説明

操作端末及び印刷処理方法

【課題】印刷装置にエラー事象が生じているときに印刷ができない原因及び印刷ができるようになるおおよその時間を操作者が認識でき、利便性を向上する。
【解決手段】操作端末2は、操作部14を介し、作成された印刷データをラベルプリンタ3に送信するための印刷アプリケーションAPを起動する指示入力があったと判定された場合に、ラベルプリンタ3に高温エラー状態が生じているか否かを表すエラー有無情報を取得し、そのエラー有無情報に基づき、ラベルプリンタ3で高温エラー状態が生じていると判定された場合に、当該高温エラー状態が解消されるまでに必要と見込まれるクーリング待ち時間Teを決定し、表示部17に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷媒体に印刷を行う印刷装置を操作する操作端末、及び、その操作端末が実行する印刷処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
操作端末から印刷装置を操作することで印刷物を作成する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、操作端末(PC)が有するモニタに、作成される印刷物(ラベル)の印字イメージが表示される。ユーザがそのイメージ表示を見ながらテキストデータ(単語や文章等)を操作入力すると、対応する印字情報が操作端末で生成され、印刷装置(印字ラベル作成装置)に送信される。これにより、印刷装置において、搬送される被印刷媒体(ラベルテープ)に対し印刷手段(サーマルヘッド)によって上記印字情報に対応した印字が形成され、印刷物(印字ラベル)が作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−177931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにして、操作端末からの操作によって印刷物の作成作業が実行されるとき、印刷装置において、例えば、印刷手段が印刷に不適当な過熱状態となったり搬送手段を駆動する駆動モータが過熱して高温となる等の、復帰可能なエラー事象が生じる場合がある。このようなエラー事象が印刷装置で生じた場合には、エラー事象が解消してもとの状態に復帰するまでは、操作端末から印刷装置に印刷データを送ったとしても印刷物を作成することはできない。
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、上記のようなエラー事象の発生までは特に配慮されていない。したがって、操作者が印刷データを送信しようとしたときに上記エラー事象が生じていた場合に、操作者は、印刷ができない原因を認識することができない。また、どのくらいの時間が経過したら印刷ができるようになるのかも、操作者は認識することができない。この結果、操作者の利便性が低下していた。
【0006】
本発明の目的は、印刷装置にエラー事象が生じているときに、印刷ができない原因及び印刷ができるようになるおおよその時間を操作者が認識でき、利便性を向上することができる、操作端末及びこれを用いた印刷処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印刷媒体を搬送する搬送手段、及び、印刷データを用いて前記被印刷媒体に対して印刷を行う印刷手段、を含む複数の動作機構を有し前記印刷データに対応した印刷がなされた印刷物を作成する印刷装置を操作可能に構成され、操作手段と表示手段とを備えた操作端末であって、前記操作手段を介し、作成された前記印刷データを前記印刷装置に送信するための印刷アプリケーションを起動する指示入力があったか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段により、前記印刷アプリケーションを起動する前記指示入力があったと判定された場合に、いずれかの前記動作機構において復帰可能なエラー事象が生じているか否かを表す前記印刷装置からのエラー有無情報を取得する第1情報取得手段と、前記第1情報取得手段により取得された前記エラー有無情報に基づき、前記印刷装置の前記いずれかの動作機構において前記エラー事象が生じているか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段により、前記いずれかの前記動作機構において前記エラー事象が生じていると判定された場合に、当該エラー事象が解消されるまでに必要と見込まれるエラー解消時間を決定する時間決定手段と、前記時間決定手段により決定された前記エラー解消時間を表示するよう、前記表示手段を制御する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願発明の操作端末は、印刷物を作成する印刷装置を操作可能である。印刷装置では、搬送手段が被印字媒体を搬送し、印刷手段が、操作端末から送信された印刷データに基づく印刷を上記被印字媒体に対し行うことで、印刷物が作成される。
【0009】
このようにして印刷物の作成作業が実行されるとき、印刷装置において、例えば、印刷手段が印刷に不適当な過熱状態となったり搬送手段を駆動する駆動モータが過熱して高温となる等の、時間経過によって復帰可能なエラー事象が生じる場合がある。このようなエラー事象が印刷装置で生じた場合には、エラー事象が解消してもとの状態に復帰するまでは、操作端末から印刷装置に印刷データを送ったとしても印刷物を作成することはできない。
【0010】
そこで本願発明では、操作者が印刷データの送信を意図して印刷アプリケーションの起動の指示入力をしたかどうかを第1判定手段が判定し、指示入力があった場合には第1情報取得手段が印刷装置からエラー有無情報を取得し、取得されたエラー有無情報により印刷装置のいずれかの動作機構で上記エラー事象が生じているかどうかを第2判定手段が判定する。そして、エラー事象が生じていた場合には、時間決定手段が、当該エラー事象が解消されるまでに必要と見込まれるエラー解消時間を決定し、表示制御手段の制御により、その決定したエラー解消時間が表示手段に表示される。これにより、操作者は、印刷データを送信するために印刷アプリケーションを起動しようとしたときに印刷装置に何らかのエラー事象が生じていた場合には、当該エラーが生じている旨と、そのエラーがどのくらいの時間が経過したら解消される見込である旨、とを認識することができる。この結果、操作者は、印刷ができない原因と印刷ができるようになるおおよそのタイミングを知ることができ、操作者の利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷装置にエラー事象が生じているときに、印刷ができない原因及び印刷ができるようになるおおよその時間を操作者が認識でき、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の操作端末を備えた印刷システム全体を表すシステム構成図である。
【図2】操作端末及びラベルプリンタの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図3】操作端末内における処理制御上の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図4】操作端末による印刷データ作成時にCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図5】操作端末の表示部の表示画面における表示の一例を表す説明図である。
【図6】ラベルプリンタによる印字ラベル作成時に制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図7】図6のステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図8】ラベルプリンタの回答処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図9】操作端末でクーリング残り時間を算出する変形例におけるクーリング処理を表すフローチャートである。
【図10】ラベルプリンタの回答処理の処理手順を表すフローチャートである。
【図11】操作端末の表示部の表示画面における表示の一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<システム概略構成>
図1に示すように、本実施形態が適用される印刷システム1は、例えば汎用パーソナルコンピュータで構成される操作端末2と、例えばUSBケーブル等の有線接続又は無線接続によって操作端末2に対し情報送受信可能に接続された、ラベルプリンタ3(印刷装置)とを有している。
【0015】
ラベルプリンタ3は、操作端末2との間で各種の情報と指示信号を送受し、操作端末2から送信された所望の文字や図形などを含む印刷データに基づき、所定の印刷が施された印字ラベルL(印刷物)を作成する。
【0016】
<操作端末及びラベルプリンタの詳細>
操作端末2及びラベルプリンタ3の詳細機能を図2より説明する。図2において、操作端末2は、CPU(中央演算装置)12と、例えばRAMやROM等からなるメモリ13と、ユーザ(操作者)からの指示や情報が入力される操作部14(操作手段)と、各種情報やメッセージを表示する表示部17(表示手段)と、例えばハードディスク装置からなり各種情報を記憶する大容量記憶装置16と、例えばUSBなどの規格に準拠するインターフェース接続を介してラベルプリンタ3との情報信号の授受の制御を行う通信制御部15とを備えている。
【0017】
CPU12は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。CPU12は、上記信号処理により、ラベルプリンタ3との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行う。
【0018】
一方、ラベルプリンタ3は、印刷用テープ203(被印刷媒体)を巻回したテープロール204(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を着脱可能な(又はテープロール204を備えたカートリッジを着脱可能な)テープロールホルダ部210と、このテープロール204から繰り出されたテープ203に所定の印刷を行う印刷ヘッド205(印刷手段)と、印刷が終了したテープ203を所定の長さに切断して印字ラベルLとするカッタ207と、印刷ヘッド205に対向して設けられ、テープロール204から繰り出されるテープ203を搬送する搬送ローラ209(搬送手段)と、ユーザ(操作者)からの所望の操作入力を受け付ける操作部211と、所定の表示が行われる表示部212と、ラベルプリンタ3の温度を測定する温度センサ214とを有する。なお、この例では、印刷ヘッド205、カッタ207、搬送ローラ209、表示部212、等が各請求項記載の動作機構をそれぞれ構成している。
【0019】
印刷ヘッド205は、印刷駆動回路(図示せず)を介して制御回路202に接続されている。搬送ローラ209は、搬送モータ(図示せず)に接続され、この搬送モータは、搬送モータ駆動回路(図示せず)を介して制御回路202に接続されている。カッタ207は、ソレノイド等のカッタ作動用アクチュエータ(図示せず)を介して制御回路202に接続されている。温度センサ214は、制御回路202に接続されている。また制御回路202は、通信制御部208を介し操作端末2の通信制御部15と接続されており、操作端末2と情報の送受が可能となっている。
【0020】
操作端末2内における処理制御上の機能的構成の一例を図3に示す。この図3において、操作端末2の上記メモリ(RAM)13上に、印刷アプリケーションAPと、プリンタドライバPDのそれぞれのプログラムが展開して起動しており、相互に指示信号と情報信号を送受可能となっている。そして印刷アプリケーションAPはプリンタドライバPDに対して信号を送受し、またプリンタドライバPDは上記通信制御部15,208どうしのインターフェース接続を介してラベルプリンタ3と信号を送受する。
【0021】
印刷アプリケーションAPとプリンタドライバPDとは、いずれも操作端末2が備える一つの上記CPU12によって実行されるものであるが、例えばタイムシェアリングシステム(TSS)などの時分割での割り込み制御によってそれぞれ個別に独立して実行される。
【0022】
印刷アプリケーションAPは、上記のユーザの操作入力に基づき操作端末2において作成された印刷データをラベルプリンタ3に送信する、送信アプリケーションプログラムが組み込まれている。
【0023】
プリンタドライバPDは、汎用パーソナルコンピュータで構成される操作端末2の基本OSに予め組み込まれたものでもよいし、他のアプリケーションと同様にOS上で個別に起動されるプログラムであってもよい。
【0024】
<本実施形態の特徴>
上記構成のラベルプリンタ3では、搬送ローラ209がテープ203を搬送し、印刷ヘッド205が、操作端末2から送信された上記印刷データに基づく印刷を上記テープ203に対し行うことで、印字ラベルLが生成される。この印字ラベルLの作成時、例えば、印刷ヘッド205が印刷に不適当な過熱状態となったり、搬送ローラ209を駆動する上記搬送モータが過熱して高温となる等の、時間経過によって復帰可能なエラー事象(以下適宜、「高温エラー状態」という)が生じる場合がある。このような高温エラー状態がラベルプリンタ3で生じた場合には、高温エラー状態が解消してもとの状態に復帰するまでは、操作端末2からラベルプリンタ3に印刷データを送ったとしても印字ラベルLを作成することはできない。
【0025】
そこで、本実施形態では、操作端末2において、ユーザによる印刷データの送信を行う印刷アプリケーションの起動の指示入力があった場合に、ラベルプリンタ3が高温となる等の上記高温エラー状態が起こっているかどうかのエラー有無情報を取得する。そして、高温エラー状態が生じていた場合には、ラベルプリンタ3がクーリングによって当該高温エラー状態が解消されるまでに必要と見込まれるクーリング待ち時間(エラー解消時間)を決定し、操作端末2において、その決定されたクーリング待ち時間を表示部17に表示する。以下、その詳細を、順を追って説明する。
【0026】
<操作端末での制御手順>
上記を実現するために、操作端末2の上記ROMに予め記憶された印刷処理プログラムに基づきCPU12によって実行される印刷処理方法の処理手順を図4により説明する。図4に示すフローは、例えば操作端末2の電源がONされると実行される。
【0027】
図4において、まず、ステップS10において、CPU12は、ユーザによる印刷アプリケーションAPの起動指示があったか否かを判定する。ユーザが、操作部14による適宜の操作を介し、文章を作成し印刷を行う意図で印刷アプリケーションAPの起動を指示するまでは判定が満たされず(ステップS10:NO)、ループ待機する。印刷アプリケーションAPの起動の指示があれば判定が満たされ(ステップS140:YES)、ステップS15に移る。なお、このステップS10が各請求項記載の第1判定手順に相当するとともに、第1判定手段として機能する。
【0028】
ステップS15では、CPU12は、通信制御部15を介してラベルプリンタ3にクーリング問合せ信号を送信し、ラベルプリンタ3がクーリング中であるか否かを問い合わせる。すなわち、ラベルプリンタ3は、印字ラベルLの作成において、印刷ヘッド205が過剰に加熱したり、搬送ローラ209を駆動する搬送モータが加熱するなどにより、所定の温度に温度上昇すると、ラベル作成動作を停止して、ラベルプリンタ3を自然放熱により冷却するクーリング状態に入るようになっている(後述の図6のステップS150及びステップS200を参照)。ラベルプリンタ3は、操作端末2から送信されたクーリング問合せ信号を通信制御部208を介して受信し、ラベルプリンタ3がクーリング中であるか否かのエラー有無情報を操作端末2に回答信号として送信することになる(後述の図8のステップS320、ステップS325参照)。なお、このエラー有無情報中には、エラー有無情報がラベルプリンタ3のクーリング中の旨を示す場合、ラベルプリンタ3のクーリング残り時間を含ませることができる(詳細は後述)。ステップS15が終了すると、ステップS20に移る。
【0029】
ステップS20では、CPU12は、ラベルプリンタ3から通信制御部208を介して送信された上記回答信号を通信制御部15を介して受信する。なお、このステップS20が、各請求項記載の第1情報取得手順に相当するとともに、第1情報取得手段として機能する。その後、ステップS25に移る。
【0030】
ステップS25では、CPU12は、上記ステップS20で受信された回答信号に含まれるエラー有無情報に基づき、ラベルプリンタ3がクーリング中であるか否かを判定する。ラベルプリンタ3がクーリング中ではなく、ラベル作成動作が可能な通常状態にある場合は判定が満たされず(ステップS25:NO)、ステップS30に移る。ラベルプリンタ3がクーリング中である場合は判定が満たされ(ステップS25:YES)、後述のステップS50に移る。なお、上記ステップS25が、各請求項記載の第2判定手順に相当するとともに、第2判定手段として機能する。
【0031】
ステップS30では、CPU12は、印刷アプリケーションAPの起動を開始してメモリ13上への上記展開を行う。なお、このステップS30が、各請求項記載の第1起動手段として機能する。その後、ステップS35に移る。
【0032】
ステップS35では、CPU12は、印刷アプリケーションAPの起動が完了したか否かを判定する。印刷アプリケーションAPの起動が完了するまでは判定が満たされず(ステップS35:NO)、ループ待機する。印刷アプリケーションAPの起動が完了すると判定が満たされ(ステップS35:YES)、ステップS40に移る。
【0033】
ステップS40では、CPU12は、上記ステップS35での印刷アプリケーションAPの起動完了に応じたユーザの適宜の操作入力に基づき、印刷データを作成する。なお、予め作成された複数種類のラベルイメージから1つのラベルイメージをユーザが適宜に選択しそのラベルイメージに対応した印刷の印字ラベルLを作成する場合には、このステップS40では、当該選択された1つの印字ラベルLを印刷するための印刷データが生成される。その後、ステップS45に移る。
【0034】
ステップS45では、CPU12は、上記ステップS40で作成された印刷データを通信制御部15を介してラベルプリンタ3に送信する。ラベルプリンタ3では、このようにして操作端末2から送信された印刷データを通信制御部208を介して受信し、受信した印刷データにしたがった印刷を施した印字ラベルLを作成することとなる(後述の図6の各ステップ参照)。なお、このステップS45が、各請求項記載の第1データ送信手段として機能する。その後、このフローを終了する。
【0035】
一方、上記ステップS25の判定が満たされて移行するステップS50では、CPU12は、上記ステップS20で受信した回答信号の上記エラー有無情報に含まれるクーリング残り時間に対応した、ラベルプリンタ3が所定の冷却温度に低下するまでのクーリング待ち時間Te(エラー解消時間)を決定する。なお、このクーリング待ち時間Teは、上記エラー有無情報に含まれるクーリング残り時間と同じ時間でもよいし、当該クーリング残り時間に所定の(例えば0.5分〜1分の)余裕時間を加えた時間としてもよい。なお、このステップS25が、各請求項記載の時間決定手順に相当するとともに、時間決定手段として機能する。その後、ステップS55に移る。
【0036】
ステップS55では、CPU12は、上記ステップS50で決定された上記クーリング待ち時間Teが予め定められた所定のしきい値To(例えば1分)以下であるか否かを判定する。クーリング待ち時間Teが上記しきい値Toを超える(すなわち、Te>To)場合は判定が満たされず(ステップS65:NO)、ステップS60に移る。決定したクーリング待ち時間Teが上記しきい値To以下(すなわち、Te≦To)の場合は判定が満たされ(ステップS55:YES)、後述のステップS65に移る。
【0037】
ステップS60では、CPU12は、表示部17に制御信号を出力して、上記ステップS50で決定されたクーリング待ち時間Teを表示する。これにより、例えば図5(a)に示すように、表示部17の表示画面17Aに、例えば「プリンタがクーリング中です。およそ、5分でクーリングが解除されます。」のメッセージMが表示される。あるいは、図5(b)に示すように、表示部17の表示画面17Aに、「プリンタがクーリング中です。」のメッセージMと、クーリング残り時間をスケールMa1の位置の変化で表す時間バーMa及びそれに添えたクーリング残り時間のメッセージMb(例えば「残り2分」)と、を表示するようにしてもよい。ユーザは、このような表示部17の表示を見て、ラベルプリンタ3の動作停止のエラー原因が高温エラー状態あること、及び、そのエラー原因が解消されるまでのおおよその時間、を知ることができる。この結果、ユーザは、操作部14の操作による印刷アプリケーションAPの起動指示を、エラー原因が解消されるまで待つことができる。なお、このステップS60が、各請求項記載の表示手順に相当するとともに、表示制御手段として機能する。ステップS60が終了したら、その後、このフローを終了する。
【0038】
一方、ステップS65では、上記ステップS30と同様、CPU12は、印刷アプリケーションAPの起動を開始してメモリ13上への上記展開を行う。なお、このステップS65が、各請求項記載の第2起動手段として機能する。その後、ステップS70に移る。
【0039】
ステップS70では、上記ステップS35と同様、CPU12は、印刷アプリケーションAPの起動が完了したか否かを判定する。印刷アプリケーションAPの起動が完了するまでは判定が満たされず(ステップS70:NO)、ループ待機する。印刷アプリケーションAPの起動が完了すると判定が満たされ(ステップS70:YES)、ステップS75に移る。
【0040】
ステップS75では、上記ステップS15と同様、CPU12は、通信制御部15を介してラベルプリンタ3に上記クーリング問合せ信号を送信する。ラベルプリンタ3は、これに対応して、前述と同様、クーリング中であるか否かのエラー有無情報を操作端末2に回答信号として送信する。このエラー有無情報中には、前述したように、ラベルプリンタ3のクーリング時間の残り時間を含ませることができる。ステップS75が終了すると、ステップS80に移る。
【0041】
ステップS80では、上記ステップS20と同様、CPU12は、ラベルプリンタ3からの上記回答信号を通信制御部15を介して受信する。なお、このステップS80が、各請求項記載の第2情報取得手段として機能する。その後、ステップS85に移る。
【0042】
ステップS85では、上記ステップS25と同様、CPU12は、上記ステップS80で受信された回答信号に含まれるエラー有無情報に基づき、ラベルプリンタ3がクーリング中であるか否かを判定する。ラベルプリンタ3がクーリング中ではなく、ラベル作成動作が可能な通常状態にある場合は判定が満たされず(ステップS85:NO)、ステップS90に移る。ラベルプリンタ3がクーリング中である場合は判定が満たされ(ステップS85:YES)、後述のステップS100に移る。なお、このステップS85が、各請求項記載の第3判定手段として機能する。
【0043】
ステップS90では、上記ステップS40と同様、CPU12は、上記ステップS70での印刷アプリケーションAPの起動完了に応じたユーザの適宜の操作入力に基づき、印刷データを作成する。その後、ステップS95に移る。
【0044】
ステップS95では、上記ステップS45と同様、CPU12は、上記ステップS90で作成された印刷データをラベルプリンタ3に送信する。ラベルプリンタ3は、この送信された印刷データに基づく印刷を施した印字ラベルLを作成する。その後、このフローを終了する。
【0045】
一方、ステップS100では、CPU12は、ラベルプリンタ3のクーリングがあと少しの短時間で解消されるのを見越し、上記ステップS90と同様、上記ステップS70での印刷アプリケーションAPの起動完了に応じたユーザの適宜の操作入力に基づき、印刷データを作成する。その後、ステップ105に移る。
【0046】
ステップS105では、CPU12は、上記ステップS85でのクーリング中の判定がなされた後、所定時間(2〜3分)が経過したか否かを判定する。所定時間経過するまで判定が満たされず(ステップS105:NO)、ループ待機する。印刷データの作成終了後、所定時間経過したら判定が満たされ(ステップS105:YES)、ステップS106に移る。このステップS106では、上記ステップS15と同様、CPU12は、通信制御部15を介してラベルプリンタ3に上記クーリング問い合わせ信号を送信する。ラベルプリンタ3は、これに対応して、前述と同様クーリング中であるか否かのエラー有無情報を操作端末2に回答新が追うとして送信する。このエラー有無情報中には、前述したように、ラベルプリンタ3のクーリング時間の残り時間を含ませることができる。ステップS106が終了すると、ステップS107に移る。
【0047】
ステップS107では、上記ステップS20と同様、CPU12は、ラベルプリンタ3からの上記回答信号を通信制御部15を介して受信する。なお、このステップS107が、各請求項記載の第3情報取得手段として機能する。その後、ステップS108に移る。
【0048】
ステップS108では、上記ステップS25と同様、CPU12は、上記ステップS107で受信された回答信号に含まれるエラー有無情報に基づき、ラベルプリンタ3がクーリング中であるか否かを判定する。ラベルプリンタ3がクーリング中ではなく、ラベル作成動作が可能な通常状態にある場合は、判定が満たされずステップS110に移る。ラベルプリンタ3がクーリング中である場合は、ステップS105に戻る。なお、このステップS105では、上記のように、ステップS100での印刷データの作成終了後、所定時間経過するまではひたすらループ待機して待ち、新たな印刷データの作成を受け付けない。言い換えれば、CPU12は、上記編集のための操作入力や印刷データの送信指示があっても無視する。この結果、このステップS105の手順は、実質的に各請求項記載の無効化制御手段として機能する。
【0049】
ステップS110では、上記ステップS95と同様、CPU12は、上記ステップS105で作成された印刷データをラベルプリンタ3に送信する。ラベルプリンタ3は、この送信された印刷データに基づく印刷を施した印字ラベルLを作成する。なお、このステップS110が各請求項記載の第2データ送信手段として機能する。その後、このフローを終了する。
【0050】
<ラベルプリンタでの制御手順>
次に、上記操作端末での各手順に対応して、ラベルプリンタ3の制御回路202により実行される、印字ラベル作成時の処理内容を図6により説明する。図6に示すフローは、例えばユーザが、ラベルプリンタ3の電源をONすることによって開始される。
【0051】
図6において、まず、ステップS120において、制御回路202は、ラベルプリンタ3のクーリングフラグFを初期化し、F=0とする。クーリングフラグFは、ラベルプリンタ3のクーリング中である場合にF=1、ラベルプリンタ3のクーリングを行っていない通常状態である場合にF=0となるフラグである。その後、ステップS125に移る。
【0052】
ステップS125では、制御回路202は、操作端末2から印刷データを受信したか否かを判定する。前述した図4のステップS45、又はステップS95、若しくはステップS100での、操作端末2から送信された印刷データを受信するまでは判定が満たされず(ステップS125:NO)、ループ待機する。操作端末2から印刷データを受信したら判定が満たされ(ステップS125:YES)、ステップS130に移る。
【0053】
ステップS130では、制御回路202は、上記搬送モータ駆動回路に制御信号を出力する。これにより、上記搬送モータが搬送ローラ209を駆動し、印刷用テープ203の搬送を開始する。その後、ステップS135に移る。
【0054】
ステップS135では、制御回路202は、上記印刷駆動回路に制御信号を出力する。これにより、印刷ヘッド205の発熱素子が通電制御され、印刷用テープ203に対し、上記ステップS125で受信された印刷データに応じた印刷を開始する。その後、ステップS140に移る。
【0055】
ステップS140では、制御回路202は、印刷用テープ203の搬送方向位置が上記印刷データに対応した印刷終了位置に達し印刷が完了したか否かを公知の手法で判定する。印刷終了位置に達していない場合は判定が満たされず(ステップS140:NO)、ステップS145に移る。印刷終了位置に達したら判定が満たされ(ステップS140:YES)、後述のステップS155に移る。
【0056】
ステップS145では、制御回路202は、ラベルプリンタ3をクーリングする必要があるか否かを判定する。すなわち、温度センサ214の検出温度が上記所定の温度(例えば50度)に達すると、印字品質に悪影響があることから、印刷ヘッド205の印刷動作を中止して冷却(クーリング)を行う必要がある。したがって、このステップS145では、温度センサ214の検出温度が上記所定の温度以上となったときにはクーリングの必要があるとみなされて判定が満たされ(ステップS140:YES)、ステップS150に移る。温度センサ214の検出温度が上記所定の温度未満でありクーリングを要しない場合は判定が満たされず(ステップS145:NO)、上記ステップS140に戻って同様の手順を繰り返す。
【0057】
ステップS150では、制御回路202は、上記印刷駆動回路に制御信号を出力し、印刷ヘッド205の発熱素子への通電を停止するとともに、上記搬送モータ駆動回路に制御信号を出力し、上記搬送モータの駆動を停止する。これにより、印刷ヘッド205による印刷用テープ203の印刷が停止するとともに、上記搬送ローラ209による印刷用テープ203の搬送が停止する。その後、ステップS200に移り、ステップS200でのクーリング処理によりラベルプリンタ3を冷却した後、上記ステップS130に戻り、同様の手順を繰り返す。ステップS200のクーリング処理については後述する(後述の図7参照)。
【0058】
一方、ステップS140の判定が満たされずに移行したステップS155では、制御回路202は、上記印刷駆動回路に制御信号を出力し、印刷ヘッド205の発熱素子への通電を停止する。これにより、印刷ヘッド205による印刷用テープ203に対する印刷が停止する。その後、ステップS160に移る。
【0059】
ステップS160では、制御回路202は、印刷済みテープ203の搬送方向位置が、上記印刷データに対応した所定のテープ切断位置まで到達したか否かを公知の手法で判定する。上記テープ切断位置に到達するまでは判定が満たされず(ステップS160:NO)、ループ待機する。上記テープ切断位置に到達したら判定が満たされ(ステップS160:YES)、ステップS165に移る。
【0060】
ステップS165では、制御回路202は、上記搬送モータ駆動回路に制御信号を出力し、搬送モータの駆動を停止する。これにより、搬送ローラ208の回転が停止し、印刷済みテープ203の搬送が停止する。その後、ステップS170に移る。
【0061】
ステップS170では、制御回路202は、上記カッタ作動用アクチュエータに制御信号を出力し、カッタ207により印刷済みのテープ203を切断する。その結果、上記ステップS125で受信された印刷データに対応する印刷が施された印字ラベルLが作成される。その後、このフローを終了する。
【0062】
図7により、上記ステップS200におけるクーリング処理の詳細手順について説明する。
【0063】
図7において、まず、ステップS210において、制御回路202は、クーリングフラグFを、ラベルプリンタ3のクーリング中を表すF=1とする。その後、ステップS215に移る。
【0064】
ステップS215では、制御回路202は、ラベルプリンタ3のクーリング残り時間を算出する。例えば、自然冷却によりラベルプリンタ3のクーリングを開始してから、ラベル作成を再開可能な所定の温度(例えば40℃)に低下するまでのクーリング時間は、ラベルプリンタ3の機種や型式等によって概ねある一定の時間に定めることができる。本実施形態では、当該一定の時間が制御回路202内の適宜の箇所に記憶されており、このステップS215では、上記クーリング残り時間が、上記記憶された一定の時間(=クーリング時間)からクーリング開始後の経過時間を差し引くことで、算出される。ステップS215が終了すると、ステップS220に移る。
【0065】
ステップS220では、制御回路202は、温度センサ214の検出結果に基づき、上記ステップS150で印刷を停止(すなわち発熱素子への通電を停止)してからの自然冷却によって、印刷ヘッド205の温度が、クーリングを終了し印刷を再開してよい所定の温度(例えば40度)まで下がったかどうか、を判定する。印刷ヘッド205の温度が上記所定の温度まで下がっていない場合は判定が満たされず(ステップS220:NO)、上記ステップS215に戻り同様の手順を繰り返す。この結果、上記所定の温度まで下がりきっていない間は、ステップS215→ステップS220→ステップS215→・・の繰り返しにより、上記クーリング残り時間が時々刻々と算出され、更新されることとなる。この繰り返しの間に印刷ヘッド205の値が上記所定の温度まで下がると判定が満たされ(ステップS220:YES)、上記高温エラー状態は解消されたとみなされ、このルーチンを終了して上記図6のステップS130に戻る。
【0066】
次に、図8により、ラベルプリンタ3の回答処理の詳細手順について説明する。図8に示すこのラベルプリンタ3の回答処理の制御フローは、図6の印字ラベル作成時の制御フローと並行して実行される。なお、このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により、共通の制御回路202に行わせることができる。
【0067】
図8において、まず、ステップS310において、ラベルプリンタ3の制御回路202は、上記図4のステップS15で操作端末2から出力された、クーリングの問い合わせが受信されたか否かを判定する。操作端末2からのクーリング問い合わせ信号が受信されない間は判定が満たされず(ステップS310:NO)、ループ待機する。クーリング問い合わせ信号が受信されたら判定が満たされ(ステップS310:YES)、ステップS315に移る。
【0068】
ステップS315では、制御回路202は、上記クーリングフラグFがF=1であるか否かを判定する。F=1であれば判定が満たされ(ステップS315:YES)、ステップS320に移る。F=1でなければ判定が満たされず(ステップS315:NO)、後述のステップS325に移る。
【0069】
ステップS320では、制御回路202は、クーリングに関する回答として「クーリングなし」の旨を通信制御部208を介して操作端末2へ送信する。上記図4のステップS20参照)。その後、このフローを終了する。
【0070】
一方、ステップS325では、制御回路202は、クーリングに関する回答として「クーリング中」である旨と、前述のように図7のステップS215で時々刻々と算出され更新されている「クーリング残り時間」のこの時点での値とを、通信制御部208を介して操作端末2へ送信する。その後、このフローを終了する。この結果、ラベルプリンタ3は、上記ステップS20又はステップS80において、上記ステップS320及びステップS325で操作端末2が送信したクーリングに関する回答を、受信することとなる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の操作端末2は、ユーザが印刷アプリケーションAPの起動の指示入力をしたとき、ラベルプリンタ3からエラー有無情報を取得し、ラベルプリンタ3で上記高温エラー状態が生じているかどうかを判定する。そして、高温エラー状態が生じていた場合には、それが解消されるまでに必要と見込まれるクーリング待ち時間Teが表示部17に表示される。これにより、ユーザは、印刷データを送信するために印刷アプリケーションAPを起動しようとしたときにラベルプリンタ3に高温エラー状態が生じていた場合には、当該高温エラー状態が生じている旨と、それがどのくらいの時間が経過したら解消される見込であるか、とを認識することができる。この結果、ユーザは、印刷ができない原因と印刷ができるようになるおおよそのタイミングを知ることができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0072】
また、本実施形態では特に、ラベルプリンタ3で高温エラー状態が生じていないと判定された場合には、印刷アプリケーションAPの起動処理を開始し、起動処理が完了したアプリケーションAPを用いて、上記印刷データをラベルプリンタ3に送信する(ステップS45参照)。これにより、高温エラー状態がラベルプリンタ3で生じていない場合には、直ちに操作端末2からラベルプリンタ3に印刷データを送り、対応する印刷を行って印字ラベルLを作成することができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、ラベルプリンタ3で高温エラー状態が生じていると判定された場合であっても、上記クーリング待ち時間Teが所定の時間よりも短かった場合には、印刷アプリケーションAPの起動処理を開始する(ステップS65参照)。すなわち、一般に、印刷アプリケーションAPが起動を開始した後、その起動が完了するまでには、一定の時間を要する。したがって、ユーザが印刷データの送信を意図して印刷アプリケーションAPの起動の指示入力をしたときに高温エラー状態がラベルプリンタ3で生じていたとしても、比較的短い時間で高温エラー状態が解消する見込である場合には、印刷アプリケーションAPの起動が完了するまでには当該高温エラー状態が解消する可能性が高い。これに対応して、本実施形態においては、ステップS55において上記クーリング待ち時間Teが所定の時間Toより短かった場合には、ステップS65で印刷アプリケーションAPの起動処理を開始する。これにより、高温エラー状態が解消した直後に直ちに操作端末2からラベルプリンタ3に印刷データを送ることが可能となり(ステップS95、ステップS110参照)、ユーザの利便性をさらに向上することができる。
【0074】
また、本実施形態では特に、ステップS65で印刷アプリケーションAPの起動処理を開始して起動処理が完了したときに、ステップS85で上記高温エラー状態が解消していなかった場合には、予め定められた所定時間の経過後に、印刷データをラベルプリンタ3に送信する(ステップS110参照)。これには以下のような意義がある。
【0075】
すなわち、上述のように、高温エラー状態が生じていた場合に決定されるクーリング待ち時間Teは、高温エラー状態が解消するのに必要であるとおおよそ見込まれる時間である。したがって、クーリング待ち時間Teと、高温エラー状態が解消するまでに実際に必要である時間との間には、多少の誤差は生じうる。そのように誤差が生じた場合に、印刷アプリケーションAPの起動処理を開始して起動処理が完了したにもかかわらず、まだエラー事象が解消していない可能性もある。
【0076】
そこで、本実施形態では、印刷アプリケーションAPの起動を開始して起動処理が完了したときに(ステップS70参照)、再度上記高温エラー状態が解消したか否かを判定する(ステップS85参照)。そして、高温エラー状態が解消していなかった場合には、所定時間の経過を待って操作端末2からラベルプリンタ3に印刷データを送信する(ステップS110参照)。これにより、高温エラー状態が解消した後、速やかに確実に印字ラベルLを作成することができる。
【0077】
また、本実施形態では特に、上記ステップS105に関連して上述したように、上記高温エラー状態が解消していない場合には、上記印刷データの送信が行われるまでは、操作端末2を介した新たな印刷データの送信指示を無効化する。これにより、高温エラー状態が解消するまでの所定時間の経過の間にユーザが印刷データの送信を重複して指示したとしても、操作端末2は、当該送信指示に応じることなく、所定時間が経過するのを待ってからラベルプリンタ3に印刷データを送信する。この結果、操作端末2からラベルプリンタ3へ二重に同一の印刷データの送信が行われるのを防止し、ラベルプリンタ3が無駄な印刷動作を行うのを回避することができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態以外にも、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
【0079】
(1)操作端末がクーリング残り時間を算出する場合
上記実施形態では、ラベルプリンタ3が上記クーリング残り時間を算出したが、本発明はこれに限られず、クーリング残り時間を操作端末2が算出してもよい。このような変形例における処理を、図9及び図10のフローチャートにより説明する。
【0080】
本変形例におけるクーリング処理の手順を図9に示す。図9のフローは、上記実施形態の図7のフローに相当する図である。図9のフローでは、図7におけるクーリング残り時間を算出するステップS215が削除されている。図9のフローチャートのその他の点は、図7のフローチャートと同様である。
【0081】
本変形例におけるラベルプリンタ3の回答処理の詳細手順を図10により示す。図10のフロー、上記実施形態の図8のフローに相当する図である。図10のフローでは、図8のフローのステップS325の代わりにステップS327を設けた点が図8と異なる。
【0082】
図10において、ステップS310〜ステップS320の手順は、上記図8と同じである。上記ステップS315での判定が満たされる(ステップS315:YES)と、新たに設けたステップS327に移る。ステップS327では、制御回路202は、クーリングに関する回答として「クーリング中」である旨のみを通信制御部208を介して操作端末2へ送信する。なお、「クーリング中」に代えて「クーリング開始時間」のみを回答してもよい。その後、このフローを終了する。
【0083】
そして、本変形例における操作端末2において、印刷データ作成時にCPU12により実行される制御内容は、上記実施形態の図4に示すフローチャートと基本的に同じである。但し、本変形例では、上記ステップS327での回答に「クーリング中」の旨のみが含まれることから、図4のステップS20で受信されたラベルプリンタ3からの回答信号のエラー有無情報には、「クーリング残り時間」の情報が含まれない。そこで、本変形例では、操作端末2は、例えばラベルプリンタ3の種類や機種に応じて固定的に定められたクーリング平均所要時間を予めメモリ13に記憶しておく。この、クーリング平均所要時間は、過去のラベルプリンタ3のクーリングの実行履歴等を適宜のタイミングで操作端末2が取得しその実行履歴に基づき操作端末2が算出してもよいし、同機種のクーリングの実行履歴等に基づきメーカ側から提供された値を予め操作端末2内に設定し記憶していてもよい。そして図4のステップS50では、上記メモリ13に記憶されたクーリング平均所要時間を基に上記クーリング残り時間を算出し、算出されたクーリング残り時間をクーリング待ち時間Teとして決定する(本変形例における時間決定手順及び時間決定手段に相当)。
【0084】
また、本変形例において、上記図4のフローのステップS55で使用されるクーリング残り時間のしきい値Toを可変に設定できるようにしてもよい。図11に、このような可変設定時における操作端末2の表示部17の表示画面17Aの表示の一例を示す。図11において、表示画面17Aには、クーリングの終了を待たずに印刷アプリケーションAPを起動させるための判断基準となる、上記クーリング待ち時間Teに関する上記しきい値To(起動時間)の設定画面18が表示されている。この例では、設定画面18には、上記クーリング平均所要時間を示す「エラー時間の目安:3分」のメッセージKaと、印刷アプリケーションAPを起動するまでの時間(すなわちクーリング残り時間のしきい値To)を示す「残り何分で起動するか」のメッセージKbとが表示されると共に、上記しきい値Toの値を指示する数値代入枠Kcと、確認用の「OK」ボタンKdとが設けられている。ユーザは、操作端末2の操作部14を介した操作で、数値代入枠Kcに数値を挿入することにより、上記しきい値Toの値を適宜に設定する(この例では1分に設定されている)ことができる。
【0085】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得る。また、ラベル作成装置3は、上記実施形態のように時々刻々とクーリング残り時間を算出する必要がなくなるので(図9及び上記実施形態の図7参照)、制御回路202の演算負担を低減することができる。
【0086】
(2)エラーメッセージとしてクーリングに関するエラー以外のエラーを表示する場合
上記実施形態では、エラー事象に係わる動作機構として印刷ヘッド205及び搬送ローラ209の搬送モータを例に取り、時間経過によって復帰可能なエラー事象として上記高温エラー状態を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、エラー事象として、ラベルプリンタ3がバッテリ駆動の場合に当該バッテリ電源が低下中であることや、ラベルプリンタ3にテープロール204が充填されていないことや、テープロール204に印刷用テープ203がなくなって残っていないことや、操作端末2とラベルプリンタ3との間において何らかの通信障害又は認証障害が生じて操作端末2側からラベルプリンタ3の存在が確認できないこと、等を上記のエラー事象とし、同様の処理を行うこともできる。
【0087】
なお、以上において、図2、図3等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0088】
また、図4、図6〜図10等に示すタイムチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0089】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0090】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 印刷システム
2 操作端末
3 ラベルプリンタ(印刷装置)
14 操作部(操作手段)
17 表示部(表示手段)
203 印刷用テープ(被印刷媒体)
205 印刷ヘッド(印刷手段)
209 搬送ローラ(搬送手段)
AP 印刷アプリケーション
Te クーリング待ち時間(エラー解消時間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を搬送する搬送手段、及び、印刷データを用いて前記被印刷媒体に対して印刷を行う印刷手段、を含む複数の動作機構を有し前記印刷データに対応した印刷がなされた印刷物を作成する印刷装置を操作可能に構成され、操作手段と表示手段とを備えた操作端末であって、
前記操作手段を介し、作成された前記印刷データを前記印刷装置に送信するための印刷アプリケーションを起動する指示入力があったか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記印刷アプリケーションを起動する前記指示入力があったと判定された場合に、いずれかの前記動作機構において復帰可能なエラー事象が生じているか否かを表す前記印刷装置からのエラー有無情報を取得する第1情報取得手段と、
前記第1情報取得手段により取得された前記エラー有無情報に基づき、前記印刷装置の前記いずれかの動作機構において前記エラー事象が生じているか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により、前記いずれかの前記動作機構において前記エラー事象が生じていると判定された場合に、当該エラー事象が解消されるまでに必要と見込まれるエラー解消時間を決定する時間決定手段と、
前記時間決定手段により決定された前記エラー解消時間を表示するよう、前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする操作端末。
【請求項2】
請求項1記載の操作端末において、
前記第2判定手段により、いずれの前記動作機構においても前記エラー事象が生じていないと判定された場合に、前記印刷アプリケーションの起動処理を開始する第1起動手段と、
前記第1起動手段により開始された起動処理が完了した前記アプリケーションを用いて、前記印刷データを前記印刷装置に送信する、第1データ送信手段と、
を有することを特徴とする操作端末。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の操作端末において、
前記第2判定手段により前記いずれかの前記動作機構において前記エラー事象が生じていると判定された場合であって、前記時間決定手段により決定された前記エラー解消時間が所定の時間よりも短かった場合には、前記印刷アプリケーションの起動処理を開始する第2起動手段を有することを特徴とする操作端末。
【請求項4】
請求項3記載の操作端末において、
前記第2起動手段により開始された前記印刷アプリケーションの起動処理が完了したときに、前記エラー有無情報を所得する第2情報取得手段と、
前記第2情報取得手段により取得された前記エラー有無情報に基づき、前記第2判定手段により生じていると判定された前記エラー事象が解消したか否かを判定する第3判定手段と、
前記第3判定手段により前記エラー事象が解消していないと判定された場合には、当該判定時から予め定められた所定時間の経過後に、起動処理が完了した前記アプリケーションを用いて前記印刷データを前記印刷装置に送信する、第2データ送信手段と、
を有することを特徴とする操作端末。
【請求項5】
請求項4記載の操作端末において、
前記第3判定手段により前記エラー事象が解消していないと判定された場合には、第2データ送信手段による前記印刷データの送信が行われるまでは、前記操作手段を介した新たな前記印刷データの送信指示を無効化する無効化制御手段を有することを特徴とする操作端末。
【請求項6】
被印刷媒体を搬送する搬送手段、及び、印刷データを用いて前記被印刷媒体に対して印刷を行う印刷手段、を含む複数の動作機構を有し前記印刷データに対応した印刷がなされた印刷物を作成する印刷装置を操作可能に構成された操作端末が実行する、印刷処理方法であって、
作成された前記印刷データを前記印刷装置に送信するための印刷アプリケーションを起動する指示入力があったか否かを判定する第1判定手順と、
前記第1判定手順で、前記印刷アプリケーションを起動する前記指示入力があったと判定された場合に、いずれかの前記動作機構において復帰可能なエラー事象が生じているか否かを表す前記印刷装置からのエラー有無情報を取得する第1情報取得手順と、
前記第1情報取得手順で取得された前記エラー有無情報に基づき、前記印刷装置の前記いずれかの動作機構において前記エラー事象が生じているか否かを判定する第2判定手順と、
前記第2判定手順で、前記いずれかの前記動作機構において前記エラー事象が生じていると判定された場合に、当該エラー事象が解消されるまでに必要と見込まれるエラー解消時間を決定する時間決定手順と、
前記時間決定手順で決定された前記エラー解消時間を表示する表示手順と、
を有することを特徴とする印刷処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−73567(P2013−73567A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214160(P2011−214160)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】