説明

操作装置

【課題】ユーザーの意図する操作を的確に実行することができる操作装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル11上の2点を略同時にタッチ操作したときに当該2点の操作を共に有効な操作として出力する出力手段と、前記2点の出力に基づいて前記タッチパネル11上のいずれの点が操作されたかを判別する判別手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルへのタッチ操作で操作対象を操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置において、ユーザーがカーナビゲーション装置の画面を触れることにより操作するタッチパネルが多く採用されており、例えば、ユーザーがタッチパネルを触ると、その接触点の数に応じて地図の拡大や縮小を行ったり、案内音声のボリュームを調整したりするなど種々の操作を行うことができる操作装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−162267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カーナビゲーション装置においては、地図の縮尺を変更する等のカーナビゲーション装置に対して操作を行うための種々のボタンが表示中の地図と同じ画面内に表示されている場合が多い。このため、上述した従来の操作装置では、地図を操作したいにもかかわらず、誤ってボタンが操作されたり、逆にボタンを操作したいにも関わらず、誤って地図が操作されてしまうというユーザーの意図に反する操作が行われてしまう可能性がある。この場合、ユーザーの意図する操作を的確に実行できないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザーの意図する操作を的確に実行することができる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、タッチパネル上の2点を略同時にタッチ操作したときに当該2点の操作を共に有効な操作として出力する出力手段と、前記2点の出力に基づいて前記タッチパネル上のいずれの点が操作されたかを判別する判別手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記出力手段は前記2点の前記タッチパネル上における座標を出力し、前記判別手段は前記座標に基づき前記タッチパネル上のいずれの点が操作されたかを判別する構成としても良い。
また、前記判別手段は前記2点のうち前記タッチパネルの中心からより離れた方の点を操作された点である操作点として判別する構成としても良い。
また、前記判別手段は前記2点を結ぶ線分の中点を判別する構成としても良い。
また、前記判別手段は前記2点のうち前記タッチパネルの座標系のX方向においてより端部側に位置する点の座標xと、前記2点のうち前記タッチパネルの座標系のY方向においてより端部側に位置する点の座標yとにおける点(x,y)を判別する構成としても良い。
【0007】
また、さらに、前記タッチパネルにより操作する第1操作対象と、当該第1操作対象以外の操作対象である第2操作対象の操作処理を行う操作処理手段を備え、前記操作処理手段は、前記タッチパネル上の2点を略同時に操作した場合、前記第1操作対象の操作に対する処理を不可として前記第2操作対象の操作に対する処理を実行し、前記タッチパネル上の1点を操作した場合、前記第2操作対象の操作に対する処理を不可として前記第1操作対象の操作に対する処理を実行する構成としても良い。
また、さらに、前記タッチパネルにより操作する地図の操作処理を行う操作処理手段を備え、前記操作処理手段は、前記操作点に基づき前記地図のスクロールを実行する構成としても良い。
また、前記操作処理手段は、前記操作点を中心として前記地図のスクロールを実行する構成としても良い。
また、さらに、前記タッチパネルにより操作する各種機能が割り当てられたボタン及び地図の操作処理を行う操作処理手段を備え、前記操作処理手段は、前記タッチパネルを1本の指でタッチ操作した場合、前記操作点に対応する前記ボタンに割り当てられた機能を実行し、前記タッチパネルを2本の指でタッチ操作した場合、前記操作点を中心として前記地図のスクロールを実行する構成としても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーの意図する操作を的確に実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る操作装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る操作装置の構成を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る操作装置における処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る操作装置において、1本の指でボタンを操作した場合の表示パネルの画像の例を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る操作装置において、1本の指で地図を操作した場合の表示パネルの画像の例を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る操作装置において、1本の指で地図上のアイコンを操作した場合の表示パネルの画像の例を示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る操作装置において、2本の指で地図を操作した場合の画面の例を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る操作装置において、2本の指でボタンを操作した場合の表示パネルの画像の例を示した図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法の手順を示したフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る操作装置をスマートフォンに適用した例を示した図である。
【図12】2本の指の中間点を操作点とし、2本の指でタッチパネルの右下隅をタッチ操作する様子を示した図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法の手順を示したフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法の手順を示したフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る操作装置における2本の指でタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る操作装置1の第1の実施形態について説明する。
はじめに、本実施形態に係る操作装置1の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る操作装置1の外観構成を示した図である。図2に示すように、本実施形態に係る操作装置1は、車両100に搭載されるカーナビゲーション装置である。操作装置1は、車両100の前部座席に搭乗するユーザーが操作しやすいようにダッシュボード101の略中央で、運転席と助手席との間に設置される。
【0011】
操作装置1は、ダッシュボード101から車室内に露出し、略矩形に形成されたユーザーが指で触れて操作(以下、タッチ操作という)が可能なタッチパネル11を備えている。タッチパネル11は、表示パネル21の上に重ねて設置されている。表示パネル21は、枠体としてのフェイスパネル102に嵌め込まれている。また、ダッシュボード101の内部には、不図示の装置本体が設置されている。
【0012】
図1は、本実施形態に係る操作装置1の構成を示したブロック図である。図1に示すように、操作装置1は、入力部10と、表示部20と、制御部30とを備えている。入力部10と、表示部20と、制御部30は、バス40により接続されており、相互に信号のやり取りを行うことが可能となっている。入力部10は、タッチ操作が可能なタッチパネル11を備えている。このため、ユーザーは、タッチパネル11へのタッチ操作で操作対象の操作を行うことができる。
【0013】
本実施形態においては、タッチパネル11は、同時に複数のタッチ操作された位置(以下、タッチ位置という)をタッチパネル11上の平面座標における点(以下、検出点という)として検出することができるマルチタッチスクリーンである。このため、ユーザーは、タッチパネル11において一本の指でタッチ操作を行ったり、2本以上の指でタッチ操作を行ったりすることができる。タッチパネル11としては、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、超音波表面弾性波方式等の様々な方式が一般に知られているが、本実施形態におけるタッチパネル11においては、タッチ位置を検出することが可能であればどのような方式を適用してもよい。
【0014】
表示部20は、画像を表示する表示パネル21を備えている。表示パネル21は、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)、又は、有機発光ダイオード(Organic Light−Emitting Diode:OLED)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro−Luminescence:OEL)等と呼ばれる有機EL表示パネルにより構成されている。
【0015】
表示パネル21には、後述する制御部30の制御に基づき画像が表示される。表示パネル21の上には、タッチパネル11が重ねて配置され、表示パネル21に表示された各種の操作ボタンに対応する位置や、表示パネル21に表示された各種の図画を指先でタッチ操作することにより、制御部30に対して各種の指示を入力することができる。上述した操作ボタンは、例えば、地図の縮尺変更ボタンや地図の北上固定表示ボタン等の操作装置1に対して各種の処理を実行させるためのボタンであり、また、上述した図画は、例えば、地図や画像や各種の情報表示等である。
【0016】
制御部30は、操作装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としての中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)や、このCPUに実行される基本制御プログラムをコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶するリードオンリーメモリー(Read Only Memory:ROM)や、CPUに実行される各種のプログラムやこれらのプログラムに係るデータを一時的に記憶するランダムアクセスメモリー(Random Access Memory:RAM)や、その他の周辺回路等により構成されている。
【0017】
制御部30は、画像処理部31と、操作検出部32と、操作処理部33とを備えている。画像処理部31は、表示パネル21に表示する画像信号を生成して表示部20へ出力し、表示部20は入力した画像信号に基づき表示パネル21に画像を表示する。操作検出部32は、ユーザーによるタッチパネル11へのタッチ操作を検出して検出信号を操作処理部33へ出力する。
【0018】
操作処理部33は、検出信号からユーザーによるタッチパネル11へのタッチ操作が1本の指による操作、すなわち検出点が1点であるか、又は2本の指による操作、すなわち検出点が2点であるかを判断し、1本の指による操作の場合には図画(第2操作対象)の操作に対する処理を不可として操作ボタン(第1操作対象)の操作に対する処理のみを行えることとし、2本の指による操作の場合には操作ボタンの操作に対する処理を不可として図画の操作に対する処理のみを行えることとして、画像処理部31へ画像を生成させるための信号を出力する。言い換えれば、操作する指の本数により操作可能な操作対象を変化させているということもできる。
【0019】
本実施形態においては、1本の指による操作の場合には図画の操作に対する処理を不可として操作ボタンの操作に対する処理のみを行えることとし、2本の指による操作の場合には操作ボタンの操作に対する処理を不可として図画の操作に対する処理のみを行えることとしているが、これとは逆に、1本の指による操作の場合には操作ボタンの操作に対する処理を不可として図画の操作に対する処理のみを行えることとし、2本の指による操作の場合には図画の操作に対する処理を不可として操作ボタンの操作に対する処理のみを行えることとしてもよい。
【0020】
そして、画像処理部31は、操作処理部33からの信号を入力したとき、この信号に基づき表示パネル21に表示する画像を生成して画像信号を表示部20へ出力し、表示部20は入力した画像信号に基づき表示パネル21に画像を表示する。
【0021】
次に、本実施形態に係る操作装置1の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る操作装置1における処理の手順を示したフローチャートである。図3に示すように、はじめに、ステップS1において、操作検出部32は、タッチパネル11のタッチ位置に基づく入力部10からの出力に基づき検出点を検出する。次に、ステップS2において、操作処理部33は、検出点が1点であるか判断し、検出点が1点である場合(ステップS2:YES)、図画の操作に対する処理を不可とし、操作ボタンの操作に対する処理を実行する(ステップS3)。また、操作処理部33は、検出点が2点であるか判断し(ステップS4)、検出点が2点である場合(ステップS4:YES)、操作ボタンの操作に対する処理を不可とし、図画の操作に対する処理を実行する(ステップS5)。
【0022】
このように、本実施形態に係る操作装置1においては、タッチ操作する指の本数に応じてタッチパネル11内の特定部分の操作を不可としている。例えば、1本の指でタッチ操作した場合には地図の操作を不可とし、2本の指でタッチ操作した場合にはボタンの操作を不可とする。以下に操作装置1における操作の具体例について説明する。
【0023】
はじめに、本実施形態に係る操作装置1におけるボタン50a,50bの操作について説明する。
図4は、本実施形態に係る操作装置1において、1本の指Sでボタン50a,50bをタッチ操作した場合の表示パネル21の画像の例を示した図であって、図4(a)は操作前の表示パネル21の画像の例を示した図であり、図4(b)は操作後の表示パネル21の画像の例を示した図である。
【0024】
図4(a)に示すように、ユーザーがボタン50bを操作したいと考え、1本の指Sでボタン50bをタッチ操作した場合には、図4(b)に示すように、操作装置1は、1本の指Sによるタッチ操作であるため、ボタン50bの操作を実行する。本実施形態においては、ボタン50a,50bとして地図60の縮尺を変更するボタン50a,50bを例として説明するが、これ以外の機能を果たすボタン50a,50bに適用することとしてもよい。
【0025】
図5は、本実施形態に係る操作装置1において、1本の指Sで地図60をタッチ操作した場合の表示パネル21の画像の例を示した図であって、図5(a)は操作前の表示パネル21の画像の例を示した図であり、図5(b)は操作後の表示パネル21の画像の例を示した図である。図5(a)に示すように、ユーザーがボタン50bを操作したいと考え、1本の指Sで地図60上をタッチ操作した場合には、図5(b)に示すように、操作装置1は、1本の指Sによるタッチ操作であるため、地図60の操作を不可とし、地図60は操作されない。すなわち、地図60は動かない。
【0026】
また、上述したボタン50a,50bの操作と同様に、地図60上の特定の地点を示すアイコン51も1本の指Sで操作できるようにすることもできる。
図6は、本実施形態に係る操作装置1において、1本の指Sで地図60上のアイコン51をタッチ操作した場合の表示パネル21の画像の例を示した図であって、図6(a)は操作前の表示パネル21の画像の例を示した図であり、図6(b)は操作後の表示パネル21の画像の例を示した図である。
【0027】
図6(a)に示すように、ユーザーが地図60上のアイコン51を操作したいと考え、1本の指Sでアイコン51をタッチ操作した場合には、図6(b)に示すように、操作装置1は、1本の指Sによるタッチ操作であるため、地図60上のアイコン51の操作を実行する。このとき、1本の指Sによるタッチ操作であるため、地図60の操作は不可となっており、地図60は操作されない。すなわち、地図60は動かない。本実施形態においては、地図60上のアイコン51として駐車場を示すアイコン51を例として説明するが、これ以外の場所等を示すアイコン51に適用することとしてもよい。
【0028】
このように、本実施形態に係る操作装置1においては、ユーザーがボタン50a,50bを操作したいと考えているときや、地図60上の特定の地点を示すアイコン51を操作したいと考えているときには、地図60の操作は不可となっているため、地図60は操作されない。したがって、ユーザーの意図に反する操作が行われることを防止することができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る操作装置1における地図60の操作について説明する。
図7は、本実施形態に係る操作装置1において、2本の指Dで地図60をタッチ操作した場合の表示パネル21の画像の例を示した図であって、図7(a)は操作前の表示パネル21の画像の例を示した図であり、図7(b)は操作後の表示パネル21の画像の例を示した図である。図7(a)に示すように、ユーザーが地図60を操作したいと考え、2本の指Dで地図60上をタッチ操作した場合には、図7(b)に示すように、操作装置1は、2本の指Dによるタッチ操作であるため、地図60の操作を実行する。
【0030】
図8は、本実施形態に係る操作装置1において、2本の指Dでボタン50a,50bをタッチ操作した場合の表示パネル21の画像の例を示した図であって、図8(a)は操作前の表示パネル21の画像の例を示した図であり、図8(b)は操作後の表示パネル21の画像の例を示した図である。図8(a)に示すように、ユーザーが地図60を操作したいと考え、2本の指Dでボタン50bをタッチ操作した場合には、図8(b)に示すように、操作装置1は、2本の指Dによるタッチ操作であるため、地図60の操作を実行する。このとき、2本の指Dによるタッチ操作であるため、操作装置1は、ボタン50bの操作を不可とし、ボタン50bは操作されない。
【0031】
このように、本実施形態に係る操作装置1においては、ユーザーが地図60を操作したいと考えているときには、ボタン50a,50bの操作は不可となっているため、ボタン50a,50bは操作されない。したがって、ユーザーの意図に反する操作が行われることを防止することができるため、ユーザーの意図する操作を的確に実行することができる。
【0032】
ところで、本実施形態に係る操作装置1においては、タッチパネル11を2本の指でタッチ操作した場合、検出点が2点発生することとなる。本実施形態においては、操作装置1は、入力部10にタッチパネル11上の2点を略同時、すなわちタッチパネル11上の2点を所定の時間内にタッチ操作したときに、この2点のタッチ操作を共に有効な操作として検出点を2点出力する出力部12と、操作処理部33に出力部12からの出力に基づいてタッチパネル11上のいずれの点が操作されたかを判別する判別部33aとを備えている。上述した2本の指による操作と判定するための所定の時間は、タッチパネル11における一連の操作に遅延が生じない程度の時間内に設定し、ユーザーがタッチパネル11を操作した際に反応に遅れが生じる等の違和感を与えないようにする。そして、操作装置1は、出力部12から検出点が2点出力された場合には、判別部33aにおいてタッチパネル11上のある1点を操作点として判別する。これにより、ユーザーは、タッチパネル11上のある1点を操作点としてタッチ操作することができるため、ユーザーの意図に沿った自然な操作を実現することができる。
【0033】
本実施形態に係る操作装置1においては、一例として、2点の検出点を結ぶ線分の中点、すなわち2点の検出点の中間点を操作点として操作を行う。
図9は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dでタッチ操作した場合の操作点の判別方法の手順を示したフローチャートである。
図9に示すように、はじめに、ステップS10において、出力部12は、タッチパネル11を2本の指でタッチ操作した場合、1本目の指D1の検出点を第1検出点とし、2本目の指D2の検出点を第2検出点として検出点を2点出力する。
次に、ステップS11において、判別部33aは、出力部12の出力に基づき、第1検出点と第2検出点の中間点を操作点と判別する。
【0034】
図10は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dで操作した場合の操作点の判別方法を示した図であって、図10(a)は操作点の判別方法を示した図表であり、図10(b)は2本の指Dで操作した場合の操作点の例を示した図である。
図10(a)に示すように、判別部33aは、表示パネル21の左下隅を原点Oとした2次元のxy座標面において、第1検出点P1の座標を(x1,y1)とし、第2検出点P2の座標を(x2,y2)として、操作点Pcの座標(xc,yc)を下記式(1)により求める。
【数1】

【0035】
したがって、図10(b)に示すように、ユーザーは2本の指Dの中間点を操作点Pcとして操作を行うことができる。本実施形態に係る操作点の判別方法によれば、例えば、地図60上のある位置を短押し又は長押ししたときに、表示パネル21に表示している地図60の中心をタッチ操作した点に移動させる操作や、ある点を押しながら軽く払うように操作したときに地図60をスクロールさせる操作において、ユーザーは2本の指Dの中間点を操作点Pcとして操作を行うことができるため、ユーザーの意図に沿った自然な操作を実現することができる。
【0036】
図11は、本実施形態に係る操作装置1をスマートフォン70に適用した例を示した図である。図11に示すように、スマートフォン70には機械的なボタンであるハードキー71が一つしか備えられていないものがある。このため、文字入力等は表示パネル21に表示されたソフトキー(図示省略)をタッチ操作することにより行われる。しかし、スマートフォン70の表示パネル21は面積が小さいため表示されるソフトキーも小さく、2本の指Dでソフトキーをタッチ操作した場合、意図しない他のソフトキーが操作されてしまう可能性がある。しかし、本実施形態に係る操作装置1のように、2本の指Dでタッチパネル11を操作したときには、2本の指Dの中間点を操作点Pcとすることにより、意図しない他のソフトキーが操作されてしまうことを回避することができるため、ユーザーの意図に沿った自然な操作を実現することができる。したがって、本実施形態に係る操作装置1のように、2本の指Dの中間点を操作点Pcとすることは、表示パネル21は面積が小さいスマートフォン70等において特に有用である。
【0037】
<第2の実施形態>
以下、本発明に係る操作装置の第2の実施形態について説明する。
第1実施形態においては、2本の指の中間点を操作点として操作を行っている。このため、図12に示すように、右ハンドル車の運転席側からユーザーが右手の2本の指Dで表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の右下隅の部分のタッチ操作を行う場合、手Hを矢印Tで示すように捻り、肘Eを矢印Rで示すように挙げた状態で操作を行うこととなるため、操作が困難である。
このため、本実施形態に係る操作装置1においては、2本の指Dでタッチ操作した場合、2点の検出点のうち表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)のより端部側に位置する検出点を操作点として操作を行うこととした。なお、本実施形態に係る操作装置1の構成は、第1の実施形態に係る操作装置1の構成と同様である。
【0038】
図13は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dでタッチ操作した場合の操作点の判別方法の手順を示したフローチャートである。
図13に示すように、はじめに、ステップS20において、出力部12は、タッチパネル11を2本の指でタッチ操作した場合、1本目の指D1の検出点を第1検出点とし、2本目の指D2の検出点を第2検出点として検出点を2点出力する。
次に、ステップS21において、判別部33aは、出力部12の出力に基づき、第1検出点が第2検出点より表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の端部側に位置するか判断し、第1検出点が第2検出点より端部側に位置する場合(ステップS21:YES)、第1検出点を操作点と判別する(ステップS22)。また、判別部33aは、第1検出点が第2検出点より端部側に位置していない場合(ステップS21:NO)、第2検出点を操作点と判別する(ステップS23)。
【0039】
図14は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dでタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図であって、図14(a)は操作点の判別方法を示した図であり、図14(b)は親指D1と人差し指D2の2本の指Dでタッチ操作し、2本の指Dのうち人差し指D2でタッチパネル11の右下隅をタッチ操作した場合の操作点の例を示した図である。
図14(a)に示すように、判別部33aは、表示パネル21の左下隅を原点Oとした2次元のxy座標面において、第1検出点P1の座標を(x1,y1)とし、第2検出点P2の座標を(x2,y2)とし、操作点Pcの座標を(xc,yc)とすると、下記式(2)より、a≧bの場合、第1検出点P1の座標を操作点Pcの座標として判別し、a<bの場合、第2検出点P2の座標を操作点Pcの座標として判別する。
【数2】

ここで、wは表示パネル21のx方向の長さ(すなわち、表示パネル21及びタッチパネル11の幅)を意味し、hは表示パネル21のy方向の長さ(すなわち、表示パネル21及びタッチパネル11の高さ)を意味する。図14(a)においては、a<bの場合を例として示している。
【0040】
したがって、図14(b)に示すように、ユーザーは親指D1を支点として、2点の検出点のうち表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の中心からより離れた人差し指D2側の検出点、すなわちより端部側に位置する検出点を操作点Pcとして操作を行うことができる。
このため、例えば、地図60上のある位置を短押し又は長押ししたときに、表示パネル21に表示している地図60の中心をタッチ位置に移動させるスクロール操作において、特に、右ハンドル車の運転席側からユーザーが右手で表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の右下隅の部分を操作することを容易にすることができる。
【0041】
図15は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dでタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図であって、図15(a)は操作点の判別方法を示した図であり、図15(b)は親指D1と人差し指D2の2本の指Dでタッチ操作し、2本の指Dのうち親指D1でタッチパネル11の左下隅をタッチ操作した場合の操作点の例を示した図である。
図15(a)に示すように、図14において説明した判別方法と同様の方法で操作点Pcを判別する。したがって、図15(b)に示すように、ユーザーは人差し指D2を支点として、2点の検出点のうち表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の中心からより離れた親指D1側の検出点、すなわちより端部側に位置する検出点を操作点Pcとして操作を行うことができる。
このため、例えば、地図60上のある位置を短押し又は長押ししたときに、表示パネル21に表示している地図60の中心をタッチ位置に移動させるスクロール操作において、右ハンドル車の運転席側からユーザーが右手で表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の左下隅の部分を操作することを容易にすることができる。
したがって、本実施形態に係る操作装置1のように、2本の指Dでタッチ操作した場合、2点の検出点のうち表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)のより端部側に位置する検出点を操作点Pcとすることは、操作装置1を手に持って操作出来ないようなカーナビゲーション装置等において特に有用である。
【0042】
<第3の実施形態>
以下、本発明に係る操作装置の第3の実施形態について説明する。
本実施形態に係る操作装置1の構成は、第1の実施形態に係る操作装置1の構成と同様であるが、本実施形態に係る操作装置1においては、2本の指Dでタッチ操作した場合、2点の検出点のうち、表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)のX方向において、より端部側に位置する点の座標xと、2点の検出点のうち表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)のY方向において、より端部側に位置する点の座標yとにおける点(x,y)を操作点として操作を行うこととした。
【0043】
図16は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dでタッチ操作した場合の操作点の判別方法の手順を示したフローチャートである。
図16に示すように、はじめに、ステップS30において、出力部12は、タッチパネル11を2本の指でタッチ操作した場合、1本目の指D1の検出点を第1検出点とし、2本目の指D2の検出点を第2検出点として検出点を2点出力する。
【0044】
次に、ステップS31において、判別部33aは、出力部12の出力に基づき、X方向において第1検出点が第2検出点より表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の端部側に位置するか判断し、第1検出点が第2検出点より端部側に位置する場合(ステップS31:YES)、第1検出点の座標xを操作点の座標xと判別する(ステップS32)。また、判別部33aは、第1検出点が第2検出点より端部側に位置していない場合(ステップS31:NO)、第2検出点の座標xを操作点の座標xと判別する(ステップS33)。
【0045】
次に、ステップS34において、判別部33aは、出力部12の出力に基づき、Y方向において第1検出点が第2検出点より表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の端部側に位置するか判断し、第1検出点が第2検出点より端部側に位置する場合(ステップS34:YES)、第1検出点の座標yを操作点の座標yと判別する(ステップS32)。また、判別部33aは、第1検出点が第2検出点より端部側に位置していない場合(ステップS34:NO)、第2検出点の座標yを操作点の座標yと判別する(ステップS36)。
【0046】
図17は、本実施形態に係る操作装置1における2本の指Dでタッチ操作した場合の操作点の判別方法を示した図であって、図17(a)は操作点の判別方法を示した図であり、図17(b)は2本の指Dで操作した場合の操作点の例を示した図である。図17(a)に示すように、判別部33aは、表示パネル21の左下隅を原点Oとした2次元のxy座標面において、第1検出点P1の座標を(x1,y1)とし、第2検出点P2の座標を(x2,y2)とし、操作点Pcの座標を(xc,yc)とすると、下記式(3)より、xα≧xβの場合、第1検出点P1の座標におけるx1を操作点Pcの座標におけるxcとして判別し、xα<xβの場合、第2検出点P2の座標におけるx2を操作点Pcの座標におけるxcとして判別する。
【数3】

ここで、wは表示パネル21のx方向の長さ(すなわち、表示パネル21及びタッチパネル11の幅)を意味し、hは表示パネル21のy方向の長さ(すなわち、表示パネル21及びタッチパネル11の高さ)を意味する。
【0047】
また、判別部33aは、下記式(4)より、yα≧yβの場合、第1検出点P1の座標におけるy1を操作点Pcの座標におけるycとして判別し、yα<yβの場合、第2検出点P2の座標におけるy2を操作点Pcの座標におけるycとして判別する。
【数4】

ここで、wは表示パネル21のx方向の長さ(すなわち、表示パネル21及びタッチパネル11の幅)を意味し、hは表示パネル21のy方向の長さ(すなわち、表示パネル21及びタッチパネル11の高さ)を意味する。図17(a)においては、Pc(xc,yc)=(x2,y1)の場合を例として示している。
【0048】
したがって、図17(b)に示すように、ユーザーは2点の検出点よりも表示パネル21の中心から離れた点、すなわちより隅側の点を操作点Pcとして操作を行うことができる。このため、例えば、地図60上のある位置を短押し又は長押ししたときに、表示パネル21に表示している地図60の中心をタッチ位置に移動させる操作において、2本の指Dでは操作しにくい表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の隅の部分における操作を容易にすることができる。本実施形態における操作点の判別方法では、2本の指Dで押していない点が操作点と設定される場合があり、ユーザーによっては不自然と感じる場合があると考えられるため、このような場合には、第1,2の実施形態における操作点の判別方法と切り替えられるようにすることで、ユーザーにとって自然な操作を行えるようにすることも可能である。
【0049】
なお、上述した実施形態においては、操作する指の本数が1本であるか、又は2本であるかを検出しているが、これ以外にも操作する指の本数が3本以上であることを検出してある操作対象の操作を不可としつつ、他の操作対象の操作のみを行えるようにしてもよい。また、指以外のもの、例えば、タッチペン等により操作を行う場合であっても適用することが可能である。
【0050】
また、地図60のスクロール操作は、操作点Pcを地図60の中心とする操作以外にも、表示パネル21(すなわち、タッチパネル11)の中心とタッチパネル11上のある点に位置する操作点Pcとを結ぶ線分上において地図60を所定量移動させる操作や、画面中央付近に表示される指し示す方向に地図60をスクロールさせるための矢印をタッチ操作することにより地図60を所定量移動させる操作など種々の操作方法を適用することが可能である。
【0051】
また、操作装置1として、車両100に搭載されるカーナビゲーション装置を例として説明したが、これ以外にも、タッチ操作により操作対象を操作することができるタッチパネル11を備える機器に広く適用することができ、例えば、タッチパネル11を備える携帯電話機、スマートフォン、パーソナルコンピューター又は携帯ゲーム機等に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 操作装置
10 入力部
11 タッチパネル
12 出力部
20 表示部
21 表示パネル
30 制御部
31 画像処理部
32 操作検出部
33 操作処理部
33a 判別部
40 バス
50a,50b ボタン
51 アイコン
60 地図
70 スマートフォン
71 ハードキー
100 車両
101 ダッシュボード
102 フェイスパネル
S 1本の指
D 2本の指
H 手
E 肘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル上の2点を略同時にタッチ操作したときに当該2点の操作を共に有効な操作として出力する出力手段と、
前記2点の出力に基づいて前記タッチパネル上のいずれの点が操作されたかを判別する判別手段と、を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記判別手段は前記2点のうち前記タッチパネルの中心からより離れた方の点を操作された点である操作点として判別することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記判別手段は前記2点を結ぶ線分の中点を判別することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記判別手段は前記2点のうち前記タッチパネルの座標系のX方向においてより端部側に位置する点の座標xと、前記2点のうち前記タッチパネルの座標系のY方向においてより端部側に位置する点の座標yとにおける点(x,y)を判別することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
さらに、前記タッチパネルにより操作する第1操作対象と、当該第1操作対象以外の操作対象である第2操作対象の操作処理を行う操作処理手段を備え、
前記操作処理手段は、前記タッチパネル上の2点を略同時に操作した場合、前記第1操作対象の操作に対する処理を不可として前記第2操作対象の操作に対する処理を実行し、前記タッチパネル上の1点を操作した場合、前記第2操作対象の操作に対する処理を不可として前記第1操作対象の操作に対する処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4
のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
さらに、前記タッチパネルにより操作する地図の操作処理を行う操作処理手段を備え、
前記操作処理手段は、前記操作点に基づき前記地図のスクロールを実行することを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項7】
前記操作処理手段は、前記操作点を中心として前記地図のスクロールを実行することを特徴とする請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
さらに、前記タッチパネルにより操作する各種機能が割り当てられたボタン及び地図の操作処理を行う操作処理手段を備え、
前記操作処理手段は、前記タッチパネルを1本の指でタッチ操作した場合、前記操作点に対応する前記ボタンに割り当てられた機能を実行し、前記タッチパネルを2本の指でタッチ操作した場合、前記操作点を中心として前記地図のスクロールを実行することを特徴とする請求項2に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−54479(P2013−54479A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191274(P2011−191274)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】