操作レバー取付構造
【課題】背負式作業機の樹脂成形品からなる架台に操作レバー装置を直接取付可能とする操作レバー取付構造を提供する。
【解決手段】このスロットルレバー取付構造は、作業者の背中に背負われるとともに作業機本体部が設けられる合成樹脂製の架台11と、作業機本体部を操作するための操作レバーとを備える背負式作業機で用いられる。このスロットルレバー取付構造においては、前記スロットルレバーを有するスロットルレバー装置を架台11に取り付けるものである。スロットルレバー装置は、スロットルレバーと、スロットルレバーを回転自在に支持する回転支持部とを備える。架台11のスロットルレバー装置を取り付ける取付部58に、回転支持部に係合して、回転支持部を回り止めする第1係止部51および第2係止部52が架台11と一体に成形されている。
【解決手段】このスロットルレバー取付構造は、作業者の背中に背負われるとともに作業機本体部が設けられる合成樹脂製の架台11と、作業機本体部を操作するための操作レバーとを備える背負式作業機で用いられる。このスロットルレバー取付構造においては、前記スロットルレバーを有するスロットルレバー装置を架台11に取り付けるものである。スロットルレバー装置は、スロットルレバーと、スロットルレバーを回転自在に支持する回転支持部とを備える。架台11のスロットルレバー装置を取り付ける取付部58に、回転支持部に係合して、回転支持部を回り止めする第1係止部51および第2係止部52が架台11と一体に成形されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負式動力噴霧機等の背負式作業機の架台にこの架台に対して回転する操作レバーを取り付けるための操作レバー取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背負った状態で作業を行う背負式作業機として、農薬散布等に使用される背負式動力噴霧機が知られている。
この背負式動力噴霧機には、作業者が背負う架台を備え、この架台に薬液等の液体が貯留される薬剤タンクと、薬剤タンクに貯留された液体を噴霧するポンプと、ポンプを駆動する内燃エンジンとを備えており、この内燃エンジンの出力を調節するスロットルレバー装置(操作レバー装置)が前記架台に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スロットルレバー装置は、例えば、内燃エンジンのスロットルバルブの開閉を操作するためのスロットルワイヤが接続された状態で、スロットルレバーを回転させることでスロットルワイヤのインナーワイヤを引っ張る構造となっている。
したがって、スロットルレバー装置は、回転させる際のガタツキ防止のため、回転するスロットルレバーに対して、このスロットルレバーの基端部を回転自在に支持する回転支持部が、架台に回転不可となるように固定されている必要がある。
【0004】
前記特許文献1においては、ステーを架台に固定し、このステーにスロットルレバー装置の回転支持部が回転不可となるように固定されている。
すなわち、図13から図16に示すように、樹脂製の架台1の取付片2にステー3がボルトとナットにより2箇所で締結され、このステー3にスロットルレバー装置4が一本のねじ部材で締結されている。
スロットルレバー装置4は、スロットルレバー5と、スロットルレバー5の基端部を回転自在に支持する回転支持部6とを備え、スロットルレバー5にスロットルワイヤ7のインナーワイヤが接続され、回転支持部6にアウタ8が接続されている。
【0005】
ステー3には、回転支持部6のベース部分が挿入される凹部9が形成され、回転支持部6のベース部分には、この凹部9に嵌合する凸部10が設けられている。そして、凹部9の角度の異なる複数の内側面と、凸部10の角度の異なる複数の外側面とが当接することで、スロットルレバー装置4の回転支持部6は、一本のねじ部材で固定されていてもステー3に回転不可となるように固定される。
【0006】
また、背負式動力噴霧機では、架台と薬剤タンクとをブロー成形により一体成形しているものが知られており、架台が、ブロー成形で形成されることにより、内部空間を有するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4107950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、背負式動力噴霧機の製造において、ブロー成形で架台と薬剤タンクとを一体成形することにより、部品点数および組立工数を削減してコストの低減を図ることが可能となるが、上述のように、架台にステーを2本以上のボルトとナット等で締結し、このステーにさらに、スロットルレバー装置を回転不可となるように取り付ける必要があるので、背負式動力噴霧機の組立てに手間がかかっており、さらなる部品点数および組立て工数の削減によるコストの低減が望まれている。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、背負式作業機の樹脂成形品からなる架台に操作レバー装置を直接取付可能とする操作レバー取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の操作レバー取付構造は、作業者の背中に背負われるとともに作業機本体部(15)が設けられる合成樹脂製の架台(11)と、前記作業機本体部(15)を操作するための操作レバー(41)とを備える背負式作業機に用いられ、前記操作レバー(41)を前記架台(11)に取り付けるための操作レバー取付構造であって、前記操作レバー(41)と、当該操作レバー(41)を回転自在に支持する回転支持部(42)とを備える操作レバー装置(40)を備え、前記架台(11)の前記操作レバー装置(40)を取り付ける取付部(58)に、前記回転支持部(42)に係合して、当該回転支持部(42)を回り止めする係止部(51,52)が前記架台(11)と一体に成形されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、操作レバーを有する操作レバー装置の回転支持部に係合して回転支持部の回り止めをする係止部が架台に一体成形されているので、回転支持部を一本のねじ部材で締結するものとしても、回転支持部が架台に対して回転してしまうのを防止することができる。
すなわち、ステーを用いることなく、操作レバー装置を合成樹脂製の架台に取り付けることが可能となり、部品点数および組立て工数の削減を図ってコストを低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の操作レバー取付構造は、請求項1に記載の発明において、前記係止部(51)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)が取り付けられる取付面(53)に形成された段差(64,65)を備え、前記取付面(53)が段差(64,65)を境として突出する側となる上取付面(56)と凹む側となる下取付面(57)とに分けられ、前記取付面(53)は、前記架台(11)の成形時に型から当該架台(11)を取り出す際の前記型の前記架台(11)に対する相対的移動方向に、ほぼ沿った面方向とされ、かつ、前記段差(64,65)を境として前記型の移動方向の一方側と他方側にはそれぞれ前記上取付面(56)または前記下取付面(57)のいずれか一方のみが配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、合成樹脂の成形品である架台に回り止めとなる凹部を形成する場合に、成形用の型から前記凹部の部分が抜けるようにする必要がある。この場合に、架台の他の部分の形状との関係で、例えば、固定金型と可動金型との二分割ではなく、さらに割り型を設ける必要が生じる可能性があり、架台の成形コストの増大を招く虞がある。そこで、取付面に回り止めとなる係止部として機能する段差を設け、段差部分に回転支持部を係合させて回転止めとする。また、取付面を形成する型から架台を取り出す際の型の相対的移動方向を取付面の面方向とほぼ同じとする。さらに、取付面には、段差を境に突出する側の上取付面と、凹む側の下取付面とが形成されるが、型の前記移動方向に沿って段差の一方側には上取付面だけが形成され、段差の他方側には下取付面だけが形成されている。すなわち、段差を境として型の前記移動方向に沿った一方側と他方側とがそれぞれ略面一となるように、略一つの平面で形成されていることになる。これにより、段差があっても容易に型を移動して、架台を型から取り出すことができる。なお、型が移動可能であれば、上取付面および下取付面に多少の凹凸があってもよい。
【0014】
この場合に、架台の側面に取付面が形成されている場合に、架台の側面に沿って型から成形品としての架台を取り外すような構成となり、他の架台の部分を考慮しても段差部分の設計も容易となる。
【0015】
請求項3に記載の操作レバー取付構造は、請求項2に記載の発明において、前記段差(64,65)が互いに略直交する二つの直線状の段差(64,65)部分からなる略L字状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明においては、段差が略L字状となっていることで、例えば、操作レバーを回転支持部に対して正方向および逆方向の両方に回転させる場合に、一方の段差部分が回転支持部の正方向への回転の回り止めとして機能し、他方の段差部分が回転支持部の逆方向への回転の回り止めとして機能し、段差により操作レバー装置の両方向への回転を回り止めすることができる。
また、段差が略L字状なので、一方の段差部分が型の架台に対する相対的移動方向に沿い、他方の段差部分が型の架台に対する相対的に移動方向に直交した状態から、他方の段差部分が型の架台に対する相対的移動方向に沿い、一方の段差部分が型の架台に対する相対的に移動方向に直交した状態まで、段差部分の角度を略90度の範囲内で設計変更可能となる。これにより、設計の自由度を大きくすることができる。
【0017】
請求項4に記載の操作レバー取付構造は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記係止部(52)は、前記取付面(53)から膨出するとともに、前記回転支持部(42)の凹部(44)に係合する凸部(63)を備え、当該凸部(63)の表面が、前記取付面(53)に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出していることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明においては、操作レバー装置の回転支持部を回り止めする係止部として、回転支持部の凹部に係合し、かつ、前記取付面から膨出する凸部を備えるので、これにより、操作レバー操作時の回転支持部の回転を止めることができる。
また、取付面に凸部を設けた場合に、取付面に凹部を設けた場合と同様に架台の成形時に型から架台を離型するのが難しくなり、例えば、型の相対的移動方向が、凸部の高さ方向や、凹部の深さ方向に限定される虞がある。
この発明においては、前記凸部の表面が取付面に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出しているので、離型する際に凸部およびその周辺の弾性変形による無理抜きが可能となっている。
したがって、特に型の移動方向に左右されることなく、係止部として凸部を成形することが可能であり、合成樹脂の成形においても、容易に凸部を形成して、回転支持部の回転を防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の操作レバー装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記架台(11)には、この架台と一体にブロー成形される中空のタンク部(12)が設けられるとともに、前記架台(11)およびタンク部(12)のブロー成形時に押し潰されて中実となる潰し部(22)が設けられ、前記取付部(58)は、前記架台(11)の側面のうちの前記潰し部(22)となる部分の側面に設けられ、前記架台(11)の前記側面の前記取付部(58)の上に、前記取付部(58)に取り付けられた操作レバー装置(40)の上側を覆う傘部(32)が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明においては、架台がブロー成形により形成されているので、例えば、背負式作業機として背負式動力噴霧機などに適用した場合に、架台と内部が中空のタンク部(薬剤タンク)とを一体に成形することが可能となる。しかし、中空部があることで、取付部を板状に形成することが難しくなるが、ブロー成形時に押し潰されて中実となる潰し部に、係止部を有する取付部を形成しているので、成形が容易となり、架台の設計が容易となる。
また、一体に成形された傘部により防滴性能を高めることができる。
【0021】
請求項6に記載の操作レバー装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記架台(11)の側面の前記架台(11)の作業者側となる前面と底面との角部の上側近傍に前記取付部(58)が設けられ、前記操作レバー(41)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)から前記角部に向って斜め下向きに設置されていることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明においては、取付部が架台の側面に配置されるとともに、架台の前面と底面との角部の上側近傍に配置されている。操作レバーは、取付部に回転支持部が取り付けられた状態で、回転支持部から角部に向って斜め下向きに配置される。
よって、操作レバーは、架台の側面の下側の角部側で、架台の側面の範囲内に配置され、操作レバーが架台の側面の範囲の外側に突出しないように配置することができる。これにより、背負式作業機を梱包するような場合に、操作レバーの側面から側面の外側に突出する部分を保護するための保護部材を設けるような必要がなくなり、梱包を容易にすることができる。
また、操作レバーが架台の側面の下側の角部に配置されるとともに、斜め下向きに配置されることで、作業者の背中側の位置に操作レバーが配置されていても、操作レバーを容易に操作することができる。
【0023】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の背負式作業機によれば、操作レバー取付構造において、ステーなしで架台に操作レバー装置を直接取り付けることが可能となり、部品点数および組立て工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作レバー取付構造を備える背負式噴霧機を示す側面図である。
【図2】前記背負式噴霧機を示す背面図である。
【図3】前記背負式噴霧機の薬剤タンクと一体に成形された架台を示す背面図である。
【図4】前記架台を示す正面図である。
【図5】前記架台を示す側面図である。
【図6】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられる部分を示す要部斜視図である。
【図7】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられる部分を示す要部側面図である。
【図8】前記スロットルレバー装置を示す斜視図である。
【図9】前記スロットルレバー装置を示す側面図である。
【図10】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられた部分を示す要部断面図である。
【図11】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられた部分を示す要部正面図である。
【図12】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられた部分を示す要部側面図である。
【図13】従来のステーに取り付けられたスロットルレバー装置を示す側面図である。
【図14】従来の架台にステーを介して取り付けられたスロットルレバー装置を示す正面図である。
【図15】従来のスロットルレバー装置を示す斜視図である。
【図16】従来のステーを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
ここで、操作レバー取付構造を説明する前に、操作レバー装置としてのスロットルレバー装置40が取り付けられる背負式動力噴霧機について説明する。
図1から図12に示すように、この例の操作レバー取付構造を有する背負式動力噴霧機(背負式作業機)は、作業者に背負われる架台11と、この架台11と一体に成形された薬剤タンク12と、架台11に支持されるとともに内燃エンジン13およびポンプ14を有する作業機本体部15と、図示しないノズルパイプを備えた図示しないホースと、架台11を背負うための背負ベルト16とを備えている。
【0027】
前記架台11は、作業者に背負われた際に作業者の背中に当てられ、略垂直に配置される背当部18と、垂直に配置された背当部18の下端部から、作業者の背中から離れるように略水平に後方に延出する台座部19と、背当部18の下端部を除く部分から後方側に向かって膨らんだ状態に設けられる前記薬剤タンク12とを備えている。
これら背当部18、台座部19、薬剤タンク12は、図3および図6に示すように、ブロー成形により一体成形されている。また、背当部18には、図1に示すようにクッション17が取り付けられている。
【0028】
また、一体に成形された架台11および薬剤タンク12においては、架台11の底部(下端部)となる台座部19と、背当部18および薬剤タンク12との接合部21、すなわち、背当部18の台座部19の直上となる部分に、左右の中央部に前後に連通する貫通孔23が形成されており、この貫通孔23によって接合部21が左右に分割された状態となっている。すなわち、接合部21は、左右一対となるように設けられている。
これら一対の接合部21の部分は、薬剤タンク12の内部と台座部19の内部とを分離するようにブロー成形時に型により潰されて内部空間が無い潰し部22となっている。
図3に示すように、潰し部22では、背当部18側(作業者の背中を向く側)が凹部となるように型により潰されている。
【0029】
したがって、薬剤タンク12は、背当部18の後方側で接合部21より上の部分となっている。薬剤タンク12の上端部には、大きな径の開口を有する円筒状の開口筒部25が形成され、図1,2に示すように、この開口筒部25に蓋26が取り付けられるようになっている。
台座部19の上側には、前記内燃エンジン13と、この内燃エンジン13で駆動されるポンプ14とが作業機本体部15として固定されている。なお、内燃エンジン13が台座部19に固定され、内燃エンジン13にポンプ14が固定されている。
【0030】
図4に示すように、架台11の背当部18の上部で、前記薬剤タンク12の開口筒部25より少し下側の作業者側となる面には、左右一対のホルダ部27が設けられている。図5に示すように、これらのホルダ部27の上部には、それぞれ、図示しないノズルパイプを保持するように左右に延在する溝部28が形成されている。
【0031】
図1および図2に示すように。左右の接合部21のうちの左側(架台11を背負う作業者の左側と同じ側)の接合部21の左側面には、スロットルレバー装置40が取り付けられている。
この接合部21の左側面には、図5から図7に示すように、スロットルレバー装置40の取付部58に取付面53が形成されている。
この取付面53には、係止部として、第1係止部51および第2係止部52が設けられている。これら第1係止部51および第2係止部52は、架台1の成形時に架台1と一体に成形されている。
【0032】
第1係止部51は、取付面53に形成された2つの段差64,65からなるものであり、これら段差64,65は、互いに直交するように配置されるとともに、その交点部分で一体に接続された状態に形成されている。また、段差64と段差65が接合されて形成される角部は、Rが付けられて円弧状とされている。また、段差64と段差65とを合わせた形状が略L字状とされている。なお、この例において、各段差64、65は、水平方向(鉛直方向)に対して略45度で、かつ、互いに90度異なる角度となっている。
【0033】
取付面53は、これら段差64、65を境にして、接合部21の側面から側方に突出する側となる上取付面56と、接合部21の側面から凹んだ側の下取付面57とに区分されている。
これら二つの段差64,65が、取付面53に取り付けられたスロットルレバー装置40に対して、エンジン出力を上げる側のスロットルレバー41の回転方向(例えば、正方向)と、エンジン出力を戻す側のスロットルレバー41の回転方向(例えば、逆方向)との両回転方向に対する回り止めとして機能する。
この段差64,65の段差面には、後述のスロットルレバー装置40の回転支持部42の底部(下支持部48)に形成された突出部43の互いに略直交する側面61,62(段差54,55の段差面)が当接するようになっている。
【0034】
また、段差64,65における上取付面56と下取付面57との間の距離、すなわち段差64,65の間隔は、前記突出部43が形成される回転支持部42の底面から前記突出部43の先端面までの距離より短くされており、回転支持部42を締結した際に、取付面53部分が変形し、突出部43の後述の段差54,55の段差面に、取付面53の段差64,65の段差面が押し付けられる状態となり、より確実にスロットルレバー装置40のがたつきを防止できる。
【0035】
また、薬剤タンク12および架台11のブロー成形による一体成形の際に、前記段差64,65部分において、前記取付面53を形成する型の型割りの際の型の架台11に対する相対的移動方向(型割り方向)が取付面53の面方向に略沿っている。ここで、型の相対的移動方向は、架台11の側面の面方向に略沿うとともに前後方向に略沿った方向となっている。そして、架台11の取付面53が形成される側の側面の二つの段差54,56を一連の一つの段差とした場合の上端から下端の範囲で、かつ、架台11の側面の前縁から後縁までの範囲内では、基本的に段差を境に前側に上取付面56のみが設けられ、後側に下取付面57のみが設けられている。この段差を境として、上取付面56が基本的に略一つの平面から略面一に形成され、下取付面57が基本的に一つの略平面から略面一に形成されている。
これにより、前記段差54,55があっても容易に型から架台11を取り外すことが可能となっている。
但し、この例では、下取付面57に第2係止部52が膨出して、下取付面57が完全に平面(面一)とはなっていなが、後述のように第2係止部52は無理抜き可能な構成となっているので、架台1を型から取り出すときの型の移動を妨げることがない。すなわち、上取付面56および下取付面57に型の移動を妨げない程度の凹凸があってもよい。
【0036】
前記第2係止部52は、前記取付面53の下取付面57から左側方(取付面53と直交して離れる方向)に膨出した形状の凸部63となっている。この凸部63は、概略円柱をその軸方向に沿うとともに中心軸からずれた面で薄目に切断した形状となっており、断面が略円弧形状となっている。また、第2係止部52の上述の円柱の軸方向に対応する軸方向は、上述の二つの段差64,65のうちの一方の段差65と平行に配置され、他方の段差64と直交するように配置されている。
【0037】
第2係止部52の軸方向の両端部のうちの一方の端部は、前記段差64に接続された状態となっている。第2係止部52の他方の端部は、半円状に膨出した状態で、その外面が概略球面上となっている。第2係止部52の下取付面57から最も膨出した部分までの距離は、段差64,65の下取付面57から上取付面56までの距離より短くなっている。
【0038】
この第2係止部52には、回転支持部42の突出部43の先端面に形成された後述の溝部44が係合するようになっている。この溝部44は、断面円弧形状の凹部で、その形状が第2係止部52と対応し、凹部である溝部44に凸部63である第2係止部52が嵌まり込むようになっている。
これにより、第1係止部51だけではなく、第2係止部52によっても、スロットルレバー装置40の回転が規制される。
【0039】
また、第2係止部52は、その軸方向に直交する方向の中央部が膨出した形状で、かつ、成形後の離型の際の型の取付面53に対する移動方向と軸方向とが平行となっていない。しかし、第2係止部52の表面が、取付面53(下取付面57)に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出し、取付面53から膨出する高さが低いので、成形時の型からの離型に際し、所謂無理抜きが可能な形状となっている。
また、取付面53の第1係止部51の略図心となる位置に、取付面53に直交する貫通孔59が形成されている。
【0040】
また、取付面53が形成されている接合部21には潰し部22が設けられており、取付面53の裏側が潰し部22の凹部となっている。したがって、接合部21の取付面53が形成された部分は、板状となっており、この板状の部分を貫通するように貫通孔59が形成されている。
この貫通孔59の部分には、スロットルレバー装置40の後述の支持軸(ねじ部材)45が挿通される。
また、取付面53の上側には、取付面53に取り付けられたスロットルレバー装置40の上側を覆う傘部32が架台11の成形時に架台11と一体に成形されている。なお、傘部32は、前記取付面を成形する型によって成形されるが、型の移動方向に向って断面が小さくなる形状とされ、段差64,65部分と同様に離型可能な形状となっている。
【0041】
スロットルレバー装置40は、図8および図9等に示すように、スロットルレバー41と、スロットルレバー41を機能させる部品とを組み立てたスロットルレバーアッセンブリーであり、作業者に操作されて回転するスロットルレバー41と、スロットルレバー41の基端部46を回転自在に支持する回転支持部42とを有する。スロットルレバー41は、回転支持部42の支持軸45回りに回転自在な概略円板状の前記基端部46と、この基端部46から延出して形成され、作業者に操作されるレバー部47とを備えている。
前記回転支持部42は、スロットルレバー41の基端部46より取付面53側に配置される概略円板状の下支持部48と、基端部46に対して取付面53の反対側に配置される上支持部49と、これら下支持部48および上支持部49と一体に形成されるとともにスロットルワイヤ7のアウタ8と接続される接続部50と、前記支持軸45とを備えている。
【0042】
スロットルレバー装置40において、回転支持部42の下支持部48および上支持部49を支持軸45が貫通した状態で、これら下支持部48および上支持部49が支持軸45に固定され、これら下支持部48および上支持部49との間に、スロットルレバー41の基端部46が支持軸45回りに回転自在に支持されている。
前記下支持部48には、突出部43が設けられ、この突出部43は、概略正方形状で4つの角部が広い範囲に渡って面取りされて円弧状とされている。すなわち、突出部43は、角部にRが付けられている。したがって、突出部43は、概略8角形状にも見えるが、正方形の各角部となる部分は円弧状で、直線状の辺は4つだけとなっている。
【0043】
突出部43は、下支持部48の底面から突出した状態となっており、下支持部の底面と、突出部43の先端面との間が段差となっており、これら段差のうち略正方形状の突出部43の4つの辺のうち、互いに直交する二つの辺の部分の段差54,55の段差面が、上述の取付面53の段差64,65の段差面に当接するようになっている。
なお、突出部43の段差54,55の段差面は、突出部43の外周面となる側面に対応し、これら側面のうち略正方形状の突出部43の隣り合う2つの辺の部分の側面61,62となる。
なお、段差64と段差65との入角の角部が円弧状とされているが、この円弧状の範囲よりも、突出部43の外周面の角部の円弧状にされた部分のほうが範囲が広くされ、かつ、円弧状に面取りされる部分が大きくなっており、段差64と段差65との面取りされた角部に、突出部43の面取りされた角部が接触しないようになっている。なお、これら角部どうしが接触しても、取付面53の段差64,65の段差面と、突出部43の側面61,62とが当接するのを妨げない形状となっていれば、段差64,65の間の角部と、突出部43の側面61,62の間の角部が接触するようになっていてもよい。
突出部43の先端面には、溝部44が形成されている。この溝部44は、断面円弧状で、上述のように第2係止部52と略同様の形状を有しており、第2係止部52が溝部44に嵌合するようになっている。
【0044】
支持軸45は、この溝部44の中央部を貫通して、さらに先に延出した状態となっている。そして、支持軸45は、ねじ部材として機能するものであって、支持軸45の先端部は、例えば、雄ねじとなっており、上述の取付面53の貫通孔59に挿通された状態で、接合部21の側面の反対側の潰し部2の内側面側において、図11に示すように、支持軸45の先端部側に座金66を介してナット67が螺合され、これにより架台11の接合部21の取付面53の位置にスロットルレバー装置40が締結されるようになっている。
これにより、図10から図12に示すように架台11の下部側面の取付面53にスロットルレバー装置40が取り付けられる。
この際には、合成樹脂製の接合部21の取付面53部分が弾性変形し、上述のように段差64,65の段差面と、この段差面に対向する突出部43の側面61,62とが密着するとともに、溝部44の内面と、第2係止部52の外面とが密着した状態となる。
【0045】
このような状態となることにより、作業者がスロットルレバー41を操作することで、スロットルレバー装置40にトルクが作用しても、スロットルレバー装置40ががたつくことがない。特に、スロットルレバー装置40は、一本の支持軸45の部分で締結されているので、スロットルレバー装置40の架台11への取付が容易なものとなるが、回転しやすい構成となっているのに対して、上述のように回転支持部42の突出部43が第1係止部51と第2係止部52とに係合することで、スロットルレバー装置40の回転が確実に規制される。
したがって、ステーを介すことなく、合成樹脂製の架台11に直接スロットルレバー装置40を取り付けることが可能となる。
【0046】
また、スロットルレバー装置40を取付面53に取り付けた際の原点位置(エンジンの出力を最低とする位置、例えば、アイドリング位置)にあるスロットルレバー41の角度は、スロットルレバー41の回転中心から架台11の側面の下側で前側となる角部に向うように設定されている。
具体的なスロットルレバー41の角度は、スロットルレバー41の回転中心の位置によって異なるが、架台11の側面の角部の位置に対して、スロットルレバーの回転中心の位置が上側でかつ後側となるので、スロットルレバー41は斜め下向きに配置される。
【0047】
また、架台11においては、スロットルレバー41の回転中心から角部までの距離が、スロットルレバー41の回転中心から先端までの距離より長くなっている必要があるが、スロットルレバー41の操作が容易にできる長さとしても、原点位置となる回転角度のスロットルレバー41の先端部が、架台11の側面の範囲内となり、スロットルレバー41が架台11の前や下に突出することがない。
これにより、例えば、背負式動力噴霧機を梱包する場合に、特にスロットルレバー41を保護する部材を必要としない。
【0048】
また、上述のようにスロットルレバー装置40の上側を傘部32が覆った状態となっており、スロットルレバー装置40より傘部32の方が側方に突出しているので、この傘部32によってスロットルレバー装置40が保護された状態となっており、これによっても梱包時にスロットルレバー装置40を保護する部材を必要としない。
例えば、梱包した場合に、梱包部材が傘部32に当たることで、梱包材とスロットルレバー装置40との間に空間が形成されて、保護された状態となる。
また、傘部32により、例えば、液体投入時に、スロットルレバー装置40を傘部32により防滴することができる。
【0049】
なお、上述の実施の形態の背負式噴霧機においては、架台に薬剤タンクが一体成形されているが、架台と薬剤タンクとが別体として成形され、成形後に架台に薬剤タンクを固定する構成としてもよい。
また、上述の実施の形態では、駆動源として燃エンジンを用いたが、これに代えてモータを用いることができ、この場合にはモータを制御する操作レバーの取り付け構造に本発明を適用することができる。
また、上述の実施の形態においては、背負式作業機として背負式噴霧機について説明したが、背負式作業機としてはこれに限らず、背負式散布機、背負式ブロア、背負式刈払機など、原動機で駆動される作業機で、原動機が架台に固定されて作業者に背負われた状態で作業が行える背負式作業機に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 架台
15 作業機本体部
22 潰し部(架台の中空部が無い部分)
32 傘部
40 スロットルレバー装置(操作レバー装置)
41 スロットルレバー(操作レバー)
42 回転支持部
51 第1係止部(係止部)
52 第2係止部(係止部)
53 取付面
58 取付部
63 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負式動力噴霧機等の背負式作業機の架台にこの架台に対して回転する操作レバーを取り付けるための操作レバー取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背負った状態で作業を行う背負式作業機として、農薬散布等に使用される背負式動力噴霧機が知られている。
この背負式動力噴霧機には、作業者が背負う架台を備え、この架台に薬液等の液体が貯留される薬剤タンクと、薬剤タンクに貯留された液体を噴霧するポンプと、ポンプを駆動する内燃エンジンとを備えており、この内燃エンジンの出力を調節するスロットルレバー装置(操作レバー装置)が前記架台に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スロットルレバー装置は、例えば、内燃エンジンのスロットルバルブの開閉を操作するためのスロットルワイヤが接続された状態で、スロットルレバーを回転させることでスロットルワイヤのインナーワイヤを引っ張る構造となっている。
したがって、スロットルレバー装置は、回転させる際のガタツキ防止のため、回転するスロットルレバーに対して、このスロットルレバーの基端部を回転自在に支持する回転支持部が、架台に回転不可となるように固定されている必要がある。
【0004】
前記特許文献1においては、ステーを架台に固定し、このステーにスロットルレバー装置の回転支持部が回転不可となるように固定されている。
すなわち、図13から図16に示すように、樹脂製の架台1の取付片2にステー3がボルトとナットにより2箇所で締結され、このステー3にスロットルレバー装置4が一本のねじ部材で締結されている。
スロットルレバー装置4は、スロットルレバー5と、スロットルレバー5の基端部を回転自在に支持する回転支持部6とを備え、スロットルレバー5にスロットルワイヤ7のインナーワイヤが接続され、回転支持部6にアウタ8が接続されている。
【0005】
ステー3には、回転支持部6のベース部分が挿入される凹部9が形成され、回転支持部6のベース部分には、この凹部9に嵌合する凸部10が設けられている。そして、凹部9の角度の異なる複数の内側面と、凸部10の角度の異なる複数の外側面とが当接することで、スロットルレバー装置4の回転支持部6は、一本のねじ部材で固定されていてもステー3に回転不可となるように固定される。
【0006】
また、背負式動力噴霧機では、架台と薬剤タンクとをブロー成形により一体成形しているものが知られており、架台が、ブロー成形で形成されることにより、内部空間を有するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4107950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、背負式動力噴霧機の製造において、ブロー成形で架台と薬剤タンクとを一体成形することにより、部品点数および組立工数を削減してコストの低減を図ることが可能となるが、上述のように、架台にステーを2本以上のボルトとナット等で締結し、このステーにさらに、スロットルレバー装置を回転不可となるように取り付ける必要があるので、背負式動力噴霧機の組立てに手間がかかっており、さらなる部品点数および組立て工数の削減によるコストの低減が望まれている。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、背負式作業機の樹脂成形品からなる架台に操作レバー装置を直接取付可能とする操作レバー取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の操作レバー取付構造は、作業者の背中に背負われるとともに作業機本体部(15)が設けられる合成樹脂製の架台(11)と、前記作業機本体部(15)を操作するための操作レバー(41)とを備える背負式作業機に用いられ、前記操作レバー(41)を前記架台(11)に取り付けるための操作レバー取付構造であって、前記操作レバー(41)と、当該操作レバー(41)を回転自在に支持する回転支持部(42)とを備える操作レバー装置(40)を備え、前記架台(11)の前記操作レバー装置(40)を取り付ける取付部(58)に、前記回転支持部(42)に係合して、当該回転支持部(42)を回り止めする係止部(51,52)が前記架台(11)と一体に成形されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、操作レバーを有する操作レバー装置の回転支持部に係合して回転支持部の回り止めをする係止部が架台に一体成形されているので、回転支持部を一本のねじ部材で締結するものとしても、回転支持部が架台に対して回転してしまうのを防止することができる。
すなわち、ステーを用いることなく、操作レバー装置を合成樹脂製の架台に取り付けることが可能となり、部品点数および組立て工数の削減を図ってコストを低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の操作レバー取付構造は、請求項1に記載の発明において、前記係止部(51)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)が取り付けられる取付面(53)に形成された段差(64,65)を備え、前記取付面(53)が段差(64,65)を境として突出する側となる上取付面(56)と凹む側となる下取付面(57)とに分けられ、前記取付面(53)は、前記架台(11)の成形時に型から当該架台(11)を取り出す際の前記型の前記架台(11)に対する相対的移動方向に、ほぼ沿った面方向とされ、かつ、前記段差(64,65)を境として前記型の移動方向の一方側と他方側にはそれぞれ前記上取付面(56)または前記下取付面(57)のいずれか一方のみが配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、合成樹脂の成形品である架台に回り止めとなる凹部を形成する場合に、成形用の型から前記凹部の部分が抜けるようにする必要がある。この場合に、架台の他の部分の形状との関係で、例えば、固定金型と可動金型との二分割ではなく、さらに割り型を設ける必要が生じる可能性があり、架台の成形コストの増大を招く虞がある。そこで、取付面に回り止めとなる係止部として機能する段差を設け、段差部分に回転支持部を係合させて回転止めとする。また、取付面を形成する型から架台を取り出す際の型の相対的移動方向を取付面の面方向とほぼ同じとする。さらに、取付面には、段差を境に突出する側の上取付面と、凹む側の下取付面とが形成されるが、型の前記移動方向に沿って段差の一方側には上取付面だけが形成され、段差の他方側には下取付面だけが形成されている。すなわち、段差を境として型の前記移動方向に沿った一方側と他方側とがそれぞれ略面一となるように、略一つの平面で形成されていることになる。これにより、段差があっても容易に型を移動して、架台を型から取り出すことができる。なお、型が移動可能であれば、上取付面および下取付面に多少の凹凸があってもよい。
【0014】
この場合に、架台の側面に取付面が形成されている場合に、架台の側面に沿って型から成形品としての架台を取り外すような構成となり、他の架台の部分を考慮しても段差部分の設計も容易となる。
【0015】
請求項3に記載の操作レバー取付構造は、請求項2に記載の発明において、前記段差(64,65)が互いに略直交する二つの直線状の段差(64,65)部分からなる略L字状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明においては、段差が略L字状となっていることで、例えば、操作レバーを回転支持部に対して正方向および逆方向の両方に回転させる場合に、一方の段差部分が回転支持部の正方向への回転の回り止めとして機能し、他方の段差部分が回転支持部の逆方向への回転の回り止めとして機能し、段差により操作レバー装置の両方向への回転を回り止めすることができる。
また、段差が略L字状なので、一方の段差部分が型の架台に対する相対的移動方向に沿い、他方の段差部分が型の架台に対する相対的に移動方向に直交した状態から、他方の段差部分が型の架台に対する相対的移動方向に沿い、一方の段差部分が型の架台に対する相対的に移動方向に直交した状態まで、段差部分の角度を略90度の範囲内で設計変更可能となる。これにより、設計の自由度を大きくすることができる。
【0017】
請求項4に記載の操作レバー取付構造は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記係止部(52)は、前記取付面(53)から膨出するとともに、前記回転支持部(42)の凹部(44)に係合する凸部(63)を備え、当該凸部(63)の表面が、前記取付面(53)に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出していることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明においては、操作レバー装置の回転支持部を回り止めする係止部として、回転支持部の凹部に係合し、かつ、前記取付面から膨出する凸部を備えるので、これにより、操作レバー操作時の回転支持部の回転を止めることができる。
また、取付面に凸部を設けた場合に、取付面に凹部を設けた場合と同様に架台の成形時に型から架台を離型するのが難しくなり、例えば、型の相対的移動方向が、凸部の高さ方向や、凹部の深さ方向に限定される虞がある。
この発明においては、前記凸部の表面が取付面に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出しているので、離型する際に凸部およびその周辺の弾性変形による無理抜きが可能となっている。
したがって、特に型の移動方向に左右されることなく、係止部として凸部を成形することが可能であり、合成樹脂の成形においても、容易に凸部を形成して、回転支持部の回転を防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の操作レバー装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記架台(11)には、この架台と一体にブロー成形される中空のタンク部(12)が設けられるとともに、前記架台(11)およびタンク部(12)のブロー成形時に押し潰されて中実となる潰し部(22)が設けられ、前記取付部(58)は、前記架台(11)の側面のうちの前記潰し部(22)となる部分の側面に設けられ、前記架台(11)の前記側面の前記取付部(58)の上に、前記取付部(58)に取り付けられた操作レバー装置(40)の上側を覆う傘部(32)が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明においては、架台がブロー成形により形成されているので、例えば、背負式作業機として背負式動力噴霧機などに適用した場合に、架台と内部が中空のタンク部(薬剤タンク)とを一体に成形することが可能となる。しかし、中空部があることで、取付部を板状に形成することが難しくなるが、ブロー成形時に押し潰されて中実となる潰し部に、係止部を有する取付部を形成しているので、成形が容易となり、架台の設計が容易となる。
また、一体に成形された傘部により防滴性能を高めることができる。
【0021】
請求項6に記載の操作レバー装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記架台(11)の側面の前記架台(11)の作業者側となる前面と底面との角部の上側近傍に前記取付部(58)が設けられ、前記操作レバー(41)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)から前記角部に向って斜め下向きに設置されていることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明においては、取付部が架台の側面に配置されるとともに、架台の前面と底面との角部の上側近傍に配置されている。操作レバーは、取付部に回転支持部が取り付けられた状態で、回転支持部から角部に向って斜め下向きに配置される。
よって、操作レバーは、架台の側面の下側の角部側で、架台の側面の範囲内に配置され、操作レバーが架台の側面の範囲の外側に突出しないように配置することができる。これにより、背負式作業機を梱包するような場合に、操作レバーの側面から側面の外側に突出する部分を保護するための保護部材を設けるような必要がなくなり、梱包を容易にすることができる。
また、操作レバーが架台の側面の下側の角部に配置されるとともに、斜め下向きに配置されることで、作業者の背中側の位置に操作レバーが配置されていても、操作レバーを容易に操作することができる。
【0023】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の背負式作業機によれば、操作レバー取付構造において、ステーなしで架台に操作レバー装置を直接取り付けることが可能となり、部品点数および組立て工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作レバー取付構造を備える背負式噴霧機を示す側面図である。
【図2】前記背負式噴霧機を示す背面図である。
【図3】前記背負式噴霧機の薬剤タンクと一体に成形された架台を示す背面図である。
【図4】前記架台を示す正面図である。
【図5】前記架台を示す側面図である。
【図6】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられる部分を示す要部斜視図である。
【図7】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられる部分を示す要部側面図である。
【図8】前記スロットルレバー装置を示す斜視図である。
【図9】前記スロットルレバー装置を示す側面図である。
【図10】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられた部分を示す要部断面図である。
【図11】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられた部分を示す要部正面図である。
【図12】前記架台のスロットルレバー装置が取り付けられた部分を示す要部側面図である。
【図13】従来のステーに取り付けられたスロットルレバー装置を示す側面図である。
【図14】従来の架台にステーを介して取り付けられたスロットルレバー装置を示す正面図である。
【図15】従来のスロットルレバー装置を示す斜視図である。
【図16】従来のステーを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
ここで、操作レバー取付構造を説明する前に、操作レバー装置としてのスロットルレバー装置40が取り付けられる背負式動力噴霧機について説明する。
図1から図12に示すように、この例の操作レバー取付構造を有する背負式動力噴霧機(背負式作業機)は、作業者に背負われる架台11と、この架台11と一体に成形された薬剤タンク12と、架台11に支持されるとともに内燃エンジン13およびポンプ14を有する作業機本体部15と、図示しないノズルパイプを備えた図示しないホースと、架台11を背負うための背負ベルト16とを備えている。
【0027】
前記架台11は、作業者に背負われた際に作業者の背中に当てられ、略垂直に配置される背当部18と、垂直に配置された背当部18の下端部から、作業者の背中から離れるように略水平に後方に延出する台座部19と、背当部18の下端部を除く部分から後方側に向かって膨らんだ状態に設けられる前記薬剤タンク12とを備えている。
これら背当部18、台座部19、薬剤タンク12は、図3および図6に示すように、ブロー成形により一体成形されている。また、背当部18には、図1に示すようにクッション17が取り付けられている。
【0028】
また、一体に成形された架台11および薬剤タンク12においては、架台11の底部(下端部)となる台座部19と、背当部18および薬剤タンク12との接合部21、すなわち、背当部18の台座部19の直上となる部分に、左右の中央部に前後に連通する貫通孔23が形成されており、この貫通孔23によって接合部21が左右に分割された状態となっている。すなわち、接合部21は、左右一対となるように設けられている。
これら一対の接合部21の部分は、薬剤タンク12の内部と台座部19の内部とを分離するようにブロー成形時に型により潰されて内部空間が無い潰し部22となっている。
図3に示すように、潰し部22では、背当部18側(作業者の背中を向く側)が凹部となるように型により潰されている。
【0029】
したがって、薬剤タンク12は、背当部18の後方側で接合部21より上の部分となっている。薬剤タンク12の上端部には、大きな径の開口を有する円筒状の開口筒部25が形成され、図1,2に示すように、この開口筒部25に蓋26が取り付けられるようになっている。
台座部19の上側には、前記内燃エンジン13と、この内燃エンジン13で駆動されるポンプ14とが作業機本体部15として固定されている。なお、内燃エンジン13が台座部19に固定され、内燃エンジン13にポンプ14が固定されている。
【0030】
図4に示すように、架台11の背当部18の上部で、前記薬剤タンク12の開口筒部25より少し下側の作業者側となる面には、左右一対のホルダ部27が設けられている。図5に示すように、これらのホルダ部27の上部には、それぞれ、図示しないノズルパイプを保持するように左右に延在する溝部28が形成されている。
【0031】
図1および図2に示すように。左右の接合部21のうちの左側(架台11を背負う作業者の左側と同じ側)の接合部21の左側面には、スロットルレバー装置40が取り付けられている。
この接合部21の左側面には、図5から図7に示すように、スロットルレバー装置40の取付部58に取付面53が形成されている。
この取付面53には、係止部として、第1係止部51および第2係止部52が設けられている。これら第1係止部51および第2係止部52は、架台1の成形時に架台1と一体に成形されている。
【0032】
第1係止部51は、取付面53に形成された2つの段差64,65からなるものであり、これら段差64,65は、互いに直交するように配置されるとともに、その交点部分で一体に接続された状態に形成されている。また、段差64と段差65が接合されて形成される角部は、Rが付けられて円弧状とされている。また、段差64と段差65とを合わせた形状が略L字状とされている。なお、この例において、各段差64、65は、水平方向(鉛直方向)に対して略45度で、かつ、互いに90度異なる角度となっている。
【0033】
取付面53は、これら段差64、65を境にして、接合部21の側面から側方に突出する側となる上取付面56と、接合部21の側面から凹んだ側の下取付面57とに区分されている。
これら二つの段差64,65が、取付面53に取り付けられたスロットルレバー装置40に対して、エンジン出力を上げる側のスロットルレバー41の回転方向(例えば、正方向)と、エンジン出力を戻す側のスロットルレバー41の回転方向(例えば、逆方向)との両回転方向に対する回り止めとして機能する。
この段差64,65の段差面には、後述のスロットルレバー装置40の回転支持部42の底部(下支持部48)に形成された突出部43の互いに略直交する側面61,62(段差54,55の段差面)が当接するようになっている。
【0034】
また、段差64,65における上取付面56と下取付面57との間の距離、すなわち段差64,65の間隔は、前記突出部43が形成される回転支持部42の底面から前記突出部43の先端面までの距離より短くされており、回転支持部42を締結した際に、取付面53部分が変形し、突出部43の後述の段差54,55の段差面に、取付面53の段差64,65の段差面が押し付けられる状態となり、より確実にスロットルレバー装置40のがたつきを防止できる。
【0035】
また、薬剤タンク12および架台11のブロー成形による一体成形の際に、前記段差64,65部分において、前記取付面53を形成する型の型割りの際の型の架台11に対する相対的移動方向(型割り方向)が取付面53の面方向に略沿っている。ここで、型の相対的移動方向は、架台11の側面の面方向に略沿うとともに前後方向に略沿った方向となっている。そして、架台11の取付面53が形成される側の側面の二つの段差54,56を一連の一つの段差とした場合の上端から下端の範囲で、かつ、架台11の側面の前縁から後縁までの範囲内では、基本的に段差を境に前側に上取付面56のみが設けられ、後側に下取付面57のみが設けられている。この段差を境として、上取付面56が基本的に略一つの平面から略面一に形成され、下取付面57が基本的に一つの略平面から略面一に形成されている。
これにより、前記段差54,55があっても容易に型から架台11を取り外すことが可能となっている。
但し、この例では、下取付面57に第2係止部52が膨出して、下取付面57が完全に平面(面一)とはなっていなが、後述のように第2係止部52は無理抜き可能な構成となっているので、架台1を型から取り出すときの型の移動を妨げることがない。すなわち、上取付面56および下取付面57に型の移動を妨げない程度の凹凸があってもよい。
【0036】
前記第2係止部52は、前記取付面53の下取付面57から左側方(取付面53と直交して離れる方向)に膨出した形状の凸部63となっている。この凸部63は、概略円柱をその軸方向に沿うとともに中心軸からずれた面で薄目に切断した形状となっており、断面が略円弧形状となっている。また、第2係止部52の上述の円柱の軸方向に対応する軸方向は、上述の二つの段差64,65のうちの一方の段差65と平行に配置され、他方の段差64と直交するように配置されている。
【0037】
第2係止部52の軸方向の両端部のうちの一方の端部は、前記段差64に接続された状態となっている。第2係止部52の他方の端部は、半円状に膨出した状態で、その外面が概略球面上となっている。第2係止部52の下取付面57から最も膨出した部分までの距離は、段差64,65の下取付面57から上取付面56までの距離より短くなっている。
【0038】
この第2係止部52には、回転支持部42の突出部43の先端面に形成された後述の溝部44が係合するようになっている。この溝部44は、断面円弧形状の凹部で、その形状が第2係止部52と対応し、凹部である溝部44に凸部63である第2係止部52が嵌まり込むようになっている。
これにより、第1係止部51だけではなく、第2係止部52によっても、スロットルレバー装置40の回転が規制される。
【0039】
また、第2係止部52は、その軸方向に直交する方向の中央部が膨出した形状で、かつ、成形後の離型の際の型の取付面53に対する移動方向と軸方向とが平行となっていない。しかし、第2係止部52の表面が、取付面53(下取付面57)に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出し、取付面53から膨出する高さが低いので、成形時の型からの離型に際し、所謂無理抜きが可能な形状となっている。
また、取付面53の第1係止部51の略図心となる位置に、取付面53に直交する貫通孔59が形成されている。
【0040】
また、取付面53が形成されている接合部21には潰し部22が設けられており、取付面53の裏側が潰し部22の凹部となっている。したがって、接合部21の取付面53が形成された部分は、板状となっており、この板状の部分を貫通するように貫通孔59が形成されている。
この貫通孔59の部分には、スロットルレバー装置40の後述の支持軸(ねじ部材)45が挿通される。
また、取付面53の上側には、取付面53に取り付けられたスロットルレバー装置40の上側を覆う傘部32が架台11の成形時に架台11と一体に成形されている。なお、傘部32は、前記取付面を成形する型によって成形されるが、型の移動方向に向って断面が小さくなる形状とされ、段差64,65部分と同様に離型可能な形状となっている。
【0041】
スロットルレバー装置40は、図8および図9等に示すように、スロットルレバー41と、スロットルレバー41を機能させる部品とを組み立てたスロットルレバーアッセンブリーであり、作業者に操作されて回転するスロットルレバー41と、スロットルレバー41の基端部46を回転自在に支持する回転支持部42とを有する。スロットルレバー41は、回転支持部42の支持軸45回りに回転自在な概略円板状の前記基端部46と、この基端部46から延出して形成され、作業者に操作されるレバー部47とを備えている。
前記回転支持部42は、スロットルレバー41の基端部46より取付面53側に配置される概略円板状の下支持部48と、基端部46に対して取付面53の反対側に配置される上支持部49と、これら下支持部48および上支持部49と一体に形成されるとともにスロットルワイヤ7のアウタ8と接続される接続部50と、前記支持軸45とを備えている。
【0042】
スロットルレバー装置40において、回転支持部42の下支持部48および上支持部49を支持軸45が貫通した状態で、これら下支持部48および上支持部49が支持軸45に固定され、これら下支持部48および上支持部49との間に、スロットルレバー41の基端部46が支持軸45回りに回転自在に支持されている。
前記下支持部48には、突出部43が設けられ、この突出部43は、概略正方形状で4つの角部が広い範囲に渡って面取りされて円弧状とされている。すなわち、突出部43は、角部にRが付けられている。したがって、突出部43は、概略8角形状にも見えるが、正方形の各角部となる部分は円弧状で、直線状の辺は4つだけとなっている。
【0043】
突出部43は、下支持部48の底面から突出した状態となっており、下支持部の底面と、突出部43の先端面との間が段差となっており、これら段差のうち略正方形状の突出部43の4つの辺のうち、互いに直交する二つの辺の部分の段差54,55の段差面が、上述の取付面53の段差64,65の段差面に当接するようになっている。
なお、突出部43の段差54,55の段差面は、突出部43の外周面となる側面に対応し、これら側面のうち略正方形状の突出部43の隣り合う2つの辺の部分の側面61,62となる。
なお、段差64と段差65との入角の角部が円弧状とされているが、この円弧状の範囲よりも、突出部43の外周面の角部の円弧状にされた部分のほうが範囲が広くされ、かつ、円弧状に面取りされる部分が大きくなっており、段差64と段差65との面取りされた角部に、突出部43の面取りされた角部が接触しないようになっている。なお、これら角部どうしが接触しても、取付面53の段差64,65の段差面と、突出部43の側面61,62とが当接するのを妨げない形状となっていれば、段差64,65の間の角部と、突出部43の側面61,62の間の角部が接触するようになっていてもよい。
突出部43の先端面には、溝部44が形成されている。この溝部44は、断面円弧状で、上述のように第2係止部52と略同様の形状を有しており、第2係止部52が溝部44に嵌合するようになっている。
【0044】
支持軸45は、この溝部44の中央部を貫通して、さらに先に延出した状態となっている。そして、支持軸45は、ねじ部材として機能するものであって、支持軸45の先端部は、例えば、雄ねじとなっており、上述の取付面53の貫通孔59に挿通された状態で、接合部21の側面の反対側の潰し部2の内側面側において、図11に示すように、支持軸45の先端部側に座金66を介してナット67が螺合され、これにより架台11の接合部21の取付面53の位置にスロットルレバー装置40が締結されるようになっている。
これにより、図10から図12に示すように架台11の下部側面の取付面53にスロットルレバー装置40が取り付けられる。
この際には、合成樹脂製の接合部21の取付面53部分が弾性変形し、上述のように段差64,65の段差面と、この段差面に対向する突出部43の側面61,62とが密着するとともに、溝部44の内面と、第2係止部52の外面とが密着した状態となる。
【0045】
このような状態となることにより、作業者がスロットルレバー41を操作することで、スロットルレバー装置40にトルクが作用しても、スロットルレバー装置40ががたつくことがない。特に、スロットルレバー装置40は、一本の支持軸45の部分で締結されているので、スロットルレバー装置40の架台11への取付が容易なものとなるが、回転しやすい構成となっているのに対して、上述のように回転支持部42の突出部43が第1係止部51と第2係止部52とに係合することで、スロットルレバー装置40の回転が確実に規制される。
したがって、ステーを介すことなく、合成樹脂製の架台11に直接スロットルレバー装置40を取り付けることが可能となる。
【0046】
また、スロットルレバー装置40を取付面53に取り付けた際の原点位置(エンジンの出力を最低とする位置、例えば、アイドリング位置)にあるスロットルレバー41の角度は、スロットルレバー41の回転中心から架台11の側面の下側で前側となる角部に向うように設定されている。
具体的なスロットルレバー41の角度は、スロットルレバー41の回転中心の位置によって異なるが、架台11の側面の角部の位置に対して、スロットルレバーの回転中心の位置が上側でかつ後側となるので、スロットルレバー41は斜め下向きに配置される。
【0047】
また、架台11においては、スロットルレバー41の回転中心から角部までの距離が、スロットルレバー41の回転中心から先端までの距離より長くなっている必要があるが、スロットルレバー41の操作が容易にできる長さとしても、原点位置となる回転角度のスロットルレバー41の先端部が、架台11の側面の範囲内となり、スロットルレバー41が架台11の前や下に突出することがない。
これにより、例えば、背負式動力噴霧機を梱包する場合に、特にスロットルレバー41を保護する部材を必要としない。
【0048】
また、上述のようにスロットルレバー装置40の上側を傘部32が覆った状態となっており、スロットルレバー装置40より傘部32の方が側方に突出しているので、この傘部32によってスロットルレバー装置40が保護された状態となっており、これによっても梱包時にスロットルレバー装置40を保護する部材を必要としない。
例えば、梱包した場合に、梱包部材が傘部32に当たることで、梱包材とスロットルレバー装置40との間に空間が形成されて、保護された状態となる。
また、傘部32により、例えば、液体投入時に、スロットルレバー装置40を傘部32により防滴することができる。
【0049】
なお、上述の実施の形態の背負式噴霧機においては、架台に薬剤タンクが一体成形されているが、架台と薬剤タンクとが別体として成形され、成形後に架台に薬剤タンクを固定する構成としてもよい。
また、上述の実施の形態では、駆動源として燃エンジンを用いたが、これに代えてモータを用いることができ、この場合にはモータを制御する操作レバーの取り付け構造に本発明を適用することができる。
また、上述の実施の形態においては、背負式作業機として背負式噴霧機について説明したが、背負式作業機としてはこれに限らず、背負式散布機、背負式ブロア、背負式刈払機など、原動機で駆動される作業機で、原動機が架台に固定されて作業者に背負われた状態で作業が行える背負式作業機に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 架台
15 作業機本体部
22 潰し部(架台の中空部が無い部分)
32 傘部
40 スロットルレバー装置(操作レバー装置)
41 スロットルレバー(操作レバー)
42 回転支持部
51 第1係止部(係止部)
52 第2係止部(係止部)
53 取付面
58 取付部
63 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の背中に背負われるとともに作業機本体部(15)が設けられる合成樹脂製の架台(11)と、前記作業機本体部(15)を操作するための操作レバー(41)とを備える背負式作業機に用いられ、前記操作レバー(41)を前記架台(11)に取り付けるための操作レバー取付構造であって、
前記操作レバー(41)と、当該操作レバー(41)を回転自在に支持する回転支持部(42)とを備える操作レバー装置(40)を備え、
前記架台(11)の前記操作レバー装置(40)を取り付ける取付部(58)に、前記回転支持部(42)に係合して、当該回転支持部(42)を回り止めする係止部(51,52)が前記架台(11)と一体に成形されていることを特徴とする操作レバー取付構造。
【請求項2】
前記係止部(51)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)が取り付けられる取付面(53)に形成された段差(64,65)を備え、
前記取付面(53)が段差(64,65)を境として突出する側となる上取付面(56)と凹む側となる下取付面(57)とに分けられ、
前記取付面(53)は、前記架台(11)の成形時に型から当該架台(11)を取り出す際の前記型の前記架台(11)に対する相対的移動方向に、ほぼ沿った面方向とされ、かつ、前記段差(64,65)を境として前記型の移動方向の一方側と他方側にはそれぞれ前記上取付面(56)または前記下取付面(57)のいずれか一方のみが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の操作レバー取付構造。
【請求項3】
前記段差(64,65)が互いに略直交する二つの直線状の段差(64,65)部分からなる略L字状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の操作レバー取付構造。
【請求項4】
前記係止部(52)は、前記取付面(53)から膨出するとともに、前記回転支持部(42)の凹部(44)に係合する凸部(63)を備え、当該凸部(63)の表面が、前記取付面(53)に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の操作レバー取付構造。
【請求項5】
前記架台(11)には、この架台と一体にブロー成形される中空のタンク部(12)が設けられるとともに、前記架台(11)およびタンク部(12)のブロー成形時に押し潰されて中実となる潰し部(22)が設けられ、
前記取付部(58)は、前記架台(11)の側面のうちの前記潰し部(22)となる部分の側面に設けられ、かつ、
前記架台(11)の前記側面の前記取付部(58)の上に、前記取付部(58)に取り付けられた操作レバー装置(40)の上側を覆う傘部(32)が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作レバー取付構造。
【請求項6】
前記架台(11)の側面の前記架台(11)の作業者側となる前面と底面との角部の上側近傍に前記取付部(58)が設けられ、
前記操作レバー(41)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)から前記角部に向って斜め下向きに設置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の操作レバー取付構造。
【請求項1】
作業者の背中に背負われるとともに作業機本体部(15)が設けられる合成樹脂製の架台(11)と、前記作業機本体部(15)を操作するための操作レバー(41)とを備える背負式作業機に用いられ、前記操作レバー(41)を前記架台(11)に取り付けるための操作レバー取付構造であって、
前記操作レバー(41)と、当該操作レバー(41)を回転自在に支持する回転支持部(42)とを備える操作レバー装置(40)を備え、
前記架台(11)の前記操作レバー装置(40)を取り付ける取付部(58)に、前記回転支持部(42)に係合して、当該回転支持部(42)を回り止めする係止部(51,52)が前記架台(11)と一体に成形されていることを特徴とする操作レバー取付構造。
【請求項2】
前記係止部(51)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)が取り付けられる取付面(53)に形成された段差(64,65)を備え、
前記取付面(53)が段差(64,65)を境として突出する側となる上取付面(56)と凹む側となる下取付面(57)とに分けられ、
前記取付面(53)は、前記架台(11)の成形時に型から当該架台(11)を取り出す際の前記型の前記架台(11)に対する相対的移動方向に、ほぼ沿った面方向とされ、かつ、前記段差(64,65)を境として前記型の移動方向の一方側と他方側にはそれぞれ前記上取付面(56)または前記下取付面(57)のいずれか一方のみが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の操作レバー取付構造。
【請求項3】
前記段差(64,65)が互いに略直交する二つの直線状の段差(64,65)部分からなる略L字状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の操作レバー取付構造。
【請求項4】
前記係止部(52)は、前記取付面(53)から膨出するとともに、前記回転支持部(42)の凹部(44)に係合する凸部(63)を備え、当該凸部(63)の表面が、前記取付面(53)に対し、滑らかに湾曲して連続する面となって膨出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の操作レバー取付構造。
【請求項5】
前記架台(11)には、この架台と一体にブロー成形される中空のタンク部(12)が設けられるとともに、前記架台(11)およびタンク部(12)のブロー成形時に押し潰されて中実となる潰し部(22)が設けられ、
前記取付部(58)は、前記架台(11)の側面のうちの前記潰し部(22)となる部分の側面に設けられ、かつ、
前記架台(11)の前記側面の前記取付部(58)の上に、前記取付部(58)に取り付けられた操作レバー装置(40)の上側を覆う傘部(32)が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作レバー取付構造。
【請求項6】
前記架台(11)の側面の前記架台(11)の作業者側となる前面と底面との角部の上側近傍に前記取付部(58)が設けられ、
前記操作レバー(41)は、前記取付部(58)の前記回転支持部(42)から前記角部に向って斜め下向きに設置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の操作レバー取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−144755(P2011−144755A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6430(P2010−6430)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]