説明

操作装置、再生システム、操作装置の操作方法、プログラム

【課題】デッキ数よりも、ミキシング可能なチャンネル数の方が多いDJコントローラーを使用し、多チャンネル再生による曲のオリジナリティ性を十分に発揮すること。
【解決手段】本発明のDJコントローラー10は、各チャンネルに音声信号をロードさせるためのロードボタン82と、ビートシンク機能を実現させるためのシンクボタン84と、ロードされた音声信号をフェーダースタート機能により再生させるためのチャンネルフェーダー85を、各チャンネルに対応して備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号または映像信号である再生信号の再生制御を行う操作装置、再生システム、操作装置の操作方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクジョッキー(DJ)が音響パフォーマンスに用いるDJ機器の一種として、DJコントローラーが知られている。当該DJコントローラーは、DJアプリケーションが組み込まれたコンピューターと接続されて用いられ、ユーザーの操作に基づく操作信号をコンピューターに送信することによってDJアプリケーションをコントロールする。一方、DJアプリケーションとしては、近年、4デッキ・4チャンネルミキサーの構成が一般的となっている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
また、このようなDJアプリケーションの4デッキ化に伴い、4デッキ・4チャンネルをコントロール可能なDJコントローラーが各メーカーから提案されている。ところが、デッキ(プレーヤー)とミキサーの一体型コントローラーで、4デッキ・4チャンネルのレイアウトにすると、筐体サイズが過大になるため、各社とも4デッキではなく2デッキのみを搭載し、各デッキで表面/裏面の2面切り替えができる構成(2デッキ・4チャンネルのレイアウト)を採用している(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Native Instruments社 「TRAKTOR PRO」http://www.native-instruments.com/#/jp/products/dj/traktor-pro/
【非特許文献2】Allen&Heath社 「Xone:DX」http://www.xone.co.uk/dx/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、2デッキ・2チャンネルミキサー構成によるDJ操作は、ダンスフロアに楽曲を流し続けるために、各デッキにロードしてある楽曲を1曲ずつ交互に再生し、曲のつなぎ目をミキシングしていくのが一般的である。一方、3つ以上のデッキを用いる場合、次の楽曲を掛けるまでの間、同時に複数の楽曲をミキシングすることが可能になるため、既存にない独自の楽曲を構築することが可能になる。このとき、複数のデッキ操作およびミキシング操作といった複雑な操作を行うことになるため、各デッキとチャンネル操作は、迷わず操作できる直感性、および即時性、さらに片方のデッキでパフォーマンス操作を行いながら別のデッキの楽曲を任意のタイミングでミキシングできるような同時操作性が求められる。4デッキ・4チャンネルのようにデッキ数とチャンネル数が同数の場合は以上の操作が可能となる。
【0006】
しかしながら、非特許文献2のように、2デッキ・4チャンネルのレイアウトで4デッキの操作を行う場合、各裏面のデッキを操作するためにはデッキの切り替え操作が必要になるため直感性や即時性に欠け、表面のデッキでパフォーマンス操作をしながら裏面のデッキを操作することは通常不可能となる。また、デッキの切り替えを繰り返しているうちに、現在アサインされているデッキの認識が薄れ、逆面のデッキとして誤操作してしまう場合もある。このように、従来の2デッキ・4チャンネルのDJコントローラーを用いて4デッキの操作を行うと、直感性、即時性、同時操作性に欠け、誤操作も誘発するため、ユーザーにとって大きなストレスとなっていた。以上のように、従来の2デッキ・4チャンネルレイアウトのコントローラーは、本来4デッキの操作で求められる、多チャンネルミキシングによる独自性のある楽曲構築の実現に対して、十分な操作性が実現できていなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、多チャンネル再生による曲のオリジナリティ性を十分に発揮可能な操作装置、再生システム、操作装置の操作方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の操作装置は、1つ以上のデッキ領域を搭載した操作装置、または1つ以上のデッキ領域と接続された操作装置であり、複数のチャンネルをミキシング可能な再生制御システムを操作する操作装置であって、各チャンネルに再生信号をロードさせるための、複数のチャンネル数分のロード操作子と、ロードされた再生信号を再生させるための、複数のチャンネル数分のプレイ操作子と、複数のチャンネルに対し、同時にプレイ機能を実現させるための複数操作用操作子と、を備えたことを特徴とする。
上記の操作装置において、複数操作用操作子は、複数のチャンネルに対し、同時にフェーダースタート機能を実現させるための複数操作用フェーダー操作子であることを特徴とする。
上記の操作装置において、複数操作用フェーダー操作子によるフェーダースタート機能の有効/無効を切り替えさせるための複数操作用フェーダースタート切替操作子を、各チャンネルもしくは全チャンネルに対応してさらに備えたことを特徴とする。
上記の操作装置において、複数操作用フェーダースタート切替操作子が、複数操作用フェーダー操作子に近接して配置されていることを特徴とする。
本発明の再生システムは、上記の操作装置と、コンピューターに組み込まれて用いられると共に、再生制御システムとして機能する複数チャンネル構成の音楽/映像アプリケーションと、を備えたことを特徴とする。
本発明の操作装置の操作方法は、1つ以上のデッキ領域を搭載した操作装置、または1つ以上のデッキ領域と接続された操作装置であり、複数のチャンネルをミキシング可能な再生制御システムを操作する操作装置の操作方法であって、操作装置には、各チャンネルに再生信号をロードさせるための、複数のチャンネル数分のロード操作子と、ロードされた再生信号を再生させるための、複数のチャンネル数分のプレイ操作子と、複数のチャンネルに対し、同時にプレイ機能を実現させるための複数操作用操作子と、が設けられ、再生制御システムは、ロード操作子の操作により、対応するチャンネルのデッキに再生信号をロードし、プレイ操作子の操作により、対応するチャンネルにて再生信号を再生し、複数操作用操作子の操作により、全チャンネルにて再生信号を再生することを特徴とする。
本発明のプログラムは、コンピューターを、上記の操作装置におけるロード操作子、プレイ操作子および複数操作用操作子として機能させることを特徴とする。
なお、以下の構成としても良い。
本発明の操作装置は、デッキ数よりも、ミキシング可能なチャンネル数の方が多い再生制御システムを操作する操作装置であって、各チャンネルに、再生信号をロードさせるためのロード操作子と、ロードされた再生信号を再生させるためのプレイ操作子を、チャンネル数分の各チャンネルに対応して備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の操作装置の操作方法は、デッキ数よりも、ミキシング可能なチャンネル数の方が多い再生制御システムを操作する操作装置の操作方法であって、操作装置には、各チャンネルに対応したチャンネル数分のロード操作子と、各チャンネルに対応したチャンネル数分のプレイ操作子と、が設けられ、再生制御システムは、ロード操作子の操作により、対応するチャンネルのデッキに再生信号をロードし、プレイ操作子の操作により、対応するチャンネルにて再生信号を再生することを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、ミキシング可能なチャンネル数よりもデッキ数が少ない再生制御システムを操作する操作装置であっても、各チャンネルに対応して、ロード操作子とプレイ操作子が備えられているため、任意のチャンネルのデッキ操作を行っている間に、他のチャンネルに再生信号をロードさせ、当該他のチャンネルにロードした再生信号を任意のタイミングで再生制御システムに再生させることができる。例えば、2デッキ・4チャンネルのDJコントローラーの場合、一般的に各デッキを表面/裏面で切り替えることができるが、あるデッキの表面で曲を操作している間に、当該デッキの切り替えを行うことなく、裏面の曲のロードや再生開始が可能となる。これにより、2デッキ・4チャンネルのDJコントローラーで4デッキの操作を行った場合でも、各チャンネルを直接操作できるため、曲のオリジナリティ性を十分に発揮することができる。また、デッキの切り替え回数を軽減できるため、誤操作も低減できる。
なお、「デッキ領域」とは、再生信号の再生機能を操作する装置の操作領域を指すものであり、「再生信号の再生機能を操作する装置」とは、DJプレイヤーやDJエフェクターを含む概念である。また、必ずしもハードウェア的に搭載されたものでなくても良く、アプリケーション(ソフトウェア)により実現させても良い。
また、「再生信号」は、音声信号および映像信号のいずれであっても良い。また、全チャンネルのうち、一部のチャンネルには音声信号をロードし、他のチャンネルには映像信号をロードする、などの形態も可能である。つまり、再生制御システムは、音響機器、映像機器、またはこれらの複合機器(AV機器)のいずれであっても良い。
【0011】
上記に記載の操作装置において、プレイ操作子は、フェーダースタート機能を実現させるためのフェーダー操作子であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、フェーダースタート機能を実現できるため、デッキ切り替え操作をせずに裏面のデッキの再生操作をチャンネルフェーダー移動の1アクションでできるので、オリジナリティ性の高いパフォーマンスを容易に行うことができる。これに対し、プレイ操作子としてプレイボタンなどを設けた場合では、プレイボタンの押下とチャンネルフェーダーによるボリューム調整の2アクションが必要になるため、即時性に欠ける。
なお、「フェーダースタート機能」とは、キュー待機状態と再生状態の切り替え、および混合率(ボリュームやレベルを含む)の調整を1つのフェーダー操作にて行う機能である。
【0013】
上記に記載の操作装置において、フェーダースタート機能の有効/無効を切り替えさせるためのフェーダースタート切替操作子を、各チャンネルもしくは全チャンネルに対応してさらに備えたことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ユーザーのニーズやその場の状況に応じて、フェーダースタート機能を使用するか否かを切り替えることができる。
なお、フェーダースタート機能が「無効」に切り替えられた場合、フェーダー操作子は、その操作自体が無効とみなされるのではなく、混合率の調整を行うための操作子として機能する(但し、フェーダー操作子の操作によって、キュー待機状態と再生状態の切り替えは行わない)ことが好ましい。
【0015】
上記に記載の操作装置において、フェーダースタートする際の再生開始位置となるキューポイントを、複数のキューポイント候補の中から選択させるためのキュー選択操作子を、各チャンネルに対応してさらに備えたことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、フェーダースタート時のキューポイントを選択可能であるため、より変化に富んだパフォーマンスを実現できる。
なお、「キュー選択操作子」は、1つの操作子で実現しても良いし、複数の操作子で実現しても良い。前者の場合、1つの操作子で再生コンテンツの先頭側のキューポイント候補から順次選択し、最後のキューポイント候補の次はまた先頭に戻る、といった仕様でも良い。また、後者の場合、再生コンテンツの先頭側から終端に向かって順次キューポイント候補を選択するフォワード用操作子と、再生コンテンツの終端側から先端に向かって順次キューポイント候補を選択するバック用操作子と、の2つの操作子を設けても良い。
【0017】
上記に記載の操作装置において、ビートシンク機能を実現させるためのシンク操作子を、各チャンネルに対応してさらに備えたことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、任意のチャンネルでマスターとなる再生信号の再生を行っている間に、他のチャンネルにロードされた再生信号を、テンポを崩すことなく(メインとなる再生信号に同期して)再生させることができる。
なお、「ビートシンク機能」とは、マスターとなる曲に対して、スレーブとなる曲のBPM(Beats Per Minute)と拍を同期する機能を指す。つまり、従来のDJ機器でDJが手動で行っていたテンポスライダーとピッチベンドによるBPMと拍の調整を自動化したものである。
【0019】
上記に記載の操作装置において、操作装置の操作領域は、デッキを操作するための1つ以上のデッキ領域と、ミキシング操作を行うためのミキサー領域と、から成り、ロード操作子およびプレイ操作子は、ミキサー領域に配置されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ロード操作子およびプレイ操作子を、ミキサー領域に配置したことにより、各デッキに現在どのチャンネルが対応しているかに拘らず、ミキサー領域にて全チャンネルの直接操作が可能であることを、ユーザーに知らしめることができる。
【0021】
上記に記載の操作装置において、ミキサー領域は、チャンネル数分の、各チャンネルに対応した操作子群が一列に配列されたチャンネル別操作子領域を有し、ロード操作子およびプレイ操作子は、対応するチャンネルのチャンネル別操作子領域内に配置されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、チャンネルごとに設けられたチャンネル別操作子領域内に、ロード操作子およびプレイ操作子が配置されているため、ユーザーは対応するチャンネルを瞬時に判断することができる。また、これにより誤操作を低減できる。
【0023】
上記に記載の操作装置において、デッキ領域が複数搭載され、各デッキ領域には、それぞれ2つ以上のチャンネルが予め割り振られており、当該2つ以上のチャンネルのうちどのチャンネルのデッキとして機能するかを切り替え切り替えさせるためのデッキ切替操作子が配置されていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、各デッキ(各デッキ領域)に、それぞれ2つ以上のチャンネルが予め割り振られているため、どのチャンネルがどのデッキに対応しているかを、ユーザーが容易に判断できる。また、全チャンネル数を、各デッキに振り分けているため、各デッキに割り当てられるチャンネル数が少なくなり、デッキの切り替え操作も容易となる。
【0025】
上記に記載の操作装置において、1つ以上のデッキ領域のうち少なくとも1つのデッキ領域には、複数のチャンネルのうちどのチャンネルのデッキとして機能するかを切り替えさせるためのデッキ切替操作子が配置されていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、1つのデッキ領域で、複数のチャンネルの再生操作が可能となるため、操作装置に最低限1のデッキ領域のみ搭載すれば良い。これにより、装置の小型化および低廉化を図ることができる。
【0027】
上記に記載の操作装置において、複数のチャンネルに対し、同時にフェーダースタート機能を実現させるための複数操作用フェーダー操作子をさらに備えたことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、複数のチャンネルに対し、タイミングがずれることなく再生を開始できる。特に、搭載されるチャンネル数が多い場合、この構成が効果的である。
【0029】
上記に記載の操作装置において、複数操作用フェーダー操作子によるフェーダースタート機能の有効/無効を切り替えさせるための複数操作用フェーダースタート切替操作子を、各チャンネルもしくは全チャンネルに対応してさらに備えたことが好ましい。
【0030】
この構成によれば、複数のチャンネルのうち、2つのチャンネルのフェーダースタートを操作したり、全チャンネルのフェーダースタートを操作したりなど、複数操作用フェーダー操作子の操作対象となるチャンネルを設定することができる。これにより、さらにオリジナリティ性の高いパフォーマンスを実現できる。
【0031】
上記に記載の操作装置において、複数操作用フェーダースタート切替操作子が、複数操作用フェーダー操作子に近接して配置されていることが好ましい。
【0032】
この構成によれば、ユーザーが、複数操作用フェーダー操作子を操作する際に、操作対象となるチャンネルを容易に判別できる。
【0033】
上記に記載の操作装置において、各チャンネルにロードされた再生信号の混合率を調整させるためのクロスフェーダー操作子と、各チャンネルを、クロスフェーダー操作子の第1端および第2端のいずれにアサインするかを切り替えさせるためのアサイン切替操作子をさらに備えたことが好ましい。
【0034】
この構成によれば、クロスフェーダー機能の搭載により、さらにオリジナリティ性の高いパフォーマンスを実現できる。
【0035】
上記に記載の操作装置において、アサイン切替操作子は、クロスフェーダー操作子の第1端にアサインするか否かを切り替えさせるための第1端用アサイン切替操作子と、クロスフェーダー操作子の第2端にアサインするか否かを切り替えさせるための第2端用アサイン切替操作子から成り、第1端用アサイン切替操作子および第2端用アサイン切替操作子は、各チャンネルに対応して備えられていることが好ましい。
【0036】
この構成によれば、各チャンネルに対応して、第1端用と第2端用の2つのアサイン切替操作子が設けられるため、アサイン切替操作が分かりやすい。
【0037】
上記に記載の操作装置において、各チャンネルに対応するチャンネル数分の第1端用アサイン切替操作子が、クロスフェーダー操作子の第1端に近接して配置され、各チャンネルに対応するチャンネル数分の第2端用アサイン切替操作子が、クロスフェーダー操作子の第2端に近接して配置されていることが好ましい。
【0038】
この構成によれば、クロスフェーダー操作子の第1端と第2端にそれぞれ近接してチャンネル数分のアサイン切替操作子が設けられているため、ユーザーは、各チャンネルがいずれの端にアサインされているかを容易に判別できる。
【0039】
本発明の再生システムは、上記に記載の操作装置と、コンピューターに組み込まれて用いられると共に、再生制御システムとして機能する複数チャンネル構成の音楽/映像アプリケーションと、を備えたことを特徴とする。
【0040】
この構成によれば、音楽/映像アプリケーションと組み合わせてパフォーマンスを行うコントローラー(DJコントローラー、VJコントローラー、DVJコントローラーなど)に、本発明を適用できる。
【0041】
本発明のプログラムは、コンピューターを、上記に記載の操作装置におけるロード操作子およびプレイ操作子として機能させることを特徴とする。
【0042】
このプログラムを用いることにより、多チャンネル再生による曲のオリジナリティ性を十分に発揮可能な操作装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係るDJシステムのシステム構成図である。
【図2】DJコントローラーの平面図である。
【図3】DJコントローラーのミキサー領域を拡大した拡大平面図である。
【図4】DJアプリケーションの表示画面を示す図である。
【図5】DJアプリケーションのチャンネル別表示領域を拡大した拡大画面図である。
【図6】チャンネルフェーダーによるフェーダースタート機能の説明図である。
【図7】第2実施形態に係るDJシステムのシステム構成図である。
【図8】第3実施形態に係るDJシステムのシステム構成図である。
【図9】第4実施形態に係るDJコントローラーの平面図である。
【図10】第5実施形態に係るDJコントローラーの平面図である。
【図11】クロスフェーダーとチャンネルフェーダーのカーブ特性の違いを示す図である。
【図12】クロスフェーダーとチャンネルフェーダーのフェーダー移動量の違いを示す図である。
【図13】第6実施形態に係るDJコントローラーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の一実施形態に係る操作装置、再生システム、操作装置の操作方法、プログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、操作装置として、DJ機器の一種であるDJコントローラー10を例示し、当該DJコントローラー10を用いたDJパフォーマンスシステム(以下、単に「DJシステム」と記載する)について説明する。
【0045】
[第1実施形態]
図1は、DJシステムSY1のシステム構成図である。同図に示すように、DJシステムSY1は、デッキとミキサーの一体型コントローラーであるDJコントローラー10(操作装置)と、DJアプリケーション21(再生制御システム)がインストールされたパーソナルコンピューター(以下、「PC20」と表記する)と、増幅器となるアンプ30と、音声を出力するスピーカー40と、音声信号(再生信号)を入力する外部入力装置50と、によって構成されている。なお、外部入力装置50としては、CDプレイヤー等の音声再生装置や、マイク等を適用可能である。また、外部入力装置50を複数台備えた構成としても良い。さらに、PC20において、USBメモリー等で供給された音声信号の再生が可能であれば、外部入力装置50を省略した構成としても良い。
【0046】
DJコントローラー10は、主な機能構成として、音声信号の再生機能を操作するデッキ部11と、ミキサーとして音声信号をミキシングするミキサー部12と、音声信号の入出力を行うオーディオインターフェース部(以下、「オーディI/F部13」と表記する)と、を備えている。デッキ部11およびミキサー部12は、MIDIやHID等の通信によって、PC20(DJアプリケーション21)に操作信号(ボタン等の操作子に割り振られているMIDIコードやHIDコード)を送信する。また、PC20からは、ボタン等のLED点灯/消灯情報を受信し、LEDの点灯/消灯を行う。
【0047】
一方、オーディオI/F部13は、外部入力装置50から入力された音声信号をPC20に出力し、さらにPC20から入力された音声信号をアンプ30に出力する。また、オーディオI/F部13は、音声信号のA/D変換およびD/A変換等を行う。
【0048】
PC20は、表示画面、入力装置(マウス、キーボードなど)、ハードディスク、制御機構(CPU、ROMおよびRAMなど)等のハードウェアを備えている(いずれも図示省略)。また、ハードディスクには、OS(Operating System)と、当該OS上で動作するDJアプリケーション21と、を記憶している。ここで、DJアプリケーション21とは、DJがDJパフォーマンスを行うために開発されたソフトウェアであり、DJコントローラー10から入力された音声信号を加工・編集する。また、DJアプリケーション21は、DJコントローラー10と組み合わせて用いることで、DJプレイヤーとミキサーの機能を実現できるようになっている。つまり、DJコントローラー10は、ユーザーが各種操作を行うためのインターフェースとして用いられ、音声制御(音声信号のミックスや音量調整など)は、主にDJアプリケーション21(PC20)にて行われる。なお、本実施形態に係るDJアプリケーション21は、4デッキ・4チャンネル構成、つまり4つのチャンネルについてそれぞれ対応するデッキの表示が可能であるものとする。
【0049】
次に、図2および図3を参照し、DJコントローラー10に備えられた各種操作子について説明する。両図は、DJコントローラー10を上側から見た平面図であり、図2は、DJコントローラー10上面全体に相当する操作領域を示す図である。また、図3は、操作領域の一部となるミキサー領域E2の拡大図である。
【0050】
図2に示すように、DJコントローラー10の操作領域は、ミキシング操作を行うためのミキサー領域E2と、デッキ操作(プレイヤー操作)を行うための2つのデッキ領域E1と、から成る。2つのデッキ領域E1は、ミキサー領域E2を挟んで左右に配置され、左側のデッキ領域E1には、チャンネルAおよびチャンネルCが予め割り振られている。つまり、左側のデッキ領域E1では、チャンネルAまたはチャンネルCにアサインされた音声信号の操作が可能である。一方、右側のデッキ領域E1には、チャンネルBおよびチャンネルDが予め割り振られており、チャンネルBまたはチャンネルDにアサインされた音声信号の操作が可能である。
【0051】
各デッキ領域E1の右上部には、デッキ切替ボタン71(デッキ切替操作子)が配置されている。例えば、左側のデッキ領域E1の場合、デッキ切替ボタン71aが押下されると、デッキ領域E1がチャンネルAに対応するデッキとして機能する。また、デッキ切替ボタン71cが押下されると、デッキ領域E1がチャンネルCに対応するデッキとして機能する。つまり、これらデッキ切替ボタン71の操作により、表面のデッキ(現在操作しているデッキ)と裏面のデッキとを切り替え可能となっている。
【0052】
その他、各デッキ領域E1には、一般的なDJプレイヤーに搭載される各種操作子が配置されている。例えば、各種エフェクトを表現するためのエフェクトつまみ群72、ループ再生(繰返し再生)を行うためのループボタン73(ループインボタン・ループアウトボタン)、キューポイントの記録および呼び出しを行うためのホットキューボタン74、キューポイントの設定等を行うキューボタン75、再生または一時停止を行うためのプレイ/ポーズボタン76、正逆再生や再生速度を可変させるためのジョグダイヤル77、再生速度(テンポ)を調整するためのテンポスライダー78、などが配置されている。
【0053】
なお、エフェクトつまみ群72には、ディレイ音を任意のテンポ/リズムで設定するディレイボタン、エコー音を任意のテンポで設定するエコーボタン、原音にエコー音を任意のピッチで設定するピッチエコーボタン、BPMに合わせて原音を断続的にカットするトランスボタン、周期的にジェット機が上昇・下降するような効果音を出すフランジャーボタン、原音にローパスフィルターをかけてこもった音にするフィルターボタン、原音に位相のずれた音を加えるフェイズボタン、などが含まれる。
【0054】
一方、図2および図3に示すように、ミキサー領域E2の上部中央には、楽曲ブラウズ用のロータリーエンコーダー81が配置されている。当該ロータリーエンコーダー81は、DJアプリケーション21の表示画面Dに表示された楽曲リスト(図4のブラウザ表示領域D3参照)内で、カーソル移動を行うために用いられる。
【0055】
また、ミキサー領域E2は、チャンネルごとに、各チャンネルに対応した操作子群が一列に配列されたチャンネル別操作子領域E21,E22,E23,E24が設けられている。なお、4つのチャンネル別操作子領域E21,E22,E23,E24は、左側から、チャンネルC、チャンネルA、チャンネルB、チャンネルDに対応している。
【0056】
各チャンネル別操作子領域E21,E22,E23,E24には、各チャンネルに対応した操作子群として、ロードボタン82(ロード操作子)、イコライザーつまみ83、シンクボタン84(シンク操作子)、チャンネルフェーダー85(フェーダー操作子)、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86(フェーダースタート切替操作子)、キュー選択ボタン87(キュー選択操作子)が含まれる。なお、図3では、チャンネル別操作子領域E21,E22,E23,E24に含まれる操作子群を、対応するチャンネル(チャンネルC、チャンネルA、チャンネルB、チャンネルD)のアルファベットに応じて、○○c、○○a、○○b、○○d、として図示している。
【0057】
ロードボタン82は、楽曲リスト内でカーソルが当たっている曲を、対応するチャンネル(デッキ)にロードするためのボタンである。当該ロードボタン82がチャンネル別に設けられていることにより、各デッキ領域E1のデッキ切替ボタン71を操作することなく、裏面のデッキに曲をロードすることができる。
【0058】
イコライザーつまみ83は、3つのつまみから成り、それぞれ高音、中音、低音のレベルを調整するために用いられる。
【0059】
シンクボタン84は、対応するチャンネル(デッキ)のBPMおよび拍(またはビートグリッド)を、マスターデッキのBPMおよび拍に同期させるためのボタンである。当該シンクボタン84がチャンネル別に設けられていることにより、裏面にロードした曲の再生を、テンポを崩すことなく開始させることができる。
【0060】
チャンネルフェーダー85は、ボリューム調整を行うためのフェーダーであるが、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86を「ON」に切り替えることにより、フェーダースタート機能を実現するための操作子として機能する。つまり、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86が「ON」の状態では、ボリューム調整と、キューポイント106(図5参照)からの再生/復帰を行うことができる。また、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86が「OFF」の状態では、ボリューム調整のみを行うことができる。このように、フェーダースタート機能を実現可能とすることで、瞬時且つ容易に曲の再生を行うことができる。また、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86を備えたことで、ユーザーのニーズやその場の状況に応じて、フェーダースタート機能を使用するか否かを切り替えることができる。なお、フェーダースタート機能については、図6にて後述する。
【0061】
キュー選択ボタン87は、1曲内に複数選択されているキューポイント106を順次選択するためのボタンである。キューポイント106は、キューボタン75等を用いて設定され、DJアプリケーション21の表示画面D上で確認できるようになっている。このように、キュー選択ボタン87がチャンネル別に設けられていることにより、再生開始位置を可変できるためよりオリジナリティ性の高い演奏を実現できる。なお、キューポイント106の選択については、図5にて後述する。
【0062】
図2および図3に示したとおり、通常、デッキ領域E1に配置されることが多い、ロードボタン82やシンクボタン84を、ミキサー領域E2内において、チャンネルごとに配置したことで、本実施形態のように、チャンネル数よりもデッキ数が少ないDJコントローラー10を用いた場合でも4デッキの操作を即時的且つ直感的に行うことができる。一般的に、DJは2つのデッキを使って曲を交互に再生していく。そのため、4つのデッキのうち2つのデッキ(例えば、AデッキとBデッキ)は、現在再生している曲と次に再生する曲とで占有される。この場合、残り2つのデッキの使用方法としては、「1.何らかの曲や音声(ボーカル音声や効果音など)をCデッキおよび/またはDデッキにロードしておき、Aデッキおよび/またはBデッキで再生させている曲に任意のタイミングで追加再生させる」、「2.Aデッキおよび/またはBデッキに楽器パート(例えば、メロディとなるシンセ等)を流しておき、Cデッキおよび/またはDデッキには別の楽器パート(例えば、バスドラムやハイハット等)の楽器パートをループ再生させる(複数のデッキを使って1つの曲を作る)」などが考えられる。
【0063】
このようなDJコントローラー10の使い方を想定した場合、2つのデッキでメロディーとなる曲を交互に掛けながら、3つ目または4つ目のデッキで、ボーカル音声や効果音、楽器パート音などを任意のタイミングで追加する操作を容易且つ迅速に行い得ることが求められる。この点において、本実施形態のDJコントローラー10は、チャンネルごとにロードボタン82やフェーダースタート機能を実現可能なチャンネルフェーダー85を設けているため、デッキの切替操作を行うことなく、3つ目または4つ目のデッキに音声信号をロードし、任意のタイミングで再生開始することができる。また、チャンネルごとにシンクボタン84を設けているため、曲のテンポ調整をワンタッチで行うことができ、さらにチャンネルごとにキュー選択ボタン87を設けているため、所望の再生位置から曲の再生を開始させることができる。
【0064】
このように、本実施形態のDJコントローラー10によれば、DJのプレイヤー機能として最低限必要な、ロード機能、シンク機能、キュー再生・バックキュー機能を、チャンネルごとに直接操作することができるため、2デッキレイアウトながら4デッキレイアウトと同等レベルの操作を行うことができ、ユーザーが4デッキ操作(多チャンネル再生)に求める曲のオリジナリティ性を十分に発揮できる。また、メロディー用のデッキをAデッキおよび/またはBデッキとし、追加音用のデッキをCデッキおよび/またはDデッキ(Aデッキ、Bデッキの裏デッキ)とすると、2つのデッキ領域E1は、メロディー用のAデッキとBデッキに固定使用できるため、今どのチャンネルを操作可能であるのかの認識が容易となり、誤操作も低減できる。
【0065】
次に、図4および図5を参照し、DJアプリケーション21の表示画面D、並びに当該表示画面Dに反映されるDJコントローラー10の操作について説明する。図4は、表示画面D全体を示す図であり、図5は、表示画面Dの一部となるチャンネル別表示領域D0の拡大図である。
【0066】
図4に示すように、表示画面Dは、4つのチャンネル別表示領域D0と、楽曲リストを表示するブラウザ表示領域D3と、を有している。4つのチャンネル別表示領域D0は、画面の左上、右上、左下、右下が、それぞれAデッキ、Bデッキ、Cデッキ、Dデッキ(チャンネルA、チャンネルB、チャンネルC、チャンネルD)に対応している。また、チャンネル別表示領域D0は、デッキ表示領域D1とミキサー表示領域D2と、から成る。
【0067】
図5に示すように、デッキ表示領域D1は、「A」、「B」など対応するチャンネルのチャンネル名を表示するチャンネル表示領域92、テンポスライダー78の操作結果を反映するスライダー表示領域93、トラックインフォメーションを表示するインフォメーション表示領域94、曲の波形105を表示する波形表示領域95、DJコントローラー10のデッキ領域E1に設けられた各種操作子の操作結果を反映するデッキ操作子表示領域96、を有している。また、チャンネル表示領域92とスライダー表示領域93の間には、同期再生で「スレーブ」に設定されている場合に点灯するシンクアイコン102と、同期再生で「マスター」に設定されている場合に点灯するマスターアイコン103を表示する。
【0068】
インフォメーション表示領域94は、ロードされた曲の曲名やアーティスト名などの曲情報101、および曲のBPM情報104を表示する。BPM情報104については、例えばAデッキが同期再生で「マスター」に設定されている場合であって、DJコントローラー10のミキサー領域E2において、Bデッキ(チャンネルB)のシンクボタン84が押下されると、Bデッキのインフォメーション表示領域94に表示されるBPM情報104が、AデッキのBPMと同じとなり、同時に拍も同期する(図5の例の場合、BPMが「120.00」となる)。これにより、Bデッキの曲を再生すると、Aデッキとビートが同期する。
【0069】
波形表示領域95は、曲の波形105と共に、設定されたキューポイント106を表示する。この波形表示領域95に表示される曲の波形105により、ユーザーは、曲がロードされたか否か(再生可能状態となったか否か)を判断することができる。なお、曲のロードは、DJコントローラー10のミキサー領域E2において、対応するチャンネルのロードボタン82が押下されることにより行われる。また、キューポイント106の表示により、ユーザーは、ホットキューボタンで設定したキューポイント106の位置を視覚的に確認しながら各キューポイントからの再生や各キューポイントの選択を行うことができる。なお、キューポイント106の選択は、DJコントローラー10のミキサー領域E2において、対応するチャンネルのキュー選択ボタン87が押下されることにより行われる。具体的には、キュー選択ボタン87の押下ごとに曲の先頭側のキューポイント候補(図示、逆三角形のマーク)から順次選択し(番号「1」、「2」・・・の順に選択し)、最後のキューポイント候補の次は、また先頭のキューポイント候補を選択する仕様となっている。なお、図示アルファベット「N」が記載された三角形のマークは、現在選択されているキューポイント106を示している。
【0070】
デッキ操作子表示領域96は、DJコントローラー10のデッキ領域E1に設けられたエフェクトつまみ群72、ループボタン73、ホットキューボタン74、キューボタン75、プレイ/ポーズボタン76の状態を表示するためのアイコン群107を有している。
【0071】
一方、ミキサー表示領域D2は、DJコントローラー10のミキサー領域E2において、対応するチャンネルのチャンネル別操作子領域E21,E22,E23,E24に設けられた各種操作子の操作結果を反映するミキサー操作子表示領域97を有している。具体的には、イコライザーつまみ83やチャンネルフェーダー85の状態を表示する。なお、DJアプリケーション21が、本実施形態のDJコントローラー10に合わせて設計されている場合、ミキサー操作子表示領域97に、ロードボタン82、シンクボタン84、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86およびキュー選択ボタン87の状態を表示しても良い。
【0072】
なお、DJアプリケーション21の表示画面Dは、図4に示したような4デッキレイアウトではなく、AデッキおよびBデッキ(または、ユーザーが選択した2つのデッキ)のみを表示した2デッキレイアウトとしても良い。また、表示画面Dの右上部に設けられた表示切替アイコン91のクリックにより、4デッキレイアウト、2デッキレイアウトのいずれかに切替可能としても良い。このように、2デッキレイアウトを選択可能とすることにより、ブラウザ表示領域D3を広く確保することができ、画面切替の手間を軽減することができる。また、本実施形態の場合、4デッキ構成のDJコントローラー10を使用するが、上記の通り、ミキサー領域E2に各チャンネルを直接操作可能な各種操作子を備えていることから2つのデッキ(AデッキおよびBデッキ)をメインデッキとして固定使用できるため、DJアプリケーション21の表示画面Dを2デッキレイアウトとしても不便はない。
【0073】
次に、図6を参照し、フェーダースタート機能について説明する。チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86が「ON」に設定されている場合、DJアプリケーション21は、DJコントローラー10からフェーダースタート要求を受信し、以下のように動作する。なお、チャンネルフェーダーボリューム要求値は、最小値「0」(下げきり)から最大値「127」(上げきり)とする。
【0074】
例えば、図6(a)に示すように、チャンネルフェーダー85が下げきった状態から上げられた場合は、チャンネルフェーダーボリューム動作を伴って、キュー待機状態からのみプレイ動作を開始する。つまり、DJアプリケーション21は、フェーダースタート要求の受信中に、チャンネルフェーダーボリューム要求値が「0」から「1」に変化したとき、プレイ中であれば、プレイ状態を維持し、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。また、ポーズ中であれば、フェーダースタート動作を無効とし、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。さらに、キュー待機中であれば、チャンネルフェーダーボリューム要求値が「0」から「1」に変化したときに再生を開始し、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。
【0075】
また、図6(b)に示すように、チャンネルフェーダー85が上がった状態の場合は、チャンネルフェーダーボリューム動作となる。つまり、DJアプリケーション21は、フェーダースタート要求の受信中に、チャンネルフェーダーボリューム要求値が「1」から「127」の間で変化したとき、プレイ中であれば、プレイ状態を維持し、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。また、ポーズ中であれば、フェーダースタート動作を無効とし、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。さらに、キュー待機中の場合も、フェーダースタート動作を無効とし、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。
【0076】
また、図6(c)に示すように、チャンネルフェーダー85が上がった状態から下げきられた場合は、チャンネルフェーダーボリューム動作を伴って、再生状態からバックキューし、キュー待機状態となる。つまり、DJアプリケーション21は、フェーダースタート要求の受信中に、チャンネルフェーダーボリューム要求値が「1」から「0」に変化したとき、プレイ中であれば、プレイ状態から設定されたキューポイント106まで戻り、キュー待機状態とする。また、ボリューム値はフェーダー位置に応じた値とする。また、ポーズ中であれば、フェーダースタート動作を無効とし、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。さらに、キュー待機中の場合も、フェーダースタート動作を無効とし、ボリューム値をフェーダー位置に応じた値とする。
【0077】
以上、説明したとおり、本実施形態に係るDJシステムSY1によれば、ミキシング可能なチャンネル数よりもデッキ数が少ないDJコントローラー10であっても、各チャンネルに対応して、ロードボタン82と、フェーダースタート機能を実現可能なチャンネルフェーダー85と、を備えているため、あるデッキの表面で曲を操作している間に、当該デッキの切り替えを行うことなく、裏面の曲のロードや再生開始が可能となる。言い換えれば、表面のデッキ操作(ループ、ホットキュー、ジョグダイヤル77を用いたスクラッチプレイなど)を妨げることなく、裏面のデッキに音声を追加することができる。
【0078】
特に本実施形態のDJコントローラー10は、DJが会場の雰囲気から楽曲を選曲しつつ、DJミックス、スクラッチなどのパフォーマンスを行うために用いられる。また、DJミックスでは現在再生している曲と次に再生する曲をスムーズにつなぎ、音の切れ目をなくすことでフロアのテンションを維持する。このため、DJコントローラー10は、他の音楽再生装置に比べて、即時的且つ直感的な操作を行い得ることが非常に重要となっている。また、DJ機器ならではの、パフォーマンスのオリジナテリィ性も求められる。しかも、音が途切れることで場の雰囲気に大きな影響を与えるため、誤操作も許されない。本実施形態によれば、2デッキ・4チャンネルのDJコントローラー10で4デッキの操作を行った場合でも、各チャンネルを直接操作できるため、デッキ切替の煩わしさがなく、誤操作を低減できると共に多彩な演奏を直感的に行うことができる。これにより、オリジナリティ性の高いパフォーマンスを実現でき、ひいてはDJスタイルの幅を広げることができる。
【0079】
なお、上記の実施形態では、キュー選択ボタン87を1の操作子で実現したが、複数の操作子で実現しても良い。この場合、曲の先頭側から終端に向かって順次キューポイント候補を選択するフォワードボタンと、曲の終端側から先端に向かって順次キューポイント候補を選択するバックボタンと、の2つのボタンを設けても良い。また、複数のキューポイント106に1:1対応した複数のボタンを設けても良い。この場合、1曲につき、搭載されたボタン数だけキューポイント106を設定可能である。
【0080】
また、キュー選択ボタン87を省略した構成としても良い。この場合、1曲の中で1つのキューポイント106からしかフェーダースタートを行うことができないが、操作子の数を軽減できるため、DJコントローラー10の小型化および低廉化を図ることができる。
【0081】
また、上記の実施形態では、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86が「ON」設定の場合、DJアプリケーション21は、DJコントローラー10からフェーダースタート要求を常時受信し、チャンネルフェーダー85の操作信号に基づいてキュー待機状態と再生状態の切り替え制御を行ったが、当該切替制御をDJコントローラー10側で行っても良い。つまり、DJコントローラー10は、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86が「OFF」設定の場合、「チャンネルフェーダー85の位置に応じたボリューム値」のみを送信し、「ON」設定の場合は、「チャンネルフェーダー85の位置に応じたボリューム値」の他、フェーダー値が「0」から「1」に変化した場合は「キューポイントから再生させる旨の情報」も送信する。また、フェーダー値が「1」から「0」に変化した場合は、「チャンネルフェーダー85の位置に応じたボリューム値」の他、「キューポイントに戻りキュー待機状態とする旨の情報」も送信する。このように、DJコントローラー10が、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86の状態に応じて送信する情報を可変することで、DJアプリケーション21側における切替制御が不要となる。
【0082】
また、上記の実施形態では、操作装置の一例として、デッキ領域E1およびミキサー領域E2を備えたDJコントローラー10を例示したが、ミキサー領域E2だけを備えた操作装置としても良い。また、ミキサー領域E2内の特定の操作子(ロードボタン82、シンクボタン84、チャンネルフェーダー85、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86、キュー選択ボタン87など)のみを備えた操作装置としても良い。
【0083】
[第2実施形態]
次に、図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0084】
図7は、第2実施形態に係るDJシステムSY2のシステム構成図である。本実施形態に係るDJシステムSY2は、DJプレイヤーとDJミキサーの一体型コントローラーであるDJコントローラー110と、DJアプリケーション21がインストールされたPC20と、増幅器となるアンプ30と、音声を出力するスピーカー40と、音声信号を入力する外部入力装置50と、オーディオインターフェース60と、によって構成されている。つまり、第1実施形態(図1参照)と比較して、オーディオインターフェース60が追加された構成となっている。
【0085】
DJコントローラー110は、主な機能構成として、DJプレイヤーの機能に相当するデッキ部11と、DJミキサーの機能に相当するミキサー部12と、を備えている。つまり、オーディオインターフェース60が追加されたことに伴い、DJコントローラー110からオーディI/F部13が省略された構成となっている。一方、オーディオインターフェース60は、外部入力装置50から入力された音声信号をPC20に出力し、さらにPC20から入力された音声信号をアンプ30に出力する。また、オーディオインターフェース60は、音声信号のA/D変換およびD/A変換等を行う。
【0086】
このように、本発明の第2実施形態に係るDJコントローラー110は、第1実施形態に係るDJコントローラー10と比較して、オーディI/F部13を省略した構成となっているため、制御負荷の軽減および装置コストの軽減を図ることができる。
【0087】
[第3実施形態]
次に、図8を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係るDJシステムSY3のシステム構成図である。DJシステムSY3は、DJプレイヤーとDJミキサーの一体型装置であるDJプレイヤー・ミキサー210(再生制御システム,操作装置)と、増幅器となるアンプ30と、音声を出力するスピーカー40と、音声信号を入力する外部入力装置50と、によって構成されている。つまり、第1実施形態(図1参照)と比較して、PC20が省略された構成となっている。
【0088】
DJプレイヤー・ミキサー210は、主な機能構成として、DJアプリケーション21と、表示部22と、デッキ部11と、ミキサー部12と、を備えている。つまり、PC20が省略されたことに伴い、DJプレイヤー・ミキサー210に、DJアプリケーション21および表示部22が追加された構成となっている。なお、表示部22は、表示画面Dの全体もしくはブラウズ部分など部分的な表示に用いられる。
【0089】
このように、本発明の第3実施形態に係るDJシステムSY3は、第1実施形態に係るDJシステムSY1と比較して、PC20が不要となるため、システム構成の簡素化、並びに配置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0090】
[第4実施形態]
次に、図9を参照し、本発明の第4実施形態について説明する。図9は、第4実施形態に係るDJコントローラー310の平面図である。本実施形態のDJコントローラー310は、デッキ領域E1が1つのみの構成となっている。また、デッキ領域E1の右上部には、デッキ切替ボタン71(デッキ切替操作子)として、4つのボタンが配置されている。例えば、最上部に配置されたデッキ切替ボタン71aが押下されると、デッキ領域E1がチャンネルAに対応するデッキとして機能し、その下に配置されたデッキ切替ボタン71bが押下されると、デッキ領域E1がチャンネルBに対応するデッキとして機能する。同様に、デッキ切替ボタン71cが押下されると、デッキ領域E1がチャンネルCに対応するデッキとして機能し、デッキ切替ボタン71dが押下されると、デッキ領域E1がチャンネルDに対応するデッキとして機能する。つまり、これらデッキ切替ボタン71の操作により、ミキシング操作可能な4つのチャンネルのいずれかに対応可能となっている。
【0091】
このように、本発明の第4実施形態に係るDJコントローラー310は、1つのデッキで4つのチャンネルに対応できるため、装置構成の小型化および装置コストの軽減を図ることができる。
【0092】
なお、上記の第4実施形態では、1つのデッキで4つのチャンネルに対応できるものとしたが、対応可能なチャンネル数はそれ以上であっても良いし、それ以下(2つまたは3つのチャンネルに対応できる構成)であっても良い。
【0093】
同様に、上記の第1実施形態では、2つのデッキに、それぞれ2つのチャンネルが割り振られている(対応可能となっている)ものとしたが、このように複数のデッキが搭載されているDJコントローラー10の場合も、各デッキがそれぞれ3つ以上のチャンネルに対応できる構成としても良い。
【0094】
また、複数のデッキが搭載されている場合、一方のデッキは1つのチャンネルのみに対応し、他方のデッキは2つのチャンネルに対応するなど、デッキによって異なる数のチャンネルに対応できる構成としても良い。
【0095】
また、ミキサーとしてはN個のチャンネルのミキシングが可能であるが、デッキ操作はその一部のみ可能な構成としても良い。例えば、A〜Eの5つのチャンネルのミキシングが可能であるが、デッキ操作はそのうちのA〜Dの4つのチャンネルのみ対応可能としても良い。この場合、Eのチャンネルは、ミキサーのみ(対応するチャンネル別操作子領域)で操作することとなる。
【0096】
さらに、各デッキに対応するチャンネルを、ユーザーが任意に設定可能としても良い。この場合、DJコントローラー10,110,310に搭載された操作子またはPC20の操作手段を用いて設定可能であることが好ましい。また、第3実施形態の場合は、PC20を有しない構成のため、DJプレイヤー・ミキサー210に搭載された操作子を用いて設定可能であることが好ましい。
【0097】
[第5実施形態]
次に、図10ないし図12を参照し、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態のDJコントローラー410は、第1実施形態と比較して、ミキサー領域E2に、複数操作用チャンネルフェーダー101(複数操作用操作子,複数操作用フェーダー操作子)、複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102(複数操作フェーダースタート切替操作子)、クロスフェーダー103(クロスフェーダー操作子)、2種類のクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105(第1端用アサイン切替操作子および第2端用アサイン切替操作子)が追加された構成となっている。
【0098】
複数操作用チャンネルフェーダー101は、複数のチャンネルに対し、同時にフェーダースタート機能を実現するための操作子であり、各チャンネル別操作子領域E21〜E24とは独立した独立操作領域E25に配置されている。複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102は、複数操作用チャンネルフェーダー101によるフェーダースタート機能の有効/無効を切り替えるための操作子であり、各チャンネルのチャンネル別操作子領域E21〜E24に配置されている。
【0099】
例えば、チャンネルAについて、複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102が「OFF」に設定され、チャンネルB,C,Dについて、複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102が「ON」に設定されている場合、複数操作用チャンネルフェーダー101が下端から上に移動されると、チャンネルB,C,Dは、同時にキューポイントから再生を開始する。また、複数操作用チャンネルフェーダー101が下端に移動されると、チャンネルB,C,Dが同時にキューポイントに戻り待機状態となる。なお、チャンネルAについては、複数操作用チャンネルフェーダー101の操作が無効となる。
【0100】
一方、クロスフェーダー103は、各チャンネルにロードされた音声信号の混合率を調整する操作子であり、各チャンネル別操作子領域E21〜E24の下側(各チャンネル別操作子領域E21〜E24に含まれない領域)に配置されている。また、一般的に、クロスフェーダー103は、フェーダー位置が左端の場合、左側にアサインされた音声信号のボリューム値がMAXとなり、右側にアサインされた音声信号のボリューム値が0となる。逆に、フェーダー位置が右端の場合、左側にアサインされた音声信号のボリューム値が0となり、右側にアサインされた音声信号のボリューム値がMAXとなる。
【0101】
クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105は、各チャンネルを、クロスフェーダー103の左側および右側のいずれにアサインするかを切り替えるための操作子であり、各チャンネルのチャンネル別操作子領域E21〜E24に配置されている。また、クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105としては、クロスフェーダー103の左側(第1端)にアサインするか否かを切り替える左側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104と、クロスフェーダー103の右側(第2端)にアサインするか否かを切り替える右側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ105がある。
【0102】
例えば、チャンネルAについて左側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104が「ON」に設定され、チャンネルB、Cについて右側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ105が「ON」に設定され、チャンネルDについては、両クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105が「OFF」に設定されている場合、チャンネルAについては、クロスフェーダー103が右端から左に移動すると、キューポイントから再生を開始する。逆に、チャンネルB,Cについては、クロスフェーダー103が左端から右に移動すると、キューポイントから再生を開始する。また、クロスフェーダー103が左端にある場合、チャンネルAは再生状態、チャンネルB、Cはキューポイントでの待機状態となる。逆に、クロスフェーダー103が右端にある場合、チャンネルB、Cは再生状態、チャンネルAはキューポイントでの待機状態となる。また、クロスフェーダー103が左端および右端以外にある場合、チャンネルA,B,Cは再生状態となり、ボリューム値はクロスフェーダー103の位置に応じた値となる。なお、左側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104および右側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ105のいずれも「ON」に設定されていないチャンネルDについては、クロスフェーダー103の操作が無効となる。また、左側用と右側用の2種類のクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105を備えているため、同じチャンネルをクロスフェーダー103の両端にアサインする(同じチャンネルについて、クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105を「ON」に設定する)ことも可能である。
【0103】
次に、図11および図12を参照し、クロスフェーダー103と複数操作用チャンネルフェーダー101の違いについて説明する。図11は、それぞれのカーブ特性を示し、図12は、各フェーダーの移動量を示している。図11(a)は、クロスフェーダー103のカーブ特性を示す図である。本実施形態では、クロスフェーダー103について、同図に示すP1〜P3のうちいずれかのカーブ特性を選択・設定可能となっている。カーブ特性の選択は、DJアプリケーション21による設定画面またはDJコントローラー410本体に設けられた操作子を用いて行われる。一方、同図(b)に示すように、一般的に、複数操作用チャンネルフェーダー101については、P3またはP4のカーブ特性を選択可能となっている。なお、チャンネル別のチャンネルフェーダー85についても同様にカーブ特性を選択可能である(複数操作用チャンネルフェーダー101のカーブ特性とチャンネル別のチャンネルフェーダー85のカーブ特性は、共通設定でも良いし、独立設定でも良い)。このように、一般的に、クロスフェーダー103のカーブ特性は、複数操作用チャンネルフェーダー101に比べると、比較的急峻な立ち上がりのカーブ設定が可能となっている。
【0104】
例えば、クロスフェーダー103のカーブ特性としてP1が選択された場合、クロスフェーダー103を下げきった状態からほんの僅か上げただけで(長さL1だけ移動させただけで)、ボリューム値をMAXとすることができる(図12(a)参照)。これに対し、複数操作用チャンネルフェーダー101の場合は、ボリューム値をMAXとするために、フェーダーを上げきる必要がある(フェーダーの移動範囲の全長に相当するL2だけ移動させる必要がある)。
【0105】
このような特性の違いから、クロスフェーダー103ではP1のような急峻なカーブに設定している場合、瞬時に音を出したり切ったりすることが容易になる。例えば、フェーダーを端から少しだけ高速移動させてキューポイントからの再生を行い、瞬時に端に戻してキュー待機状態とし、さらに瞬時に移動させて、瞬時に端に戻す・・・という操作を繰り返すことにより、デッキ領域E1のホットキューボタン74を連打したようなパフォーマンスを実現できる。つまり、クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105で複数のチャンネルを「ON」に設定することで、複数の曲を同時に素早く出したり切ったりできるようになり、演奏表現が向上する。
【0106】
このように、本発明の第5実施形態に係るDJコントローラー410は、複数のチャンネルを同時操作可能な複数操作用チャンネルフェーダー101やクロスフェーダー103を備えたことで、よりオリジナリティ性の高いパフォーマンスを実現できる。特に、搭載されるチャンネル数が多いほど、これらのフェーダー101,103を搭載することによる操作性の向上効果は高くなる。また、各フェーダー101,103の特性を生かして、一定期間ミックスさせたいチャンネルについては、複数操作用チャンネルフェーダー101を使用し、素早く音を出したり切ったりしたいチャンネルについては、クロスフェーダー103を使用する、などの使い分けが可能となり、裏面のデッキの演奏の幅を広げることができる。
【0107】
また、複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102およびクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105が、各チャンネルに対応して、各チャンネル操作子領域E21〜E24内に配置されているため、チャンネル数が多い場合でも、レイアウトのスペースの問題を解消しやすく、チャンネルごとの設定状態の判別も容易となる。
【0108】
なお、上記の実施形態では、クロスフェーダー103にアサインするチャンネルを切り替える手段として、2つのクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105を用いたが、1のスイッチで切り替え可能としても良い。この場合、左側へのアサイン、右側へのアサイン、スルー(いずれにもアサインしない)の3つの切替が可能なクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ(図示省略)を搭載すれば良い。
【0109】
また、上記の実施形態では、複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102をチャンネルごとに設けたが、全チャンネルに共通する複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチを1つだけ設けても良い。
【0110】
また、上記の実施形態において、各フェーダースタートON/OFFスイッチ102,104,105は、操作子を左右に物理的に移動させる形態のものを例示したが、ボタンの押下によってON/OFFを切り替えるなど、操作子の形態は問わない。なお、ボタンの押下によってON/OFFを切り替える場合、ONの時はボタンまたはボタンに対応して設けられたLEDが点灯状態となり、OFFの場合はボタンまたはLEDが消灯状態となるなど、割り当て状態をユーザーが把握できることが好ましい。
【0111】
[第6実施形態]
次に、図13を参照し、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態のDJコントローラー510は、第5実施形態と比較して、複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102およびクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105の配置が異なる。図13に示すように、本実施形態では、全チャンネル数分の複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102が、独立操作領域E25内に、複数操作用チャンネルフェーダー101に近接して配置されている。また、全チャンネル数分の左側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104が、クロスフェーダー103の左端に近接して配置され、全チャンネル数分の右側用クロスフェーダースタートON/OFFスイッチ105が、クロスフェーダー103の右端に近接して配置されている。なお、各フェーダースタートON/OFFスイッチ102,104,105に含まれる4つのチャンネル配置は同様であり、左上のスイッチがAチャンネル、右上のスイッチがBチャンネル、左下のスイッチがCチャンネル、右下のスイッチがDチャンネル、にそれぞれ対応している。
【0112】
このように、本発明の第6実施形態に係るDJコントローラー510は、全チャンネル数分の複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102が、複数操作用チャンネルフェーダー101に近接して配置され、全チャンネル数分のクロスフェーダースタートON/OFFスイッチ104,105が、クロスフェーダー103の各端に近接して配置されているため、ユーザーは、各チャンネルの割り当て状態を容易に判別できる。また、全チャンネル数分のスイッチがまとまって配置されているため、操作し易いといったメリットもある。
【0113】
以上、第1実施形態ないし第6実施形態を示したが、各実施形態を組み合わせても良い。また、上記の各実施形態では、チャンネルフェーダー85、複数操作用チャンネルフェーダー101およびクロスフェーダー103を用いてフェーダースタート機能を実現したが、チャンネルフェーダー85,101に代えて、プレイボタン(プレイ操作子)を配置しても良い。この場合、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86,102は不要となり、チャンネルフェーダー85,101は、ボリューム調整のみに用いられる。
【0114】
また、上記の各実施形態では、チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ86をチャンネルごとに設けたが、全チャンネルに共通するチャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ(上記の複数操作用チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ102とは異なり、各チャンネルフェーダー85の有効/無効を切り替えるもの)を1つだけ設けても良い。
【0115】
また、上記の各実施形態では、操作装置として、音声信号を扱うDJコントローラー10,110,310,410,510およびDJプレイヤー・ミキサー210を例示したが、映像信号を扱う機器(例えば、ビジュアルジョッキーが、音楽に合わせて即興で映像をミックス(合成したりつないだり)する際に用いられるVJ機器)にも適用可能である。また、音声信号および映像信号の両方を扱うDVJ機器にも適用可能である。
【0116】
また、上記の各実施形態に示したDJコントローラー10,110,310,410,510およびDJプレイヤー・ミキサー210は、いずれもデッキ切替ボタン71を備えた構成としたが、必ずしもデッキ切替ボタン71を備える必要はない。例えば、2つのデッキと3チャンネルのミキサーとを備え、1のチャンネルについては、ミキサーのみ(対応するチャンネル別操作子領域)で操作する構成としても良い。
【0117】
また、上記に示したDJコントローラー10,110,310,410,510およびDJプレイヤー・ミキサー210の機能をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをDJコントローラー10,110,310,410,510およびDJプレイヤー・ミキサー210の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の操作装置を、DJ機器以外の電子楽器で実現したり、コンピューター上で動作可能なアプリケーション(ソフトウェア)で実現するなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
10,110,310,410,510…DJコントローラー 11…デッキ部 12…ミキサー部 13…オーディI/F部 21…DJアプリケーション 71…デッキ切替ボタン 82…ロードボタン 84…シンクボタン 85…チャンネルフェーダー 86…チャンネルフェーダースタートON/OFFスイッチ 87…キュー選択ボタン 106…キューポイント 210…DJプレイヤー・ミキサー D…表示画面 E1…デッキ領域 E2…ミキサー領域 E21〜E24…チャンネル別操作子領域 SY…DJシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のデッキ領域を搭載した操作装置、または前記1つ以上のデッキ領域と接続された操作装置であり、複数のチャンネルをミキシング可能な再生制御システムを操作する操作装置であって、
各チャンネルに再生信号をロードさせるための、前記複数のチャンネル数分のロード操作子と、
ロードされた前記再生信号を再生させるための、前記複数のチャンネル数分のプレイ操作子と、
前記複数のチャンネルに対し、同時にプレイ機能を実現させるための複数操作用操作子と、を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記複数操作用操作子は、前記複数のチャンネルに対し、同時にフェーダースタート機能を実現させるための複数操作用フェーダー操作子であることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記複数操作用フェーダー操作子によるフェーダースタート機能の有効/無効を切り替えさせるための複数操作用フェーダースタート切替操作子を、各チャンネルもしくは全チャンネルに対応してさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記複数操作用フェーダースタート切替操作子が、前記複数操作用フェーダー操作子に近接して配置されていることを特徴とする請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の操作装置と、
コンピューターに組み込まれて用いられると共に、前記再生制御システムとして機能する複数チャンネル構成の音楽/映像アプリケーションと、を備えたことを特徴とする再生システム。
【請求項6】
1つ以上のデッキ領域を搭載した操作装置、または前記1つ以上のデッキ領域と接続された操作装置であり、複数のチャンネルをミキシング可能な再生制御システムを操作する操作装置の操作方法であって、
前記操作装置には、
各チャンネルに再生信号をロードさせるための、前記複数のチャンネル数分のロード操作子と、
ロードされた前記再生信号を再生させるための、前記複数のチャンネル数分のプレイ操作子と、
前記複数のチャンネルに対し、同時にプレイ機能を実現させるための複数操作用操作子と、が設けられ、
前記再生制御システムは、
前記ロード操作子の操作により、対応するチャンネルのデッキに再生信号をロードし、
前記プレイ操作子の操作により、対応するチャンネルにて前記再生信号を再生し、
前記複数操作用操作子の操作により、全チャンネルにて前記再生信号を再生することを特徴とする操作装置の操作方法。
【請求項7】
コンピューターを、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の操作装置における前記ロード操作子、前記プレイ操作子および前記複数操作用操作子として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−129977(P2012−129977A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149034(P2011−149034)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2011−508145(P2011−508145)の分割
【原出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)