そのような部位が存在しない場合は、合成オリゴヌクレオチドアダプターもしくはリンカーが従来からの実践にしたがって使用される。
【0065】
本明細書で使用する表現の「細胞」、「細胞系」、および「細胞培養」は互換的に使用され、すべてのそのような名称には子孫が含まれる。そこで用語「形質転換体」および「形質転換細胞」には、形質転換の回数とは無関係に、一次対象細胞およびそれに由来する培養が含まれる。さらにまた、全子孫は、意図的もしくは不注意による突然変異に起因して、DNA含量において正確に同一ではなくてもよいことを理解されたい。オリジナルの形質転換細胞内でスクリーニングされたものと同一の機能もしくは生物活性を有する多くの突然変異体子孫が含まれる。別個の名称が意図される場合は、それは文脈から明白になるであろう。
【0066】
本明細書で使用する用語「ポリメラーゼ連鎖反応」もしくは「PCR」は、微量の特定の核酸、RNAおよび/またはDNAが例えば米国特許第4,683,195号明細書に記載されているように増幅させられる方法もしくは技術を意味する。一般に、関心のある領域の末端もしくはそれを越える配列情報は、オリゴヌクレオチドプライマーを設計できるように利用可能である必要がある;これらのプライマーは、増幅対象の鋳型の反対側の鎖と配列が同一もしくは類似である。2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅させた物質の末端と一致する可能性がある。PCRは、特異的RNA配列、全ゲノムDNAからの特異的DNA配列、および全細胞RNA、バクテリオファージもしくはプラスミド配列などから転写されたcDNAを増幅させるために使用できる。例えば、一般にMullisら、(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263;Erlich,ed.,(1989)PCR TECHNOLOGY(Stockton Press,N.Y.)を参照されたい。本明細書で使用するPCRは、核酸試験サンプルを増幅させるための核酸ポリメラーゼ反応法であって、プライマーとしての公知の核酸および特定の核酸を増幅もしくは生成するための核酸ポリメラーゼの使用を含む方法の唯一ではないが1つの例である。
【0067】
本明細書で使用する用語「生殖系列細胞配列」は、再配列されていない免疫グロブリンDNA配列の配列を意味する。再配列されていない免疫グロブリンDNAの任意の適切な起源を使用できる。
【0068】
「阻害剤」は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を減少させる、ブロックする、防止する、活性化を遅延させる、不活性化する、脱感作する、またはダウンレギュレートする化合物である。阻害剤は、構成性活性を減少させる、ブロックする、もしくは不活性化する組成物であると規定することもできる。「アンタゴニスト」は、アゴニストの作用に対抗する化合物である。アンタゴニストは、アゴニストの活性を防止する、減少させる、阻害する、または中和する。アンタゴニストは、同定されたアゴニストが存在しない場合でさえ、標的、例えば標的受容体の構成性活性を防止する、阻害する、または減少させることもできる。
【0069】
阻害の程度を試験するためには、所定の、例えば、タンパク質、遺伝子、細胞、もしくは生物を含むサンプルもしくはアッセイは、潜在的活性化物質もしくは阻害物質を用いて処置され、そして前記物質を備えていないコントロールサンプルと比較される。コントロールサンプル、すなわち前記物質を用いて処置されていないサンプルには100%の相対活性値が指定される。阻害は、コントロールに対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般には70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常には50%以下、より通常には45%以下、最も通常には40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、および最も好ましくは25%未満の場合に達成される。
【0070】
阻害におけるエンドポイントは、以下のように監視できる。例えば、細胞、生体液、組織、器官または動物もしくはヒト対象の阻害、および治療に対する応答は、エンドポイントによって監視することができる。エンドポイントは、例えば、炎症、発癌性、もしくは細胞脱顆粒、または例えばサイトカイン、毒性酸素、もしくはプロテアーゼの放出などの分泌の兆候の規定の量もしくはパーセンテージを含んでいてよい。エンドポイントは、例えば、規定量のイオンの流入もしくは輸送;細胞移動;細胞接着;細胞増殖;転移の可能性;細胞分化;および表現型における変化、例えば炎症、アポトーシス、形質転換、細胞周期、もしくは転移に関連する遺伝子の発現の変化を含むことができる(例えば、Knight(2000)Ann.Clin.Lab.Sci.30:145−158;Hood and Cheresh(2002)Nature Rev.Cancer 2:91−100;Timmeら、(2003)Curr.Drug Targets 4:251−261;Robbins and Itzkowitz(2002)Med.Clin.North Am.86:1467−1495;Grady and Markowitz(2002)Annu.Rev.Genomics Hum.Genet.3:101−128;Bauerら、(2001)Glia 36:235−243;Stanimirovic and Satoh(2000)Brain Pathol.10:113−126を参照されたい)。
【0071】
阻害のエンドポイントは、一般にコントロールの75%以下、好ましくはコントロールの50%以下、より好ましくはコントロールの25%以下、および最も好ましくはコントロールの10%以下である。一般には、活性化のエンドポイントは、コントロールの少なくとも150%、より好ましくはコントロールの少なくとも2倍、より好ましくはコントロールの少なくとも4倍、および最も好ましくはコントロールの少なくとも10倍である。
【0072】
リガンド/受容体、抗体/抗原、または他の結合対について言及する場合の「特異的」もしくは「選択的」結合は、タンパク質および/または他の生物の異種集団中でのタンパク質、例えばTSLPの存在の決定要因である結合反応を示す。そこで、指定条件下で、規定されたリガンド/抗原は特定の受容体/抗体に結合し、有意な量ではサンプル中に存在する他のタンパク質に結合しない。
【0073】
企図された方法の抗体、または抗体の抗原結合部位に由来する結合組成物は、非関連抗原との親和性の少なくとも2倍超、好ましくは少なくとも10倍超、より好ましくは少なくとも20倍超、および最も好ましくは少なくとも100倍超である親和性でその抗原に結合する。好ましい実施形態では、抗体は、例えば、Scatchard分析(Munsenら、(1980)Analyt.Biochem.107:220−239)によって決定した場合に約10L/mol超の親和性を有するであろう。
【0074】
本明細書で使用する用語「炎症性疾患」は、傷害もしくは感染の部位での局所炎症を特徴とする任意の疾患もしくは障害を意味しており、アレルギー性炎症、自己免疫疾患、ならびに局所組織部位での望ましくない免疫細胞蓄積を特徴とする他の障害を含んでいるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用する用語「免疫調節薬」は、免疫応答を抑制もしくは調節する天然もしくは合成薬剤を意味する。免疫応答は、体液性もしくは細胞性反応であってよい。免疫調節薬は、免疫抑制薬もしくは抗炎症薬を含んでいる。
【0076】
本明細書で使用する「免疫抑制性物質」、「免疫抑制薬」、もしくは「免疫抑制剤」は、免疫系の活性を阻害もしくは予防するための免疫抑制療法において使用される治療薬である。臨床的に、それらは移植された臓器および組織(例、骨髄、心臓、腎臓、肝臓)、および/または自己免疫疾患もしくは自己免疫起源である可能性が極めて高い疾患(例、関節リウマチ、筋無力症、全身性紅斑性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症)の治療における拒絶を防止するために使用される。免疫抑制薬は、4つの群:グルココルチコイド細胞増殖抑制剤;抗体(生物学的応答修飾剤もしくはDMARD);イムノフィリンに作用する薬剤;増殖性障害の治療に使用される公知の化学療法薬を含むその他の薬剤、に分類できる。多発性硬化症のためには、詳細には、本発明の抗体は、コパキソン(copaxone)として公知である新規クラスのミエリン結合タンパク質様治療薬と併せて投与することができる。
【0077】
「抗炎症剤」もしくは「抗炎症薬」は、ステロイド性および非ステロイド性治療薬の両方を表すために使用される。コルチコステロイドとしても公知であるステロイドは、副腎によって自然に生成されるホルモンであるコルチゾールに酷似する薬物である。ステロイドは、例えば、全身性脈管炎(血管の炎症);および筋炎(筋肉の炎症)などの所定の炎症状態に対する主要な治療法として使用される。ステロイドは、さらにまた例えば関節リウマチ(身体の両側の関節において発生する慢性炎症性関節炎);全身性紅斑性エリテマトーデス(異常な免疫機能によって誘発される全身性疾患);シェーグレン(Sjoegren)症候群(ドライアイおよび口渇を誘発する慢性障害)などの炎症状態を治療するために選択的に使用できる。
【0078】
通常はNSAIDと略記される非ステロイド性抗炎症薬は、鎮痛性、解熱性および抗炎症性作用を備える薬剤である−それらは疼痛、熱および炎症を減少させる。用語「非ステロイド」は、これらの薬剤を、(広範囲の他の作用の中でも)類似のエイコサノイド抑制性抗炎症作用を有するステロイドから識別するために使用される。NSAIDは、一般に、以下の:関節リウマチ;変形性関節症;炎症性関節症(例、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター(Reiter)症候群;急性痛風;月経困難症;転移性骨痛;頭痛および偏頭痛;術後疼痛;炎症および組織損傷に起因する軽度から中等度の疼痛;発熱および腎疝痛の状態の症状軽減のために指示される。NSAIDには、サリチル酸系、アリールアルカン酸(arlyalknoic acid)、2−アリールプロピオン酸(プロフェン)系、N−アリールアントラニル酸(フェナム酸)系、オキシカム系、コキシブ(coxib)系、およびスルホンアニリドが含まれる。
II.一般
本発明は、遺伝子組み換え抗TSLP抗体、ならびに炎症性疾患、および特にアレルギー性炎症性疾患を治療するためのその使用を提供する。好ましい実施形態では、炎症性疾患は、喘息である。1つの好ましい実施形態では、アレルギー性炎症性疾患は、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎である。本発明は、線維症、炎症性腸疾患またはホジキンリンパ腫を治療するための遺伝子組み換え抗TSLP抗体をさらに提供する。
【0079】
TSLPは、造血性サイトカインの「長鎖」ファミリーのメンバーである。「長鎖」サイトカイン/受容体認識の構造的基本に関する洞察は、タンパク質表面の大きな領域はサイトカイン−受容体複合体の形成において埋め込まれるが、相互作用の親和性は、結合界面の中心において活動的な「ホットスポット」を形成する、小数だがしばしば密にクラスター化したアミノ酸残基によって支配されることを証明している。大きなタンパク質−タンパク質界面の結合エネルギーを支配する残基の独自性は、「機能的エピトープ」と命名されてきた。相互作用の親和性(および生物学的特異性)は、結果としてリガンドおよび受容体の機能的エピトープの構造的相補性によって規定される。詳細な突然変異誘発試験は、サイトカインおよび受容体の機能的エピトープを作り上げる大多数の重要な残基は、例えばトリプトファンなどの非極性側鎖、非極性側鎖の脂肪族成分またはポリペプチド骨格のいずれかを含む疎水性接触であることを証明してきた。非極性「コア」は、結合エネルギーのためには余り重要ではない輪状の極性残基によって取り囲まれている。動態学的試験は、機能的エピトープの重要な役割が複合体の解離速度を減少させることによってタンパク質−タンパク質の相互作用を安定化させることであることを示している。サイトカインと受容体との初期の接触は、多数の不安定な接触を生じさせるタンパク質表面のランダム拡散もしくは「回転」によって支配されることを示唆してきた。この複合体は、次に、受容体およびリガンドの機能的エピトープがかみ合うと安定化する(例えば、Bravo and Heath、上記を参照されたい)。
III.TSLP特異的抗体の生成
モノクローナル抗体を生成するためには任意の適切な方法を使用できる。例えば、レシピエントをTSLPヘテロダイマーの連結形もしくは非連結形(例えば、天然型)、またはそれらのフラグメントで免疫することができる。免疫の任意の適切な方法を使用できる。そのような方法は、アジュバント、他の免疫刺激剤、反復ブースター免疫、および1つ以上の免疫経路の使用を含むことができる。
【0080】
TSLPの任意の適切な起源は、本明細書に開示した組成物および方法の、非ヒト抗体を生成するための免疫源として使用できる。そのような形態には、連結したおよび天然型ヘテロダイマーを含む全タンパク質、ペプチド、および当該技術分野において公知の組み換え手段、合成、化学的もしくは酵素的分解手段を通して産生したエピトープが含まれるが、それらに限定されない。
【0081】
生物学的に活性な抗体を生成するために十分である抗体を生成するためには、任意の形態の抗原を使用できる。そこで、誘発抗原は、単一エピトープ、多重エピトープ、または単独もしくは当該技術分野において公知の1つ以上の免疫原性増強剤と組み合わせた全タンパク質であってよい。誘発抗原は、単離された全長タンパク質、細胞表面タンパク質(例、抗原の少なくとも一部分を用いてトランスフェクトした細胞を用いて免疫する)、または可溶性タンパク質(例えば、タンパク質の細胞外ドメイン部分だけを用いて免疫する)であってよい。抗原は、遺伝子組み換え細胞中で生成できる。その抗原をコードするDNAは、ゲノムもしくは非ゲノム(例、cDNA)であってよく、細胞外ドメインの少なくとも一部分をコードする。本明細書で使用する用語「部分」は、関心のある抗原の免疫原性エピトープを構成する、適切な、最小数のアミノ酸または核酸に関する。関心のある細胞を形質転換させるために適切な、アデノウイルスベクター、プラスミド、および例えばカチオン性脂質などの非ウイルスベクターを含むがそれらに限定されない任意の遺伝子ベクターを使用できる。
【0082】
TSLPを阻害するための所望の生物学的特性を持つ抗体を引き出すためには、任意の適切な方法を使用できる。モノクローナル抗体(mAb)は、様々な哺乳動物宿主、例えば、マウス、齧歯類、霊長類、ヒトなどから調製するのが望ましい。そのようなモノクローナル抗体を調製するための技術についての説明は、例えば、Stitesら、(eds.)BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY(4th ed.)Lange Medical Publications,Los Altos,CA、およびその中で言及された参考文献;Harlow and Lane(1988)ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL CSH Press;Goding(1986)MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE(2d ed.)Academic Press,New York,NYを参照されたい。そこで、モノクローナル抗体は、当業者であれば習熟している様々な技術によって入手できる。典型的には、所望の抗原を用いて免疫した動物由来の脾臓細胞は、通常は骨髄腫細胞との融合によって不死化される。例えば、Kohler and Milstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519を参照されたい。また別の不死化の方法には、エプスタインバー(Epstein Barr)ウイルス、腫瘍遺伝子、もしくはレトロウイルスを用いた形質転換、または当該技術分野において公知の他の方法が含まれる。例えば、Doyleら、(1994年版および定期的追補)CELL AND TISSUE CULTURE:LABORATORY PROCEDURES,John Wiley and Sons,New York,NYを参照されたい。単一不死化細胞から発生するコロニーは、抗原に対する所望の特異性および親和性を持つ抗体の産生についてスクリーニングされ、そのような細胞により生成したモノクローナル抗体の収率は、脊椎動物宿主の腹腔内への注射を含む様々な技術によって増強することができる。または、モノクローナル抗体もしくはその結合フラグメントをコードするDNA配列を、例えば、Huseら、(1989)Science 246:1275−1281に記載された一般的プロトコールにしたがってヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。
【0083】
その他の適切な技術は、ファージベクターもしくは類似のベクター内の抗体のライブラリーの選択を含んでいる。例えば、Huseら、Science 246:1275−1281(1989);およびWardら、Nature 341:544−546(1989)を参照されたい。本発明のポリペプチドおよび抗体は、キメラ抗体もしくはヒト化抗体を含めて、修飾を行って、もしくは行わずに使用できる。しばしは、ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を共有的もしくは非共有的のいずれかで結合することによって標識される。極めて広範囲の標識およびコンジュゲート化技術は公知であり、科学文献および特許文献の両方において広汎に報告されている。適切な標識には、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光成分、化学発光成分、磁気粒子などが含まれる。そのような標識の使用を教示している特許には、米国特許第3,817,837号明細書;第3,850,752号明細書;第3,939,350号明細書;第3,996,345号明細書;第4,277,437号明細書;第4,275,149号明細書;および第4,366,241号明細書が含まれる。さらに、組み換え免疫グロブリンを生成できる。例えば、Cabillyの米国特許第4,816,567号明細書;およびQueenら、(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照されたい。またはトランスジェニックマウス中で作製できる。例えば、Mendezら、(1997)Nature Genetics 15:146−156を参照されたい;さらに、Abgenix and Medarex technologiesを参照されたい。
【0084】
TSLPの規定のフラグメントに対する抗体もしくは結合組成物は、ポリペプチド、フラグメント、ペプチド、または担体タンパク質を備えるエピトープのコンジュゲートを用いた動物の免疫によって産生することができる。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常もしくは不完全TSLPへの結合についてスクリーニングすることができる。これらのモノクローナル抗体は、通常はELISAによって決定した場合に、通常は少なくとも約1μM、より通常は少なくとも約300nM、典型的には少なくとも約30nM、好ましくは少なくとも約10nM、より好ましくは少なくとも約3nM以上のKで結合するであろう。
IV. TSLP特異的抗体のヒト化
任意の適切な非ヒト抗体を超可変領域のための起源として使用できる。非ヒト抗体のための起源には、マウス、ウサギ(ラビットを含む)、ウシ、および霊長類が含まれるがそれらに限定されない。大部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が例えば、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギもしくは非ヒト霊長類などの非ヒト種由来の超可変領域残基(ドナー抗体)によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内、またはドナー抗体内では見いだされない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、所望の生物活性の抗体性能をさらに改良するために行われる。さらなる詳細については、Jonesら、(1986)Nature 321:522−525;Reichmannら、(1988)Nature 332:323−329;およびPresta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596を参照されたい。
【0085】
抗体を遺伝子組み換え作製するための方法は、例えば、Bossら、(米国特許第4,816,397号明細書)、Cabillyら、(米国特許第4,816,567号明細書)、Lawら、(欧州特許出願公開第438310号明細書)およびWinter(欧州特許出願公開第239400号明細書)を参照されたい。
【0086】
ヒト化抗TSLP抗体のアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化をヒト化抗TSLP抗体DNA内に導入する工程によって、またはペプチド合成によって調製される。そのような変異体には、例えば、ヒト化抗TSLP F(ab)に対して示されたアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または挿入および/または置換が含まれる。欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせは、最終構築体が所望の特性を有することを前提に、最終構築体に達するために行われる。アミノ酸変化は、例えばグリコシル化部位の数もしくは位置を変化させるなどの、ヒト化抗TSLP抗体の翻訳後プロセスを変化させることができる。
【0087】
突然変異誘発のために好ましい場所であるヒト化抗TSLP抗体ポリペプチドの所定の残基もしくは領域を同定するために有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science 244:1081−1085によって記載されているように「アラニン走査型(alanine scanning)突然変異誘発」と呼ばれている。ここで、残基もしくは標的残基の群(例えば、Arg、Asp、His、Lys、およびGluなどの荷電残基)は同定されており、アミノ酸とTSLP抗原との相互作用に影響を及ぼすために中性もしくは負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンもしくはポリアラニン)によって置換される。そこで置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸残基は、置換部位で、または置換部位のためにさらなる、またはその他の変異体を導入することによって改良される。そこで、アミノ酸配列変化を導入するための部位は事前に規定されているが、突然変異の性質自体が事前に規定される必要はない。例えば、所定の部位での突然変異の性能を分析するために、Ala走査型もしくはランダム突然変異誘発は標的コドンもしくは領域で実行され、発現したヒト化抗TSLP抗体変異体が所望の活性についてスクリーニングされる。
【0088】
アミノ酸配列の挿入には、長さが1残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドまでの範囲に及ぶアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一もしくは多重アミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を備えるヒト化抗TSLP抗体またはエピトープタグに融合した抗体が含まれる。ヒト化抗TSLP抗体分子のその他の挿入変異体には、抗体の血清半減期を増加させる酵素もしくはポリペプチドのヒト化抗TSLP抗体のNもしくはC末端への融合が含まれる。
【0089】
他のタイプの変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、ヒト化抗TSLP抗体分子内の少なくとも1つのアミノ酸残基が取り除かれ、その場所に挿入された相違する残基を有している。置換突然変異誘発のために最も重要な部位には超可変ループが含まれるが、FR変化もまた企図されている。抗原結合に関係する超可変領域残基もしくはFR残基は、一般には相当に保存的方法で置換されている。
【0090】
抗体のまた別のタイプのアミノ酸変異体は、抗体のオリジナルのグリコシル化パターンを変化させる。変化させるとは、抗体内で見いだされる1つ以上の炭水化物成分を欠失させること、および/または抗体内に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。抗体のグリコシル化は、典型的には、N連結またはO連結のいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物成分の結合を意味する。トリペプチド配列であるアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(このとき、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物成分の酵素的付着のための認識配列である。そこで、ポリペプチド内のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的グリコシル化部位を作り出す。O連結グリコシル化は、糖類であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、もしくはキシロースのうちの1つのヒドロキシルアミノ酸、最も一般的にはセリンもしくはトレオニンへの結合を意味するが、5−ヒドロキシプロリンもしくは5−ヒドロキシリシンもまた使用できる。
【0091】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、それが上述したトリペプチド配列の1つ以上を含有するように便宜的にはアミノ酸配列を変化させることによって遂行される(N連結グリコシル化部位に対して)。この変化は、オリジナルの抗体の配列へ1つ以上のセリンもしくはトレオニン残基の付加または置換によって行うこともできる(O連結グリコシル化部位に対して)。
【0092】
さらにまた別のタイプのアミノ酸変異体は、最終ヒト化抗体のより大きな化学的安定性を提供するための残基の置換である。例えば、アスパラギン(N)残基は、齧歯類CDR内の任意のNG配列でイソアスパラギン酸塩が生成される可能性を減少させるために変化させることができる。1つの実施形態では、アスパラギンは、グルタミン(Q)へ変更させられる。イソアスパラギン酸塩の生成は、抗体のその標的抗原への結合を弱化させるか、または完全に無効にすることができる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731 at 734を参照されたい。さらに、齧歯類CDR内のメチオニン残基は、メチオニン硫黄が酸化するであろう可能性を減少させるために変化させることができ、これは抗原結合親和性を減少させ、さらに最終抗体調製における分子均質性にも寄与できよう。同文献。1つの実施形態では、メチオニンはアラニン(A)へ変更させられる。そのような置換を持つ抗体は、引き続いて、置換がTSLP結合親和性を許容できないレベルへは減少させないことを保証するためにスクリーニングされる。
【0093】
ヒト化TSLP特異的抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野において公知の様々な方法によって調製される。これらの方法には、天然起源からの単離(天然型アミノ酸配列変異体の場合)またはオリゴヌクレオチド媒介性(もしくは特定部位)突然変異誘発による調製、PCR突然変異誘発による調製、およびヒト化抗TSLP抗体の以前に調製された変異体もしくは非変異体バージョンのカセット突然変異誘発による調整が含まれるがそれらに限定されない。
【0094】
通常は、ヒト化抗TSLP抗体のアミノ酸配列変異体は、重鎖もしくは軽鎖いずれかのオリジナルのヒト化抗体アミノ酸配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するであろう。この配列に関する同一性もしくは相同性は、本明細書では、配列をアライメントして、最高配列同一性率を達成するために必要であればギャップを導入した後に、そして配列同一性の一部としての任意の保存的置換を考慮することなく、ヒト化抗TSLP残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージであると規定される。抗体配列内へのN末端、C末端、もしくは内部鎖伸長、欠失もしくは挿入は、いずれも配列同一性もしくは相同性に影響を及ぼすと見なすべきではない。
【0095】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリンから選択できる。好ましくは、抗体は、IgG抗体である。IgG、IgG、IgG、およびIgGを含む、任意のアイソタイプのIgGを使用できる。IgGアイソタイプの変異体もまた企図されている。ヒト化抗体は、2つ以上のクラスもしくはアイソタイプ由来の配列を含んでいてよい。所望の生物活性を生成するための必要な定常ドメイン配列の最適化は、以下に記載する生物学的アッセイにおいて抗体をスクリーニングする工程によって容易に達成される。
【0096】
同様に、本明細書に記載した組成物および方法においては、いずれかのクラスの軽鎖を使用できる。詳細には、本発明の組成物および方法においては、κ、λ、もしくはそれらの変異体が有用である。
【0097】
非ヒト抗体由来のCDR配列の任意の適切な部分を使用できる。CDR配列は、CDR配列が使用されたヒトおよび非ヒト抗体配列とは異なるように、少なくとも1つの残基の置換、挿入もしくは欠失によって突然変異誘発することができる。そのような突然変異が最小であるように企図されている。典型的には、ヒト化抗体残基の少なくとも75%は、非ヒトCDR残基の75%に、より頻回には90%に、および最も好ましくは95%超に一致するであろう。
【0098】
ヒト抗体由来のFR配列の任意の適切な部分を使用できる。FR配列は、FR配列が使用されたヒトおよび非ヒト抗体配列とは異なるように、少なくとも1つの残基の置換、挿入もしくは欠失によって突然変異誘発することができる。そのような突然変異は最小であるように企図されている。典型的には、ヒト化抗体残基の少なくとも75%は、ヒトFR残基の75%に、より頻回には90%に、および最も好ましくは95%超に一致するであろう。
【0099】
CDRおよびFR残基は、Kabatの標準配列定義によって決定される。Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda Md.(1987)。表2は、ラット(r23B12)およびヒト(hu23B12)可変重鎖CDRについての配列識別子情報を提供する。表3は、r23B12およびhu23B12可変軽鎖CDRについての配列識別子情報を提供する。
【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

r23B12およびhu23B12 CDR−H1配列は、GYIFTDYAMH(配列番号1)である。r23B12およびhu23B12 CDR−H2配列は、TFIPLLDTSDYNQNFKG(配列番号2)である。r23B12およびhu23B12 CDR−H3配列は、MGVTHSYVMDA(配列番号3)である。
【0102】
r23B12およびhu23B12 CDR−L1配列は、RASQPISISVH(配列番号4)である。r23B12およびhu23B12 CDR−L2配列は、FASQSIS(配列番号5)である。r23B12およびhu23B12 CDR−L3配列は、QQTFSLPYT(配列番号6)である。
【0103】
r23B12可変重鎖アミノ酸配列は、EEKLQQSGDDLVRPGAAVKMSCKASGYIFTDYAMHWVKQRPGQGLEWIGTFIPLLDTSDYNQNFKGRATLTADKSSNTAYMELSRLTSEDSAVYYCARMGVTHSYVMDAWGQGASVTVSS(配列番号7)である。
【0104】
r23B12可変軽鎖アミノ酸配列は、DIVLTQSPATLSVTPGESVSLSCRASQPISISVHWFQQKSNESPRLLIKFASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLNINRVESEDFSVYYCQQTFSLPYTFGTGTKLELKR(配列番号8)である。
【0105】
hu23B12可変重鎖に対する核酸配列は、
【0106】
【化1−1】

であり、これはhu23B12可変重鎖アミノ酸配列
【0107】
【化1−2】

をコードする。
【0108】
hu23B12可変軽鎖に対する核酸配列は、
【0109】
【化2】

であり、これはhu23B12可変軽鎖アミノ酸配列
【0110】
【化3】

【0111】
【化4】

をコードする。
【0112】
hu23B12重鎖に対する核酸配列は、
【0113】
【化5】

であり、これはhu23B12重鎖アミノ酸配列
【0114】
【化6】

をコードする。
【0115】
hu23B12軽鎖に対する核酸配列は、
【0116】
【化7】

であり、これはhu23B12軽鎖アミノ酸配列
【0117】
【化8】

をコードする。
【0118】
キメラ抗体もまた企図されている。上述したように、典型的なキメラ抗体は、特定の種に由来する、もしくは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一もしくは相同であるが、鎖の残りは別の種に由来する、もしくは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一もしくは相同である重鎖および/または軽鎖の一部分、ならびにそれらが所望の生物活性を示す限りはそのような抗体のフラグメントを含んでいる(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrisonら、(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855)。
【0119】
本発明の方法および組成物においては、二重特異性抗体もまた有用である。本明細書で使用する用語「二重特異性抗体」は、抗体、典型的には少なくとも2つの相違する抗原エピトープに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体を意味する。1つの実施形態では、エピトープは同一抗原由来である。また別の実施形態では、エピトープは2つの相違する抗原由来である。二重特異性抗体を作成するための方法は、当該技術分野において公知である。例えば、二重特異性抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現を使用して組み換え的に生成することができる。例えば、Milsteinら、(1983)Nature 305:537−39を参照されたい。または、二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製することができる。例えば、Brennanら、(1985)Science 229:81を参照されたい。二重特異性抗体には、二重特異性抗体フラグメントが含まれる。例えば、Hollingerら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6444−48,Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい。
【0120】
さらにまた別の実施形態では、相違する定常ドメインを、本明細書に提供したヒト化VおよびV領域へ付加することができる。例えば、本発明の抗体(またはフラグメント)の特に意図された使用が変化したエフェクター機能を求める場合は、IgG1以外の重鎖定常ドメインを使用できる。IgG1抗体は、長い半減期およびエフェクター機能、例えば補体活性化および抗体依存性細胞傷害性を提供するが、そのような活性は抗体のすべての使用のために望ましいわけではない。そのような場合には、例えばIgG4定常ドメインを使用できる。
V.ヒト化抗TSLPの生物活性
ヒト化抗TSLP抗体において望ましいと本明細書で同定された特性を有する抗体は、インビトロ阻害性生物活性または適切な結合親和性についてスクリーニングすることができる。当該の抗体(例えば、サイトカインのその受容体への結合をブロックする抗体)によって結合されたヒトTSLP上のエピトープへ結合する抗体についてスクリーニングするためには、例えば、ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されたアッセイなどのルーチンの交差ブロッキングアッセイを実施できる。同一エピトープへ結合する抗体はそのようなアッセイでは交差ブロックする可能性が高いが、すべての交差ブロック抗体は正確に同一エピトープで必ずしも結合しないであろう。それは交差ブロックは隣接する、または重複さえしているエピトープで結合した抗体による抗体結合の立体障害の結果として生じる可能性があるからである。
【0121】
または、例えばChampeら、(1995)J.Biol.Chem.270:1388−1394に記載されたようなエピトープマッピングを、抗体が当該のエピトープへ結合するかどうかを決定するために実行できる。Cunningham and Wells(1989)Science 244:1081−1085に記載された「アラニン走査型突然変異誘発」、またはヒトTSLPにおけるアミノ酸残基の点突然変異誘発の一部の他の形態もまた、本発明の抗TSLP抗体に対する機能的エピトープを決定するために使用できる。しかし、突然変異誘発試験は、TSLPの三次元構造全体にとって重大であるが、抗体−抗原接触には直接的には関係していないアミノ酸残基もまた明らかにできるので、そこでこの方法を用いて決定される機能的エピトープを確証するためには他の方法が必要になることがある。
【0122】
特異的抗体によって結合されたエピトープは、ヒトTSLPのフラグメントを含むペプチドへの抗体の結合を評価することによって決定することもできる。ヒトTSLPのアミノ酸配列は、国際公開第00/17362号パンフレットにおける配列番号4に規定されている。TSLPの配列を含む一連の重複ペプチドを合成して、結合について、例えば直接ELISA、競合的ELISA(この場合にはペプチドが、マイクロタイタープレートのウエルに結合したTSLPへの抗体の結合を防止する能力について評価される)、またはチップ上でスクリーニングすることができる。そのようなペプチドスクリーニング法は、一部の不連続の機能的エピトープ、すなわちTSLPポリペプチド鎖の一次配列に沿って隣接していないアミノ酸残基を含む機能的エピトープを検出できない場合がある。
【0123】
本発明の抗体によって結合されたエピトープは、さらにまた構造的方法、例えばX線結晶構造決定法(例えば、国際公開第2005/044853号パンフレット)、分子モデリングおよび当該の抗体を備える複合体中で遊離している、および結合している場合のTSLP中での不安定アミド水素のH−D交換率のNMR決定を含む核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定することもできる(Zinn−Justinら、(1992)Biochemistry 31,11335−11347;Zinn−Justinら、(1993)Biochemistry 32,6884−6891)。
【0124】
X線結晶学法に関しては、結晶化は、マイクロバッチ法(例えば、Chayen(1997)Structure 5:1269−1274)、懸滴蒸気拡散法(例、McPherson(1976)J.Biol.Chem.251:6300−6303)、播種および透析法を含む当該技術分野における任意の公知の方法を用いて遂行できる(例えば、Giegeら、(1994)Acta Crystallogr.D50:339−350;McPherson(1990)Eur.J.Biochem.189:1−23)。少なくとも約1mg/mLおよび好ましくは約10mg/mL〜約20mg/mLの濃度を有するタンパク質調製物を使用するのが望ましい。結晶化は、約10%〜約30%(w/v)の範囲内の濃度を備えて、好ましくは約5,000〜約7,000Da、より好ましくは約6,000Daのポリエチレングリコール1000〜20,000(PEG;約1000〜約20,000Daの範囲内の平均分子量)を含有する沈殿剤溶液中で最適に達成できる。さらにまた、タンパク質安定化剤、例えば約0.5%〜約20%の範囲内の濃度でグリセロールを含むこともまた望ましいことがある。適切な塩、例えば塩化ナトリウム、塩化リチウムまたはクエン酸ナトリウムは、好ましくは約1mM〜約1,000mMの範囲内の濃度で沈殿剤溶液中に存在することが望ましいことがある。沈殿剤は、約3.0〜約5.0、好ましくは約4.0のpHへ緩衝される。沈殿剤溶液中で有用な特定の緩衝剤は変動してよく、当該技術分野において周知である(Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Third ed.,(1994)Springer−Verlag,New York)。有用な緩衝剤の例には、HEPES、Tris、MESおよび酢酸塩が含まれるがそれらに限定されない。結晶は、2℃、4℃、8℃および26℃を含む広範囲の温度で成長させることができる。
【0125】
抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術によって調査することができ、例えば、X−PLOR(エール大学、1992年、Molecular Simulations社によって流通させられている;例えば、Blundell & Johnson(1985)Meth.Enzymol.114 & 115,H.W.Wyckoffら、eds.,Academic Press;米国特許出願公開第2004/0014194号明細書)、およびBUSTER(Bricogne(1993)Acta Cryst.D49.37−60;Bricogne(1997)Meth.Enzymol.276A:361−423,Carter & Sweet,eds.;Roversiら、(2000)Acta Cryst.D56:1313−1323も参照されたい)などのコンピュータソフトウエアを用いて精密にすることができ、上記の開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0126】
本発明の抗体と同一のエピトープへの結合する追加の抗体は、例えば、エピトープへの結合についてはTSLPに対して産生された抗体のスクリーニングによって、またはそのエピトープ配列を含むヒトTSLPのフラグメントを含むペプチドを用いた動物の免疫によって入手できる。同一の機能的エピトープへ結合する抗体は、例えば受容体結合をブロックするなどの類似の生物活性を示すと予想することができ、そのような活性は、抗体の機能的アッセイによって確認できる。
【0127】
抗体親和性(例えば、ヒトTSLPに対する)は、標準分析を用いて決定できる。好ましいヒト化抗体は、約1×10−7以下;好ましくは約1×10−8以下;より好ましくは約1×10−9以下;および最も好ましくは約1×10−10M以下のK値でヒトTSLPへ結合するヒト化抗体である。
【0128】
本組成物および方法において有用な抗体およびそのフラグメントは、生物活性抗体およびフラグメントである。本明細書で使用する用語「生物活性」は、所望の抗原エピトープに結合することができ、直接的もしくは間接的に生物学的作用を発揮できる抗体または抗体フラグメントに関する。典型的には、これらの作用は、TSLPのその受容体への結合の失敗の結果として生じる。1つの実施形態では、本組成物および方法において有用な抗体およびそのフラグメントは:hTSLP受容体およびIL−7RαでトランスフェクトされたBaf−3細胞系のhTSLP誘導性増殖;TSLP受容体およびルシフェラーゼレポーター系でトランスフェクトされたBaf−3細胞系からのhTSLP誘導性ルシフェラーゼ発現;PBMCから単離されたヒト一次単球からのhTSLP誘導性TARC分泌;およびTh2分化の誘導を阻害する。
【0129】
本明細書で使用する用語「特異的」は、標的抗原エピトープへの抗体の選択的結合に関する。抗体は、所定の一連の条件下でTSLPへの結合を無関係な抗原または抗原混合物への結合を比較することによって結合の特異性について試験することができる。抗体がTSLPへ無関係な抗原または抗原混合物への少なくとも10倍、および好ましくは50倍以上結合すると、それは特異的であると見なされる。TSLPへ「特異的に結合する」抗体は、TSLP由来配列を含んでいないタンパク質には結合しない。すなわち、本明細書で使用する用語「特異性」は、TSLP特異性に関しており、当該のタンパク質中に存在する可能性のある任意の他の配列には関していない。例えば、本明細書で使用するTSLPへ「特異的に結合する」抗体は、典型的には、TSLPおよびFLAG(登録商標)ペプチドタグを含む融合タンパク質であるFLAG−hTSLPへ結合するが、FLAG(登録商標)ペプチドタグ単独またはそれがTSLP以外のタンパク質へ融合した場合には結合しない。
VI. 医薬組成物
医薬組成物もしくは無菌組成物を調製するためには、抗体もしくはそのフラグメントは、医薬上許容される担体もしくは賦形剤と混合される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and U.S.Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照されたい。治療薬および診断薬の製剤は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液もしくは懸濁液の形状にある生理学的に許容される担体、賦形剤もしくは安定剤と混合する工程によって調製できる(例えば、Hardmanら、(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw−Hill,New York,NY;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,NY;Avisら、(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Liebermanら、(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Liebermanら、(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;Weiner and Kotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,NYを参照されたい)。
【0130】
単独で、または免疫抑制薬と組み合わせて投与される抗体組成物の毒性および治療有効性は、例えばLD50(集団の50%にとって致死的用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定できる。毒性作用と治療作用との用量比は、治療指数であり、LD5OとED50との比率として表すことができる。高い治療指数を示す抗体が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための用量範囲を処方する際に使用できる。そのような化合物の用量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く伴わずにED50を含む循環中濃度の範囲内にある。用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動してよい。
【0131】
適切な投与経路には、例えば、筋肉内、静脈内、または皮下投与などの非経口投与が含まれる。本発明の医薬組成物中で、または本発明の方法を実施するために使用される抗体の投与は、例えば経口摂取、吸入、局所投与、もしくは皮内、皮下、腹腔内、非経口、動脈内もしくは静脈内注射などの様々な従来型方法において実施できる。1つの実施形態では、本発明の結合化合物は、静脈内投与される。また別の実施形態では、本発明の結合化合物は、皮下投与される。
【0132】
または、全身性方法よりも局所法で、例えばしばしばデポー剤もしくは徐放性製剤において、関節もしくは免疫病理を特徴とする病原誘発性病変中への直接的な抗体の注入によって抗体を投与することもできる。さらに、標的薬物送達系中で、例えば、関節もしくは免疫病理を特徴とする病原誘発性病変を標的とする、組織特異的抗体でコーティングされたリポソーム中で抗体を投与することもできる。リポソームは、罹患組織を標的とし、選択的に取り上げられるであろう。
【0133】
治療のための投与方法を選択することは、存在物の血清中もしくは組織中の回転率、症状のレベル、存在物の免疫原性、および生物学的マトリックス中の標的細胞への接近性を含む幾つかの因子に左右される。好ましくは、投与方法は、許容可能な副作用のレベルと調和して患者へ送達される治療量を最高化する。したがって、送達される生物学的量は、一部には特定の実体および治療される状態の重症度に左右される。抗体、サイトカイン、および小分子の適切な用量を選択する際のガイダンスは入手できる(例えば、Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy,Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire,UK;Kresina(ed.)(1991)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis,Marcel Dekker,New York,NY;Bach(ed.)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases,Marcel Dekker,New York,NY;Baertら、(2003)New Engl.J.Med.348:601−608;Milgromら、(1999)New Engl.J.Med.341:1966−1973;Slamonら、(2001)New Engl.J.Med.344:783−792;Beniaminovitzら、(2000)New Engl.J.Med.342:613−619;Ghoshら、(2003)New Engl.J.Med.348:24−32;Lipskyら、(2000)New Engl.J.Med.343:1594−1602を参照されたい)。
【0134】
適切な用量は、医師によって、例えば治療に影響を及ぼすと当該技術分野において公知もしくは疑われている、または治療に影響を及ぼすと予想されるパラメータもしくは因子を用いて決定される。一般に、用量は最適用量より幾らか少ない量で開始され、任意の有害な副作用に比較して、所望もしくは最適作用が達成されるまでその後は少しずつ増加される。重要な診断尺度には、例えば炎症の症状または産生した炎症性サイトカインのレベルの尺度が含まれる。好ましくは、使用される生物製剤は、治療の標的とされる動物と同一種由来であり、それによって試薬への炎症性、自己免疫性、もしくは増殖性反応が最小限に抑えられる。
【0135】
抗体、抗体フラグメント、およびサイトカインは、持続注入によって、または、例えば1日、1週間の間隔をあけて、または週に1〜7回にわたる投与によって提供することができる。投与は、静脈内、皮下、局所、経口、鼻腔、直腸、筋肉内、脳室内、脊髄内、または吸入によって提供され得る。好ましい投与プロトコールは、重大な望ましくない副作用を回避する最高用量または投与頻度を含むプロトコールである。好ましい総週用量は、一般的には少なくとも0.05μg/kg(体重)、より一般的には少なくとも0.2μg/kg、最も一般的には少なくとも0.5μg/kg、典型的には少なくとも1μg/kg、より典型的には少なくとも10μg/kg、最も典型的には少なくとも100μg/kg、好ましくは少なくとも0.2mg/kg、より好ましくは少なくとも1.0mg/kg、最も好ましくは少なくとも2.0mg/kg、最適には少なくとも10mg/kg、より最適には少なくとも25mg/kg、および最も最適には少なくとも50mg/kgである(例えば、Yangら、(2003)New Engl.J.Med.349:427−434;Heroldら、(2002)New Engl.J.Med.346:1692−1698;Liuら、(1999)J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451−456;Portieljiら、(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:133−144を参照されたい)。所望の用量の小分子治療薬、例えばペプチドミメティック、天然生成物、もしくは有機化学物質は、モル/kgベースで、抗体もしくはポリペプチドについてとほぼ同一である。
【0136】
本明細書で使用する用語「阻害する」もしくは「治療する」もしくは「治療」は、自己免疫疾患もしくは病原誘発性病理に関連する症状の発生の遅延および/または発生するであろう、もしくは発生すると予想されるそのような症状の重症度の減少が含まれる。これらの用語は、現在ある制御されない、もしくは望ましくない自己免疫関連性もしくは病原誘発性免疫病理症状を緩和すること、追加の症状を予防すること、そしてそのような症状の基礎にある原因を緩和もしくは予防することをさらに含んでいる。そこでこれらの用語は、炎症疾患を有する脊椎動物対象に有益な結果が付与されていることを意味している。
【0137】
本明細書で使用する用語「治療有効量」もしくは「有効量」は、単独で、または追加の治療薬と組み合わせて細胞、組織、もしくは対象に投与されると、自己免疫関連性もしくは病原誘発性免疫病理関連性疾患もしくは状態または疾患の進行を予防もしくは緩和するために有効である抗TSLP抗体もしくはそのフラグメントの量を意味する。治療有効量は、症状の緩和、例えば、関連する医学的状態の治療、治癒、予防もしくは緩和、またはそのような状態の治療、治癒、予防もしくは緩和の速度の増加を生じさせるために十分な化合物の量をさらに意味する。単独で投与される個々の有効成分に適用した場合は、治療有効量は、その成分単独に関する。組み合わせに使用した場合は、治療有効量は、組み合わせて、連続して、または同時のいずれで投与されても、治療作用を生じさせる有効成分の結合量を意味する。治療有効量は、典型的には少なくとも10%;通常は少なくとも20%;好ましくは少なくとも約30%;より好ましくは少なくとも40%;および最も好ましくは少なくとも50%症状を減少させるであろう。
【0138】
第2治療薬、例えば、サイトカイン、ステロイド、化学療法薬、抗生物質、もしくは放射線を用いて共投与もしくは共治療するための方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Hardmanら、(eds.)(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th ed.,McGraw−Hill,New York,NY;Poole and Peterson(eds.)(2001)Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach,Lippincott,Williams & Wilkins,Phila.,PA;Chabner and Longo(eds.)(2001)Cancer Chemotherapy and Biotherapy,Lippincott,Williams & Wilkins,Phila.,PAを参照されたい。本発明の医薬組成物は、他の免疫抑制薬もしくは免疫調節薬をさらに含有し得る。抗炎症薬、コルチコステロイド、シクロスポリン、タクロリムス、(すなわち、FK−506)、シロリムス、インターフェロン、可溶性サイトカイン受容体(例、sTNRFおよびsIL−1R)、サイトカイン活性を中和する薬剤(例、インフリキシマブ、エタネルセプト)、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、サリドマイド、グラチラマー、アザチオプリン、レフルノミド、シクロホスファミド、メトトレキセートなどを含むがそれらに限定されない任意の適切な免疫抑制薬を使用できる。本医薬組成物は、例えば光線療法および放射線などの他の治療様式とともに使用することもできる。
【0139】
典型的な獣医学的、実験用、もしくは研究用対象には、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ウマ、およびヒトが含まれる。
VII.抗体の生成
本発明の抗体の組み換え産生のためには、2本の鎖をコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のための1つ以上の複製可能なベクター内に挿入される。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来方法を用いて(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子へ特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定される。多数のベクターを利用できる。ベクター成分には、一般に、以下の:シグナル配列、複製起源、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列のうちの1つ以上が含まれるがそれらに限定されない。1つの実施形態では、本発明のヒト化抗TSLP抗体の軽鎖および重鎖の両方が同一ベクターから、例えばプラスミドもしくはアデノウイルスベクターから発現させられる。
【0140】
本発明の抗体は、当該技術分野において公知の任意の方法によって生成できる。1つの実施形態では、抗体は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚腎臓(HEK)293細胞、マウス骨髄腫NSO細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、Spodoptera frugiperda卵巣(Sf9)細胞などの、培養中の哺乳動物もしくは昆虫細胞中で発現させられる。1つの実施形態では、CHO細胞から分泌された抗体が回収され、例えばプロテインA、カチオン交換、アニオン交換、疎水性相互作用、およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの標準クロマトグラフィー法によって精製される。結果として生じる抗体は、濃縮され、20mM酢酸ナトリウム(pH5.5)中に保存される。
【0141】
また別の実施形態では、本発明の抗体は、国際公開第2005/040395号パンフレットに記載された方法によって酵母中で生成される。手短には、当該の抗体の個々の軽鎖もしくは重鎖をコードするベクターは相違する酵母ハプロイド細胞、例えば相違する交配タイプの酵母であるピチア・パストリス(Pichia pastoris)内に導入されるが、この酵母ハプロイド細胞は任意に相補的栄養要求体である。形質転換されたハプロイド酵母細胞は、次に重鎖および軽鎖両方を生成できる2倍体酵母細胞を生じさせるために交配もしくは融合させることができる。2倍体菌株は、次に、完全に組み立てられた生物活性抗体を分泌することができる。2本の鎖の相対発現レベルは、例えば、相違するコピー数を備えるベクターを用いて、相違する強度の転写プロモーターを用いて、または1本もしくは2本の鎖をコードする遺伝子の転写を駆動する誘導可能なプロモーターから発現を誘導することによって最適化できる。
【0142】
1つの実施形態では、抗TSLP抗体の各重鎖および軽鎖は、複数の軽鎖を発現する1つの交配タイプのハプロイド酵母菌株のライブラリー、および複数の重鎖を発現する相違する交配タイプのハプロイド酵母菌株のライブラリーを作製するために、酵母ハプロイド細胞内に導入される。これらのハプロイド菌株のライブラリーは、交配(またはスフェロプラストとして融合)させて、様々な可能性のある配列の軽鎖および重鎖からなる抗体のコンビナトリアルライブラリーを発現する一連の2倍体酵母細胞を生成することができる。抗体のコンビナトリアルライブラリーは次に、抗体のいずれがオリジナルの抗体の特性より優れた(例えば、TSLPに対するより高い親和性)特性を有するかどうかを決定するためにスクリーニングすることができる。例えば、国際公開第2005/040395号パンフレットを参照されたい。
【0143】
また別の実施形態では、本発明の抗体は、1つの抗体可変ドメインの部分がおよそ13kDaの分子量のポリペプチド中で連結しているヒトドメイン抗体である。例えば、米国特許出願公開第2004/0110941号パンフレットを参照されたい。そのような単一ドメインの低分子量物質は、合成の容易さ、安定性、および投与経路に関して数多くの利点を提供する。
VIII.使用
本発明は、炎症性疾患を治療および診断するための組み換え抗TSLPを使用するための方法を提供する。
【0144】
好ましい実施形態では、炎症性疾患は、喘息である。
【0145】
また別の好ましい実施形態では、炎症性疾患は、アレルギー性炎症性疾患である。1つの好ましい実施形態では、アレルギー性炎症性疾患は、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎である。
【0146】
本発明は、線維症、炎症性腸疾患、ホジキンリンパ腫、呼吸器ウイルス感染症もしくは他のウイルス感染症、関節リウマチ、または傷害部位での炎症を特徴とする他の疾患を治療および診断するために組み換え抗TSLPを使用するための方法を提供する。
【0147】
本発明の広い範囲は、特定の実施形態へ本発明を限定することは意図していない以下の実施例を参照すると最もよく理解される。
【0148】
本明細書におけるすべての引用は、各個別刊行物もしくは特許出願が詳細に、そして個別に参考として援用されると示されているのと同程度に参考として援用される。
【0149】
本発明の多数の変更および変形は、当業者には明白であるように、その精神および範囲から逸脱せずに加えることができる。本明細書に記載した特定の実施形態は例示するためにのみ提供されており、本発明は添付の特許請求項の用語と、そのような請求項に与えられる等価物の全範囲とだけによって限定される;そして本発明は、例示によって本明細書に提示してきた特定の実施形態によって限定されてはならない。
【実施例】
【0150】
(実施例1)
一般的方法
分子生物学の標準の方法は記載されている(Maniatisら、(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Wu(1993)Recombinant DNA,Vol.217,Academic Press,San Diego,CA)。標準の方法は、さらにまた細菌細胞中でのクローニングおよびDNA突然変異誘発(第1巻)、哺乳動物細胞および酵母中でのクローニング(第2巻)、複合糖質およびタンパク質発現(第3巻)、およびバイオインフォーマティクス(第4巻)について記載しているAusbelら、(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vols.1−4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NYに登場している。
【0151】
免疫沈降法、クロマトグラフィー、電気泳動法、遠心分離、および結晶化を含むタンパク質精製のための方法は記載されている(Coliganら、(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の生成、タンパク質のグリコシル化については記載されている(例えば、Coliganら、(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.2,John Wiley and Sons,Inc.,New York;Ausubelら、(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc,NY,NY,pp.16.0.5−16.22.17;Sigma−Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research,St.Louis,MO;pp.45−89;Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory,Piscataway,N.J.,pp.384−391を参照されたい)。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の生成、精製、およびフラグメント化は記載されている(Coliganら、(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York;Harlow and Lane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Harlow and Lane、上記)。リガンド/受容体相互作用を特徴付けるための標準技術を利用できる(例えば、Coliganら、(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照されたい)。
【0152】
蛍光活性化セルソーティング(FACS)を含むフローサイトメトリー法を利用できる(例えば、Owensら、(1994)Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan(2001)Flow Cytometry,2nd ed.;Wiley−Liss,Hoboken,NJ;Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照されたい)。例えば診断用試薬として使用するための核酸プライマーおよびプローブを含む核酸、ポリペプチド、ならびに抗体を修飾するために適切な蛍光試薬を利用できる(Molecular Probes(2003)Catalogue,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma−Aldrich(2003)Catalogue,St.Louis,MO)。
【0153】
免疫系の組織学の標準の方法は、記載されている(例えば、Muller−Harmelink(ed.)(1986)Human Thymus:Histopathology and Pathology,Springer Verlag,New York,NY;Hiattら、(2000)Color Atlas of Histology,Lippincott,Williams,and Wilkins,Phila,PA;Louisら、(2002)Basic Histology:Text and Atlas,McGraw−Hill,New York,NYを参照されたい)。
【0154】
例えば、抗原フラグメント、リーダー配列、タンパク質折り畳み、機能的ドメイン、グリコシル化部位、および配列アライメントを決定するためのソフトウエアパッケージおよびデータベースは、利用できる(例えば、GenBank,Vector NTI(登録商標)Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,Nevada);Menneら、(2000)Bioinformatics 16:741−742;Menneら、(2000)Bioinformatics Applications Note 16:741−742;Wrenら、(2002)Comput.Methods Programs Biomed.68:177−181;von Heijne(1983)Eur.J.Biochem.133:17−21;von Heijne(1986)Nucleic Acids Res.14:4683−4690を参照されたい)。
(実施例2)
抗ヒトTSLP抗体のヒト化
ラット抗ヒトTSLP抗体23B12は、特許預託名称「PTA−7951」でアメリカンタイプカルチャーコレクション(「ATCC」)(バージニア州マナッサス)に預託されたハイブリドーマによって生成される。ラット抗ヒトTSLP抗体23B12のヒト化は、本質的には、参考として本明細書中に援用されるPCT国際公開第2005/047324号パンフレットおよび第2005/047326号パンフレットに記載されたように実施した。
【0155】
抗TSLPモノクローナル抗体(23B12)の可変軽鎖および重鎖ドメインをクローニングし、それぞれ各々ヒトκ軽鎖(CLドメイン)およびヒトIgG1重鎖(CH1−ヒンジ−CH2−CH3)へ融合させた。
【0156】
非ヒトVHドメインのアミノ酸配列は、1群の3つのヒトVH生殖細胞系列アミノ酸配列と比較した;1つずつがサブグループIGHV1、IGHV3およびIGHV4各々を代表する。VHサブグループは、M.−P.Lefranc,“Nomenclature of the Human Immunoglobulin Heavy(IGH)Genes”,Experimental and Clinical Immunogenetics,18:100−116,2001に列挙されている。ラット23B12抗体は、サブグループVH1におけるヒト重鎖生殖細胞系列DP−14に対して最高値を記録した。
【0157】
ラット23B12抗体については、VL配列は、VLのκサブクラスの配列であった。非ヒトVLドメインのアミノ酸配列を1群の4つのヒトVLκ生殖細胞系列アミノ酸配列と比較した。4つの群は、V.Barbie & M.−P.Lefranc,“The Human Immunoglobulin Kappa Variable(IGKV)Genes and Joining(IGKJ)Segments”,Experimental and Clinical Immunogenetics,15:171−183,1998 and M.−P.Lefranc,“Nomenclature of the Human Immunoglobulin Kappa(IGK)Genes”,Experimental and Clinical Immunogenetics,18:161−174,2001に列挙された4つの確立されたヒトVLサブグループの各々の代表から構成される。4つのサブグループはKabatら、“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242,5th Ed.,1991,pp.103−130に列挙された4つのサブグループにも対応する。ラット23B12抗体は、サブグループVLkIIIにおけるヒト軽鎖生殖細胞系列Z−A27に対して最高値を記録した。
【0158】
可変重鎖および軽鎖の標的アミノ酸配列が決定されると、全長ヒト化抗体をコードするプラスミドが生成された。VH1 DP−14生殖細胞系列フレームワークを有するヒト化抗IL−23抗体をコードするプラスミドおよびVLkIII Z−A27生殖細胞系列フレームワークを有するヒト化抗IGFR抗体をコードする別個のプラスミドから始めて、これらのプラスミドは、標的ヒト化23B12配列に対するDNA配列を変化させるためにKunkel突然変異誘発(例えば、Kunkel T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 82:488−492を参照されたい)を使用して変化させた。同時に、潜在的に最適な発現を提供するためにコドンの最適化を変化の中に組み込んだ。ヒト化重鎖および軽鎖可変アミノ酸配列は、配列番号10および12に規定した。全長ヒト化重鎖および軽鎖アミノ酸配列は、配列番号14および16に規定した。軽鎖の変異体もまた作製したが、このときこの変異体は配列番号12または配列番号16のアミノ酸位置49で(Yではなく)Kを含んでいた。
【0159】
(実施例3)
KinExA技術を用いたヒト化抗ヒトTSLPについての平衡解離定数(K)の決定
平衡解離定数(K)は、KinExA 3000機器(Sapidyne Instruments社、www.sapidyne.com)を用いて決定した。KinExAは、抗体、抗原および抗体−抗原複合体の混合物中での非複合化抗体の濃度の測定に基づく動的除外アッセイ法(Kinetic Exclusion Assay method)の原理を使用する。遊離抗体の濃度は、この混合物を極めて短い時間にわたって固相固定化抗原へ曝露させることによって測定する。実施においては、これはフローセル内に捕捉された抗原コーティング粒子を越えて液相抗原−抗体混合物を流動させることによって遂行する。機器によって生成されたデータは、特注ソフトウエアによって分析する。平衡定数は、下記の前提条件に基づいて数学理論を用いて計算する:
1.結合は、平衡についての可逆性結合方程式に従う:
on[Ab][Ag]=koff[AbAg]
2.抗体および抗原は1:1で結合し、全抗体は抗原−抗体複合体+遊離抗体に等しい。
3.機器シグナルは、遊離抗体濃度に対して直線性を有する。
材料
抗体:
ラット抗huTSLP mAb 23B12.H8.A4(SPBロット番号PAB330)
ラット抗huTSLP mAb 23B12.H8.A4(SPBロット番号PAB330A)
ヒト化抗huTSLP mAb 23B12(VL Y49)
ヒト化抗huTSLP mAb 23B12(VL K49)
ヒト化抗huTSLP mAb 23B12(VL Y49)
抗原:
組み換えヒトTSLP(SPBロット番号P345)
組み換えヒトTSLP(SPBロット番号P367)
組み換えヒトTSLP(R&D社、カタログ番号1398−TS/CF、ロット番号IDK015031)
ビオチン化抗原:
ビオチン化ヒトTSLP(SPBロット番号p367AC)
ビオチン化ヒトTSLP(SPBロット番号p367AA)
ビオチン化ヒトTSLP(SPBロット番号p38ABMA)
その他の試薬:
PMMA粒子、98ミクロン(Sapidyne社、カタログ番号440198)
Neutravidin(Pierce社、カタログ番号31000)
Cy5コンジュゲート化ヤギ抗ラットIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch Laboratories、カタログ番号112−175−167、ロット番号60306)
Cy5コンジュゲート化ヤギ抗HuIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch Laboratories、カタログ番号109−175−088、ロット番号49069およびロット番号58552)
実験条件:
PMMA粒子は、Sapidyne“Protocol for coating PMMA particles with biotinylated ligands having short or nonexistent linker arms”にしたがってビオチン化ヒトTSLPを用いてコーティングした。全実験方法は、KinExA 3000のマニュアルにしたがって実施した。全ランは、2回ずつ実施した。
【0160】
ラット抗huTSLP mAb 23B12.H8.A4(SPBロット番号PAB330)に対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:2mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
抗体濃度:0.1nM
最高抗原濃度:10nM
最低抗原濃度:10pM
ラット抗huTSLP mAb 23B12.H8.A4(SPBロット番号PAB330A)に対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:4mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
抗体濃度:0.05nM
最高抗原濃度:0.5nM
最低抗原濃度:0.5pM
ヒト化抗huTSLP mAbに対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:2mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
抗体濃度:0.02nM
最高抗原濃度:0.2nM
最低抗原濃度:0.2pM
抗原の2倍連続希釈液を調製し、一定濃度で抗体と混合した。この混合液を平衡させるために25℃で2時間にわたりインキュベートした。
【0161】
表4は、KinExA分析の結果を示している。
【0162】
【表4】

(実施例4)
ELISAを用いてヒト化抗ヒトTSLPについてのEC50を決定する
ELISAは、ハイブリドーマ上清から精製したラット23B12またはアデノウイルス由来ヒトTSLP(S−P Biopharma社)もしくは大腸菌由来ヒトTSLP(S−P BiopharmaまたはR&D社、1398−TS)のいずれかへ結合する組み換えヒト化23B12 IgG1のEC50を測定する。
【0163】
材料:
Nunc Maxisorb 96ウエルImmunoplate cert.(Nunc社、製品番号439454)
0×リン酸緩衝食塩液(PBS)(pH7.4)(Fisher社、製品番号BP399−20)
20× Tris緩衝食塩液(TBS)(pH7.4)(Technova社、製品番号1680)
Tween−20、酵素グレード(Fisher社、製品番号BP337−500)
500mMのEDTA(Technova社、製品番号E0306)
アルブミン、ウシ血清RIAグレード(Sigma社、製品番号A7888)
コーティングバッファー:100μL/ウエルでのPBS中の1μg/mL(TSLP)
検出試薬:
HRP−F(ab)’2ヤギ抗ヒトIgG H+L(Jackson社、製品番号109−036−088)
HRP−F(ab)’2ヤギ抗ラットIgG H+L(Jackson社、製品番号112−032−072)
基質および停止液:
TMBマイクロウエルペルオキシダーゼ基質系2C(Kirkegaard & Perry Labs社、製品番号50−76−00)1:1;1MのHPO 0.1mL/ウエル
ABTS(Kirkegaard & Perry Labs社、製品番号50−66−06)100μL/ウエル
ABTSペルオキシダーゼ停止液(Kirkegaard & Perry Labs社、製品番号50−085−02)MIlli−Q水中で5×濃縮希釈剤1:5、100μL/ウエル
ELISA希釈剤およびアッセイバッファー:
50mMのTBSもしくはPBS;0.5%のBSA;0.05%のTween−20;4mMのEDTA
ELISA洗浄バッファー:
50mMのTBSもしくはPBS;0.05%のTween−20;4mMのEDTA
装置:
Skatron Scanwasher300(商標)
Molecular Devices VersaMax(商標)マイクロプレートリーダー
プロトコール
プレートのコーティングは、次のように実施した:PBS中のTSLP(100または200ng/ウエル)は4℃で一晩インキュベートした。プレートはSkatronプレート洗浄器上で1サイクル(4回の洗浄/サイクル)で洗浄し、0.2mL/ウエルのELISAアッセイバッファーの添加によってブロックし、25℃でオービタルシェーカー上で60分間にわたりインキュベートし、次に1サイクルにわたり洗浄した。抗体を次に、連続3倍の希釈を用いて1000ng/mL〜0.4572ng/mLの範囲内で1列8個のウエルにわたって滴定し、25℃でオービタルシェーカー上で90分間にわたりインキュベートした。プレートを1サイクルにわたり洗浄し、HRP−ヤギF(ab’)抗ヒトまたは抗ラットIgG(H+L)(1:5,000の希釈率)を0.1mL/ウエルで加え、25℃でオービタルシェーカー上で60分間にわたりインキュベートした。プレートは、サイクル間でプレート回転を行いながら2サイクルにわたり洗浄した。TMBもしくはABTS基質を0.1mL/ウエルで加え、オービタルシェーカー上で5分間にわたりインキュベートした。次に停止液を0.1mL/ウエルで加え、プレートをA450−570nm(TMB)またはA405nm(ABTS)で読み取った。
【0164】
表5は、ELISA分析の結果を示している。
【0165】
【表5−1】

【0166】
【表5−2】

(実施例5)
ヒトおよびcynoTSLPに対するラット23B12およびヒト化23B12抗体の親和性
ヒト(hu)およびカニクイザル(cyno)(cynomolgus monkey)TSLPの両方に対する親ラットおよびそのヒト化誘導体である抗ヒトTSLP抗体23B12の動的結合活性は、BIAcore T100システム(BIAcore AB社、スウェーデン国ウプサラ)を用いた表面プラズモン共鳴法によって測定した。およそ100RUのヒトTSLPもしくはcynoTSLPを、アミン結合化学反応によってSensor Chip CM5(研究用グレード、BR−1006−68)上へ固定化した。HBS−EPバッファー(BR−1006−69)を30μL/分の流量でのランニングバッファーとして使用した。0.82〜600nMの範囲内の様々な濃度のラットおよびヒト化23B12抗体を固定化したhuまたはcynoTSLP表面の上方に30μL/分の流量で注入した。各注入サイクル後、CM5チップ表面は、75μL/分の流量で一連の溶液(各々、10mMのGlycine(pH1.5)および25mMのNaOH)を用いて再生させた。
【0167】
バックグラウンド減算結合センサーグラムを使用して結合(ka)および解離(kd)の速度定数、ならびに平衡解離定数Kについて分析した。結果として生じたデータセットは、BIAevaluationソフトウエア(バージョン1.0)を用いて二価分析物モデルに当てはめた。ヒトTSLPに対する親ラット23B12抗体について決定されたKは64pMであったが、cynoTSLPリガンドに対する各数値は86pM(表6)であった。ヒトTSLPに対するヒト化23B12抗体について決定されたKは111pMであったが、cynoTSLPリガンドに対する各数値は132pMであり(表6)、これは23B12 mAbのヒト化後の2倍未満の親和性消失を示していた。
【0168】
【表6】

(実施例6)
中和抗TSLP抗体を評価するための増殖バイオアッセイ
モノクローナル抗体がTSLPを生物学的に中和する能力を、組み換えTSLP受容体を発現する細胞を利用する短期間増殖バイオアッセイの適用によって評価した。形質転換体であるBa/F3−TSLPR−IL7Ra細胞はTSLPに応答して増殖したが、この応答は中和抗TSLP抗体によって阻害できた。各抗体は、TSLP用量反応曲線の線形領域内である、ほぼ水平域かつTSLP EC50の上方で選択したTSLPの濃度に対して滴定した。増殖、またはその欠如は、代謝活性の検出に基づく増殖指示染料であるAlamar Blueを用いる比色手段によって測定した。抗体がTSLPを中和する能力は、そのEC50値、またはTSLP増殖の半最大阻害を誘導する抗体の濃度によって評価した。
【0169】
Ba/F3形質転換体は、RPMI−1640培地、10%ウシ胎児血清、50μMの2−メルカプトエタノール、2mMのL−グルタミン、50μg/mLのペニシリン−ストレプトマイシン、および10ng/mLのマウスIL−3中で維持した。
【0170】
Ba/F3増殖バイオアッセイは、RPMI−1640培地、10%ウシ胎児血清、50μMの2−メルカプトエタノール、2mMのL−グルタミン、50μg/mLのペニシリン−ストレプトマイシン中で実施した。
【0171】
本アッセイは、96ウエル平底プレート(Falcon 3072または類似の)内で実施した。試薬および細胞懸濁液の全調製物は、適切なバイオアッセイ培地を利用した。アッセイ量は、1ウエルに付き150μLであった。抗TSLP抗体の滴定は室温で30〜60分間にわたりTSLPを用いてプレインキュベートしたが、その間に細胞が調製された。細胞は、抗体−サイトカインプレインキュベーション後にプレートに加えた。バイオアッセイプレートは、40〜48時間にわたり加湿組織培養チャンバー(37℃、5%のCO)中でインキュベートした。培養時間の終了時に、Alamar Blue(Biosource社カタログ番号DAL1100)を加え、8〜12時間にわたり染色した。次に吸光度を570nmおよび600nmで読み取り(VERSAmax Microplate Reader、Molecular Probes社)、OD570−600を得た。2回ずつまたは3回ずつが推奨される。
【0172】
細胞は、概して3〜8×10/mLの密度で、健常な増殖状態で使用した。細胞は、計数し、ペレット化し、バイオアッセイ培地中で2回洗浄し、そしてプレーティングのために適切な密度へ懸濁させた。
【0173】
TSLPは、作業濃度に調製し、75μLで第1ウエルに加えた。1:3の連続希釈液は、50μL/ウエルを残して、全ウエルにわたってバイオアッセイ培地中で25:50μLに滴定することによって作製した。細胞は、1ウエル当たり100μLでプレーティングするための適切な密度へ懸濁させた。
【0174】
抗体は、作業濃度に調製し、75μLで第1ウエルに加えた。1:3の連続希釈液は、50μL/ウエルを残して、全ウエルにわたってバイオアッセイ培地中で25:50μLに滴定することによって作製した。適切な濃度のTSLPを、滴定した抗体を含有するウエルへ1ウエル当たり50μLで加えた。細胞は、1ウエル当たり50μLでプレーティングするための適切な密度に懸濁させ、さらに抗体−サイトカインのプレインキュベーション後に加えた。
【0175】
GraphPad Prism 3.0ソフトウエアを用いて、吸光度をサイトカインもしくは抗体の濃度に対してプロットし、EC50値はシグモイド用量反応曲線の非線形回帰(曲線の当てはめ)を用いて決定した。
【0176】
アッセイ結果は、表7に示した。
【0177】
【表7】

(実施例7)
ヒト一次樹状細胞によるTSLP誘導性TARC産生に抗TSLP mAb r23B12が及ぼす中和活性
末梢血単核球(PBMC)は、Ficoll遠心分離によって健常血液ドナー(スタンフォード医科大学血液センター、カリフォルニア州スタンフォード)から入手したバフィーコートから単離し、CD11c樹状細胞は、負の選択を用いたMACS(Miltenyi Biotech社、カリフォルニア州オーバーン)後のFACSを用いたセルソーティングによって入手した。Lin(Lineage negative)細胞は、マウス抗ヒトCD3 mAb(OKT3、DNAX)およびマウス抗CD 16mAbおよびヤギ抗マウスIgGコーティング磁気ビーズ(Miltenyi Biotech社)を用いて、ならびに抗CD19、CD56およびCD14 mAbを直接コーティングした磁気ビーズ(Miltenyi Biotech社)を用いて、T細胞、B細胞、NK細胞、赤血球および単球形PBMCのMACS欠失によって入手した。引き続いて、Lin細胞は、TC−抗−CD4(Caltag社、カリフォルニア州バーリンゲーム、CA)、PE−抗−CD11cおよびFITC−抗−CD3、−CD14、−CD19、−CD56、−CD16、および−CD20(全部がBD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて染色し、CD11c DCはCD11c CD4 Lin細胞の>99%の純度までVantage FACsorter(商標)(BD Biosciences社)上でソーティングした。
【0178】
CD11c CD4 DCは、10%のFCSおよび1%のピルビン酸塩(Mediatech社)、HEPES(Invitrogen社、ニューヨーク州グランドアイランド)およびペニシリン−ストレプトマイシン(Mediatech社)を含有するRPMI(Mediatech社、バージニア州ハーンドン)中でのソーティング直後に培養した。細胞は、培地単独、TSLP(15ng/mL、DNAX)、またはTSLPと中和抗TSLP mAb(クローン23B12)もしくは抗TSLPRモノクローナル抗体もしくはアイソタイプコントロールのラットIgG2a(R&D Systems社、ミネソタ州ミネアポリス)との組み合わせの存在下で、平底96ウエルプレート中において0.5×10/mLで播種した。DC培養上清は24時間の培養後に収集し、−20℃で冷凍保存し、ELISA(R&D Systems社)によってTARCタンパク質レベルについて分析した。
【0179】
結果は、表8に提供した。
【0180】
【表8】

培地単独中で培養したCD11c DCは、有意なレベルのTARCを生成しなかった。CD11c DCへのTSLP(15ng/mL)の添加は、約1,500pg/mLまでの有意なレベルのTARC生成を誘導した。TARCのこのTSLP媒介性誘導は、抗TSLP mAb 23B12の同時添加によって用量依存性の方法でブロックされた。
【0181】
(実施例8)
ヒト一次樹状細胞によるTSLP誘導性Th2分化に抗TSLP mAb r23B12が及ぼす中和活性
末梢血単核球(PBMC)は、Ficoll遠心分離によって健常血液ドナー(スタンフォード医科大学血液センター、カリフォルニア州スタンフォード)から入手したバフィーコートから単離し、CD11c樹状細胞は、負の選択を用いたMACS(Miltenyi Biotech社、カリフォルニア州オーバーン)後のFACSを用いたセルソーティングによって入手した。Lin(Lineage negative)細胞は、マウス抗ヒトCD3 mAb(OKT3、DNAX)およびマウス抗CD16 mAbおよびヤギ抗マウスIgGコーティング磁気ビーズ(Miltenyi Biotech社)を用いて、ならびに抗CD19、CD56およびCD14 mAbを直接コーティングした磁気ビーズ(Miltenyi Biotech社)を用いて、T細胞、B細胞、NK細胞、赤血球および単球形PBMCのMACS欠失によって入手した。引き続いて、Lin細胞は、TC−抗−CD4(Caltag社、カリフォルニア州バーリンゲーム)、PE−抗−CD11cおよびFITC−抗−CD3、−CD14、−CD19、−CD56、−CD16、および−CD20(全部がBD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて染色し、CD11c DCはCD11c CD4 Lin細胞の>99%の純度までVantage FACsorter(商標)(BD Biosciences社)上でソーティングした。
【0182】
CD11c CD4 DCは、10%のFCSおよび1%のピルビン酸塩(Mediatech社)、HEPES(Invitrogen社、ニューヨーク州グランドアイランド)およびペニシリン−ストレプトマイシン(Mediatech社)を含有するRPMI(Mediatech社、バージニア州ハーンドン)中でのソーティング直後に培養した。細胞は、培地単独、TSLP(15ng/mL、DNAX)、またはTSLPと中和抗TSLP mAb(クローン23B12)もしくは抗TSLPRモノクローナル抗体もしくはアイソタイプコントロールのラットIgG2a(R&D Systems社、ミネソタ州ミネアポリス)との組み合わせの存在下で、平底96ウエルプレート中において0.5×10/mLで播種した。CD11c DCは、様々な条件下での24時間の培養後に収集し、2回洗浄し、同種異系CD4 CD45RA ナイーブT細胞とともに再培養した。
【0183】
CD4 CD45RAナイーブT細胞は、磁気ビーズ(Myltenyi Biotech社)を用いてCD8、CD16、CD20、CD19、CD56およびCD14細胞の陰性欠失(negative Depletion)後のセルソーティングによって単離した。様々な条件下での24時間の培養後に、CD11c DCを収集し、2回洗浄し、1:5のDC:T細胞比で丸底96ウエルプレート中において5×10同種異系ナイーブCD4 T細胞と共培養した。6日間の培養後、上清を収集し、−20℃で冷凍し、生存細胞の数はトリパンブルー排除によって決定した。それらがサイトカインを分泌する能力を試験するために、DCでプライミングしたCD4 T細胞(10/mL)は可溶性抗CD28 mAb(1,000ng/mL)の存在下でストレプトアビジンをコーティングした組織培養皿へ架橋結合させたビオチン化抗CD3(10ng/mL)mAbで再刺激した。培養上清を培養24時間後に収集し、−20℃で冷凍した、またはIFNγ−、TNFα−、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10およびIL−13についてのLuminexアッセイ(Linco Research社、ミズーリ州セントチャールズ)によって分析した。
【0184】
結果は、表9に提供した。
【0185】
【表9】

ナイーブCD4 CD45RA T細胞と、培地単独中で培養されていたCD11c DCとの共培養は、T細胞集団を生じさせ、これは抗CD3+抗CD28 mAbによって再活性化させると、低レベルのTh2サイトカインを産生した。一次CD11c DC培養へのTSLP(15ng/mL)の添加は、反応性T細胞による有意なレベルのIL−4、IL−5およびIL−13の産生を誘導し、これはTSLP−DCがTh2細胞に向けてのナイーブT細胞の分化を誘導することを示唆していた。Th2分化のこのTSLP媒介性誘導は、一次DC培養への抗TSLP mAb 23B12の同時添加によって用量依存方法でブロックされた。
【0186】
(実施例9)
抗ヒトTSLP抗体のcyno化
2例の試験は、カニクイザル(Macaca fascicularis)VLがヒトVLκ−Iと類似であること、そしてカニクイザルVHがヒトVH−III(41%)、VH−IV(39%)、およびVH−I(14%)と類似であることを証明している(Lewisら、Dev.Comp.Immunol.17:549−560(1993);およびDruarら、Immunogentics 57:730−738(2005)を参照されたい)。カニクイザルにおけるhu23B12の潜在的免疫原性を最小限に抑えるために、ラット23B12 CDRをヒトVLκ−IおよびVH−IIIフレームワーク上へ移した;これらを次にカニクイザルIgG定常ドメインに融合させた。
【0187】
cyno化軽鎖のアミノ酸配列は、
【0188】
【化9】

である。シグナル配列には下線が引かれている。
【0189】
cyno化重鎖のアミノ酸配列は、
【0190】
【化10】

である。シグナル配列には下線が引かれている。
【0191】
次にcyno化抗ヒトTSLP 23B12抗体をCHO細胞中で組み換え産生させた。
【0192】
(実施例10)
cyno化抗ヒトTSLP抗体の中和活性を評価するための増殖バイオアッセイ
cyno化抗ヒトTSLP 23B12抗体がヒトもしくはcynoTSLPを生物学的に中和する能力を、組み換えTSLP受容体を発現する細胞を利用する短期間増殖バイオアッセイの適用によって評価した。形質転換体であるBa/F3−huTSLPR/huIL−7RaおよびBa/F3−cyTSLPR/cyIL−7Ra細胞は、ヒトTSLPおよびcynoTSLPに応答して増殖したが、この応答は中和抗TSLP抗体によって阻害することができた。抗体は、TSLP用量反応曲線の線形領域内である、ほぼ水平域かつEC50の上方で選択したヒトまたはcynoTSLPの濃度に対して滴定した。増殖、またはその欠如は、代謝活性の検出に基づく増殖指示染料であるAlamar Blueを用いる比色手段によって測定した。抗体がTSLPを中和する能力は、そのEC50値、またはTSLP増殖の半最大阻害を誘導する抗体の濃度によって評価した。
【0193】
Ba/F3形質転換体は、RPMI−1640培地、10%ウシ胎児血清、50μMの2−メルカプトエタノール、2mMのL−グルタミン、50μg/mLのペニシリン−ストレプトマイシン、および10ng/mLのマウスIL−3、1mg/mLのG418、および2μg/mLのピューロマイシン中で維持した。
【0194】
Ba/F3増殖バイオアッセイは、RPMI−1640培地、10%ウシ胎児血清、50μMの2−メルカプトエタノール、2mMのL−グルタミン、50μg/mLのペニシリン−ストレプトマイシン中で実施した。
【0195】
本アッセイは、96ウエル平底プレート(Falcon 3072または類似の)内で実施した。試薬および細胞懸濁液の全調製物は、適切なバイオアッセイ培地を利用した。アッセイ量は、1ウエルに付き150μLであった。抗TSLP抗体の滴定は、huTSLPもしくはcyTSLPとともに室温でおよそ30分間にわたりプレインキュベートし、その間に細胞を調製した。細胞は、抗体−サイトカインのプレインキュベーション後にプレートに加えた。バイオアッセイプレートは、40〜48時間にわたり加湿組織培養チャンバー(37℃、5%のCO)中でインキュベートした。培養時間の終了時に、Alamar Blue(Biosource社、カタログ番号DAL1100)を16.5μL/ウエルで加え、5〜12時間にわたり染色した。次に吸光度を570nmおよび600nm(VERSAmax Microplate Reader、Molecular Devices社)で読み取り、OD570−600を得た。各サンプルについて2回ずつ実行した。
【0196】
細胞は、概して7〜9×10/mLの密度で、健常な増殖状態で使用した。細胞は、バイオアッセイ培地中で2回洗浄し、計数し、そして7,500細胞/50μL/ウエルでプレーティングするために適切な密度に懸濁させた。
【0197】
ヒトもしくはcynoTSLPは、作業濃度(600ng/mL)へ調製し、75μLで第1ウエルに加えた。1:3の連続希釈液は、50μL/ウエルを残して、全ウエルにわたってバイオアッセイ培地中で25:50μLに滴定することによって作製した。細胞は、1ウエル当たり7,500細胞/50μLでプレーティングするための適切な密度へ懸濁させた。抗体の添加に置換するために、50μLのバイオアッセイ培地をこれらのウエルに加え、最終量を150μLとした。
【0198】
抗体を作業濃度(最終濃度の3倍;各抗体の最終出発濃度は様々であった)へ調製し、75μLで第1ウエルに加えた。1:3の連続希釈液は、50μL/ウエルを残して、全ウエルにわたってバイオアッセイ培地中で25:50μLに滴定することによって作製した。TSLP(huTSLPに対しては9ng/mL、cyTSLPに対しては3ng/mLの作業濃度で)を、滴定抗体を含有するウエルへ50μL/ウエルで加えた。細胞は、次に7,500cells/50μL/ウエルでプレーティングするための適切な密度に懸濁し、さらに抗体−サイトカインのプレインキュベーション後に加えた。
【0199】
EC50値は、GraphPad Prism 4ソフトウエアを用いてシグモイド用量反応の非線形回帰(曲線の当てはめ)によって決定した。TSLP用量反応については、吸光度をサイトカイン濃度に対してプロットした。中和活性については、阻害率を抗体濃度に対してプロットした。
【0200】
アッセイ結果は、表10に示した。
【0201】
【表10】

(実施例11)
cyno化抗TSLP抗体に対するBIAcoreおよびKinEXAによる親和性測定
ヒトおよびcynoTSLPリガンドに対するcyno化抗ヒトTSLP 23B12抗体の親和性は、実施例5に記載したBIAcore T100システムを用いて表面プラズモン共鳴法によって決定した。
【0202】
抗TSLP抗体についての平衡解離定数は、実施例3に記載したKinExA 3000機器(Sapidyne Instrument社)を用いて決定した。
【0203】
以下の材料を使用した:
抗体:
ラット抗hTSLP GNE01.23B12.H8.A4(SPBロット番号pab330A)
ヒト化抗hTSLP mAb 23B12(621HC/780LC)
cyno化抗hTSLP mAb 23B12(782+MAFA19/781MAFA7)
cyno化抗hTSLP mAb 23B12(782+hIgG1/781huκ)
cyno化抗hTSLP mAb 23B12(huV−CynoCキメラ)
抗原:
組み換えヒトTSLP、R&D Systems社(カタログ番号1398−TS/CF、ロット番号IDK015031)
組み換えヒトTSLP、R&D Systems社(カタログ番号1398−TS、ロット番号IDK026031)
ビオチン化ヒトTSLP(SPB、ロット番号38ABMA)
その他の試薬:
PMMA粒子、98ミクロン(Sapidyne社、カタログ番号440198)
Neutravidin(Pierce社、カタログ番号31000)
Cy5コンジュゲート化ヤギ抗ラットIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch Laboratories社、カタログ番号112−175−167、ロット番号60306)
Cy5コンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch Laboratories社、カタログ番号109−175−088、ロット番号58552)
r23B12に対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:2mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
mAbの濃度:0.05nM
最高Ag(TSLP)濃度:0.5nM
最低Ag(TSLP)濃度:0.5pM
hu23B12に対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:2mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
mAbの濃度:0.02nM
最高Ag(TSLP)濃度:0.4nM
最低Ag(TSLP)濃度:0.4pM
cy23B12に対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:2mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
mAbの濃度:0.1nM
最高Ag(TSLP)濃度:1nM
最低Ag(TSLP)濃度:1pM
hu−cy23B12およびcy−hu23B12**に対しては、以下の条件を使用した:
サンプル量:2mL
サンプル流量:0.25mL/分
標識量:1mL
標識流量:0.25mL/分
mAbの濃度:0.05nM
最高Ag(TSLP)濃度:1nM
最低Ag(TSLP)濃度:1pM
全実験のために、抗原の2倍連続希釈液を調製し、一定濃度の抗体と混合した。この混合液を平衡させるために室温で2時間にわたりインキュベートした。上述したBIAcoreおよびKinEXA実験の結果は、表11にまとめた。
【0204】
【表11】

これらをまとめると、BIAcoreおよびKinExA測定に基づくと、ヒト化抗ヒトTSLP 23B12抗体は、親ラット抗体に比較しておよそ5倍減少した結合を示した(表11)。ヒト化23B12フレームワーク(VLκ−III/VH−I)をカニクイザルにおける潜在的に低免疫原性のフレームワーク(VLκ−I/VH−III)と置換すると、親ラット23B12と比較して結合の10倍の減少およびhu23B12に比較して5倍の減少をもたらした(表10、11)。
【0205】
(実施例12)
cyno化抗TSLP 23B12抗体の薬物動態学的試験
ELISAアッセイは、cyno化抗TSLP抗体を接種した動物の血漿、血清もしくは気管支肺胞洗浄液(BAL)に到達するcyno化抗TSLP抗体の量を測定するために設計した。
【0206】
試薬およびバッファー:
固体支持体:Nunc Maxisorp 96ウエルプレート(カタログ番号439454)
コーティングバッファー:50mM炭酸/重炭酸ナトリウム(pH9.6)
ブロッキングバッファー:PBS中の0.5%のBSA
アッセイ希釈バッファー:0.5%のBSA[wt/v]、0.05%のTween 20[v/v]、0.25%のCHAPS[wt/v]、5mMのEDTA、PBS(AD)中の0.35MのNaCl、pH7.4
洗浄バッファー:PBS中の0.05%のTween 20
捕捉分子:huTSLP、38ABM、2497μg/mL
検出分子:
・QED R799、3600μg/mL(ウサギポリクローナル抗cy23B12抗体)
・抗ウサギHRP、JIRカタログ番号711−036−152
基質:TMB(Kirkegaard & Perry社、カタログ番号50−76−03)
停止液:1MのHPO
プレート洗浄液:Skan Washer 300 Model 12010(Molecular Devices社、カタログ番号0200−3903)
停止液:SpectraMax Plus 384マイクロタイタープレート分光光度計(Molecular Devices社、製品番号0112−0056)
プロトコール:
プレートのコーティングは、次のように実施した:コーティングバッファー中のヒトTSLP(100ng/ウエル)を40℃で一晩インキュベートした。プレートはSkatronプレート洗浄器上で1サイクル(3回の洗浄/サイクル)で洗浄し、150μL/ウエルのブロッキングバッファーの添加によってブロックし、室温のオービタルシェーカー上で60分間にわたりインキュベートし、次に1サイクルにわたり洗浄した。cyno化抗TSLP 23B12抗体標準物質は、連続2倍希釈を用いて200ng/mL〜1.56ng/mLの範囲内で1列8個のウエルにわたって滴定した(反復)。サンプルは、それらの予想レベルに関して連続的に希釈した。100μLの標準物質、コントロール、およびサンプルをコーティングしたプレートに加え、室温で120分間にわたりオービタルシェーカー上でインキュベートした。プレートを2サイクルにわたり洗浄し、ウサギポリクローナル抗cy23B12抗体を100μL/ウエルで加え、室温のオービタルシェーカー上で60分間にわたりインキュベートした。プレートを2サイクルにわたり洗浄し、HRP−ロバ抗ウサギIgG(H+L)(1:10,000の希釈率)を100μL/ウエルで加え、室温のオービタルシェーカー上で60分間にわたりインキュベートした。プレートは、サイクル間でプレート回転を行いながら2サイクルにわたり洗浄した。TMB基質を100μL/ウエルで加え、オービタルシェーカー上でおよそ5分間にわたりインキュベートした。次に停止液を100μL/ウエルで加え、プレートをA450−650nm(TMB)で読み取った。
【0207】
このアッセイは、血漿(5%希釈液)および血清中で156ng/mLという;そしてBAL液中では3.2ng/mLという少ないcyno化抗TSLP抗体を検出することができる。
【0208】
このELISAアッセイを使用して、マウスおよびサルへの投与後のcyno化抗TSLP 23B12抗体の薬物動態を測定した。
【0209】
単回用量PK試験を正常CD−1マウスにおいて実施した。この試験では、10匹のマウスには静脈内(IV)投与によって10mg/kgの抗体を摂取させた;そして10匹のマウスは皮下(SC)投与によって10mg/kgの抗体を摂取した。本試験の結果は、表12にまとめた。
【0210】
【表12】

表13は、IVまたはSC投与後の様々な時点にBAL液対血清中で見いだされるcyno化抗TSLP抗体のパーセンテージをまとめている。
【0211】
【表13−1】

【0212】
【表13−2】

2例の単回投与PK試験をカニクイザルにおいても実施した。2例の試験はcyno化抗TSLP 23B12抗体の様々な調製物を使用した:1つは0.05%のTriton X−100を含有し、1つはTriton X−100を含有していなかった。各試験は、3匹のサルを含んだ。各試験に使用した用量は、表14に示した。抗体は、皮下投与した。本試験の結果は、表14および15にまとめた。
【0213】
【表14】

【0214】
【表15−1】

【0215】
【表15−2】

(実施例13)
cyno化抗TSLP 23B12抗体のカニクイザルへの投与
cyno化抗TSLP 23B12抗体は、懸濁培養中で安定性にトランスフェクトしたCHO細胞系から生成した。上清を採取し、濃縮し、>95%の純粋調製物である低エンドトキシンを達成するために数種の標準クロマトグラフィー工程を用いて精製した。精製抗体は、20mM酢酸ナトリウム、pH5.5、7%(w/v)スクロース、および0.05%のTriton X−100中での複数回の冷凍−解凍を含む、取扱いおよび使用中の安定性のために調製した。この抗体は、アレルギー性肺炎症を治療するための抗TSLP抗体の有効性を証明するために、イエダニ(HDM)アレルギー性カニクイザルへ投与すべきである。この動物モデルは、コントロールおよびcy23B12処置動物から採取した気道組織、BAL液、および関連するPBMCの採取を可能にする;および早期アレルギー反応(EAR)および後期アレルギー反応(LAR)における有効性を評価する能力を提供するであろう。慢性アレルギー性喘息の非霊長類モデルに関する詳細な情報は、当技術分野において周知である。例えば、Schelegleら、Am.J.Pathology 158(1):333−341(2001);Avdalovicら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.174:1069−74(2006)Care and Van Scottら、J.Appl.Physiol.99(6):2080−2086(2005)を参照されたい。
【0216】
本発明の多数の変更および変形は、当業者には明白であるように、その精神および範囲から逸脱せずに加えることができる。本明細書に記載した特定の実施形態は例示するためにのみ提供されており、本発明は添付の特許請求項の用語と、そのような請求項に与えられる等価物の全範囲とだけによって限定される;そして本発明は、例示によって本明細書に提示してきた特定の実施形態によって限定されてはならない。
【0217】
上記の刊行物もしくは文書についての言及は、上記のいずれかが適切な先行技術であるとの承認であることは意図しておらず、それがこれらの刊行物もしくは文書の内容もしくは日付に関する何の承認も構成していない。本明細書で言及した米国特許およびその他の刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトおよcynTSLPを特異的に結合する結合化合物であって:
少なくとも1つの抗体重鎖可変領域であって、配列番号1の3つのCDR配列を含む、前記重鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント;または
少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域であって、配列番号4の3つCDR配列を含む、前記軽鎖可変領域、もしくはそのTSLP結合フラグメント
を含、結合化合物。
【請求項2】
請求項1記載の結合化合物の重鎖可変領域または軽鎖可変領域の少なくとも1つをコードする単離された核酸。
【請求項3】
発現ベクターであって、宿主細胞が前記ベクターを用いてトランスフェクトされると前記宿主細胞によって認識されるコントロール配列へ操作可能に連結された請求項に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項4】
請求項に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項5】
ポリペプチドを生成する方法であって:
核酸配列が発現させられる条件下で培養培地中において請求項に記載の宿主細胞を培養し、それにより前記軽鎖および重鎖可変領域を含む前記ポリペプチドを生成する工程と;
前記宿主細胞もしくは前記培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程とを含む、方法。
【請求項6】
ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体であって、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む、前記ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体;または
ヒト軽鎖定常領域もしくはその変異体であって、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む、前記ヒト軽鎖定常領域もしくはその変異体、
をさらに含む、請求項1記載の結合化合物。
【請求項7】
前記ヒト重鎖定常領域は、γ4もしくはγ1ヒト重鎖定常領域もしくはその変異体を含み、前記変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む、請求項に記載の結合化合物。
【請求項8】
前記結合化合物は、ヒト化抗体もしくはそのTSLP結合フラグメントであ、請求項1記載の結合化合物。
【請求項9】
前記結合化合物は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)およびジアボディからなる群より選択されるTSLP結合抗体フラグメントである、請求項1に記載の結合化合物。
【請求項10】
ヒト対象における免疫応答を抑制するための組成物であって、TSLPの生物活性をブロックするために有効な量で、請求項1に記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントを含む、組成物。
【請求項11】
前記免疫応答は、炎症反応である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記対象は、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎からなる群から選択される障害を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記対象は、喘息を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1記載の結合化合物を医薬上許容される担体もしくは希釈剤と組み合わせて含む組成物。
【請求項15】
PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体によって結合されるヒトTSLP上のエピトープへ特異的に結合する抗体であって、ヒトTSLP上のエピトープへ特異的に結合する抗体は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない抗体。
【請求項16】
PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体によるヒトTSLPに対する結合を競合的に阻害する抗体であって、結合を競合的に阻害する前記抗体は、PTA−7951として寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体ではない抗体。
【請求項17】
前記結合化合物は、TSLP媒介性活性をブロックする、請求項1記載の結合化合物。
【請求項18】
前記結合化合物は、交差ブロッキングアッセイにおいてTSLPのTSLPRへの結合をブロックすることができる、請求項1記載の結合化合物。
【請求項19】
免疫応答を抑制するための医薬品を調製するための、請求項1記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
【請求項20】
炎症を治療するための医薬品を調製するための、請求項1記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
【請求項21】
アレルギー性炎症を治療するための医薬品を調製するための、請求項1記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
【請求項22】
アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アレルギー性結膜炎、またはアトピー性皮膚炎を治療するための医薬品を調製するための、請求項1記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。
【請求項23】
喘息を治療するための医薬品を調製するための、請求項1記載の結合化合物、またはそのTSLP結合フラグメントの使用。

【公開番号】特開2013−31441(P2013−31441A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171162(P2012−171162)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2009−541383(P2009−541383)の分割
【原出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(596129215)メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション (785)
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
【住所又は居所原語表記】One Merck Drive,Whitehouse Station,New Jersey 08889,U.S.A.
【Fターム(参考)】