説明

操作スイッチおよび携帯端末

【課題】小型化と良好な操作性の両立を実現し、利用者の満足度を向上させる。
【解決手段】スイッチ本体9bに回転可能に軸受けされたキートップ15と、該キートップ15の回転を検知する接点23、コンタクト26,27,28、およびFPC45とを備え、前記キートップ15の表面14側に、該キートップ15の主回転軸G1と異なる位置に並行配置された副回転軸G2で回転するアタッチメント10を備えた操作スイッチ9,9Aであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラなどのHMI部(Human Machine Interface)に用いられるような操作スイッチおよび該操作スイッチを備えた携帯端末に関し、特に音楽、画像データの検索などに使われる回転入力が可能な操作スイッチおよび携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転検出可能な操作スイッチとして、多機能スイッチが提案されている(特許文献1参照)。この多機能スイッチは、中央のスイッチと、周辺の回転検出と多方向入力について記されている。ここで、回転検出機構の下部にある多方向入力装置は、上下左右と中央の5方向の入力を受け付ける。このような多機能の入力を実現するためには、利用者の操作性を確保する目的も含めて寸法的にある程度の大きさが必要となる。
【0003】
一方、携帯電話やデジタルカメラなどのモバイル機器のHMI部においては、背面の液晶に代表されるLCDの面積が拡大の一方をたどり、付近に配置されるHMI部との配置場所の取り合いの課題が生じている。このため、HMI部の小型化が求められている。
【0004】
しかし、上述した回転操作が可能なスイッチをそのまま小型化すると、操作性が悪くなり使いづらいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−296006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述した問題点に鑑み、小型化と良好な操作性の両立を実現し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、スイッチ本体に回転可能に軸受けされた回転入力体と、該回転入力体の回転を検知する回転検知部とを備えた操作スイッチであって、前記回転入力体の表面側に、該回転入力体の主回転軸と異なる位置に並行配置された副回転軸で回転する回転操作体を備えた操作スイッチであることを特徴とする。
【0008】
前記回転検知部は、ロータリエンコーダ、あるいは円形に配置した複数の押下スイッチなど、適宜の検知部で構成することができる。
この発明により、小型化と良好な操作性の両立を実現し、利用者の満足度を向上させることができる。
【0009】
この発明の態様として、前記回転操作体は、操作される操作面が前記回転入力体の表面と異なる高さに配置されることができる。
これにより、利用者は回転操作体をより容易に操作して良好な回転操作感を得ることができる。
【0010】
またこの発明の態様として、前記回転入力体を操作待機姿勢から押下沈み込み姿勢まで変位許容して保持するガイド保持部を備え、前記回転入力体の沈み込みを検知する押下検知部を備えることができる。
【0011】
これにより、回転検知に加えて押下検知を行うため、例えばメニュー選択と決定やパラメータ変更と決定、画像選択と拡大といったように、操作内容に応じて直感的にわかりやすく使いやすいインターフェースを小型のサイズで提供することができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記押下検知部は、前記回転入力体の中央が押下されたことを検知する中央検知部と、前記回転入力体が傾動押下された際に該傾動押下方向を検知する複数の方向検知部とを備えることができる。
【0013】
これにより、回転入力、方向入力、中心押下入力といった3系統の入力が可能となり、多種多様な操作入力を小型のサイズで検知することができる。
【0014】
またこの発明は、前記操作スイッチと、該操作スイッチにより操作入力された入力信号に従って制御動作を実行する制御手段と、該制御手段の制御信号に従って情報出力を行う出力手段とを備えた携帯端末とすることができる。
【0015】
これにより、小型で回転操作性の良好な操作スイッチを搭載した携帯端末を提供でき、携帯端末への多様な入力の実現と操作スイッチの小型化を両立することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明により、小型化と良好な操作性の両立を実現し、利用者の満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】操作スイッチを備えたデジタルカメラの正面図。
【図2】操作スイッチの外観斜視図。
【図3】操作スイッチを上方から見た分解斜視図。
【図4】操作スイッチを下方から見た分解斜視図。
【図5】操作スイッチを備えたデジタルカメラの構成を示すブロック図。
【図6】操作スイッチをユニット別に分離した分解斜視図。
【図7】実施例2の操作スイッチを上方から見た分解斜視図。
【図8】実施例2の操作スイッチを下方から見た分解斜視図。
【図9】実施例2の操作スイッチをユニット別に分離した分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は操作スイッチ9を備えたデジタルカメラ1の正面図である。デジタルカメラ1は、上面右側に撮影開始用のシャッタボタン3が設けられており、図示省略する背面にカメラレンズが設けられている。
【0020】
デジタルカメラ1正面には、表示器2が設けられており、その右横に隣接して操作スイッチ9が設けられている。この操作スイッチ9は、デジタルカメラ1の撮影条件等の設定用スイッチ、及び保存された写真の選択用スイッチなどに用いられる。操作スイッチ9の上方には、メニュー画面などを表示器2に表示するためのメニューボタン4が設けられ、操作スイッチ9の下方には、撮影画像を表示するための再生ボタン5が設けられている。
【0021】
次に、操作スイッチ9の構成について説明する。図2は操作スイッチ9の外観斜視図を示し、図3は操作スイッチ9を上方から見た分解斜視図を示し、図4は操作スイッチ9を下方から見た分解斜視図を示す。
【0022】
操作スイッチ9は、図3に示すように上から順に、回転操作体となるアタッチメント10と、回転入力体となるキートップ15と、エンコーダ用可動接点板となるプレートC基板20と、導電片となるコンタクト26,27,28と、ホルダ30と、ドームスイッチユニット40と、メタルベース55とを備えて構成される。
【0023】
このうちのプレートC基板20と、コンタクト26,27,28と、ホルダ30と、ドームスイッチユニット40と、メタルベース55とでスイッチ本体9bが構成され、このスイッチ本体9bにキートップ15とのアタッチメント10とで構成される操作部9aが設けられて操作スイッチ10が構成されている。
【0024】
アタッチメント10は、合成樹脂性の材料で円盤状に形成され、上面に操作表面11が設けられている。この操作表面11は、凹凸のある形状にして指が乗せられた際の摩擦力を高める構成とすることが好ましい。アタッチメント10の下面には、図4に示す装着突起12が軸芯に沿って突設されている。
なお、アタッチメント10の表面(図示上面)は、ローレット加工を施すことで、滑り止めさせる構成にしてもよい。
【0025】
キートップ15は、合成樹脂性の材料で円盤状に形成され、環状のキャップ形状となっている。キートップ15の上面には、図3に示すように中心と外周の間位置に円形の凹部16が形成されている。この凹部16の中心には、軸方向にアタッチメント取付孔17が貫通されている。アタッチメント10の装着突起12がワッシャ13に挿通され、該装着突起12がキートップ15の凹部16のアタッチメント取付孔17に挿通されて、Eリング18で回転可能に抜け止め係止される。
【0026】
キートップ15下面には、図4に示すように環状の平面部と、下向きに突出する支持凸部19aと外周フランジ15cとで囲まれる環状凹部15bが形成されている。また、キートップ15下面の中央部には、軸方向へ突出する円盤型の支持凸部19aが設けられ、該支持凸部19aのさらに下面に、より小さい円盤状の装着突起19bが設けられている。装着突起19bの中央下端には、スイッチON/OFFするための押下突起19dが設けられている。
【0027】
支持凸部19aは、下面に凹部19cが円周状に並んで複数設けられている。この凹部19cには、後述するボール29が嵌合する。装着突起19bは、下端が外周へ向かって突出している。
【0028】
また、キートップ15下面には、外周に設けられた壁部近傍位置に係止突起15aが設けられている。
【0029】
キートップ15の内面に形成された環状凹部15bには、プレートC基板20が嵌合して取り付けられる。ここで、キートップ15の係止突起15aにプレートC基板20の係止凹部21が係合し、キートップ15とプレートC基板20とが相対的に回転しないように固定される。
【0030】
プレートC基板20は、前記環状凹部15bに嵌合可能な大きさの環状に形成されている。プレートC基板20の中央には、キートップ15の支持凸部19aが挿通される貫通孔22が形成されている。プレートC基板20の外周の一部には、キートップ15の係止突起15aと係合するための係止凹部21が設けられている。
【0031】
プレートC基板20の下面には、エンコーダ信号を検知するため、金属部材で形成される接点23が円周状に複数配置されている。この接点23にコンタクト26,27,28の各上接触子26a,27a,28aが接触し、通電して回転操作が検知されることになる。したがって、プレートC基板20の下面が摺接面24となる。このため、プレートC基板20の下面は凹凸がないか少ないように形成されている。これにより、摺接面24に対する上接触子26a,27a,28aの安定した接触性を確保している。
【0032】
コンタクト26,27,28は、導電金属板により形成されている。
このうち、共通導電片となるコンタクト26は、基端部に例えば3個の取付孔26cを有している。そして、該基端部から自由端側にかけて二股に分かれ、そのうちの一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子26aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子26bとしている。
【0033】
第1導電片となるコンタクト27は第1信号検出用として設けられ、前記コンタクト26と同様に基端部に取付孔27cを有している。基端部から二股に分かれた自由端側の一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子27aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子27bとしている。
【0034】
第2導電片となるコンタクト28は第2信号検出用として設けられ、前記コンタクト26と同様に基端部に取付孔28cを有している。基端部から二股に分かれた自由端側の一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子28aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子28bとしている。
【0035】
そして、これらのコンタクト26,27,28の上接触子26a,27a,28aが、一定の弾性力を持って上述した摺接面24に摺接する。また、各コンタクト26,27,28の自由端側は、内周側と外周側とに並列させて長く延出させている。これら3個のコンタクト26,27,28は、後述するホルダ30に保持されて周方向に3つ配設される。
【0036】
前記摺接面24の接点23は、外周側が常に導通して一定の信号が得られるリング状の共通接触子側となり、内周側が内側へ突出して間欠的な信号が得られるパルス信号出力側となる。このため、コンタクト26は外周側が上接触子26aになり、該上接触子26aが摺接面24の回転軌跡上で常に導通する共通接触子になる。また、コンタクト27とコンタクト28は内周側が上接触子27a,28aになり、該上接触子27a,28aが摺接面24の回転軌跡上で接点23の各突出部と間欠的に接触し、ロータリエンコーダとしてのパルス信号を出力する接触子になる。
【0037】
また、コンタクト27,28は、上接触子27a,28aの自由端側をさらに二股に分けている。これにより、分割した接触子によって安定した弾性作用が得られ、接点に接触する場合に滑らかな接触作用が得られる。
【0038】
ホルダ30は、POM樹脂(POM:ポリオキシメチレン)、ABS樹脂(ABS:acrylonitrile butadiene styrene)、またはこれらの混合樹脂などの軟性材料により、前記キートップ15と同程度の大きさの環状体に形成されている。このホルダ30は、後述するメタルベース55に非回転で昇降可能に支持されている。このホルダ30の上面には、前記各コンタクト26,27,28を嵌合して固定するための2本の突起31が周方向に3つ突設されている。これらの突起31に、前記各コンタクト26,27,28の各取付孔26c,27c,28cを嵌合させることで、ホルダ30の上面に各コンタクト26,27,28が取り付けられる。これにより、上接触子26a,27a,28aは接触に適した斜め上向きに延出した状態に取り付けられる。また、ホルダ30の上面には、周方向に3つ開口された円弧状の下接触子挿通孔32が開口されている。該下接触子挿通孔32には、前記下接触子26b,27b,28bを下向きに挿通させる。これにより、下接触子26b,27b,28bがホルダ30の下面より接触に適した斜め下向きに延出する。
【0039】
ホルダ30の上面の内周側には、環状に突出する環状凸部36が形成されている。この環状凸部36は、キートップ15の支持凸部19aの底面と対応する。この環状凸部36は、一部がコ字型に切り抜かれて弾性支持部38が形成されている。この弾性支持部38の上面には、ボール受け凹部38aが設けられ、該ボール受け凹部38aによってボール29を上下動可能に保持する。これにより、キートップ15が回転すると、環状凸部36に対設する支持凸部19aの下面における複数の凹部19cにボール29が嵌合、抜け出し、嵌合、…と繰り返す。この嵌合と抜け出しによって、回転操作における良好なクリック感を得ることができる。
【0040】
ホルダ30の環状凸部36の中央には、装着孔35が設けられている。この装着孔35には、キートップ15の装着突起19bが挿通され、下方に配置された環状円盤形の連結板39に装着突起19bが回転可能に抜け止めされる。これにより、キートップ15の外周下端とホルダ30の上面とがほぼ密着する状態にでき、円滑な接触性を維持させるために環状凹部15bに注入されているグリスが漏れることを防止できる。
【0041】
また、ホルダ30の外周面には、外向きに突設された4つの保持片34が周方向に90度毎に配置されている。該保持片34は、後述するメタルベース55に保持される。
【0042】
ホルダ30の下方には、ドームスイッチユニット40が対設されている。
ドームスイッチユニット40は、ドームシート41、ドームコンタクト43、基板となるFPC45をこの順に積層して一体化したものである。下層のFPC45をメタルベース55の上面に貼り付けることで、メタルベース55の上面にドームスイッチユニット40が搭載される。
【0043】
FPC45は、プリント配線基板であり、中央部に中央固定接点49となる接点49aおよび常時接点49bを有している。さらに、中央固定接点49と重ならない周方向には、共通固定接点46と第1固定接点47と第2固定接点48とが周方向に3つ備えられている。
【0044】
そして、1個の中央固定接点49に対応させてドームコンタクト43を搭載し、この上面をドームシート41で覆ってFPC45の定位置にドームコンタクト43が動かないように貼り付けている。これにより、キートップ15の中央が押下される押下位置に対応して設置される中央スイッチS1が構成される。
【0045】
ドームコンタクト43は、中央の接点が頂点となり、外周のコモン接点が下端に位置して常時接点49bに常時接触する。頂点の接点は、押下操作されていない通常状態のとき、接点49aから十分な隙間(クリアランス)を空けて離間しており、押下強度が所定強度を超えると反転して接点49aに接触し通電する。
【0046】
メタルベース55は、キートップ15より少し大きい金属円板により形成されている。メタルベース55の外周側には、その4方の底面より逆凹形状の昇降ガイド片56が起立突設されている。この昇降ガイド片56は、逆凹形内に上述したホルダ30の保持片34を係合させている。これにより、押下ストローク長さを昇降することができる。この4方の昇降ガイド片56に保持片34がそれぞれ係合保持されることにより、ホルダ30に保持されるキートップ15は、押下時に操作待機姿勢から押下された方向へ下降して押下沈み込み姿勢となる。従って、キートップ15は、キートップ15全体として一定の押下ストローク量だけ沈み込んで中央スイッチS1を押下し、スイッチとして機能する。
【0047】
図5は、このように構成された操作スイッチ9を備えたデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。
【0048】
デジタルカメラ1は、制御部92に接続して、ローパスフィルタ91、操作ボタン3,4,5、電源部96、表示器2、フラッシュ93、カメラ部94、および記憶部95が設けられている。
【0049】
ローパスフィルタ91には、操作スイッチ9が接続されている。このローパスフィルタ91は、操作スイッチ9のドームコンタクト43から瞬間的な通電(例えば1μs以下)による信号を受け取った場合に、この信号をカットして検知しないようにし、それ以上長い時間の通電による信号のみを制御部92に伝達する。これにより、衝突等によって操作スイッチ9が瞬間的に押下操作された場合に誤動作しないようにしている。
【0050】
操作ボタン3,4,5(図1に示したシャッタボタン3、メニューボタン4、再生ボタン5)は、ユーザに押下操作された押下信号を制御部92に伝達する。
電源部96は、各部に電力を供給する。
【0051】
表示器2は、制御部92の制御信号に従って画像を表示する。この画像には、カメラ部94で撮影している画像や、撮影して記憶部95に保存した画像、あるいはメニュー画像などとすることができる。
【0052】
フラッシュ93は、制御部92の制御信号に従ってストロボ発光する。
カメラ部94は、制御部92の制御信号に従って撮影し、撮影画像を制御部92に伝達する。
【0053】
記憶部95は、制御部92の制御信号に従ってデータの読み書きを行う。このデータには、カメラ部94で撮影された撮影画像データ、およびメニュー画面などを表示するプログラムなど、適宜のデータとすることができる。
【0054】
この構成により、デジタルカメラ1は、操作スイッチ9や操作ボタン3,4,5の操作に従って動作し、フラッシュ93による照明、カメラ部94による撮影、表示器2への撮影画像の表示など、撮影に必要な動作を実行することができる。
【0055】
次に、デジタルカメラ1を使用する利用者によって操作スイッチ9が操作された際の動作を説明する。
図6は、操作スイッチ9を操作側ユニットU1と中間ユニットU2とベースユニットU3に分離した状態の斜視図である。
【0056】
ここで、操作側ユニットU1は、アタッチメント10、キートップ15、およびプレートC基板20により構成されている。
【0057】
中間ユニットU2は、コンタクト26,27,28、およびホルダ30により構成されている。
【0058】
ベースユニットU3は、ドームスイッチユニット40、およびメタルベース55により構成されている。
【0059】
操作側ユニットU1は、矢印Y3に示すように、主回転軸G1を中心に中間ユニットU2に対して相対的に正逆に自在に回転する。また、操作側ユニットU1におけるアタッチメント10は、矢印Y2に示すように、副回転軸G2を中心にキートップ15に対して相対的に正逆に自在に回転する。これにより、利用者がアタッチメント10の操作表面11に指を置き、矢印Y3の方向に回転動作させると、アタッチメント10が指に対して相対的に非回転の状態で、アタッチメント10がキートップ15に対して相対回転しつつ、操作側ユニットU1が中間ユニットU2に対して相対的に回転する。
【0060】
このとき、操作側ユニットU1に設けられている接点23が回転し、この回転によって接点23とコンタクト26,27,28の接触/非接触が入れ替わることで、回転操作が検知されて回転信号を出力できる。
【0061】
中間ユニットU2は、操作側ユニットU1に対して、押下方向(図示上下方向)に対しては相対的に移動せず、かつ相対的に回転可能に取り付けられている。この中間ユニットU2は、ベースユニットU3に対して、上下動可能に取り付けられている。
【0062】
従って、中間ユニットU2は、操作側ユニットU1の中央(キートップ15の中央)が押下されると、これとともに下方へ移動し、メタルベース55に対して相対的に近接方向へ移動する。操作側ユニットU1の中央の押下が解除されると、中間ユニットU2は操作側ユニットU1と共に上方へ移動し、メタルベース55に対して相対的に離間方向へ移動する。この上下動動作の際に、キートップ15の下面中央に突出配置された押下突起19dがドームスイッチユニット40の中央スイッチS1を押下/開放してスイッチON/OFFを行い、押下信号を出力できる。
【0063】
このようにして検知した回転信号や押下信号は、上述したローパスフィルタ91越しに制御部92へ伝達されるため、衝突当による瞬間的な信号であれば動作信号とならないようにカットされる。
【0064】
回転信号を受けた制御部92は、指示された動作を実行する。この指示された動作は、例えば表示器2に表示している再生画像を順次切り替える、フラッシュの有無やホワイトバランスなどの撮影モードを切り替える、時刻設定などの設定操作を行うなど、適宜の動作とすることができる。
【0065】
また、押下信号を受けた制御部92は、指示された動作を実行する。この指示された動作は、例えばメニュー画面の決定動作や、再生表示している画像の拡大動作など、適宜の動作とすることができる。
【0066】
また、操作側ユニットU1が回転操作されたときは、弾性支持部38によりボール29がキートップ15の凹部19c(図4参照)へ付勢されていることにより、ボール29が複数の凹部19cに順番に嵌合/抜け出しを繰り返すことで、回動操作したことが操作者の手に明瞭に伝達され、良好なクリック感を得ることができる。
【0067】
以上の構成および動作により、小型化と良好な操作性の両立を実現し、利用者の満足度を向上させることができる。
アタッチメント10は、キートップ15に対して相対的に回転するため、操作スイッチ9全体を小型化してキートップ15が小さくなっても、容易にキートップ15を回転操作できる。すなわち、キートップ15を直接指で押さえて指の向きを変えずに該キートップ15を回転させようとする場合、キートップ15の上で指を滑らせながら回転させる必要がある。そして、キートップ15が小さくなると、指とキートップ15の間で摩擦力の生じる面積が相対的に広くなって指を滑らせることが難しくなり、回しづらい状況になる。しかし、上述した実施例1では、アタッチメント10を押す指を滑らせなくとも、該アタッチメント10がキートップ15に対して自在に回転するため、キートップ15に対して指を滑らせるのと同じ効果を発揮でき、キートップ15が小さくてもスムーズに回転操作することができる。
【0068】
また、キートップ15の表面14(図3参照)とアタッチメント10の操作表面11の高さが異なるため、利用者はキートップ15とアタッチメント10を容易に区別して良好な操作感で回転操作することができる。特に、この実施例ではアタッチメント10の表面がキートップ15の表面よりも高いため、利用者は、アタッチメント10に指を置きやすく、非常に良好な操作感で回転操作を行うことができる。
【0069】
また、ドームスイッチユニット40により押下操作も検知するため、回転操作と押下操作により、例えばメニュー選択と決定、パラメータ変更と決定、あるいは画像選択と拡大といったように、操作内容に応じて直感的にわかりやすく使いやすいインターフェースを小型のサイズで提供することができる。
【0070】
また、アタッチメント10は、外周がキートップ15の主回転軸芯上にかからない大きさに配置されているため、利用者がアタッチメント10のどこに指を置いても、キートップ15の回転軸上に指が位置して回転させづらい状態になることを防止でき、いつでも良好な回転操作を実現することができる。
【0071】
また、操作スイッチ9は、回転操作と中央の押下を検知できるため、回転式JOG/単方向入力複合スイッチとして機能することができる。
【実施例2】
【0072】
次に、方向検知も可能に構成した実施例2の操作スイッチ9Aについて説明する。
図7は、操作スイッチ9Aを上方から見た分解斜視図を示し、図8は、操作スイッチ9Aを下方から見た分解斜視図を示す。
【0073】
操作スイッチ9Aは、回転操作体となるアタッチメント10と、回転入力体となるキートップ15と、エンコーダ用可動接点板となるプレートC基板20と、導電片となるコンタクト26,27,28と、ホルダ30Aと、ドームスイッチユニット40Aと、メタルベース55Aと、方向ドームスイッチユニット60と、メタルベース80を備えて構成されている。
【0074】
このうち、アタッチメント10、キートップ15、プレートC基板20、コンタクト26,27,28、ホルダ30A、およびドームスイッチユニット40Aは、次に説明する相違点を除けば、上述した実施例1と同一の構成であるため、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0075】
ホルダ30Aは、実施例1との相違点として、外周に4つの保持片33が設けられており、その他の構成は実施例1のホルダ30と同一である。
ドームスイッチユニット40AのFPC45Aは、実施例1との相違点として、連結部Lが設けられており、その他の構成は実施例1のドームスイッチユニット40のFPC45と同一である。
メタルベース55Aは、実施例1との相違点として、下面中央に支点突起58が設けられ、その周囲に4つの押圧突起57が設けられており、その他の構成は実施例1の目たるベース55と同一である。4つの押圧突起57は、いずれもドームコンタクト65の頂点に対向する位置に配置され、支点突起58よりも突出量が小さく構成されている。
【0076】
方向ドームスイッチユニット60は、ドームシート61、4つのドームコンタクト65、基板となるFPC70をこの順に積層して一体化したものである。下層のFPC70をメタルベース80の上面に貼り付けることで、メタルベース80の上面に方向ドームスイッチユニット60が搭載される。
【0077】
FPC70は、プリント配線基板であり、4箇所に円周状に均等配置された方向固定接点71となる接点71aおよび常時接点71bを有している。
【0078】
そして、4個の方向固定接点71に対応させて4個のドームコンタクト65を1対1対応させて搭載し、この上面をドームシート61で覆ってFPC70の定位置にドームコンタクト65が動かないように貼り付けている。これにより、キートップ15の上下左右が押下される押下位置に対応して設置される方向スイッチS2が構成される。
【0079】
また、FPC70は、連結部Lを有しており、該連結部LによってFPC45と物理的および電気的に連結されている。すなわち、このFPC45,70は1つのEPCであり、連結部Lで湾曲させてFPC45とFPC70を対向させ、その対向面間にメタルベース55A、ドームシート61、およびドームコンタクト65を挟み込む構成となる。
【0080】
ドームコンタクト65は、中央の接点が頂点となり、外周のコモン接点が下端に位置して常時接点71bに常時接触する。頂点の接点は、押下操作されていない通常状態のとき、接点71aから十分な隙間(クリアランス)を空けて離間しており、押下強度が所定強度を超えると反転して接点71aに接触し通電する。
【0081】
メタルベース80は、キートップ15より少し大きい金属円板により形成されている。メタルベース80の外周側には、その4方の底面より逆凹形状の昇降ガイド片81が起立突設されている。この昇降ガイド片81は、逆凹形内に上述したホルダ30Aの保持片33を係合させている。これにより、ホルダ30Aを傾動することができる。この4方の昇降ガイド片81に保持片33がそれぞれ係合保持されることにより、ホルダ30Aに保持されるキートップ15は、押下時に押下された方向へ下降する。従って、キートップ15は、中央が押下されるとキートップ15全体として一定の押下ストローク量だけ沈み込んで中央スイッチS1を押下し、周囲が押下されるとキートップ15全体として一定の押下ストローク量だけ傾動して方向スイッチS2の1つ(若しくは隣接する2つ)を押下して、スイッチとして機能する。なお、隣接する2つの方向スイッチS2が押下されたときは、斜め方向の入力として検知することができる。
【0082】
図9は、操作スイッチ9Aを操作側ユニットV1と中間ユニットV2と中間ベースユニットV3と底ベースユニットV4に分離した状態の斜視図である。
【0083】
ここで、操作側ユニットV1は、アタッチメント10、キートップ15、およびプレートC基板20により構成されている。
【0084】
中間ユニットV2は、コンタクト26,27,28、およびホルダ30Aにより構成されている。
【0085】
中間ベースユニットV3は、ドームスイッチユニット40A、およびメタルベース55Aにより構成されている。
【0086】
底ベースユニットV4は、方向ドームスイッチユニット60、およびメタルベース80により構成されている。
【0087】
操作側ユニットV1、中間ユニットV2、および中間ベースユニットV3の動作は、実施例1で説明した操作側ユニットU1、中間ユニットU2、およびベースユニットU3と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0088】
底ベースユニットV4は、中間ユニットV2に傾動可能に取り付けられている。そして、この底ベースユニットV4と中間ユニットV2の間には、図8に示したように底面に押圧突起57を備えた中間ベースユニットV3が挟まれている。
【0089】
操作側ユニットV1が矢印Y4に示すように、4方向のいずれかで押下されると、操作側ユニットV1、中間ユニットV2、および中間ベースユニットV3が一体的に傾動し、底ベースユニットV4に設けられた方向スイッチS2を押下し、方向押下信号を出力する。
【0090】
これにより、実施例1で説明した回転操作と中央押下操作に加えて、方向押下操作を検知することができる。
【0091】
以上の構成および動作により、実施例1と同一の作用効果に加えて、方向入力を検知することができる。すなわち、回転入力、方向入力、中心押下入力といった3系統の入力が可能となり、多種多様な操作入力を小型のサイズで検知することができる。
【0092】
また、操作スイッチ9Aは、中央方向のドームコンタクト43と4方向のドームコンタクト65とにより5方向スイッチとして機能し、またプレートC基板20とコンタクト26,27,28により回転スイッチとして機能するため、回転式JOG/多方向入力複合スイッチとして機能することができる。
【0093】
このようにして、回転式JOG/多方向入力複合スイッチとなる操作スイッチ9Aを少面積化し、かつ回転操作感を損なうことなく機能させることができる。
【0094】
なお、実施例1に説明した操作スイッチ9は、実施例2のような5方向ではなく中心の1方向(決定キー)のみに集約し、回転と決定だけの選択機能に特化することができる。
【0095】
以上説明したように、実施例1および実施例2のいずれでも、少面積で回転させやすい構造をとらせることができ、指当ての部品であるアタッチメント10を本来回転させる部品であるキートップ15に対して回転自由な構造として完全に回転フリーとさせることで、回転させやすい表面構造とさせることができる。
【0096】
また、半径大のキートップ15の中心(回転軸)に対して、半径小のアタッチメント10の中心(回転軸)を偏心させた位置に配置した構造により、アタッチメント10がキートップ15に対して自由に回転することができる。
【0097】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の携帯端末は、実施形態のデジタルカメラ1に対応し、
以下同様に、
出力手段は、表示器2に対応し、
回転操作体は、アタッチメント10に対応し、
回転入力体の表面は、表面14に対応し、
回転入力体は、キートップ15に対応し、
回転検知部は、接点23、コンタクト26,27,28、およびFPC45,45Aに対応し、
ガイド保持部は、昇降ガイド片56および昇降ガイド片81に対応し、
制御手段は、制御部92に対応し、
押下検知部は、中央スイッチS1および方向スイッチS2に対応し、
中央検知部は、中央スイッチS1に対応し、
方向検知部は、方向スイッチS2に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
この発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラなどのモバイル機器、あるいはリモコン等のHMI部(Human Machine Interface)に用いられることができ、特に音楽、画像データ、コンテンツの検索や決定などに使われる多機能入力が可能な操作スイッチに利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1…デジタルカメラ、2…表示器、9,9A…操作スイッチ、9b…スイッチ本体、10…アタッチメント、11…操作表面、14…表面、15…キートップ、23…接点、26,27,28…コンタクト、45,45A…FPC、56,81…昇降ガイド片、92…制御部、S1…中央スイッチ、S2…方向スイッチ、G1…主回転軸、G2…副回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体に回転可能に軸受けされた回転入力体と、該回転入力体の回転を検知する回転検知部とを備えた操作スイッチであって、
前記回転入力体の表面側に、該回転入力体の主回転軸と異なる位置に並行配置された副回転軸で回転する回転操作体を備えた
操作スイッチ。
【請求項2】
前記回転操作体は、
操作される操作面が前記回転入力体の表面と異なる高さに配置されている
請求項1記載の操作スイッチ。
【請求項3】
前記回転入力体を操作待機姿勢から押下沈み込み姿勢まで変位許容して保持するガイド保持部を備え、
前記回転入力体の沈み込みを検知する押下検知部を備えた
請求項1または2記載の操作スイッチ。
【請求項4】
前記押下検知部は、
前記回転入力体の中央が押下されたことを検知する中央検知部と、
前記回転入力体が傾動押下された際に該傾動押下方向を検知する複数の方向検知部とを備えた
請求項3記載の操作スイッチ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つの操作スイッチと、
該操作スイッチにより操作入力された入力信号に従って制御動作を実行する制御手段と、
該制御手段の制御信号に従って情報出力を行う出力手段とを備えた
携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−192413(P2011−192413A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55297(P2010−55297)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】