説明

操作型入力装置

【課題】 傾倒操作される操作部の照明部を略均一に照明すること。
【解決手段】 基体701に取り付けられた光源702と、光源702からの光によって照明される照明部102を備えた表示パネル101を有し、基体701に対して傾倒自在に配置された操作部201と、操作部201の傾倒、および、傾倒方向を検知する傾倒検知部432、707とを備えた操作型入力装置1において、光源702は、操作部201の傾倒方向に対応する一方側に設けられた第1光源702aと、他方側に設けられた第2光源702bとを備え、傾倒検知部432、707によって操作部201の一方側、または、他方側への傾倒を検知すると、検知された傾倒方向に応じて第1、第2光源702a、702bの輝度をそれぞれ調整する制御部801を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の操作によって車両の空調装置等を制御する操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の空調装置には、調和空気の吹き出し口等を変更するための空調制御スイッチ(操作型入力装置)が設けられている。例えば、特許文献1には、キートップを傾倒させることによってスイッチ操作が行われ、空調装置の制御対象を選択できるようにした操作型入力装置が開示されている。この操作型入力装置のキートップには、空調装置の制御対象を示す文字や、図形などのシンボルマークが、キートップの傾倒操作方向に対応する位置にそれぞれ設けられている。このシンボルマークは、夜間等に背面側にある光源からの照明光によって照明され、夜間でもキートップの位置、および、キートップの操作方向が認識できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−000918公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような操作型入力装置においては、操作部(キートップ)を傾倒操作した場合、操作部の一端側が光源に近づき、他端側が光源から離れるように作用するため、光源からの距離が操作部の一端側と他端側とでは異なるようになり、操作部に設けられたシンボルマークが全体的に均一に照明されない場合があった。本発明は、操作部のシンボルマーク等の照明部を略均一に照明することが可能な操作型入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の操作型入力装置は、基体に取り付けられた光源と、該光源からの光によって照明される照明部を備えた表示パネルを有し、前記基体に対して傾倒自在に配置された操作部と、該操作部の傾倒、および、傾倒方向を検知する傾倒検知部と、を備えた操作型入力装置において、前記光源は、前記操作部の傾倒方向に対応する一方側に設けられた第1光源と、他方側に設けられた第2光源とを備え、前記傾倒検知部によって前記操作部の一方側、または、他方側への傾倒を検知すると、検知された傾倒方向に応じて前記第1、第2光源の輝度をそれぞれ調整する制御部を備える。
【0006】
この構成によれば、操作部を基体に対して傾倒操作すると、操作部の表示パネルの一方側が基体に対して接近し、他方側は基体から遠ざかる。そして、その表示パネルの一方側および他方側にそれぞれ対応する光源を配置し、操作部の傾倒方向に対応してそれぞれの光源の輝度を変化させるように構成しているため、操作部が傾倒操作された場合でも、表示パネルに設けられた照明部を全体的に略均一に照明することが可能となる。
【0007】
前記制御部は、前記操作部の一方側への傾倒を検知すると、前記第1光源の輝度を減少させる一方、前記操作部の他方側への傾倒を検知すると、前記第1光源の輝度を増大させるようにしてもよい。また、前記制御部は、前記操作部の一方側への傾倒を検知すると、前記第2光源の輝度を増大させる一方、前記操作部の他方側への傾倒を検知すると、前記第2光源の輝度を減少させるようにしてもよい。
【0008】
この構成によれば、操作部の傾倒操作によって基体に対して接近する表示パネルの一方側に対応する光源の輝度を減少、および/または、基体に対して離脱する表示パネルの他端側に対応する光源の輝度を増大させることによって、簡単に、操作部の照明部を全体的に略均一に照明することができる。
【0009】
前記照明部は、前記操作部の一方側への傾倒によって、前記基体に対して接近する前記表示パネルの一方側に設けられた第1照明部と、前記基体に対して離脱する前記表示パネルの他方側に設けられた第2照明部とを有し、前記操作部の一方側への傾倒によって、前記第2光源から前記第2照明部までの距離よりも前記第1光源から前記第1照明部までの距離の方が短くなると、前記制御部は、前記第2光源の輝度よりも前記第1光源の輝度の方が小さくなるように、前記第1光源、および、前記第2光源の輝度を調整するようにしてもよい。
【0010】
この構成によれば、照明部からの距離が短い方の光源の輝度を他方よりも小さくする、言い換えると、照明部からの距離が長い方の光源の輝度を他方よりも大きくすることで、表示パネルの照明部を全体的に略均一に照明することが可能となる。
【0011】
前記操作部は、前記基体から突出して前記光源を内部に配置する筒状のホルダに対して傾倒自在に支持された筒状のベースと、該ベース内に進退可能に配設され一端側開口が前記表示パネルによって閉塞された筒状のプッシュスイッチ体と、を備えるとともに、前記基体には、前記プッシュスイッチ体のプッシュ操作を検知するプッシュ操作検知部を設け、 前記光源からの光は、前記ホルダ、および、前記プッシュスイッチ体の内部を通過して前記表示パネルの照明部に照射されるようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、操作部の傾倒、および、プッシュ操作を検知可能な複合型の操作装置においても、表示パネルの照明部を全体的に略均一に照明することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作部の傾倒操作に応じて、基体に対して接近、または、離脱する表示パネルの一方側および他方側にそれぞれ対応する光源を配置し、操作部の傾倒方向に対応してそれぞれの光源の輝度を変化させるように構成しているため、操作部が傾倒操作された場合でも、表示パネルに設けられた照明部を全体的に略均一に照明することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】操作型入力装置を示す正面図である。
【図2】操作型入力装置を示す斜視図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】操作型入力装置を示す分解斜視図である。
【図5】図4とは別の方向から見た操作型入力装置を示す分解斜視図である。
【図6】ロータの突出部と操作ノブの溝部とを示す断面図である。
【図7】ベースとホルダの軸部及び収納部とを示す平面図である。
【図8】操作型入力装置の断面図である。
【図9】操作ノブの回転に際しての突出部と溝部とを模式的に示す平面図である。
【図10】図1のA−A線断面図である。
【図11】制御回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図1ないし図11に基づいて説明する。本実施の形態は、運転手席側と助手席側とを別々に設定変更できる車両用空調装置(図示せず)を制御する操作型入力装置1への適用例である。
【0016】
図1は、操作型入力装置1を示す正面図である。操作型入力装置1は、車両のインストルメントパネルPに配置されている。インストルメントパネルPは、運転手席と助手席との間の位置でキャビンに対向して設けられている。操作型入力装置1は、インストルメントパネルPに形成されたパネル孔Paから突出する操作ノブ201を有する。
【0017】
図2は、操作型入力装置1を示す斜視図である。操作ノブ201は、先細りした円筒状の部材である。操作ノブ201の太径側の開口端面201b(図5等参照)には、基体としての基板701が対向配置されている。基板701は、インストルメントパネルP(図1参照)の内側に配置されて隠される。本実施の形態では、操作ノブ201を基板701に対して回転させて空調装置の温度調節を行える(「回転調節」)と共に、操作ノブ201を基板701に対して左右方向に傾倒させて空調制御対象としたい座席(運転手席又は助手席)を選択することができる(「左右選択」)。
【0018】
また、操作ノブ201の開口端面201aには、円板状のプッシュノブ101が配置されている。プッシュノブ101には、文字や矢印等の記号を描く照明部102が形成されている。本実施の形態では、プッシュノブ101を操作ノブ201に対してプッシュ操作することで空調装置のオートモードのON設定を行うことができる(「プッシュ切替」)。なお、空調装置のオートモードのON設定時にプッシュノブ101をプッシュ操作することで空調装置のオートモードのOFF切替が行なえるようにしてもよいが、一般的には、車両のインストルメントパネルPに配置されている図示しない風量調節操作用や吹出口切替操作用の操作ノブを手動操作したこと等に応じてオートモードが解除されるようになっている。
【0019】
次に、図3に基づいて、「左右選択」、「回転調節」、「プッシュ切替」を可能にする
構造について概略的に説明する。
【0020】
図3は、図1のB−B線断面図である。プッシュノブ101と基板701との間には、操作ノブ201の内周側に収納されるようにして、プッシュスイッチ体301、ベース401、ホルダ501、及び、ロータ601が配置されている。操作ノブ201、プッシュスイッチ体301、ベース401、ホルダ501、ロータ601は、いずれも筒状の部材であり、内部に貫通孔を有する。
【0021】
まず、「左右選択」のための構造について説明する。ホルダ501は、基板701から突出するようにして基板701に固定されている。ホルダ501には、基板701と反対側に位置させて、ベース401が傾倒自在に取り付けられている。これは、ベース401に形成された軸孔407が、ホルダ501の外周面に形成された軸部502に軸支されることによって実現されている。そして、ベース401の外周には、操作ノブ201が円周方向に回転自在に取り付けられている。そのため、操作ノブ201に回転力を付与すると、この回転力はベース401には伝達されずに逃がされる。その一方で、操作ノブ201に左右方向への傾倒力を付与すると、この傾倒力はベース401に伝達されて、ベース401はホルダ501に対して傾倒する。ベース401が傾倒すると、ベース401の一部であって基板701に向けて突出するスイッチ操作部432も一体に傾倒し、このスイッチ操作部432が基板701に設けられた揺動スイッチ707の揺動体707aを左右方向に押し倒す。こうして、操作ノブ201を傾倒させることにより揺動スイッチ707が操作されて、「左右選択」を行うことが可能となる。
【0022】
次に、「回転調節」のための構造について説明する。ホルダ501の外周には、ロータ601が円周方向に回転自在に取り付けられている。ここで、操作ノブ201を傾倒させると、操作ノブ201の傾倒力は、ロータ601に伝達されないで逃がされる。その一方で、操作ノブ201を回転させると、操作ノブ201の回転力は、ロータ601に伝達されてロータ601は一体に回転する(詳細は図9等参照)。ここで、ロータ601の回転は、基板701に設けられたフォトインタラプタ708によって検知される。こうして、操作ノブ201を回転させることによりロータ601の回転が検知されて、「回転調節」を行うことが可能となる。
【0023】
次に、「プッシュ切替」のための構造について説明する。ベース401の内側には、プッシュスイッチ体301を主体に構成されたプッシュスイッチ100がスライド自在に収納されている。このとき、操作ノブ201の開口端面201aからは、プッシュスイッチ100の端面であるプッシュノブ101が露出している。このプッシュノブ101をプッシュ操作すると、プッシュスイッチ体301の一部である押圧部306によって、ホルダ501に形成されたプッシュバー収容孔504内を摺動自在なプッシュバー506が押し込まれて、基板701に設けられたタクトスイッチ706がクリックされる。プッシュ操作後、プッシュスイッチ体301は、リターンスプリング404(図4等参照)の付勢力によって押し戻される。こうして、プッシュスイッチ100のプッシュ操作によってタクトスイッチ706が操作されて、「プッシュ切替」を行うことが可能となる。
【0024】
図4は、操作型入力装置1を示す分解斜視図である。図5は、図4とは別の方向から見た操作型入力装置1を示す分解斜視図である。続いて、図4及び図5に基づいて、操作型入力装置1の詳細な構造について説明する。
【0025】
図4に示すように、表示パネルとしてのプッシュノブ101には、照明部102として「PUSH AUTO」、「DUAL」、「L」、「R」の文字、及び、矢印等の図形が形成されている。図1により、より詳細に見ると、プッシュノブ101の中央位置を示すB−B線の左側には、ベース401の傾倒軸線(一対の軸部502を結んだ線)に対して平行に設けられたB−B線に対して直交する方向に延びて形成された「PUSH」、「AUTO」、「DUAL」の文字の左側半分と、プッシュノブ101の左の円周方向に向かう矢印と、助手席側(左側)に寄せて「L」という文字と、左向き矢印とが形成されている。これを、第1照明部102aと呼ぶ。また、プッシュノブ101のB−B線の右側には、「PUSH」、「AUTO」、「DUAL」の文字の右側半分と、プッシュノブ101の右の円周方向に向かう矢印と、運転手席側(右側)に寄せて「R」という文字と、右向き矢印とが形成されている。これを、第2照明部102bと呼ぶ。なお、運転手席側と助手席側との位置は、逆であっても良いことは言うまでもない。プッシュノブ101の全体は非透光性であるのに対して、照明部102は光透過性を有する。そのため、基板701に設けられた後述するLED702の照明光が操作ノブ201等の内部を通って照明部102を透過することで、照明部102が発光しているように見える。また、図5に示すように、プッシュノブ101は、一面側に凹状の窪み104を有する。窪み104を形成するプッシュノブ101の内周面には、2つプッシュスイッチ係合爪103が突出形成されている。
【0026】
図5に示すように、操作ノブ201の内周面には、円周方向に沿って段状に突出する帯部203が設けられている。帯部203における開口端面201a側の縁には、係合段部202が突出形成されている。操作ノブ201の内周面であって、帯部203よりも開口端面201b側の位置には、操作ノブ201の軸方向に沿って複数の溝(クリック溝204と呼ぶ)が形成されている。さらに、操作ノブ201の内周面であって、クリック溝204と開口端面201bとの間の位置には、操作ノブ201の円周方向と直交する方向に沿って立設された一対の壁によって形成された溝(溝部205と呼ぶ)が設けられている。
【0027】
図5に示すように、プッシュスイッチ体301の外周面における開口端面301a(図4参照)寄りの位置には、2つのプッシュノブ係合爪304が突出形成されている。プッシュスイッチ体301については、開口端面301a側の部分(太径部311と呼ぶ)よりも、他方の開口端面301b側の部分(小径部312と呼ぶ)が一段縮径している。太径部311の外周面には、ベース係合爪302が形成されている。小径部312は、完全な円筒形状ではなく、プッシュスイッチ体301の軸方向と平行な一対の面が、湾曲した外周を削るようにして形成されている。太径部311と小径部312との外周面には、プッシュスイッチ体301の軸方向と平行な溝であるスライドガイド溝305がおよそ90°間隔おきにそれぞれ2つずつ形成されている。小径部312は、一部が斜めに切り落とされたように、切り欠きが形成されている。この切り欠き断面に、突起303が設けられている。小径部312の内周面であって、上側のスライドガイド溝305の反対側の位置には、突起が設けられている。この突起の開口端面301b側には、半球状の部材である押圧部306が設けられている。
【0028】
図5に示すように、ベース401も、プッシュスイッチ体301と同様に、太径部411と小径部412とを有する。プッシュスイッチ体301の外径は、ベース401の内径よりも僅かに小さい。太径部411と小径部412との内周面には、ベース401の軸方向に沿った長尺の突起であるスライドガイド408がおよそ90°間隔おきにそれぞれ2つずつ設けられている。また、図4に示すように、ベース401の内周側には、ベース401の軸方向に沿った長孔を有するスプリング受部403が設けられている。太径部411の外周面には、リング状の外枠部406が円周方向に沿って突出形成されている。さらに、太径部411の外周面における外枠部406よりも開口端面401aに寄せた位置には、外側に向けて突出する操作ノブ取付爪405が4つ設けられている。なお、本実施形態においては、プッシュノブ101、操作ノブ201、プッシュスイッチ体301、および、ベース401によって操作部を構成している。
【0029】
また、図5に示すように、ベース401の外面側であって太径部411と小径部412との段差面には、一対の板状部材である軸孔部409が一体的に設けられている。軸孔部409は、小径部412の外周面からは離間している。軸孔部409には、貫通孔である軸孔407が形成されている。軸孔部409の配置位置は、ベース401の仮想的な円中心を通る仮想線上である。一方の軸孔部409と対向する位置の小径部412の部分は、ベース401の軸方向に延出している。この延出部分を上延出部421と呼ぶ。上延出部421の端面は、湾曲している。湾曲している上延出部421の端面には、凹凸部422が形成されている。凹凸部422は、三方に向く3つの凹部を有する。他方の軸孔部409と対向する位置の小径部412の部分も、ベース401の軸方向に延出している。この延出部分を下延出部431と呼ぶ。下延出部431の端部には、U字形状の切り欠きが形成されている。このような切り欠きを有する下延出部431の端部を、スイッチ操作部432と呼ぶ。太径部411と小径部412との接続部分には、ベース401の外面側から圧縮バネであるアクションスプリング442と球体であるスチールボール443とを収納する長孔状の収納部441が設けられている。収納部441は、一対の軸孔407を通る仮想線と平行に配置されている。
【0030】
図4に示すように、ホルダ501も、プッシュスイッチ体301及びベース401と同様に、太径部512と小径部511とを有する。小径部511の内径は、ベース401の小径部412の外径よりも大きい。小径部511における外周面の一部には、ホルダ501の軸方向と平行な一対の面503が、湾曲した外周を削るようにして形成されている。一対の面503上には、軸状部材である軸部502が突出形成されている。一対の軸部502は、ホルダ501の軸方向と直交する方向に延出している。軸部502の配置位置は、ホルダ501の仮想的な円中心を通る仮想線上である。ホルダ501の内周側であって上側の面503に寄せた位置には、ホルダ501の軸方向に延びた筒状の筒部505が配置されている。筒部505は、軸部502の延長線上に位置付けられている。筒部505には、ホルダ501の軸方向と平行な貫通孔であるプッシュバー支持部としてのプッシュバー収容孔504が形成されている。小径部511の外周面には、ロータ係合爪541が突出形成されている。
【0031】
図5に示すように、ホルダ501の開口端面501bの中心を通る上下方向の仮想線上には、一対の棒状部材である基板位置決め部551が開口端面501bから突出して設けられている。また、この線と直交する方向の仮想線上に位置させて、ネジ孔である基板固定部552が開口端面501bから突出しないで設けられている。上側の基板位置決め部551と背中合わせとなる位置には、圧縮バネであるアクションスプリング508と球体であるスチールボール509とを収納する長孔状の収納部521が設けられている。
【0032】
図5に示すように、ロータ601の内周面には、一方の開口端面601a(図4参照)側に寄せて、係合段部604がロータ601の円周方向に沿って突出形成されている。ロータ601の開口端面601b側には、ロータ601の内径を拡大するようにして段部603が形成されている。開口端面601b側の縁部分には、ロータ601の湾曲に沿って湾曲する板片である複数個の作動部602が一定間隔を空けて設けられている。ロータ601の外周面には、棒状の突出部605が突出形成されている。突出部605の先端は、突出部605の後端よりも径が大きい半円球状に成形されている。
【0033】
図5に示すように、基板701には、ホルダ501の基板位置決め部551の配置位置に対応させて、位置決め孔705が形成されている。また、基板701には、ホルダ501の基板固定部552の配置位置に対応させて、ネジ用孔703が形成されている。また、図4に示すように、基板701の正面側には、一対の位置決め孔705と一対のネジ用孔703との間に位置させて、上から順に、モーメンタリ(自動復帰型)のタクトスイッチ706、一対のLED702、揺動スイッチ707が設けられている。タクトスイッチ706は、クリック体706aを有し、クリック体706aがクリックされている間だけ通電し、クリックが解かれると内蔵されている板バネ(図示せず)の付勢力でクリック体706aが自動復帰する。タクトスイッチ706が接続された空調装置の制御部801(図11に図示)は、タクトスイッチ706の通電を検知すると、空調装置をオートモードに設定する。LED702は、車両の前照灯スイッチ803(図11に図示)のON操作に応じて点灯する夜間照明である。揺動スイッチ707は、周知のディテクタスイッチ(2方向3接点スイッチ)である。揺動スイッチ707は、揺動スイッチ707から突出するようにして設けられた揺動体707aを有し、揺動体707aの向きに応じた電気信号を出力する。
【0034】
一対のLED702は、ベース401の傾倒軸線を含み、基板701に垂直な仮想平面を挟んで、それぞれ左右位置に等間隔をもって設けられている。左側に位置する第1光源としての第1LED702aは、中立状態にあるプッシュノブ101の第1照明部102aに対向するように設けられている。また、右側に位置する第2光源としての第2LED702bは、中立状態にあるプッシュノブ101の第2照明部102bに対向するように設けられている。
【0035】
さらに、図4に示すように、さらに基板701の正面側には、一対の位置決め孔705及び一対のネジ用孔703よりも外側に位置させて、2個のフォトインタラプタ708が設けられている。フォトインタラプタ708は、発光素子(一例として赤外LED)と受光素子(フォトトランジスタ)とが対向配置され、両者の間を物体が通過する際に光が遮断されることにより物体の有無を検出する周知の光スイッチである。より詳細には、フォトインタラプタ708の受光素子は、光が遮断されないとLレベルの出力をし、光が遮断されるとHレベルの出力をする。そして、後述するように、このようなフォトインタラプタ708の発光素子と受光素子との間を、回転するロータ601の作動部602が通過する(図3参照)。板片である作動部602がフォトインタラプタ708の発光素子と受光素子の間を通過する際に光が遮断されてHレベルの出力がなされ、隣り合う作動部602同士の間の空間がフォトインタラプタ708の発光素子と受光素子の間を通過する際に光遮断は解除されてLレベルの出力がなされる。2個のフォトインタラプタ708は、このような出力波形の位相が90°ずれるように配置されている。これにより、ロータ601の回転方向も検知可能となっている。
【0036】
次に、図3ないし図5に基づいて、操作型入力装置1の組み付けについて説明する。まず、プッシュスイッチ体301の開口端面301aをプッシュノブ101の窪み104に差し込み、プッシュスイッチ係合爪103とプッシュノブ係合爪304とを引掛ける。これにより、プッシュノブ101は、プッシュスイッチ体301の開口端面301aとなる。
【0037】
プッシュスイッチ体301は、小径部312が開口端面401aに差し込まれるようにして、ベース401に収納される。このとき、スライドガイド408がスライドガイド溝305に遊びをもって嵌まり込むので、プッシュスイッチ体301は、スライドガイド408に沿ってスライド自在となる。もっとも、プッシュスイッチ体301は、ベース401に対して抜け止めされる。抜け止めは、ベース係合爪302が、係合掛け部402に当接することによって実現される。このとき、スプリング受部403には、圧縮バネであるリターンスプリング404が収納される。リターンスプリング404のプッシュスイッチ体301側の端面には、突起303が差し込まれる。つまり、突起303の配置位置は、プッシュスイッチ体301がベース401に収納された状態でスプリング受部403と対向する位置である。プッシュスイッチ体301はリターンスプリング404によって押圧されている。
【0038】
次いで、ロータ601が、開口端面501a側から、ホルダ501の外面に位置付けられる。すると、ロータ601の段部603は、ホルダ501の太径部512の縁部分に当接し、ホルダ501のロータ係合爪541が、ロータ601の係合段部604に引っ掛かる。こうして、ロータ601は、ホルダ501に対して抜け止めされて、ホルダ501の円周方向に回転自在となる。
【0039】
図3に示すように、ホルダ501のプッシュバー収容孔504に棒状の部材であるプッシュバー506が差し込まれた状態で、ベース401の小径部412は、ホルダ501の開口端面501aに差し込まれる。このとき、上延出部421及び下延出部431は、小径部511の内周側に収納される。また、一対の軸孔部409は、ホルダ501の面503上に位置付けられる。そして、面503から突出する軸部502を軸孔部409の軸孔407に挿入させることによって、ベース401は、軸部502の軸回り方向に回動自在に軸支される。こうして、ベース401は、軸部502を中心として傾倒自在となり、ベース401に取り付けられた操作ノブ201も同様に傾倒自在となる。
【0040】
このとき、図3に示すように、上延出部421の端面である凹凸部422は、収納部521と対面する。収納部521には、アクションスプリング508とスチールボール509とがこの順に収納される。凹凸部422は、スチールボール509を押圧する。アクションスプリング508も押圧されて、反発力を蓄積する。スチールボール509は、反発力によって復元しようとするアクションスプリング508によって凹凸部422に対して押圧される。
【0041】
次いで、図3に示すように、ホルダ501の基板位置決め部551が基板701の位置決め孔705に差し込まれる。これにより、ホルダ501は基板701に対して位置決めされる。さらに、ネジ部材704が、基板701の背面側からネジ用孔703に差し込まれて基板固定部552に螺合することで、位置決めされたホルダ501は基板701に固定される。このとき、タクトスイッチ706、LED702、揺動スイッチ707は、ホルダ501の内周側に配置される。フォトインタラプタ708は、ホルダ501の外周側に配置される。フォトインタラプタ708には、ホルダ501に対して回転自在に取り付けられたロータ601の作動部602が差し込まれる。また、このとき、半球状の押圧部306がプッシュバー506の一端に接し、プッシュバー506の他端はタクトスイッチ706に接する。プッシュバー506と押圧部306との接触部分が、軸部502(軸孔407)の延長線上に位置する。そして、下延出部431のスイッチ操作部432は、揺動スイッチ707の揺動体707aを非接触状態で挟みこむ。
【0042】
次いで、操作ノブ201をベース401及びロータ601の外面に位置付ける。このとき、操作ノブ201の溝部205に、突出部605の半円球状の先端を入り込ませる(図6参照)。ベース401の外枠部406が操作ノブ201の帯部203の縁に当接し、ベース401の操作ノブ取付爪405が、操作ノブ201の係合段部202に引っ掛かる。こうして、操作ノブ201がベース401に対して抜け止めされた状態で回転自在となる。このように、係合段部202、帯部203、操作ノブ取付爪405、外枠部406は、第1の伝達機構を構成する。
【0043】
また、図3に示すように、ベース401の収納部441には、アクションスプリング442とスチールボール443とがこの順に収納される。スチールボール443は、収納部441に収納されたアクションスプリング442によって押圧されて、操作ノブ201の内周面に当接する。当接位置は、クリック溝204が設けられている位置である。したがって、押圧されたスチールボール443は、クリック溝204に嵌まり込む。これにより、操作ノブ201の回転位置は、位置保持される。
【0044】
このような操作型入力装置1において、操作ノブ201に外力を付与してベース401に対して回転させると、スチールボール443が嵌まり込んでいるクリック溝204とこのクリック溝204に隣接する別のクリック溝204との間の凸部(操作ノブ201の内周面)がスチールボール443とアクションスプリング442とを押し上げる。そして、操作ノブ201の回転過程で別のクリック溝204がスチールボール443に位置すると、アクションスプリング442の復元力によってスチールボール443がこのクリック溝204に嵌まり込む。こうして、再び操作ノブ201は回転位置が位置保持される。また、スチールボール443がクリック溝204に嵌まり込む毎に、クリック感が与えられる。
【0045】
図6は、ロータ601の突出部605と操作ノブ201の溝部205とを示す断面図である。図6(a)に示すように、操作ノブ201の溝部205にロータ601の突出部605の先端が入り込んでおり、ロータ601がホルダ501に対して回転自在であるため、操作ノブ201に外力を付与してベース401に対して回転させると、ロータ601も一体的に回転する。このとき、図6(b)に示すように、操作ノブ201の回転によって溝部205が傾いても、突出部605の先端は突出部605の後端よりも径が大きい半円球状であるため、突出部605が溝部205に引っ掛かってしまうことを免れることができる。
【0046】
操作ノブ201の回転と一体的にロータ601は回転するため、フォトインタラプタ708の発光素子と受光素子との間に位置する作動部602も回転する。作動部602の回転に際してのフォトインタラプタ708の出力波形に応じて、操作ノブ201の回転量と回転方向とが検出される。フォトインタラプタ708が接続された制御部801(図11に図示)は、検出された操作ノブ201の回転量と回転方向とによって、空調装置の温度設定を行う。作動部602とフォトインタラプタ708とは、回転検知部を構成する。
【0047】
図7は、ベース401とホルダ501の軸部502及び収納部521とを示す平面図である。アクションスプリング508に押圧されたスチールボール509が、凹凸部422のセンター位置の凹部に嵌まり込んでいる。これにより、軸部502(軸孔407)を回動中心としたベース401の傾倒が規制され、ベース401は位置保持される。ここで、ベース401を傾倒させると、軸部502を回動中心に上延出部421も傾倒する(図7中破線で示す)。その過程で、凹凸部422の凸部がスチールボール509とアクションスプリング508とを押え付けることになるが、スチールボール509はアクションスプリング508の復元力によって、凹凸部422の左右位置の凹部に嵌まり込む。こうして、ベース401は、傾倒状態で位置保持される。凹凸部422、アクションスプリング508、スチールボール509、及び、収納部521は、傾倒保持機構を構成する。
【0048】
また、図7に示すように、上延出部421の凹凸部422の左右位置を覆う部材である規制部531が収納部521を形成する部材と一体に設けられている。軸部502を回動中心にして傾倒する上延出部421は、その端部が規制部531に当接することによって、それ以上の傾倒が規制される。
【0049】
図8は、操作型入力装置1の断面図である。ベース401の傾倒に伴って、ベース401にスライド自在に取り付けられたプッシュスイッチ体301、プッシュスイッチ体301の開口端面301aに取り付けられたプッシュノブ101、ベース401に回転自在に取り付けられた操作ノブ201も、一体的に傾倒する。換言すれば、操作ノブ201と一体的に、プッシュノブ101、プッシュスイッチ体301、ベース401も傾倒する。このような傾倒の方向は、ロータ601(操作ノブ201)の回転方向と直交する方向である。
【0050】
図8(a)に示すように、操作ノブ201が傾倒していない中立状態では、ベース401の一部である下延出部431のスイッチ操作部432は、揺動スイッチ707の揺動体707aを非接触状態で挟みこんでいる。そして、図8(b)及び図8(c)に示すように、操作ノブ201が傾倒状態にされると、ベース401の下延出部431も一体に傾倒し、スイッチ操作部432が有するU字切り欠きの左右の凸部が、揺動体707aを押し倒す。上記のように、ベース401の傾倒状態は保持されるため、揺動体707aも押し倒された状態が保持される。傾倒状態の操作ノブ201を中立状態に戻すと、スイッチ操作部432による揺動体707aの押し倒しは解かれ、揺動スイッチ707の内部機構により揺動体707aは位置復帰する。
【0051】
本実施の形態では、揺動スイッチ707の揺動体707aの向きに応じて、空調装置の温度設定をする対象が選択される。揺動スイッチ707は、空調装置の制御部801(図11に図示)に接続されている。制御部801は、揺動体707aの向きに応じた電気信号を揺動スイッチ707から受信すると、その信号に応じて空調装置の温度設定をする対象を切り替える。具体的には、制御部801は、操作ノブ201が中立状態で揺動体707aが倒されていない状態(中立位置)では(図8(a)参照)、運転手席側と助手席側との両方を温度設定の対象とする。また、制御部801は、操作ノブ201が助手席側に傾倒して揺動体707aが右側に倒された状態では(図8(b)参照)、助手席側を温度設定の対象とする(DUALモード設定)。さらに、制御部801は、操作ノブ201が運転手席側に傾倒して揺動体707aが左側に倒された状態では(図8(c)参照)、運転手席側を温度設定の対象とする(DUALモード設定)。このように本実施の形態では、一つの揺動スイッチ707だけで操作ノブ201の傾倒が検知されるので、部品点数の削減が可能である。
【0052】
そして、運転手席又は助手席に着座している操作者が、照明部102の表示内容に従って、自分の着座している席の方向に操作ノブ201を傾倒させるだけで、その席(運転手席又は助手席)が空調装置の温度設定対象として選択される。このように操作ノブ201を傾倒させた後、この操作者は、空調装置の温度設定のために操作ノブ201を回転させることになる。このように、操作ノブ201の傾倒方向と操作対象の配置位置とを対応させるように構成することにより、どの操作対象を制御しているのかを容易に判定することができる。また、操作対象の選択と個々の操作対象に対する設定とを操作ノブ201から手を離すことなく、一連の操作によって行うことができる。
【0053】
図9は、操作ノブ201の回転に際しての突出部605と溝部205とを模式的に示す平面図である。操作ノブ201に設けられた溝部205は、操作ノブ201の円周方向と直交する方向に沿っていることから、操作ノブ201やロータ601の回転方向と直交する方向に沿っている。そのため、傾倒状態で位置保持された操作ノブ201の回転に際しては、ロータ601の突出部605は、図9に示すように、溝部205内を相対的に移動する。溝部205は、移動する突出部605が脱落しない程度の長さを有している。このように、操作ノブ201の回転はロータ601に伝達され、操作ノブ201の傾倒はロータ601に許容される。操作ノブ201の回転のみロータ601に伝達されることになり、操作ノブ201が傾倒しても、回転の伝達が解除されることはない。このように、溝部205と突出部605とは、第2の伝達機構を構成する。
【0054】
操作ノブ201が傾倒されて位置保持された状態(DUALモードが設定された状態)で操作ノブ201を回転させると、選択された対象(運転手席側又は助手席側)のみで、空調装置の温度設定がなされる。その後、操作ノブ201を中立状態に戻してもDUALモードの設定は解除されない。しかし、操作ノブ201を中立状態に戻した後に、操作ノブ201を回転させると、DUALモードの設定は解除される。
【0055】
図10は、図1のA−A線断面図である。プッシュスイッチ体301の押圧部306は、図10(a)に示すように、操作ノブ201が傾倒していない中立状態にあっても、図10(b)及び図10(c)に示すように、傾倒状態にあっても、タクトスイッチ706に接しているプッシュバー506の反対の端面と常に接している。これは、プッシュバー506と押圧部306との接触部分が、軸部502(軸孔407)の延長線上に位置していることによって実現されている。そのため、操作ノブ201が中立状態にあっても傾倒状態にあっても、操作ノブ201の開口端面201aに位置付けられているプッシュノブ101をプッシュ操作してプッシュスイッチ体301をスライドさせることにより、押圧部306がプッシュバー506を押し込んで、タクトスイッチ706のクリック体706aをクリックすることができる。
【0056】
プッシュスイッチ体301のスライドによってリターンスプリング404は圧縮されて反発力を蓄積する。そして、プッシュノブ101のプッシュ操作を止めると、リターンスプリング404は復元してプッシュスイッチ体301を押し返し、プッシュノブ101は再び操作ノブ201の開口端面201aに位置付けられる。プッシュスイッチ体301が押し返されるので押圧部306も位置復帰し、プッシュバー506の押し込みによるタクトスイッチ706のクリックは解かれる。こうして、自動復帰型のタクトスイッチ706は、元の状態に復帰する。
【0057】
前述したように、タクトスイッチ706のクリックによって、空調装置のオートモードの設定がなされる。本実施の形態では、プッシュノブ101は、操作ノブ201の傾倒と連動して傾倒するので、操作ノブ201を自身の席側に傾倒させた操作者と対面する。そのため、例えば操作ノブ201のみが傾倒してプッシュノブ101が傾倒しない場合と比較して、操作者はプッシュノブ101のプッシュ操作がし易く、プッシュノブ101に形成されている照明部102も見易い。
【0058】
本実施形態の操作型入力装置1において、操作ノブ201が中立状態となっている場合、照明用のLED702a、702bの光は、中立状態において同軸上に配置されて、いずれも円筒状であるホルダ501、ベース401、および、プッシュスイッチ体301の内部の貫通孔を通過してプッシュノブ101に達し、プッシュノブ101の各照明部102a、102bを光らせる。このホルダ501、ベース401、および、プッシュスイッチ体301の内部の貫通孔を透光経路709と呼ぶ。プッシュノブ101の左側に位置する第1照明部102aは、第1照明部102aと対向する第1LED702aからの直接光だけでなく、第2LED702bからの直接光、および、透光経路709の内周面によって反射される反射光によっても照明されるが、距離的に近い第1LED702aからの直接光による照明度合いが最も大きい。また、同様に、プッシュノブ101の右側に位置する第2照明部102bは、第2照明部102bと対向する第2LED702bからの直接光だけでなく、第1LED702aからの直接光、および、透光経路709の内周面によって反射される反射光によっても照明されるが、距離的に近い第2LED702bからの直接光による照明度合いが最も大きい。
【0059】
また、操作ノブ201が傾倒状態となった場合、ベース401、および、プッシュスイッチ体301は、ホルダ501に対して軸部502を中心に傾き(本実施形態では15度)、透光経路709が途中折れ曲がったような状態となる。しかし、ベース401の下側の開口端面401bがLED702a、702b側に対向して開口している状態は維持されるため、各LED702a、702bからの光は、透光経路709内を通過して、それぞれ対応するプッシュノブ101の第1照明部102a、および、第2照明部102bに直接照射される。したがって、操作ノブ201が傾倒状態となった場合でも、プッシュノブ101の第1照明部102aは、第1LED702aからの直接光によって照明され、また、プッシュノブ101の第2照明部102bは、第2LED702bからの直接光によって照明される。
【0060】
なお、ベース401の外周に装着される円筒状の操作ノブ201が、ホルダ501と重なる位置まで延びて、ホルダ501の開口端面501aの外側を覆うように設けられている。これにより、ホルダ501の開口端面501aとベース401の小径部412との隙間から漏れるLED702の光が、操作ノブ201の内周面によって遮断され、少なくとも前方側へ直接、光が漏れることが防止される。
【0061】
図11に示す制御部801は、上述した操作型入力装置1の各操作に対応して、空調装置を駆動制御するとともに、操作型入力装置1の照明部102の照明制御を行うものである。制御部801は、演算装置であるCPU(図示せず)と、制御プログラム等が予め記憶された読み取り専用記憶装置であるROM(図示せず)と、読み書き可能な主記憶装置でありワークエリアとして使用されるRAM(図示せず)等によって構成されている。この制御部801には、制御部801からの制御信号によって各LED702a、702bを点灯/消灯させるとともに、各LED702a、702bの輝度を変更可能なドライブ回路802a、802bが電気的に接続されている。各LED702a、702bは、このドライブ回路802a、802bを介して制御部801にそれぞれ電気的に接続されている。ドライブ回路802a、802bは、例えば、制御部801からの制御信号によってトランジスタ等のスイッチング素子を作動させ、電源に接続された電流調整用の抵抗の大きさを切り替えることで電源から各LED702a、702bに流れる電流の値を変更し、各LED702a、702bの輝度を変更する周知の電流切替回路等の採用が可能である。また、制御部801からの信号によって各LED702a、702bに流す電流値のデューティ比を変化させて各LED702a、702bの輝度を変更するように構成してもよい。
【0062】
また、制御部801には、タクトスイッチ706、揺動スイッチ707、および、フォトインタラプタ708が電気的に接続されている。制御部801は、各スイッチ706、707、708からの電気信号によって、操作ノブ201の傾倒操作、および、回転操作、そして、プッシュノブ101の押込み操作を検知し、その検知した信号に応じて、上述したように空調装置を制御する。さらに、制御部801には、夜間走行時にON操作される車体側の前照灯スイッチ803が電気的に接続されている。
【0063】
ところで、図10(a)に示す中立状態では、プッシュノブ101は、基板701に対して略平行に対向し、プッシュノブ101の中央線(図1中B−B線)が、ベース401の傾倒軸線を含んで基板701に垂直な仮想平面上に位置するように配置されている。したがって、第1LED702aからプッシュノブ101の第1照明部102aまでの距離と、第2LED702bからプッシュノブ101の第2照明部102bまでの距離とは、ほぼ同じ長さとなっており、第1照明部102a、および、第2照明部102bは、各LED702a、702bからの光によって、ほぼ同じ明るさで照明される。しかし、図10(b)に示すように、操作ノブ201が助手席側に傾倒した状態では、第1照明部102aが位置するプッシュノブ101の助手席側は、基板701に対して接近し、第2照明部102bが位置するプッシュノブ101の運転手席側は、基板701に対して離脱する。すなわち、第2LED702bから第2照明部102bまでの距離は、第1LED702aから第1照明部102aまでの距離よりも遠くなっている。そのため、この状態では、LED702a、702bの照射による照明部102の発光量は、第2照明部102bの方が第1照明部102aよりも減衰して見えてしまう。これは、図10(c)に示すように、操作ノブ201が運転手席側に傾倒した状態でも同様の問題が生ずる。
【0064】
そこで、本実施の形態では、操作ノブ201の傾倒によりスイッチ操作部432が揺動スイッチ707の揺動体707aを押し倒して、DUALモードが設定されると、2個のLED702a、702bの輝度が変化する。
【0065】
まず前提として、図10(a)に示すような中立状態では、揺動スイッチ707の揺動体707aは、中立位置にあり(図8(a)参照)、揺動スイッチ707からは、操作ノブ201が中立状態にあることを示す電気信号が出力される。この電気信号を受信した制御部801は、2個のLED702a、702bを予め設定された輝度(標準輝度と呼ぶ)によって光らせる。このとき、LED702a、702bの輝度は両方とも同じである。そして、図10(b)に示すように、操作ノブ201が助手席側(左側)に傾倒されて揺動スイッチ707の揺動体707aが右側に倒されると(図8(b)参照)、揺動スイッチ707からは、揺動体707aの傾倒方向に対応した電気信号が出力される。この電気信号を受信した制御部801は、図10(b)中左側の第1LED702aの輝度を標準輝度に対して減少させるとともに、右側の第2LED702bの輝度を標準輝度に対して増大させる。これに対して、図10(c)に示すように、操作ノブ201が運転手席側(右側)に傾倒されて揺動スイッチ707の揺動体707aが左側に倒されると(図8(c)参照)、揺動スイッチ707からは、揺動体707aの傾倒方向に対応した電気信号が出力される。この電気信号を受信した制御部801は、図10(b)中左側の第1LED702aの輝度を標準輝度に対して増大させるとともに、右側の第2LED702bの輝度を標準輝度に対して減少させる。これにより、操作ノブ201が傾倒してもプッシュノブ101は均等に照射され、照明部102の片方の発光量が減衰して見えてしまう問題が解消される。
【0066】
このように、本実施形態の操作型入力装置1によれば、操作ノブ201を基板701に対して傾倒操作すると、プッシュノブ101の一方側が基板701に対して接近し、他方側は基板701から遠ざかる。そして、そのプッシュノブ101の一方側および他方側にそれぞれ対応する第1光源702a、および、第2光源702bを配置し、操作ノブ201の傾倒方向に対応してそれぞれの光源702a、702bの輝度を変化させるように構成しているため、操作ノブ201が傾倒操作された場合でも、プッシュノブ101に設けられた照明部102を全体的に略均一に照明することが可能となる。
【0067】
なお、本発明の操作型入力装置1は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、追加を行って実施することが可能である。例えば、本実施の形態においては、操作ノブ201の傾倒操作に応じて、2つのLEDの輝度をそれぞれ変更するようにしているが、一方側のLEDの輝度のみを変更して、プッシュノブ101に設けられた照明部102を全体的に略均一に照明するようにしてもよい。また、本実施形態においては、プッシュノブ101の第1照明部102a、および、第2照明部102bにそれぞれ1つのLED702a、702bを対応させて照明するようにしているが、1つの照明部102aを複数の光源(LED以外でもよい)によって照明するようにしてもよい。
【0068】
本実施形態においては、傾倒検知部を1つの揺動スイッチ707を用いて構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、2つのプッシュスイッチ、あるいは、ベース401のスイッチ操作部432側に可動接点、基板701側に複数の固定接点を設けて、ベース401の傾倒を検知するようにしてもよい。本実施形態においては、制御部801は、空調装置側に設けられ、空調装置を駆動制御する機能、および、操作型入力装置1の照明部102の照明制御を行う機能を備えているが、制御部801は、照明制御のみを行うものであってもよく、操作型入力装置1側に設けられていてもよい。
【0069】
本実施形態においては、制御部801として、CPUを内蔵したマイコンを採用しているが、これに限定されるものではなく、傾倒検知部(揺動スイッチ707)からの信号に応じて光源の輝度を変更可能なものであれば、いかなる形態のものでも採用が可能である。例えば、制御部は、揺動スイッチ707の検知信号をドライブ回路802a、802bに直接入力し、その検知信号によってトランジスタ等のスイッチング素子を切り替えることにより、電源から各LED702a、702bに流れる電流の値を変更し、各LED702a、702bの輝度を変更するような、ハード的な演算回路を用いて構成してもよい。
【0070】
本実施形態では、本発明の構成を、操作部の傾倒、および、プッシュ操作を検知可能な複合型の操作型入力装置に採用した例を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、周知のシーソースイッチ等にも採用が可能である。また、本発明の操作型入力装置は、車両用の空調装置を操作するものに限定されるものではなく、操作部を傾倒操作して機能を選択する操作型入力装置が必要なあらゆる機器に採用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1・・・操作型入力装置
101・・・プッシュノブ(表示パネル)
102・・・照明部
102a・・・第1照明部
102b・・・第2照明部
201・・・操作ノブ(操作部)
301・・・プッシュスイッチ体(操作部)
401・・・ベース(操作部)
432・・・スイッチ操作部(傾倒検知部)
701・・・基板(基体)
702a・・・第1LED(第1光源)
702b・・・第2LED(第2光源)
707・・・揺動スイッチ(傾倒検知部)
801・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に取り付けられた光源と、該光源からの光によって照明される照明部を備えた表示パネルを有し、前記基体に対して傾倒自在に配置された操作部と、該操作部の傾倒、および、傾倒方向を検知する傾倒検知部と、を備えた操作型入力装置において、前記光源は、前記操作部の傾倒方向に対応する一方側に設けられた第1光源と、他方側に設けられた第2光源とを備え、前記傾倒検知部によって前記操作部の一方側、または、他方側への傾倒を検知すると、検知された傾倒方向に応じて前記第1、第2光源の輝度をそれぞれ調整する制御部を備えたことを特徴とする操作型入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部の一方側への傾倒を検知すると、前記第1光源の輝度を減少させる一方、前記操作部の他方側への傾倒を検知すると、前記第1光源の輝度を増大させることを特徴とする請求項1に記載の操作型入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作部の一方側への傾倒を検知すると、前記第2光源の輝度を増大させる一方、前記操作部の他方側への傾倒を検知すると、前記第2光源の輝度を減少させることを特徴とする請求項1、または、2に記載の操作型入力装置。
【請求項4】
前記照明部は、前記操作部の一方側への傾倒によって、前記基体に対して接近する前記表示パネルの一方側に設けられた第1照明部と、前記基体に対して離脱する前記表示パネルの他方側に設けられた第2照明部とを有し、前記操作部の一方側への傾倒によって、前記第2光源から前記第2照明部までの距離よりも前記第1光源から前記第1照明部までの距離の方が短くなると、前記制御部は、前記第2光源の輝度よりも前記第1光源の輝度の方が小さくなるように、前記第1光源、および、前記第2光源の輝度を調整することを特徴とする請求項1に記載の操作型入力装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記基体から突出して前記光源を内部に配置する筒状のホルダに対して傾倒自在に支持された筒状のベースと、該ベース内に進退可能に配設され一端側開口が前記表示パネルによって閉塞された筒状のプッシュスイッチ体と、を備えるとともに、前記基体には、前記プッシュスイッチ体のプッシュ操作を検知するプッシュ操作検知部を設け、前記光源からの光は、前記ホルダ、および、前記プッシュスイッチ体の内部を通過して前記表示パネルの照明部に照射されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至4に記載の操作型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−14485(P2011−14485A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159616(P2009−159616)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】