説明

操作支援パネル

【課題】操作の際にタッチパネルへ視線を移さなくともタッチパネルへの誤タッチを防止することが可能な操作支援パネルを提供する。
【解決手段】操作支援パネルは、フレーム部、固定部及びボタン部を具備する。フレーム部は、仮想キーを表示する表示部と前記表示部上に積層された感圧部とを備える感圧式のタッチパネルに対して対向配置され、前記仮想キーの表示位置と対向する部位に穴部が形成される。固定部は、前記フレーム部と前記感圧部との間に空間を形成するように前記フレーム部を前記タッチパネルの外枠に固定する。ボタン部は、透明な素材から成り、前記表示部に表示される仮想キーとの間に空間を形成するように前記穴部に嵌め込まれ、定常位置で維持されるように前記フレーム部により支持され、上方からの押圧により、前記感圧部と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、感圧式のタッチパネルに取り付けられる操作支援パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
航空管制で使用されるコンソールのうち、タワーコンソールと呼ばれるコンソールは、管制塔と呼ばれる塔の最上階に設置される。管制官は、窓外の航空機、車両及び気象状態等の状況を確認しながら、通信対象となる航空機を選定し、コンソールで無線機の周波数等を切り替えて選定した航空機との交信を行う。
【0003】
窓外を確認するという業務の特性上、管制官はコンソール上の所定のボタンに常に指を置き、視線をコンソールに移さずともコンソールを操作可能なようにしていた。
【0004】
ところで、近年、タッチパネルを使用したコンソールが提案されている。この種のコンソールでは、タッチパネル上に仮想キーが表示され、管制官は表示された仮想キーに触れることで管制業務を行う。しかしながら、従来のようにコンソールの操作面に指を置くと、タッチパネルに表示された仮想キーに触れることとなり、触れた仮想キーに応じた処理が意図せずに実行されてしまう。また、タッチパネルに対する誤タッチを防止するために、仮想キーに触れる際には、常に操作内容を確認する必要があるが、この間、窓外の確認行為が疎かになってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−8392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、コンソールの操作者である管制官は、窓外を確認しながらでも無線機の周波数等の正確な切り替え操作を求めているが、タッチパネルを有するコンソールにおいては、操作の入力の際に、誤タッチを防ぐため、タッチパネルへ視線を移さなくてはならないという問題があった。
【0007】
そこで、目的は、操作の際にタッチパネルへ視線を移さなくともタッチパネルへの誤タッチを防止することが可能な操作支援パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、操作支援パネルは、フレーム部、固定部及びボタン部を具備する。フレーム部は、仮想キーを表示する表示部と前記表示部上に積層された感圧部とを備える感圧式のタッチパネルに対して対向配置され、前記仮想キーの表示位置と対向する部位に穴部が形成される。固定部は、前記フレーム部と前記感圧部との間に空間を形成するように前記フレーム部を前記タッチパネルの外枠に固定する。ボタン部は、透明な素材から成り、前記表示部に表示される仮想キーとの間に空間を形成するように前記穴部に嵌め込まれ、定常位置で維持されるように前記フレーム部により支持され、上方からの押圧により、前記感圧部と接触する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る操作支援パネルをコンソールへ設置した際の構造を示す図である。
【図2】図1に示すA−A’での操作支援パネル及びタッチパネルの断面図を示す図である。
【図3】図1に示すB−B’での操作支援パネル及びタッチパネルの断面図を示す図である。
【図4】図1に示すボタン部のその他の形状を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る操作支援パネルをコンソールへ設置した際の構造を示す図である。
【図6】図5に示すA−A’での操作支援パネル及びタッチパネルの断面図を示す図である。
【図7】図5に示す穴部のその他の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る操作支援パネル10を、コンソール20へ設置した際の構造を示す模式図である。なお、図1に示すように、x軸方向、y軸方向及びz軸方向を定義する。図2は、図1に示すA−A’断面での操作支援パネル10及びコンソール20のタッチパネル22の断面図を示す。図3は、図1に示すB−B’断面での操作支援パネル10及びタッチパネル22の断面図を示す。
【0012】
図1に示すコンソール20は、管制塔と呼ばれる塔の最上階に設置され、操作者である管制官は、窓外の航空機、車両及び気象状態等の状況を確認しながら、通信対象となる航空機を選定し、コンソール20で無線機の周波数等を切り替えて選定した航空機との交信を行う。コンソール20は、操作者の入力インタフェースとなるタッチパネル22を備える。外枠部21は、タッチパネル22の外側を囲むもので、タッチパネル22に対して所定の高さを有する。操作支援パネル10は、タッチパネル22の上方に位置するように、外枠部21に固定される。操作支援パネル10と、タッチパネル22との間には図2で示すように空間が形成される。
【0013】
タッチパネル22は、感圧式のもので、表示部221及び感圧部222を備える。図2に示すように、タッチパネル22は、感圧部222が表示部221の上に積層するように配置される。
【0014】
表示部221は、液晶ディスプレイ等の平面ディスプレイであり、図形や文字など、操作を行うための仮想キーを表示する。
【0015】
感圧部222は、2つの透明電極が鉛直方向に空隙をあけて上下に対向して配置されたものである。上方の透明電極が押圧されることで2つの電極が接触して通電し、押圧位置が検出される。表示部221に表示される画面は、透明な感圧部222を通して外部から認識可能である。
【0016】
操作支援パネル10は、フレーム部11、ボタン部12、固定部13及び弾性体14を具備する。
【0017】
フレーム部11は、タッチパネル22の上方に一定の距離を隔てて対向配置される。フレーム部11のうち、仮想キーの表示位置と対向する部位には穴部が形成される。穴部は、フレーム部11において縦方向及び横方向に間隔を空けて形成される。穴部の形状は、図1乃至図3では、略正方形形状を有しているが、ボタン部12の形状に応じて任意の形状をとるようにしても構わない。
【0018】
フレーム部11には、穴部におけるy軸の奥側の端部に、ボタン部12を支持する支持部111が図3に示すように形成される。支持部111は、ボタン部12に形成される被支持部121を、z軸方向に回動可能なように支持する形状をとる。例えば、支持部111は、フック状に形成された被支持部121を引っ掛けることが可能な形状をしており、被支持部121を掛け止める。
【0019】
また、フレーム部11は、タッチパネル22の表示部221に表示される仮想キーが視認可能な透明性と、操作者が指を置く際にその押圧に耐えられるだけの硬度を有する。フレーム部11は、例えば、アクリル樹脂により作成される。
【0020】
固定部13は、フレーム部11とタッチパネル22との間に空間が形成されるように、フレーム部11を外枠部21に固定する。固定部13は、例えば、嵌合突起であり、外枠部21に形成される嵌合穴部と接続することでフレーム部11を外枠部21に固定する。なお、固定部13は、フレーム部11の下面に塗付される取外し可能な接着素材であっても構わない。
【0021】
ボタン部12は、上部にx軸方向に突出した突出部122を備える。ボタン部12は、下部にy軸の奥側方向に形成される被支持部121を備える。ボタン部12は、上面に突起部123を備える。ボタン部12のx−y平面での断面形状は、図1乃至図3では略正方形形状であるが、図4に示すように、任意の形状であっても構わない。
【0022】
ボタン部12は、表示部221に表示される仮想キーの上方に一定の距離を隔てて対向配置するように、フレーム部11に形成される穴部に嵌め込まれる。また、ボタン部12は、被支持部121がフレーム部11の支持部111により回動可能なように支持される。突出部122におけるy軸の手前側の部分と、フレーム部11との間には、弾性体14がz軸方向に弾性力を有した状態で配置される。なお、弾性体14は、z軸方向に弾性力を有するものであれば良く、例えば、ばね及びゴム等が該当する。弾性力の強さは、ボタン部12をz軸の下方向に押下した際に、適度な抵抗感がある程度が望ましい。
【0023】
ボタン部12は、z軸の上方から押圧を受けると、支持部111と被支持部121とが接触する部分を軸として、z軸の下方向へ移動する。ボタン部12は、z軸の下方向へ移動することで、感圧部222と接触し、表示部221に表示される仮想キーを押す。ボタン部12は、z軸の上方からの押圧がなくなると、弾性体14に蓄積された弾性力によりz軸の上方に押し上げられ、押圧を受ける前の定常状態に戻る。
【0024】
以上のように、上記第1の実施形態では、透明な操作支援パネル10を外枠部21に取り付け、タッチパネル22と操作支援パネル10との間に空間が形成されるようにする。また、フレーム部11は操作者が指を置いた場合であっても、歪んで感圧部222に接触することがない程度に硬い。さらに、ボタン部12はフレーム部11に弾性体14を介して支持され、操作者の押圧によりz軸の下方へ移動し、感圧部222に接触する。これにより、操作者は、ボタン部12を押し込まなければ、フレーム部11に指を常に置くことが可能となる。また、操作者は、コンソール20のタッチパネル22を直接見ずともタッチパネル22を操作することが可能となる。
【0025】
また、上記第1の実施形態では、ボタン部12の上面に突起部123が形成されるようにしている。これにより、操作者は、ボタン部12を触れているか否かを判断し易くなる。
【0026】
したがって、第1の実施形態に係る操作支援パネル10によれば、操作する際に、コンソール20のタッチパネル22へ視線を移して操作内容を確認しなくても、タッチパネル22への誤タッチを防ぐことができる。
【0027】
なお、上記第1の実施形態では、ボタン部12のx−y平面での形状を、仮想キーに割り当てられた機能に特有の形状にしても構わない。これにより、表示部221に表示される仮想キーを見ずとも、ボタン部12の形状を操作者の指で確認するのみで仮想キーの機能を判別することが可能となる。すなわち、表示する仮想キーの形状及びデザインを任意に変更できるというタッチパネル22の利点を生かしながら、タッチパネル22に視線を移さなくても手探りで操作位置を特定することができる。
【0028】
また、第1の実施形態では、ボタン部12が、支持部111及び弾性体14によりフレーム部11に支持される構造を例に説明したが、これに限定される訳ではない。
【0029】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る操作支援パネル30を、コンソール20へ設置した際の構造を示す模式図である。なお、図5に示すように、x軸方向、y軸方向及びz軸方向を定義する。図6は、図5に示すA−A’断面での操作支援パネル30及びコンソール20のタッチパネル22の断面図を示す。なお、コンソール20は、図1に示すコンソール20と同様のものである。
【0030】
操作支援パネル30は、フレーム部31及び固定部32を具備する。
【0031】
フレーム部31は、タッチパネル22の上方に一定の距離を隔てて対向配置される。フレーム部31のうち、仮想キーの表示位置と対向する部位には穴部が形成される。穴部は、フレーム部31において縦方向及び横方向に間隔を空けて形成される。穴部は、図5及び図6で示すように、y軸の手前側及び奥側の端部が面取りされている。面取りの範囲は、手前側の端部の方が奥側の端部よりも広い。手前の面取り部の範囲は、操作者が指を置いた場合に、穴部から仮想キーに触れてしまわない程度の範囲である。穴部の形状は、図5では、略正方形形状を有しているが、図7で示すように、任意の形状とすることが可能である。
【0032】
また、フレーム部31は、タッチパネル22の表示部221に表示される仮想キーが視認可能な透明性と、操作者が指を置く際にその押圧に耐えられるだけの硬度を有する。フレーム部31は、例えば、アクリル樹脂により作成される。
【0033】
固定部32は、フレーム部31とタッチパネル22との間に空間が形成されるように、フレーム部31を外枠部21に固定する。固定部32は、例えば、嵌合突起であり、外枠部21に形成される嵌合穴部と接続することでフレーム部31を外枠部21に固定する。なお、固定部32は、フレーム部31の下面に塗付される取外し可能な接着素材であっても構わない。
【0034】
以上のように、上記第2の実施形態では、透明な操作支援パネル30を外枠部21に取り付け、タッチパネル22と操作支援パネル30との間に空間が形成されるようにする。また、フレーム部31には、仮想キーが表示される位置に穴部が形成され、穴部の手前側の端部は操作者が指をおける程度の範囲で面取りされている。また、フレーム部31は、操作者が手前の面取り部に指を置いた場合であっても、歪んで感圧部222に接触することがない程度に硬い。これにより、操作者は、仮想キーに触れずに、手前の面取り部に指を常に置くことが可能となる。また、操作者は、コンソール20のタッチパネル22を直接見ずともタッチパネル22を操作することが可能となる。
【0035】
したがって、第2の実施形態に係る操作支援パネル30によれば、操作する際に、コンソール20のタッチパネル22へ視線を移して操作内容を確認しなくても、タッチパネル22への誤タッチを防ぐことができる。
【0036】
なお、上記第2の実施形態では、穴部の形状を、仮想キーに割り当てられた機能に特有の形状にしても構わない。これにより、表示部221に表示される仮想キーを見ずとも、フレーム部31の穴部の形状を操作者の指で確認するのみで仮想キーの機能を判別することが可能となる。すなわち、表示する仮想キーの形状及びデザインを任意に変更できるというタッチパネル22の利点を生かしながら、タッチパネル22に視線を移さなくても手探りで操作位置を特定することができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
10…操作支援パネル、11…フレーム部、111…支持部、12…ボタン部、121…被支持部、122…突出部、123…突起部、13…固定部、14…弾性体、20…コンソール、21…外枠部、22…タッチパネル、221…表示部、222…感圧部、30…操作支援パネル、31…フレーム部、32…固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想キーを表示する表示部と前記表示部上に積層された感圧部とを備える感圧式のタッチパネルに対して対向配置され、前記仮想キーの表示位置と対向する部位に穴部が形成されるフレーム部と、
前記フレーム部と前記感圧部との間に空間を形成するように前記フレーム部を前記タッチパネルの外枠に固定する固定部と、
透明な素材から成り、前記表示部に表示される仮想キーとの間に空間を形成するように前記穴部に嵌め込まれ、定常位置で維持されるように前記フレーム部により支持され、上方からの押圧により、前記感圧部と接触するボタン部と
を具備することを特徴とする操作支援パネル。
【請求項2】
高さ方向に弾性力を有し、前記定常位置で維持されるように前記ボタン部を支える弾性体をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の操作支援パネル。
【請求項3】
前記ボタン部は、前記仮想キーを識別可能な形状を有することを特徴とする請求項1記載の操作支援パネル。
【請求項4】
仮想キーを表示する表示部と前記表示部上に積層された感圧部とを備える感圧式のタッチパネルに対して対向配置され、前記仮想キーの表示位置と対向する部位に穴部が形成されるフレーム部と、
前記フレーム部と前記感圧部との間に空間を形成するように前記フレーム部を前記タッチパネルの外枠に固定する固定部と
を具備することを特徴とする操作支援パネル。
【請求項5】
前記フレーム部の穴部の端部は面取りされており、
前記穴部の手前側の端部は、前記穴部の奥側の端部よりも広い範囲で面取りされることを特徴とする請求項4記載の操作支援パネル。
【請求項6】
前記穴部の形状は、前記仮想キーを識別可能な形状を有することを特徴とする請求項4記載の操作支援パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−73376(P2013−73376A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211227(P2011−211227)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000221155)東芝電波プロダクツ株式会社 (62)
【Fターム(参考)】