説明

攪拌脱泡装置

【課題】容器を公転させながら自転させることによって、該容器に収納された材料を攪拌脱泡する装置であって、ベアリングの温度上昇を低減することが可能な攪拌脱泡装置を提供する。
【解決手段】攪拌脱泡装置1は、回転軸線(公転軸線L1)を中心に回転可能に構成された回転体10(底板12、横板14、及び、上板16)と、回転体の回転に伴って回転軸線を中心に公転するベアリングケース20と、ベアリングケースに保持されたベアリング30と、ベアリングに保持されて回転体に対して回転可能に構成された、収納容器100を保持するための容器ホルダ50と、中空の管状部材40と、を含む。管状部材は、平面視において回転軸線を中心とする円周Cに沿って延びる形状となっており、かつ、その内部空間がベアリングケースの内部空間に連通するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌脱泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料が収納された容器を公転させながら自転させることによって当該材料を攪拌脱泡する装置(自転公転方式の攪拌脱泡装置)が知られている(例えば特許文献1参照)。この攪拌脱泡装置では、容器を公転させながら自転させることによって容器内の材料に作用する遠心力を利用して、材料を攪拌する(混練する、混合する、分散させる)とともに、材料に内在する気泡を放出させて脱泡することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-43568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この攪拌脱泡装置では、容器(容器ホルダ)を回転可能な構造とするためにベアリングが利用されることが一般的であり、このベアリングの温度上昇を低減する手段の開発が期待されていた。
【0005】
本発明の一つの態様は、容器を公転させながら自転させることによって該容器に収納された材料を攪拌脱泡する装置であって、ベアリングの温度上昇を低減することが可能な攪拌脱泡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る攪拌脱泡装置は、
内部に材料が収納された収納容器を公転させながら自転させることによって、前記材料を攪拌脱泡する攪拌脱泡装置であって、
所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体に対して固定されており、前記回転体の回転に伴って前記回転軸線を中心に公転するベアリングケースと、
前記ベアリングケースに保持されたベアリングと、
前記ベアリングに保持されて前記回転体に対して回転可能に構成された、前記収納容器を保持するための容器ホルダと、
中空の管状部材と、
を含み、
前記管状部材は、平面視において前記回転軸線を中心とする円周に沿って延びる形状となっており、かつ、その内部空間が前記ベアリングケースの内部空間に連通するように構成されている。
【0007】
本発明によると、ベアリング(ベアリングケース)の温度が上昇しにくい攪拌脱泡装置を提供することができる。
【0008】
(2)この攪拌脱泡装置において、
前記ベアリングケースの前記円周と交差する位置には、貫通穴が形成されており、
前記貫通穴を介して、前記管状部材の内部空間と前記ベアリングケースの内部空間とが連通してもよい。
【0009】
(3)この攪拌脱泡装置において、
前記ベアリングケース及び前記管状部材は、内部に流体を封入することが可能に構成されていてもよい。
【0010】
(4)この攪拌脱泡装置において、
前記流体は、前記ベアリングの潤滑液であってもよい。
【0011】
(5)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの自転方向が、前記回転体の回転方向とは反対方向となるように構成されていてもよい。
【0012】
(6)本発明に係る攪拌脱泡装置は、
内部に材料が収納された収納容器を公転させながら自転させることによって、前記材料を攪拌脱泡する攪拌脱泡装置であって、
所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体に対して固定されており、前記回転体の回転に伴って前記回転軸線を中心に公転するベアリングケースと、
前記ベアリングケースに保持されたベアリングと、
前記ベアリングに保持されて前記回転体に対して回転可能に構成された、前記収納容器を保持するための容器ホルダと、
中空の管状部材と、
を含み、
前記管状部材は、平面視において前記回転軸線を中心とする円周に沿って延びる形状となっており、かつ、前記ベアリングケースとの間で熱が伝達されるように構成されている。
【0013】
本発明によると、ベアリング(ベアリングケース)の温度が上昇しにくい攪拌脱泡装置を提供することができる。
【0014】
(7)この攪拌脱泡装置において、
前記管状部材は、前記ベアリングケースと接触するように構成されていてもよい。
【0015】
(8)この攪拌脱泡装置において、
前記管状部材及び前記ベアリングケースに接触する熱伝導部材をさらに含んでもよい。
【0016】
(9)この攪拌脱泡装置において、
前記管状部材は、内部に流体を封入することが可能に構成されていてもよい。
【0017】
(10)この攪拌脱泡装置において、
前記流体を前記円周方向に流動させるための流動機構をさらに含んでもよい。
【0018】
(11)この攪拌脱泡装置において、
前記回転体の回転数を制御する制御手段をさらに含み、
前記制御手段は、所与のタイミングで、前記回転体の回転数を低下させる処理及び上昇させる処理を行うように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図2】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図3】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図4】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図5】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図6】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図7】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図8】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡方法を説明するための図。
【図9】第1の実施の形態に係る攪拌脱泡方法を説明するための図。
【図10】第1の実施の形態の変形例を説明するための図。
【図11】第2の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図12】第2の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図13】第2の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図14】第2の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図15】第2の実施の形態の変形例を説明するための図。
【図16】第3の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図17】第3の実施の形態に係る攪拌脱泡装置を説明するための図。
【図18】第3の実施の形態の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明に必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含む。
【0021】
1.第1の実施の形態
以下、本発明を適用した第1の実施の形態について説明する。
【0022】
(1)攪拌脱泡装置1の構成
はじめに、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1の構成について、図1〜図6を参照しながら説明する。ここで、図1〜図3は、攪拌脱泡装置1の側面図、斜視図、上視図である。また、図4(A)は図1のIVA−IVA線断面図であり、図4(B)は攪拌脱泡装置1の垂直断面の一部拡大図である。さらに、図5は攪拌脱泡装置1の駆動機構について、図6は攪拌脱泡装置1の制御手段について、それぞれ説明するための図である。
【0023】
攪拌脱泡装置1は、図1〜図3に示すように、回転体10を含む。回転体10は、所定の回転軸線を中心に回転可能に構成されている。本実施の形態では、回転体10は、図1に示すように、鉛直に延びる仮想の直線(公転軸線L1)を中心に回転可能に構成されている。ただし、回転体10は、水平方向に延びる直線を軸線として回転するように構成することも可能である(図示せず)。本実施の形態では、回転体10は底板12と、底板12に固定された横板14及び上板16とを含んで構成されている(図2及び図3参照)。
【0024】
攪拌脱泡装置1は、図1〜図5に示すように、ベアリングケース20を含む。ベアリングケース20は、後述するベアリング30を保持する役割を果たす(図4(B)参照)。本実施の形態では、ベアリングケース20は内部空間20Sを有し、ベアリング30は内部空間20S内に配置される。すなわち、本実施の形態では、ベアリングケース20の内部空間20Sは、ベアリング30を保持するための空間である。ベアリングケース20は、公転軸線L1から所定の間隔をあけた位置に配置され、かつ、回転体10に対して固定される。これにより、ベアリングケース20は、回転体10の回転に伴って公転軸線L1を中心に公転することになる。攪拌脱泡装置1では、ベアリングケース20は、回転体10の横板14に固定されている。また、攪拌脱泡装置1では、図1及び図4(B)に示すように、ベアリングケース20は、ベアリング30の回転軸線が公転軸線L1と交差する姿勢となるように回転体10に取り付けられている。また、ベアリングケース20は、回転体10に着脱することが可能な構成とすることができる。
【0025】
ベアリングケース20には、貫通穴22が形成されている(図4(A)及び図5参照)。貫通穴22は、回転体10の回転軸(公転軸線L1)を中心とする円周Cと交差する位置に配置される。攪拌脱泡装置1では、貫通穴22を介して、ベアリングケース20の内部空間20Sと、後述する管状部材40の内部空間40Sとが連通する。
【0026】
攪拌脱泡装置1は、二つのベアリングケース20を有する。そして、この二つのベアリングケース20は、回転体10の回転軸線(公転軸線L1)を中心とする点対称となるように配置されている。ただし、攪拌脱泡装置を、一つの回転体10に3個以上の複数のベアリングケース20を取り付けた構成とすることも可能である(図示せず)。
【0027】
攪拌脱泡装置1は、図4(B)に示すように、シール部材28を有する。シール部材28は、後述する潤滑液Lが、ベアリングケース20の内部空間20Sから排出されることを防止する役割を果たす。本実施の形態では、シール部材28は、容器ホルダ50と、ベアリングケース20の上端開口との間に設けられている。ただし変形例として、攪拌脱泡装置を、シール部材を有しない構成とすることも可能である(図示せず)。シール部材を有しない場合でも、ベアリングホルダの形状を工夫し、遠心力の作用を利用することによって、潤滑液Lの排出を防止することが可能になる。
【0028】
攪拌脱泡装置1は、図4(B)に示すように、ベアリング30を有する。ベアリング30は、ベアリングケース20に保持され、後述する容器ホルダ50を、回転体10(ベアリングケース20)に対して回転可能に支持する役割を果たす。具体的には、攪拌脱泡装置1では、ベアリング30の外輪32が、ベアリングケース20に固定される。また、ベアリング30の内輪34が、容器ホルダ50の自転軸52に固定される。これにより、容器ホルダ50は、回転体10に対して回転(自転)可能に支持される。
【0029】
攪拌脱泡装置1は、図1〜図4(A)に示すように、中空の管状部材40を有する。管状部材40は、図3に示すように、平面視において、回転体10の回転軸線(公転軸線L1)を中心とする円周Cに沿って延びる形状となっており、その外形は円弧状になっている。また、攪拌脱泡装置1では、管状部材40は、公転軸線L1と直交する仮想の平面上に配置される(図1参照)。
【0030】
攪拌脱泡装置1では、管状部材40は中空となっており、図4(A)に示すように、その内部空間40Sが、ベアリングケース20の内部空間20Sに連通するように構成されている。なお、本実施の形態では、ベアリングケース20の、円周Cと交差する位置に貫通穴22が形成されており、ベアリングケース20の内部空間20Sと管状部材40の内部空間40Sとは、貫通穴22を介して連通している(図4(A)参照)。
【0031】
本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、図2及び図3に示すように、二つの管状部材40を有する。この二つの管状部材40は、それぞれ、一端が一方のベアリングケース20に固定されており、他端が他方のベアリングケース20に固定されている。そして、この二つの管状部材40は、その内部空間40Sが、それぞれ、二つのベアリングケース20の内部空間20Sに連通するように構成されている(図4(A)参照)。
【0032】
本実施の形態では、管状部材40の構成素材は特に限定されるものではない。管状部材40は、例えばアルミ等の金属で構成することができる。また、本実施の形態では、管状部材40は、ベアリングケース20に着脱することが可能な構成とすることができる。また、本実施の形態では、管状部材40は、円周Cと直交する仮想平面で切断した断面が、円形となるように構成されている。ただし、管状部材40は、同断面が矩形や楕円形となるように構成することも可能である(図示せず)。あるいは、管状部材40を、外周に放熱板を取り付けた構成とすることも可能である(図示せず)。
【0033】
本実施の形態では、ベアリングケース20及び管状部材40は、内部に、所与の流体を封入することが可能に構成されている。ベアリングケース20及び管状部材40の内部に封入される流体(封入流体)の性質は特に限定されるものではないが、内部空間20S及び内部空間40S内を自由に流動することが可能な流体を選択することが好ましい。攪拌脱泡装置1では、封入流体として、ベアリング30の潤滑液Lを利用することが可能である(図4(B)参照)。潤滑液Lとして、潤滑油や純水など、すでに公知となっているいずれかの液体を利用することができる。ただし変形例として、攪拌脱泡装置1を、ベアリングケース20及び管状部材40内に液体を封入しない状態で動作させることも可能である。また、本実施の形態では、封入流体は、内部空間20S及び内部空間40S内に充填されている。言い換えると、本実施の形態では、内部空間20S及び内部空間40S内に空気(気泡)が入らないように(すなわち、内部空間20S及び内部空間40Sの容積と、封入流体の体積とが等しくなるように)、封入流体が封入されている。ただし変形例として、内部空間20S及び内部空間40S内に空気が存在するように(すなわち、内部空間20S及び内部空間40Sの容積よりも、封入流体の体積が小さくなるように)、封入流体を封入することも可能である。
【0034】
攪拌脱泡装置1は、図1〜図3、図4(B)に示すように、容器ホルダ50を有する。容器ホルダ50は、収納容器100を保持する役割を果たす。本実施の形態では、容器ホルダ50は、ベアリング30に保持される。詳しくは、容器ホルダ50は自転軸52を有し、この自転軸52がベアリング30に保持される。これにより、容器ホルダ50は、回転体10の所定の位置を通る仮想の直線(自転軸線L2)を中心に、回転体10に対して回転(自転)可能となる。なお、本実施の形態では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、所定の角度で斜めに交差する直線となっている。より具体的には、攪拌脱泡装置1は、公転軸線L1と自転軸線L2とは、45度の角度で交差するように構成されている。ただし、変形例として、公転軸線L1と自転軸線L2とが平行になるように、攪拌脱泡装置を構成することも可能である(図示せず)。
【0035】
攪拌脱泡装置1は、図5に示すように、駆動機構60を含む。駆動機構60は、容器ホルダ50(収納容器100)を公転させながら自転させることが可能に構成されている。以下、駆動機構60の一例について、図5を参照して説明する。なお、図5は、駆動機構60について説明するための図である。
【0036】
駆動機構60は、中心軸62を有する。中心軸62は、支持基板80に対して回転可能に構成された棒状の部材である。本実施の形態では、中心軸62は、支持基板80に固定された支持部材82に挿通され、図示しないベアリングを介して支持部材82に取り付けられている。これにより、中心軸62が、支持基板80に対して回転可能となる。なお、先述した回転体10は、ベアリングを介して中心軸62に取り付けられる。これにより、回転体10は、中心軸62と同心に、中心軸62とは異なる回転数で回転可能となる。すなわち、先述の公転軸線L1は、中心軸62の回転軸線と一致する。
【0037】
駆動機構60は、プーリー64を有する。プーリー64は、図示しないベアリングを介して中心軸62に取り付けられる。これにより、プーリー64は、中心軸62と同心に、中心軸62とは異なる回転数で回転可能となる。なお、プーリー64は、回転体10(底板12)に固定されており、回転体10と同じ回転数で回転することになる。
【0038】
そして、駆動機構60は、プーリー64を回転させるモータ66を含む。攪拌脱泡装置1では、プーリー64が回転すると、回転体10が回転して、容器ホルダ50が公転する。すなわち、モータ66により、容器ホルダ50を公転させることができる。なお、本実施の形態では、モータ66(モータ66、及び、後述するモータ78)として、すでに公知となっているいずれかのモータを利用することができる。例えば本実施の形態では、モータ66として、誘導モータ(インダクションモータ)を適用することができる。なお、誘導モータの回転数は、インバータから出力される交流電力の周波数を制御することにより、任意の値に設定することが可能である。ただし、モータ66として、サーボモータやPMモータを利用することも可能である。
【0039】
また、駆動機構60は、容器ホルダ50を自転させる自転駆動機構70を含む。以下、自転駆動機構70について説明する。
【0040】
自転駆動機構70は、容器ホルダ50に固定された自転歯車72を有する。自転歯車72は、容器ホルダ50の外周に固定されており、容器ホルダ50と同心に(自転軸線L2を中心に)回転する。
【0041】
自転駆動機構70は、自転力付与歯車74を有する。自転力付与歯車74は中心軸62に固定されており、中心軸62と同心に回転する。
【0042】
自転駆動機構70は、中継歯車ユニット76を含む。中継歯車ユニット76は、自転歯車72とかみ合う第1中継歯車76−1と、自転力付与歯車74とかみ合う第2中継歯車76−2とを含み、第1中継歯車76−1及び第2中継歯車76−2は連結されて同じ回転数で回転するように構成されている。なお、中継歯車ユニット76は、回転体10に固定されたベアリングケースに保持されたベアリングに支持されており、これにより、回転体10に対して回転可能となっている。
【0043】
自転駆動機構70は、モータ78を有する。モータ78は、自転力付与歯車74の回転数を制御する役割を果たす。具体的には、モータ78は、中心軸62に固定されたプーリー68を、所定の回転数で回転させる。攪拌脱泡装置1では、中心軸62が自転力付与歯車74に固定されていることから、モータ78によって自転力付与歯車74の回転数を制御することが可能になる。
【0044】
駆動機構60(自転駆動機構70)によると、中継歯車ユニット76によって、自転歯車72及び自転力付与歯車74の回転角速度が関連付けされるため、自転歯車72及び自転力付与歯車74が、遊星歯車機構と同様の挙動を示すことになる。そのため、モータ78で自転力付与歯車74の回転数を制御しながらモータ66で回転体10を回転させると、自転歯車72は公転しながら自転することになる。そして、容器ホルダ50は自転歯車72と一体的に挙動することから、駆動機構60によって、容器ホルダ50を公転させながら自転させることが可能になる。
【0045】
なお、攪拌脱泡装置1では、モータ78によって、自転力付与歯車74の回転数を制御する構成となっており、これにより、容器ホルダ50の公転数及び自転数を自由に設定することが可能になる。ただし変形例として、自転力付与歯車74の回転数を制御する機構として、モータ78に代えて、ブレーキを利用することも可能である。また、攪拌脱泡装置1では、駆動機構(自転駆動機構70)を歯車を利用して構成したが、駆動機構はプーリー及びベルト等の動力伝達要素を利用して構成することも可能である(図示せず)。
【0046】
攪拌脱泡装置1は、図6に示す制御手段90を含む。制御手段90は、攪拌脱泡装置1の動作を統括制御する役割を果たす。制御手段90は、攪拌脱泡装置1をシーケンス制御するように構成することができる。以下、制御手段90について説明する。図6は、制御手段90について説明するための図である。
【0047】
制御手段90は、マイクロプロセッサ(CPU92)と、容器ホルダ50の公転数及び自転数を制御する駆動制御部94を含む。そして、CPU92は、駆動制御部94に各種の信号を出力することにより、攪拌脱泡装置1の駆動を制御する。
【0048】
ここで、攪拌脱泡装置1では、容器ホルダ50は回転体10の回転に伴って公転することから、モータ66の出力を制御することによって、容器ホルダ50の公転数が制御される。また、攪拌脱泡装置1では、容器ホルダ50は、モータ78の出力を制御することによって自転数が制御される。このことから、モータ66及びモータ78の出力を制御することにより、容器ホルダ50を所望の回転数(公転数及び自転数)で回転させることが可能になる。
【0049】
例えばモータ66,78としてインダクションモータを採用する場合には、駆動制御部94は、インバータの動作を制御し、モータ66,78に供給される交流電力の周波数を所定値とするためのインバータ制御部によって実現することができる。あるいは、モータ66,78としてサーボモータを採用する場合には、駆動制御部94は、専用のドライバ及びハードウェアによって実現され、モータ66,78を所望の回転数で動作させるための各種処理を行う。そして、CPU92は、所定のタイミングで、駆動制御部94に各種の信号(収納容器100の回転数データ等)を送信する処理を行う。これにより、容器ホルダ50(収納容器100)を所望の回転数で回転させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、制御手段90は、所定のタイミングで、回転体10の回転数を上昇させる処理及び下降させる処理を繰り返すように構成することができる。具体的には、制御手段90を、CPU92が駆動制御部94にモータ66の増速信号及び減速信号を繰り返し送信するように構成することによって実現することができる。なお、「所定のタイミング」とは、例えば回転体10の回転数が所定値をこえた場合、あるいは、回転体10の回転開始から所定時間が経過した場合など、材料Mに合わせて自由に設定することができる。
【0051】
また、CPU92は、操作部96から入力された動作データ(収納容器100の公転数データや運転時間データ等)を受け付けて、図示しない記憶部に格納する処理や、表示部98に各種情報(操作部96から入力された動作データや、収納容器100の公転数、経過時間等)を表示させるための処理を行う。
【0052】
攪拌脱泡装置1は、図示しない筐体や、筐体内で支持基板80を支持し、かつ、支持基板80の振動を防止する防振手段(防振ワイヤや防振バネなど)をさらに含んだ構成とすることができる。また、攪拌脱泡装置を、少なくとも収納容器100の内部を減圧するための減圧機構をさらに備えた構成とすることも可能である(図示せず)。
【0053】
(2)収納容器100
次に、図7を参照して、本実施の形態に適用可能な収納容器100について説明する。
【0054】
収納容器100は、材料(被攪拌脱泡材料)Mが収納される容器であり、図7に示すように、容器本体110と、容器本体110に対して着脱可能な蓋体120とを含んでいる。また、蓋体120は、内蓋122と、外蓋124とを含む。収納容器100は、容器ホルダ50に保持されて、容器ホルダ50と一体的に挙動することになる。本実施の形態では、容器ホルダ50及び収納容器100を、両者の空回りを防止するための空回り防止機構を備えた構成とすることが可能である(図示せず)。このとき、空回り防止機構として、既に公知となっているいずれかの機構を採用することができる。
【0055】
(3)材料M
本実施の形態に適用可能な材料Mは、流体として挙動するものであればよく、その組成や用途は特に限定されるものではない。材料Mとして、例えば、接着剤、シーラント剤、液晶材料、半田ペースト、成型に利用される硬化性の樹脂材料、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、粘性の強い液状の薬剤等の種々の材料を適用することができる。また、材料Mとして、ペースト状の材料及び粒状の材料の混合材料を適用することも可能である。
【0056】
(4)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る材料Mの攪拌脱泡方法について、図8及び図9を参照して説明する。ここで、図8は、攪拌脱泡方法を説明するためのフローチャートであり、図9は、攪拌脱泡方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0057】
本実施の形態に係る攪拌脱泡方法は、図8に示すように、材料Mが収納された収納容器100を容器ホルダ50に保持させる工程(ステップS10)と、攪拌脱泡装置1を運転して容器ホルダ50(収納容器100)を公転させながら自転させる工程(ステップS12)とを含む。これにより、収納容器100内で、材料Mを攪拌脱泡することができる。
【0058】
なお、容器ホルダ50を公転させながら自転させる工程(ステップS12)における、容器ホルダ50の公転数及び自転数、運転時間は、材料の性質に合わせて、ユーザが適宜設定することができる。
【0059】
本実施の形態では、回転体10の回転数(モータ66の回転数)は、図9に示すように、時間の経過に伴って変動させることも可能である。具体的には、回転体10の回転数が第1の回転数(w1)になるまで回転体10の回転数を上昇させ、その後、回転体10の回転数が第2の回転数(w2)になるまで回転体10の回転数を低下させる回転数低下処理と、その後、回転体10の回転数が第1の回転数(w1)になるまで回転体10の回転数を上昇させる回転数上昇処理とを繰り返すことが可能である。そして、回転体10の回転開始から所定時間(t)経過後に、回転体10の回転を停止させる処理を行う。なお、第1の回転数(w1)、第2の回転数(w2)、及び所定時間(t)の具体的な値は、材料に合わせて適宜設定することができ、具体的な値は実験により導出することができる。ただし変形例として、回転体10の回転数の設定値を一定にすることも可能である。
【0060】
(5)効果
攪拌脱泡装置1によると、その動作中(材料Mの攪拌脱泡処理中)に、ベアリング30(ベアリングケース20)の温度上昇を低減することができる。以下、その作用効果について詳述する。
【0061】
攪拌脱泡装置1では、回転体10が回転すると、ベアリングケース20及び管状部材40も回転し、その内部に封入された封入流体(潤滑液L)に遠心力が作用する。ところで、図3に示すように、管状部材40は円周Cに沿って延びる形状となっているため、回転体10の回転に伴って封入流体に作用する遠心力の大きさが、管状部材40に沿った各領域で等しくなる。すなわち、攪拌脱泡装置1では、その動作中に、管状部材40に沿って、封入流体に作用する遠心力の勾配が発生しない。そのため、攪拌脱泡装置1によると、その動作中に封入流体を管状部材40に沿って流動させるにあたって、封入流体を、回転体10の回転に伴って発生する遠心力に逆らって移動させる必要がない。このことから、攪拌脱泡装置1によると、その動作時に、封入流体を、容易に、管状部材40に沿って流動させることが可能になる。
【0062】
言い換えると、攪拌脱泡装置1によると、回転体10を回転させたときに、管状部材40(内部空間40S)内に、封入流体に作用する遠心力が特異的な大きさになる領域(特異領域)が発生しない。仮に、管状部材40内に特異領域が発生すると、封入流体は、当該特異領域に向かう力、又は、当該特異領域から離れる力を受けるため、封入流体を管状部材40に沿って流動させることが難しくなる。しかしながら、攪拌脱泡装置1によると、管状部材40には特異領域が発生しないため、封入流体を、容易に、管状部材40に沿った方向に流動させることが可能になる。
【0063】
このことから、攪拌脱泡装置1によると、例えば回転体10の回転数を変化させるだけでも、封入流体を、管状部材40に沿った方向に流動させることができる。すなわち、攪拌脱泡装置1によると、封入流体を流動させるための特別な機構を備えることなく、封入流体を流動させることが可能になる。
【0064】
そして、攪拌脱泡装置1では、封入流体を管状部材40に沿って流動させることにより、その動作中であっても、ベアリングケース20内の封入流体を入れ替えることができる。すなわち、攪拌脱泡装置1によると、封入流体の一部のみがベアリング30と接触する事態の発生を防止することができる。
【0065】
これにより、ベアリング30が発熱した場合でも、封入流体の一部のみが高温になる事態の発生が防止され、封入流体全体の温度を均一に上昇させることができる。そのため、攪拌脱泡装置1の動作中における封入流体の温度上昇ペースを緩やかにすることができ、ベアリング30及びその周辺が大きく温度上昇することを防止することができる。
【0066】
また、攪拌脱泡装置1によると、ベアリング30と接触することによって封入流体の温度が上がった場合でも、管状部材40内を流動する際に、その温度を低下させることができる。そのため、封入流体の温度が上昇しにくくなり、これにより、ベアリング30の温度が大きく上昇することを防止することができる。なお、管状部材40を表面に図示しない放熱板が取り付けられた形状とすることで、管状部材40内を流動する際に、より有効に封入流体の温度を低下させることができる。
【0067】
なお、攪拌脱泡装置1によると、封入流体として潤滑液Lを利用している。そのため、ベアリング30を潤滑液Lに浸した状態で攪拌脱泡装置1を駆動することが可能になり、潤滑液Lを利用しない場合に比べて、ベアリング30にかかる負担を軽減することができる。また、攪拌脱泡装置1では、潤滑液Lは、ベアリングケース20の内部空間20S、及び、管状部材40の内部空間40Sに封入される。そのため、ベアリングケース20の外形(ベアリングケース20の内部空間20S)を大きくすることなく、利用可能な潤滑液Lの量を増やすことができる。これにより、潤滑液Lが劣化しにくい装置を提供することができるとともに、潤滑液Lの熱容量が大きくなるため、潤滑液Lの温度変化が起こりにくくなる。さらに、攪拌脱泡装置1によると、ベアリングケース20内の潤滑液Lが入れ替わるため、潤滑液Lの一部のみが劣化する事態の発生を防止することができる。
【0068】
また、攪拌脱泡装置1によると、封入流体が、内部空間20S及び内部空間40S内に充填されている。そのため、内部空間20S及び内部空間40S内で、封入流体を均一に分布させることができる。このことから、攪拌脱泡装置1の動作中に、攪拌脱泡装置1の重心が変化することを防止することができ、攪拌脱泡装置1の動作を安定させることができる。
【0069】
(6)変形例
本実施の形態の変形例として、ベアリングケース20を、図10に示すように、貫通穴25が形成された構成とすることができる。貫通穴25は、ベアリングケース20におけるベアリング30を保持するための空間30Sと連通しないように構成されている。そして、管状部材40の内部空間40Sは、貫通穴25に連通する。すなわち、本変形例では、貫通穴25(貫通穴25によって区画された空間)を、ベアリングケース20の内部空間と称することができる。かかる構成とした場合でも、封入流体を容易に流動させることが可能になり、効率よくベアリングケース20の温度上昇を低減することができる。なお、図10に示す例では、貫通穴25は直線状に延びる形状となっているが、他の変形例として、貫通穴25を曲線状(円周Cに沿って)に延びる形状とすることも可能である(図示せず)。
【0070】
2.第2の実施の形態
以下、図11〜図14を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
【0071】
(1)攪拌脱泡装置2の構成
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2は、図11及び図12に示すように、ベアリングケース20及び容器ホルダ50を一つのみ有する。また、攪拌脱泡装置2は、バランス錘21を有する。バランス錘21は、回転軸線L1からの距離を変更することが可能な構成とすることができる。バランス錘21により、攪拌脱泡装置を、安定して運転させることができる。
【0072】
攪拌脱泡装置2では、図13及び図14に示すように、ベアリングケース20には貫通穴24が形成されている。なお、貫通穴24は、図13に示すように、ベアリングケース20の内部空間20Sに連通するように、かつ、その中心がベアリング30の回転軸線(すなわち自転軸線L2)よりも外側に配置されるように形成されている。
【0073】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2は、図11〜図13に示すように、管状部材42を有する。管状部材42は、公転軸線L1を中心とする円周Cに沿って延びる形状となっている(図12参照)。本実施の形態では、管状部材42は、両端が、ベアリングケース20に連結された構成となっている。すなわち、管状部材42は、その内部空間が、一つのベアリングケース20の内部空間20Sに連通するように構成されている。なお、管状部材42は、図13に示すように、貫通穴24を介して、その内部空間42Sがベアリングケース20の内部空間20Sに連通するように構成されている。
【0074】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2は、図14に示す駆動機構75を含む。駆動機構75は、容器ホルダ50(収納容器100)を公転させながら自転させることが可能に構成されている。以下、駆動機構75の一例について説明する。
【0075】
駆動機構75は、自転歯車72、自転力付与歯車74、及び、中継歯車ユニット76を有する。そして、駆動機構75では、自転力付与歯車74は、支持基板80に対して回転不能に構成される。具体的には、駆動機構75では、中心軸62が支持部材82に固定されており、これにより、自転力付与歯車74は支持基板80に対して固定される。また、駆動機構75は、動力源として、プーリー64(回転体10)を回転させるためのモータ66のみを有する。
【0076】
この駆動機構75によると、自転歯車72と自転力付与歯車74の回転角速度が、中継歯車ユニット76によって関連付けられる。また、駆動機構75では、自転力付与歯車74は、支持基板80に対して回転不能に構成されている。このことから、駆動機構75では、自転歯車72は遊星歯車機構と同様の挙動を示すことになる。そのため、回転体10を回転させると、自転歯車72は公転しながら自転することになる。そして、容器ホルダ50は自転歯車72と一体的に挙動することから、駆動機構75によって、容器ホルダ50を公転させながら自転させることが可能になる。なお、駆動機構75では、自転歯車72の自転方向は、公転方向とは反対方向となる。例えば図13に示すように、回転体10を第1の方向(矢印Aの方向)に回転させると、自転歯車72は第1の方向に公転し、かつ、第2の方向(矢印Bの方向)に自転することになる。また、駆動機構75では、自転歯車72(容器ホルダ50)の自転角速度は、公転角速度に所定の係数を乗じた値となる。
【0077】
(2)効果
攪拌脱泡装置2によると、管状部材42が、その両端が一つのベアリングケース20に連結された構成となっている。そのため、管状部材42の長さを長くすることができ、ベアリングケース20の内部空間20Sから排出された潤滑液Lが、内部空間20Sに流入するまでの時間を長くすることができる。そのため、管状部材42内で潤滑液Lを十分冷却することができ、ベアリング30の温度上昇を防止することができる。
【0078】
また、攪拌脱泡装置2によると、駆動機構75が、容器ホルダ50の公転方向と自転方向とが反対方向になるように構成されている。このことから、攪拌脱泡装置2によると、ベアリングケース20及び管状部材42の内部空間に封入された流体(封入流体)を、円周Cに沿った方向に流動させることができる。以下、この作用について詳述する。
【0079】
まず、攪拌脱泡装置2では、回転体10が回転するとベアリングケース20及び管状部材42が回転し、これに伴って封入流体も回転する。ただし、通常、封入流体の移動速度は、回転体10よりも遅くなる。そのため、封入流体は、回転体10の回転に伴って、管状部材42及びベアリングケース20内を、回転体10の回転方向とは反対方向に向かって移動することになる。具体的には、図13において、回転体10を矢印Aの方向に回転させると、封入流体は矢印aの方向に移動することになる。
【0080】
また、封入流体は、ベアリングケース20内で容器ホルダ50の自転軸52に接触し、自転軸52の回転方向に沿った力を受ける。ここで、駆動機構75は、容器ホルダ50を、回転体10の回転方向(公転方向)とは反対方向に自転させるように構成されている。そのため、攪拌脱泡装置2では、封入流体は、内部空間20Sの自転軸線L2よりも外側の領域において、容器ホルダ50の自転軸52の自転に伴って回転体10の回転方向とは反対方向に向かう力を受けることになる。具体的には、図13において、回転体10を矢印Aの方向に回転させると、自転軸52は矢印Bの方向に自転し、これにより、封入流体は矢印bの方向に向かう力を受けることになる。
【0081】
すなわち、攪拌脱泡装置2によると、回転体10の回転に伴って封入流体が移動する方向(矢印aの方向)と、自転軸52の回転に伴って封入流体に作用する力の方向(矢印bの方向)とが一致する。そのため、攪拌脱泡装置2が封入流体を流動させるための特別な機構を備えていない場合であっても、封入流体を、ベアリングケース20及び管状部材42内を流動させることが可能になる。
【0082】
特に、攪拌脱泡装置2では、ベアリングケース20の貫通穴24が、自転軸線L2よりも外側に配置される。そのため、封入流体が円周Cに沿って移動する際に、封入流体は、内部空間20Sの自転軸線L2よりも外側の領域に流入し、内部空間20Sの自転軸線L2よりも外側の領域から流出することになる。このことから、封入流体が、自転軸線L2よりも外側の領域(すなわち、自転軸52よりも外側の領域)を移動しやすくなり、上記の作用を顕著に発揮させることができる。ただし、貫通穴24の位置はこれに限られるものではなく、自転軸線L2よりも内側に配置することも可能である(図示せず)。
【0083】
なお、攪拌脱泡装置2によると、自転軸52の回転に伴って封入流体に作用する力を利用して、封入流体を流動させることができる。そのため、自転軸52と封入流体との摩擦によって、封入流体の流動速度を調整することが可能である。このことから、自転軸52の形状、自転軸52の構成材料及び封入流体の種類を調整することにより、封入流体の流動速度を所望の値に設定することができる。また、攪拌脱泡装置2によると、封入流体に作用する遠心力の大きさ(すなわち、回転体10の回転数)が変化すると、封入流体の流動のしやすさが変化する。そのため、回転体10の回転数を調整することにより、封入流体の流動速度を調整することも可能である。
【0084】
(3)変形例
本実施の形態の変形例として、攪拌脱泡装置を、図15に示すように、自転軸54を有する構成とすることができる。ここで、自転軸54は、外周に凹凸が形成された構成となっている。本変形例によると、自転軸54の形状(凹凸の形状、高さや間隔)を調整することによって、封入流体の流動速度を調整することが可能になる。なお、他の変形例として、自転軸を、断面が多角形(正多角形)となるように構成することも可能である(図示せず)。
【0085】
3.第3の実施の形態
以下、図16及び図17を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
【0086】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置3は、図16及び図17に示すように、中空の管状部材44を有する。管状部材44は、図17に示すように、平面視において、回転体10の回転軸線を中心とする円周(円周C)に沿って延びる形状となっている。管状部材44はループ状に(無端状に)構成されている。管状部材44は、所望の流体を封入することが可能に構成されている。
【0087】
攪拌脱泡装置3では、管状部材44は、ベアリングケース20との間で熱が伝達されるように構成されている。具体的には、攪拌脱泡装置3は、管状部材44及びベアリングケース20と接触する熱伝導部材45を含んで構成されている。これにより、管状部材44とベアリングケース20との間で熱を伝達させることができる。
【0088】
(2)効果
攪拌脱泡装置3によると、ベアリングケース20と管状部材44との間で熱が伝達される。そのため、攪拌脱泡装置3の運転中にベアリングケース20(ベアリング30)が発熱した場合であっても、その熱が管状部材44に伝達されることから、ベアリングケース20の温度上昇を低減することができる。
【0089】
(3)変形例
本実施の形態の変形例として、攪拌脱泡装置は、図18に示すように、流動機構46を有する構成とすることも可能である。流動機構46は、管状部材44に取り付けられており、管状部材44内に封入された封入流体を、円周Cに沿った方向に流動させる役割を果たす。流動機構46は、例えばポンプによって実現することができる。具体的には、既に公知となっているいずれかのポンプを、吸入口及び吐出口が円周C上に配置されるように、かつ、吐出方向が円周Cの接線方向を向くように設置することにより、流動機構46を実現することができる。
【0090】
この攪拌脱泡装置によると、流動機構46によって、円周Cに沿った方向に、封入流体を自由に流動させることが可能になる。そのため、ベアリングケース20の温度上昇を低減させるための最適値で封入流体を流動させることが可能になり、効率よくベアリングケース20の温度上昇を低減することができる。なお、管状部材44は円周Cに沿って延びる形状となっていることから、封入流体を円周Cに沿った方向に流動させる際に必要な力が、非常に小さくて済む。そのため、出力の小さい流動機構を利用した場合でも、封入流体を自由に流動させることが可能になる。
【0091】
また、他の変形例として、管状部材44を、熱伝導部材45を介さずに、ベアリングケース20に直接接触させることや、管状部材44を、ベアリングケース20内を貫通するように構成することも可能である(図示せず)。これらの場合でも、ベアリングケース20と管状部材44との間で、熱を伝達させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1…攪拌脱泡装置、 2…攪拌脱泡装置、 3…攪拌脱泡装置、 10…回転体、 12…底板、 14…横板、 16…上板、 20…ベアリングケース、 21…バランス錘、 22…貫通穴、 24…貫通穴、 25…貫通穴、 28…シール部材、 30…ベアリング、 32…外輪、 34…内輪、 40…管状部材、 42…管状部材、 44…管状部材、 45…熱伝導部材、 46…流動機構、 50…容器ホルダ、 52…自転軸、 60…駆動機構、 62…中心軸、 64…プーリー、 66…モータ、 68…プーリー、 70…自転駆動機構、 72…自転歯車、 74…自転力付与歯車、 75…駆動機構、 76…中継歯車ユニット、 78…モータ、 80…支持基板、 82…支持部材、 90…制御手段、 94…駆動制御部、 96…操作部、 98…表示部、 100…収納容器、 110…容器本体、 120…蓋体、 122…内蓋、 124…外蓋、 C…円周、 L…潤滑液、 L1…公転軸線、 L2…自転軸線、 M…材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に材料が収納された収納容器を公転させながら自転させることによって、前記材料を攪拌脱泡する攪拌脱泡装置であって、
所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体に対して固定されており、前記回転体の回転に伴って前記回転軸線を中心に公転するベアリングケースと、
前記ベアリングケースに保持されたベアリングと、
前記ベアリングに保持されて前記回転体に対して回転可能に構成された、前記収納容器を保持するための容器ホルダと、
中空の管状部材と、
を含み、
前記管状部材は、平面視において前記回転軸線を中心とする円周に沿って延びる形状となっており、かつ、その内部空間が前記ベアリングケースの内部空間に連通するように構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置において、
前記ベアリングケースの前記円周と交差する位置には、貫通穴が形成されており、
前記貫通穴を介して、前記管状部材の内部空間と前記ベアリングケースの内部空間とが連通する攪拌脱泡装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の攪拌脱泡装置において、
前記ベアリングケース及び前記管状部材は、内部に流体を封入することが可能に構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項4】
請求項3に記載の攪拌脱泡装置において、
前記流体は、前記ベアリングの潤滑液である攪拌脱泡装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの自転方向が、前記回転体の回転方向とは反対方向となるように構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項6】
内部に材料が収納された収納容器を公転させながら自転させることによって、前記材料を攪拌脱泡する攪拌脱泡装置であって、
所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体に対して固定されており、前記回転体の回転に伴って前記回転軸線を中心に公転するベアリングケースと、
前記ベアリングケースに保持されたベアリングと、
前記ベアリングに保持されて前記回転体に対して回転可能に構成された、前記収納容器を保持するための容器ホルダと、
中空の管状部材と、
を含み、
前記管状部材は、平面視において前記回転軸線を中心とする円周に沿って延びる形状となっており、かつ、前記ベアリングケースとの間で熱が伝達されるように構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置において、
前記管状部材は、前記ベアリングケースと接触するように構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項8】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置において、
前記管状部材及び前記ベアリングケースに接触する熱伝導部材をさらに含む攪拌脱泡装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記管状部材は、内部に流体を封入することが可能に構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記流体を前記円周方向に流動させるための流動機構をさらに含む攪拌脱泡装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記回転体の回転数を制御する制御手段をさらに含み、
前記制御手段は、所与のタイミングで、前記回転体の回転数を低下させる処理及び上昇させる処理を行うように構成されている攪拌脱泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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