説明

操作支援プログラム、操作支援方法、及び操作支援装置

【課題】操作者に適した操作支援を行うこと。
【解決手段】複数の操作者に関して、所定の画面に対する操作ごとに、第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する手順と、操作履歴記憶手段を用いて、複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、複数の操作の順番に関する統計情報を生成する手順と、統計情報を属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する手順と、第二の操作者による操作支援要求を受付ける手順と、統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定する手順と、特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する手順と、操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する手順とをコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作支援プログラム、操作支援方法、及び操作支援装置に関し、特に画面の操作を支援する操作支援プログラム、操作支援方法、及び操作支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関では、電子カルテシステム等の医療情報システムが導入されている。そして、医療情報システムでは、患者情報、診察結果情報、検査結果情報、経過情報、薬剤オーダ情報、会計情報、各種検査の申込情報等、各種の情報が電子的に管理されている。
【0003】
医療情報システムのユーザは、主として、医師、看護師、又は検査技師等の医療従事者である。しかし、医療従事者には、コンピュータシステムの操作に不慣れな者も多い。また、医療情報ステムによって管理されている情報は上記のように多種多様であり、当該システムの機能が豊富であることによって、コンピュータシステムの操作に慣れているユーザであっても、操作が困難な場合も多い。特に、新人の医療従事者にとって、その操作方法を習得するのが非常に困難な状況となっている。
【0004】
従来、コンピュータシステムの操作を支援する技術として、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−27089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、操作者本人の操作履歴に基づいて次の操作を予測するものであるため、操作に習熟していないユーザに関して適用するのは困難である。
【0007】
また、医療情報システムの操作手順は、そのユーザである医療従事者の業務フローと密接に関係している。そして、各医療従事者の業務フローは、同じ医療機関内においても、診療科又は病棟単位で異なることが有る。例えば、同じ外科であっても、第一外科(整形)では、患者に対してまずレントゲン検査の実施を行うが、第二外科(脳)では、患者に対してまずMRI検査の実施を行う等といった具合である。その場合に、第一外科では、検査申込の画面においてレントゲン検査の申し込み操作が行われ、第二外科では当該画面においてMRI検索の申し込み操作が行われる。その後の操作手順も、各診療科に応じて異なりうる。
【0008】
このように、医療情報システムでは、診療科又は病棟等、部門ごとに業務フローが異なることに応じて、同じ操作画面(検査申込画面、経過情報入力画面)における操作が異なり、更に次に起動させる操作画面も異なりうる。
【0009】
したがって、新人の医療従事者のみならず、配置転換によって所属部門が変化した医療従事者等にとっても、上記特許文献1の技術の適用は困難である。すなわち、部門Aにおける本人の操作履歴が、部門Bでは役に立たない可能性が高いからである。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、操作者に適した操作支援を行うことができる操作支援プログラム、操作支援方法、及び操作支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで上記課題を解決するため、操作支援プログラムは、複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手順と、前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成する生成手順と、前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手順と、前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付ける受付手順と、前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定する特定手順と、前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手順と、前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手順とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
開示された技術によれば、操作者に適した操作支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における医療情報システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における医療情報サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における医療情報システムの機能構成例を示す図である。
【図4】第一の実施の形態における操作履歴の蓄積処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】操作履歴DBの構成例を示す図である。
【図6】第一の実施の形態における操作履歴情報の統計処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】ユーザDBの構成例を示す図である。
【図8】直前の操作に基づいて操作履歴情報が分類された例を示す図である。
【図9】第一の実施の形態における統計処理の結果の例を示す図である。
【図10】第一の実施の形態における操作支援処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】次の操作の候補を示す情報の表示態様の一例を示す図である。
【図12】第二の実施の形態における統計処理の処理手順を説明するための図である。
【図13】第二の実施の形態における小分類のグループごとのレコード数のカウント結果の例を示す図である。
【図14】カイ二乗検定による有意水準の算出結果の例を示す図である。
【図15】カイ二乗検定による有意水準の値の変換結果の例を示す図である。
【図16】第三の実施の形態におけるデータの抽出例を説明するための図である。
【図17】次の操作の候補ごとの注目有意水準値の合計値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における医療情報システムの構成例を示す図である。
【0015】
医療情報システム1は、一般的に電子カルテシステムとも呼ばれる、医療業務に関するコンピュータシステムである。同図の医療情報システム1において、医療情報サーバ10と一台以上の利用者端末20とは、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワーク30(有線又は無線の別は問わない。)を介して接続されている。
【0016】
医療情報サーバ10は、電子カルテに関する情報(医療情報)を管理するコンピュータである。本実施の形態において、医療情報サーバ10は、操作支援装置の一例として機能する。
【0017】
利用者端末20は、電子カルテの閲覧及び入力等に利用されるコンピュータである。例えば、利用者端末20は、医療機関における診察室、ナースステーション、ベッドサイド、又は検査室等に配置され、医師、看護師、検査技師等によって利用される。利用者端末20は、各人に割り当てられていてもよいし、複数のユーザによって共用されてもよい。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態における医療情報サーバのハードウェア構成例を示す図である。図2の医療情報サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100と、補助記憶装置102と、メモリ装置103と、CPU104と、インタフェース装置105とを有する。
【0019】
医療情報サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0020】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って医療情報サーバ10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態における医療情報システムの機能構成例を示す図である。同図において、医療情報サーバ10は、操作履歴記録部11、統計処理部12、操作候補判定部13、操作候補出力部14、操作履歴DB15、統計情報DB16、及びユーザDB17等を有する。
【0022】
操作履歴記録部11は、利用者端末20の表示装置に表示される、電子カルテに関する各種画面(以下、「電子カルテ画面」という。)に対する操作の内容又は種別を示す操作情報を操作履歴DB15に記録する。操作情報は、各利用者端末20において電子カルテ画面に対する操作が行われるたびに、各利用者端末20より受信される。また、操作情報と共に操作者の識別情報(例えば、氏名又はユーザID等)も受信され、操作履歴DB15に記録される。
【0023】
統計処理部12は、操作履歴DB15に記録された操作情報の履歴に基づいて、操作者の属性情報に基づく分類ごとに操作の順番に関する統計情報を生成する。生成された統計情報は、統計情報DB16に記録される。操作者の属性情報とは、例えば、氏名、病棟、診療科、職種等である。この場合、操作者の属性情報に基づく分類とは、氏名、病棟、診療科、又は職種のいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせに基づく分類である。操作の順番の統計情報とは、例えば、操作Aの後に操作Bが行われる回数又は当該回数に基づく統計値等である。
【0024】
操作候補判定部13は、利用者端末20より送信される操作支援要求に応じ、当該操作支援要求以前の操作者によるこれまでの操作の履歴と、統計情報DB16とに基づいて次の操作(操作支援要求後の操作)の候補を判定する。操作支援要求は、例えば、利用端末20において操作中の電子カルテ画面におけるヘルプボタンの押下等に応じて送信される。
【0025】
操作候補出力部14は、操作候補判定部13による判定結果、すなわち、次の操作を示す情報を操作支援要求元の利用者端末20に送信(出力)する。
【0026】
操作履歴DB15は、補助記憶装置102を用いて操作情報等を記憶するデータベースである。統計情報DB16は、補助記憶装置102を用いて統計情報を記憶するデータベースである。ユーザDB17は、補助記憶装置102を用いて医療情報システム1のユーザごとに、その属性情報を記憶するデータベースである。医療情報システム1のユーザとは、利用者端末20を介して医療情報システム1の操作者となりうる者をいう。
【0027】
利用者端末20は、クライアント部21を有する。クライアント部21は、電子カルテ画面を利用者端末20に表示させる。クライアント部21は、電子カルテ画面に対する操作に応じ、当該操作の操作情報を逐一医療情報サーバ10に送信する。クライアント部21はまた、電子カルテ画面に対する所定の操作(例えば、ヘルプボタンの押下)に応じ、操作支援要求を医療情報サーバ10に送信する。クライアント部21は、操作支援要求に応じて返信される、次の操作の候補を示す情報に基づいて、次の操作の候補を操作者に通知する。
【0028】
以下、医療情報システム1の処理手順について説明する。図4は、第一の実施の形態における操作履歴の蓄積処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。同図のフローチャートは、利用者端末20の表示装置(表示手段)に表示されている電子カルテ画面に対する一回の操作に応じて行われる処理手順を示す。したがって、操作が行われるたびに図4の処理が繰り返し実行される。
【0029】
ステップS101において、クライアント部21は、電子カルテ画面に対する操作を検知すると、利用者端末20のメモリを用いて記憶している、操作種別ごとの累積操作回数を更新する(S101)。すなわち、今回検知された操作に対応する累積操作回数に1が加算される。なお、累積操作回数の管理対象は、所定の操作に限定されてもよいし、電子カルテ画面に対して可能な全ての操作が対象とされてもよい。
【0030】
続いて、クライアント部21は、今回の操作の操作情報、操作者の識別情報、及びその他付帯情報等を含む操作履歴の記録要求を医療情報サーバ10に送信する(S102)。本実施の形態では、操作者の識別情報は、ユーザIDとする。ユーザIDは、例えば、医療情報システム10へのログイン時等に操作者によって入力される。但し、操作者の識別情報は、直接的に操作者を識別するものでなくてもよい。例えば、セッションID等、ログインからログアウトまでの間に有効なIDであってユーザIDと関連付けられて管理されるものが操作者の識別情報として利用されてもよい。また、利用者端末20ことに操作者が特定されるのであれば、利用者端末20の識別情報(例えば、IPアドレス又はホスト名等)が操作者の識別情報として利用されてもよい。すなわち、運用上、操作者を識別可能な情報が操作者の識別情報として利用されてもよい。付帯情報には、例えば、直前の(すなわち、最後の)操作の操作情報、各操作の累積操作回数、操作日時、電子カルテの内容に関する情報等が含まれる。
【0031】
医療情報サーバ10の操作履歴記録部11は、操作履歴の記録要求を受信すると、当該要求に伴って受信された情報を操作履歴DB15に記録する(S103)。
【0032】
図5は、操作履歴DBの構成例を示す図である。同図において、操作履歴DB15は、操作ごとに、操作情報、ユーザID、及び付帯情報等を記憶する。
【0033】
操作情報は、記録対象の操作の内容又は種別を示す情報である。ユーザIDは、操作者のユーザIDである。付帯情報には、直前の操作、操作日時、累積操作、患者情報、オーダ情報、及び使用端末情報等が含まれる。直前の操作は、記録対象の操作の直前に行われた操作の操作情報である。直前の操作に記録される操作情報は、クライアント部21より送信されてもよいし、医療情報サーバ10によって判断されてもよい。クライアント部21より送信される場合、クライアント部21は、少なくとも過去1回分の操作の操作情報を記憶しておき、過去1回分の操作(最後の操作)の操作情報を直前の操作の操作情報として送信対象に含めればよい。一方、医療情報サーバ10によって判断される場合、医療情報サーバ10が、メモリ装置103を用いてユーザIDごとに最後の操作の操作情報を記憶していてもよいし、操作履歴DB15においてユーザIDが同一であるレコードを過去に遡ることにより判断してもよい。但し、直前の操作は、基本的に、一連の操作単位内における直前の操作であることが望ましい。具体的には、例えば、ログインされてログアウトされるまでの間の操作の順序関係における直前の操作や、操作の前後関係に意味のある期間における直前の操作であることが望ましい。操作の前後関係に意味のある期間の一例として、同一の患者に関する操作期間が挙げられる。直前の操作の記録範囲を一連の操作単位によって区切る場合、一連の操作単位の最初の操作については、直前の操作は記録されなくてもよい。一連の操作単位の区切りの判断は、予め、当該一連の操作単位の最初の操作又は最後の操作の操作情報を補助記憶装置102に記録しておき、当該操作情報と記録対象の操作の操作情報とを照合することにより行えばよい。例えば、患者ごとに一連の操作単位が区切られる場合、患者の電子カルテを開くことが、当該最初の操作に該当する。
【0034】
操作日時は、記録対象とされた操作が行われた日時である。操作日時には、利用者端末20間における時計の誤差を考慮して、医療情報サーバ20において操作履歴の記録要求が受信された日時が記録されるようにしてもよい。すなわち、操作日時は、クライアント部21から送信される付帯情報に含まれているのではなく、操作履歴記録部11によって付与されてもよい。累積操作は、クライアント部21において記憶されている操作種別ごとの累積操作回数を示す情報である。累積操作に関しても、直前の操作と同様に、累積操作を計数する期間を一連の操作単位によって区切ってもよい。また、累積操作は、必ずしもクライアント部21によって計数されなくてもよい。医療情報サーバ10において付与されてもよい。医療情報サーバ10において付与する場合、操作履歴DB15においてユーザIDが一致するレコードを過去に遡って計数すればよい。
【0035】
オーダ情報は、操作の結果として入力された医療情報である。使用端末情報は、利用者端末20の種別を示す情報である。同図の例では、診療室端末、受付端末、ナースステーション端末、ベッドサイド端末等に分類した場合のいずれかの種別である。
【0036】
なお、直前の操作及び累積操作が医療情報サーバ10によって判断される場合(すなわち、クライアント部21から送信される付帯情報に含まれていない場合)、その判断処理は、操作履歴記録部11又は統計処理部12によって行われればよい。後述より明らかなように、直前の操作及び累積操作は、統計処理部12が必要とする情報である。したがって、操作履歴DB15への操作履歴の記録処理の性能を考慮すると、統計処理部12による処理時に実行されるのが好適であると考える。
【0037】
上記のように、操作履歴DB15には、複数の操作者による操作(各利用者端末20における操作)の操作情報が一元的に記録される。なお、操作履歴DB15は、操作支援要求の受信時(次の操作の問い合わせ時)において、お手本として利用される情報である。したがって、例えば、操作履歴DB15への記録対象とする操作者を熟練者等の所定者に限定してもよい。例えば、医療情報サーバ10に予め設定されているユーザIDに係る操作履歴の記録要求が受信された場合に限って、操作履歴DB15への記録が行われるようにしてもよい。
【0038】
続いて、操作履歴DB15に記録された情報(操作履歴情報)の統計処理について説明する。
【0039】
図6は、第一の実施の形態における操作履歴情報の統計処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。同図の処理は、理論的には操作支援要求に応じて行われてもよいが、実運用における性能を考慮すると、バッチ的に行われるのが望ましい。本実施の形態でもバッチ的に行われることとして説明する。なお、当該統計処理によって得られる結果は、操作履歴DB15に記録されたレコード数が多ければ多いほど信頼性が高くなる。
【0040】
ステップS201において、統計処理部12は、メモリ装置103を用いて操作履歴DB15より各レコードを読み込む。続いて、統計処理部12は、読み込まれたレコードの各ユーザIDに対応する属性情報をユーザDB17より取得する(S202)。
【0041】
図7は、ユーザDBの構成例を示す図である。同図において、ユーザDB17は、医療情報システム1のユーザごとに、ユーザID、氏名、職種、病棟、及び診療科等の属性情報(ユーザ属性)を記憶する。なお、同図では、主として、医療機関における業務フロー、すなわち、電子カルテ画面の操作手順に影響を与えうる属性が抽出されている。他の属性が業務フローに影響する場合、当該他の属性についても管理対象とすればよい。
【0042】
なお、ユーザ属性は、操作履歴の記録時にユーザIDと共に操作履歴DB15に記録されていてもよい。例えば、ログイン時においてユーザIDに基づいてユーザDB17よりユーザ属性が検索され、検索されたユーザ属性が操作履歴記録部11によって操作ごとに操作履歴DB15に記録されてもよい。この場合、ステップS202においてユーザDB17が参照される必要はない。
【0043】
続いて、統計処理部12は、操作履歴DB15の各レコードをユーザ属性に基づいて分類した場合の一つの集合に属するレコードを抽出する(S203)。具体的には、ユーザID、職種、病棟、若しくは診療科ごと、又はこれらの二つ以上の組み合わせごと(例えば、職種及び診療科の組み合わせ、病棟及び診療科の組み合わせ等)に各レコードが分類される。分類のバリエーションが多いほど、操作支援時(次の操作の候補の提示時)において、お手本として指定可能な分類のバリエーションが増える。
【0044】
例えば、ユーザIDごとに分類するとは、ユーザIDが同一のレコードごとに操作履歴DB15の全レコードをグループ分けすることをいう。職種及び診療科の組み合わせごとに分類するとは、職種及び診療科の組み合わせが一致するレコードごとに操作履歴DB15の全レコードをグループ分けすることをいう。したがって、例えば、ユーザID、職種、又は職種及診療科の組み合わせごとに分類する場合、ユーザIDのグループ数+職種のグループ数(種別数)+職種及び診療科のグループ数分の分類(グループ)が成立する。ループL1に含まれるステップS203〜S207は、当該分類(グループ)の数分繰り返し実行される。以下、分類された又はグループ分けされたレコードの集合を「グループ」と呼ぶ。ステップS203では、まず、一つのグループに属するレコード群が抽出される。
【0045】
続いて、統計処理部12は、抽出されたレコード群(処理対象のグループ)を、直前の操作に基づいて分類(グループ分け)する。すなわち、直前の操作が一致するレコードごとにグループが形成される。
【0046】
図8は、直前の操作に基づいて処理対象のグループが分類された例を示す図である。同図では、ユーザID「NS002」に係るグループが抽出された例が示されている。すなわち、同図に示されるレコード群は、ユーザIDに基づいて分類されたグループ群のうちの一つのグループである。同図では、当該グループについて、直前の操作に基づいて、グループG1〜G8の8つのグループに分類されている。例えば、グループG1は、直前の操作が「検索結果照会ボタンクリック」に係るグループである。グループG2は、直前の操作が、「指示簿表示ボタンクリック」に係るグループである。また、グループG8は、直前の操作が、「予約ボタンクリック」に係るグループである。なお、グループG1〜G7については、グループごとに操作情報が一致しているように見える。但し、これは、紙面の都合上、操作情報が異なるレコードについて省略されているだけである。
【0047】
なお、ステップS203による分類を大分類といい、ステップS204による分類を中分類という。
【0048】
続いて、統計処理部12は、中分類の各グループを操作情報(1列目の値)に基づいて分類する(S205)。当該ステップによる分類を小分類という。続いて、統計処理部12は、小分類のグループごとに統計処理を実行する(S206)。
【0049】
図9は、第一の実施の形態における統計処理の結果の例を示す図である。同図には、直前の操作が「指示簿表示ボタンクリック」に係る中分類のグループについて、操作情報ごとに(すなわち、小分類ごとに)統計処理が行われた結果が示されている。具体的には、当該中分類のグループ内において、操作情報が一致するレコード数が、操作日時に基づいて時間帯ごとに計数される。時間帯は、同図の表の操作時間帯の項目に示されるように区分されている。
【0050】
例えば、同図において、操作情報が「指示簿表示ボタンクリック」であるレコードについては、22:00〜5:00の時間帯に操作日時が含まれるレコード数は「0」、5:00〜8:00の時間帯に操作日時が含まれるレコード数は「5」、8:00〜12:00の時間帯に操作日時が含まれるレコード数は「5」、12:00〜13:00の時間帯に操作日時が含まれるレコード数「4」である。なお、これらの合計値(0+5+5+4=14)は、時間帯によって区分しない場合において、直前の操作が「指示簿表示ボタンクリック」である場合に「指示簿表示ボタンクリック」が行われた数である。
【0051】
操作情報が「実施済みボタンクリック」であるレコード、及び「バイタル入力ボタンクリックである」レコードについても、同様の統計処理が行われる。
【0052】
なお、同図は、一つの中分類のグループに関する統計処理の結果を示したものである。したがって、他の中分類のグループに関しても(すなわち、他の直前の操作に係るグループに関しても)同様の統計処理が行われる。
【0053】
続いて、統計処理部12は、中分類ごとに小分類について行われた統計処理(すなわち、「直前の操作」と「操作情報」の組み合わせごとに行われた統計処理)の結果を、現在の処理対象の大分類(ユーザ属性の値)に関連付けて、統計情報DB16に記録する(S207)。
【0054】
ここでは、現在の処理対象の大分類のユーザ属性の値は、ユーザID「NS002」である。したがって、ユーザID=「NS002」という大分類の識別情報に関連付けられて、図9に示される表の集合が統計情報DB16に記録される。なお、ユーザIDと共に氏名が大分類の識別情報として記録されてもよい。
【0055】
その後、他の大分類のグループについても同様にステップS203以降が実行される。その結果、当該大分類のグループに係るユーザ属性ごとに、「直前の操作」と「操作情報」との組み合わせごと(操作の順番ごと)の統計処理の結果が統計情報DB16に記録される。
【0056】
以上で操作支援の準備は終了する。続いて、例えば、未熟な操作者に対して操作支援を行う際の処理手順について説明する。
【0057】
図10は、第一の実施の形態における操作支援処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。同図の処理は、例えば、電子カルテ画面の操作者によって、当該電子カルテ画面に配置されているヘルプボタンがクリックされることにより開始される。なお、ヘルプボタンは、次の操作として何を行うべきか不明である場合、又は不確かな場合等に押下される。
【0058】
ヘルプボタンのクリックに応じ、クライアント部21は、参考対象指定画面を表示装置に表示させる(S301)。参考対象指定画面は、参考対象(操作支援のお手本)とするユーザ属性を指定させるための画面である。参考対象指定画面では、例えば、ユーザID、氏名、職種、病棟、又は診療科等のいずれか一つ又は二以上の組み合わせ指定することができる。なお、参考対象指定画面において、統計情報に関連付けられている大分類の識別情報(ユーザ属性の値)の一覧を表示させ、当該一覧の中から一つの大分類を参考対象として選択させるようにしてもよい。この場合、クライアント部21は、統計情報DB16より、大分類の識別情報の一覧を取得すればよい。
【0059】
また、参考対象は、クライアント部21によって自動的に判定されてもよい。例えば、クライアント部21は、ログイン時等に操作者に入力されたユーザIDに基づいて、現在の操作者のユーザ属性をユーザDB17より取得し、当該ユーザ属性に含まれる、職種、病棟、診療科のいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせを参考対象とする。又は、クライアント部21は、職種、病棟、及び診療科の少なくとも一つが操作者と一致する他のユーザのユーザID及び氏名をユーザDB17より検索し、当該氏名の一覧を表示装置に表示させ、当該一覧の中から選択された氏名に係るユーザIDを参考対象とする。
【0060】
続いて、クライアント部21は、指定された参考対象の識別情報と操作者による直前の操作の操作情報とを指定して、操作支援要求を医療情報サーバ10に送信する(S302)。なお、直前の操作とは、ヘルプボタンが押下される前の操作をいう。すなわち、クライアント部21は、ヘルプボタンの押下を除いて少なくとも過去1回分の操作の操作情報を記憶している。但し、図10の実行時においても、図4の処理が並行して行われる場合、操作者による直前の操作は、医療情報サーバ10側でも操作履歴DB15に基づいて判定可能である。したがって、医療情報サーバ10側で判定する場合、操作支援要求には直前の操作の操作情報は指定されなくてもよい。
【0061】
医療情報サーバ10において操作支援要求が受信されると、操作候補判定部13は、当該操作支援要求において指定されている参考対象の識別情報と一致する大分類の識別情報に関連付けられているレコードを統計情報DB16より検索する(S303)。続いて、操作候補判定部13は、操作支援要求において指定されている直前の操作の操作情報と、「直前の操作」の値が一致するレコードをステップS303において検索されたレコードより抽出する(S304)。例えば、参考対象が「ユーザID=NS002」であり、直前の操作が「指示簿表示ボタンクリック」である場合、図9に示されるレコードが抽出される。
【0062】
続いて、操作候補判定部13は、抽出されたレコードから、現在時刻が属する操作時間帯のデータを抽出する(S305)。例えば、現在時刻が12:15であれば、図9における12:00〜13:00の列に属する3つのデータ(「4」、「4」、「20」)が抽出される。続いて、操作候補判定部13は、抽出されたデータに基づいて次の操作の候補を示す情報を生成する(S306)。第一の実施の形態では、抽出されたデータの値が、当該データの属するレコードの操作情報に係る操作が次に行われる可能性又は確率を示す値として利用される。したがって、抽出された各データの比又は割合を示す値が、次の操作の候補を示す情報とされる。例えば、「4」、「4」、「20」が抽出されたデータである場合、これらの比は、1:1:5である。また、割合は、14.3%、14.3%、71.4%である。これらは、各データが属するレコードにおける「操作情報」によって示される操作の比又は割合を示す。図9の例では、「指示簿表示ボタンクリック」、「実施済みボタンクリック」、及び「バイタル入力ボタンクリック」の比又は割合である。
【0063】
続いて、操作候補出力部14は、次の操作の候補を示す情報として操作情報ごとにその比又は割合等を含む情報を次の操作の候補を示す情報としてクライアント部21に返信(出力)する(S307)。当該当該情報の受信に応じ、クライアント部21は、次の操作の候補を示す情報をユーザが認識可能な態様で電子カルテ画面に表示させる(S308)。例えば、クライアント部21は、次の操作の候補に対応する部分の表示態様を他の部分と異なるものとする。
【0064】
図11は、次の操作の候補を示す情報の表示態様の一例を示す図である。同図において、(A)は、電子カルテ画面510に直接的に次の操作の候補に対応する部分(メニュー又はボタン等)を示した例である。すなわち、電子カルテ画面510全体は暗くされ(グレーアウトされ)、次の操作の候補に対応する部分p1、部分p2、及び部分p3がハイライト表示されている。なお、部分p1、部分p2、及び部分p3を示す図形(同図の例では楕円)の大きさは、それぞれの操作の候補に対する比又は割合に応じて変化させると操作者にとって分かりやすい。
【0065】
また、(B)は、キーボード画面220を表示装置に表示させ、次の操作の候補に対応するキーを強調表示させた例である。同図では、キーk1及びキーk2が強調表示されている。この場合も、それぞれの操作の候補に対する比又は割合に応じて図形の大きさを変化させるとよい。
【0066】
クライアント部21は、操作情報と電子カルテ画面510の各部分、又は操作情報とキーボード画面520の各キーとの対応情報を記憶装置を用いて管理しておけばよい。クライアント部21は、当該対応情報に基づいて、強調表示させる部分を判断すればよい。
【0067】
以上のような画面を参照することにより、操作者は、次の操作を判断する材料として、有用な情報を得ることができる。
【0068】
なお、上記では、現在時刻に応じた時間帯に関するデータに基づいて次の操作の比又は割合を算出したが、時間帯による区分を利用せずに、当該比又は割合が算出されてもよい。この場合、図9の例では、「指示簿表示ボタンクリック」については、0+5+5+4=14となる。「実施済みボタンクリック」については、0+5+6+4=15となる。「バイタル入力ボタンクリック」については、4+3+20=27となる。したがって、「14」、「15」、及び「27」に基づいて、各操作の比又は割合が算出されてもよい。
【0069】
また、上記では、クライアント部21からの操作支援要求が、操作者による明示的な操作(ヘルプボタンの操作)に応じて送信される例を示した。但し、常に操作支援を受けたい場合を考慮して、電子カルテ画面に操作支援モード等を設けてもよい。操作支援モードは、例えば、操作支援モードのON/OFFを選択するボタンを介して操作支援モードが選択されると、ヘルプボタンを押下しなくても、毎回次の操作の候補が示される状態である。この場合、クライアント部21は、通常の操作に応じて操作支援要求を送信すればよい。または、図10の処理と並行して図4の処理が行われる場合は、図4における操作記録要求によって操作支援要求が代替されてもよい。
【0070】
上述したように、第一の実施の形態によれば、操作者と同じ職種、診療科、又は病棟に属する他の操作者(熟練した操作者)の操作履歴を参考として次の操作の候補を判定することができる。したがって、職種、診療科、又は病棟等に応じて業務フローが異なり、その結果として操作手順も異なりうる電子カルテ画面の操作について、操作者に適した操作支援を行うことができる。
【0071】
また、時間帯をも考慮して次の操作の候補が判定されることで、医療機関における業務の特性が考慮された操作支援を行うことができる。例えば、所定の時間帯において、或る診療科では検温が行われ、検温結果の入力が操作として行われる傾向が有る場合、そのような傾向に沿った操作支援を行うことができる。また、同じ時間帯であっても、外科において行われる操作と、内科において行われる操作が異なる場合、診療科と時間帯とを組み合わせて次の操作を判定することにより、斯かる事情が考慮された操作支援を行うことができる。
【0072】
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態において特に言及しない点については第一の実施の形態と同様でよい。
【0073】
第二の実施の形態では、図6のステップS206の内容が異なる。すなわち、第二の実施の形態では、直前の操作だけでなく累積操作も考慮される。また、より高度な又はより信頼性の高い統計処理が行われる。
【0074】
図12は、第二の実施の形態における統計処理の処理手順を説明するための図である。同図の処理手順は、図6のステップS206に置き換わるものである。
【0075】
ステップS206aにおいて、統計処理部12は、小分類のグループごとに、各項目に該当するレコード数を計数(カウント)する。
【0076】
図13は、第二の実施の形態における小分類のグループごとのレコード数のカウント結果の例を示す図である。同図において、操作時間帯に関するレコード数のカウントについては、図9において説明した通りである。同図では、更に、累積操作に関してレコード数がカウントされている。具体的には、累積操作回数の計数対象とされている操作ごとに、当該操作の累積操作回数の値が1以上であるレコード数がカウントされる。例えば、1行目のレコードについて、検索結果照会の値は「1」となっている。これは、当該レコードに係る小分類のグループの中で、検索結果照会の累積操作回数が1以上であるレコードの数である。なお、累積操作回数そのものではなく、累積操作回数が1以上であるレコードの数をカウントするのは、当該累積操作回数に係る操作(例えば、「検査結果照会」)が何回行われたかということよりも、行われたか否かということをより重く評価しているからである。すなわち、次の操作の候補を予測するにあたり、或る操作が何回行われたかということよりも、或る操作が行われたか否かということの方が重要な要素であると考えるからである。
【0077】
続いて、統計処理部12は、処理対象の中分類のグループについて(すなわち、図13全体について)、項目ごとにカイ二乗検定を行い、自由度1での有意水準を算出する(S206b)。すなわち、各項目のデータが、統計的にどの程度意味が有るのか(有意性)が検定される。なお、統計処理部12は、処理の便宜上、算出結果を常用対数に変換する。
【0078】
図14は、カイ二乗検定による有意水準の算出結果の例を示す図である。同図では、図13の値に基づいて、操作時間帯ごと、又は累積操作に係る操作ごとに、各レコードのカイ二乗検定の有意水準の算出結果が示されている。なお、同図の値は、常用対数に変換後の値である。
【0079】
続いて、統計処理部12は、各項目のレコード数の値(図13の値)が項目内における平均値以上か否かに基づいて、ステップS206bにおいて算出された各有意水準値を変換する(S206c)。具体的には、レコード数の値が平均値以上である場合、当該レコード数に対応する有意水準値の符号がプラス(+)に変換される。一方、レコード数の値が平均値未満である場合、当該レコード数に対応する有意水準値はマイナス(−)のままとされる。
【0080】
図15は、カイ二乗検定による有意水準の値の変換結果の例を示す図である。同図において、例えば、12:00〜13:00の操作時間帯を参照すると、3番目のレコードの有意水準値がプラスに変換されている。これは、図13における当該操作時間帯の当該レコードの値「20」が、図13における当該操作時間帯の平均値以上だからである。すなわち、当該操作時間帯の平均値は、(4+4+20)÷3≒9.33である。したがって、当該操作時間帯については、9.33以上であるか否かに基づいて変換が行われる。他の項目についても同様の変換が行われている。
【0081】
第二の実施の形態では、以上の処理手順が図6のステップS206に置き換わる。したがって、ステップS207では、図15に示されるデータが、現在の処理対象の大分類のユーザ属性の値に関連付けられて統計情報DB16に記録される。
【0082】
続いて、第二の実施の形態における操作支援処理について図10を用いて説明する。第二の実施の形態における操作支援処理は、ステップS304において、例えば、図15に示されるようなレコードが抽出される。
【0083】
続いて、操作候補判定部13は、抽出されたレコードから、現在時刻が属する時間帯のデータと、操作者による累積操作回数が1以上である操作に関するデータを抽出する(S305)。
【0084】
図16は、第三の実施の形態におけるデータの抽出例を説明するための図である。同図において、(A)は、現在の操作者の状態を表形式によって示したものである。12:00〜13:00の操作時間帯に「1」が付与されているが、これは、現在時刻が当該操作時間帯に属することを示す。また、累積操作において、病名入力及び薬剤検索のそれぞれに「1」が付与されているが、これは、病名入力及び薬剤検索について累積操作回数が1以上であることを示す。なお、累積操作に関する情報(操作ごとの累積操作回数)は、操作支援要求に伴ってクライアント部21より送信されればよい。また、図10の実行時において、図4の処理が並行して行われる場合、操作候補判定部13が操作履歴DB15に基づいて導出してもよい。
【0085】
(B)は、図15の内容を転記したものである。但し、(A)において「1」が付与されていない項目についてはマスクされている。すなわち、(B)では、(A)において「1」が付与されている項目に係るデータが抽出されたことが示されている。具体的には、12:00〜13:00の操作時間帯の有意水準値と、病名入力の有意水準値と、薬剤検索の有意水準値が抽出されている。ここで、抽出された有意水準値を、以下「注目有意水準値」という。
【0086】
続いて、操作候補判定部13は、レコードごとに注目有意水準値の合計値を求める。例えば、1行目のレコードであれば、−1.2928+0−1.690041≒−2.98となる。当該合計値が、当該レコードの操作情報に係る操作が次に行われる可能性又は確率を示す値として利用される。図16(B)における3つのレコードに関する当該合計値(すなわち、次の操作の候補ごとの当該合計値)は、図17に示されるようになる。
【0087】
図17は、次の操作の候補ごとの注目有意水準値の合計値を示す図である。同図に示されるように、「指示簿表示ボタンクリック」、「実施済みボタンクリック」、及び「バイタル入力ボタンクリック」のそれぞれの有意水準値の合計値は、「−2.98」、「4.81」、「1.97」である。
【0088】
ここで、操作候補判定部13は、当該合計値がマイナスである操作については、次の操作の候補から除外する。当該合計値がマイナスであるということは、当該操作は、むしろ実行されない可能性の方が高いと考えられるからである。したがって、図17の例では、「指示簿表示ボタンクリック」が次の操作の候補から除外される。
【0089】
続いて、操作候補出力部14は、次の操作の候補の操作情報ごとに、上記合計値が対応付けられた情報を次の操作の候補を示す情報としてクライアント部21に送信(出力)する(S307)。したがって、図17の例では、1行目が除外された情報がクライアント部21に送信される。
【0090】
続いて、クライアント部21は、次の操作の候補を示す情報をユーザが認識可能な態様で電子カルテ画面に表示させる(S308)。この場合の表示態様は第一の実施の形態と同様でよい。楕円等の大きさは、上記合計値の比に応じて変化させるとよい。
【0091】
上述したように、第二の実施の形態によれば、直前の操作だけでなく、過去の操作の累積的な情報をも考慮して次の操作の候補が判定される。特に、電子カルテ画面のように、業務フローと操作手順とが密接な関係を有する画面においては、直前の操作が同じであっても、それまでに行われた操作内容に応じて、次に行うべき操作が変わりうる。第二の実施の形態では、斯かる事情を考慮して操作支援を行うことができる。
【0092】
また、第二の実施の形態では、第一の実施の形態において次の操作の候補の可能性又は確率を示す値として利用されたデータに対してカイ二乗検定が行われる。その結果、当該データの有意性をも考慮して、次の操作の候補を判定することができる。したがって、第一の実施の形態に比べて、より信頼性の高い操作支援を行うことが可能となる。
【0093】
なお、カイ二乗検定以外の他の統計処理(例えば、他のノンパラメトリック手法)によって当該データの有意性が判定されてもよい。例えば、他のノンパラメトリックな統計処理としては、二項検定、G検定がある。また、これらに限らず、適宜他の統計処理を用いても良い。
【0094】
また、上記第一及び第二の実施の形態では、特に業務フローと操作手順との関係が深い、医療情報システム(又は電子カルテシステム)を例として説明したが、他のコンピュータシステムの操作画面に関して上記実施の形態が適用されてもよい。この場合、業務フローと操作画面との間に密接な関係が有ることが好ましい。
【0095】
また、上記実施の形態において説明した各処理手順の実行主体は、必ずしも、上記の実施の形態通りでなくてもよい。上記では、利用者端末20が実行するとして説明した処理手順が、医療情報サーバ10によって行われてもよいし、その逆であってもよい。
【0096】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0097】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手順と、
前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成する生成手順と、
前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手順と、
前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付ける受付手順と、
前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定する特定手順と、
前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手順と、
前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手順と
をコンピュータに実行させる操作支援プログラム。
(付記2)
前記操作履歴記録手順は、前記操作ごとに当該操作が行われた時間情報を前記操作履歴記憶手段に記録し、
前記生成手順は、前記属性情報ごと、かつ、前記時間情報に基づく区分ごとに、前記統計情報を生成し、
前記操作候補判定手順は、前記操作支援要求に指定された前記属性情報と、該操作支援要求に係る時刻に対応する前記区分と、前記操作支援要求以前になされた操作と、前記統計情報とに基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する付記1記載の操作支援プログラム。
(付記3)
前記操作候補判定手順は、前記操作者によって前記操作支援要求の直前に行われた操作が含まれる前記順番において、前記操作支援要求後の操作として、当該操作の直後の操作を判定する付記1又は2記載の操作支援プログラム。
(付記4)
前記操作候補判定手順は、前記操作支援要求よりも前に前記第二の操作者によって行われた複数の操作の累積情報に基づいて、前記操作支援要求後の操作の候補を判定する付記1乃至3いずれか一項記載の操作支援プログラム。
(付記5)
前記所定の画面は電子カルテに関する画面であり、
前記操作者の属性情報は、前記操作者が所属する診療科、前記操作者の職種、及び前記操作者が所属する病棟の少なくともいずれか一つである付記1乃至4いずれか一項記載の操作支援プログラム。
(付記6)
前記操作候補出力手順は、前記所定の画面において前記操作支援要求後の操作の候補に対応する部分の表示態様を他の部分と異なるものとさせる付記1乃至5いずれか一項記載の操作支援プログラム。
(付記7)
複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手順と、
前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成する生成手順と、
前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手順と、
前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付ける受付手順と、
前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定する特定手順と、
前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手順と、
前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手順と
をコンピュータが実行する操作支援方法。
(付記8)
複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手段と、
前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成し、前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手段と、
前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付け、前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定し、前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手段と、
前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手段と
を有する操作支援装置。
【符号の説明】
【0098】
1 医療情報システム
10 医療情報サーバ
11 操作履歴記録部
12 統計処理部
13 操作候補判定部
14 操作候補出力部
15 操作履歴DB
16 統計情報DB
17 ユーザDB
20 利用者端末
21 クライアント部
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手順と、
前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成する生成手順と、
前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手順と、
前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付ける受付手順と、
前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定する特定手順と、
前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手順と、
前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手順と
をコンピュータに実行させる操作支援プログラム。
【請求項2】
前記操作履歴記録手順は、前記操作ごとに当該操作が行われた時間情報を前記操作履歴記憶手段に記録し、
前記生成手順は、前記属性情報ごと、かつ、前記時間情報に基づく区分ごとに、前記統計情報を生成し、
前記操作候補判定手順は、前記操作支援要求に指定された前記属性情報と、該操作支援要求に係る時刻に対応する前記区分と、前記操作支援要求以前になされた操作と、前記統計情報とに基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する請求項1記載の操作支援プログラム。
【請求項3】
前記操作候補判定手順は、前記操作者によって前記操作支援要求の直前に行われた操作が含まれる前記順番において、前記操作支援要求後の操作として、当該操作の直後の操作を判定する請求項1又は2記載の操作支援プログラム。
【請求項4】
前記操作候補判定手順は、前記操作支援要求よりも前に前記第二の操作者によって行われた複数の操作の累積情報に基づいて、前記操作支援要求後の操作の候補を判定する請求項1乃至3いずれか一項記載の操作支援プログラム。
【請求項5】
前記所定の画面は電子カルテに関する画面であり、
前記操作者の属性情報は、前記操作者が所属する診療科、前記操作者の職種、及び前記操作者が所属する病棟の少なくともいずれか一つである請求項1乃至4いずれか一項記載の操作支援プログラム。
【請求項6】
複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手順と、
前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成する生成手順と、
前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手順と、
前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付ける受付手順と、
前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定する特定手順と、
前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手順と、
前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手順と
をコンピュータが実行する操作支援方法。
【請求項7】
複数の操作者に関して、表示手段が表示させる所定の画面に対する操作ごとに、該操作を行った第一の操作者の識別情報及び当該操作の内容を示す操作情報を操作履歴記憶手段に記録する操作履歴記録手段と、
前記操作履歴記憶手段を用いて、前記複数の操作者を分類する情報である属性情報ごとに、前記操作を含む複数の操作の順番に関する統計情報を生成し、前記統計情報を前記属性情報ごとに統計情報記憶手段に記録する統計処理手段と、
前記所定の画面を操作する前記複数の操作者に含まれる第二の操作者による操作支援要求を受付け、前記統計情報記憶手段を参照し、該操作支援要求に指定された属性情報に対応する前記統計情報のうち、該操作支援要求前になされた操作が、前記複数の操作の順番に含まれる統計情報を特定し、前記特定した統計情報に基づいて、該操作支援要求後の操作の候補を判定する操作候補判定手段と、
前記操作支援要求後の操作の候補を示す情報を出力する操作候補出力手段と
を有する操作支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−198103(P2011−198103A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64729(P2010−64729)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】