説明

操作装置

【課題】接続端子に接続される接続ケーブルと接続部近傍をカバーするカバー部と、発熱部品の開口部とを備えた配線カバーを有する操作装置を提供する。
【解決手段】本体1前面側の操作面2に配設された操作ボタン3と、表示部4と、本体1背面側に取り付けられた排熱ファン9と、同排熱ファン9の下方に取り付けられ、他の機器と接続ケーブル13を介して接続される接続端子10と、板金により下部を開放し背面と両側面17,17とを備えるように形成され、前記本体1背面をカバーする配線カバー15とからなる操作装置において、前記配線カバー15の背面に、前記排熱ファン9に対応する部位を前記本体1背面に向かって切り起し、前記排熱ファン9による排熱用の開口部21を形成するとともに、前記接続端子10を隠蔽するカバー部20を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に係わり、より詳細には、接続端子に接続される接続ケーブルと接続部近傍をカバーするカバー部と、発熱部品の開口部とを備えた配線カバーの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の操作装置は、例えば図5に示す消防用無線統制卓がある。これは、消防本局において、事案発生時に、自署と他署および複数の車輛との通信を集中管理するものである(例えば、特許文献1)。
【0003】
この操作装置は、本体101の前面側の操作面102に配設された多数の操作ボタン103と、表示部104と、送受話器105と、スピーカ部106とを備え、本体101の背面側を構成する板金製の取付面107に取り付けられた電源スイッチ108と、電源スイッチ108の下位部に配置された接続端子109とを備えている。
【0004】
取付面107に取り付けられた電源スイッチ108は、手指により電源のON−OFFが操作されるようになっており、接続端子109は、電源スイッチ108から離間部Hを有して下位に配置され、他の機器と接続ケーブル(何れも図示せず)を介して接続される。
【0005】
しかしながら、接続端子109に図示しない接続ケーブルが接続された際、接続ケーブルと接続部近傍がカバーされる構成でないことから、この接続ケーブルと接続部近傍が露出して外観性を損ねてしまうことになり、特に、広い消防司令室内ではこの操作装置が複数台設置されることで、背面側を通る人の目に触れる機会が多くなる。
【0006】
また、本体101の内部に電源基板またはタッチパネルLCDなどの発熱部品(図示せず)が搭載された場合は、この発熱部品の排熱のため、取付面107に排熱ファンおよび開口部を設けることもある。その場合は、取付面107にパンチングで多数の排気穴を設けることが多く、取付面107を製作するための加工工程,金型が複雑化してコスト的に不利になってしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】意匠登録第1401668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、接続端子に接続される接続ケーブルと接続部近傍をカバーするカバー部と、発熱部品の開口部とを備えた配線カバーを有する操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示す特徴を備えている。
【0010】
本体前面側の操作面に配設された操作ボタンと、表示部と、本体背面側に取り付けられた排熱ファンと、同排熱ファンの下方に取り付けられ、他の機器と接続ケーブルを介して接続される接続端子と、板金により下部を開放し背面と両側面とを備えるように形成され、前記本体背面をカバーする配線カバーとからなる操作装置において、
前記配線カバーの背面に、前記排熱ファンに対応する部位を前記本体背面に向かって切り起し、前記排熱ファンによる排熱用の開口部を形成するとともに、前記接続端子を隠蔽するカバー部を形成したことを特徴としている。
【0011】
また、前記取付面に、前記開口部から操作できる電源スイッチを取り付けたことを特徴としている。
【0012】
また、前記取付面に備えた各部の名称を示す印刷表示部を、前記開口部から視認できる位置に設けたことを特徴としている。
【0013】
また、前記配線カバーの下端部に、前記接続ケーブルを導出する切り欠きを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続端子に接続される接続ケーブルと接続部近傍をカバーするカバー部と、発熱部品の開口部とを備えた配線カバーを有する操作装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による操作装置の外観斜視図で、(A)は前面側の外観斜視図であり、(B)は背面側の外観斜視図である。
【図2】本発明による操作装置の説明図で、(A)は背面図であり、(B)は図2(A)に示すA部の拡大図である。
【図3】本発明による操作装置の要部断面図で、(A)は電源スイッチの第一の操作状態を示す説明図であり、(B)は電源スイッチの第二の操作状態および印刷表示部の視認性を示す説明図である。
【図4】本発明による操作装置の背面側斜視図で、(A)は接続端子に接続された接続ケーブルを示す第一の説明図であり、(B)は接続端子に接続された接続ケーブルを示す第二の説明図である。
【図5】従来例による操作装置の説明図で、(A)は斜視図であり、(B)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明による操作装置の外観斜視図で、(A)は操作ボタン、表示部、送受話器およびスピーカ部等を配置した前面側の外観斜視図であり、(B)は取付面に電源スイッチ、排熱ファンおよび接続端子等を配置し、カバー部および開口部を備えた配線カバーを設けた背面側の外観斜視図である。
【0018】
図2は本発明による操作装置の説明図で、(A)は配線カバーの開口部から電源スイッチ、排熱ファンおよび電源スイッチON−OFFの表示等を印刷した印刷表示部を視認できる状態を示す背面図であり、(B)は図2(A)に示すA部の拡大図である。
【0019】
図3は本発明による操作装置の要部断面図で、(A)は配線カバーの開口部に本体上部から手指を差し込んで電源スイッチを操作する操作性を示す第一の説明図であり、(B)は背面側から手指を差し込んで電源スイッチを操作する操作性および電源スイッチON−OFFの表示等を印刷した印刷表示部の視認性を示す第二の説明図である。
【0020】
図4は本発明による操作装置の背面側斜視図で、(A)は配線カバーの下方に接続ケーブルを導出した第一の説明図であり、(B)は配線カバーの切り欠きから後方または側方に接続ケーブルを導出した第二の説明図である。
【0021】
本発明による操作装置は、例えば、消防本部に設置して自署と他署および複数の車輛との通信を集中管理する消防用無線統制卓として用いられるものであり、図1(A)に示すように、本体1前面側の操作面2に配設された多数の操作ボタン3、表示部4、送受話器5およびスピーカ部6等を備えている。
【0022】
また、図1(B)と、図2と、図3とに示すように、本体1背面側の取付面7に配設された電源スイッチ8および排熱ファン9を備え、電源スイッチ8および排熱ファン9から離間部Hを有して下方に取り付けられた接続端子10を備えている。接続端子10には、他の通信機器と接続されるコネクタ、スピーカ端子およびインターネットなどに接続されるLAN端子等がある。
【0023】
接続端子10には、図3に示すように接続ケーブル13が接続される。
電源スイッチ8および接続端子10の上方には、図2に示すように、電源スイッチ8の上方に印刷された「電源スイッチ ON/OFF」の表示と、接続端子10の上方に印刷された「各端子名」等の表示とを含む印刷表示部11が配置されている。
【0024】
本体1の背面側には、配線カバー15が、接続端子10に接続された接続ケーブル13と接続部近傍14を隠蔽するとともに、電源スイッチ8および排熱ファン9と、印刷表示部11とを開放するように、固定部22によってねじ締め固定されている。
【0025】
配線カバー15は、図1(B)と、図2と、図3とに示すように、板金により、下部を開放し、背面と両側面とで構成されるように形成される。背面は、本体1背面側の上部から下方に傾斜しながら後方に延びる矩形状の後方傾斜面16からなり、後方傾斜面16の両側部を折曲して、本体1後部の両側を閉塞する両側面17,17となっている。
【0026】
なお、配線カバー15の背面は、本実施例では、矩形状に形成された後方傾斜面16からなる構成として説明するが、これに限定されることなく、本体1背面側の取付面7に平行な矩形状の垂直面(図示せず)からなる構成であってもよい。
【0027】
後方傾斜面16は、図1(B)と、図3とに示すように、電源スイッチ8および排熱ファン9等に対応する部位を本体1背面側の取付面7に向かって水平状に切り起こし、接続端子10に接続された接続ケーブル13と接続部近傍14の上部を隠蔽する切り起し片からなるカバー部20を備えている。
【0028】
カバー部20は、後方傾斜面16の上辺に沿って横方向に延びる上部の切り込み18を入れ、上部の切り込み18の両側部から、後方傾斜面16の両側辺に沿って接続端子10の上部に対応する位置まで延びる両側部の切り込み19,19を入れて、この両側部の切り込み19,19の下端191,191から折り曲げて水平状に切り起されている。
【0029】
両側部の切り込み19,19の下端191,191は、接続端子10に接続された接続ケーブル13のコネクタ上部に対し、カバー部20が隙間hを有して切り起される位置まで切り込まれており、離間部Hに対する隙間hの高さ寸法は「H>h」となっている。
【0030】
なお、上部の切り込み18および両側部の切り込み19,19と、両側部の切り込み19,19の下端部191,191とは、図1(B)と、図2と、図3とにおいて切り込みの形状を図示してはいないが、それぞれの切り込みが形成された位置を示すために、符号18,18、符号19および符号191,191をそれぞれ附している。
【0031】
後方傾斜面16にカバー部20が切り起されることで、接続端子10に接続された接続ケーブル13と接続部近傍14の上部が隠蔽されるとともに、カバー部20の切り起し跡が、電源スイッチ8および排熱ファン9の後方と、印刷表示部11の後方とを開放した開口部21となる。
【0032】
後方傾斜面16に開口部21が形成されたことで、本体1内に図示しない電源基板またはタッチパネルLCDなどの発熱部品が搭載された際、吸気孔1aから吸い込まれた空気が、本体1内の発熱部品を冷却して、排熱ファン9により開口部21から排出されることになる。またその際に、開口部21をなすカバー部20は、空気の流れを作る導風板の役割を果たす。なお、吸気孔1aは、図2に示す箇所に限らず、発熱部品を冷却するのに好適な箇所に設けられてよい。
【0033】
また、開口部21が形成されたことで、排熱ファン9により本体1内部の熱が効果的に外部に排出されるとともに、図3に示すように、この開口部21から手指で電源スイッチ8のON−OFFを操作できるようになり、また、図3(B)に示す視点Eから印刷表示部11を視認できるようになる。
【0034】
そのため、印刷表示部11を視認すると同時に、電源スイッチ8のON/OFFを操作できることで操作性が良好になる。また、開口部21をなすカバー部20により、接続端子10に接続された接続ケーブル13と接続部近傍14を隠蔽できることで外観性が良好になる。
【0035】
さらに、切り起しによりカバー部20を形成することで、従来例のようにパンチングで多数の排気穴を設けることがなく、金型,加工コストも削減できる。
【0036】
接続端子10に接続された接続ケーブル13は、図4(A)に示すように、本体1が設置されるテーブル23に備えた通し穴24に通され、配線カバー15により通し穴24がカバーされることになって、配線カバー15の外側に露出せず人の目に触れることがない。
【0037】
また、配線カバー15は、後方傾斜面16から両側面17,17に渡る下端部に、接続端子10に接続された接続ケーブル13を配線カバー15の外側に導出するための切り欠き151を備えている。
【0038】
配線カバー15に切り欠き151を備えたことで、図4(B)に示すように、接続端子10に接続された接続ケーブル13は、切り欠き151から矢印aに示す本体1の後方に向けて、矢印bに示す本体1の一側に向けて、または、矢印cに示す本体1の他側に向けて導出される。
【0039】
その際、切り欠き151が、配線カバー15の下端部に後方傾斜面16から両側面17,17に渡るように形成されていることから、接続ケーブル13は、後方傾斜面16に備えた切り欠き151と、両側面17,17に備えた切り欠き151との間で移動可能になる。
【0040】
以上説明したように、本発明の構成によれば、配線カバー15にカバー部20を備え、カバー部20の切り起し跡が開口部21となることで、接続端子10に接続された接続ケーブル13と接続部近傍14を隠蔽できるとともに、良好に発熱部品の排熱ができるようになり、また、電源スイッチ8の操作性および印刷表示部11の視認性を良好にした操作装置となる。
【符号の説明】
【0041】
1 本体
1a 吸気孔
2 操作面
3 操作ボタン
4 表示部
5 送受話器
6 スピーカ部
7 取付面
8 電源スイッチ
9 排熱ファン
10 接続端子
11 印刷表示部
13 接続ケーブル
14 接続部近傍
15 配線カバー
151 切り欠き
16 後方傾斜面
17 側面
18 上部の切り込み
19 側部の切り込み
191 下端
20 カバー部
21 開口部
22 固定部
23 テーブル
24 通し穴
E 視点
H 離間部
h 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体前面側の操作面に配設された操作ボタンと、表示部と、本体背面側に取り付けられた排熱ファンと、同排熱ファンの下方に取り付けられ、他の機器と接続ケーブルを介して接続される接続端子と、板金により下部を開放し背面と両側面とを備えるように形成され、前記本体背面をカバーする配線カバーとからなる操作装置において、
前記配線カバーの背面に、前記排熱ファンに対応する部位を前記本体背面に向かって切り起し、前記排熱ファンによる排熱用の開口部を形成するとともに、前記接続端子を隠蔽するカバー部を形成したことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記取付面に、前記開口部から操作できる電源スイッチを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記取付面に備えた各部の名称を示す印刷表示部を、前記開口部から視認できる位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記配線カバーの下端部に、前記接続ケーブルを導出する切り欠きを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−51284(P2013−51284A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187666(P2011−187666)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】