説明

攪拌脱泡装置

【課題】材料の温度調整を可能にする、自転公転方式の攪拌脱泡装置を提供する。
【解決手段】攪拌脱泡装置1は、回転体20の所定の位置に自転可能に取り付けられた、回転体の回転に伴って公転する容器ホルダ30と、容器ホルダ30に保持されて容器ホルダの回転に伴って回転する、材料Mが収納された収納容器100とを含む。容器ホルダには、収納容器の側面を露出させる開口40が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌脱泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料が収納された容器を自転及び公転させることによって当該材料を攪拌脱泡する装置(自転公転方式の攪拌脱泡装置)が知られている(例えば特許文献1参照)。この攪拌脱泡装置では、容器を自転及び公転させる際に容器内の材料に作用する遠心力を利用して、材料を攪拌する(混練する、混合する、分散させる)とともに、材料に内在する気泡を放出させて脱泡することができる。
【特許文献1】特開平10-43568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自転公転方式の攪拌脱泡装置では、容器内部で材料を流動させる(対流を起こす)ことによって高い攪拌性能を実現する。そのため、自転公転方式の攪拌脱泡装置では、容器内で材料が擦れ合い、摩擦熱が原因で材料の温度が上昇することがあった。また、装置に搭載される動力からの輻射熱が原因で、材料の温度が上昇することがあった。
【0004】
ところで、種々の要請から、温度上昇をきらう材料が存在する。このような材料を処理するため、材料の温度が上昇しにくい攪拌脱泡装置が望まれることがあった。
【0005】
一方、材料は暖めることによって粘度が低下することが多く、自転公転方式の攪拌脱泡装置において、攪拌脱泡効率を高めるために、材料を加熱することが要請されることもあった。
【0006】
本発明の目的は、材料の温度調整を可能にする自転公転方式の攪拌脱泡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る攪拌脱泡装置は、
回転体の所定の位置に自転可能に取り付けられた、前記回転体の回転に伴って公転する容器ホルダと、
前記容器ホルダに保持されて前記容器ホルダの回転に伴って回転する、材料が収納された収納容器と、
を含み、
前記容器ホルダには、前記収納容器の側面を露出させる開口が形成されている。
【0008】
本発明に係る攪拌脱泡装置によると、容器ホルダには開口が形成されており、該開口から収納容器の側面が露出する。そのため、収納容器の側面が空気に接触し、該空気を熱媒体として作用させることができる。すなわち、収納容器の周囲の気温が低ければ収納容器が冷却され、収納容器の周囲の気温が高ければ収納容器が加熱される。そのため、この攪拌脱泡装置によると、収納容器を回転(自転及び/又は公転)させる際に、収納容器の温度を調整することが可能になり、容器内部に収納される材料の温度を調整することが可能になる。
【0009】
(2)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダは、内側面の少なくとも一部が、前記収納容器の外側面と非接触となるように構成されていてもよい。
【0010】
これによると、容器ホルダと収納容器との間に、空気が流れる隙間を形成することができる。そのため、収納容器と空気との間で、熱の交換を効率よく行うことができる。
【0011】
(3)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は、凹凸面となっていてもよい。
【0012】
(4)この攪拌脱泡装置において、
前記収納容器の外側面は、凹凸面となっていてもよい。
【0013】
(5)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内径は、前記収納容器の外径よりも大きくてもよい。
【0014】
(6)この攪拌脱泡装置において、
一端が前記収納容器に連接された吸引ホースを有し、前記吸引ホースを介して前記収納容器の内部を減圧する減圧手段をさらに含んでいてもよい。
【0015】
これによると、減圧環境を利用した高い脱泡性能と、材料の温度調整という2つの効果を同時に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明にとって必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0017】
1.第1の実施の形態
以下、本発明を適用した第1の実施の形態について説明する。
【0018】
(1)攪拌脱泡装置1の構成
はじめに、本発明を適用した第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置1の構成について説明する。図1〜図5は、攪拌脱泡装置1の構成について説明するための図である。
【0019】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、公転軸10を含む。公転軸10は、仮想の直線を中心に回転するように構成されている。本実施の形態では、公転軸10は、図1に示すように、鉛直に延びる仮想の直線(公転軸線L1)を軸として回転するように構成されている。ただし、公転軸10は、水平に延びる直線を軸として回転するように構成されていてもよい(図示せず)。
【0020】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、回転体20を含む。回転体20は、公転軸10に固定され、公転軸10の回転に伴って、公転軸線L1を中心に(軸線として)回転するように構成されている。
【0021】
攪拌脱泡装置1は、図1〜図4に示すように、容器ホルダ30を有する。容器ホルダ30は、後述する収納容器100を保持する役割を果たす。以下、容器ホルダ30について詳述する。なお、図2は図1の一部拡大図であり、図3は容器ホルダ30及び収納容器100の斜視図、図4は容器ホルダ30の斜視図である。
【0022】
容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置に、自転可能に取り付けられている。本実施の形態では、容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置を通る仮想の直線(自転軸線L2)を軸として自転可能に構成されている。なお、本実施の形態では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、所定の角度で交差する直線となっている。すなわち、本実施の形態では、容器ホルダ30は、公転軸線L1と所定の角度で交差する仮想の直線を軸として自転するように構成されている。
【0023】
本実施の形態では、容器ホルダ30は、自転軸32に固定されている。そして、自転軸32は、回転体20に軸受け34を介して取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20に対して自転可能とすることができる。
【0024】
容器ホルダ30は、回転体20における、公転軸線L1から所定の間隔をあけた位置に取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20の回転に伴って、公転軸線L1を中心に公転させることが可能になる。
【0025】
本実施の形態では、1つの回転体20に、2個の容器ホルダ30が取り付けられている。この2個の容器ホルダ30は、公転軸線L1から等距離の位置に、公転軸線L1を中心とする点対称の配置となるように取り付けられている。ただし、変形例として、回転体20には、容器ホルダ30が1つのみ取り付けられていてもよい。この場合、回転体20における容器ホルダ30とは反対側の位置に、バランス錘(公転軸線L1からの距離が可変に構成されたバランス錘)を取り付けた構成とすることが好ましい。あるいは、攪拌脱泡装置1を、1つの回転体20に3個以上の複数の容器ホルダ30を取り付けた構成とすることも可能である。
【0026】
本実施の形態では、図3及び図4に示すように、容器ホルダ30には凸部35が形成されている。凸部35と収納容器100(容器本体110)の凹部112を嵌合させることによって、容器ホルダ30と収納容器100との空回りを防止することが可能になる。すなわち、本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、容器ホルダ30と収納容器100との空回り防止機構を備えて構成されているといえる。
【0027】
そして、本実施の形態では、図1〜図4に示すように、容器ホルダ30には、開口40が形成されている。開口40は、収納容器100(容器本体110)の側面を露出させるように形成されている。開口40の数や形状は特に限定されるものではない。本実施の形態では、1つの容器ホルダ30に複数(3個)の開口40が形成されている。ただし、1つの容器ホルダ30に開口が1つのみ形成されていてもよいし、2つの開口が形成されていてもよい(図示せず)。また、本実施の形態では、外形が矩形となるように開口40が形成されている。ただし、開口の外形はこれに限られず、円形や楕円形、三角形やひし形や五角形以上の多角形であってもよい。
【0028】
なお、容器ホルダ30の構成材料は特に限定されるものではない。容器ホルダ30は、例えば、金属や樹脂で構成することができる。
【0029】
攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、駆動機構50を含む。駆動機構50は、容器ホルダ30(容器100)を回転駆動する役割を果たす。駆動機構50は、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させることが可能に構成されている。すなわち、駆動機構50(攪拌脱泡装置1)は、容器ホルダ30を自転させながら公転させることが可能に構成されており、かつ、容器ホルダ30を自転のみさせることが可能に構成されていてもよく、容器ホルダ30を公転のみさせることが可能に構成されていてもよい。以下、駆動機構50の一例について説明する。
【0030】
駆動機構50は、容器ホルダ30を公転させる公転駆動機構として、公転軸10を回転させるモータ51を含む。先に説明したように、攪拌脱泡装置1では、回転体20は公転軸10の回転に伴って回転するように構成されており、容器ホルダ30は回転体20の回転に伴って公転するように構成されている。すなわち、公転軸10を回転させることによって、容器ホルダ30を公転させることができる。そのため、モータ51(モータ51、及び、公転軸10、回転体20)によって、容器ホルダ30を公転させることができる。
【0031】
また、駆動機構50は、容器ホルダ30を自転させる自転駆動機構52を含む。自転駆動機構52は、自転軸32(容器ホルダ30)に固定された自転プーリー54と、回転体20と同心軸に回転可能な自転力付与プーリー56と、自転プーリー54及び自転力付与プーリー56にかけまわされたベルト58と、ベルト58を屈曲させるための図示しないアイドラプーリーを含む。この構成では、ベルト58によって、自転プーリー54及び自転力付与プーリー56の回転角速度が関連付けられる。そのため、自転プーリー54と自転力付与プーリー56とを、遊星機構と同様に挙動させることができ、自転力付与プーリー56の回転角速度を規制しながら回転体20を回転(自転プーリー54を公転)させることによって、自転プーリー54を自転させる(自転プーリー54に自転トルクを付与する)ことが可能になる。例えば自転力付与プーリー56が回転しないように設定された状態で、回転体20を反時計回りに自転させると(自転プーリー54を反時計回りに公転させると)、自転プーリー54は、自転軸線L2を中心に時計回りに自転する。そして、自転プーリー54は自転軸32(容器ホルダ30)に固定されていることから、容器ホルダ30が自転することになる。あるいは、自転力付与プーリー56を回転体20と同じ角速度で回転させることにより、容器ホルダ30を、公転のみさせることも可能である。なお、攪拌脱泡装置1では、自転駆動機構52をプーリーとベルトを利用して構成したが、自転駆動機構は歯車等の動力伝達要素を利用して構成することも可能である。
【0032】
本実施の形態では、駆動機構50を、容器ホルダ30の自転角速度を所望の値に設定することが可能に構成することができる。自転駆動機構52では、自転力付与プーリー56の回転角速度を調整することにより、容器ホルダ30の自転角速度を所望の値に設定することが可能になる。そのため、駆動機構50は、特に図示しないが、自転力付与プーリー56の回転角速度を調整するための機構を備えていてもよい。自転力付与プーリー56の回転角速度を調整するための機構は、例えば、モータ51とは別に用意された自転力付与モータの駆動力や、ブレーキの制動力を利用する機構など、すでに公知となっているいずれかの機構によって実現することができる。
【0033】
攪拌脱泡装置1は、容器ホルダ30の回転角速度(自転角速度及び公転角速度)を制御する制御装置を含んでいてもよい(図示せず)。制御装置は、例えば、駆動機構50の動作を調整することによって、容器ホルダ30の回転角速度を制御するように構成することができる。具体的には、制御装置は、モータ51の駆動(回転速度)を調整することにより、容器ホルダ30の公転角速度を制御するように構成することができる。また、制御装置は、自転力付与プーリー56の回転速度を制御するために設けられた自転力付与モータの駆動力や、ブレーキの制動力を調整することにより、容器ホルダ30の自転角速度を制御するように構成することができる。
【0034】
制御装置は、経過時間と関連付けられて予め定められた回転角速度で、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させるように構成することが可能である。言い換えると、攪拌脱泡装置1は、制御装置によって、時間の経過に伴って回転角速度(自転角速度及び公転角速度)を変化させることができるように構成されていてもよい。これにより、容器ホルダ30を、所望の回転角速度で、所望の時間、自転及び/又は公転させることが可能になるため、被攪拌脱泡材料Mに最も適した手順で、被攪拌脱泡材料Mを攪拌脱泡することが可能になる。
【0035】
制御装置(攪拌脱泡装置1)は、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させる工程の最後に、容器ホルダ30を公転のみさせるように構成されていてもよい。なお、「公転のみさせる」とは、「容器ホルダ30が回転体20に対して回転しない状態で、容器ホルダ30を公転させる」こと、及び、「容器ホルダ30を公転させながら、公転角速度に対して極めて小さい自転角速度(例えば1/40程度)で自転させる」ことを含むものとする。
【0036】
攪拌脱泡装置1は、収納容器100の内部を減圧する減圧手段60を含む。本実施の形態では、収納容器100には貫通穴130が形成されており、減圧手段60は、貫通穴130を介して収納容器100内部を減圧するように構成されている。以下、減圧手段60について詳述する。
【0037】
減圧手段60は、一端が収納容器100に連接された吸引ホース62を含む。減圧手段60は、吸引ホース62(吸引ホース62及び貫通穴130)を介して収納容器100内部を減圧するように構成される。吸引ホース62は、既に公知となっているいずれかの管状部材を適用することができるが、攪拌脱泡装置1の使用条件に適合したものを利用することが好ましい。吸引ホース62は、例えば、収納容器100を自転及び公転させる工程で破損しない、十分な強度を備えていることが好ましい。また、吸引ホース62は、収納容器100内部を減圧するための負圧によって潰れないように構成されていることが好ましい。さらに、吸引ホース62は、可撓性を示すように構成されていてもよい。そして、本実施の形態では、吸引ホース62は、固定部材64によって収納容器100に固定されている。
【0038】
減圧手段60は、収納容器100内を減圧するための減圧ポンプ66を含む。減圧ポンプ66は、中継管68を介して吸引ホース62に連接されて、収納容器100内部を減圧するように構成されている。
【0039】
本実施の形態では、中継管68は、回転部材70を含んで構成されている。回転部材70は、第1の回転継手72を介して、筐体80(接続部材76)に回転可能に取り付けられている。そして、吸引ホース62は、第2の回転継手74を介して、回転部材70に回転可能に取り付けられている。かかる構成とすることで、吸引ホース62の一端が収納容器100に固定されている場合でも、収納容器100を自転及び公転させる工程で、吸引ホース62がねじれて損傷することを防止することができる。
【0040】
中継管68は、また、筐体80の外側に配置され、回転部材70(第1の回転継手72)と減圧ポンプ66とを接続する接続部材76を含む。接続部材76は、必要に応じて、図示しない圧力計や、各種のバルブを備えた構成とすることができる。
【0041】
攪拌脱泡装置1は、支持体82を含む。支持体82は、筐体80内部で、回転体20及び駆動機構50(公転軸10)を支持する役割を果たす。本実施の形態では、支持体82は、防振手段84(防振ワイヤや防振バネなど)を介して筐体80に取り付けられている。攪拌脱泡装置1は、また、筐体80内に空気を供給する給気手段、及び、筐体80から空気を排出する排気手段の少なくとも一方を有する構成とすることができる(図示せず)。例えば、攪拌脱泡装置1は、筐体80内に連通された給排気ダクトや、ファンを備えた構成とすることができる。なお、給排気手段は、温調手段を備え、所定の温度に調整された空気を筐体80内に供給することが可能に構成されていてもよい。
【0042】
攪拌脱泡装置1は、図1〜図3、及び、図5に示すように、収納容器100を含む。収納容器100は、材料(被混練脱泡材料)Mが収納される容器である。収納容器100は、容器ホルダ30に着脱可能に構成されている。また、収納容器100は、容器ホルダ30に保持されて容器ホルダ30の自転に伴って自転し、容器ホルダ30の公転に伴って公転するように構成される。なお、収納容器100の構成材料は特に限定されるものではなく、樹脂や金属など、既に公知となっているいずれかの材料によって構成された容器を利用することができる。また、本実施の形態では、材料Mは、収納容器100に直接収納されている。
【0043】
収納容器100は、容器本体110を含む。容器本体110は内部空間を有し、該内部空間に材料Mを収納するように構成されている。容器本体110(容器本体110の外側面上方)には下向きの凹部112が形成されており、凹部112と凸部35とを嵌合させることにより、収納容器100と容器ホルダ30との空回りを防止することができる。そして、先述の開口40は、容器本体110の側面(すなわち収納容器100の側面)を露出させるように形成されている。
【0044】
収納容器100は、また、蓋体120を含む。蓋体120は、内蓋122と外蓋124とを含む。本実施の形態では、蓋体120は、収納容器100(容器本体110)内部を気密に保持することが可能に構成されている。例えば、容器本体110と内蓋122とを密着嵌合させることにより、容器本体110内部を気密に保持することが可能になる。また、先述した吸引ホース62(固定部材64)は、外蓋124に固定される。
【0045】
本実施の形態では、収納容器100には貫通穴130が形成されている。貫通穴130は、蓋体120(内蓋122及び外蓋124)に形成されている。貫通穴130によって、収納容器100の内側と外側とが連通される。なお、収納容器100では、貫通穴130は蓋体120の中央部(自転軸線L2と交差する領域)に設けられているが、貫通穴130は蓋体120の端部や、容器本体110に形成することも可能である。
【0046】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、以上のように構成されている。なお、攪拌脱泡装置1の処理の対象となる材料Mは、特に限定されるものではない。材料Mは、例えば接着剤、半田、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、粘性の強い液状の薬剤等の液体状の(ペースト状の)材料が含まれる。ただし、材料Mは、固体状(粉体状)の材料であってもよい。また、材料Mは、液体状の材料と固体状の材料の混合材料であってもよい。
【0047】
(2)作用効果
次に、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1が奏する作用効果について説明する。
【0048】
攪拌脱泡装置1によると、容器ホルダ30には開口40が形成されているため、収納容器100の側面を空気と接触させることができ、収納容器100の周囲の空気を熱媒体として作用させることができる。そのため、収納容器100を回転(自転及び/又は公転)させる際に、収納容器100の温度を調整することが可能になり、収納容器100に収納された材料Mの温度を調整(冷却・加熱)することが可能になる。また、攪拌脱泡装置1によると、収納容器100を回転させることにより、材料Mの攪拌脱泡処理が行われる。すなわち、攪拌脱泡装置1によると、材料Mの攪拌脱泡処理中に、材料Mの温度を調整することが可能になる。
【0049】
また、攪拌脱泡装置1によると、吸引ホース62を利用して収納容器100内部を減圧する。そのため、収納容器100内部を減圧する場合でも、収納容器100の周囲の空気の入れ替えが可能になる。これにより、収納容器100の周囲の気温を調整することが可能になり、収納容器100及び材料Mの温度を調整することが可能になる。なお、収納容器100内部を減圧することにより、材料Mに内在する気泡が放出されやすくなるため、精度の高い脱泡処理が可能になる。
【0050】
(3)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る攪拌脱泡方法について説明する。図6は、本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法について説明するためのフローチャート図である。
【0051】
本実施の形態に係る攪拌脱泡方法は、図6に示すように、収納容器100(容器本体110)に材料Mを収納し、容器本体110に蓋体120を取り付ける工程(ステップS10)と、蓋体120に吸引ホース62を取り付ける工程(ステップS12)と、収納容器100を容器ホルダ30に保持させる工程(ステップS14)と、攪拌脱泡装置1を運転して容器ホルダ30を自転及び/又は公転させ、かつ、収納容器100内を減圧する工程(ステップS16)とを含む。以上の工程によって、材料Mを攪拌脱泡することができる。なお、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させる工程では、容器ホルダ30を自転のみさせる工程、公転のみさせる工程、自転させながら公転させる工程を自由に組み合わせることが可能である。そして、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させる工程の最後に、容器ホルダ30を公転のみさせる温調工程を行うことも可能である。また、自転速度及び公転速度についても、材料Mに合わせて適宜設定することができる。
【0052】
(4)第1の変形例
以下、本実施の形態の第1の変形例について説明する。図7〜図9は、第1の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【0053】
本変形例では、収納容器は、図7に示す容器本体150を含む。容器本体150の側面は、凹凸面となっている。そして、容器本体150は、凸部152が容器ホルダ30に接触し、凹部154が容器ホルダ30と間隔をあけて配置されるように(非接触に)構成される。すなわち、本変形例では、容器ホルダ30の内側面の一部(特に、開口40の周縁領域の少なくとも一部)が、容器本体150と非接触となる。容器本体150を利用することで、収納容器(容器本体150)の側面に空気の流路を出現させることができるため、収納容器と空気との間の熱の交換を、効率よく行うことができる。
【0054】
なお、容器本体150は、図8に示すように、側面に溝部156を有する構成となっていてもよい。このとき、隣り合う溝部156の間の領域が凸部152となり、溝部156の底部が凹部154となる。あるいは、容器本体150は、図9に示すように、側面に複数の突状部158を有する構成となっていてもよい。このとき、突状部158の頂点が凸部152となり、突状部158の間の領域が凹部154となる。
【0055】
(5)第2の変形例
以下、本実施の形態の第2の変形例について説明する。図10は、第2の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【0056】
本変形例では、収納容器は、図10に示す容器本体160を含む。容器本体160の外径(収納容器の外径)は、図10に示すように、容器ホルダ30の内径よりも小さくなっている。容器本体160を利用した場合でも、容器本体160を、容器ホルダ30と間隔をあけて配置することができる。そのため、容器本体160を利用することで、収納容器(容器本体160)の側面に空気の流路を出現させることができるため、収納容器と空気との間の熱交換を、効率よく行うことができる。なお、本変形例では、収納容器(容器本体160)の側面を、すべて、容器ホルダ30の内側面と非接触とすることが可能である。ただし、収納容器(容器本体160)の側面の一部(上端部及び/又は下端部)のみを、容器ホルダ30の内側面と接触させることも可能である。なお、容器本体160を、図示しない凹部112を有する構成とし、凹部112と容器ホルダの凸部35とを嵌合させることにより、収納容器と容器ホルダとの空回りを防止することができる。あるいは、図示しないが、容器本体160の側面にOリングなどの滑り止め(着脱自在の滑り止め)を取り付け、これにより収納容器と容器ホルダとの空回りを防止する構成とすることも可能である。
【0057】
(6)第3の変形例
以下、本実施の形態の第3の変形例について説明する。図11(A)及び図11(B)は、第3の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【0058】
本変形例では、攪拌脱泡装置は、図11(A)及び図11(B)に示すように、収納容器(容器本体160)と容器ホルダ30との間に配置されるアダプタ170を含む。なお、図11(A)はアダプタ170の斜視図であり、図11(B)は、アダプタ170を介して、収納容器(容器本体160)が容器ホルダ30に保持された状態を示す図である。アダプタ170には複数の貫通穴172が形成されている。また、アダプタ170は、隣り合う貫通穴172にまたがる薄肉部174(溝部)を有する。本変形例では、薄肉部174は、アダプタ170の外側から形成された凹部によって構成されている。ただし、薄肉部は、アダプタ170の内側から形成された凹部によって構成することも可能である。アダプタ170を利用した場合でも、容器ホルダ30と収納容器との間に空気の流路を出現させることが可能になる。
【0059】
2.第2の実施の形態
以下、本発明を適用した第2の実施の形態について、図12〜図17を参照して説明する。
【0060】
攪拌脱泡装置2は、図12〜図15に示すように、容器ホルダ90を含む。容器ホルダ90には、図13及び図14に示すように、収納容器200を露出させる開口92が形成されている。また、容器ホルダ90は、内壁面が凹凸面となっている。そして、容器ホルダ90は、図15に示すように、凸部94が収納容器200に接触し、凹部96が収納容器200と間隔をあけて配置されるように(非接触に)構成される。かかる構成とすることで、収納容器200の側面に空気の流路を出現させることができるため、収納容器200と空気との間で、効率よく熱の交換を行うことができる。
【0061】
なお、容器ホルダ90の内壁面は、図16に示すように、隣り合う開口92にまたがる溝部95を有するように構成されていてもよい。このとき、溝部95の間の領域が凸部94となり、溝部95の底部が凹部96となる。なお、図16では、容器ホルダ90の仮想の断面を、破線で示してある。あるいは、容器ホルダ90の内壁面は、図17に示すように、複数の突状部97を有するように構成されていてもよい。このとき、突状部97が凸部94となり、突状部97の間の領域が凹部96となる。
【0062】
本実施の形態では、図12に示すように、容器ホルダ90は、回転体22に自転可能に取り付けられている。容器ホルダ90は、回転体22の回転軸線(公転軸線L1)と平行に延びる仮想の直線(自転軸線L3)を中心に自転するように取り付けられている。公転軸線L1と自転軸線L3とが平行になるように構成することで、ベルト58を屈曲させる必要がなくなるため、駆動機構50(特に、自転駆動機構52)の構成を簡素化することができるとともに、動力伝達効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図2】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図3】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図4】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図5】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図6】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図である。
【図7】第1の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図8】第1の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図9】第1の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図10】第2の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図11】第3の変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図12】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図13】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図14】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図15】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図16】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【図17】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
1…攪拌脱泡装置、 2…攪拌脱泡装置、 10…公転軸、 20…回転体、 22…回転体、 30…容器ホルダ、 32…自転軸、 34…軸受け、 35…凸部、 40…開口、 50…駆動機構、 51…モータ、 52…自転駆動機構、 54…自転プーリー、 56…自転力付与プーリー、 58…ベルト、 60…減圧手段、 62…吸引ホース、 64…固定部材、 66…減圧ポンプ、 68…中継管、 70…回転部材、 72…第1の回転継手、 74…第2の回転継手、 76…接続部材、 80…筐体、 82…支持体、 90…容器ホルダ、 92…開口、 94…凸部、 95…溝部、 96…凹部、 97…突状部、 100…収納容器、 110…容器本体、 112…凹部、 120…蓋体、 122…内蓋、 124…外蓋、 130…貫通穴、 150…容器本体、 152…凸部、 154…凹部、 156…溝部、 158…突状部、 160…容器本体、 170…アダプタ、 172…貫通穴、 174…薄肉部、 200…収納容器、 L1…公転軸線、 L2…自転軸線、 L3…自転軸線、 M…材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の所定の位置に自転可能に取り付けられた、前記回転体の回転に伴って公転する容器ホルダと、
前記容器ホルダに保持されて前記容器ホルダの回転に伴って回転する、材料が収納された収納容器と、
を含み、
前記容器ホルダには、前記収納容器の側面を露出させる開口が形成されている攪拌脱泡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダは、内側面の少なくとも一部が、前記収納容器の外側面と非接触となるように構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は、凹凸面となっている攪拌脱泡装置。
【請求項4】
請求項2に記載の攪拌脱泡装置において、
前記収納容器の外側面は、凹凸面となっている攪拌脱泡装置。
【請求項5】
請求項2に記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内径は、前記収納容器の外径よりも大きい攪拌脱泡装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
一端が前記収納容器に連接された吸引ホースを有し、前記吸引ホースを介して前記収納容器の内部を減圧する減圧手段をさらに含む攪拌脱泡装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate