説明

操作装置、操作方法、及びプログラム

【課題】操作性に優れた操作装置およびその方法ならびにプログラムを提供する。
【解決手段】本発明にかかる操作装置(ナビゲーション装置1)の制御部10は、タッチパネル22を介して受け入れたタッチに応じて、LCD20に表示される画像をスクロールし、タッチが最終的にいずれかのシールボタン240に対して行われたときに、そのシールボタン240に設定された機能を実現し、連続的なタッチがタッチパネル22の画面領域26からシール領域24に移行した後で終了したときに、LCD20に表示される画像を、タッチが開始されたときにLCD20に表示されていた画像に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置、操作方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2008−191086号公報)は、ディスプレイに表示された画像に対する操作を受け入れるタッチパネルを用いて操作が行われるナビゲーション装置を開示し、特許文献2(特開2005−284809号公報)は、タッチパネルを用いた表示装置を開示する。
【0003】
特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、液晶ディスプレイ(LCD)装置の画面にタッチパネルを配設し、LCD装置の画面に表示された画像に対する操作を受け入れるタッチパネル式表示部を用い、画像に対する操作に応じて地図などの画像の表示位置を変更(スクロール)するように構成されている。
【0004】
この装置においては、例えば、ナビゲーション装置の操作を行うために、ナビゲーション装置に、機械的なスイッチ(ハードキー)が付加され、このハードキーを用いて、ナビゲーション装置の機能のメニュー画面が、タッチパネル式表示部に表示される。
【0005】
しかしながら、このように、ナビゲーション装置にハードキーを付加する方法は、カーナビゲーション装置などのハードウェア構成を複雑化させ、さらに、ハードキーに固定的に機能を割り当てる必要があるので、仕様変更のたびに、ソフトウェアの変更だけでなくハードウェアの変更も必要となる。
【0006】
一方、特許文献2に開示された表示装置においては、タッチパネル式表示部のLCD装置の画面よりもタッチパネルが広くされ、LCD装置の画面と重複しない部分のタッチパネルに印刷フィルムのようなシールなどによりハードキー代わりのボタン(シールボタン)が設けられ、このシールボタンに対する操作により、操作が行われる。
【0007】
また、LCD装置の画面と同じ大きさのタッチパネルを用い、LCD装置の画面の上部に表示目的とする画像を表示し、その下部に操作のためのソフトキーを表示する構成のタッチパネル式表示部も提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−191086号公報
【特許文献2】特開2005−284809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や2のようなタッチパネル式表示部をナビゲーション装置に適用すると、ハードキーではなくタッチパネルへの操作となり、地図画像などの表示領域とシールボタン或いはソフトキーとの間に機械的な凹凸がないので、ユーザは、シールボタンあるいはソフトキーを操作しようとしてLCD装置に表示された画像(例えば地図画像)に対する操作を誤って行ってしまうことがある。
【0010】
つまり、このような場合には、ユーザは、ナビゲーション装置のメニューを表示させようとして、タッチパネル式表示部に表示された地図などの画像の表示位置を誤って変えてしまうことになる。
【0011】
具体的には、たとえば、LCD装置がナビゲーション装置の表示手段として用いられ、LCD装置に表示された地図画像(地図画像に対応するタッチパネルの位置)を指でタッチした場合、地図画像をスクロールする(地図画像の位置を移動する)スクロール機能を有していた場合において、ユーザがナビゲーション装置の操作(例えばメニュー表示)を行う意図でシールボタンあるいはソフトキーをタッチしようとした際に、タッチパネル式表示部に表示された地図などの画像を誤ってタッチした場合、表示された地図がスクロールされてしまい、地図の位置を誤って変えてしまうことになる。
【0012】
このような不具合は、例えば、ナビゲーション装置のシールボタンあるいはソフトキーが、音量の調節に用いられるときなどにも、同様に生じてしまう。
【0013】
このような不具合を解消するためには、例えば、特許文献1に記載されているように、タッチパネル式表示部への指による連続的な接触や押下(タッチ)による操作(スクロール)を禁止し、連続的にタッチされたまま、ソフトキー上に指が移動すると、そのソフトキーに対応した機能を音声出力し、そのソフトキー上で指が離されると、そのソフトキーに対応した機能を実行することが考えられる。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、タッチパネル式表示部への指による連続的な接触や押下(タッチ)による操作(スクロール)を禁止すると、例えば、現在表示されている地図画像から離れた地図画像(例えば、隣の県の地図画像)を表示させたい場合などは、複数回の操作(タッチ)が必要となり、操作性が損なわれる。
【0015】
すなわち、タッチパネル式表示部をなぞって地図などの画像の表示位置を変更(スクロール)することで(連続的にタッチした場合に、タッチに追随させて地図の位置を変更(スクロール)することで)操作回数が低減され、操作性がよいため、表示された地図画像を連続的にタッチしてスクロールできると、ナビゲーション装置の操作性が向上する。
【0016】
しかしながら、ナビゲーション装置の操作性の向上のために、タッチパネル式表示部への連続的なタッチ(指をタッチパネルから離すことなく滑らせる操作)に応じた画像の表示位置の変更(スクロール)を許すと、表示された地図画像上をタッチした指を滑らせてナビゲーション装置に対するシールボタンあるいはソフトキーを用いた操作指示をすると(例えば、タッチしたまま地図画像からシールボタンあるいはソフトキー上に移動して指を離すと)、シールボタンあるいはソフトキーに対応した機能が実行されるが、ユーザが地図画像をタッチしていた間にスクロールされた地図画像の表示がそのまま残ってしまう。
【0017】
すなわち、表示された地図画像上をタッチしたままシールボタンあるいはソフトキー上に移動して操作指示を行った場合は、地図画像のスクロールを意図して地図画像上をタッチしたのではなく、誤って地図画像をタッチしてから、所望する機能を実行するためのシールボタンあるいはソフトキー上に移動したものと考えられる。そのため、このような場合には、自動的に地図画像をスクロール前の位置へ戻すことが望まれる。
【0018】
本願発明は、以上述べたような経緯からなされたものであって、タッチパネル式表示部への連続的なタッチに応じた画像の表示位置の変更を許しつつ、このタッチが実際には画像の表示位置の変更を意図したものでなかった場合、ユーザが誤って移動させた画像の位置を元に戻すことができるように工夫されている。
【0019】
すなわち、本発明は、上述の背景からなされたものであって、LCD装置の表示画面上にタッチパネルを重ねたタッチパネル式表示部を用いて、従来よりも操作性に優れた操作装置、操作方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、少なくとも目的画像を表示する画像表示手段と、前記目的画像に対応する第1の領域に対する操作と、第2の領域に対する操作とを受け入れる操作受入手段と、前記第1の領域に対する操作に応じて、前記第1の領域に表示される目的画像の位置を移動させる画像移動手段と、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御手段と、を有することを特徴とする操作装置である。
【0021】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる操作装置において、前記画像移動手段は、前記操作受入手段により、連続的に前記第1の領域に対する操作が受け入れられたときには、前記受け入れられた操作に応じて、前記目的画像の位置を連続的に移動させ、前記表示制御手段は、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻すことを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2にかかる操作装置において、前記第2の領域に対する操作に応じて、前記第2の領域に対応付けられた処理を実行する処理実行手段を有することを特徴とする。
【0023】
更に、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかにかかる操作装置において、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入した場合、前記画像移動手段は、前記目的画像の位置の移動を停止することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、ユーザが第1の領域に表示された地図画像などの目的画像をタッチして、画像の表示位置を変更(スクロール)する操作を開始し、さらに指をタッチパネルから離すことなく滑らせて、第2の領域に進入すると、スクロールが停止するため、第2領域にタッチが進入したことを視認できる。
【0025】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかにかかる操作装置において、前記表示制御手段は、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入した場合、その旨を音声出力させることを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、第1の領域に対する操作(タッチ)が連続して前記第2の領域へ進入した場合、ユーザは第2領域にタッチが進入したことを認識できる。
【0027】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかにかかる操作装置において、前記目的画像は、地図画像であることを特徴とする。
【0028】
これによりナビゲーション装置に適用し、操作性に優れたナビゲーション装置を提供することができる。
【0029】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれかにかかる操作装置において、前記第2の領域は、前記目的画像の表示領域外の表示領域に対応する領域、又は、目的画像に重畳された画像に対応する領域、又は、前記第1の領域外の領域であることを特徴とする。これにより、ソフトキー、シールボタンなどを用いることができる。
【0030】
本願の請求項8にかかる発明は、少なくとも目的画像を表示する画像表示ステップと、前記目的画像に対応する第1の領域に対する操作と、第2の領域に対する操作とを受け入れる操作受入ステップと、前記第1の領域に対する操作に応じて、前記第1の領域に表示される目的画像の位置を移動させる画像移動ステップと、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御ステップと、をコンピュータにより実行することを特徴とする操作方法である。
【0031】
このような構成によれば、請求項1ないし7にかかる操作装置を実現する操作方法を提供することができる。
【0032】
また、本願の請求項9にかかる発明は、少なくとも目的画像を表示する画像表示ステップと、前記目的画像に対応する第1の領域に対する操作と、第2の領域に対する操作とを受け入れる操作受入ステップと、前記第1の領域に対する操作に応じて、前記第1の領域に表示される目的画像の位置を移動させる画像移動ステップと、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御ステップと、をコンピュータにより実行させることを特徴とするプログラムである。
【0033】
このような構成によれば、請求項1ないし6にかかる操作装置を構成するコンピュータのプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、LCD装置の表示画面上にタッチパネルを重ねたタッチパネル式表示部を用いて、従来よりも操作性に優れた操作装置、操作方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願発明にかかる操作装置であるナビゲーション装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】図1に示した操作装置におけるタッチパネル式表示部の構成を例示する図である。
【図3】図3は、図1などに示したナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例においては本発明の技術思想を具体化するための操作装置を例示するものであって、本発明をこの操作装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の操作装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0037】
図1は、本願発明にかかる操作装置の一例であるナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す図である。
【0038】
図1に示すように、本願発明にかかるナビゲーション装置1は、制御部10、タッチパネル式表示部2(図2を参照して後述する)、ネットワーク(図示せず)を介した通信を行う通信装置106、GPS装置120、加速度センサ122、角速度センサ124、スピーカおよびブザーなどを含む音声出力部126、ナビゲーション装置1の電源スイッチなどの操作部128、記録媒体およびメモリ(図示せず)などを用いる記憶部130から構成される。
【0039】
ナビゲーション装置1は、これらの構成部分により、タッチパネル式表示部2に対する操作に応じて、ナビゲーション装置1が搭載された自動車などのナビゲーションを実現する。
【0040】
GPS装置120は、人工衛星からの電波信号を受信して、ナビゲーション装置1が搭載された自動車などの位置(緯度・経度)(ナビゲーション装置1の位置)を示す情報を生成し、制御部10に対して出力する。
【0041】
加速度センサ122は、ナビゲーション装置1に加わる左右(x軸)、上下(y軸)および前後(z軸)方向の加速度を検出し、これらの方向の加速度を示す情報を、制御部10に対して出力する。
【0042】
角速度センサ124は、例えば、ナビゲーション装置1が搭載された自動車のロール、ヨーおよびピッチ方向の角速度を検出し、これらの方向の角速度を示す情報を、制御部10に対して出力する。
【0043】
図2は、図1に示したタッチパネル式表示部2の構成を例示する図である。
【0044】
図2に示すように、タッチパネル式表示部2は、例えば、ナビゲーションのために用いられる地図、経路、自車両位置の画像などの目的画像が表示される液晶表示装置(LCD)20の画面に、この画面よりも広い面積の、操作手段であるタッチパネル22が配設されて構成される。
【0045】
本実施例において、液晶表示装置(LCD)20は画像表示手段として機能し、タッチパネル22は操作受入手段として機能する。
【0046】
例えば、タッチパネル22は、図2に示すように、LCD20の画面の下の方向に広く形成され、この部分は、ナビゲーション装置1を操作するためのシールボタン240−1〜240−4(シールボタン240の数は例示)が付されたフィルム(シール)が設置されるシール領域24として用いられる。
【0047】
すなわち、シールボタン240−1〜240−4の夫々に該当するタッチパネル22上の位置(シールボタン240−1〜240−4の夫々の範囲)と特定の機能とがそれぞれ対応づけられており、例えば、シールボタン240−1に対する操作が行なわれた場合(例えば、シールボタン240−1上で指(タッチ)を離した場合)、シールボタン240−1(シールボタン240−1に該当するタッチパネル22上の位置)に対応する特定の機能(例えば、メニュー表示)が行なわれる。なお、シールボタン240−1〜240−4の夫々の範囲は、フィルム(シール)に付されたシールボタン240−1〜240−4の形状と対応している。
【0048】
なお、タッチパネル22のLCD20の画面(地図画像)に対応する部分は、以下、画面領域26と記される。
【0049】
タッチパネル式表示部2は、これらの構成部分により、制御部10からナビゲーションのための地図画像などの目的画像を受け入れ、ユーザに対して表示する。
【0050】
また、タッチパネル式表示部2は、タッチパネル22(シール領域24および画面領域26)に対するユーザの指の接触および押下などの操作(以下、「タッチ」とも記す)を受け入れ、タッチされたことおよびタッチがタッチパネル22のいずれの位置に対して行われたかを示す情報を、制御部10に対して出力する。
【0051】
なお、例えば、予め、制御部10には、シールボタン240−1が最終的にタッチされたとき(例えば、シールボタン240−1の範囲内でタッチが離されたとき)には、ナビゲーション装置1の「メニュー画面」をLCD20に表示する機能を実行するように設定がなされ、シールボタン240−2,240−3が最終的にタッチされたときには、それぞれ、ナビゲーション装置1に接続された音響装置(図示せず)或いはナビゲーション装置1の音量を上げる機能および下げる機能を実行するように設定がなされ、シールボタン240−4が最終的にタッチされたときには、音響装置の電源を入れたり切ったりする機能を実現するように設定がなされる(なお、シールボタン240−1〜240−4のいずれかを特定せずに示すときには、以下、単に「シールボタン240」などと記される)。
【0052】
なお、第1の領域(画面領域26)に対する操作とは、第1の領域内への指などによる接触や押下(タッチ)であり、第2の領域(シールボタン240−1〜240−4の夫々の範囲)に対する操作とは、第2の領域内においてタッチパネル式表示部2への指などによる接触や押下(タッチ)を解除する(指などを離す)ことであるものとして説明を行なう。
【0053】
シールボタン240への最終的なタッチは、図2に点eで示すように、シール領域24内のシールボタン240のいずれかへの直接的なタッチがなされて連続タッチすることなく指を離したとき(シールボタン240のいずれかへ非連続なタッチがなされたとき)と、図2に曲線d〜d'で例示するように、タッチパネル22の画面領域26の範囲内(あるいはシール領域24のシールボタン240の範囲以外)に含まれる点dで始まったタッチが、あるシール領域24内のシールボタン240まで連続的に続き、そのシールボタン240内の点d'にタッチが至ってタッチ(指)を離したときとを少なくとも含む。
【0054】
なお、図2には、LCD20の画面に、この画面よりも広い面積のタッチパネル22が配設され、シール領域24が、LCD20の範囲外に配設されている例が示されているが、タッチパネル22は、LCD20と同じ面積でもよい。LCD20と同じ面積のタッチパネル22がLCD20に配設されるときには、LCD20の画面の上部が地図などの画像を表示する領域(第1の領域)とされ、その領域の下部がシール領域24に対応する領域とされる。
【0055】
この場合には、シール領域24に対応するLCDの領域には、LCD20の表示機能によりシールボタン240に相当する各種操作ボタンをソフトキーとして表示するようにされる。また、LCD20の画面を分割することなく、画面に表示された地図画像などの画像に重ね合わせてソフトキーを表示する構成であってもよい。この場合には、ユーザの連続的なタッチ操作が地図画像からソフトキーのいずれかに移行して終了したこと(ソフトキー上でタッチが離されたこと)を検出するように構成すればよい。
【0056】
再び図1を参照する。
【0057】
制御部10は、記録媒体あるいは通信装置106を介してネットワークから地図の画像を示す地図情報、位置情報、道路情報および交通規制情報(例えば、各道路の一方通行の範囲を示す情報)などのナビゲーション情報を受け入れて、記憶部130に記憶する。
【0058】
さらに、制御部10は、GPS装置120、加速度センサ122および角速度センサ124から入力される情報と、記憶部130に記憶されたナビゲーション情報とを用いて、タッチパネル式表示部2に対するユーザのタッチ、および、操作部128に対するユーザの操作に従って、ナビゲーション装置1の現在位置を示すマーク(画像)をタッチパネル式表示部2のLCD20(図2)に表示したり、ナビゲーション装置1の行く先(目的地)までの道筋(経路)をLCD20に表示したりするなどの一般的なナビゲーションサービスに必要な処理を行う。
【0059】
また、制御部10は、タッチパネル式表示部2のタッチパネル22の画面領域26に対するユーザのタッチを受け入れて、受け入れたタッチに応じて、LCD20に表示する画像(具体的には、例えば、ナビゲーション情報に含まれる地図情報が示す地図画像)の表示位置を移動(スクロール)させる。すなわち、制御部10は目的画像をスクロールする画像移動手段として機能する。
【0060】
ナビゲーションに際して、LCD20の画面領域26(第1の領域)には、車両の現在位置を画面の中心とした所定の範囲の地図が案内すべき経路とともに表示され、車両の走行(現在位置の移動)とともに地図がスクロールされていく。ユーザが地図をスクロールしたい時のスクロールの態様は、たとえば、表示されている地図画像の所望の場所を指でタッチ(非連続タッチ)することにより、タッチされた位置が画面領域26の中央になるように地図画像がスクロールされ、また、地図の任意の場所を指でタッチし、そのまま指を画面から離すことなく連続的に移動させると、指の移動方向と移動距離に応じて地図画像が連続的にスクロールされる態様である。
【0061】
また、制御部10は、ユーザのタッチが、画面領域26の範囲内からシール領域24の範囲に連続的に移動したときには、このタッチの軌跡における画面領域26とシール領域24の境界で、このタッチに伴う画像のスクロールを停止する。なお、再度、シール領域24の範囲内から画面領域26の範囲に連続的に移動したときには、タッチに伴う画像のスクロールを再開する。
【0062】
さらに、制御部10は、ユーザの連続的なタッチがタッチパネル22の画面領域26の範囲内からシール領域24の範囲内に移行したときには、その旨の警告音を音声出力部126から出力する。
【0063】
また、制御部10は、タッチがいずれかのシールボタン240の範囲内に達したときには、そのシールボタン240に設定された機能を表示する音声(例えば、「メニューを表示します」、「音量を上げます」、「音量を下げます」、「音響装置の電源を入れます」または「音響装置の電源を切ります」)を、音声出力部126(図1)から出力する。
【0064】
また、制御部10は、タッチパネル式表示部2のシール領域24に対するユーザのタッチが、シール領域24で終了したか、シール領域24のシールボタン240の領域内で終了したか、あるいは、シール領域24のシールボタン240以外の領域で終了したかを判断する。
【0065】
そして、制御部10は、画面領域26の範囲内からシール領域24の範囲内に連続的に移動したタッチが、シール領域24(シールボタン240を含む)の範囲内で終了したときには、このタッチに伴うスクロールにより移動した画像の表示位置を、このスクロールが開始される以前に戻す。なお、ユーザのタッチが、シールボタン240範囲外であって、且つ、シール領域24の範囲内で終了したときには、ユーザの操作意図がいずれかの特定のシールボタン選択するものではないと判断して、地図の位置を元に戻さないようにしてもよい。すなわち、制御部10は、第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御手段としても機能する。
【0066】
また、制御部10は、ユーザのタッチが、シール領域24のいずれかのシールボタン240の範囲内で終了したときには、そのシールボタン240に割り当てられた機能を実現する。従って制御部10は、第2の領域に対する操作に応じて、前記第2の領域に対応付けられた処理を実行する処理実行手段としても機能する。
【0067】
以下、ナビゲーション装置1の全体的な動作を説明する。
【0068】
図3は、図1などに示したナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。なお、図3のフローチャートでは、本願の特徴である「画面領域26の範囲内でタッチが開始され、シール領域24のシールボタン240の範囲内でタッチが終了した場合」を説明するフローチャートである。
【0069】
図3に示すように、ステップ100(S100)において、制御部10(図1)は、タッチパネル22に対して、ユーザによるタッチがあったか否かを判断する。
【0070】
制御部10は、タッチパネル22の画面領域26、すなわち、LCD20の第1の領域に対応する領域にタッチがあったときにはS102の処理に進み、これ以外のときにはS100の処理に留まる。
【0071】
ステップ102(S102)において、制御部10は、タッチパネル22の画面領域26に対するタッチが連続しているか否か(所定時間以上連続してタッチしているか否か)を判断する。
【0072】
制御部10は、タッチが連続しているとき(図2に示した曲線b〜b’,c〜c’d〜d’を参照)にはS106の処理に進み、これ以外(例えば、タッチが図3に符号aを付して示したように非連続)のときにはS104の処理に進む。
【0073】
ステップ104(S104)において、制御部10は、LCD20に表示されている画像(地図画像など)のタッチされた画像内の位置が、LCD20の中心に表示されるように、LCD20における画像表示の位置を変更する(タッチ位置を中心に画像表示する)。
【0074】
ステップ106(S106)において、制御部10は、それまでLCD20に表示されていた画像の表示位置を記憶部130或いは、制御部10が有するRAM(不図示)などに記憶させる。
【0075】
ここで、「それまでLCD20に表示されていた画像の表示位置を記憶する」とは、例えば、ステップS100の段階で、現在位置に基づく地図画像(例えば、現在位置を中心とする地図画像)が表示されていた場合には、「現在位置に基づく地図画像が表示されていたことを示す情報」を記憶させ、一方、現在位置に基づく地図画像ではなく、既にユーザが任意の地点にスクロールさせて表示させていた地図画像であれば、例えば、当該地図画像において表示画面の中心にあたる位置座標(緯度・経度)を記憶させる。その他にも、表示方向(ノーズアップ、ヘディングアップ)や縮尺もステップ106において記憶してもよい。
【0076】
ステップ108(S108)において、制御部10は、LCD20に表示させる画像の位置を、連続したタッチに追従してスクロールさせる。
【0077】
ステップ110(S110)において、ユーザによるタッチパネル22に対する連続的なタッチが、画面領域26の範囲内からシール領域24の範囲内に進入したか否かを判断する。
【0078】
制御部10は、タッチがシール領域24の範囲内に進入したときにはS112の処理に進み、これ以外のときにはS108の処理へ進む。
【0079】
なお、ステップ110(S110)において、ユーザによるタッチパネル22に対する連続的なタッチが、画面領域26の範囲内からシール領域24の範囲内に進入したか否かを判断するが、正確には、連続的なタッチがシール領域24の範囲内にあるか否かを判定することが好ましい。
【0080】
ここで、連続的なタッチがシール領域24の範囲内にない場合に、S108の処理に戻ることにより、ユーザのタッチが、再度、シール領域24の範囲内から画面領域26の範囲に連続的に移動したときには、タッチに伴う画像のスクロールを再開できる。
【0081】
ステップ112(S112)において、制御部10は、LCD20に表示された画像のスクロールを停止し、タッチパネル22に対するタッチが、画面領域26の範囲からシール領域24の範囲に進入した旨をユーザに示す警告音を、音声出力部126(図1)から出力する。このとき、連続的なタッチがシールボタン240の何れかの範囲内に進入するとタッチされたシールボタンの機能、種別をユーザに音声報知するようにしてもよい。
【0082】
ステップ114(S114)において、制御部10は、タッチパネル22のシール領域24に対する連続的なタッチが、いずれかのシールボタン240の範囲内で終了したか否かを判断する。
【0083】
制御部10は、タッチがシールボタン240の範囲内で終了したときにはS116の処理に進み、これ以外のときにはS110の処理に戻る。
【0084】
ステップ116(S116)において、制御部10は、最終的にタッチされたシールボタン240に割り当てられている機能を実行する。
【0085】
ステップ118(S118)において、制御部10は、LCD20における画像の表示位置を、S106の処理において記憶されていた位置に戻す(画像をスクロール前の位置に戻す)。
【0086】
具体的には、S106において、「現在位置に基づく地図画像が表示されていたことを示す情報」を記憶させた場合には、S118では、S118における現在位置に基づく地図画像を表示させ、S106において、位置座標が記憶させた場合であれば、該位置座標を中心とした地図画像を表示させる。
【0087】
[具体例]
以下、図1〜図3を参照して、ナビゲーション装置1の動作の具体例を説明する。
【0088】
図2において符号aを付して例示するように、ユーザが、ある一点に非連続的にタッチしたときには、制御部10(図1)は、タッチされるまでLCD20の符号aを付して示す部分に表示されていた画像の部分が、LCD20の中心に表示されるように、LCD20に表示される画像の位置を変更する(図3のS104の処理に対応)。
【0089】
また、ユーザが、タッチパネル22の画面領域26の範囲内を、図2において曲線b〜b’に示すように連続してタッチしたときには、制御部10は、LCD20における画像表示の位置を、タッチの軌跡に沿って変化するように変更(スクロール)させる(図3のS102,S106,108の処理に対応)。
【0090】
また、ユーザが、図2において曲線c〜c’に示すように、タッチパネル22の画面領域26の範囲内からシール領域24のシールボタン240以外の範囲内まで連続的にユーザがタッチしたときには、制御部10は、LCD20における画像表示を、画面領域26の位置cから画面領域26とシール領域24との境界の位置c”まで、連続的なタッチに沿ってスクロールさせ、警告音を、音声出力部126から出力する(図3のS108〜S112の処理に対応)。
【0091】
さらに、制御部10は、タッチが、シール領域24のシールボタン240以外の領域の位置c’で終了したときには、LCD20に表示される画像の位置を、タッチが開始されたときの位置に戻す。
【0092】
また、ユーザが、図2において曲線d〜d’に示すように、タッチパネル22の画面領域26からシール領域24のシールボタン240の領域まで連続的にタッチしたときには、制御部10は、画面領域26の符号dの位置から画面領域26とシール領域24との境界の位置d“まで、連続的なタッチに沿って画像をスクロールさせ、タッチがシール領域24に入ると、シール領域24のシールボタン240以外の領域がタッチされている旨を示す警告音を、音声出力部126から出力させる(図3のS108〜S112の処理に対応)。
【0093】
また、制御部10は、タッチがいずれかのシールボタン240の領域に入ったときには、タッチされたいずれかのシールボタン240の機能を示す音声信号を、音声出力部126から出力し、さらに、タッチが、シール領域24のいずれかのシールボタン240の領域で終了したときには、制御部10は、そのシールボタン240に割り当てられた機能を実行し、画像をスクロール前の位置に戻す(図3のS116,S118に対応)。
【0094】
以上、説明したように本発明にかかる操作装置によれば、ユーザが第1の領域に表示された地図画像などの目的画像をタッチして、画像の表示位置を変更(スクロール)する操作を開始し、さらに指をタッチパネルから離すことなく滑らせて、第2の領域に対する操作に移行した場合、画像の表示位置の変更開始時点の位置に戻すから、ユーザが意図しない目的画像の表示位置の変更が行われることがなく、操作性に優れた操作装置を提供することができる。
[その他の実施形態]
なお、本願発明は上記実施例限定されることなく、種々の変更が可能である。
【0095】
例えば、上記実施例では、第2の領域(シールボタン240−1〜240−4の夫々の範囲)に対する操作とは、第2の領域内(例えば、シールボタン240−1の範囲内)においてタッチパネル式表示部2への指などによる接触や押下(タッチ)を解除する(指などを離す)ことであるものとして説明を行なったが、これに限らず、例えば、シールボタン240−1の範囲(第2の領域)内で、指などによるタッチが所定時間(例えば、3秒)以上続けることであってもよいし、シールボタン240−1の範囲(第2の領域)内で、指などによる接触や押下(タッチ)を解除した後、所定時間(例えば、1秒)以内に、再度、シールボタン240−1の範囲(第2の領域)内がタッチされることであってもよい。
【0096】
また、上記実施例では、画面領域26でタッチが開始され、連続的なタッチが、シール領域24に進入した場合に、画像の位置の変更(スクロール)を禁止することとしたが、第2の領域(シールボタン240−1〜240−4の夫々の範囲)に進入した際に、画像の位置の変更(スクロール)を禁止することとしてもよい。
【0097】
また、上記実施例では、第2の領域をシールボタン240−1〜240−4の夫々の範囲として説明を行なったが、上記実施例に記載の通り、シールボタン240に相当する各種操作ボタンをソフトキーとして表示するようにしてもよく、この場合、第2の領域とは、当該ソフトキーの範囲(ソフトキーの形状及びタッチパネル上の位置に基づく範囲)である。さらに、第2の領域は、シール領域24の範囲(或いは、シール領域24に該当する範囲)であってもよい。
【0098】
また、上記の実施例では、地図の任意の場所を指でタッチし、そのまま指を画面から離すことなく連続的に移動させると、指の移動方向と移動距離に応じて地図画像が連続的にスクロールされる態様であるとして説明を行なったが、これに限ることはなく、例えば、地図の任意の場所を指でタッチし、そのまま指を画面から離すことなく連続的に移動させた場合、最初にタッチされた位置が画面領域26の中央になるように地図画像がスクロールされてもよい(タッチを連続的に移動させても、タッチに追随したスクロールが行われない)。
【0099】
このような場合においても、そのまま指を画面から離すことなく連続的に移動させ、第2の領域(例えば、シールボタン240−1の範囲内)において指などによるタッチを解除する(指などを離す)と、画像をスクロール前の位置に戻すことが好ましい。
【0100】
さらに、上記実施例では、目的画像とは地図画像である場合を例示して説明を行なったが、例えば、現在位置マーク(目的画像)の位置(現在位置)を補正するために、所定の地図画像上の位置をタッチ(タッチした位置に現在位置マーク(目的画像)の位置(現在位置)が補正される)する場合などであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1・・・ナビゲーション装置,
2・・・タッチパネル式表示部,
20・・・LCD,
22・・・タッチパネル,
24・・・シール領域,
240・・・シールボタン,
10・・・制御部,
106・・・通信装置,
120・・・GPS装置,
122・・・加速度センサ,
124・・・角速度センサ,
126・・・音声出力部,
128・・・操作部,
130・・・記憶部,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも目的画像を表示する画像表示手段と、
前記目的画像に対応する第1の領域に対する操作と、第2の領域に対する操作とを受け入れる操作受入手段と、
前記第1の領域に対する操作に応じて、前記第1の領域に表示される目的画像の位置を移動させる画像移動手段と、
前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御手段と、を有することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記画像移動手段は、前記操作受入手段により、連続的に前記第1の領域に対する操作が受け入れられたときには、前記受け入れられた操作に応じて、前記目的画像の位置を連続的に移動させ、
前記表示制御手段は、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻すことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記第2の領域に対する操作に応じて、前記第2の領域に対応付けられた処理を実行する処理実行手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置
【請求項4】
前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入した場合、前記画像移動手段は、前記目的画像の位置の移動を停止することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の操作装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入した場合、その旨を音声出力させることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記目的画像は、地図画像であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の操作装置。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記目的画像の表示領域外の表示領域に対応する領域、又は、目的画像に重畳された画像に対応する領域、又は、前記第1の領域外の領域であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の操作装置。
【請求項8】
少なくとも目的画像を表示する画像表示ステップと、
前記目的画像に対応する第1の領域に対する操作と、第2の領域に対する操作とを受け入れる操作受入ステップと、
前記第1の領域に対する操作に応じて、前記第1の領域に表示される目的画像の位置を移動させる画像移動ステップと、
前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御ステップと、をコンピュータにより実行することを特徴とする操作方法。
【請求項9】
少なくとも目的画像を表示する画像表示ステップと、
前記目的画像に対応する第1の領域に対する操作と、第2の領域に対する操作とを受け入れる操作受入ステップと、
前記第1の領域に対する操作に応じて、前記第1の領域に表示される目的画像の位置を移動させる画像移動ステップと、
前記第1の領域に対する操作が連続して前記第2の領域へ進入し、前記第2の領域に対する操作がなされた場合、前記第1の領域に対する操作に応じて移動された前記目的画像の位置を、前記第1の領域に対する操作が開始されたときの位置に戻す表示制御ステップと、をコンピュータにより実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−11573(P2013−11573A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146067(P2011−146067)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】