説明

操作パネル装置

【課題】 確実な殺菌効果を確保した上で、製造コストの低減化を達成することができ、しかも環境保全を配慮した環境に優しい操作パネル装置を提供する。
【解決手段】 所定の機器、例えば、複写機で代表される画像形成装置や、駅、劇場、映画館等の券売機、あるいはカード入力で現金を出納する現金出納機等の機器に対して入力操作を行うために使用される操作面(絶縁シート90の表面)を備えた操作パネル装置40において、操作面に対して直接的に殺菌処理を施す殺菌手段(第1および第2実施形態では紫外線ランプ21,22、第3実施形態では殺菌液噴霧手段23)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置や券売機等の各種の機器に設けられ、当該機器に対して所定の入力操作を行うために使用される操作パネル装置に関するものであり、特に衛生上優れた効果を発揮する操作パネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不特定多数の者(以下公衆という)が手を触れる機器(以下公衆機器という)として、例えば、複写機で代表される画像形成装置や、駅、劇場、映画館等の券売機、あるいはカード入力で現金を出納する現金出納機等の機器が知られている。これらの公衆機器は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)とタッチパネルとからなる、所定の入力操作が可能な操作パネル装置を有しており、公衆がこの操作パネル装置の操作面に形成された各種のタッチキーをタッチすることにより、所望の入力処理を行い得るようになっている。
【0003】
このような操作パネル装置は、多数の公衆が入れ替わり立ち替わり指で触れることから、不潔感を払拭することができず、極端な場合は雑菌が繁殖することすらあり得る。かかるタッチ面の不衛生な状態を解消するべく各種の方策が提案されているが、注目すべきものとして、例えば特許文献1〜4によって開示されたものを挙げることができる。
【0004】
まず、特許文献1のものは、操作パネル装置を対象としたものではないが、街頭や待合室等に設置されたテレビジョン装置のような公衆が手で触れることが多い公衆機器の筐体や画面を構成している合成樹脂製の部品に、光の照射で殺菌性能を発揮する素材(光触媒)を分散混入し、この光触媒によって付着した細菌に対し殺菌処理を施すようになっている。
【0005】
また、特許文献2のものも操作パネル装置を対象としたものではないが、粘着テープ用のハンドカッターの手で触れる部分を構成している合成樹脂に抗菌剤を分散混入し、これによって殺菌処理を施すようになっている。
【0006】
また、特許文献3のものは、紙幣処理装置で処理中の紙幣を対象として加熱処理および紫外線照射処理のいずれか一方または双方を行うことによって当該紙幣を殺菌処理するようになっている。
【0007】
これらは、いずれも公衆が直接手を触れるものを対象としているが、、画像形成装置や券売機等の各種の公衆機器に対して所定の入力操作を行うために使用される操作パネル装置に関するものではない。因みに、操作パネル装置は、入力キーが所定の目的の基に指先によりある程度の押圧力で押圧されるものであるため、操作面に対する細菌汚染の度合いおよび操作面からの細菌の伝染の度合いが無意識的に偶然触れる機器の筐体などに比べて極めて大きい。
【0008】
これに対し、特許文献4に記載のものは、画像形成装置や映像表紙機器等の操作パネル装置であるタッチパネル用の前面板を殺菌処理の対象の一つとして挙げている(段落〔0004〕)。具体的には、前面板を、銀含のリン酸複塩からなる抗菌剤を含む耐擦過性皮膜と、この皮膜が積層される基材とから構成している(段落〔0006〕)。かかる構成によれば、タッチパネルは、抗菌性、遮光性および外観性が良好になると記載されている(段落〔0064〕)。
【特許文献1】特開平9−252185公報
【特許文献2】特開平9−20446号公報
【特許文献3】特開2002−32819号公報
【特許文献4】特開2002−337277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4のものは、殺菌性能を備えた皮膜を製造するに際し、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウムあるいはリン酸チタン等のリン酸複塩で高価な銀を固定化したものの微粉体を、ジエチレングリコールメタアクリレートやトリエチレングリコールメタアクリレート等の多官能単量体からなる樹脂に均一に練り込むという面倒な操作を行わなければならず、製造コストが嵩むという問題点を有している。
【0010】
また、特許文献4のものは、タッチパネルにおける微粉体の存在する部分のみに殺菌性が付与されているだけであるため、微粉体と微粉体との間の部分は、殺菌性能を有しておらず、結局タッチパネルの操作面を全体的に殺菌処理することが困難であるという問題点を有している。
【0011】
さらに、特許文献4のものは、タッチパネルを廃棄処分に付すとき皮膜に含まれた銀が環境に溶出する虞があり、必ずしも環境に優しいものであるとは言い難い。
【0012】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、確実な殺菌効果を確保した上で、製造コストの低減化を達成することができ、しかも環境保全を配慮した環境に優しい操作パネル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明は、所定の機器に対して所定の動作を行わせるべく入力操作を行うための操作面を備えた操作パネル装置であって、前記操作面に対して直接的に殺菌処理を施す殺菌手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
かかる構成によれば、操作パネル装置の操作面は、殺菌手段によって直接的に殺菌処理が施されるため、部分的な殺菌処理ではなく、操作面の全体について均一な殺菌処理を行うことが可能になる。
【0015】
また、抗菌剤を樹脂に練り込むような面倒な操作を行う必要がないため、その分製造コストの低減化に貢献する。
【0016】
さらに、操作パネル装置を廃棄処分したときに、当該操作パネル装置から銀が環境に溶出してしまうような不都合が生じない。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記殺菌手段は、殺菌性能を有する光を前記操作面に照射する殺菌ランプ手段であることを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成によれば、殺菌ランプ手段からの光を操作パネル装置の操作面に照射することにより操作面に殺菌処理が施されるため、不特定多数の公衆が操作面にタッチして入力操作が行われ、操作面に雑菌が繁殖するようなことがあっても確実に殺菌され、これによって操作面は、常に衛生的な状態が維持される。そして、殺菌手段として例えば紫外線を照射する殺菌ランプ手段を採用するだけで済ませることができ、装置コストの低減化に貢献する。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記殺菌ランプ手段は、前記操作面の表面側から当該操作面に光を照射するものであることを特徴とするものである。
【0020】
かかる構成によれば、操作パネル装置の操作面は、外部から照射される光によって満遍なく殺菌処理が施されるため、指先が直接タッチする操作面の表側が全体的に確実に殺菌された状態になる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記殺菌ランプ手段は、前記操作面の裏面側から当該操作面に光を照射するものであることを特徴とするものである。
【0022】
かかる構成によれば、殺菌ランプ手段が操作面の裏面側に設けられるため、殺菌ランプ手段が入力操作の邪魔になるようなことはなく、入力操作の容易性を確保した上で設置位置の自由度が向上する。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記殺菌手段は、殺菌性能を有する殺菌液を前記操作面に噴霧する殺菌液噴霧手段であることを特徴とするものである。
【0024】
かかる構成によれば、殺菌液噴霧手段によって殺菌液を操作パネル装置の操作面に噴霧することにより操作面に殺菌処理が施されるため、不特定多数の公衆が操作面にタッチして入力操作が行われ、操作面に雑菌が繁殖するようなことがあっても確実に殺菌され、これによって操作面は、常に衛生的な状態が維持される。そして、殺菌手段として殺菌液噴霧手段を採用するだけで済ませることができ、装置コストの低減化に貢献する。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記操作面の近傍に指先を拭う払拭パットが設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
かかる構成によれば、操作面をタッチすることによる入力操作が完了したとき、指先を払拭パットで拭うことにより、指先の汚れが取り除かれる。そして、払拭パットに殺菌液を含浸させておけば、指先に付着した細菌に対する殺菌処理が施される。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、少なくとも液晶ディスプレイとタッチパネルとを備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0028】
かかる構成によれば、一枚物のタッチパネルを介して入力操作を行うことができると共に、液晶ディスプレイの表示がタッチパネルを介して視認される。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明によれば、操作パネル装置の操作面は、殺菌手段によって直接的に殺菌処理が施されるため、従来のように操作パネル装置を構成する部材に抗菌剤を練り込んだ間接的なものに比較し、抗菌剤の存在する近辺だけが殺菌性能を備えているが、抗菌剤の存在しない部分で殺菌性能が発揮されず、これによって均一な殺菌処理が実現し難いというような不都合の生じることがなく、優れた殺菌効果を得ることができる。
【0030】
また、抗菌剤を樹脂に練り込むような面倒な操作を行う必要がないため、その分製造コストの低減化に貢献することができる。
【0031】
また、高価な銀の化合物からなる抗菌剤を樹脂に練り込むような面倒な操作を行う必要がないため、その分製造コストの低減化に貢献するができる。
【0032】
さらに、操作パネル装置を廃棄処分したときに、当該操作パネル装置から銀が環境に溶出してしまうような不都合が生じず、操作パネル装置を環境保全に役立つものにすることができる。
【0033】
請求項2記載の発明によれば、殺菌ランプ手段からの光を操作パネル装置の操作面に照射することにより操作面に殺菌処理が施されるため、不特定多数の公衆が操作面にタッチして入力操作を行っても、指先から操作面に移った細菌は光線に当たって確実に殺菌され、これによって操作面を常に衛生的な状態にすることができる。そして、殺菌手段として例えば紫外線を照射する殺菌ランプ手段を採用するだけで済ませることができ、装置コストの低減化に貢献することができる。
【0034】
請求項3記載の発明によれば、操作パネル装置の操作面は、外部から照射される光によって満遍なく殺菌処理が施されるため、指先が直接タッチする操作面の表側を全体的に確実に殺菌された状態にすることができる。
【0035】
請求項4記載の発明によれば、殺菌ランプ手段が操作面の裏面側に設けられるため、殺菌ランプ手段が入力操作の邪魔になるようなことはなく、入力操作の容易性を確保した上で殺菌ランプ手段の設置位置の自由度を向上させることができる。
【0036】
請求項5記載の発明によれば、殺菌液噴霧手段によって殺菌液を操作パネル装置の操作面に噴霧することにより操作面に殺菌処理が施されるため、不特定多数の公衆が操作面にタッチして入力操作を行っても、指先から操作面に移った細菌は殺菌液により確実に殺菌され、これによって操作面を常に衛生的な状態にすることができる。そして、殺菌手段として殺菌液噴霧手段を採用するだけで済ませることができ、装置コストの低減化に貢献することができる。
【0037】
請求項6記載の発明によれば、操作面をタッチすることによる入力操作が完了したときに指先を払拭パットで拭うことにより、指先の汚れを取り除くことができる。
【0038】
請求項7記載の発明によれば、入力操作の容易性を確保した上で操作パネル装置の簡素化および低コスト化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、本発明に係る操作パネル装置が適用された画像形成装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、その内部構造の概略を示す正面断面視の説明図である。なお、図1および図2において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0040】
図1に示すように、画像形成装置10は、箱形を呈する装置本体11に各種の機器が装着されることによって構成されている。すなわち、装置本体11の上部には、原稿からその画像を読み取る原稿読取部12と、画像形成処理に対して各種の条件を入力する入力部20とが設けられているとともに、装置本体11内における原稿読取部12より下方位置には、図2に示すように、原稿読取部12によって読み取られた原稿の画像情報に基づき画像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙に転写された画像に定着処理を施す定着部14と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部15とが内装されている。
【0041】
前記原稿読取部12は、開閉可能な原稿供給部121と、装置本体11内でコンタクトガラス126(図2)を介して原稿供給部121と対向配置された光学系ユニット125とを備えている。なお、本実施形態においては、コンタクトガラス126は、載置された原稿の原稿面を読み取るための、原稿供給部121より若干小さい平面形状を有する載置原稿用コンタクトガラス126aと、自動給紙された原稿の原稿面を読み取る前後方向に長尺の細長い自動給紙用コンタクトガラス126bとが採用されている。
【0042】
前記原稿供給部121は、二段構造で構成され、上段に設けられた原稿を載置するための原稿トレイ122と、下段に設けられた画像読み取り済の原稿が排紙される原稿排紙トレイ123とを有している。原稿供給部121の左側部には、原稿トレイ122と原稿排紙トレイ123との間に介設された原稿送り部124が形成され、この原稿送り部124に設けられた図略の原稿送り機構によって原稿トレイ122上に載置された用紙束から1枚ずつがピックアップされて自動給紙用コンタクトガラス126bへ供給され、移動しながらこの自動給紙用コンタクトガラス126bを介して光学系ユニット125によリ原稿面が読み取られるようになっている。
【0043】
光学系ユニット125は、図略の光源や複数のミラー、レンズユニット、さらにはCCD(charge coupled device)等を有している。そして、光源からの光が原稿面で反射され、この反射光がこれらミラーおよびレンズユニットを介して原稿情報としてCCDに入力されるようになっている。CCDに入力されたアナログ量としての原稿情報は、デジタル信号に変換され、デジタルの原稿情報として所定の記憶装置に記憶されるようになっている。
【0044】
前記画像形成部13は、用紙貯留部15から給紙された用紙にトナー画像を形成させるものであり、本実施形態では上流側(図2の紙面の右側)から下流側へ向けて順次配設されたイエロー用ユニット13Yと、マゼンタ用ユニット13Mと、シアン用ユニット13Cと、ブラック用ユニット13Kとを有している。
【0045】
各ユニット13Y,13M,13C,13Kには、感光体ドラム131および現像装置132がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム131は、図1において時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置132からトナーの供給を受けるようになっている。
【0046】
各感光体ドラム131の図2における上方左寄りの位置には帯電部133がそれぞれ設けられているとともに、同上方右寄りの位置には露光部134がそれぞれ設けられている。そして、各感光体ドラム131は、前記帯電部133によって周面が一様に帯電され、原稿読取部12で入力された画像データに基づくレーザー光が前記各露光部134から帯電後の感光体ドラム131の周面に照射されることにより、各感光体ドラム131の周面に静電潜像が形成されるようになっている。かかる静電潜像に現像装置132からトナーが供給されることにより、感光体ドラム131の周面にトナー像が形成されるようになっている。
【0047】
また、各感光体ドラム131の図1における左方下部位置には感光体ドラム131の周面の残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置135が設けられている。クリーニング装置135によって清浄化処理された感光体ドラム131の周面は、新たな帯電処理のために帯電部133へ向かうことになる。
【0048】
各感光体ドラム131の下方位置には、搬送面が各感光体ドラム131と対向するように配設された搬送ベルト136が設けられている。この搬送ベルト136は、ブラック用ユニット13Kの若干下流側に設けられた駆動ローラ137と、イエロー用ユニット13Yの若干上流側に設けられた従動ローラ138とに掛け回され、駆動ローラ137の回転駆動によって周回するようになっている。そして、用紙貯留部15から供給された用紙は、この搬送ベルト136の周回に誘導されて感光体ドラム131の周面に当接しながら移動し、転写処理が施されるようになっている。
【0049】
前記定着部14は、画像形成部13で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施すものであり、上下で互いに対向配置されたヒートローラ141と加圧ローラ142とを備えている。搬送ベルト136の周回によって画像形成部13から導出された転写処理済の用紙は、これらヒートローラ141および加圧ローラ142間で加熱されつつ押圧挟持されることによる熱処理でトナー画像が定着され、用紙上に安定したカラー画像が形成される。定着処理の完了したカラー画像付の用紙は、排紙搬送路112を通って装置本体11の左側壁から突設された排紙トレイ111へ向けて排出される。
【0050】
前記用紙貯留部15は、装置本体11に挿脱自在に装着された複数段の用紙トレイ151を有している。各用紙トレイ151には、それぞれ用紙束が貯留され、選択された用紙トレイ151の用紙束からピックアップローラ152の駆動で用紙Pが1枚ずつ繰り出され、給紙搬送路153を通って画像形成部13へ導入されるようになっている。
【0051】
また、本実施形態の画像形成装置10においては、装置本体11内に用紙Pに対して両面印刷を行うための用紙反転部16が設けられている。この用紙反転部16は、画像形成部13と用紙貯留部15との間に介設された、片面に定着処理後の画像を有する用紙Pを一時的に貯留する中間トレイ161と、定着部14の直下流位置に設けられ、定着処理後の用紙Pに対して排紙搬送路112および返送搬送路113のいずれか一方に用紙Pを振り分ける切換ガイド162と、一旦中間トレイ161に排紙された用紙Pを後端側から排紙する反転ローラ対163とを備えている。
【0052】
そして、前記切換ガイド162の切り換え操作によって返送搬送路113および反転ローラ対163を介して一旦中間トレイ161へ排紙された用紙Pは、反転ローラ対163の逆回転によって後端側から排出され、反転搬送路114を通って給紙搬送路153へ向わせられるようになっている。この給紙搬送路153へ供給された表裏反転後の用紙Pは、再度画像形成部13へ供給されることにより裏面側に対して転写処理が施されることになる。
【0053】
前記入力部20は、図1に示すように、装置本体11の上面前部に装着された支持フレーム30と、この支持フレーム30に支持された操作パネル装置40とを備えて構成されている。なお、支持フレーム30は、装置本体11の一部を構成するものである。
【0054】
かかる支持フレーム30は、装置本体11の前面と面一の左右方向に長尺な前方枠31と、前記原稿押え121の前縁部より若干下位で前方枠31と対向した後方枠32と、これら前方枠31および後方枠32の左右の端部間に架設された左右方向一対の側方枠33と、これら各枠に囲繞された図略の底板34とを備えて構成されている。前記操作パネル装置40は、前方枠31、後方枠32および側方枠33に囲まれた状態で底板に支持されている。
【0055】
図3は、操作パネル装置40の第1実施形態を示す斜視図であり、図4は、図3に示す操作パネル装置40を上下反転させて裏面側から見た分解斜視図である。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は図1の場合と同様である。これらの図に示すように、操作パネル装置40は、平面視で横長の矩形状を呈した合成樹脂製の筐体50と、この筐体50に下から(図4では上下反転されているため上からになっている)積層状態で内装されるLCD(liquid crystal display(液晶ディスプレイ))60、タッチパネル70、タッチパネル固定枠80および絶縁シート(操作面)90とを備えて構成されている。
【0056】
前記筐体50は、図3に示すように、平板状のパネルボード51と、このパネルボード51の前縁および両側縁から下方(図4では上方)に向かって突設された周壁52とを備えて形成され、周壁52の内側に各種の電気部品が装着されるようになっている。
【0057】
パネルボード51の中央部より若干図3における長手方向左寄りの位置には、横長の矩形状の表示窓53が開口されていると共に、この表示窓53の右側には電源スイッチ541やテンキー542、さらにはスタートキー543等が設けられた第1操作域54が、また表示窓53の左側には画像形成装置10の使用モード(画像形成装置10を複写機として使用するか、ファクシミリ装置として使用するか、プリンタとして使用するか等のモード)を設定するためのモード設定キー551が設けられた第2操作域55がそれぞれ形成されている。第1操作域54および第2操作域55の裏面側には、それぞれの機能に対応した電気部品が装着されている。
【0058】
前記電源スイッチ541の前方位置には、除菌パット(払拭パット)56が着脱自在に取り付けられている。この除菌パット56は、指先を拭うものであり、スポンジによって形成され、予め殺菌液が吸収されている。従って、指先による操作パネル装置40を介した入力操作が完了したのち指先を除菌パット56で拭うことにより、たとえ指先に細菌が付着していても当該細菌が殺菌されるため衛生上好ましい。因みに殺菌液としては、メチルアルコール液や過酸化水素水等を挙げることができる。
【0059】
前記表示窓53の裏面側には、操作パネル装着空間V(図4)が形成され、この操作パネル装着空間Vに最下位(図4では最上位)から順次LCD60、タッチパネル70、タッチパネル固定枠80および絶縁シート90が積層配置され、これによって最上位の絶縁シート90が表示窓53に臨んだ状態になっている。
【0060】
前記LCD60は、平面視で前記表示窓53より若干大きい矩形状を呈した薄い直方体状のケーシング61の中に所定の電気部品をマウントした基板と、この基板の上面側(図3においては下面側)に積層された平面状の液晶板とが収納されることによって形成されている。そして、液晶板上に表示された文字や図形等の情報が透明なタッチパネル70および絶縁シート90を介して表示窓53に表示されるようになっている。
【0061】
かかるLCD60は、操作パネル装着空間Vに装着された状態で筐体50の表示窓53から外部に抜け出すことがないように、平面視の寸法が表示窓53のそれより相当大きめに寸法設定されている。
【0062】
前記タッチパネル70は、絶縁シート90を介して任意の位置を指で軽く押圧することにより当該位置を検出し、その位置に対して予め設定されている所定の操作信号をLCD60との協働で図略の制御部へ向けて出力するものである。
【0063】
かかるタッチパネル70は、透明な2枚の抵抗膜シートが積層されることにより形成されている。一方の抵抗膜シートは、一方向(例えば横方向)に延びる縦方向に並設された複数本の透明な横通電抵抗路を有している一方、他方の抵抗膜シートは、他方向(縦方向)に延びる横方向に並設された複数本の透明な縦通電抵抗路を有し、指で押された位置における横通電抵抗路および縦通電抵抗路の交点からその位置を特定するようになっている。
【0064】
このようなタッチパネル70は、平面視の寸法が筐体50の表示窓53のそれより若干大きめで、かつ、LCD60のそれより若干小さめに設定され、これによって操作パネル装着空間Vに装着された状態で表示窓53から外部に抜け出ることがないようになされている。また、タッチパネル70の図4における右縁部から右方に向けて接続端子71が突設され、タッチパネル70からの出力信号は、この接続端子71を介してLCD60へ入力されるようになっている。
【0065】
前記タッチパネル固定枠80は、LCD60に積層されたタッチパネル70を動かないように位置決め状態で固定するためのものであり、LCD60の長手方向の寸法と略同一に設定された一対の横桟81と、これら一対の横桟81の図4における右端部間に架設された縦桟82とによってコ字状に形状設定されている。縦桟82は、長さ寸法がタッチパネル70の縦寸法(短尺側の寸法)より若干長めに設定されていると共に、一対の横桟81間の内寸法がタッチパネル70の短尺側の寸法より僅かに大きめに設定され、これによってタッチパネル70が一対の横桟81間に挟持されるようになっている。
【0066】
かかるタッチパネル固定枠80には、縦桟82に前記タッチパネル70の接続端子71に対応した位置に凹設された端子嵌込み溝83が凹設されていると共に、略中央位置に縦桟側係合孔84が穿設されている。また、横桟81には、左端部寄りの位置にそれぞれ横桟側係合孔85が穿設されている。
【0067】
一方、筐体50のパネルボード51の裏面側には、図3に示すように、操作パネル装着空間Vにおける表示窓53の右方位置に前記縦桟側係合孔84に対応した縦桟側係合突起511が突設されていると共に、同左方位置より若干表示窓53側へ寄った位置に前記一対の横桟側係合孔85に対応した前方横桟側係合突起512および後方横桟側係合突起513が突設されている。
【0068】
さらに、パネルボード51の裏面側には、表示窓53の図4における左方位置に、前後方向に延びる一対の位置決め突条514が突設され、タッチパネル70は、左縁部がこれらの位置決め突条514に当止されることによって左方へずれるのが防止されるようになっている。
【0069】
そして、一対の横桟81によって挟持された状態のタッチパネル固定枠80の縦桟側係合孔84が縦桟側係合突起511に外嵌されると共に、一対の横桟側係合孔85がそれぞれ対応した前方横桟側係合突起512および後方横桟側係合突起513に外嵌されることにより、タッチパネル70を備えたタッチパネル固定枠80が筐体50の操作パネル装着空間Vに装着されるようになっている。
【0070】
前記絶縁シート90は、操作者の指先に帯電している静電気や、タッチパネル70に対する押圧操作等で発生する静電気などを吸収してLCD60内の基板に悪影響を及ぼさないようにするためのものであり、平面視でタッチパネル固定枠80の輪郭寸法と略同一に寸法設定されている。本実施形態においては、当該絶縁シート90の表面が本発明に係る操作面を構成している。
【0071】
かかる絶縁シート90の図4における右縁部上面(図4では下面)には、短尺方向の全長に亘って貼着された粘着両面テープ91(テープ基材の両面に粘着剤が塗布されてなるテープ)が貼着されていると共に、この粘着両面テープ91をも含めた状態で穿設された、前記パネルボード51の縦桟側係合突起511に対応する右短尺側係合孔92が穿設されている。また、絶縁シート90の前方縁部には、前記パネルボード51の前方横桟側係合突起512に対応した位置に前方長尺側係合孔93が穿設されている。この前方長尺側係合孔93は、絶縁シート90の長手方向に長尺の長孔によって形成されている。
【0072】
前記粘着両面テープ91は、絶縁シート90をパネルボード51に装着して表示窓53を塞ぐに際し、当該パネルボード51における表示窓53の直ぐ右側に粘着させるためのものであり、前記右短尺側係合孔92は、縦桟側係合突起511に係合させるためのものであり、前記前方長尺側係合孔93は、前方横桟側係合突起512に係合させるものである。
【0073】
かかる絶縁シート90の図4における左端縁部には、左方に向けて突設された摘み片94が設けられ、装着された絶縁シート90をパネルボード51から取り外すに際し、この摘み片94を指で摘んで容易に引き剥がすことができるようになっている。
【0074】
つぎに、LCD60、タッチパネル70、タッチパネル固定枠80および絶縁シート90のパネルボード51への組み付けについて説明する。これらをパネルボード51に組み付けるに際しては、まず最初に絶縁シート90の右短尺側係合孔92をパネルボード51の縦桟側係合突起511に嵌め込み、この状態で絶縁シート90の図4における右縁部をパネルボード51に押し付ける。こうすることによって絶縁シート90の短尺側の右縁部が位置決め状態でパネルボード51に粘着される。
【0075】
引き続き前方長尺側係合孔93をパネルボード51の前方横桟側係合突起512に嵌め込むことによって絶縁シート90のパネルボード51への装着が完了する。
【0076】
ついで、タッチパネル固定枠80の縦桟側係合孔84および一対の横桟側係合孔85をそれぞれ対応したパネルボード51の縦桟側係合突起511、前方横桟側係合突起512および後方横桟側係合突起513に外嵌することにより、タッチパネル固定枠80がパネルボード51に装着され、これによって絶縁シート90の縁部の浮き上がりが防止された状態になる。
【0077】
引き続き、タッチパネル70をタッチパネル固定枠80の一対の横桟81間に嵌め込み、最後にタッチパネル70にLCD60を被せた状態で当該LCD60を所定の係止手段によりパネルボード51に係止することによってLCD60、タッチパネル70、タッチパネル固定枠80および絶縁シート90のパネルボード51への装着が完了する。
【0078】
そして、このように構成された第1実施形態の操作パネル装置40においては、表示窓53の後方縁部531に複数(本実施形態においては4つ)の紫外線ランプ(殺菌手段)21が等間隔で装着され、絶縁シート90の表面がこれらの紫外線ランプ21から照射される紫外線に曝されるようになっている。
【0079】
本実施形態においては、紫外線ランプ21として紫外線を照射し得るLED(light emitting diode)を用いたものが採用され、これによって紫外線ランプ21は充分な小型化が実現している。かかる紫外線ランプ21は、図4に示すような扁平な矩形状のケーシング211の内部にLEDが装着されることによって形成され、前縁部に設けられた横長のスリット状の照射口211aから扇状に先広がりに広がった紫外線を絶縁シート90に向けて照射し(図3参照)、これによってタッチパネル70を覆った絶縁シート90の表面に殺菌処理を施すようになっている。
【0080】
紫外線ランプ21を表示窓53の後方縁部531に装着するために、パネルボード51の後方縁部531に臨んだ部分には、紫外線ランプ21を装着し得る装着凹部515が凹設されている。装着凹部515の後方隅部には、紫外線ランプ21に電力を供給するための接続端子515aが設けられ、紫外線ランプ21のケーシング211の後方縁部をこの接続端子515aに外嵌することにより、ケーシング211内のLEDが所定のスイッチを介して図略の電源と電気的に接続されるようになっている。
【0081】
そして、本実施形態においては、タッチパネル70に対しタッチングによる入力操作が開始されたときに当該タッチングが検出され、この検出結果に基づいて紫外線ランプ21に電力が供給されると共に、タッチングが検出されなくなった後も当該電力供給状態が所定時間継続されるようになっている。従って、タッチパネル70に対し入力操作が実行されると、その後所定時間に亘ってタッチパネル70を被覆した絶縁シート90に紫外線が照射され、これによって絶縁シート90に対し殺菌処理が施されることになる。予め設定された時間が経過すると、紫外線ランプ21は消灯される。
【0082】
図5は、図3に示すタッチパネル装置20のA−A線断面図である。なお、図5においては、各部品の厚み寸法については誇張して示している。図5に示すように、LCD60、タッチパネル70、タッチパネル固定枠80および絶縁シート90がパネルボード51に装着された状態では、最下層にLCD60が配され、その上にタッチパネル70、タッチパネル固定枠80に保持されたタッチパネル70および絶縁シート90が順次積層された状態でこれらが所定の係止手段によってパネルボード51に係止され、これによって絶縁シート90がパネルボード51の表示窓53に臨んだ状態になっている。
【0083】
そして、絶縁シート90は、図5における左方の短辺側の縁部が合突起511によって位置決めされた状態で粘着両面テープ91がパネルボード51の裏面に粘着され、かつ、長手方向に長尺の長孔からなる前方長尺側係合孔93の中央部がパネルボード51の前方横桟側係合突起512に遊嵌されている。
【0084】
したがって、タッチパネル装置20の存在する環境の温度変化によって絶縁シート90が粘着両面テープ91の位置を起点にして長手方向(図5における左右方向)に伸縮しても、前方長尺側係合孔93が前方横桟側係合突起512に対して移動してその伸縮を吸収するため、特に当該絶縁シート90が低温環境から高温環境に移されたときに伸張し、これによって波打った状態になるような不都合の発生が確実に防止される。
【0085】
また、表示窓53の後方縁部531には、左右方向に等ピッチで複数の紫外線ランプ21が設けられているため、絶縁シート90には、これらの紫外線ランプ21からの紫外線が略死角のない状態で照射され、これによって絶縁シート90の表面に殺菌処理が施される。従って、不特定多数の公衆が操作パネル装置40に対して入力操作を行うべく絶縁シート90をタッチしても、指先から絶縁シート90に細菌が移るようなことがあっても紫外線によって確実に殺菌されるため、細菌の繁殖で絶縁シート90が不衛生になるような不都合の発生を確実に防止することができる。
【0086】
図6は、操作パネル装置40の第2実施形態を示す斜視図である。第2実施形態の操作パネル装置40は、殺菌手段としての紫外線ランプ22として真空管方式の長尺のものが採用され、この紫外線ランプ22の複数本が左右方向に延びた状態でLCD60とタッチパネル70との間に介設されている。
【0087】
紫外線ランプ22をLCD60とタッチパネル70との間に介設するために、LCD60のケーシング61の上面には紫外線ランプ22が嵌り込み得る左右方向に延びた複数条の装着溝62が凹設され、各紫外線ランプ22は、これらの装着溝62に嵌め込まれた状態でLCD60とタッチパネル70との間に介設されている。
【0088】
紫外線ランプ22の設置本数については、表示窓53の広さや紫外線ランプ22の照度等の条件に応じて紫外線が表示窓53の略全域に行き渡るように設定される。このような第2実施形態の操作パネル装置40におけるその他の構成については第1実施形態のものと同様である。
【0089】
そして、第2実施形態の操作パネル装置40においては、画像形成装置10を使用していない状態(例えば、スリープモード時や人感センサ等で人が近傍にいないことが確認されているとき等)で紫外線ランプ22が点灯され、紫外線ランプ22からの紫外線がタッチパネル70および絶縁シート90を透過することによって絶縁シート90の表面に殺菌処理を施す一方、所定のセンサにより絶縁シート90に指先が触れたことが検出された状態で下部フレーム22への電力の供給を停止するようになされている。従って、オペレータが操作パネル装置40から絶縁シート90を介してタッチングによる入力操作を行うに際しては、紫外線ランプ22が消灯された状態になる。
【0090】
第2実施形態の操作パネル装置40によれば、画像形成装置10が不使用のときに絶縁シート90に対して殺菌処理が施されるため、入力操作時に紫外線が目に入るような不都合の発生を確実に防止することができる。また、たとえ画像形成装置10の使用中に指先の細菌が絶縁シート90に付着しても、使用を止めたときに紫外線ランプ22から照射される紫外線によって絶縁シート90に対し殺菌処理が施されるため、不都合の生じることはない。
【0091】
図7は、操作パネル装置40の第3実施形態を示す斜視図である。なお、図7におけるXおよびYによる方向表示は図1の場合と同様である。第3実施形態の操作パネル装置40は、殺菌手段として殺菌液噴霧手段23が採用され、この殺菌液噴霧手段23からの殺菌液の噴霧で絶縁シート90の表面に殺菌処理を施すようになっている。殺菌液としては、メチルアルコール液や過酸化水素水等を挙げることができる。
【0092】
殺菌液噴霧手段23は、図7に示すように、空気を圧送する圧送ポンプ231と、この圧送ポンプ231によって圧送される空気を流通させる圧送配管232と、圧送配管232に介設されたオリフィス233と、このオリフィス233に連通した薬液容器234と、圧送配管232の下流端に接続されて薬液容器234からの殺菌液を絶縁シート90に向けて噴霧する複数の噴霧ノズル235とを備えて構成されている。
【0093】
前記圧送配管232は、上流端が圧送ポンプ231に接続された圧送本管232aと、この圧送本管232aの下流端から分岐された複数本の圧送支管232bとからなっている。各圧送支管232bは、それぞれの下流端が対応した各噴霧ノズル235に接続されている。そして、前記オリフィス233は、圧送本管232aの適所に介設され、圧送ポンプ231から圧送された空気がこのオリフィス233を通過することによるエジェクター効果により薬液容器234内の殺菌液が霧状になってオリフィス233の下流側の圧送本管232aへ向けて送出されるようになっている。
【0094】
前記噴霧ノズル235は、パネルボード51の前記装着凹部515に第1実施形態の紫外線ランプ21に代えて装着されている。かかる噴霧ノズル235は、装着凹部515に合わせて扁平な矩形状に立体形状が設定され、これによって安定した状態で装着凹部515に装着され得るようになっている。このような噴霧ノズル235における表示窓53に対向した縁面には、左右方向に細長いスリット状の噴霧口235aが設けられ、霧状の殺菌液がこの噴霧口235aから絶縁シート90へ向けて噴霧されるようになっている。
【0095】
そして、第3実施形態の操作パネル装置40においては、画像形成装置10を使用していない状態で圧送ポンプ231が予め設定された時間だけ間欠的に駆動され、これによって絶縁シート90の表面に殺菌液による殺菌処理が施される一方、所定のセンサにより絶縁シート90に指先が触れたことが検出された状態で圧送ポンプ231が停止されるようになっている。従って、オペレータが操作パネル装置40から絶縁シート90を介してタッチングによる入力操作を行うに際しては、噴霧ノズル235からの殺菌液の噴霧が停止される。
【0096】
第3実施形態の操作パネル装置40によれば、画像形成装置10が不使用のときにのみ絶縁シート90に対して殺菌液の噴霧による殺菌処理が施されるため、入力操作時に指先が噴霧された殺菌液を被るような不都合の発生が防止される。また、たとえ画像形成装置10の使用中に指先の細菌が絶縁シート90に付着しても、使用を止めたときに噴霧ノズル235から噴霧される殺菌液によって絶縁シート90に対し殺菌処理が施されるため、不都合の生じることはない。
【0097】
以上詳述したように、本発明に係る操作パネル装置40は、所定の機器、例えば、複写機で代表される画像形成装置や、駅、劇場、映画館等の券売機、あるいはカード入力で現金を出納する現金出納機等の機器に対して入力操作を行うために使用される操作面(本実施形態においては絶縁シート90の表面)を備えたものであり、操作面に対して直接的に殺菌処理を施す殺菌手段(第1および第2実施形態では紫外線ランプ21,22、第3実施形態では殺菌液噴霧手段23)が設けられているため、従来のように操作パネル装置40を構成する部材に抗菌剤を練り込んだ間接的に殺菌処理を施すものに比較し、優れた殺菌効果を得ることができる。
【0098】
すなわち、操作パネル装置40を構成する部材に抗菌剤を練り込んだものの場合は、抗菌剤の存在する近辺だけが殺菌性能を備えているが、抗菌剤の存在しない部分で殺菌性能が発揮されず、これによって均一な殺菌処理が実現し難いという不都合が生じるが、本発明では、操作面に対して直接的に殺菌処理を施すため、このような不都合は生じない。
【0099】
しかも、本発明においては、抗菌剤を樹脂に練り込むような面倒な操作を行う必要がないため、その分製造コストの低減化に貢献することができる。
【0100】
さらに、操作パネル装置40を廃棄処分したときに、当該操作パネル装置40から銀が環境に溶出してしまうような不都合が生じず、操作パネル装置40を環境保全に役立つものにすることができる。
【0101】
そして、第1および第2実施形態においては、殺菌手段として殺菌性能を有する光(第1および第2実施形態においては紫外線)を操作面に照射する紫外線ランプ(殺菌ランプ手段(殺菌手段))21,22が採用されているため、紫外線ランプ21,22からの光を操作パネル装置40の操作面である絶縁シート90に照射することにより絶縁シート90に殺菌処理が施される。従って、不特定多数の公衆が絶縁シート90にタッチして操作パネル装置40に対する入力操作を行うことで指先から細菌が絶縁シート90に移るようなことがあっても、絶縁シート90に移った細菌を光線によって確実に殺菌することができるため、絶縁シート90を常に衛生的な状態に維持することができる。しかも、殺菌手段として紫外線を照射する紫外線ランプ21,22を採用するだけで済ませることができ、装置コストの低減化に貢献することができる。
【0102】
特に第1実施形態においては、紫外線ランプ21からの光線を絶縁シート90の外部から照射するようにしているため、指先が直接タッチする絶縁シート90の表側を常に確実に殺菌した状態にすることができる。
【0103】
また、第2実施形態においては、紫外線ランプ22からの光線を絶縁シート90の裏面側から照射するようにしているため、紫外線ランプ22が入力操作の邪魔になるようなことはなく、紫外線ランプ22の設置位置の自由度を向上させることができる。
【0104】
また、第3実施形態においては、殺菌手段として殺菌液を操作面に噴霧する殺菌液噴霧手段23が採用されているため、当該殺菌液噴霧手段23によって殺菌液を操作パネル装置40の操作面である絶縁シート90に噴霧することにより絶縁シート90に対し殺菌処理を施すことができる。従って、不特定多数の公衆が絶縁シート90にタッチして入力操作を行っても、指先から絶縁シート90に移った細菌を殺菌液により即座に殺菌することができ、これによって入力操作の操作面である絶縁シート90の表面を常に衛生的な状態に維持することができる。また、殺菌手段として殺菌液噴霧手段23を採用するだけで済ませることができ、装置コストの低減化に貢献することができる。
【0105】
そして、上記の各実施形態においては、入力操作が必要な機器として所定の画像情報に基づき被転写体(用紙P)に画像を転写する画像形成装置10が採用されているため当該画像形成装置10の操作パネル装置40が実施形態1〜3の操作パネル装置40の作用効果を備えたものになる。
【0106】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0107】
(1)上記の実施形態においては、本発明に係る操作パネル装置40が適用される機器として複写機やファクシミリ装置あるいはプリンタ等として使用される画像形成装置10を挙げているが、本発明は、操作パネル装置40の適用される機器が画像形成装置10であることに限定されるものではなく、駅や劇場、映画館等の券売機、あるいはカード入力で現金を出納する現金出納機等の不特定多数の者が入力操作を行う可能性のある各種の機器にも適用することができる。
【0108】
(2)第1実施形態の紫外線ランプ21は、表示窓53の後方縁部531に設けられているが、本発明は、紫外線ランプ21を表示窓53の後方縁部531に設けることに限定されるものではなく、表示窓53の前方縁部や側方縁部に設けてもよいし、これらの位置以外の場所に紫外線ランプ21専用のスタンドを設けてこのスタンドに紫外線ランプ21を装着するようにしてもよい。
【0109】
(3)上記の第2実施形態においては、紫外線ランプ22がLCD60とタッチパネル70との間に介設されているが、本発明は、紫外線ランプ22が紫外線ランプ22とタッチパネル70との間に介設されることに限定されるものではなく、例えば表示窓53から外れた位置に紫外線ランプ22を設け、この紫外線ランプ22からの紫外線をミラーで反射させることにより表示窓53に導くなど、紫外線ランプ22について各種の配置形態を採用することができる。
【0110】
(4)上記の第1および第2実施形態においては、タッチパネル70の上に絶縁シート90が積層されているが、本発明は、タッチパネル70の上に絶縁シート90を積層することに限定されるものではなく、状況によっては特に絶縁シート90を設けることなくタッチパネル70を直接タッチするようにしてもよい。
【0111】
(5)上記の実施形態においては、操作パネル装置40の操作面は絶縁シート90の表面になっているが、本発明は、操作面が絶縁シート90の表面であることに限定されるものではなく、例えば、絶縁シート90が採用されない場合には、タッチパネル70そのものの表面が操作面になる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る操作パネル装置が適用された画像形成装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の一の内部構造の概略を示す正面断面視の説明図である。
【図3】操作パネル装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す操作パネル装置を上下反転させて裏面側から見た分解斜視図である。
【図5】図3に示すタッチパネル装置のA−A線断面図である。
【図6】操作パネル装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図7】操作パネル装置の第3実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0113】
10 画像形成装置 11 装置本体
111 排紙トレイ 112 排紙搬送路
113 返送搬送路 114 反転搬送路
12 原稿読取部 121 原稿供給部
122 原稿トレイ 123 原稿排紙トレイ
124 原稿送り部 125 光学系ユニット
126 コンタクトガラス
126a 載置原稿用コンタクトガラス
126b 自動給紙用コンタクトガラス
13 画像形成部
131 感光体ドラム 132 現像装置
133 帯電部 134 露光部
135 クリーニング装置 136 搬送ベルト
137 駆動ローラ 138 従動ローラ
14 定着部 141 ヒートローラ
142 加圧ローラ 15 用紙貯留部
151 用紙トレイ 152 ピックアップローラ
153 給紙搬送路 16 用紙反転部
161 中間トレイ 162 切換ガイド
163 反転ローラ対 20 入力部
211a 照射口
21,22 紫外線ランプ(殺菌ランプ手段(殺菌手段))
23 殺菌液噴霧手段(殺菌手段)
231 圧送ポンプ
232 圧送配管 232a 圧送本管
232b 圧送支管 233 オリフィス
234 薬液容器 235 噴霧ノズル
235a 噴霧口 30 支持フレーム
31 前方枠 32 後方枠
33 側方枠 40 操作パネル装置
50 筐体 51 パネルボード
511 縦桟側係合突起 512 前方横桟側係合突起
513 後方横桟側係合突起 514 位置決め突条
515 装着凹部 52 周壁
53 表示窓 531 後方縁部
54 第1操作域 541 電源スイッチ
542 テンキー 543 スタートキー
55 第2操作域 551 モード設定キー
56 除菌パット(払拭パット) 60 LCD
61 ケーシング 62 装着溝
70 タッチパネル 71 接続端子
80 タッチパネル固定枠 81 横桟
82 縦桟 83 端子嵌込み溝
84 縦桟側係合孔 85 横桟側係合孔
90 絶縁シート(操作面) 91 粘着両面テープ
92 右短尺側係合孔 93 前方長尺側係合孔
94 摘み片 P 用紙(被転写体)
V 操作パネル装着空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機器に対して所定の動作を行わせるべく入力操作を行うための操作面を備えた操作パネル装置であって、
前記操作面に対して直接的に殺菌処理を施す殺菌手段が設けられていることを特徴とする操作パネル装置。
【請求項2】
前記殺菌手段は、殺菌性能を有する光を前記操作面に照射する殺菌ランプ手段であることを特徴とする請求項1記載の操作パネル装置。
【請求項3】
前記殺菌ランプ手段は、前記操作面の表面側から当該操作面に光を照射するものであることを特徴とする請求項2記載の操作パネル装置。
【請求項4】
前記殺菌ランプ手段は、前記操作面の裏面側から当該操作面に光を照射するものであることを特徴とする請求項2記載の操作パネル装置。
【請求項5】
前記殺菌手段は、殺菌性能を有する殺菌液を前記操作面に噴霧する殺菌液噴霧手段であることを特徴とする請求項1記載の操作パネル装置。
【請求項6】
前記操作面の近傍に指先を拭う払拭パットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の操作パネル装置。
【請求項7】
少なくとも液晶ディスプレイとタッチパネルとを備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の操作パネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−204824(P2006−204824A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24571(P2005−24571)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】